JP3596840B2 - 事務機器の衝撃振動吸収装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、地震又は過度の衝撃や振動に対して複写機やファクシミリ等の事務機器を保護するための衝撃振動吸収装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
阪神大震災の発生以来、地震に対する社会的不安が広がっている。
【0003】
地震又は過度の衝撃や振動に対して事務機器を保護する衝撃振動吸収装置の従来例を図11及び図12に示す。
【0004】
図11はペディスタル46を備えた複写機41と該複写機41の移動を規制する輪止め43を示し、図12は輪止め43の構成の詳細を示している。
【0005】
図11に示すように、ペディスタル46の底面部には、ネジ部55を備えて装置全体の高さ調整を可能とするアジャスター44と、装置の移動を容易にする車輪42aを備えたキャスター42が設けられている。
【0006】
上記キャスター42には、図12に示すようなすり鉢状のテーパー面47を有する輪止め43が被せられており、この輪止め43によって地震又は過度の衝撃や振動に対して複写機41の移動が規制されるよう構成されている。
【0007】
ここで、輪止め43の構成と作用について説明する。
【0008】
輪止め43は高摩擦係数のゴム等の弾性体で構成されており、その中央には孔48を有するすり鉢状のテーパー面47が形成されている。そして、キャスター42はすり鉢状のテーパー面47の内側にあって、テーパー面47の中央の孔48に露出している床面49上に設置されている。又、輪止め43には切り込み45が形成されており、図12の矢印方向に輪止め43を押し開くことができるよう構成されている。このため、複写機41のキャスター42に輪止め43を取り付けるときには、切り込み45を押し開きながらキャスター42の外側から輪止め43を容易に取り付けることができる。
【0009】
而して、地震発生時等に過度の衝撃や振動が複写機41に加えられると、キャスター42は輪止め43のテーパー面47の内側に形成された段差51を乗り越えてテーパー面47に乗り上げる。このとき、衝撃や振動のエネルギーは複写機41の位置エネルギーの増分とキャスター42の転がり抵抗によって吸収される。そして、エネルギーを吸収し切れない場合は、キャスター42は輪止め43の内側の壁50に突き当たって停止する。このとき、輪止め43は前述のように高摩擦係数のゴム等の弾性体で構成されているため、該輪止め43が床面49に対して滑ることがない。そのため、複写機41は地震又は衝撃や振動を受けた場合でも大きく移動することがない。そして、地震又は衝撃や振動の力が弱まれば、キャスター42は輪止め43のテーパー面47を転がり落ちて孔48の位置まで戻る。この輪止め43のテーパー面47の戻し効果のため、複写機41が連続的に衝撃や振動を受けた場合でも、テーパー面47と段差51によって何度でもエネルギー吸収がなされ、複写機41は地震又は衝撃や振動のエネルギーが弱まれば元の位置に戻る。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、輪止め43の段差51とテーパー面47で衝撃・振動エネルギーを吸収し切れない場合には、複写機41のキャスター42は輪止め43の内側壁50によってその移動を完全に規制されてしまう。そのため、地震又は衝撃や振動の大きさによっては複写機41が転倒して破損したり、避難路を塞ぐ可能性がある。又、複写機41が転倒しない場合でも、該複写機41の内部に加わる加速度による複写機本体の破損、内部ユニットやカセット等の飛び出し、扉やカバー類の開き等が引き起こされる可能性がある。
【0011】
ところで、図11において、輪止め43と床面49との摩擦抵抗を管理し、或る一定以上の衝撃や振動が加わったときのみ輪止め43と床面49との接触面で輪止め43が滑り、その移動によって大きな衝撃や振動のエネルギーを逃がす構成も考えられているが、輪止め43が設置される環境は床面49上であるため、埃、異物、水、油気等を考慮すると輪止め43に長期に亘って所要の機能を確保することは不可能であった。密閉手段によって輪止め43をカバーしても完全に密閉することはできず、又、構成も複雑になり、コストも益々高いものになってしまう。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、地震又は過度の衝撃や振動発生時における事務機器自身の転倒を防ぐとともに、事務機器内部に加わる加速度を減じて事務機器内部の破損、内部ユニット類の飛び出し、扉類の開き等を防ぎ、長期的に安定した機能を確保することができる事務機器の衝撃振動吸収装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、複数のキャスターとアジャスターを有する事務機器に設けられる衝撃振動吸収装置を、少なくとも1つのキャスター若しくはアジャスターを外側から包む包含手段と、該包含手段を上面に載置する床面上に施設される施設手段と、前記包含手段の外周部に当接して衝撃又は振動エネルギーを吸収する吸収手段と、を含んで構成し、前記包含手段は、前記キャスター若しくはアジャスターが乗り上げて移動可能なテーパー面と、該テーパー面を乗り上げてきた前記キャスター若しくはアジャスター突き当たる壁とを有し、前記キャスター若しくはアジャスターが前記壁に突き当たることで移動を開始することを特徴とする。
【0014】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、ワイヤー、ベルト等の弛張手段と、該弛張手段の一端側に設けられたブレーキ手段と、同弛張手段の他端側に設けられたプリテンション印加手段と、前記包含手段の外周部に弛張手段を当接状態で張設する巻き掛け手段を設けたことを特徴とする。
【0015】
前記ブレーキ手段は、前記弛張手段の一端が固定された回転軸と、該回転軸と嵌合し、該回転軸に対して締付力を付与するブレーキ部と、を有することを特徴とする請求項2記載の事務機器の衝撃振動吸収装置。
【0016】
従って、本発明によれば、事務機器に過度の衝撃や振動が加わった場合に事務機器の底面に設けられた移動用のキャスターは包含手段に乗り上げ、このときに発生する事務機器の位置エネルギーの増分とキャスターの転がり抵抗によって衝撃・振動エネルギーが吸収し切れないときには、その吸収し切れない衝撃・振動エネルギーは吸収手段によって吸収されるため、事務機器自身の転倒が防がれるとともに、事務機器内部に加わる加速度が減じられて該事務機器内部の破損、内部ユニット類の飛び出し、扉類の開き等が防がれ、当該衝撃振動吸収装置に長期的に安定した機能が確保される。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
<実施の形態1>
図1は本発明に係る衝撃振動吸収装置を備えた複写機の側面図、図2は本発明に係る衝撃振動吸収装置の斜視図、図3は同衝撃振動吸収装置の平面図、図4は輪止めの開いた状態を示す平面図、図5は同輪止めの閉じた状態を示す斜視図、図6はブレーキの断面図である。
【0019】
図1に示す複写機41はその下部にペディスタル46を備えており、又、下面部には移動用のキャスター42と高さ調整用のアジャスター44が設けられている。
【0020】
ここで、本発明に係る衝撃振動吸収装置の構成を説明する。
【0021】
図1において、1は輪止め、2は床面49に固定されたベース板であって、これらの輪止め1とベース板2は各キャスター42についてそれぞれ設けられている。
【0022】
又、3は上記ベース板2にビスで取り付けられたブレーキであり、図2及び図3に示すように、ブレーキ3にはワイヤー4が巻き掛けられている。又、ベース板2上には3つの回転軸6(6a,6b,6c)が立設されており、回転軸6a,6bにはベアリング5a,5bがそれぞれ回転自在に支持され、回転軸6cにはワンウェイ機構7が設けられている。
【0023】
ところで、前記輪止め1は従来と同様に高摩擦係数のゴム等の弾性体で構成されており、これには設置を容易にするための切り込みも同様に設けられている。但し、輪止め1のすり鉢状テーパー面1cの直径や角度等は後述のようにワイヤー4の線径、ブレーキ3の設定ブレーキ力、複写機41の移動量等を考慮して決められているため、図11及び図12に示した従来の輪止め43のそれとは異なる。
【0024】
而して、輪止め1は本体装置のキャスター42を外側から包むように配置されており、図2及び図3に示すように、前記ワイヤー4は輪止め1を中継して各ベアリング5a,5bに巻き掛けられ、その一端は前記ブレーキ3に取り付けられ、他端は該ワイヤー4にプリテンションを印加するための前記ワンウェイ機構7に巻き掛けられている。
【0025】
次に、本発明に係る衝撃振動吸収装置を複写機41に設置する手順を説明する。
【0026】
先ず、予め床面49上に固定された複数のベース板2の中央に本体装置のキャスター42を乗せる。このとき、前記ワイヤー4は弛みのある状態にしておく(即ち、ワイヤー4には予め決められたプリテンションが掛けられていない)。そして、図4で示すように、輪止め1を従来と同様の方法によって回転ヒンジ1aを中心に適宜な角度に開き、この輪止め1にキャスター42を履かせた後、輪止め1を閉じてネジ8a,8bによって固定部材8を固定することによって設置が完了する(図5参照)。
【0027】
ここで、前記ブレーキ3の構成の詳細を図6に基づいて説明する。
【0028】
ブレーキ3のブレーキ部3cはボルト3d,3eによってベース板2上に固定され、該ブレーキ部3cの中心部には、回転軸3aが軸受部3fによって回転可能に支承されており、ブレーキ力3cは回転軸3aと予め嵌合して該回転軸3cが回転したときに嵌合の締付力によって所定のブレーキ力を回転軸3aに加える。又、ブレーキ部3cは汚れや異物混入を防ぐためにカバー3gによって覆われている。尚、ブレーキ部3cは回転軸3aの嵌合代の設定によって種々の大きさのブレーキ力を適宜設定することができる。
【0029】
そして、回転軸3aの上部外周にはワイヤー4がその一端を固定された状態(図示せず)で巻き付けられている。
【0030】
而して、地震若しくは過度の衝撃や振動が複写機41から輪止め1に加えられると、ワイヤー4によって回転軸3aが回転され、衝撃・振動力がブレーキ力に変換される。
【0031】
次に、本発明に係る衝撃振動吸収装置の作用について説明する。
【0032】
先ず、地震等による衝撃・振動エネルギーを吸収する方法について説明するが、図10及び図11に示した従来の輪止め43では、キャスター42の車輪42aが輪止め43の段差51とテーパー面47を乗り上げるときに発生する位置エネルギーの増分と該車輪42aの回転抵抗(キャスター42がテーパー面47又は段差51を乗り上げるとき、キャスター42の車輪42aはテーパー面47又は段差51から反力を受ける)によって衝撃・振動エネルギーが吸収される。
【0033】
その結果、輪止め43のテーパー面47又は段差51をキャスター42が乗り上げるときの該キャスター42の回転抵抗は水平面を移動するときと比して極めて大きくなる。このため、輪止め43のテーパー面47と段差51で吸収し切れない衝撃・振動エネルギーの全てを複写機41が受けてしまい、前述のような問題が発生していた。
【0034】
そこで、本発明に係る衝撃振動吸収装置は、地震等による衝撃・振動エネルギーを輪止め1の段差1bとテーパー面1cで吸収するとともに、吸収し切れないエネルギーを輪止め1の外周面に巻き掛けられたワイヤー4の弾性及びブレーキ3のブレーキ機能によって吸収する構成を採用している。このため、操作者によって輪止め1が蹴られた場合であっても輪止め1は移動しない。
【0035】
而して、地震等によって床面49が図1の矢印A方向に移動すると、複写機46は床面49に対して矢印B方向(逆方向)に移動する。その結果、キャスター42は輪止め1のテーパー面1cの内側に形成された段差1bとテーパー面1cに乗り上げる。そして、このときに発生する複写機41の位置エネルギーの増分とキャスター42の転がり抵抗によって地震のエネルギーを吸収できないときには、キャスター42は輪止め1の内側の壁1dに突き当たり、その後、輪止め1が移動を開始するが、輪止め1はその外周面に巻き掛けられたワイヤー4とブレーキ3によって抵抗を受ける。
【0036】
従って、地震のエネルギーが大きい場合でも、地震のエネルギーは最終的にブレーキ3の予め適宜に設定されたブレーキ力によって吸収される。そのため、複写機41は過度の衝撃を受けて転倒したり、該複写機41の内部ユニット類が飛び出したり、扉が開くことがない。又、複写機41はブレーキ3によってブレーキ力を掛けられるため、大きく移動して避難路を塞ぐこともない。
【0037】
以上のように、本実施の形態に係る衝撃振動吸収装置は、輪止め1のテーパー面1cと段差1bによって衝撃・振動エネルギーを吸収した後、ブレーキ3において発生するブレーキ力によって衝撃・振動エネルギーの全てを吸収するために複写機41の転倒、破損或は大きな移動等が防がれる。
【0038】
ところで、上記を実現するためには、輪止め1のテーパー面1cの角度θ、段差1bの高さH、輪止め1のすり鉢状部の直径C、ブレーキ力Pを最適に設定する必要がある。以下にこれらのパラメータを最適に設定する方法を示す。
【0039】
先ず、ブレーキPは、複写機41の移動量を小さく抑えるために複写機41が転倒及び破損しない範囲で可能な限り大きく設定する必要がある。具体的には、ブレーキ力Pは下記▲1▼式(破壊条件式)と▲2▼式(転倒条件式)を満たさない範囲で最大の値に設定すべきである。
【0040】
αlim <αmax … ▲1▼
m・g・W<m・αmax ・h … ▲2▼
m:複写機の質量(kg)
g:重力加速度(m/s
W:重心Gからキャスター42までの距離(m)
h:重心Gの高さ(m)
αlim :複写機41が破損したり、内部ユニット類が飛び出したりしない加速度の限度値(m/s
αmax :複写機41に加えられる最大加速度(m/s
次に、輪止め1の段差1bの高さHとテーパー面1cの角度θについて述べる。
【0041】
H,θは複写機41の移動量を小さく抑えるためには可能な限り大きく設定する必要がある。しかし、余り大きくし過ぎるとキャスター42が段差1bやテーパー面1cに乗り上げる前に輪止め1が移動してしまうため、H,θは輪止め1が移動しない範囲で最大の値に設定すべきである。よって、H,θはワイヤー4の線径やブレーキ3のブレーキ力Pとの関連が強い値である。
【0042】
最後に輪止め1のすり鉢状部の直径Cについて述べるが、この直径Cの値は次のような性質を有する。
【0043】
即ち、直径Cが大きくなると、輪止め1がアジャスター44や操作者の足等に干渉する。又、Cが小さくなると、テーパー面1cによる戻し効果が小さくなり、複写機41の移動量が増える。
【0044】
上記のことを考慮すると、直径Cの値は、輪止め1がアジャスター44や操作者の足等に干渉しない範囲で可能な限り大きく設定されるべきである。
【0045】
以上で述べた考え方に従って角度θ、高さH、直径C及びブレーキ力Pを設定すれば、複写機41の破損や転倒を防ぐことができるとともに、複写機41の移動量を最小に抑えることができる。尚、角度θ、高さH、直径C及びブレーキ力Pは実験的に下記の式で表されることが分かっている。
【0046】
θ<45°
H<キャスター直径の1/10
C<300mm
P=事務機本体の重量によって決定される設計値
尚、本実施の形態では、輪止め1の素材をゴム材としているが、金属材料、成型材料とすることもできる。但し、その場合でも、キャスター42へ輪止め1を簡易に設置できるようにするため、素材にはゴムと同様な弾性部材を用いる必要があり、弾性部材でない場合は、分割可能な構成とする必要がある。
【0047】
ここで、ブレーキ力Pの設定方法を図7に基づいて説明する。
【0048】
図7(a)は輪止め1が負荷を受けていない状態を示す模式図、同図(b)は或る負荷を受けた場合に輪止め1が移動した状態を示す模式図である。ブレーキ力Pは以下のようにして求められる。
【0049】
ケース1):輪止め1の移動をベース板2内で許容する場合;
ベース板2の略半径をrとすると、輪止め1の移動量LはL≦r−a(ここで、a:輪止め1の半径)で表される。
【0050】
図7(a)において、輪止め1が図示矢印方向の負荷を受けると、ワイヤー4のそれぞれの部分には張力taが作用する(このとき、輪止め1の後面に接触している2つのワイヤー部分4a,4bの張力は小さいので無視する)。図7(a)において負荷をFとすると、この負荷Fは次式によって求められる。
【0051】
F=ta×(cos θ+cos ψ・(cos η+cos ξ)) … ▲3▼
従って、
ta=F/(cos θ+cos ψ・(cos η+cos ξ)) … ▲4▼
ここで、ブレーキ力Pは実際にワイヤー4に張力taが加わったとき、P≧taの場合には輪止め1は移動せず(実際には、ワイヤー4が負荷により伸ばされた分だけ輪止め1は移動する)、P<taの場合には輪止め1は移動する。
【0052】
このため、輪止め1の初期位置(初期状態)の張力(ta) (▲4▼式から求まる)と、最終位置(最終状態)での張力(ta) (▲4▼式から求まる)に挟まれた設定荷重領域でブレーキ力Pを設定すれば良い。従って、
(ta) ≦P<(ta) … ▲5▼
なる関係からブレーキ力Pの範囲が決まり、負荷を受けたときの装置全体の傾き及び装置内部に加わる加速度等を考慮した適宜なブレーキ力Pを選定すれば良い。
【0053】
例えば、重量400kgの事務機、r=165mm、初期位置(θ=ψ=20°、η=ξ=76°)、最終位置(θ=ψ=11.6°、η=ξ=116°)とすると、
35.5kg≦P<71.1kg
が求まる。
【0054】
ケース2):輪止め1の移動をベース板2外まで許容する場合;
この場合には、輪止め1の移動量LはL>r−aの領域である、従って、ブレーキ力Pは、
P<(ta) … ▲6▼
の範囲であれば良い。
【0055】
しかし、このケース2は輪止め1がベース板2から飛び出してしまう状態であるため、ベース板2の外側の状態(床材質、床表面、障害物の有無等)により極めて予測し難い領域である。従って、そのような周囲の状況を十分把握した上でブレーキ力Pを選定すべきである。
【0056】
<実施の形態2>
次に、本発明の実施形態2を図8(a),(b)に基づいて説明する。尚、図8(a),(b)はワイヤー4の張り方を示す平面図である。
【0057】
図8(a)に示す例では、ブレーキ21に一端を固定されたワイヤー4は、輪止め1の外周を1周し、反対側の回転支持部22に巻き掛けられ、再び輪止め1を1周し、ブレーキ21側に設けられたワンウェイ手段23に他端が固定されている。本方式によれば、省スペース及びコストダウンが可能となり、設置性も改善される。
【0058】
又、図8(b)に示す例は、ワイヤー4を回転支持部24,25,26に巻き掛けて略十字形状に張ったものであり、輪止め1へのワイヤー4の巻付量が前記実施の形態1のそれよりも大きいため、大型重量機や外部負荷の大きな場合にワイヤー4の強度を維持し、安定した機能を確保することができる。
【0059】
<実施の形態3>
次に、本発明の実施の形態3を図9に基づいて説明する。尚、図9は本発明の実施の形態3に係る衝撃振動吸収装置の平面図である。
【0060】
本実施の形態では、実施の形態1で示した輪止め1をベース板30上に配置し、図示のように3方向からバネ手段31,32,33によって輪止め1が位置決め保持されおり、輪止め1が移動した場合にはバネ手段31,32,33による抵抗が発生する構成が採用されている。
【0061】
バネ手段31,32,33の各一端は輪止め1の外周部31b,32b,33bにそれぞれ固定され、各他端はベース30の外周縁付近に設けられた固定部31a,32a,33aにそれぞれ固定されている。この構成によって、地震若しくは過度の衝撃又は振動が加わった場合にそれらのエネルギーをバネ手段31〜33の少なくとも1つで吸収し、事務機器の適宜な移動量、内部加速度及び傾きを維持することができる。
【0062】
そして、本構成はそれぞれのバネ手段31〜33を各固定部31a〜33aに引っ掛けるだけで所要の機能を発揮することができる構成が可能となるため、実際の市場での設置性は極めて容易である。又、外部負荷が除去された後は、バネ手段31〜33の復元作用によって事務機器を元の位置へ戻すことができる。
【0063】
<実施の形態4>
次に、本発明の実施の形態4を図10(a),(b)に基づいて説明する。尚、図10(a),(b)は実際の事務所内で本発明に係る衝撃振動吸収装置74を事務機器70に取り付けた状態を示す平面図である。
【0064】
事務所にパーティーション71で区切りられたOAコーナーを設け、そのエリアに事務機器70が設置されている。そして、そのエリアの周りには操作者が通常行き来するための通路73が形成されている。
【0065】
而して、本実施の形態では、図10(a)に示すように衝撃振動吸収装置74を事務機器70の4つのキャスター72のうちの通路73側の2つに設置しており、地震や過度の衝撃が事務機器70に加わったときには通路73側への事務機器70の移動は衝撃振動吸収装置74の抵抗のために阻止され、事務機器70はパーティーション71側へ移動し、避難路が確実に確保される。又、図10(b)は1つの衝撃振動吸収装置74を配置した場合を示す。
【0066】
以上の説明で分かるように、本発明に係る衝撃振動吸収装置74の設置は、実際の事務所のレイアウトを考慮することによって、経済的、設置性及びサービス・メンテナンス性を良くする種々のバリエーションが可能となり、極めて汎用性の高い構成になっている。
【0067】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、事務機器に過度の衝撃や振動が加わった場合に事務機器の底面に設けられた移動用のキャスターは包含手段に乗り上げ、このときに発生する事務機器の位置エネルギーの増分とキャスターの転がり抵抗によって衝撃・振動エネルギーが吸収し切れないときには、その吸収し切れない衝撃・振動エネルギーは吸収手段によって吸収されるため、事務機器自身の転倒が防がれるとともに、事務機器内部に加わる加速度が減じられて該事務機器内部の破損、内部ユニット類の飛び出し、扉類の開き等が防がれ、当該衝撃振動吸収装置に長期的に安定した機能が確保されるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置を備えた複写機の側面図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置の平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置の輪止めの開いた状態を示す平面図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置の輪止めの閉じた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置のブレーキの断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る衝撃振動吸収装置におけるブレーキ力の設定方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る衝撃振動吸収装置におけるワイヤーの張り方を示す平面図である。
【図9】本発明の実施の形態3に係る衝撃振動吸収装置の平面図である。
【図10】実際の事務所内で本発明の実施の形態4に係る衝撃振動吸収装置を事務機器に取り付けた状態を示す平面図である。
【図11】従来の衝撃振動吸収装置を備えた複写機の側面図である。
【図12】従来の衝撃振動吸収装置の輪止めの斜視図である。
【符号の説明】
1 輪止め(包含手段)
2 ベース板(施設手段)
3 ブレーキ(ブレーキ手段)
4 ワイヤー(弛張手段)
5a,5b ベアリング(巻き掛け手段)
7 ワンウェイ機構(プリテンション印加手段)
31〜33 バネ手段
41 複写機(事務機器)
42 キャスター
44 アジャスター
49 床面
70 事務機器
74 衝撃振動吸収装置

Claims (3)

  1. 複数のキャスターとアジャスターを有する事務機器に設けられる装置であって、
    少なくとも1つのキャスター若しくはアジャスターを外側から包む包含手段と、
    該包含手段を上面に載置する床面上に施設される施設手段と、
    前記包含手段の外周部に当接して衝撃又は振動エネルギーを吸収する吸収手段と、を有し、
    前記包含手段は、前記キャスター若しくはアジャスターが乗り上げて移動可能なテーパー面と、該テーパー面を乗り上げてきた前記キャスター若しくはアジャスター突き当たる壁とを有し、前記キャスター若しくはアジャスターが前記壁に突き当たることで移動を開始することを特徴とする事務機器の衝撃振動吸収装置。
  2. ワイヤー、ベルト等の弛張手段と、
    該弛張手段の一端側に設けられたブレーキ手段と、
    同弛張手段の他端側に設けられたプリテンション印加手段と、
    前記包含手段の外周部に前記弛張手段を当接状態で張設する巻き掛け手段と、を具備することを特徴とする請求項1記載の事務機器の衝撃振動吸収装置。
  3. 前記ブレーキ手段は、
    前記弛張手段の一端が固定された回転軸と、
    該回転軸と嵌合し、該回転軸に対して締付力を付与するブレーキ部と、を有することを特徴とする請求項2記載の事務機器の衝撃振動吸収装置。
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