JP3596278B2 - 丸ダイス式転造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、転造加工によってネジ、歯車、シャフト及びパイプ等を製造するための丸ダイス式転造装置に係り、特に丸ダイスの主軸を傾斜させながらワークの周面及び軸方向を転造加工する丸ダイス式転造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の丸ダイス式転造装置として、図8に示したものが知られている。この丸ダイス式転造装置1は、外周にネジ溝が設けられた一対の丸ダイス2a,2bでワーク3を左右側から挟み、主軸4a,4bを回転させながら油圧機構5a,5bによって丸ダイス2a,2bをワーク3に向かって徐々に押し込み、ワーク3にネジ溝を転造加工するものである。丸ダイス2a,2bの幅より長いワーク3に転造する所謂通し転造の場合、主軸4a,4bを手動で傾斜させ、丸ダイス2a,2bとワーク3との接触部におけるリード角を一致させた状態で傾斜角を固定し、ワーク3を軸方向に移動させて転造していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の丸ダイス式転造装置にあっては、主軸4a,4bの傾斜角を手動で調整したのち固定し、その傾斜角を保持した状態で転造するために、転造加工中に傾斜角を変化させることができず、ワークの加工の多様化が図れないものであった。
【0004】
また、ワーク3にネジ溝を転造する場合、丸ダイス2a,2bをワーク3に向かって徐々に押し込むにつれ、ワーク3のネジ溝の谷径が小さくなる。そのため、ワークの切込み開始時に比べて切込み完了時にはワーク3の谷部の円周長が短くなる。図9は、ワーク3の円周長とピッチとの関係を示したものである。この場合、ワーク3の円周長は、切込み開始時の円周長Lから切込み完了時の円周長L1に変化し、δLだけその長さが短くなる。しかしながら、従来の丸ダイス式転造装置1にあっては、転造中に主軸4a,4bを上下に傾斜できないため、ワーク3の谷径が変化してもリード角βが一定に保たれる。このため、切込み開始時のワーク3のピッチPと、切込み完了時のワーク3のピッチP1との間にはピッチのズレδPが発生し、このピッチのズレδP分だけ転造中にワーク3が軸方向に移動してしまうことになる。この転造中にワーク3が軸方向に移動する現象は、ワーク3の歩みと呼ばれ、特に外径と谷径との差が大きいネジ溝を転造する場合に最も顕著に現れる。歩みが発生すると、歩みによるワーク3の移動方向のネジ山のフランク面が丸ダイス2a,2bに強く接触する一方、ワーク3の移動方向と逆のフランク面の丸ダイス2a,2bとの接触が弱くなり、結果的に、転造加工された面の仕上がり精度が悪くなるといった問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ワークに対する転造加工の多様化を図ると共に、ワーク転造時におけるワークの歩みを抑えて転造加工面の仕上がり精度を向上させるようにした丸ダイス式転造装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る丸ダイス式転造装置は、丸ダイスの主軸が回転しながらワーク側に移動してワークを転造加工する丸ダイス式転造装置において、前記ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って前記丸ダイスの主軸を該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜させる主軸傾斜機構と、該主軸傾斜機構の駆動源とを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る丸ダイス式転造装置は、丸ダイスの主軸が回転しながらワーク側に移動してワークを転造加工する丸ダイス式転造装置において、前記丸ダイスの主軸は該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜可能なダイスホルダによって支持されると共に、該ダイスホルダがギヤを介してモータに連結されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る丸ダイス式転造装置は、上記主軸の傾斜角を検知する傾斜角検知手段と、上記主軸の傾斜角をフィードバックして上記主軸の傾斜を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る丸ダイス式転造装置は、ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って上記主軸を傾斜させ、転造中のワーク径の変化に対応したリード角を補正し、ワークの動きを制御する。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る丸ダイス式転造装置は、転造時に発生するワークの歩みを検出する歩み検出手段を設け、この歩み検出手段から得られた検出信号に基づいて上記主軸の傾斜角を制御して、ワークの歩みを抑えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る丸ダイス式転造装置は、一組の丸ダイスを軸支する一組のダイス移動台と、丸ダイスによるワークの転造位置の回りで前記一組のダイス移動台間に2本以上架け渡されたはり軸と、前記一対のダイス移動台を接近させる押込機構とを備え、前記ダイス移動台を前記はり軸にガイドさせて接近させると共に、転造圧力によって前記一組の丸ダイス間に生じる反力を前記はり軸に負担させるように構成した丸ダイス式転造装置であって、前記ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って前記丸ダイスの主軸を該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜させる主軸傾斜機構と、該主軸傾斜機構の駆動源とを設けたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明に係る丸ダイス式転造装置を詳細に説明する。図1乃至図5は、本発明に係る丸ダイス式転造装置の一実施例を示したものである。図1及び図2に示すように、本実施例の丸ダイス式転造装置11は、一対の丸ダイス12a,12bでワーク13を左右側から挟み、主軸14a,14bが回転しながらワーク13側に移動してワーク13を転造加工するものである。一対の主軸14a,14bは、水平に平行を保ってダイスホルダ15a,15bに回転可能に軸支される。一方のダイスホルダ15aは、第1のダイス移動台16aの内側面に設けられ、他方のダイスホルダ15bは、第2のダイス移動台16bの対向する内側面に設けられる。特に、これらのダイスホルダ15a,15bは、主軸14a,14bをダイス移動台16a,16bの移動方向に対して直交する面内(垂直面内)で傾斜できるように、ダイス移動台16a,16bに回動可能に取り付けられる。主軸14a,14bの回動中心19a,19bは、両者を結んだ線上Sに略ワーク13の転造位置が来るように設定される。なお、上記実施例ではダイス移動台16a,16bにダイスホルダ15a,15bを介してそれぞれに1個ずつの丸ダイス12a,12bを取付けた場合について説明したが、2個以上の丸ダイスを取付けてワークを挟み込むようにしても良い。
【0013】
上記ダイスホルダ15a,15bの回動は、主軸傾斜機構17a,17bによって実行される。この主軸傾斜機構17a,17bは、各ダイスホルダ15a,15bに設けられたダイスホルダ用ギヤとこのダイスホルダ用ギヤと噛み合うモータ用ギヤとで構成され、モータ用ギヤを先端に取付けた軸傾斜用サーボモータ18a,18bがダイス移動台16a,16bの側面に配設されている。なお、前記主軸傾斜機構17a,17bは、上述のギヤ以外にリンク機構等を用いたものであってもよく、またサーボモータに代えて油圧シリンダや空気圧シリンダで駆動することも可能である。
【0014】
上記ダイスホルダ15aの回動制御に際しては、図2に示したように、先ず軸傾斜用サーボモータ18aが駆動することでモータ用ギヤが回転され、ダイスホルダ用ギヤを介してダイスホルダ15aに回転力が伝達される。これにより、ダイスホルダ15aは回動中心19aを支点として軸傾斜用サーボモータ18aの回転に見合った量回転する。それ故、平行を保つ主軸14a(図中1点鎖線で示す)を、垂直面内で上方に+α°(図中2点鎖線で示す)、下方に−α°(図中2点鎖線で示す)傾斜させることができる。なお、他方側のダイスホルダ15bも同様の制御がなされる。
【0015】
一方、主軸14a,14bは、図1に示したサーボモータ21a,21bによって回転制御される。また、ダイス移動台16a,16bから突出した主軸14a,14bの端部には、上記丸ダイス12a,12bの回転数をクローズドループで制御するためのロータリーエンコーダ(図示せず)が取り付けられる。なお、主軸14a,14bの回転をクローズドループで制御することで、主軸14a,14bの傾斜に伴う回転ムラの発生が防止される。
【0016】
次に、上記丸ダイス12a,12bの移動機構について説明する。上記丸ダイス12a,12bの移動は、ダイス移動台移動機構24によって行われる。このダイス移動台移動機構24は、上述したダイスホルダ15a,15bをそれぞれ内側面に設けた第1のダイス移動台16a及び第2のダイス移動台16bと、第2のダイス移動台16bの外側に配置した圧力プレート26とからなる。これらのダイス移動台16a,16b及び圧力プレート26は、いずれも図2に示したように、基台27上に固設した一対のスライドレール28a,28bに左右方向へスライド可能に取り付けられる。また、第1のダイス移動台15aと圧力プレート16との間には、互いに向かい合う内側面の四隅に4本の同じ断面形状のはり軸29が架け渡され、はり軸29の両端が第1のダイス移動台16a及び圧力プレート26にそれぞれ固定される。そのため、第1のダイス移動台16aと圧力プレート26とは、スライドレール28a,28b上を相対位置が変化することなく一体にスライドする。なお、4本のはり軸29の位置は、丸ダイス12a,12bによるワーク13の転造位置を中心としていずれも等距離にあり、その位置は、丸ダイス12a,12bによるワークの転造位置を中心としていずれも等距離に且つ周方向に4等分して配置される。また、4本のはり軸29の剛性はいずれも等しく設定されている。
【0017】
第2のダイス移動台16bは、第1のダイス移動台16aと圧力プレート26との間でスライドレール28a,28bにスライド可能に取り付けられると共に、前記4本のはり軸29を挿通させるための貫通孔が側面の四隅に設けられている。また、前記圧力プレート26には、油圧シリンダ等の押込機構30が固定される。この押込機構30は、ダイス移動台16bと同一方向に伸縮するシリンダ軸31を備えており、シリンダ軸31の先端を第2のダイス移動台16bの外側面に固定してある。なお、押込機構30は、油圧シリンダに限られず、空圧機器、電動機を用いたものであってもよい。
【0018】
第2のダイス移動台16bと圧力プレート26との間には、一対のラックとピニオンとが設けられる(図示せず)。ピニオンは、基台27の上面に固定される。一方のラックが圧力プレート26の下端に、また他方のラックが第2のダイス移動台16bの下端にそれぞれ固定され、それぞれがピニオンに噛み合っている。
【0019】
押込機構30を作動させてシリンダ軸31が伸びると、第2のダイス移動台16bは押されてワーク13に向かいスライドレール28a,28b上を図1の左方向にスライド移動する。一方、第2のダイス移動台16bと圧力プレート26との間にはラック・ピニオンが設けられているため、圧力プレート26は、第2のダイス移動台16bの移動方向とは逆方向にスライドする。移動距離は第2のダイス移動台16bと同一である。この時、圧力プレート26と4本のはり軸29で連結されている第1のダイス移動台16aも、圧力プレート26と同じ方向、即ち図1の右方向にワーク13に向かって同一距離だけ移動する。したがって、第1のダイス移動台16aと第2のダイス移動台16bは、互いにワーク13に向かって同一距離だけスライド移動し接近することになる。このように、本発明に係るダイス移動台移動機構24によれば、一本の押込機構30で左右のダイス移動台16a,16bを互いに接近させ、丸ダイス12a,12bを両側からワーク13に押し込むことで転造加工することができる。また、ラック・ピニオンを設けたことによって、ワーク13の位置を常に移動する丸ダイス12a,12bの中心に保つことができ、ワーク13の加工精度の向上が図られる。
【0020】
ワーク13に丸ダイス12a,12bからの転造圧力を作用させると、一対の丸ダイス12a,12bにはワーク13から反力が働くが、この反力はシリンダ軸31を介して4本のはり軸29で負担する。この4本のはり軸29はワーク13の上下に均等に剛性を等しく配設されているため、反力は4本のはり軸29に均等に4等分して負担される。反力によってはり軸29は軸方向に若干は伸びることになるが、4本とも均等にバランス良く伸びるため、ダイス移動台16a,16bが上方に開いてしまい、丸ダイス12a,12bの上部が部分的に逃げることがない。したがって、ワーク13の確実な転造が可能になる。また、ダイス移動台16a,16b間には、丸ダイス12a,12b間の距離を測定するため、リニアスケール等の距離検出手段が設けられ、この検出信号に基づいて押込機構30の駆動が数値制御される。ダイス移動台15a,15b間の距離を計測することで、主軸27a,27b間の距離すなわち丸ダイス12a,12bの切込み量を高精度に数値制御することができる。
【0021】
図3及び図4はワーク13のクランプ機構34を示したものである。ワーク13は、止まりセンタ35及び芯押しセンタ36間に軸方向にクランプされる。止まりセンタ35はセンタ台37aに固定され、一方の芯押しセンタ36はセンタ台37bに摺動可能に取り付けられる。センタ台37bには空気圧又は油圧のシリンダ38が固定され、このシリンダ38の作動によって芯押しセンタ36がワーク13の軸方向(図中X方向)に移動される。また、センタ台37a,37bの下部にはスパンを調整するためのセンタ台調整用ラック39及びセンタ台調整用ピニオン40が設けられる。センタ台37a及び37bは、ワーク13の軸方向に設けられたセンタ台スライドレール41上をスライド可能に取り付けられる。センタ台37bの側面にはリニアスケール等の歩み検出手段42が設けられ、ワーク13を軸方向にクランプした状態で、センタ台37bの軸方向の移動を検出し、ワーク13の歩み量を検出する。
【0022】
図5は、上記軸傾斜機構17a,17bの制御手段を示したものである。主軸14a,14bの傾斜角を検知する傾斜角測定用のエンコーダ25a,25bを各主軸14a,14bの端部に取付け、このエンコーダ25a,25bで測定された傾斜角をフィードバックすることで、主軸傾斜用サーボモータ18a,18bの回転数が数値制御される。これにより、水平を保つ主軸14a,14bの回動中心19a,19bを支点とした上下(図中+−方向)への傾斜を高精度に制御することができる。なお、主軸傾斜用サーボモータ18a,18bの中に上記エンコーダ25a,25bが一緒に組み込まれている場合もある。また、主軸14a,14bの傾斜角度の制御は、転造するワーク13の径や材質、転造するネジ溝の種類やピッチなど種々の要因によっても異なってくる。
【0023】
図6は、上記構成からなる丸ダイス式転造装置11を用いてワーク13を転造加工した時のネジ溝のリード角、円周長、ピッチの関係を示したものである。この図に示すように、丸ダイス12a,12bをワーク13に向かって徐々に押し込み、切り込みが進むにつれ、ワーク13のネジ溝の谷径が次第に小さくなる。したがって、ワーク13の円周長は、切込み開始時のDから切込み完了時のD1へと変化し、ワーク13の谷部の円周長がδDだけ短くなる。主軸14a,14bを平行に保ったままだと、ワーク13のリード角βが変化しないため、切込み開始時のワーク13のピッチPと、切込み完了時のワーク13のピッチP1との間にはピッチのズレδPが発生する。このため、ピッチのズレδP分だけ転造中にワーク13が軸方向に移動してしまう。しかし、転造中に一対の主軸14a,14bをそれぞれ反対方向に徐々に傾斜させることで、転造中のワーク13のリード角βをワークの円周長の変化に応じて補正することができる。このように補正することでワーク13のピッチPを一定に保つことができ、ワーク13の歩みを抑えることができる。すなわち、ワーク13の径の変化に伴い主軸14a,14bを徐々に傾斜させ、ワーク13のリード角βを補正することでワーク13の歩みが抑えられる。転造完了時にはワーク13のリード角βは、補正後のリード角β1となる。このようにしてワーク13の歩みが防止されると、ワーク13の移動方向のネジ山のフランク面が丸ダイス12a,12bに強く接触し、剥離等が生じるのを防止できるのに加えて、加工された面の仕上がり精度を良くすることができる。また、ネジ溝の盛り上がり不足や転造加工におけるテーパーを防止でき、さらに、つば付きのワークの場合は、歩みが防止されることによって、つばのぎりぎりまで転造することも可能になる。なお、補正後のリード角β1の変化は僅かなため完成ネジの公差の範囲内に充分収まる。
【0024】
なお、主軸14a,14bの傾斜角は、ワーク13の径及び切込み量に伴い、補正すべきリード角をあらかじめ算出し、この算出値をサーボ機構の目標値として制御される。また、歩み検出手段42によってワーク13の歩みが検出された場合には、主軸14a,14bの両方又はいずれか一方に所定の傾斜角を与え、歩み検出手段42が一定値になるように制御する。
【0025】
ところで、本実施例の丸ダイス式転造装置11によれば、主軸14a,14bの傾斜角を高精度に制御しているため、主軸14a,14bの傾斜角を所定角度傾斜させることで、上述とは逆にワーク13を歩ませることも可能になる。したがって、例えば、ソロバン形状のダイスを主軸に固定し、主軸を傾斜させることでワークに軸方向の推進力を与えると共に、主軸間距離を変化させることで自由形状の転造が可能になり、スェージングやしごきスピニングでしかできなかった中実、中空素材の外径絞り及び内径加工や、段付き軸、段付きパイプの成形も可能になる。また、通し転造の軸傾斜角の設定も自動化が可能になる他、主軸間距離、軸傾斜角度、ダイスの回転角を高精度に制御することで、幅広い加工が可能になる。
【0026】
図7は、上述した主軸の傾斜制御をNC制御で行なう場合の制御システム構成例を示したものである。この制御システムは、メモリ46に格納されたプログラムやデータをCPU45で処理した後、同一バスライン43に接続された通信制御ユニット48を介して軸傾斜用サーボモータ18a,18b及び押込機構30の等のアクチュエータに伝達するものである。なお、これらのアクチュエータは、それぞれがドライバ回路を有し、これら複数のドライバとI/Oポート47は上記通信制御ユニット48に接続される。また、複数のドライバ、I/Oポート47及び通信制御ユニット48の間はシリアル通信ライン44で接続されている。
【0027】
なお、上記実施例では丸ダイス12a,12bの主軸14a,14bを垂直方向の面で傾斜させる場合について説明したが、ダイス移動台16a,16bが上下方向にスライドするタイプの転造装置の場合には前記主軸14a,14bを水平方向の面で傾斜させることになる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の請求項1に係る丸ダイス式転造装置によれば、前記ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って前記丸ダイスの主軸を該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜させる主軸傾斜機構と、該主軸傾斜機構の駆動源とを設けたので、転造中のワークの歩みを抑えることができワークの仕上がり精度を向上することができると共に、ワークの歩みをコントロールすることで加工の多様化が可能となる。
【0029】
また、本発明の請求項2に係る丸ダイス式転造装置によれば、丸ダイスの主軸がダイスホルダによって軸支されると共に、該ダイスホルダがギヤを介してモータに連結され主軸の移動方向と直交する面内で傾斜可能であるので、簡単な構造でありながら主軸の傾斜を正確に制御できる。
【0030】
また、本発明の請求項3に係る丸ダイス式転造装置によれば、上記主軸の傾斜角を検知する傾斜角検知装置と、上記主軸の傾斜角をフィードバックして主軸の傾斜を制御する制御手段を備えたので、主軸の傾斜角を高精度に制御することができ、転造精度を上げることができる。
【0031】
また、本発明の請求項4に係る丸ダイス式転造装置によれば、転造中のワーク径の変化に伴い上記主軸を傾斜させ、転造中のワーク径の変化に対応したリード角を補正したので、転造中にワーク径の変化に伴うワークの歩みを防止することができる。
【0032】
また、本発明の請求項5に係る丸ダイス式転造装置によれば、ワークの歩みを検出する歩み検出手段を設け、この歩み検出手段からの検出信号に基づいて主軸を傾斜させワークの動きを制御したので、ワークの歩みを確実に抑えることができる。
【0033】
また、本発明の請求項6に係る丸ダイス式転造装置によれば、丸ダイスによるワークの転造位置の回りで前記一対のダイス移動台間に2本以上架け渡されたはり軸を設け、前記ダイス移動台を前記はり軸にガイドさせて接近させると共に、転造圧力によって前記一対の丸ダイス間に生じる反力を前記はり軸に負担させたので、転造時における丸ダイスの開きがなくなり丸ダイスのワークへの切込み量を高精度に制御することができる。そして、上述の歩み防止効果と相俟って、一層ワークを高精度に転造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る丸ダイス式転造装置の一実施例を示す平面図である。
【図2】上記図1のA−A線断面図である。
【図3】図1における丸ダイス式転造装置のワークのクランプ機構を示す平面図である。
【図4】上記図3の側面図である。
【図5】傾斜機構の概念図である。
【図6】本発明におけるワークの円周長とピッチとの関係を示すグラフである。
【図7】上記丸ダイス式転造装置の制御システム構成図である。
【図8】従来の丸ダイス式転造装置の一例を示す正面図である。
【図9】上記従来例におけるワークの円周長とピッチとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
11 丸ダイス式転造装置
12a,12b 丸ダイス
13 ワーク
14a,14b 主軸
15a,15b ダイスホルダ
16a,16b ダイス移動台
17a,17b 主軸傾斜機構
18a,18b 軸傾斜用サーボモータ(駆動源)
29 はり軸
30 押込機構
42 歩み検出手段
Claims (6)
- 丸ダイスの主軸が回転しながらワーク側に移動してワークを転造加工する丸ダイス式転造装置において、
前記ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って前記丸ダイスの主軸を該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜させる主軸傾斜機構と、該主軸傾斜機構の駆動源とを設けたことを特徴とする丸ダイス式転造装置。 - 丸ダイスの主軸が回転しながらワーク側に移動してワークを転造加工する丸ダイス式転造装置において、
前記丸ダイスの主軸は該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜可能なダイスホルダによって支持されると共に、該ダイスホルダがギヤを介してモータに連結されていることを特徴とする丸ダイス式転造装置。 - 上記主軸の傾斜角を検知する傾斜角検知手段と、上記主軸の傾斜角をフィードバックして上記主軸の傾斜を制御する制御手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の丸ダイス式転造装置。
- ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って上記主軸を傾斜させ、転造中のワーク径の変化に対応したリード角を補正し、ワークの動きを制御することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の丸ダイス式転造装置。
- 転造時に発生するワークの歩みを検出する歩み検出手段を設け、この歩み検出手段から得られた検出信号に基づいて上記主軸の傾斜角を制御して、ワークの歩みを抑えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の丸ダイス式転造装置。
- 一組の丸ダイスを軸支する一組のダイス移動台と、丸ダイスによるワークの転造位置の回りで前記一組のダイス移動台間に2本以上架け渡されたはり軸と、前記一対のダイス移動台を接近させる押込機構とを備え、前記ダイス移動台を前記はり軸にガイドさせて接近させると共に、転造圧力によって前記一組の丸ダイス間に生じる反力を前記はり軸に負担させるように構成した丸ダイス式転造装置であって、
前記ワークを転造する際のワーク径の変化に伴って前記丸ダイスの主軸を該主軸の移動方向と直交する面内で傾斜させる主軸傾斜機構と、該主軸傾斜機構の駆動源とを設けたことを特徴とする丸ダイス式転造装置。
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