JP3595500B2 - 高周波プラズマ発生装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽電池や薄膜トランジスタ等に用いられるアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶シリコン、窒化シリコン等の半導体の製膜において、製膜速度分布を極めて安定して行うと共に、高速製膜が可能な高周波プラズマ発生装置及び方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来のアモルファスシリコン半導体薄膜(a−Si)プラズマ化学蒸着装置((PCVD)にて製造する場合について、でラダー電極を用いた高周波プラズマ発生装置の一例を図5に示す。
図5に示すように、反応容器01内に基板02を加熱する基板ヒータ03を設置し、電気的に接地する。上記基板ヒータ03と対向した位置には、基板ヒータ03から所定間隔を以てラダー型電極04が配置されている。該ラダー型電極04は、一般には複数の電極棒を並べたものであるが、該電極棒を直交させてなる網目状のものも含まれる。
上記ラダー型電極04は、反応容器01の外部に設けた高周波電源05とインピーダンス整合器06及び同軸ケーブル07を介して接続されている。
また、上記ラダー型電極04の周囲には、基板ヒータ03と対向する面と反対側に不要なプラズマが生成しないように、ラダー型電極04の基板側と異なる側を覆うアースシールドである製膜ユニット08が配設されている。
【0003】
上記a−Si製膜は以下のようにして行う。先ず、例えば200℃に設定した基板ヒータ上にa−Si薄膜を製膜する基板を挿入する。この挿入の際には、基板ヒータとラダー電極との間は、図6(A)に示すように、拡幅させている。
基板の挿入後、図6(B)に示すように、所定位置に配設させ、Siガスを反応容器内に導入(流速:50sccm)すると共に、真空ポンプにより、所定圧力に減圧(100mTorr)する。
その後、図7に示すように、高周波電源05より高周波電力を供給し、基板02と電極04との間のプラズマ発生領域Aにプラズマを発生させる。高周波電力が効率よくプラズマ発生部に供給されるように、インピーダンス整合器06を調整する。上記プラズマ発生領域Aのプラズマ中では、SiH4 が分解し、基板02の表面にa−Si膜が製膜される。
【0004】
上記装置において、図8に示すように、電極から供給された電力は、同軸ケーブル内部を通る間は、ケーブル芯線07aとケーブル外皮07bとの間で電圧がかかり、ほぼロスなく伝わっていくが、電極04に直接つながるB地点でケーブル外皮07bは切れてなくなり芯線07aのみとなるので、アースがなくなる。この結果、B地点以降の電圧は芯線07aと任意のアースとの間にかかることになる。
【0005】
従来においては、図9に示すように、外皮07bの剥き出し部分であるB地点の電位と基板02の表面であるC地点との電位は、経路Dを通して、ほぼ同電位のアースであるとされていた。
これは、経路Dは導電性の材質(SUS等)で製造されているので、電流的には、抵抗Rがほぼ零のためである。なお、任意の2点間に抵抗があれば、二点間に電位が生じる。
しかし、高周波のような電流では、インピーダンスZは、Z=R+iωLで表される(ここで、ω:角周波数(=2πf:f周波数)、L:リアクタンス)。
よって、電源周波数fを高くするにつれ、Zが大きくなる。すなわち、B地点とC地点との間に電位差が生じることになる。
【0006】
高周波プラズマを生成するためには、電極04、基板02間の電圧VP を高くする必要がある。
ここで、図10に示すように、B地点の芯線07aの電位をVとしたとき、電極04に直接つながるB地点、基板02の表面のC地点、製膜ユニット08のE地点の電位をVB ,VP ,VE とすると、以下のようになる。
ここで、Lはその内部の面積に比例するため、LP >LE となる。尚、I:電流、Z=R+iωLであるが、R≪iωLのため、Rは無視することにする。
すなわち、VB >VE >VP となり、基板、電極間の電圧VP が小さくなってしまう。
このように、B地点からC地点へのアースの経由する距離(D経路)が長くなればなるほど、基板と電極間のVP が小さくなる。
【0007】
この結果、高周波プラズマ発生においては、良好なプラズマが発生せず、製膜速度分布が不安定となるという問題がある。
よって、従来においては、例えば大面積(1.4m×1.1m)化した場合に、高周波の電源周波数(例えば60MHz)において、a−Si製膜するすると、製膜速度が5.1Å/sの場合、製膜速度分布が±63.9%と極めて悪いものであった。
【0008】
従来、プラズマを発生するための高周波電源の周波数として13.5MHzを使用していたが、現在、高速製膜化・高品質化を図るために、電源周波数を30〜800MHzに高周波数化する試みが行われているが、上述したように、プラズマは、高周波電力を導入する電極04と基板02を置いているアース電極との間に生じる電位差により生じる。
すなわち、アース電極の電位が安定してアース電位になっていることがプラズマ発生には重要であるが、周波数が高くなると直流的にはアースとみられる場所でも、上述したように、表皮抵抗の増加、また周波数の変化と共に変化するインダクタンス・リアクタンス成分により、交流的にはアースとみなせない場所が生じることが判明した。
【0009】
そのため、現状の技術ではアース電極自体がアース電位になっておらず、入力したパワーが本来消費されるべき放電空間で消費されにくい状態になっていた。
【0010】
本発明は、以上述べた事情に鑑み、高周波プラズマ発生において、製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能な高周波プラズマ発生装置及び方法を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する本発明の第1の発明は、基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置において、上記電極カバーと基板ヒータとを導電性の接続手段により、接続してなることを特徴とする。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源であることを特徴とする。
【0013】
第3の発明は、第1の発明において、上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であることを特徴とする。
【0014】
第4の発明は、基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置を用い、上記電極カバーと基板ヒータとを電気的に接続して膜厚速度分布が均一化するようにプラズマを発生することを特徴とする。
【0015】
第5の発明は、第4の発明において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源であることを特徴とする。
【0016】
第6の発明は、第4の発明において、上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であることを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0018】
図1は本実施の形態にかかる高周波プラズマ発生装置の概略図である。
本実施の形態にかかる高周波プラズマ発生装置10は、反応容器11内に設けられ、基板12を加熱するヒータ手段13と、該基板12に対向して設けられ、高周波電源15からインピーダンス整合器16及びケーブル17を介して接続してなるラダー電極14と、該ラダー電極14の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーである製膜ユニット18とからなる高周波プラズマ発生装置において、上記製膜ユニット18と基板ヒータ13とを導電性の接続手段20により電気的に接続してなるものである。
ここで、上記接続手段20による接続は、短い方が好ましい。これにより、成膜ユニット18に繋がっているケーブル17の外皮と基板ヒータ13との高周波的な導電性をとるようにすることができる。
【0019】
なお、本実施の形態においては、線材を使用した電極としてラダー電極を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばコイル型電極 等のものを用いるようにしてもよい。
また、上記ラダー電極とは複数の電極棒を並べたものや、電極棒を直交させてなる網目状電極等を用いることができる。
【0020】
図2〜4に、上記接続手段20の具体例を示す。
[第1の実施例]
図2の場合では、接続手段20AとしてSUS箔(例えばSUS製の薄い板)を用いた接続例を示す。
【0021】
[第2の実施例]
図3の場合では、接続手段20BとしてSUS製のメッシュ等の金属製弾力素材を用いた接続例を示す。
【0022】
[第3の実施例]
図4の場合では、接続手段20CとしてSUS製部品により、製膜ユニット18と基板ヒータ13とを一体化させた接続例を示す。
【0023】
本発明において、高周プラズマ発生とは、電源周波数を27〜800MHzの電源を用いることをいう。
【0024】
本実施例においては、いずれも導電性の接続手段20A〜20Cにより製膜ユニット18と基板ヒータ13とを電気的に接続するので、導電性の接続手段のF地点においても、電気的に接続を行うことにより、LP’がLP より大幅に小さくなり、VP の増大及び基板電位の安定化を図ることができた。
その結果、下記のような製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能となるという、大幅な改善を図ることができた。
【0025】
▲1▼a−Si製膜の場合
従来では、大面積(1.4m×1.1m)において、高周波の電源周波数(例えば60MHz)において、製膜速度分布が製膜速度5.1Åの場合、±63.9%と極めて悪いものが、本実施例にかかる装置を用いることで、同条件において、製膜速度分布が製膜速度11.6Åの場合、±19%と極めて安定化することができた。
▲2▼微結晶製膜の場合
従来では、面積(30cm×30cm)において、高周波の電源周波数(例えば60MHz)において、製膜速度分布が製膜速度2.32の場合、±13.9%と極めて悪いものが、本実施例にかかる装置を用いることで、同条件において、製膜速度分布が製膜速度7.45Åの場合、±6.1%と極めて安定化することができた。
【0026】
以上のように、本発明では、高周波プラズマにおいて高速製膜・エッチングを可能にするには、高密度プラズマを生成する必要があるが、電極・基板間に効率的に電力を供給する必要があるために、電極14と基板12及び周辺構造物を繋ぐアースの構造を適正化することにより、電源より発振した電力のうち電極・基板間に入力されるパワーの比率をあげることができ、またアース電位の安定化を図ることができるため、高速・大面積な製膜・エッチングか可能となる。
【0027】
本発明の装置は特に限定されるものではないが、例えば半導体(太陽電池や薄膜トランジスタなどに用いられるアモルファスシリコン、微結晶シリコン、多結晶薄膜シリコン、窒化シリコンなど)の製膜やエッチングに用いて好適である。
【0028】
また、放電を用いた各種の表面処理に用いても好適である。
【0029】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明の第1の発明によれば、基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置において、上記電極カバーと基板ヒータとを導電性の接続手段により接続してなるので、製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能となる。
【0030】
第2の発明によれば、第1の発明において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源とする場合に、より製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能となり、大面積化の製膜に適用することができる。
【0031】
第3の発明によれば、第1の発明において、上記上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であるので、製膜が良好となる。
【0032】
第4の発明によれば、基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置を用い、上記電極カバーと基板ヒータとを電気的に接続して膜厚速度分布が均一化するようにプラズマを発生するので、製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能となる。
【0033】
第5の発明によれば、第4の発明において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源とする場合に、より製膜速度分布が安定し、且つ高速製膜が可能となり、大面積化の製膜に適用することができる。
【0034】
第6の発明によれば、第4の発明において、上記上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であるので、製膜が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる高周波プラズマ発生装置の概略図である。
【図2】本発明にかかる第1実施例の高周波プラズマ発生装置の概略図である。
【図3】本発明にかかる第2実施例の高周波プラズマ発生装置の概略図である。
【図4】本発明にかかる第3実施例の高周波プラズマ発生装置の概略図である。
【図5】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【図6】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【図7】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【図8】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【図9】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【図10】従来のラダー型プラズマ発生装置の概略図である。
【符号の説明】
10 高周波プラズマ発生装置
11 反応容器
12 基板
13 ヒータ手段
14 ラダー電極
15 高周波電源
16 インピーダンス整合器
17 ケーブル
18 製膜ユニット
20,20A,20B,20C 導電性の接続手段
Claims (6)
- 基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置において、上記電極カバーと基板ヒータとを導電性の接続手段により、接続してなることを特徴とする高周波プラズマ発生装置。
- 請求項1において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源であることを特徴とする高周波プラズマ発生装置。
- 請求項1において、上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であることを特徴とする高周波プラズマ発生装置。
- 基板を加熱するヒータ手段と、該基板に対向して設けられ、高周波電源からケーブルを介して接続してなる線材を使用した電極と、該線材を使用した電極の基板側と異なる側を覆ってプラズマの広がりを防止する電極カバーとからなる高周波プラズマ発生装置を用い、上記電極カバーと基板ヒータとを電気的に接続して膜厚速度分布が均一化するようにプラズマを発生することを特徴とする高周波プラズマ発生方法。
- 請求項4において、電源周波数が30〜800MHzの高周波電源であることを特徴とする高周波プラズマ発生方法。
- 請求項4において、上記線材を使用した電極がラダー電極又はコイル型電極であることを特徴とする高周波プラズマ発生方法。
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