JP2002025919A - 容量結合型プラズマ装置および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

容量結合型プラズマ装置および電子デバイスの製造方法

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JP2002025919A
JP2002025919A JP2000211354A JP2000211354A JP2002025919A JP 2002025919 A JP2002025919 A JP 2002025919A JP 2000211354 A JP2000211354 A JP 2000211354A JP 2000211354 A JP2000211354 A JP 2000211354A JP 2002025919 A JP2002025919 A JP 2002025919A
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cathode electrode
dielectric
electrode
frequency
electric field
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JP2000211354A
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Haruyuki Morita
春雪 森田
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Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極への高周波給電を容易にし、電界分布の
不均一を緩和でき、プラズマ処理面積を拡大できる容量
結合型プラズマ装置および電子デバイスの製造方法を提
供する。 【解決手段】 チャンバ1内に対向配置されたアノード
電極2およびカソード電極4の間に高周波電力を印加し
て、プラズマを生成する容量結合型プラズマ装置におい
て、カソード電極4はチャンバ1から誘電体3によって
電気絶縁され、カソード電極4の長手寸法L(mm)、
誘電体3の比誘電率εr、高周波電力の周波数f(MH
z)、カソード電極4とチャンバ1(接地電位部)との
距離d(mm)が、L/2≧d≧0.0737×f×ε
rを満たす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極間に高周波電
力を印加してプラズマを生成する容量結合型プラズマ装
置およびこの装置を用いた電子デバイスの製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶ディスプレイや太陽電池など
の電子デバイスの基板面積が大型化しており、プラズマ
装置は広い面積で均一なプラズマを生成する必要があ
る。また、製膜速度の向上や堆積膜の高品質化を図るた
め、プラズマを励起する高周波電力の周波数を高くする
ことによって、高密度のプラズマを生成できる。
【0003】プラズマ励起周波数の高周波化は、電極面
積が大きくなると技術的に難しくなり、たとえば寸法40
0mm×500mmの基板を処理できるプラズマCVD(Chemica
l Vapour Deposition)装置において、27.12MHz
の励起周波数を用いた例が報告されている(文献:月刊L
CD Intelligence 1997.8 p.83)。
【0004】最近の容量結合型プラズマ装置は、カソー
ド電極全体を装置内部に設けずに、カソード電極が反応
チャンバ壁を兼ねて、カソード電極の裏面は大気側に露
出している構造、いわゆるエクスターナル型(外部露出
型)のものが一般に使用されている。この構造では、チ
ャンバ容積に対して比較的大面積の電極を配置できると
ともに、カソード電極の給電側がチャンバの外側になる
ため、カソード電極と接地電位部との距離を充分に確保
できることから、カソード電極の浮遊容量を低減できる
ため、カソード電極周辺のインピーダンスの低下を抑制
でき、励起周波数の高周波化を図ることができる。
【0005】関連する先行技術として、特開平9−31
2268号では、電極とチャンバとの間に意図的にコイ
ルを追加して、装置の共振周波数をプラズマ励起周波数
から遠ざけることで、より高周波の電力印加を可能にし
ている。
【0006】また、文献(U.S tephan and J.Kuske:Pro
c. 26th IEEE PhotovoltaicSpecialists Conf.,Anahei
m,1997)では、寸法600mm×1000mmの基板を処理できるP
ECVD(Plasma Enhanced CVD)装置において、平板電
極を分割し、それぞれを導波管とみなし、導波管の一方
の端に給電点を設けるとともに、他端を個々の導波管の
特性インピーダンスで終端したり、あるいは両端から同
位相・同振幅の高周波を給電することによって、高周波
化に伴って生ずる定在波等による電位分布の均一化を図
っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】プラズマ励起周波数を
高くして装置の共振周波数に近づくと、高周波電源から
みた入力インピーダンスが急激に変化して、電極への高
周波給電が困難になる。さらに、電極寸法が波長の長さ
に近づくと、電極内に定在波が生じて電位分布が発生す
るため、電極内での電位分布は不均一になる。その結
果、広い面積に渡って均一なプラズマを得ることが困難
になる。
【0008】従来の容量結合型プラズマ装置では、a)1
m角に近い電極面積を有し、プラズマ励起周波数は1
3.56MHzであるもの、b)プラズマ励起周波数は2
7.12MHzで、最大基板寸法が400mm×500mmのも
の、などに限られており、大型の基板面積の処理を必要
とする液晶ディスプレイや太陽電池などの電子デバイス
に適用可能な高い周波数を用いた大面積の処理可能な装
置はない。
【0009】本発明の目的は、プラズマ励起周波数の高
周波化において、電極への高周波給電を容易にし、電界
分布の不均一を緩和でき、プラズマ処理面積を拡大でき
る容量結合型プラズマ装置および電子デバイスの製造方
法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、チャンバ内に
対向配置されたアノード電極およびカソード電極の間に
高周波電力を印加して、プラズマを生成する容量結合型
プラズマ装置において、カソード電極は接地電位部から
誘電体によって電気絶縁され、カソード電極の長手寸法
L(mm)、誘電体の比誘電率εr、高周波電力の周波
数f(MHz)、カソード電極と接地電位部との距離d
(mm)が、 L/2 ≧ d ≧ 0.0737 × f × εr …(1) を満たすことを特徴とする容量結合型プラズマ装置であ
る。
【0011】本発明に従えば、上記関係式を満たすこと
ことによって、アノード電極とカソード電極の間の電界
分布を均一化できる。
【0012】図7は、電界分布の不均一性と高周波電力
の周波数fとの関係を示すグラフである。プラズマ励起
周波数を高くした場合、電界分布の不均一性に起因して
堆積膜厚の不均一が生ずる。この原因はカソード電極周
辺に存在する大きな浮遊容量と考えられる。そこで、カ
ソード電極と接地電位部との距離dと、カソード電極と
接地電位部との間に介在する誘電体の比誘電率εrとの
比d/εrを段階的に変化させて、高周波プローブを用
いてカソード電極面上の電位分布を測定した。電界分布
の不均一性は、±(最大電界強度−最小電界強度)/
(最大電界強度+最小電界強度)を算出した。
【0013】図7のグラフを見ると、周波数fが高くな
るにつれて電界分布の不均一性がほぼ比例的に増加する
傾向があり、さらにd/εrが大きくなるほど、電界分
布の不均一性が小さくなることが判る。カソード電極と
接地電位部との間の浮遊容量は、誘電体の比誘電率εr
に比例し、距離dに反比例するため、d/εrが大きく
なると浮遊容量は小さくなる。したがって、浮遊容量が
小さいほど、電界分布の不均一性を解消できることにな
る。
【0014】図8は、d/εrと許容周波数fとの相関
関係を示すグラフである。許容周波数fは、一般の電子
デバイスでの膜厚分布の許容変動が±5%であることを
参考にして、電界分布の不均一性が±5%となるときの
電力周波数fとして定義した。すると、d/εr=1,
3,6,9に対応して許容周波数f=28MHz,40
MHz,86MHz,132MHzの点が得られ、さら
に最小二乗法を用いて直線近似し、傾き0.0737の
直線で表される比例関係が得られた。
【0015】図8のグラフにおいて、近似直線の上側領
域1では、電力周波数fに対して浮遊容量が小さくな
り、電界分布の不均一性が減少するのに対して、近似直
線の下側領域2では、電力周波数fに対して浮遊容量が
大きくなり、電界分布の不均一性が増加する。したがっ
て、d/εr≧0.0737×fを満たすことによっ
て、電界分布の不均一性を低減できるため、広い面積に
渡って均一なプラズマを得ることができる。
【0016】カソード電極と接地電位部との距離dは大
きいほど、カソード電極周辺の浮遊容量を低減できる
が、現実的にはカソード電極の長手寸法Lに対して半分
以下であることが好ましい。距離dをL/2より長くす
ると、装置構成が大きくなり、現実的な装置を作製する
ことが困難になる。
【0017】従って、L/2≧d≧0.0737×f×
εrを満たすことによって、プラズマ励起周波数を高く
した場合でも、電界分布の不均一性を抑制でき、堆積膜
厚の均一化を図ることができる。
【0018】また本発明は、カソード電極は接着剤によ
って誘電体に固定され、誘電体は接着剤によって接地電
位部に固定されることを特徴とする。
【0019】本発明に従えば、カソード電極、誘電体お
よび接地電位部をそれぞれ接着剤で固定することによっ
て、カソード電極周辺の浮遊容量を増加させることな
く、充分に長い距離dを確保しつつ、カソード電極を確
実に設置できる。
【0020】また本発明は、カソード電極は、誘電体製
のボルトによって誘電体製の支持体を介して接地電位部
に固定されることを特徴とする。
【0021】本発明に従えば、カソード電極を誘電体製
のボルトによって誘電体製の支持体を介して接地電位部
に固定することによって、カソード電極周辺の浮遊容量
を増加させることなく、充分に長い距離dを確保しつ
つ、カソード電極を確実に設置できる。
【0022】また本発明は、高周波電力の波長λを用い
て、カソード電極の長手寸法Lは、 λ/8 ≦ L ≦ λ/2 を満たすことを特徴とする。
【0023】本発明に従えば、カソード電極の長手寸法
Lがλ/8〜λ/2の範囲であることによって、アノー
ド電極とカソード電極の間の電界分布を均一化できる。
【0024】図6は、電界分布の不均一性とL/λとの
関係を示すグラフである。カソード電極の長手寸法Lが
800mm角〜1200mm角の範囲で、長手寸法Lと
電力波長λとの比L/λを変化させて、高周波プローブ
を用いてカソード電極面上の電位分布を測定した。
【0025】図6のグラフを見ると、L/λが大きくな
ると、電界分布の不均一性が増加する傾向がある。従来
の装置構成では、カソード電極を導電性のボルトで固定
しているため、カソード電極周辺の浮遊容量が大きくな
り、L/λが約1/8になると、電界分布の不均一性が
±5%に達することが判る。一方、本発明に係る装置構
成では、カソード電極を誘電体製のボルトで固定してい
るため、カソード電極周辺の浮遊容量が小さく、L/λ
が約1/2になると、電界分布の不均一性が±5%に達
することが判る。さらに、L/λが約1/2を超える
と、チャンバ内に生じた定在波の影響によって電界分布
が不均一になると考えられる。
【0026】したがって、カソード電極の長手寸法L
は、λ/8〜λ/2の範囲であることが好ましく、これ
によって電界分布を均一化でき、引いては堆積膜厚の均
一化を図ることができる。
【0027】また本発明は、高周波電力の周波数fは、
30MHz〜190MHzの範囲内に設定されることを
特徴とする。
【0028】本発明に従えば、図6の結果において、最
小電極寸法は800mmであり、この2倍である160
0mmに対応した最高周波数fは約190MHzと算出
できる。一方、最大電極寸法は1200mmであり、こ
の8倍である9600mmに対応した最低周波数fは約
30MHzと算出できる。
【0029】したがって、高周波電力の周波数fは30
MHz〜190MHzの範囲であることが好ましく、こ
れによって電界分布を均一化できる。
【0030】また本発明は、上記いずれかの容量結合型
プラズマ装置を用いて、基板に対して薄膜形成またはエ
ッチング処理を行うことを特徴とする電子デバイスの製
造方法である。
【0031】本発明に従えば、電界分布の均一化によっ
て、プラズマ処理面積を拡大できるため、大型の基板面
積を有する液晶ディスプレイや太陽電池などの電子デバ
イスを容易に製造できる。
【0032】本発明に係るプラズマ装置は、電極周辺に
複雑な電気回路を設ける必要がないため、装置の小型化
が図られる。基板に薄膜を形成する場合は、高密度のプ
ラズマを広い面積で生成できるため、製膜速度の向上や
堆積膜の高品質化を図ることができる。また、エッチン
グ処理を行う場合は、高密度のプラズマを広い面積で生
成できるため、エッチング速度の向上やエッチングの高
品質化を図ることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の第1実施形態を
示す構成図である。この容量結合型プラズマ装置は、真
空処理空間を形成するチャンバ1と、半導体基板等の被
処理材Wが装着されるアノード電極2と、アノード電極
2に対向配置されたカソード電極4などで構成される。
【0034】カソード電極4の周囲には、電気絶縁性の
誘電体3が装着されており、誘電体3はボルト5によっ
てチャンバ1に着脱自在に取り付けられる。ボルト5
は、金属などの導電性材料で形成されている。カソード
電極4にはインピーダンス整合用のマッチングボックス
7を介して、高周波電力を供給する高周波電源8が接続
される。
【0035】カソード電極4の背面を覆うようにシール
ド6が設けられ、シールド6およびチャンバ1は接地さ
れる。アノード電極2も導電性の支持部材2aを介して
チャンバ1に固定され、接地電位に保持される。
【0036】ここで、カソード電極4の寸法が1200
mm角、カソード電極4とチャンバ1との水平距離Aが
25mm、カソード電極4の突出部とボルト5との水平
距離Bが25mm、カソード電極4の外周部とボルト5
の頭との垂直距離Cが25mm、カソード電極4の外周
部とチャンバ1との垂直距離Dが40mm、誘電体3の
比誘電率εrが約6である構成において、アノード電極
2とカソード電極4との間の電界強度分布を高周波プロ
ーブを用いて測定した。
【0037】図2は、本発明に係る電界強度分布の測定
結果を示すグラフである。縦軸は最大電界強度で規格化
した電界強度を示し、横軸は電極の水平位置を示す。カ
ソード電極4に周波数f=54.24MHzの高周波電
力を供給したところ、実線グラフで示すように、電極サ
イズ1200mmに渡ってほぼ均一な電界強度分布を示
し、電界分布の不均一性は±3.6%となった。この場
合、距離d=25mmとなり、L/2≧d≧0.073
7×f×εrという関係が成立する。
【0038】さらに、図1の容量結合型プラズマ装置に
おいて、A=B=C=D=40mmとし、f=54.2
4MHzの高周波電力を供給したところ電界分布の不均
一性は±3.4%となり、f=81.36MHzの高周
波電力を供給したところ電界分布の不均一性は±3.9
%となった。これらの場合、距離d=40mmとなり、
L/2≧d≧0.0737×f×εrという関係が成立
する。
【0039】図3は、比較例における電界強度分布の測
定結果を示すグラフである。比較例の装置構成は、図1
に示す容量結合型プラズマ装置においてカソード電極4
の突出部とボルト5との水平距離が15mm、カソード
電極4の外周部とボルト5の頭との垂直距離Cが15m
mで構成されている点が相違する。実線グラフは、電力
周波数f=27.12MHzの場合を示し、電極の中央
より周辺で高くなる電界分布を示し、電界分布の不均一
性は±2.9%となった。破線グラフは、電力周波数f
=54.24MHzの場合を示し、電極の周辺で著しく
低下する電界分布を示し、電界分布の不均一性は±9.
9%となった。
【0040】この場合、距離d=15mmとなり、f=
27.12ではL/2≧d≧0.0737×f×εrと
いう関係が成立するが、f=54.24ではL/2≧d
≧0.0737×f×εrという関係が成立しない。こ
のため、54.24MHzではカソード電極4の周辺で
の浮遊容量による電極周辺でのインピーダンスの低下が
生じ、電界強度分布の不均一性が現れたのである。
【0041】このように本発明において、L/2≧d≧
0.0737×f×εrを満たすことによって、電極周
辺での浮遊容量が減少し、電極周辺での電界強度低下を
抑制でき、54.24MHzや81.36MHzという
高周波化によるプラズマ生成を実現することができる。
【0042】なお、カソード電極4の形状は正方形のも
のを用いたが、長方形、円形、楕円形のものでも構わな
い。
【0043】図4は、本発明の第2実施形態を示す構成
図である。この容量結合型プラズマ装置は、真空処理空
間を形成するチャンバ1と、半導体基板等の被処理材W
が装着されるアノード電極2と、アノード電極2に対向
配置されたカソード電極4などで構成される。チャンバ
1、アノード電極2、カソード電極4はステンレス合金
などの導電性材料で形成される。
【0044】カソード電極4は凸状の形状を有し、その
周囲には電気絶縁性の誘電体31が配置される。誘電体
31はアルミニウム酸化物を主成分とする焼結体などて
形成され、比誘電率εrは約6である。
【0045】カソード電極4と誘電体31との間、およ
び誘電体31とチャンバ1との間は、InとSnとの合
金などから成る接着剤10によって溶着されている。し
たがって、図1の示した締結用のボルト5は使用してい
ない。
【0046】カソード電極4にはインピーダンス整合用
のマッチングボックス7を介して、高周波電力を供給す
る高周波電源8が接続される。
【0047】カソード電極4の背面を覆うようにシール
ド6が設けられ、シールド6およびチャンバ1は接地さ
れる。アノード電極2も導電性の支持部材2aを介して
チャンバ1に固定され、接地電位に保持される。
【0048】ここで、カソード電極4の寸法を1200
mm角とし、εr=6、f=54.24MHzを式
(1)に代入すると、距離d≧24mmが得られる。そ
こで、図2において、カソード電極4とチャンバ1との
水平距離Aを25mm、カソード電極4の外周部とチャ
ンバ1との垂直距離Dを25mmとして装置を組み立て
た。カソード電極4に周波数f=54.24MHzの高
周波電力を供給し、アノード電極2とカソード電極4と
の間の電界強度分布を高周波プローブを用いて測定した
ところ、電界分布の不均一性は±3.0%となった。
【0049】このように本発明においてカソード電極4
の固定構造として、カソード電極4と誘電体31との
間、および誘電体31とチャンバ1との間を接着剤10
で固定することによって、電極周辺での浮遊容量が減少
し、電界分布の不均一性が少なくなり、高周波化による
プラズマ生成を実現できる。
【0050】なお、カソード電極4の形状は正方形のも
のを用いたが、長方形、円形、楕円形のものでも構わな
い。
【0051】図5は、本発明の第3実施形態を示す構成
図である。この容量結合型プラズマ装置は、真空処理空
間を形成するチャンバ1と、半導体基板等の被処理材W
が装着されるアノード電極2と、アノード電極2に対向
配置されたカソード電極4などで構成される。チャンバ
1、アノード電極2、カソード電極4はステンレス合金
などの導電性材料で形成される。
【0052】カソード電極4は凸状の形状を有し、その
周囲には電気絶縁性の誘電体32が装着される。誘電体
32はアルミニウム酸化物を主成分とする焼結体などて
形成され、比誘電率εrは約6である。
【0053】カソード電極4および誘電体32はボルト
51によってチャンバ1に着脱自在に取り付けられる。
ボルト51は、誘電体3と同じ誘電体材料、または異な
る誘電体材料、たとえばフッ素樹脂などで形成されてい
る。カソード電極4にはインピーダンス整合用のマッチ
ングボックス7を介して、高周波電力を供給する高周波
電源8が接続される。
【0054】カソード電極4の背面を覆うようにシール
ド6が設けられ、シールド6およびチャンバ1は接地さ
れる。アノード電極2も導電性の支持部材2aを介して
チャンバ1に固定され、接地電位に保持される。
【0055】ここで、カソード電極4の寸法を1200
mm角とし、εr=6、f=54.24MHzを式
(1)に代入すると、距離d≧24mmが得られる。そ
こで、図5において、カソード電極4とチャンバ1との
水平距離Aを25mm、カソード電極4の外周部とチャ
ンバ1との垂直距離Dを25mmとして装置を組み立て
た。カソード電極4に周波数f=54.24MHzの高
周波電力を供給し、アノード電極2とカソード電極4と
の間の電界強度分布を高周波プローブを用いて測定した
ところ、電界分布の不均一性は±3.1%となった。
【0056】このように本発明においてカソード電極4
の固定構造として、チャンバ1との間に誘電体32を介
在させて、誘電体材料から成るボルト51で締結するこ
とによって、電極周辺での浮遊容量が減少し、電界分布
の不均一性が少なくなり、高周波化によるプラズマ生成
を実現できる。また、ボルト締結によってカソード電極
4の着脱が容易になり、メンテナンス性が向上する。
【0057】なお、カソード電極4の形状は正方形のも
のを用いたが、長方形、円形、楕円形のものでも構わな
い。
【0058】図9は、本発明に係る容量結合型プラズマ
装置を用いて製造可能な電子デバイスの一例を示す構成
図である。ここでは、薄膜太陽電池を例として説明す
る。
【0059】厚さ約1mmのガラスから成る基板101
の上に、スパッタリング法を用いてZnOから成る透明
電極102を膜厚約1μmに形成する。
【0060】次に図1に示した容量結合型プラズマ装置
を用いて、透明電極102の上にボロンをドーピングし
たp型の非晶質シリコン薄膜103を膜厚約300Åに
形成し、その上にノンドープのi型の非晶質シリコン薄
膜104を膜厚約3000Åに形成し、その上にリンを
ドーピングしたn型の非晶質シリコン薄膜105を膜厚
約300Åに形成する。
【0061】次にスパッタリング法を用いて、薄膜10
5の上にAgから成る裏面電極106を膜厚約3000
Åに形成する。裏面電極106は、電力を取り出すだけ
でなく、光電変換層となる薄膜103〜105を透過し
た光を反射して、発電効率を改善する役割も有する。
【0062】図1に示す容量結合型プラズマ装置におい
て、650mm×550mmのガラス基板を2枚同時に
セットできる試料ホルダをアノード電極2に装着して、
周波数f=54.24MHzの高周波電力を供給して、
非晶質シリコン薄膜103〜105を製膜した。
【0063】p型非晶質シリコン薄膜103の製膜条件
は、ガス流量:SiH4 50sccm, H 2 500sccm, B26
/H2(2%) 100sccm、基板温度:200℃、高周波電
力:0.07W/cm2、ガス圧力:133Pa とした。
【0064】i型非晶質シリコン薄膜104の製膜条件
は、ガス流量:SiH4 1100sccm,H2 1500sccm、基板
温度:200℃、高周波電力:0.2W/cm2、ガス圧力:40Pa
とした。
【0065】n型非晶質シリコン薄膜105の製膜条件
は、ガス流量:SiH4 100sccm,H2 1200sccm, PH3
/H2(2%) 100sccm、基板温度:200℃、高周波電
力:0.03W/cm2、ガス圧力:133Pa とした。
【0066】650mm×550mmのガラス基板で
は、50mm×50mmの太陽電池セルを9個×7個=
63個作製できる。
【0067】図10は、63個の太陽電池セルについて
光電変換効率の統計分布を示すグラフである。図11
は、図3の比較例における装置構成を用いて製造した6
3個の太陽電池セルについて光電変換効率の統計分布を
示すグラフである。横軸は63個の光電変換効率の平均
値で規格化した光電変換効率であり、縦軸は度数(個)
である。
【0068】図10のグラフを見ると、標準偏差の小さ
い分布を示しているのに対して、図11のグラフでは光
電変換効率のばらつきが大きいことが判る。したがっ
て、大型の基板面積を有する液晶ディスプレイや太陽電
池などの電子デバイスにおいて、均一な膜厚を容易に製
造できることが判明した。
【0069】なお、ここではプラズマCVD法を用いて
非晶質シリコン薄膜を形成して太陽電池を製造する例を
説明したが、その他にプラズマエッチング法を用いて薄
膜をエッチング処理を行う場合も、高密度のプラズマを
広い面積で生成できるため、エッチング速度の向上やエ
ッチングの高品質化を図ることができる。
【0070】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、プ
ラズマ励起周波数を高くした場合でも、アノード電極と
カソード電極の間の電界分布を均一化できるため、広い
面積に渡って均一なプラズマを得ることができる。
【0071】その結果、基板に薄膜を形成する場合、製
膜速度の向上や堆積膜の高品質化を図ることができる。
エッチング処理を行う場合は、エッチング速度の向上や
エッチングの高品質化を図ることができる。
【0072】また、電極周辺に複雑な電気回路を設ける
必要がないため、装置の小型化が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明に係る電界強度分布の測定結果を示すグ
ラフである。
【図3】比較例における電界強度分布の測定結果を示す
グラフである。
【図4】本発明の第2実施形態を示す構成図である。
【図5】本発明の第3実施形態を示す構成図である。
【図6】電界分布の不均一性とL/λとの関係を示すグ
ラフである。
【図7】電界分布の不均一性と高周波電力の周波数fと
の関係を示すグラフである。
【図8】d/εrと許容周波数fとの相関関係を示すグ
ラフである。
【図9】本発明に係る容量結合型プラズマ装置を用いて
製造可能な電子デバイスの一例を示す構成図である。
【図10】63個の太陽電池セルについて光電変換効率
の統計分布を示すグラフである。
【図11】図3の比較例における装置構成を用いたとき
の光電変換効率の統計分布を示すグラフである。
【符号の説明】
1 チャンバ 2 アノード電極 2a 支持部材 3,31,32 誘電体 4 カソード電極 5,51 ボルト 6 シールド 7 マッチングボックス 8 高周波電源 10 接着剤

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チャンバ内に対向配置されたアノード電
    極およびカソード電極の間に高周波電力を印加して、プ
    ラズマを生成する容量結合型プラズマ装置において、 カソード電極は接地電位部から誘電体によって電気絶縁
    され、 カソード電極の長手寸法L(mm)、誘電体の比誘電率
    εr、高周波電力の周波数f(MHz)、カソード電極
    と接地電位部との距離d(mm)が、 L/2 ≧ d ≧ 0.0737 × f × εr …(1) を満たすことを特徴とする容量結合型プラズマ装置。
  2. 【請求項2】 カソード電極は接着剤によって誘電体に
    固定され、誘電体は接着剤によって接地電位部に固定さ
    れることを特徴とする請求項1記載の容量結合型プラズ
    マ装置。
  3. 【請求項3】 カソード電極は、誘電体製のボルトによ
    って誘電体製の支持体を介して接地電位部に固定される
    ことを特徴とする請求項1記載の容量結合型プラズマ装
    置。
  4. 【請求項4】 高周波電力の波長λを用いて、カソード
    電極の長手寸法Lは、 λ/8 ≦ L ≦ λ/2 を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記
    載の容量結合型プラズマ装置。
  5. 【請求項5】 高周波電力の周波数fは、30MHz〜
    190MHzの範囲内に設定されることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の容量結合型プラズマ装
    置。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の容量結
    合型プラズマ装置を用いて、基板に対して薄膜形成また
    はエッチング処理を行うことを特徴とする電子デバイス
    の製造方法。
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