JP3595257B2 - 取鍋用集塵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は取鍋用集塵装置に関する。電気炉より出銑した溶銑の入った取鍋は、天井クレーンで吊上げられて搬送され、ノロ取り、注湯、湯戻しの各作業を行うが、本発明は、これらの各作業中に、取鍋から発生する粉塵を収集する集塵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の集塵機としては、特開平7−324880号公報、実開平3−24361号公報、実開平7−41338号公報に記載されたものがある。
これらの集塵機は、いずれも地上に設置されており、決められた場所でのみ取鍋から発生する粉塵を集塵するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、取鍋を天井クレーンで搬送している間は、集塵できず、また製鋼作業中(ノロ取り作業、注湯作業、湯戻し作業などの作業中)も直接集塵できないので、建屋内に粉塵が放散されていた。このため、作業環境が充分改善されないという問題があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑み、天井クレーンでの搬送中や製鋼作業中でも、取鍋から放散される粉塵を集塵できる集塵装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の取鍋用集塵装置は、天井クレーンのトロリーに設置されたロープ巻取装置によって吊下げられた取鍋吊上げ用の吊ビームと、該吊ビームに設置された集塵機と、前記吊ビームのフックに吊下げられた取鍋の上方空間を覆う形状の集塵カバーと、前記集塵機に接続され、前記集塵カバー内の粉塵を吸うように設けられたダクトとからなることを特徴とする。
請求項2の取鍋用集塵装置は、天井クレーンのトロリーに設置された第1のロープ巻取装置によって吊下げられた取鍋吊上げ用の第1吊ビームと、前記トロリーに設置された第2のロープ巻取装置によって吊下げられた集塵機用の第2吊ビームと、前記第1吊ビームのフックに吊下げられた取鍋の上方空間を覆う形状の集塵カバーと、前記第2ビームに設置された集塵機と、前記集塵機に接続され、前記集塵カバー内の粉塵を吸うように設けられたダクトとからなることを特徴とする。
請求項3の取鍋用集塵装置は、請求項1または3記載の発明において、前記集塵カバーが、取鍋吊下げ用の吊ビームに上端が取付けられ、下向きに伸縮自在な側面カバーと、該側面カバーの下端に連結されたロープを巻取るロープ巻取装置とからなることを特徴とする。
請求項4の取鍋用集塵装置は、請求項3記載の発明において、前記側面カバーが、蛇腹式カバーであることを特徴とする。
【0006】
請求項1の発明によれば、天井クレーンのトロリーから吊下げられた吊ビームにより運搬される取鍋から発生する粉塵は集塵カバーによって集められ、ダクトを経て吊ビーム上の集塵機に集められる。この間、取鍋が昇降しても集塵カバーは伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機やダクト等は吊ビームと共に移動するので、取鍋から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。また、集塵機は、吊ビームとともに昇降するので、その保守保全の際には、地上におろして、メンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
請求項2の発明によれば、天井クレーンのトロリーから吊下げられた吊ビームにより運搬される取鍋から発生する粉塵は集塵カバーによって集められ、ダクトを経て吊ビーム上の集塵機に集められる。この間、取鍋が昇降しても集塵カバーは伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機やダクト等は吊ビームと共に移動するので、取鍋から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。また、集塵機は、吊ビームとともに昇降するので、その保守保全の際には、地上におろして、メンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、集塵カバーの側面カバーが伸び縮みし、伸縮装置によって伸縮させうるので、取鍋の傾転動作に合わせて側面カバーの下端を上げ下げして、集塵効果を高めながら、取鍋の扱いの邪魔にならないようにすることができる。
請求項4の発明によれば、側面カバーが蛇腹構造により伸縮するので、取鍋の傾転動作に合わせて側面カバーの下端を上げ下げして、集塵効果を高めながら、取鍋の扱いの邪魔にならないようにすることができる。また、蛇腹構造は簡単なので、製作コストが安くつく。
【0007】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、第1実施形態の取鍋用集塵装置について説明する。
図1は第1実施形態の取鍋用集塵装置の側面図である。図2は図1のA−A 線矢視図である。図1および図2において、1は天井クレーンであり、建屋内において紙面に直交する方向に走行する公知のものである。2は天井クレーン1上で横行するトロリーである。このトロリー2上にはロープ巻取装置41が設置されている。このロープ巻取装置41のドラム41d から繰出された4本のロープ42の遊端は、取鍋10吊上げ用の吊ビーム40の四角にそれぞれ連結されている。このためロープ巻取装置41を巻上げ巻下げ駆動すると、吊ビーム40が水平に保たれて昇降させられる。
【0008】
前記吊ビーム40の下面には、フック40f の上端が揺動自在に取り付けられている。このフック40f には取鍋10が吊り下げられている。このため、取鍋10は、フック40f の上端を支点として傾転可能である。
【0009】
また、前記吊ビーム40には、取鍋10の上方空間を覆う形状の集塵カバー11が取付けられている。この集塵カバー11は、側面カバー13と側面カバー用ロープ巻取装置25とから構成されている。
側面カバー13は、上端が前記吊ビーム40の下面に固定されている。この側面カバー13は、蛇腹構造をしており、下向きに伸縮自在である。
側面カバー用ロープ巻取装置25は、吊ビーム40上に4台設置されており、いずれも同一構造で、モータと減速機とドラムとからなり、同期して4本のロープ26を巻取り巻戻すことができる。このロープ26の遊端は吊ビーム40を通して、側面カバー13の下端適所にそれぞれ連結されている。
このため、側面カバー用ロープ巻取装置25を駆動し、ロープ26を巻取り、あるいは繰り出すことで、側面カバー13の下端を上げ下げすることができる。
【0010】
よって、集塵カバー11によれば、集塵カバー11の側面カバー13が伸び縮みし、側面カバー用ロープ巻取装置25によって伸縮させうるので、取鍋10の傾転動作に合わせて側面カバー13の下端を上げ下げして、集塵効果を高めながら、取鍋10の扱いの邪魔にならないようにすることができる。
【0011】
また、前記吊ビーム40上には、4つの集塵機8が設置されている。この集塵機8は公知のもので、その吸引口には、4つの固定ダクト49の一端がそれぞれ接続されている。各固定ダクト49の他端は、吊ビーム40の開口40a にそれぞれ取り付けられている。このため、集塵機8によって集塵カバー11の側面カバー13内の粉塵を吸引除去することができる。
【0012】
つぎに、第1実施形態の取鍋用集塵装置1の作用と効果を説明する。
まず、取鍋10をフック40f に掛けるときは、集塵カバー11の側面カバー13を上昇させておけば、取鍋10をフック40f に掛けるときに側面カバー13が邪魔にならない。
【0013】
取鍋10をフック40f に掛けて、天井クレーン1およびトロリー2によって取鍋10を所望の位置まで移動させるときには、側面カバー13を伸ばしておけば、取鍋10の移動中も、取鍋10から発生する粉塵を側面カバー13によって集め、集塵機8によって集めることができる。
【0014】
また、取鍋10を傾転させて取鍋10内の溶銑を注湯するときは、取鍋10の傾きにあわせて、側面カバー13を伸縮させれば、側面カバー13が注湯作業の邪魔にならず、しかも、取鍋10から発生する粉塵を注湯作業中でも側面カバー13によって集めることができる。
【0015】
したがって、第1実施形態の取鍋用集塵装置によれば、天井クレーン1のトロリー2から吊下げられた吊ビーム40により運搬される取鍋10から発生する粉塵は集塵カバー11によって集められ、固定ダクト49を経て吊ビーム40上の集塵機8に集められる。この間、取鍋10が昇降しても集塵カバー11は伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機8や固定ダクト49等は吊ビーム40と共に移動するので、取鍋10から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。
【0016】
また、集塵機8は吊ビーム40とともに昇降するので、その保守保全の際には、地上におろして、メンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
【0017】
つぎに、第2実施形態の取鍋用集塵装置について説明する。
第2実施形態の取鍋用集塵装置は、第1実施形態の取鍋用集塵装置が取鍋10吊上げ用の吊ビーム40上に集塵機8を設けたのに対し、取鍋10吊上げ用の第1吊ビーム5に加えて第2吊りビーム30を設け、この第2吊りビーム30上に集塵機8を設置したことが特徴である。
【0018】
図3は第2実施形態の取鍋用集塵装置の側面図であり、図4は第2実施形態の取鍋用集塵装置の平面図であり、図5は図3のB−B 線矢視図である。図3〜図5に示すように、トロリー2上には第1のロープ巻取装置3が設置されている。この第1のロープ巻取装置3のドラム3dから繰出されたロープ4は、取鍋10吊上げ用の第1吊ビーム5に設けられたガイドシーブ6とトロリー2上のガイドシーブ7に巻き掛けられている。このため、第1のロープ巻取装置3を巻上げ巻下げ駆動すると、第1吊ビーム5が昇降させられる。
【0019】
この第1吊ビーム5には、第1実施形態の吊ビーム40と同様に、フック5fによって取鍋10が吊り下げられており、側面カバー13と側面カバー用ロープ巻取装置25とから構成された取鍋10の上方空間を覆う形状の集塵カバー11が取付けられている。
【0020】
また、トロリー2と第1吊ビーム5との間には、集塵機8用の第2吊ビーム30が設けられている。この第2吊ビーム30の四角には、トロリー2上に設けられた第2のロープ巻取装置31のドラム31d から繰出された4本のロープ32の遊端がそれぞれ連結されている。この第2のロープ巻取装置31は、前記第1のロープ巻取装置3と同期して、4本のロープ32を巻取ったり、繰り出したりするものである。このため、第2吊ビーム30は、第1吊ビーム5と一定の間隔に保ったまま、第1吊ビーム5と同時に昇降される。
【0021】
前記第2吊ビーム30上には、4つの集塵機8が設置されている。この集塵機8は公知のもので、その吸引口には、4つのダクト15の一端がそれぞれ接続されている。各ダクト15の他端は、第1吊ビーム5の開口5aにそれぞれ取り付けられている。このため、集塵機8によって集塵カバー11の側面カバー13内の粉塵を吸引除去することができる。
しかも、第1吊ビーム5と第2吊ビーム30は、両者の間を一定の間隔に保ったまま、両吊ビームが同時に昇降されるので、ダクト15と第1吊ビーム5の開口5aとの間に隙間ができることがない。
【0022】
上記のごとく、第2実施形態の取鍋用集塵装置によれば、天井クレーン1のトロリー2から吊下げられた第1吊ビーム5により運搬される取鍋10から発生する粉塵は集塵カバー11によって集められ、ダクト15を経て第2吊ビーム30上の集塵機8に集められる。この間、取鍋10が昇降しても集塵カバー11は伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機8やダクト15等は各吊ビーム5,30と共に移動するので、取鍋10から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。
【0023】
また、集塵機8は、各吊ビーム5、30とともに昇降するので、その保守保全の際には、地上においてメンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、天井クレーンのトロリーから吊下げられた吊ビームにより運搬される取鍋から発生する粉塵は集塵カバーによって集められ、ダクトを経て吊ビーム上の集塵機に集められる。この間、取鍋が昇降しても集塵カバーは伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機やダクト等は吊ビームと共に移動するので、取鍋から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。また、集塵機は、吊ビームとともに昇降するので、その保守保全の際には、地上におろして、メンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
請求項2の発明によれば、天井クレーンのトロリーから吊下げられた吊ビームにより運搬される取鍋から発生する粉塵は集塵カバーによって集められ、ダクトを経て吊ビーム上の集塵機に集められる。この間、取鍋が昇降しても集塵カバーは伸縮自在なので、粉塵が周囲に漏れることはない。そして、集塵機やダクト等は吊ビームと共に移動するので、取鍋から離れることはなく、よって、常時集塵して周辺に粉塵を拡散することを防止できる。また、集塵機は、吊ビームとともに昇降するので、その保守保全の際には、地上におろして、メンテナンス作業を地上で安全かつ容易に行うことができる。
請求項3の発明によれば、集塵カバーの側面カバーが伸び縮みし、伸縮装置によって伸縮させうるので、取鍋の傾転動作に合わせて側面カバーの下端を上げ下げして、集塵効果を高めながら、取鍋の扱いの邪魔にならないようにすることができる。
請求項4の発明によれば、側面カバーが蛇腹構造により伸縮するので、取鍋の傾転動作に合わせて側面カバーの下端を上げ下げして、集塵効果を高めながら、取鍋の扱いの邪魔にならないようにすることができる。また、蛇腹構造は簡単なので、製作コストが安くつく。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の取鍋用集塵装置の側面図である。
【図2】図1のA−A 線矢視図である。
【図3】第2実施形態の取鍋用集塵装置の側面図である。
【図4】第2実施形態の取鍋用集塵装置の平面図である。
【図5】図3のB−B 線矢視図である。
【符号の説明】
1 天井クレーン
2 トロリー
3 第1のロープ巻取装置
5 第1吊ビーム
5f フック
8 集塵機
10 取鍋
11 集塵カバー
13 側面カバー
15 ダクト
25 側面カバー用ロープ巻取装置
26 ロープ
30 第2吊ビーム
31 第2のロープ巻取装置
32 ロープ
40 吊ビーム
40f フック
41 ロープ巻取装置
42 ロープ
49 固定ダクト

Claims (4)

  1. 天井クレーンのトロリーに設置されたロープ巻取装置によって吊下げられた取鍋吊上げ用の吊ビームと、
    該吊ビームに設置された集塵機と、
    前記吊ビームのフックに吊下げられた取鍋の上方空間を覆う形状の集塵カバーと、
    前記集塵機に接続され、前記集塵カバー内の粉塵を吸うように設けられたダクトとからなる
    ことを特徴とする取鍋用集塵装置。
  2. 天井クレーンのトロリーに設置された第1のロープ巻取装置によって吊下げられた取鍋吊上げ用の第1吊ビームと、
    前記トロリーに設置された第2のロープ巻取装置によって吊下げられた集塵機用の第2吊ビームと、
    前記第1吊ビームのフックに吊下げられた取鍋の上方空間を覆う形状の集塵カバーと、
    前記第2ビームに設置された集塵機と、
    前記集塵機に接続され、前記集塵カバー内の粉塵を吸うように設けられたダクトとからなる
    ことを特徴とする取鍋用集塵装置。
  3. 前記集塵カバーが、取鍋吊下げ用の吊ビームに上端が取付けられ、下向きに伸縮自在な側面カバーと、該側面カバーの下端に連結されたロープを巻取るロープ巻取装置とからなる
    ことを特徴とする請求項1または2記載の取鍋用集塵装置。
  4. 前記側面カバーが、蛇腹式カバーである
    ことを特徴とする請求項3記載の取鍋用集塵装置。
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