JP3595240B2 - 親水性感圧接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着性のテープ、ラベル、シート或は両面接着テープ等の各種感圧接着剤加工品に使用される親水性感圧接着剤組成物に関し、更に詳しくは接着性、タック、耐水性、水剥離性にバランスよく優れたアクリル系親水性感圧接着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、テープ、ラベル、シート等に用いられる親水性感圧接着剤として、粘着力(タック)、接着力、凝集力等の物性を備えたアクリル系の親水性感圧接着剤が知られている。
【0003】
例えば、水やアルカリ水に容易に溶解、又は分散し、ラベルやテープを基材から剥離できる親水性感圧接着剤として、(1)特開昭59−45374号公報では、不飽和カルボン酸含有モノマーとアクリル酸エステル系モノマー及び前記のモノマーと共重合可能なモノマーを構成単位とする共重合体中のカルボキシル基をアルカリ性化合物で20%以上中和した共重合体塩に親水性可塑剤及び親水性エポキシ化合物を配合してなる水溶性粘着剤が、(2)特開昭54−76636号公報では、分子中にエーテル結合を有する1価アルコールの不飽和カルボン酸エステル、カルボキシル基を有する重合性単量体とからなる共重合体のアルカリ金属塩、アミン塩、アンモニウム塩の群から選ばれた親水性共重合体塩に、親水性可塑剤としてポリエーテルポリオール又は多価アルコールを配合してなる親水性感圧接着剤組成物が、更に、(3)特開平11−335647号公報では、(メタ)アクリル酸アルキルエステル40〜90重量%と、特定のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート0.5〜75重量%と、エチレン性不飽和カルボン酸0.5〜40重量%とを含有する混合物を重合して得られる共重合体又はその塩を含む水溶性粘着剤が、それぞれ提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年では、PETボトル、ガラス瓶、ダンボール等のリサイクルを省力化する目的で、水剥離性や水分散性のラベル、テープに使用される感圧性接着剤として、機械での高速貼付においても被着体に瞬時に貼り付くような高タックを有し、かつ、使用時には耐水性を持ち、回収時には水剥離性を持つような耐水性と水剥離性のバランスに優れた親水性感圧接着剤が望まれており、上記(1)及び(2)の開示技術等では、水溶性(水剥離性)はある程度得られるものの、必要なタックを付与するためには親水性可塑剤を添加することが必要であるため、耐水性不足や凝集力不足、基材への可塑剤の染み込みによる経時劣化等の問題が生じるものである。又、(3)の開示技術においても、耐水性と水剥離性のバランスについてはまだまだ満足するものではなく、上記開示技術を含めて更なる改良が望まれる。
【0005】
そこで、本発明ではこのような背景下において、接着性、タック、耐水性、水剥離性にバランスよく優れた親水性感圧接着剤を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)1〜10重量%及び上記モノマーと共重合可能なモノマー(C)0〜59重量%を共重合成分として含み、かつ、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が小さいほうの(メタ)アクリレート(A1)と大きいほうの(メタ)アクリレート(A2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤、又は、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が最も小さいほうの(メタ)アクリレート(a1)、最も大きいほうの(メタ)アクリレート(a3)、その間にある(メタ)アクリレート(a2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0007】
【化3】
Figure 0003595240
ここで、Rは水素又はアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基、m、nはそれぞれ0〜12の整数で、m、nは同時に0ではない。
【0008】
本発明では、上記アクリル系共重合体(I)の中和度が10%以上となるようにアルカリ性化合物で中和することが水剥離性の点で好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に述べる。
本発明に用いられる(メタ)アクリレート(A)としては、上記一般式(1)で示されるものであれば特に限定されず、具体的には(メタ)アクリル酸と下記一般式(2)で示されるアルコールとのエステル結合により構成される。
【0010】
【化4】
Figure 0003595240
ここで、Rは水素又はアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基、m、nはそれぞれ0〜12の整数で、m、nは同時に0ではない。
【0011】
上記一般式(2)で示されるアルコールとしては、上記構造をもつものであれば特に限定されないが、例えばエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ブチレングリコール、ブチレングリコールモノメチルエーテル、ブチレングリコールモノエチルエーテル、イソプロピレングリコール、イソプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロピレングリコールモノエチルエーテル等の他、これらの縮合物、例えばポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、ポリブチレングリコール、ポリブチレングリコールモノメチルエーテル、ポリブチレングリコールモノエチルエーテル、ポリイソプロピレングリコール、ポリイソプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリイソプロピレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。中でも、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等が好適に用いられる。
尚、ここで「ポリ」とは、縮合度が2以上の縮合物のことを意味し、一般式(2)において、m又はnが2以上の場合のことである。
【0012】
本発明では、(メタ)アクリレート(A)として、一般式(1)においてmとnの合計が異なる2種又は3種の(メタ)アクリレートを選択し含有することが必要である
(メタ)アクリレート(A)として、1種のみの使用ではタックと耐水性のバランスが不充分となり本発明の効果を発揮しない。
【0013】
更に本発明では、(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種の(メタ)アクリレートを用いる際に、mとnの合計が小さいほうを1〜3とし、mとnの合計が大きいほうを2〜12とすることがタックと耐水性のバランスの点で特に好ましい。
mとnの合計が小さいほうで3を越えると耐水性が不足することとなり、mとnの合計が大きいほうで12を越えると耐水性と接着力のバランスが不充分となり好ましくない。
【0014】
mとnの合計が小さいほうの(メタ)アクリレート(A1)と大きいほうの(メタ)アクリレート(A2)の含有割合については、(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜1(重量比)であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜0.6(重量比)、特に好ましくは1:0.05〜0.5(重量比)である。
【0015】
かかる含有割合が、(メタ)アクリレート(A1)に対して(メタ)アクリレート(A2)が0.02(重量比)未満ではタックが不足することとなり、(メタ)アクリレート(A2)が1(重量比)を越えると耐水性が不足することとなり好ましくない。
【0016】
又、(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを用いる際は、mとnの合計が最も小さいものを1〜3とし、最も大きいものを3〜12とすることが好ましい。
【0017】
mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを含む場合、mとnの合計が最も小さい(メタ)アクリレート(a1)、最も大きい(メタ)アクリレート(a3)、その間にある(メタ)アクリレート(a2)の含有割合については、(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜1:0.02〜1(重量比)であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜0.6:0.02〜0.6(重量比)である。
【0018】
本発明で用いられるカルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、モノアルキルマレイン酸、フマル酸、モノアルキルフマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタコン酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマーや、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリロイルオキシナフタレン−2−スルホン酸等のスルホン基含有モノマーが挙げられる。中でもアクリル酸、メタクリル酸が好適に用いられる。
【0019】
更に、上記(メタ)アクリレート(A)、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)と共重合可能なモノマー(C)としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でも、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、アクリル酸メチル、酢酸ビニルが好適に使用される。これらは1種又は2種以上併用して用いられる。
【0020】
本発明では、上記(メタ)アクリレート(A)、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)及び共重合可能なモノマー(C)を用いてアクリル系共重合体(I)が得られるが、各成分の含有割合は、(メタ)アクリレート(A)が40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)が1〜10重量%、共重合可能なモノマー(C)が0〜59重量%であり、好ましくは(メタ)アクリレート(A)が50〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)が1〜7重量%、共重合可能なモノマー(C)が0〜49重量%、特に好ましくは(メタ)アクリレート(A)が70〜98重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)が2〜5重量%、共重合可能なモノマー(C)が0〜28重量%である。
【0021】
(メタ)アクリレート(A)が上記の範囲よりも多いとカルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)の導入量が不足し、水剥離性不良や接着力不足となり、逆に少ないと樹脂中のエーテル結合数が不足し、水剥離性不良となる。
カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)が上記の範囲よりも多いとタック不足となり、逆に少ないと水剥離性不良となる。
共重合可能なモノマー(C)が上記の範囲よりも多いと(A)或いは(B)の配合量が少なくなる結果、水剥離性不良となる。
【0022】
アクリル系共重合体(I)は、上記の(メタ)アクリレート(A)、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)、共重合可能なモノマー(C)を有機溶剤中でラジカル共重合させる如き、当業者周知の方法によって容易に製造される。
【0023】
該重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられ、又、ラジカル重合に使用する重合触媒としては、通常のラジカル重合触媒であるアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が具体例として挙げられる。
【0024】
又、アクリル系共重合体(I)のガラス転移温度(Tg)は、−20℃以下であることが好ましく、より好ましく−35℃以下である。ガラス転移温度(Tg)が−20℃を越えると粘着力が低下して好ましくない。
【0025】
更に、アクリル系共重合体(I)はアルカリ性化合物で中和される。
かかるアルカリ性化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、第1級、第2級又は第3級アミン、例えばエチルアミン、エタノールアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチルプロパノール等が挙げられる。
【0026】
アクリル系共重合体(I)の中和において、中和度は10%以上であることが好ましく、特には30〜95%が好ましい。中和度が10%未満では水剥離性不良となり好ましくない。
又、上記カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)以外として、該モノマー(B)を共重合前に中和した(メタ)アクリル酸ナトリウムの如きカルボキシル基含有モノマーのアルカリ塩や2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムの如きスルホン基含有モノマーのアルカリ塩を用いる場合は、必ずしも共重合後にアルカリ性化合物で中和する必要はなく、必要に応じて中和すればよい。
【0027】
かくして本発明の親水性感圧接着剤が得られるが、更に硬化剤を配合することが凝集力を向上させる点で好ましい。
かかる硬化剤としては、エポキシ系化合物、アミン系化合物、金属塩、金属アルコキシド、金属キレート化合物、アンモニウム塩、ヒドラジン化合物、イソシアネート系化合物等が挙げられる。
【0028】
エポキシ系化合物としては、例えばビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジ又はトリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルm−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0029】
アミン系化合物としては、例えばヘキサメチレンジアミン、トリエチルジアミン、ポリエチレンイミン、ヘキサメチレンテトラミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジアミン、アミン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
【0030】
金属塩としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属の塩化物、臭化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等の塩、例えば塩化第二銅、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化第二スズ、塩化亜鉛、塩化ニッケル、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、酢酸銅、酢酸クロム等が挙げられる。
【0031】
金属アルコキシドとしては、例えばテトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等が挙げられる。
金属キレート化合物としては、例えばアルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル配位化合物等が挙げられる。
【0032】
アンモニウム塩としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、プロピオン酸アンモニウム等が挙げられる。
ヒドラジン化合物としては、ヒドラジン、ヒドラジンヒドラート、及びそれらの塩基塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機塩類、ギ酸、シュウ酸等の有機酸塩類が挙げられる。
【0033】
イソシアネート系化合物としては、例えばトリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートアダクト、トリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニルメタン)トリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物等が挙げられる。
【0034】
上記硬化剤の中でも2〜3個のグリシジル基を有するエポキシ系化合物、例えばトリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
【0035】
かかる硬化剤の配合量は、アクリル系共重合体(I)100重量部に対して、0.01〜1.0重量部であることが好ましく、より好ましくは0.01〜0.5重量部、特に好ましくは0.01〜0.2重量部である。かかる配合量が0.01重量部未満では凝集力が不足することとなり、1.0重量部を越えると接着力が不足することとなり好ましくない。
【0036】
又、本発明においては、更に粘着付与剤を配合することもポリオレフィンに対する接着力を向上させる点で好ましい。
かかる粘着付与剤としては、例えばロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン、不均化ロジン等のロジン、テルペン系樹脂、石油系樹脂等が挙げられ、中でも酸価が100以上のロジン系の粘着付与剤又はその中和塩の使用が効果的である。
【0037】
粘着付与剤の配合量は、アクリル系共重合体(I)100重量部に対して、2〜40重量部であることが好ましく、より好ましくは2〜30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。かかる配合量が2重量部未満ではポリオレフィンに対する接着力が不足し、40重量部を越えるとタックが不足し好ましくない。
【0038】
本発明の親水性感圧接着剤には、上記の配合物以外に着色剤、紫外線吸収剤・酸化防止剤等の安定剤、充填剤、可塑剤、接着改良剤等を混合することも可能である。
【0039】
かくして本発明の親水性感圧接着剤は、上記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)1〜10重量%及び上記モノマーと共重合可能なモノマー(C)0〜59重量%を共重合成分として含み、かつ、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が小さいほうの(メタ)アクリレート(A1)と大きいほうの(メタ)アクリレート(A2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤、又は、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が最も小さいほうの(メタ)アクリレート(a1)、最も大きいほうの(メタ)アクリレート(a3)、その間にある(メタ)アクリレート(a2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤であるため、接着性、タック、耐水性、水剥離性にバランスよく優れた効果を示すものであり、包装用粘着テープ、事務用粘着テープ、医療用粘着製品、電気絶縁テープ、マスキング用テープ又はシート、粘着ラベル(PETボトル、ガラス瓶等)、両面粘着テープ、特種粘着テープ等の各種感圧接着剤加工品に有用である。
【0040】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、実施例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を示す。
【0041】
一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)として下記の(メタ)アクリレートを用意した。
・エチレングリコールモノメチルエーテルのアクリレート(A−1)
(m=0、n=1)
(2−メトキシエチルアクリレート)
・トリエチレングリコールモノメチルエーテルのアクリレート(A−2)
(m=0、n=3)
(メトキシトリエチレングリコールアクリレート)
・ポリエチレングリコールモノメチルエーテルのアクリレート(A−3)
(m=0、n=9)
(メトキシポリエチレングリコールメタクリレート)
【0042】
実施例1
コンデンサー、撹拌機及び温度計付きのフラスコに、アクリレート(A−1)60部、アクリレート(A−2)37部、アクリル酸(B)3部、酢酸エチル70部、メタノール30部、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を仕込み、90℃に加温して重合させ、重合途中にトルエン5部にAIBN0.1重量部を溶解させた重合触媒液を逐次追加しながら7時間重合させた後、酢酸エチル、メタノール、トルエンを加えて濃度を調整し、アクリル系共重合体(I−1)溶液を得た(樹脂分30%、溶剤分70%(酢酸エチル/メタノール/トルエン=6/3/1重量比))。
【0043】
得られたアクリル系共重合体(I−1)溶液100部に対して水酸化カリウムム0.21部を10%の水溶液として添加混合し、中和度70%となるように中和し、アクリル系共重合体の中和物を得た後、更に該アクリル系共重合体の中和物100部に対して、硬化剤としてトリメチロールプロパントリグリシジルエーテルの5%酢酸エチル溶液を2部配合し、感圧接着剤を得た。
かかる感圧接着剤について、接着力、ボールタック性、耐水性、水剥離性の評価を以下の通り行った。
【0044】
(接着力)
得られた感圧接着剤をポリエチレンテレフタレートフィルム上に乾燥後の厚みが25μになるように塗布し、100℃で2分間乾燥させて粘着フィルムを作製した。
次に、被着体としてステンレス板(SUS304)を用意し、20℃、65%RHにて上記粘着フィルムを該被着体に接着させてJIS Z 0237の粘着力の測定法に準拠して180度剥離強度を測定した。
【0045】
(ボールタック性)
20℃、65%RHの各条件でJIS Z 0237の球転法のJ.Dow方式に準拠して上記粘着フィルムのボールタック性を測定した。
【0046】
(耐水性)
上記粘着フィルム(25mm×25mm)をポリエチレンテレフタレートシート(厚さ50μm)を直径が30mmの丸棒に巻き付けた曲面に貼付し、20℃の水に1日間浸漬した後の外観変化を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・粘着フィルムの浮きは見られなかった。
△・・・粘着フィルムの端部に3mm以下の浮きが見られた。
×・・・粘着フィルムの浮きが全体に見られた。
【0047】
(水剥離性)
上記粘着フィルム(25mm×25mm)をポリエチレンテレフタレートシート(厚さ50μm)を直径が30mmの丸棒に巻き付けた曲面に貼付した後、90℃の温水に浸漬し、剥離するまでの時間を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・10分以内
△・・・10〜30分未満
×・・・30分以上
【0048】
実施例2〜4及び比較例1〜8
実施例1において、表1に示す如き配合組成の感圧接着剤を実施例1に準じて作製し、実施例1と同様に評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表2に示す。
【0049】
Figure 0003595240
【0050】
注)略号は、以下の通りである。
AAc:アクリル酸
BA :ブチルアクリレート
MA :メチルアクリレート
【0051】
Figure 0003595240
【0052】
【発明の効果】
本発明の親水性感圧接着剤は、上記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)1〜10重量%及び上記モノマーと共重合可能なモノマー(C)0〜59重量%を共重合成分として含み、かつ、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が小さいほうの(メタ)アクリレート(A1)と大きいほうの(メタ)アクリレート(A2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤、又は、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が最も小さいほうの(メタ)アクリレート(a1)、最も大きいほうの(メタ)アクリレート(a3)、その間にある(メタ)アクリレート(a2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなる親水性感圧接着剤であるため、接着性、タック、耐水性、水剥離性にバランスよく優れた効果を示すものであり、包装用粘着テープ、事務用粘着テープ、医療用粘着製品、電気絶縁テープ、マスキング用テープ又はシート、粘着ラベル(PETボトル、ガラス瓶等)、両面粘着テープ、特種粘着テープ等の各種感圧接着剤加工品に有用である。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)1〜10重量%及び上記モノマーと共重合可能なモノマー(C)0〜59重量%を共重合成分として含み、かつ、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が小さいほうの(メタ)アクリレート(A1)と大きいほうの(メタ)アクリレート(A2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(A1):(メタ)アクリレート(A2)=1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなることを特徴とする親水性感圧接着剤。
    Figure 0003595240
    ここで、Rは水素又はアルキル基、Rは水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基、m、nはそれぞれ0〜12の整数で、m、nは同時に0ではない。
  2. (メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる2種を用いる際に、mとnの合計が小さいほうを1〜3とし、大きいほうを2〜12とすることを特徴とする請求項記載の親水性感圧接着剤。
  3. 下記一般式(1)で示される(メタ)アクリレート(A)40〜99重量%、カルボキシル基及び/又はスルホン基含有モノマー(B)1〜10重量%及び上記モノマーと共重合可能なモノマー(C)0〜59重量%を共重合成分として含み、かつ、該(メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種の(メタ)アクリレートを含み、mとnの合計が最も小さいほうの(メタ)アクリレート(a1)、最も大きいほうの(メタ)アクリレート(a3)、その間にある(メタ)アクリレート(a2)の含有割合が、(メタ)アクリレート(a1):(メタ)アクリレート(a2):(メタ)アクリレート(a3)=1:0.02〜1:0.02〜1(重量比)であるアクリル系共重合体(I)のアルカリ中和物からなることを特徴とする親水性感圧接着剤。
    Figure 0003595240
    ここで、R は水素又はアルキル基、R は水素又は炭素数1〜4のアルキル基、Xは炭素数2〜4のアルキレン基、m、nはそれぞれ0〜12の整数で、m、nは同時に0ではない。
  4. (メタ)アクリレート(A)として、mとnの合計が異なる3種を用いる際に、mとnの合計が最も小さいほうを1〜3とし、最も大きいほうを3〜12とすることを特徴とする請求項3記載の親水性感圧接着剤。
  5. 中和度が10%以上となるようにアルカリ性化合物で中和することを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の親水性感圧接着剤。
  6. 更に、硬化剤を配合することを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の親水性感圧接着剤。
  7. 硬化剤が2〜3個のグリシジル基を有するエポキシ系化合物であることを特徴とする請求項6記載の親水性感圧接着剤。
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