JP3595095B2 - アンテナ材料とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、携帯電話などの無線機器に好適に使用されるアンテナ材料とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無線機器、特に携帯電話は、高性能化、小型軽量化、低価格化などによって急速に普及している。
【0003】
これらの機器の使用周波数はギガヘルツ若しくはそれ以上の高い周波数域であって、電波の送受信用のアンテナは感度を高めるために本体から突出した状態で装着され、又このアンテナに用いるアンテナ材料は電気特性(導電率)、機械的特性が無線機器の製品品質に大きな影響を及ぼす。
【0004】
このようなアンテナ材料として、例えば特開平6−29712号は、従来のピアノ線に変えてNi−Ti系の超弾性線材の撚線を使用すること、特開平6−2060号は、Ni−Ti−Feの三元系の超弾性合金の線材を使用することを提案しているが、これらの提案はいずれも変形に対する機械的特性、即ち弾性回復性を高めることを意図し、超弾性合金の有する低弾性率性と、変形に対する高い回復性との両特性を利用しようとしている。
【0005】
なお超弾性とは、材料の応力誘起マルテンサイト変態に起因して起こる現象であって、荷重を付加して例えば5%以上のような大きい変形を与えても、これを除荷すると元の形状に戻る現象をいう。
【0006】
しかしながら、Ni−Ti合金線は製造工程における線引き加工性を高めるため熱処理時において生じる酸化スケールが利用されるが、酸洗によるスケールの除去は水素脆性の危険があり、又研磨は生産性に劣るなどこれを完全に除去するには相当の手間を伴うことから、通常用途では、スケールを残したまま使用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなNi−Ti合金線にあっては、以下の解決されるべき課題がある。
(1)Ni−Ti合金線であることから、温度に対する機械特性への影響が大きく、さらに変態現象を利用するものでもある為に寒暖の温度差によって特性が一定しないこと。
(2)応力誘起マルテンサイト相は電気抵抗が大きく受発信機能が低下すること。
(3)酸化スケールが付着した材料は、その表面に施す樹脂皮膜との間に樹脂の膨れ現象を起こし、また酸化スケールの電気抵抗は母材より大きいことから受発信感度を低下させること。
(4)Ni−Ti合金線は、自体の変形加工が困難であり、又例えばロウ付け、ハンダ接合などによる接合が難しいことから、他部材との接合が困難であること。
【0008】
このようにNi−Ti合金線はアンテナ材料としてやや不満足な点がある。
なおTi−Ni合金線以外の、例えば通常のステンレス鋼線、チタン合金線材を用いることも考えられるが、これらの金属線材では仮に加工硬化によって弾性を高めたものにあっても、形状回復性は低く、取扱い時に誤って曲げたときには永久変形を生じ、また一旦生じた変形を元の形状に回復させる矯正によって折損することもある。
【0009】
本発明は、機械的特性、接合容易性、電気的特性に優れるアンテナ材料及びその製造方法の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本願請求項1の発明は、複数本のステンレス鋼素線を撚り合わせた撚線からなるとともに、前記ステンレス鋼素線は、0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数の添加元素を添加するとともに、残部が前記Feと若干の不可避不純物である析出硬化型ステンレス鋼により形成され、かつ撚線の標点間距離40mmでの3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下にしたことを特徴とするアンテナ材料である。
【0011】
本願請求項6の発明は、0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数である添加元素を添加しかつ残部を前記Fe、不可避不純物とした析出硬化型ステンレス鋼により形成したステンレス鋼素線の複数本を撚り合わせして撚線を形成するとともに、該撚線に10〜100kg/mm の逆張力を付与しつつ、350〜700℃での析出硬化熱処理を施すことによって、該撚線の標点間距離を40mmとした3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下とすることを特徴とするアンテナ材料の製造方法である。
【0012】
本発明は、析出硬化型ステンレス鋼線の撚線を用いるとともに、その組成と、撚線構成とについて開発した結果、良好なアンテナ材料を得たのであり、3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下に設定している。これは本体から突出するアンテナにおいて、引掛け、落下などのトラブル時のアンテナの残留曲げ等のトラブルを減じるには、その残留たわみ量を3mm以下とするのがよいことを見出した。
【0013】
本明細書において「3点曲げ試験」とは、図2に示すように、標点間距離(L)を40mmとした2つの支持軸a、a間に掛け渡した被測定材料bの中間を下方向に10mm引下げたのち除荷するものであり、その時に残留したたわみ量を残留たわみ量(H)という。
【0014】
さらに残留たわみ量(H)を3mm以下とするべく、ステンレス鋼線の撚線を使用すること、ステンレス鋼線の中でも特に析出硬化可能な析出硬化型ステンレス鋼を使用するのが良いことを見出した。
【0015】
析出硬化とは、過飽和に固溶された元素がその後の時効(常温時効)によってその一部を、炭化物、窒化物、金属間化合物等の化合物として材料の結晶粒内や粒界に析出させることによって強度を高めることをいう。
【0016】
そのための、ステンレス鋼素線としては、0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含ませた基本組成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数である添加元素を添加した析出硬化型ステンレス鋼を用いる。なお「%」は全て重量%を意味する。
【0017】
さらに好ましくは、前記基本組成としては、0.01〜0.15%のCと、4〜9%Niと、15〜18%のCrとを含ませるとともに、添加元素として、0.5〜1.5%のAl、又は1.5〜3.5%のMo,0.05〜0.2%のNのいずれかを用いたセミオーステナイト系の析出硬化型ステンレス鋼である。
【0018】
このように、本発明のステンレス鋼線に用いる析出化型ステンレス鋼は、前記基本組成に少量の添加元素を含ませるものであって、基本組成として、前記のように、0.01〜0.15%のCを含むことによって、加工誘起マルテンサイト相又は熱処理によって生じたマルテンサイト相の強度を増す。0.01%よりも小のとき、マルテンサイトが生じず、強度が小さくなり、0.15%よりも大のとき、マルテンサイト量が大きくなり過ぎて脆化する。好ましくは0.06〜0.09%程度である。
【0019】
又3〜10%のNiを含ませることにより、オーステナイト相の安定性が高まる。なお3%よりも小のとき、室温でマルテンサイト相となり冷間加工性(伸線)が悪く、10%より大のとき、Ms点が低すぎるため、冷間伸線時の加工誘起マルテンサイト変態による強度の増加がなくなる。好ましくは4〜9%、さらには6.5〜8.5%程度である。
【0020】
又11〜18%のCrを有することにより、耐食性を与える。なお11%よりも小のとき、耐食性が不十分であり、18%よりも大のとき、耐食性は良いがコストアップであって、好ましくは15〜18%である。
又このようなC、Ni、Crは協働して、強度と耐食性を高める。
【0021】
基本組成には、1又は複数の添加元素を添加する。これによって前記化合物を析出させ、析出硬化性を高める。
【0022】
Alのとき0.5〜2.0%とするのは、0.5%よりも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る金属間化合物の析出量が得られず、2.0%よりも大きいと、Alの様な有害な非金属介在物が増加し、伸線加工性、耐食性を劣させるためである。又Moのとき0.1〜5%とするのは、0.1%よりも小さいと、十分な耐食性の改善効果が得られず、5%よりも大きいと、高価となるためである。Tiのとき0.6〜2%とするのは、0.6%よりも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る金属間化合物の析出量が得られず、2%よりも大きいと、TiOの様な有害な非金属介在物が増加し、伸線加工性、耐食性を劣させるためである。Nのとき0.05〜0.20%とするのは、0.05%よりも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る窒化物の析出量が得られず、0.20%よりも大きいと、オーステナイト相が安定となり過ぎて、加工誘起マルテンサイトによる強度アップが困難であるからである。さらに(Nb+Ta)のとき0.1〜0.8%とするのは、0.1%よりも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る金属間化合物の析出量が得られず、0.8%よりも大きいと、変形抵抗が増大し熱間加工性が著しく低下するからである。
【0023】
なお基本組成が0.01〜0.15%のCと、4〜9%Niと、15〜18%のCrと、Feとからなり、かつ添加元素は、0.5〜1.5%のAl、又は1.5〜3.5%のMo,0.05〜0.2%のNのいずれかとするとともに残部が前記Feと若干の不可避不純物であるセミオーテスナイト系の析出硬化型ステンレス鋼は、マルテンサイト系の析出硬化型ステンレス鋼に比べて成形が容易であり、しかも熱処理での硬化現象によってより優れた特性の材料を得ることができる。
【0024】
又0.03〜0.10%のCと、8〜9%のNiと、16〜18%のCrとを含み、かつ0.7〜1.5%のAlを含有させたものがアンテナ材料としてさらに優れているのが判明した。
【0025】
撚線の撚り構成についても種々実験を行った結果、撚りピッチを小、例えば該撚線の外径寸法Dの2〜10倍、好ましくは3〜8倍の撚りピッチで撚回したものが、弾性回復性に優れ、残留たわみ量を小さくしうることを見出した。
【0026】
さらにステンレス鋼素線の径は0.12〜0.6mm程度、好ましくは0.12〜0.45mm程度であって、この3〜20本、好ましくは5〜10本を撚り合わせる。又撚線の撚りはストランド撚り、ロープ撚りなどを用いうる。
【0027】
又ステンレス鋼素線には撚り線加工前に40%以上、好ましくは60%以上の冷間加工を行う。上限は実用上95%程度である。
【0028】
またアンテナ材料とするためには、撚線には10〜100kg/mm の逆張力、即ち巻取りによる巻付の向きとは反対の向きの張力を付加しつつ、350〜700℃、好ましくは350〜550℃の温度で析出硬化熱処理を行う。これにより真直性を高めつつ変形に対する残留たわみ量を小さくする。
【0029】
逆張力の範囲を10kg/mm 未満とすると、アンテナに必要な直線性と変形に対する抵抗性が十分とはならず、逆に100kg/mm を超える大きな張力では、材料自体の破断応力に近付き製造時の断線等のトラブル原因となる。撚線に対する適度の逆張力付加は、撚線の材料内部に、組織的に適度の変形歪を発生させるものであり、これを熱処理とともに安定させることが直線性を高め、かつ残留たわみ量を低く抑えることになるものと考えられる。なお逆張力のより好ましい範囲は30〜80kg/mm である。
【0030】
また、熱処理温度は、図3に例えばAlを1%添加した場合の時効熱処理温度に伴う引張り強さの変化を示している。この図から見られるように約450℃付近を中心として350〜550℃の間で最も高い値を示していることが分かる。又好ましくは400〜550℃である。ただし、図示していないが、熱処理時間が1分以下の場合は550〜700℃が好ましい。なお他の添加元素、例えばCu、Mo、Ti、Nbなどの場合は約470〜630℃とするのがよい。
【0031】
熱処理時間は、例えば5〜500sec程度で所定の特性が得られ、さらに撚線加工前に40%以上、好ましくは60%以上の冷間加工を施した前記ステンレス鋼線にあっては、材料の全体強度を向上しつつ直線性や変形に対する抵抗性を高めたアンテナ材料とすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のアンテナ材料を用いたアンテナの一例を示し、アンテナ1はステンレス鋼素線2の複数本を撚り合わせた撚線3の表面に樹脂材料の被覆層4を設けている。
【0033】
長さは、使用される機器の周波数に同調する長さであって、通常5〜20cm程度とし、又保形しうる程度の太さ(例えば0.5〜2mm程度)に形成される。
【0034】
ステンレス鋼素線2は、本実施例では、Feと、0.02〜0.09%Cと、1%以下のSi、2%以下のMn、6〜10%のNi、16〜20%のCrを基本組成として含み、さらに前記析出硬化のための添加元素として0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%のNbの少なくとも1種以上を添加されたものであって、若干の不可避不純物を含む。%の和の残部が前記Feである。
【0035】
添加元素は、通常、前記化合物として結晶粒界、又は結晶粒内に析出することによって材料の機械的特性の改良を図る。これは前記化合物が基地の中に微細な第2相として析出することにより強化促進されるものと思われる。
【0036】
このようなステンレス鋼素線2の特性は、析出硬化熱処理前の冷間加工の加工程度によっても大きく影響する。加工率を前記のように40%以上とするのがよく、より好ましくは60%以上、さらには80%以上とする。なお上限は実用上95%程度である。又ステンレス鋼素線の線径は前記のように、0.12〜0.6mm程度とする。好ましくは0.25〜0.45mm程度である。
【0037】
撚線3はこのようなステンレス鋼素線の複数本(例えば3〜20本)を例えば図4に示す撚線機12で撚り加工が施されるものである。アンテナの弾性回復特性を良好にするには、撚線3の撚りピッチは、その外径Dの2〜10倍、好ましくは3〜8倍、より好ましくは3〜5倍とするのがよく、撚線ピッチが10倍をこえて大きくなると繰り返し変形などに対する形状回復性が劣る。
【0038】
さらに逆張力付与装置14により逆張力を付与しつつ熱処理炉15で熱処理して巻取りドラム16で巻取る。
【0039】
また、アンテナ1は前記撚線3を、そのまま使用することができるが、表面保護と美観付与の為に、さらにその表面に例えば厚さ10〜80μm程度の樹脂材料を色付け被覆とする前記被覆層4を設けるとともに、その先端には保護キャップ10が嵌着される。
【0040】
被覆層4としては、例えばナイロン樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が用いられ、また被覆方法としては、例えばコーティングなどの従来の電線被覆法、熱収縮チューブを用いることができる。後者は密着性を高めることができ、撚線の表面の比較的大きな凹凸を効率よく密着させて被覆できる。
【0041】
アンテナ1は、携帯電話、携帯無線用などの無線機器用として使用でき、Ni−Ti合金などのように材料自体の変態現象を用いないことからして、使用の制約がなく、特性的にも安定したものとなる。
【0042】
【実験例】
表1に示す4種類(A、B、C、D)の組成のステンレス鋼線1.0mmを、ダイヤモンドダイスによる湿式タイプの冷間連続伸線機により0.35mmφにまで細線加工し、その7本を高速撚線機にセットして1+6/0.35のロープの撚り構成の撚線を得た。又比較例として表1のE、F、G、Hのものも併せて試作した。
【0043】
【表1】
Figure 0003595095
【0044】
撚線は、各々外径1.05mmのS撚りとした、撚りピッチは以下のイ)、ロ)の2種とした。
【0045】
イ)撚りピッチ 4.5mm(外径比 4倍)
ロ)撚りピッチ 10mm(外径比 9倍)
【0046】
こうして製造した撚線について、一旦その表面をアルコールにより洗浄して付着不純物を除去した後、約470℃に調整した熱処理炉に掛けて約15secの析出硬化熱処理を行った。なお、被熱処理に際して約50kg/mm の逆張力を付加し、析出硬化熱処理炉はその内部を無酸化性雰囲気とした管状炉(炉長3m)内を走行させる方式のものを用いた。得られた製品の特性を表2に示す。
【0047】
【表2】
Figure 0003595095
【0048】
繰り返し曲げ試験は、試料をバイスに挟みその挟持端部から約80mm隔たる位置で左右に20回繰り返し曲げしたときの残留たわみ量を定性的に比較したものである。結果的には3点曲げ試験の結果に相関している。
【0049】
なお、表中の◎を付したものは従来使用されているNi−Ti合金の特性に比べ遜色ないと思われるものであり、以下○△の順序で付記し×は不適を意味する。
【0050】
さらに、試料AとBについては表2には記載していないが、析出硬化熱処理を行っていないものと、熱処理時に逆張力を付加せずに処理したものについても試験したが、いずれも直線性が悪く、また手で曲げた時の残留たわみ量も比較的大きかったことから製品として好ましいものとは言えないものであった。
【0051】
またE、F、G、Hは強度、又は残留たわみ量において劣っているのがわかる。さらに他の比較例として細線ロープ用として使用されているSUS304硬質ステンレス鋼線0.35mmを前記実施例と同様にして、外径1.05mmの撚線に撚合わせ、さらに前記実施例とほぼ同様の温度で低温熱処理したが、この処理では単に材料の組織的な歪取り効果しか得られず、直線性は向上したものの、残留曲げにおいて満足できるものではなかった。
【0052】
【発明の効果】
析出硬化型ステンレス鋼線の撚線を用いることによって、従来のNiTi合金と遜色ない機械的特性を備えることができ、しなやかで変形回復性に優れ、また他の部材との接合も比較的容易となる。
【0053】
しかも撚線には酸化スケールなどの付着もないことから、導電性もよく、その表面に施す樹脂材料との密着も確実となるなどの利点がある。
【0054】
製造方法において、所定の逆張力を付加しつつ析出硬化熱処理を行うことによって、通常のステンレス鋼線では得られない機械的特性と直線度を有するアンテナ材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンテナ材料の平面断面図である。
【図2】3点曲げ試験方法を例示する概略図である。
【図3】析出硬化型ステンレス鋼の熱処理温度と特性との関連図の一例である。
【図4】装置の概略を示す線図である。
【符号の説明】
2 ステンレス鋼線
3 撚り線
4 被覆層

Claims (7)

  1. 複数本のステンレス鋼素線を撚り合わせた撚線からなるとともに、前記ステンレス鋼素線は、0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数の添加元素を添加するとともに、残部が前記Feと若干の不可避不純物である析出硬化型ステンレス鋼により形成され、かつ撚線の標点間距離40mmでの3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下にしたことを特徴とするアンテナ材料。
  2. 前記基本組成は0.01〜0.15%のCと、4〜9%Niと、15〜18%のCrと、Feとからなり、かつ添加元素は、0.5〜1.5%のAl、又は1.5〜3.5%のMo,0.05〜0.2%のNのいずれかとするとともに残部が前記Feと若干の不可避不純物であるセミオーステナイト系の析出硬化型ステンレス鋼により形成されたことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ材料。
  3. 前記ステンレス鋼素線は、析出硬化熱処理が施されるとともにこの析出硬化熱処理によって前記基本組成及び添加元素の内の1種以上の析出物が該素線の結晶粒界及び/又は結晶粒内に析出形成させることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ材料。
  4. 前記撚線は、該撚線外径Dの3〜8倍の撚りピッチで撚回加工してなる請求項1〜3のいずれかに記載のアンテナ材料。
  5. 前記撚線は、外面に、厚さ10〜80μmの合成樹脂の被覆層が設けられてなる請求項1〜4のいずれかに記載のアンテナ材料。
  6. 0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数である添加元素を添加しかつ残部を前記Fe、不可避不純物とした析出硬化型ステンレス鋼により形成したステンレス鋼素線の複数本を撚り合わせして撚線を形成するとともに、該撚線に10〜100kg/mm の逆張力を付与しつつ、350〜700℃での析出硬化熱処理を施すことによって、該撚線の標点間距離を40mmとした3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下とすることを特徴とするアンテナ材料の製造方法。
  7. 前記ステンレス鋼素線は、撚線加工前に加工率40%以上の冷間加工が施されることを特徴とする請求項6記載のアンテナ材料の製造方法。
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