JPH10219404A - アンテナ材料とその製造方法 - Google Patents

アンテナ材料とその製造方法

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JPH10219404A
JPH10219404A JP2168497A JP2168497A JPH10219404A JP H10219404 A JPH10219404 A JP H10219404A JP 2168497 A JP2168497 A JP 2168497A JP 2168497 A JP2168497 A JP 2168497A JP H10219404 A JPH10219404 A JP H10219404A
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wire
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正光 水木
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成夫 西田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 携帯電話などの無線機器に好適に使用される
アンテナ材料とその製造方法に関するものである。 【解決手段】 複数本のステンレス鋼素線を撚り合わせ
た撚線からなるとともに、前記ステンレス鋼素線は、
0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと11
〜18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜
2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のM
o、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、
0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は
複数の添加元素を添加するとともに、残部が前記Feと
若干の不可避不純物である析出硬化型ステンレス鋼によ
り形成され、かつ撚線の標点間距離40mmでの3点曲げ
試験における残留たわみ量を3mm以下にした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話などの無
線機器に好適に使用されるアンテナ材料とその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無線機器、特に携帯電話は、高性能化、
小型軽量化、低価格化などによって急速に普及してい
る。
【0003】これらの機器の使用周波数はギガヘルツ若
しくはそれ以上の高い周波数域であって、電波の送受信
用のアンテナは感度を高めるために本体から突出した状
態で装着され、又このアンテナに用いるアンテナ材料は
電気特性(導電率)、機械的特性が無線機器の製品品質
に大きな影響を及ぼす。
【0004】このようなアンテナ材料として、例えば特
開平6−29712号は、従来のピアノ線に変えてNi
−Ti系の超弾性線材の撚線を使用すること、特開平6
−2060号は、Ni−Ti−Feの三元系の超弾性合
金の線材を使用することを提案しているが、これらの提
案はいずれも変形に対する機械的特性、即ち弾性回復性
を高めることを意図し、超弾性合金の有する低弾性率性
と、変形に対する高い回復性との両特性を利用しようと
している。
【0005】なお超弾性とは、材料の応力誘起マルテン
サイト変態に起因して起こる現象であって、荷重を付加
して例えば5%以上のような大きい変形を与えても、こ
れを除荷すると元の形状に戻る現象をいう。
【0006】しかしながら、Ni−Ti合金線は製造工
程における線引き加工性を高めるため熱処理時において
生じる酸化スケールが利用されるが、酸洗によるスケー
ルの除去は水素脆性の危険があり、又研磨は生産性に劣
るなどこれを完全に除去するには相当の手間を伴うこと
から、通常用途では、スケールを残したまま使用されて
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなNi−Ti
合金線にあっては、以下の解決されるべき課題がある。 (1)Ni−Ti合金線であることから、温度に対する
機械特性への影響が大きく、さらに変態現象を利用する
ものでもある為に寒暖の温度差によって特性が一定しな
いこと。 (2)応力誘起マルテンサイト相は電気抵抗が大きく受
発信機能が低下すること。 (3)酸化スケールが付着した材料は、その表面に施す
樹脂皮膜との間に樹脂の膨れ現象を起こし、また酸化ス
ケールの電気抵抗は母材より大きいことから受発信感度
を低下させること。 (4)Ni−Ti合金線は、自体の変形加工が困難であ
り、又例えばロウ付け、ハンダ接合などによる接合が難
しいことから、他部材との接合が困難であること。
【0008】このようにNi−Ti合金線はアンテナ材
料としてやや不満足な点がある。なおTi−Ni合金線
以外の、例えば通常のステンレス鋼線、チタン合金線材
を用いることも考えられるが、これらの金属線材では仮
に加工硬化によって弾性を高めたものにあっても、形状
回復性は低く、取扱い時に誤って曲げたときには永久変
形を生じ、また一旦生じた変形を元の形状に回復させる
矯正によって折損することもある。
【0009】本発明は、機械的特性、接合容易性、電気
的特性に優れるアンテナ材料及びその製造方法の提供を
目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本願請求項1の発明は、
複数本のステンレス鋼素線を撚り合わせた撚線からなる
とともに、前記ステンレス鋼素線は、0.01〜0.1
5%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCr
と、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のA
l、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2
%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%
の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数の添加元素を
添加するとともに、残部が前記Feと若干の不可避不純
物である析出硬化型ステンレス鋼により形成され、かつ
撚線の標点間距離40mmでの3点曲げ試験における残留
たわみ量を3mm以下にしたことを特徴とするアンテナ材
料である。
【0011】本願請求項6の発明は、0.01〜0.1
5%のCと、3〜10%のNiと、11〜18%のCr
と、Feとを含む基本組成に、0.5〜2.0%のA
l、1〜5%のCu、0.1〜5%のMo、0.6〜2
%のTi、0.05〜0.2%のN、0.1〜0.8%
の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は複数である添加元
素を添加しかつ残部を前記Fe、不可避不純物とした析
出硬化型ステンレス鋼により形成したステンレス鋼素線
の複数本を撚り合わせして撚線を形成するとともに、該
撚線に10〜100kg/mm2 の逆張力を付与しつつ、3
50〜700℃での析出硬化熱処理を施すことによっ
て、該撚線の標点間距離を40mmとした3点曲げ試験に
おける残留たわみ量を3mm以下とすることを特徴とする
アンテナ材料の製造方法である。
【0012】本発明は、析出硬化型ステンレス鋼線の撚
線を用いるとともに、その組成と、撚線構成とについて
開発した結果、良好なアンテナ材料を得たのであり、3
点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以下に設定して
いる。これは本体から突出するアンテナにおいて、引掛
け、落下などのトラブル時のアンテナの残留曲げ等のト
ラブルを減じるには、その残留たわみ量を3mm以下とす
るのがよいことを見出した。
【0013】本明細書において「3点曲げ試験」とは、
図2に示すように、標点間距離(L)を40mmとした2
つの支持軸a、a間に掛け渡した被測定材料bの中間を
下方向に10mm引下げたのち除荷するものであり、その
時に残留したたわみ量を残留たわみ量(H)という。
【0014】さらに残留たわみ量(H)を3mm以下とす
るべく、ステンレス鋼線の撚線を使用すること、ステン
レス鋼線の中でも特に析出硬化可能な析出硬化型ステン
レス鋼を使用するのが良いことを見出した。
【0015】析出硬化とは、過飽和に固溶された元素が
その後の時効(常温時効)によってその一部を、炭化
物、窒化物、金属間化合物等の化合物として材料の結晶
粒内や粒界に析出させることによって強度を高めること
をいう。
【0016】そのための、ステンレス鋼素線としては、
0.01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、1
1〜18%のCrと、Feとを含ませた基本組成に、
0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5
%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%の
N、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ
又は複数である添加元素を添加した析出硬化型ステンレ
ス鋼を用いる。なお「%」は全て重量%を意味する。
【0017】さらに好ましくは、前記基本組成として
は、0.01〜0.15%のCと、4〜9%Niと、1
5〜18%のCrとを含ませるとともに、添加元素とし
て、0.5〜1.5%のAl、又は1.5〜3.5%の
Mo,0.05〜0.2%のNのいずれかを用いたセミ
オーステナイト系の析出硬化型ステンレス鋼である。
【0018】このように、本発明のステンレス鋼線に用
いる析出化型ステンレス鋼は、前記基本組成に少量の添
加元素を含ませるものであって、基本組成として、前記
のように、0.01〜0.15%のCを含むことによっ
て、加工誘起マルテンサイト相又は熱処理によって生じ
たマルテンサイト相の強度を増す。0.01%よりも小
のとき、マルテンサイトが生じず、強度が小さくなり、
0.15%よりも大のとき、マルテンサイト量が大きく
なり過ぎて脆化する。好ましくは0.06〜0.09%
程度である。
【0019】又3〜10%のNiを含ませることによ
り、オーステナイト相の安定性が高まる。なお3%より
も小のとき、室温でマルテンサイト相となり冷間加工性
(伸線)が悪く、10%より大のとき、Ms点が低すぎ
るため、冷間伸線時の加工誘起マルテンサイト変態によ
る強度の増加がなくなる。好ましくは4〜9%、さらに
は6.5〜8.5%程度である。
【0020】又11〜18%のCrを有することによ
り、耐食性を与える。なお11%よりも小のとき、耐食
性が不十分であり、18%よりも大のとき、耐食性は良
いがコストアップであって、好ましくは15〜18%で
ある。又このようなC、Ni、Crは協働して、強度と
耐食性を高める。
【0021】基本組成には、1又は複数の添加元素を添
加する。これによって前記化合物を析出させ、析出硬化
性を高める。
【0022】Alのとき0.5〜2.0%とするのは、
0.5%よりも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る
金属間化合物の析出量が得られず、2.0%よりも大き
いと、Al3 3 の様な有害な非金属介在物が増加し、
伸線加工性、耐食性を劣させるためである。又Moのと
き0.1〜5%とするのは、0.1%よりも小さいと、
十分な耐食性の改善効果が得られず、5%よりも大きい
と、高価となるためである。Tiのとき0.6〜2%と
するのは、0.6%よりも小さいと、十分な析出硬化を
得るに足る金属間化合物の析出量が得られず、2%より
も大きいと、TiO2 の様な有害な非金属介在物が増加
し、伸線加工性、耐食性を劣させるためである。Nのと
き0.05〜0.20%とするのは、0.05%よりも
小さいと、十分な析出硬化を得るに足る窒化物の析出量
が得られず、0.20%よりも大きいと、オーステナイ
ト相が安定となり過ぎて、加工誘起マルテンサイトによ
る強度アップが困難であるからである。さらに(Nb+
Ta)のとき0.1〜0.8%とするのは、0.1%よ
りも小さいと、十分な析出硬化を得るに足る金属間化合
物の析出量が得られず、0.8%よりも大きいと、変形
抵抗が増大し熱間加工性が著しく低下するからである。
【0023】なお基本組成が0.01〜0.15%のC
と、4〜9%Niと、15〜18%のCrと、Feとか
らなり、かつ添加元素は、0.5〜1.5%のAl、又
は1.5〜3.5%のMo,0.05〜0.2%のNの
いずれかとするとともに残部が前記Feと若干の不可避
不純物であるセミオーテスナイト系の析出硬化型ステン
レス鋼は、マルテンサイト系の析出硬化型ステンレス鋼
に比べて成形が容易であり、しかも熱処理での硬化現象
によってより優れた特性の材料を得ることができる。
【0024】又0.03〜0.10%のCと、8〜9%
のNiと、16〜18%のCrとを含み、かつ0.7〜
1.5%のAlを含有させたものがアンテナ材料として
さらに優れているのが判明した。
【0025】撚線の撚り構成についても種々実験を行っ
た結果、撚りピッチを小、例えば該撚線の外径寸法Dの
2〜10倍、好ましくは3〜8倍の撚りピッチで撚回し
たものが、弾性回復性に優れ、残留たわみ量を小さくし
うることを見出した。
【0026】さらにステンレス鋼素線の径は0.12〜
0.6mm程度、好ましくは0.12〜0.45mm程度で
あって、この3〜20本、好ましくは5〜10本を撚り
合わせる。又撚線の撚りはストランド撚り、ロープ撚り
などを用いうる。
【0027】又ステンレス鋼素線には撚り線加工前に4
0%以上、好ましくは60%以上の冷間加工を行う。上
限は実用上95%程度である。
【0028】またアンテナ材料とするためには、撚線に
は10〜100kg/mm2 の逆張力、即ち巻取りによる巻
付の向きとは反対の向きの張力を付加しつつ、350〜
700℃、好ましくは350〜550℃の温度で析出硬
化熱処理を行う。これにより真直性を高めつつ変形に対
する残留たわみ量を小さくする。
【0029】逆張力の範囲を10kg/mm2 未満とする
と、アンテナに必要な直線性と変形に対する抵抗性が十
分とはならず、逆に100kg/mm2 を超える大きな張力
では、材料自体の破断応力に近付き製造時の断線等のト
ラブル原因となる。撚線に対する適度の逆張力付加は、
撚線の材料内部に、組織的に適度の変形歪を発生させる
ものであり、これを熱処理とともに安定させることが直
線性を高め、かつ残留たわみ量を低く抑えることになる
ものと考えられる。なお逆張力のより好ましい範囲は3
0〜80kg/mm2 である。
【0030】また、熱処理温度は、図3に例えばAlを
1%添加した場合の時効熱処理温度に伴う引張り強さの
変化を示している。この図から見られるように約450
℃付近を中心として350〜550℃の間で最も高い値
を示していることが分かる。又好ましくは400〜55
0℃である。ただし、図示していないが、熱処理時間が
1分以下の場合は550〜700℃が好ましい。なお他
の添加元素、例えばCu、Mo、Ti、Nbなどの場合
は約470〜630℃とするのがよい。
【0031】熱処理時間は、例えば5〜500sec程
度で所定の特性が得られ、さらに撚線加工前に40%以
上、好ましくは60%以上の冷間加工を施した前記ステ
ンレス鋼線にあっては、材料の全体強度を向上しつつ直
線性や変形に対する抵抗性を高めたアンテナ材料とする
ことができる。
【0032】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のアンテナ材料を
用いたアンテナの一例を示し、アンテナ1はステンレス
鋼素線2の複数本を撚り合わせた撚線3の表面に樹脂材
料の被覆層4を設けている。
【0033】長さは、使用される機器の周波数に同調す
る長さであって、通常5〜20cm程度とし、又保形しう
る程度の太さ(例えば0.5〜2mm程度)に形成され
る。
【0034】ステンレス鋼素線2は、本実施例では、F
eと、0.02〜0.09%Cと、1%以下のSi、2
%以下のMn、6〜10%のNi、16〜20%のCr
を基本組成として含み、さらに前記析出硬化のための添
加元素として0.5〜2.0%のAl、1〜5%のC
u、0.1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.0
5〜0.2%のN、0.1〜0.8%のNbの少なくと
も1種以上を添加されたものであって、若干の不可避不
純物を含む。%の和の残部が前記Feである。
【0035】添加元素は、通常、前記化合物として結晶
粒界、又は結晶粒内に析出することによって材料の機械
的特性の改良を図る。これは前記化合物が基地の中に微
細な第2相として析出することにより強化促進されるも
のと思われる。
【0036】このようなステンレス鋼素線2の特性は、
析出硬化熱処理前の冷間加工の加工程度によっても大き
く影響する。加工率を前記のように40%以上とするの
がよく、より好ましくは60%以上、さらには80%以
上とする。なお上限は実用上95%程度である。又ステ
ンレス鋼素線の線径は前記のように、0.12〜0.6
mm程度とする。好ましくは0.25〜0.45mm程度で
ある。
【0037】撚線3はこのようなステンレス鋼素線の複
数本(例えば3〜20本)を例えば図4に示す撚線機1
2で撚り加工が施されるものである。アンテナの弾性回
復特性を良好にするには、撚線3の撚りピッチは、その
外径Dの2〜10倍、好ましくは3〜8倍、より好まし
くは3〜5倍とするのがよく、撚線ピッチが10倍をこ
えて大きくなると繰り返し変形などに対する形状回復性
が劣る。
【0038】さらに逆張力付与装置14により逆張力を
付与しつつ熱処理炉15で熱処理して巻取りドラム16
で巻取る。
【0039】また、アンテナ1は前記撚線3を、そのま
ま使用することができるが、表面保護と美観付与の為
に、さらにその表面に例えば厚さ10〜80μm程度の
樹脂材料を色付け被覆とする前記被覆層4を設けるとと
もに、その先端には保護キャップ10が嵌着される。
【0040】被覆層4としては、例えばナイロン樹脂、
ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が用いられ、また被覆
方法としては、例えばコーティングなどの従来の電線被
覆法、熱収縮チューブを用いることができる。後者は密
着性を高めることができ、撚線の表面の比較的大きな凹
凸を効率よく密着させて被覆できる。
【0041】アンテナ1は、携帯電話、携帯無線用など
の無線機器用として使用でき、Ni−Ti合金などのよ
うに材料自体の変態現象を用いないことからして、使用
の制約がなく、特性的にも安定したものとなる。
【0042】
【実験例】表1に示す4種類(A、B、C、D)の組成
のステンレス鋼線1.0mmを、ダイヤモンドダイスによ
る湿式タイプの冷間連続伸線機により0.35mmφにま
で細線加工し、その7本を高速撚線機にセットして1+
6/0.35のロープの撚り構成の撚線を得た。又比較
例として表1のE、F、G、Hのものも併せて試作し
た。
【0043】
【表1】
【0044】撚線は、各々外径1.05mmのS撚りとし
た、撚りピッチは以下のイ)、ロ)の2種とした。
【0045】 イ)撚りピッチ 4.5mm(外径比 4倍) ロ)撚りピッチ 10mm(外径比 9倍)
【0046】こうして製造した撚線について、一旦その
表面をアルコールにより洗浄して付着不純物を除去した
後、約470℃に調整した熱処理炉に掛けて約15se
cの析出硬化熱処理を行った。なお、被熱処理に際して
約50kg/mm2 の逆張力を付加し、析出硬化熱処理炉は
その内部を無酸化性雰囲気とした管状炉(炉長3m)内
を走行させる方式のものを用いた。得られた製品の特性
を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】繰り返し曲げ試験は、試料をバイスに挟み
その挟持端部から約80mm隔たる位置で左右に20回繰
り返し曲げしたときの残留たわみ量を定性的に比較した
ものである。結果的には3点曲げ試験の結果に相関して
いる。
【0049】なお、表中の◎を付したものは従来使用さ
れているNi−Ti合金の特性に比べ遜色ないと思われ
るものであり、以下○△の順序で付記し×は不適を意味
する。
【0050】さらに、試料AとBについては表2には記
載していないが、析出硬化熱処理を行っていないもの
と、熱処理時に逆張力を付加せずに処理したものについ
ても試験したが、いずれも直線性が悪く、また手で曲げ
た時の残留たわみ量も比較的大きかったことから製品と
して好ましいものとは言えないものであった。
【0051】またE、F、G、Hは強度、又は残留たわ
み量において劣っているのがわかる。さらに他の比較例
として細線ロープ用として使用されているSUS304
硬質ステンレス鋼線0.35mmを前記実施例と同様にし
て、外径1.05mmの撚線に撚合わせ、さらに前記実施
例とほぼ同様の温度で低温熱処理したが、この処理では
単に材料の組織的な歪取り効果しか得られず、直線性は
向上したものの、残留曲げにおいて満足できるものでは
なかった。
【0052】
【発明の効果】析出硬化型ステンレス鋼線の撚線を用い
ることによって、従来のNiTi合金と遜色ない機械的
特性を備えることができ、しなやかで変形回復性に優
れ、また他の部材との接合も比較的容易となる。
【0053】しかも撚線には酸化スケールなどの付着も
ないことから、導電性もよく、その表面に施す樹脂材料
との密着も確実となるなどの利点がある。
【0054】製造方法において、所定の逆張力を付加し
つつ析出硬化熱処理を行うことによって、通常のステン
レス鋼線では得られない機械的特性と直線度を有するア
ンテナ材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アンテナ材料の平面断面図である。
【図2】3点曲げ試験方法を例示する概略図である。
【図3】析出硬化型ステンレス鋼の熱処理温度と特性と
の関連図の一例である。
【図4】装置の概略を示す線図である。
【符号の説明】
2 ステンレス鋼線 3 撚り線 4 被覆層

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数本のステンレス鋼素線を撚り合わせた
    撚線からなるとともに、前記ステンレス鋼素線は、0.
    01〜0.15%のCと、3〜10%のNiと、11〜
    18%のCrと、Feとを含む基本組成に、0.5〜
    2.0%のAl、1〜5%のCu、0.1〜5%のM
    o、0.6〜2%のTi、0.05〜0.2%のN、
    0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれか1つ又は
    複数の添加元素を添加するとともに、残部が前記Feと
    若干の不可避不純物である析出硬化型ステンレス鋼によ
    り形成され、かつ撚線の標点間距離40mmでの3点曲げ
    試験における残留たわみ量を3mm以下にしたことを特徴
    とするアンテナ材料。
  2. 【請求項2】前記基本組成は0.01〜0.15%のC
    と、4〜9%Niと、15〜18%のCrと、Feとか
    らなり、かつ添加元素は、0.5〜1.5%のAl、又
    は1.5〜3.5%のMo,0.05〜0.2%のNの
    いずれかとするとともに残部が前記Feと若干の不可避
    不純物であるセミオーステナイト系の析出硬化型ステン
    レス鋼により形成されたことを特徴とする請求項1に記
    載のアンテナ材料。
  3. 【請求項3】前記ステンレス鋼素線は、析出硬化熱処理
    が施されるとともにこの析出硬化熱処理によって前記基
    本組成及び添加元素の内の1種以上の析出物が該素線の
    結晶粒界及び/又は結晶粒内に析出形成させることを特
    徴とする請求項1又は2に記載のアンテナ材料。
  4. 【請求項4】前記撚線は、該撚線外径Dの3〜8倍の撚
    りピッチで撚回加工してなる請求項1〜3のいずれかに
    記載のアンテナ材料。
  5. 【請求項5】前記撚線は、外面に、厚さ10〜80μm
    の合成樹脂の被覆層が設けられてなる請求項1〜4のい
    ずれかに記載のアンテナ材料。
  6. 【請求項6】0.01〜0.15%のCと、3〜10%
    のNiと、11〜18%のCrと、Feとを含む基本組
    成に、0.5〜2.0%のAl、1〜5%のCu、0.
    1〜5%のMo、0.6〜2%のTi、0.05〜0.
    2%のN、0.1〜0.8%の(Nb+Ta)のいずれ
    か1つ又は複数である添加元素を添加しかつ残部を前記
    Fe、不可避不純物とした析出硬化型ステンレス鋼によ
    り形成したステンレス鋼素線の複数本を撚り合わせして
    撚線を形成するとともに、該撚線に10〜100kg/mm
    2 の逆張力を付与しつつ、350〜700℃での析出硬
    化熱処理を施すことによって、該撚線の標点間距離を4
    0mmとした3点曲げ試験における残留たわみ量を3mm以
    下とすることを特徴とするアンテナ材料の製造方法。
  7. 【請求項7】前記ステンレス鋼素線は、撚線加工前に加
    工率40%以上の冷間加工が施されることを特徴とする
    請求項6記載のアンテナ材料の製造方法。
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