JPH11346831A - ブラシ軸用線材と該線材を用いてなる歯間ブラシ製品 - Google Patents

ブラシ軸用線材と該線材を用いてなる歯間ブラシ製品

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JPH11346831A
JPH11346831A JP10201068A JP20106898A JPH11346831A JP H11346831 A JPH11346831 A JP H11346831A JP 10201068 A JP10201068 A JP 10201068A JP 20106898 A JP20106898 A JP 20106898A JP H11346831 A JPH11346831 A JP H11346831A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】製造加工性に優れ、またスプリングバックや座
屈,折損などがなく耐久性操作性に優れた特に細さが要
求されるブラシ軸用の線材と歯間ブラシ製品を提供す
る。 【解決手段】重量で、C:0.01〜0.08%、S
i:0.50%以下、Mn:5.0〜7.0%,Ni:
9.0〜11.0%、Cr:19.0〜23.0%、M
o:1.0〜3.0%、N:0.35%以上を含むステ
ンレス鋼の線材であって、固溶化熱処理または該熱処理
に引続くスキンパス伸線加工により仕上げられ、かつ該
線材のJISG0551に基づくオーステナイト結晶粒
度を8以上とする細粒オーステナイト構造としたことを
特徴とするブラシ軸用線材と、この線材を用いた歯間ブ
ラシ製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【001】
【発明の属する技術分野】本発明は、操作性及び耐久性
を高め得る例えば洗浄用や清掃用などのブラシ製品の為
の軸用の線材と、該線材を用いてなる歯間ブラシ製品に
関する。
【002】
【従来の技術】従来から金属線材を撚り合わせ軸線とし
たブラシ製品は製造容易で安価であり、また使用時の操
作性等の点から好適し、各種化学備品類や金属製品など
の洗浄用,清掃用を中心としてさまざまな大きさのもの
が開発され使用されてきた。
【003】また近年では、健康維持の為の衛生用品とし
て、従来の歯磨きだけでは除去できないような狭い歯間
に付着した歯垢を除去する為の歯間ブラシ製品も開発さ
れ、飛躍的な普及を見ている。
【004】このようなブラシ製品は、例えば図1に示す
ように、2つに折り曲げた金属軸線A間に、ブラシ用の
合成繊維や化学繊維などの毛材Bを前記金属軸線Aと直
交する方向に配してはさみながら撚り加工し、この撚り
加工によって毛材Bをしっかりと挟持させる方法が採用
されている。
【005】そして、ここに用いられる軸線Aの為の線材
としては、このような撚り加工やあるいはブラッシング
時等での必要に応じて行う曲げ変形等の為に軟質仕上げ
状態であることが必要であるものの、これまでのブラシ
製品は比較的大きなもので、その軸線も例えば1mm以
上のように太い線材であったことから、例えばSUS3
04系ステンレス鋼軟質線などの一般線材でも問題なく
使用されてきた。
【006】一方、前記歯間ブラシ製品にあっては、狭い
歯間に挿入可能な大きさとする必要からそれに使用され
る線材は例えば0.3mm程度の金属細線となるもの
の、前記従来の一般線材をこのような細い状態で用いた
場合にあっては剛性が小さくなって、座屈や変形を誘発
しやすくブラッシング性能の低下となる。
【007】こうした問題を解決するものとして、例えば
特開平7−227315号公報では、Co30〜60重
量%含むCo合金線を用いた軸線が好適することを示
し、また特開平5−317123号公報では引張り強さ
の大きいワイヤーの採用により破断や座屈を防ぐ一方、
さらに低融点樹脂材料を被覆しさらに固化させることで
ラセン巻加工後のスプリングバック発生を防ぎ、合わせ
て毛材の脱落を防止することを開示している。
【008】
【発明が解決しようとする課題】このように、ブラシ用
の軸線はブラシ製品の品質や機能,操作性,寿命などの
製品特性に直接的な影響を及ぼすことから、軸線自体の
品質の優劣がブラシ製品の普及にまで及ぶとまで言われ
ており、例えば前記歯間ブラシ製品などでは、使用上の
制約からより細い軸線としながらも苛酷な使用に耐え得
る十分な強度と耐食性とを備え、さらに加工容易な特性
を持ったものの開発が急がれているものの、前記公報に
は未だ解決されるべき問題も残っている。
【009】すなわち、前記従来技術の中で前者公報が開
示する歯間ブラシは、その軸線として30〜60重量%
のCoを含むCo合金(例えばCo−Cr−Ni系合
金,Co−Cr−Mo系合金,Co−Cr−W−Ni系
合金などその他)の線材を使用することを基本としてい
るが、この合金はまた他の元素成分との関係もあって、
その軟質状態でも引張強さや弾性係数,剛性などの機械
的特性が大きい傾向があり、この為、ブラシ製造時には
スプリングバックや折損発生率が、また使用時において
も、ブラッシングなどでの繰り返し曲げ疲労に伴う折損
発生率が高くなって、製造歩留まりや寿命を低下させる
一因となっている。
【010】この点に関し本発明者らは、この線材に捻り
試験と繰返し曲げ試験とを行ない、その結果、この高C
o入りのステンレス鋼線では他の通常ステンレス鋼線
(例えばSUS304など)の場合に比べて、捻り特
性が低く、少ない捻り回数で折損しやすいこと、捻り
回数を変えた軸材にさらに繰返し曲げを付加して折損発
生するまでの曲げ回数を調べた結果、より多くの捻り回
数を与えた軸線では、その後に付加される繰返し曲げで
折損発生するまでの曲げ回数が急激に減少することが判
明し、この点から見てもCo入り材料の脆性は大きいこ
とが伺えた。
【011】したがって、このように耐捻り特性に劣り、
かつ弾性強度の大きく前記スプリングバックが起こりや
すい前記材料では、例えば撚り加工でのブラシ毛材の挟
持が不確実となってその脱落を起こしやすくなり、一
方、それを防止するために大きな撚り加工を与える場合
にはかえって折損を誘発するなど、撚り加工条件の調整
に困難をきたしている。
【012】しかも、このようなCo入り線材の伸線加工
性も前記脆性が大きいことに起因して極めて低く、線材
製造段階では頻繁に熱処理を行う必要があり、まして数
100μm程度の細線にまで細径化する工程での製造歩
留まりは、通常のステンレス鋼線などの場合と比べ1/
2〜1/3以下と大幅に低下していることから、製品コ
ストアップの一因にもなっている。
【013】一方、前記後者の公報が開示する歯間ブラシ
についても、ワイヤーは引張り強さ150Kg/mm2
以上というような硬質ステンレス鋼線を用いるものであ
って、このような硬質線ではブラシ製造時の困難性が予
想され、さらに例えば樹脂被覆工程や被覆樹脂の熔融固
化作業が新たに必要になる他、ワイヤー径自体が増加し
て歯間への挿入性に弊害をもたらすという欠点がある。
【014】このような軸線としてはさらにその他材料、
例えば通常のSUS304あるいは316系ステンレス
鋼軟質線材等の使用も想定されるが、このような線材の
軟質線では強度が不十分で腰が弱く、座屈しやすいとい
う問題もあることから、到底前記用途のような特殊ブラ
シ用としては適さないものである。
【015】本発明者らはこのような欠点を解決し、特に
より細い軸線を対象として製造容易で品質特性にすぐれ
た好適材料を見出すべく鋭意研究し本発明を完成するに
至った。
【016】
【課題を解決する為の手段】すなわち本発明の請求項1
の発明は、重量で、C:0.01〜0.08%、Si:
0.50%以下、Mn:5.0〜7.0%,Ni:9.
0〜11.0%、Cr:19.0〜23.0%、Mo:
1.0〜3.0%、N:0.35%以上を含むステンレ
ス鋼の線材であって、固溶化熱処理または熱処理に引続
くスキンパス伸線加工により仕上げられ、かつ該線材の
JISG0551に基づくオーステナイト結晶粒度を8
以上とする細粒オーステナイト組織としたことを特徴と
するブラシ軸用線材である。
【017】また請求項2の発明は、前記線材はNを0.
40〜0.50%を含み、かつ前記結晶粒度を10以上
としたブラシ軸用線材であり、請求項3の発明では、前
記線材は、絞り75%以上でかつ0.2%耐力を500
N/mm2以上の特性とし、線径0.1〜0.4mmに
仕上げてなるブラシ軸用線材としている。
【018】さらに請求項4の発明では、前記線材を軸線
としてその複数本を螺旋巻するとともに、該軸線間でブ
ラシ毛材を挟持して構成した歯間ブラシ製品である。
【019】このように請求項1の発明によれば、ステン
レス鋼の中でも特に高MnでかつMo−Nを含有し所定
組成に調整した前記ステンレス鋼では伸び特性や絞り特
性が大きくでき靭性を高めた特性を有することから、そ
の特性によって細線製造を安定化させるとともに、ブラ
シ製品として捻りや繰返し曲げにも順応性を高めること
ができる。
【020】そしてまたこの発明では、このような加工性
の良い材料特性を犠牲にすることなくさらに強度特性の
向上を図る為に、固溶化熱処理または熱処理後のスキン
パス伸線加工によって、その結晶粒度を8以上の微細な
オーステナイト組織にすることとしており、こうした特
性のバランスによって該線材自体が有する靭性と強度と
を合わせ持つものとし、加工性に優れ、腰が強く座屈を
防いで操作性の高いブラシ製品に好適するとの知見に基
づいている。
【021】なお、このように微細なオーステナイト結晶
構造の達成についても、本発明では固溶化熱処理または
その熱処理後のスキンパス伸線で行うこととしている
が、熱処理条件の選定は重要であって、例えば、高温度
で長時間の熱処理したステンレス鋼は熱の影響を十分に
受けて内部結晶を粗大化させ軟質化してくるものの、逆
に低温度または短時間での過少処理をした場合には、そ
の結晶粒があまり成長しないうちに終えることとなっ
て、強度や硬度を十分な軟質状態にさせることができな
いものとなる。
【022】本発明は、こうしたステンレス鋼の熱処理に
おける後者現象を、所定組成の材料に応用することを基
本としてブラシ軸用線材への応用を可能にするものであ
って、前記熱処理条件の選定については種々実験により
確立しておく必要がある。
【023】このようにブラシ軸用に好適した特性とする
為に、前記組成のステンレス鋼に少なくとも熱処理を施
し、結晶粒度の微細な組織とすることで達成可能として
いるが、例えば更に強度アップを図ろうとする場合に
は、必要に応じて前記熱処理に引続きスキンパス伸線加
工を行うこともできる。
【024】この場合のスキンパス伸線加工としては、線
材の表面層のみが実質的に影響を受ける程度以下の比較
的軽い、例えば加工率5%程度以下で行うのが好まし
く、逆に線材全体的にわたって加工マルテンサイト相を
発生させるような大きな加工率を加えることは線材自体
の靭性を低下させることとなって好ましくない。より好
ましい加工率は、3%以下とする。
【025】本発明では、前記線材組成に加え、さらにこ
のような手法によりJISG0551に基づくオーステ
ナイト結晶粒度を8以上とする細粒オーステナイト組織
を有することをその特徴としており、その結晶粒度の算
出はJISG0551『鋼のオーステナイト結晶粒度試
験方法』に基づき行うこととしている。
【026】すなわち同規格では、その粒度番号を−3〜
10までの計14ランクに規定され、その中で例えば粒
度番号8では断面積1mm2当たりの結晶数が2048
ケ、結晶粒の平均断面積は0.00049mm2に、ま
た粒度番号10では、断面積1mm2当たりの結晶数は
8192ケ、結晶粒の平均断面積が0.000122m
m2としており、粒度番号5以上の鋼を細粒鋼としてい
ることから、本発明で用いる線材はこの中に含まれるも
のである。
【027】そして、線材の結晶粒度を前記範囲に設定す
ることに関して説明すれば、一般的に金属材料ではその
機械的特性や化学的特性に影響する大きな因子としては
材料素材の成分調整があり、また、ステンレス鋼線材の
熱処理加工では前記したように、例え同一成分の材料で
あってもその処理条件によって製品特性に大きな影響を
与えることとなる。
【028】この観点から、靭性を高めた材料組成を用い
る本発明において、例えば歯間ブラシ用などのように線
径が細く、しかもそれ自体に所定の強度を持たせるため
には、その結晶粒度を細かくすることが不可欠であり、
結晶粒度を8未満のように粗大化させたものでは、横断
面における結晶数が少なくなりすぎて絞り値を低下させ
ることとなって、例えば繰返し疲労強度を低下させたり
製品寿命を短縮させる原因となることから8以上、より
好ましくは10以上としており、一方、その上限につい
ては、例えば断面積1mm2当たりの結晶粒の数が20
000ケ以下とするのが良い。
【029】このような構成及び作用から、線材を伸線加
工する場合には高い伸線性によって安定して細線化で
き、またブラシ製造時にも捻り性に優れスプリングバッ
クも小さく、しかも座屈や折損を防ぐ寿命の長いブラシ
製品とすることが可能となるが、ここで本発明に使用す
る前記ステンレス鋼における各成分範囲の限定理由を説
明する。
【030】{C}Cは侵入型の元素であり、その添加に
よって強度を高めることができるが、多量のCを添加し
た場合にはCrと結合して炭化物を生成させることとな
り、耐食性を劣化させることとなる。この為、少なくと
も0.01%の添加は必要であり、その上限を0.08
%、好ましくは0.05%、さらに好ましくは0.03
%とする。
【031】{Si}Siは鋼の溶製時の脱酸剤として使
用され、多量添加は加工性を劣化させることとなること
から、その上限を0.50%とした。
【032】{Mn}MnはNiとともにオーステナイト
生成元素であり、また靭性を高めることに有効なNをよ
り多く固溶させるのに有効であって、本発明のように、
0.35%以上の高Nを含む材料では少なくともその値
が5.0%未満では不十分であり、一方7.0%を越え
る程添加させたものでは熱間加工性を害することとな
り、より好ましくは5.0〜6.5%とする。
【033】{Ni}Niはオーステナイト生成元素であ
り、オーステナイト相の安定には欠くことができず、ま
た変形抵抗の低下や冷間加工性の向上にも寄与する成分
であることから、少なくとも9.0%の含有は必要であ
るものの、11.0%を越える程の添加は必要なく、好
ましくは9.5〜10.5%とする。
【034】{Cr}Crもまたステンレス鋼におけるN
の固溶量の増加、及び耐食性を高めることに寄与する元
素であるが、一方ではフェライト生成元素でもある。こ
の為、口腔内での使用に耐える耐食性とする為には少な
くとも19.0%の含有が必要であり、一方23.0%
を越える程添加した場合にはFe−Cr合金のシグマ相
が発生し脆化することが懸念される。この為、より好ま
しくは20.0〜22.5%とする。
【035】{Mo}Moも前記Crの場合と同様に、N
の固溶量の増加、耐食性の向上に有効であって、口腔内
での耐食性に対応する為には1.0%以上を必要とする
が、3.0%を越える添加は熱間加工性を阻害すること
となり、より好ましくは1.5〜2.5%とする。
【036】{N}Nは侵入型元素であって、その添加に
よってオーステナイト相を安定にして絞り特性を高める
とともに耐食性も向上させることに寄与するが、より有
効とする為には少なくとも0.35%が必要となる。し
かし通常の製造プロセスの中で窒化物を完全固溶させ、
加工性を阻害させない範囲としては0.4〜0.5%と
するのがよい。
【037】このように、本発明で用いるステンレス鋼
は、前記従来技術の中で示したようなCo元素を含まな
い組成としていることから、生体的にも安全性の高い材
料である。
【038】また、請求項2の発明では、このような材料
の中でさらにN含有量をより多く添加することによっ
て、前記結晶粒度の細粒化を促進して容易に10以上に
でき、それによってすぐれた靭性を有しながらも強度ア
ップを図るとともに、座屈や捻り特性の向上を図ってい
る。
【039】また請求項3及び4の発明では、絞り特性7
5%以上とし、0.2%耐力を500N/mm2以上の
強度とすることによって、特に座屈問題が問われる例え
ば歯間ブラシなどで使用されるような0.1〜0.4m
mの細線領域における特性向上を図っており、したがっ
て、この軸線の複数本を螺旋巻した場合にも、大きな絞
り特性を有することで強度の撚り加工に耐えることを可
能にするとともに、その間にブラシ毛材を挟持させた場
合にも、撚り加工によるスプリングバック発生が少な
く、確実な挟持を可能にすることができる。
【040】本発明の軸用線材は、このような特性以外に
さらに透磁率特性も非常に小さい特徴を有することか
ら、例えば処理ライン中の一工程などにおいて特に非磁
性を必要とするような例えば洗浄の為のブラシ用の軸材
として使用する場合にも有効であり、また可撓性を特に
持たせたブラシ製品とする場合には、その軸線として、
例えば多本数の前記線材同士を撚り合わせたり、あるい
は2重撚り3重撚りなどの多重撚線とて構成することも
できる。
【041】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の態
様として、歯間ブラシの場合を説明するが、これはその
一例にすぎず、例示されなかったものについてもその思
想が及ぶ範囲内にあるものはその対象として包含される
べきである。
【042】図1は前記した歯間ブラシ製品の構造を示す
全体構造であって、所定太さの線材(軸線)Aを密着に
折り曲げてその間に所定長さに切られた天然繊維や合成
繊維でなる毛材Bの複数本を配して順次撚り合わせ、か
つこの撚り合わせによって前記毛材Bを保持することで
形成しており、またその端元部はプラスチックなどでな
る把持体C内に埋め込みブラシ製品1としている。な
お、この把持体Cについては、本発明の必須要件ではな
く必ずしも必要とはしない。
【043】ここで、この軸線Aとしての適合性を評価す
る為に、表1に示す各種ステンレス鋼線を製造し、各々
の特性を比較することとした。
【044】
【表1】
【045】この中で、試料1〜5は本発明に相当する組
成でなる実施例であり、他方、試料6〜9は比較の為の
比較材であって、試料6ではCoを多量に含有させた前
記特開平7−227315号に基づくNAS604PH
(材質記号)材を用い、試料7はNiアレルギーの副作
用を防止する為にその一部をMnで置換させ省Ni型と
したAISI205材、また試料8は一般的なSUS3
04材,試料9は耐食性を高める為にMoを含有させた
SUS316Lである。
【046】これら材料は、各溶解ロッドから伸線と熱処
理加工とを繰り返し行うことで0.25mmの細線に仕
上げることとし、発明実施例材及び比較材は共に最終熱
処理仕上げとしているが、実施例材については、結晶粒
度と熱処理条件との関係を見る為に比較的軽度の熱処理
条件(950〜1050℃×1〜10Sec.)で行
い、また比較材については通常の熱処理条件(温度11
00〜1150℃)で行ったものである。
【047】こうした線材の伸線加工性及びその結果得ら
れたものの機械的特性と化学的特性,磁性特性を表2に
まとめて示す。また以下の各表中に記した符号、◎は
優,○は良,△は適,×は不適であることを示してい
る。
【048】
【表2】
【049】この中で、実施例とした試料1〜5の線材は
1mm以下の細線でも90%近くの加工率を加えても十
分に加工することができ、加工性が大きいことが確認さ
れたが、一方、Coを含む試料6や高Mnの試料7では
40%加工毎に熱処理を行わなければならず、特に試料
7の線材については0.8mm以下の細線にすることは
できなかった。
【050】また機械的性質の測定については、得られた
軟質線材を標点間距離100mmとし、引張り速度30
mm/分で引張った時の応力:歪み曲線から算出したも
のであつて、本実施例材と試料8(SUS304)の一
例を図2に示している。
【051】またその結晶粒度の測定は、前記JISG0
551による方法で求めたものである。前記表2及び図
2の結果から、本発明とした実施例材では結晶粒度が1
0以上(平均結晶粒の大きさ0.5×10−4〜1.5
×10−4mm2)と微細であり、しかも引張り強さ,
破断伸び,耐力ともにブラシ軸線としては好適する範囲
にあることが判明した。この線材横断面組織を200倍
に拡大した組織写真の一例を図4に示す。
【052】また、試料1の線材についてはさらに前記通
常条件での熱処理も併せて行ってみたが、その場合の特
性は、結晶粒度が6と大きくなって大きな破断伸び特性
は有するものの、破断強度が小さく、また耐力も430
N/mm2しか得られなかった。
【053】さらに耐食性についての結果として、図3に
『生理食塩水(0.9%NaCl,at37℃)中にお
ける全金属溶出量』の結果の一例を図示しているが、こ
の図から本発明に基づく実施例材の溶出量はSUS31
6L材までには及ばなかったものの、AISI205材
あるいはNAS604PH材の1/2〜1/4と優れて
いることが分かり、衛生的な問題は少ないものといえ
る。
【054】また表3には、対孔食性としてのアノード分
極曲線の結果を示しているが、この結果においても実施
例材の電流密度100μA/cm2の時の孔食電位は
1.150(V VS Ag/AgCl)と他の線材に
比べて優れ、強固な不動態皮膜が形成されていることが
確認できた。
【055】
【表3】
【056】《ブラシ製品製造時の比較》つぎに、このよ
うにしてなる軸線によりブラシ製品を製造する際の問題
について検討することとし、試料1(実施例材)及び試
料5(NAS604PH),8(SUS316L)の3
点について、捻回加工での加工性及びスプリングバッグ
発生程度と、座屈強度の4項目について評価し、その結
果を表4に示した。
【057】
【表4】
【058】これら評価方法として、捻り加工性について
は、スパン200mmにセットした各線材の一端に1.
8rpmでの捻り応力を加え、破断するまでの捻り回数
で求めたものであり、またスプリングバッグについて
は、2本の線材に一定量の捻りを与えた後一旦これを解
放しその時の戻り角度で求めており、また座屈強度につ
いては捻られた長さ2cmの軸線をU字状に曲げてい
き、その荷重の大小で見た。
【059】その結果、試料6(NAS604PH線材)
では平均96回、試料8(SUS304線材)では平均
169回の捻りで折損したのに対して、試料3(本実施
例線材)では141回と試料8には及ばなかったものの
高い捻回特性を有し、またスプリングバッグ及び座屈が
少ないことが判明した
【060】そこで、さらにこの試料3及び試料8の両線
材を対象として、実際の使用状態を想定した試験とし
て、撚り合わせ線に繰り返し曲げを行う複合試験で評価
し、この結果から寿命特性を比較することとした。
【061】試験は、線材2本を撚り回数50〜90回の
範囲内で撚り合わせた各撚線を用い、その一端を固定し
て他端側を180°に繰り返し曲げすることで折損した
時の曲げ回数で求めたが、この回数は曲げ角度90°を
1回分として数えたものである。
【062】その結果、試料8(比較材)の線材では、撚
り回数を増し密に螺旋撚りしたものでは平均70〜90
回で折損したのに対して、実施例の試料3の線材では1
20〜130回までの曲げに耐えることができ、また実
施例線材では撚り回数が変化しても曲げ回数の変動が小
さい特徴もあり、長寿命品となることが確認できた。
【063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のブラシ軸
用線材と歯間ブラシ製品は、結晶粒度を細粒化し成分調
整されてなるステンレス鋼とすることにより、線材の加
工性と強度特性とのバランスを図り、細さが要求される
ような例えば歯間ブラシ用としても加工性を高めるとと
もに、歯間のような狭い部分への挿通性や操作性、耐久
性、さらには耐食性をも向上したブラシ製品の提供に寄
与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】歯間ブラシ製品の形態を示す平面図。
【図2】軸線の引張試験における応力:歪み線図の一例
【図3】耐食性の結果を示す線図。
【図4】線材の横断面組織写真の一例。
【符号の説明】
A:軸線 B:毛材 C:把持部 1:ブ
ラシ製品

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量で、C:0.01〜0.08%、S
    i:0.50%以下、Mn:5.0〜7.0%,Ni:
    9.0〜11.0%、Cr:19.0〜23.0%、M
    o:1.0〜3.0%、N:0.35%以上を含むステ
    ンレス鋼の線材であって、固溶化熱処理または該熱処理
    に引続くスキンパス伸線加工により仕上げられ、かつ該
    線材のJISG0551に基づくオーステナイト結晶粒
    度を8以上とする細粒オーステナイト構造としたことを
    特徴とするブラシ軸用線材。
  2. 【請求項2】前記線材はNを0.40〜0.50%を含
    み、かつ前記結晶粒度を10以上とした請求項1に記載
    のブラシ軸用線材。
  3. 【請求項3】前記線材は、絞り75%以上で0.2%耐
    力を500N/mm2以上の特性とし、かつ線径0.1
    〜0.4mmに仕上げてなる請求項1または2に記載の
    ブラシ軸用線材。
  4. 【請求項4】前記請求項1〜3のいづれかに記載のブラ
    シ軸用線材の複数本を螺旋巻するとともに、該線材間で
    ブラシ毛材を挟持して構成してなる歯間ブラシ製品。
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