JP3458627B2 - 歯間ブラシ用ワイヤー及び歯間ブラシ - Google Patents

歯間ブラシ用ワイヤー及び歯間ブラシ

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JP3458627B2 JP31184796A JP31184796A JP3458627B2 JP 3458627 B2 JP3458627 B2 JP 3458627B2 JP 31184796 A JP31184796 A JP 31184796A JP 31184796 A JP31184796 A JP 31184796A JP 3458627 B2 JP3458627 B2 JP 3458627B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐久性に優れるとと
もに操作性に優れ、且つ歯間への挿通性にも優れた歯間
ブラシ用ワイヤー及び歯間ブラシに関する。
【0002】
【従来の技術】歯間ブラシはブラシとこのブラシを支持
するハンドルとより主として構成され、ブラシは1本の
ワイヤーを途中で折り返し、ワイヤー間に毛束を挟み込
んだうえこのワイヤーを捻じって製造している。ワイヤ
ーとしては一般に0.25mm〜0.35mmの直径を
有するステンレス鋼線、なかでもJIS規格のSUS3
04のステンレス鋼線が多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】歯間ブラシは歯間に挿
通したブラシを押し引きすることにより歯間に堆積した
歯垢や歯石を除去するものであるから、ブラシの軸芯を
構成するワイヤーは歯間に挿通可能な太さであって、且
つワイヤーには押し引き動作によっても座屈しない剛性
が要求される。また歯間ブラシはブラシ基部を折り曲げ
てブラシを歯間に位置づけることから、折り曲げ動作に
対しても破断しない耐久性も要求される。従来の歯間ブ
ラシは剛性が十分でないためワイヤーがS字状に曲がる
座屈現象が発生しやすく、またブラシ基部の折り曲げ操
作が繰り返されると使用途中で破断することもあり耐久
性がよくなかった。歯間部への通過性を向上させるため
には、細いワイヤーを用いることが要求されるが、ワイ
ヤー径を細くすると前記座屈現象や破断現象はより深刻
なものとなる。
【0004】本発明はこのような現況に鑑みてなされた
ものであり、座屈や破断がなく耐久性に優れるとともに
ブラシに腰があって操作性にも優れ、しかも歯間への挿
通性にも優れた歯間ブラシ用ワイヤー及び歯間ブラシを
提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するに際して、歯間ブラシのワイヤーに要求される条
件について検討を行い、歯間ブラシのワイヤーには次の
条件が必要となることを確認した。 人体にとって化学的に無害であること。 ワイヤーの捻じり戻り(以下、スプリングバックと称
す)が生じずラセン巻き加工が可能であること。 ワイヤーの屈曲動作が頻繁に繰り返されても容易に破
断しないこと。 ワイヤーの軸心方向に沿ったブラッシング動作に対し
て、ワイヤーが座屈しないこと。
【0006】これら条件をほぼ満足する歯間ブラシの提
案としては特開平5−317123号がある。この発明
は曲げ強度の大きいワイヤー、即ち引張弾性率の大きな
ワイヤーを用いて、ワイヤーの破断防止及び座屈防止効
果を高めるとともに、ワイヤーに低融点熱可塑性樹脂を
被覆したうえこの樹脂をラセン巻き加工後に溶融固化す
ることにより、スプリングバック現象を防止したもので
ある。この発明によればワイヤーのスプリングバックを
防止できるため従来どおりのラセン巻き加工を踏襲しな
がら、ワイヤーの破断強度や座屈強度を高めることが可
能となったものの、この発明手法ではワイヤーへの樹脂
被覆及び被覆樹脂の溶融固化作業が新たに必要となって
工数が増える問題があり、また被覆樹脂の存在によりワ
イヤー径が事実上増加して歯間への挿通性が低下すると
いう問題があった。また、特開平7−227315号公
報に記載のように、コバルト基合金製のワイヤーを用い
ることで、樹脂被覆という手段を用いないで、上記
の条件を満足する歯間ブラシも提案されている。し
かし、この発明では、ワイヤー自体の破断強度や座屈強
度を高めるため、高価なコバルトを30〜60重量%を
含有させる必要があるので、ワイヤーの素材コストが高
くなり、ひいては歯間ブラシの製作コストが高くなると
いう問題がある。
【0007】本発明は、歯間ブラシのワイヤーとして最
も適し、且つ安価な素材を用いることで、この課題を解
決せんとするものであり、基本的には、従来から用いて
いるSUS304系のステンレス鋼に窒素を添加すると
ともに、マンガンの比率を7〜8倍に増やすことで、歯
間ブラシ用のワイヤーとしての引張弾性率、耐力、破断
強度等の機械的強度を高めたものである。
【0008】請求項1記載の発明は、少なくとも、鉄、
クロム、マンガン、窒素を含むステンレス鋼線であり、
各成分の含有比率をクロム12〜32重量%、マンガン
10〜38重量%、窒素0.10重量%以上に設定し、
ラセン巻き加工前のワイヤーの引張特性が耐力40Kg
f/mm 2 以上、破断伸び30%以上の機械的性質を有
する歯間ブラシ用ワイヤーである。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1の構成を
前提として、これにモリブデン及びニッケルを添加した
歯間ブラシ用ワイヤーであり、各成分の含有比率をクロ
ム12〜32重量%、マンガン10〜38重量%、ニッ
ケル6重量%以下、モリブデン7重量%以下、窒素0.
10重量%以上に設定し、ラセン巻き加工前のワイヤー
の引張特性が耐力40Kgf/mm 2 以上、破断伸び3
0%以上の機械的性質を有する歯間ブラシ用ワイヤーで
ある。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1の構成を
前提として、直径が0.15〜0.35mmのワイヤー
であって、各成分の含有比率をクロム17〜19重量
%、マンガン17〜19重量%、窒素0.65重量%以
上に設定し、且つ金属組織をオーステナイト化し、ラセ
ン巻き加工前のワイヤーの引張特性が耐力40Kgf/
mm 2 以上、破断伸び30%以上の機械的性質を有する
歯間ブラシ用ワイヤーである。請求項4記載の発明は、
請求項2記載の構成を前提として、直径が0.15〜
0.35mmのワイヤーであって、各成分の含有比率を
クロム17〜19重量%、マンガン17〜19重量%、
ニッケル1.0重量%未満、モリブデン1.5〜2.5
重量%、窒素0.65重量%以上に設定し、且つ金属組
織をオーステナイト化し、ラセン巻き加工前のワイヤー
の引張特性が耐力40Kgf/mm 2 以上、破断伸び3
0%以上の機械的性質を有する歯間ブラシ用ワイヤーで
ある。
【0011】請求項5記載の発明は請求項1〜4記載の
組成並びに機械的特性を前提とし、ラセン巻き加工前の
ワイヤーの引張特性が引張弾性率12000Kgf/m
2以上の機械的性質を有する歯間ブラシ用ワイヤーで
ある。また、請求項6記載の発明は、請求項1〜4記載
の組成並びに機械的特性を前提とし、ラセン巻き加工前
のワイヤーの引張特性が耐力60Kgf/mm 2 以上、
破断伸び40%以上、引張弾性率12000Kgf/m
2 以上の機械的性質を有する歯間ブラシ用ワイヤーで
ある。そして請求項7記載の発明は前記請求項1〜6
載の歯間ブラシ用ワイヤーを用い、これをラセン巻き加
工して毛束をワイヤー間に挟持固定し、ワイヤーをブラ
シの芯材となした歯間ブラシである。
【0012】
【作用】本発明に係る歯間ブラシ用ワイヤー及び歯間ブ
ラシは、ワイヤー素材である合金に、鉄、クロム、マン
ガン、窒素を含むステンレス鋼線であって、材料中のマ
ンガンの比率を高くし、且つ窒素を添加したものを用い
たことにより、ワイヤーの引張弾性率、耐力、破断強度
等の機械的強度が高くなり、歯間ブラシ用ワイヤーとし
て要求される剛性、バネ性、加工性の全てがバランス良
く高くなる。また、歯間ブラシの芯材としての特性を十
分に確保しつつ、ワイヤーの直径を細くすることが可能
となる。また、その組成中にモリブデンを添加したもの
では、歯間ブラシ用ワイヤーの耐蝕性が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の詳細を実施例に基
づき説明する。図1は本発明の対象となる歯間ブラシの
一例である。歯間ブラシは図1(a)に示すようにブラ
シ1を短軸状のハンドル2に埋設固定した使い捨てタイ
プのものや、図1(b)に示すようにブラシ1を短軸基
台3に埋設固定したものを長軸ホルダー4に脱着自在に
装着するタイプ、あるいは図示しないが長軸ホルダー4
の先端部を屈曲させたもの、更にブラシとハンドルが別
々に構成され、ハンドルにブラシを装着することにより
使用するもの等があり、全ての歯間ブラシが本願発明の
対象となる。歯間ブラシでは、歯間対象部位に位置づけ
るために図2(a)に示すようにブラシ1の基部を支点
とした屈曲動作を繰り返したり、図2(b)に示すよう
にワイヤー1aの軸線に沿って押し引きするブラッシン
グ動作を繰り返すが、本発明はこのような動作に対して
ワイヤー1aが破断したり座屈したりすることをなくす
ことが目的である。
【0014】図3はブラシの製造手順の概略を示してい
る。その手順は1本のワイヤー1aを途中部で折り曲
げ、次いで折り曲げたワイヤー1a間に毛束1bを挟み
込んだうえワイヤー1aを捻じって、最後にカットによ
り周囲を整えて完成させる。この手順は従来技術及び本
願においても共通であり、本発明においてはこのような
ラセン巻き加工が可能であり且つラセン巻き加工後はス
プリングバックすることなくその形状を維持しうる加工
性、即ち適度な塑性変形性を与えることも目的である。
【0015】ブラシ1は、歯間への挿通性を高める観点
からは細くすることが重要であり、本発明ではワイヤー
1本あたりの太さを0.15〜0.35mmの範囲に設定
しており、従来一般的に用いられている0.25〜0.
35mmよりも細いワイヤーの使用が可能となってい
る。現状より狭い隙間を清掃する為には、ワイヤーの太
さを0.15〜0.25mmの範囲に設定することが好
ましい。更に、ブラシの曲がりにくさと挿通性のバラン
スを考慮し、ブラシの曲がりにくさを重視する場合に
は、ワイヤーの太さを0.20〜0.25mmの範囲に
設定することが好ましい。
【0016】このような細線ワイヤーを用いた場合で
も、ワイヤーが破断したり座屈したりすることがなく、
且つラセン巻き加工を可能にするため、ワイヤーとし
て、その化学成分として少なくとも、鉄、クロム、マン
ガン、窒素を含むステンレス鋼線であり、マンガンの含
有量が2.50重量%以上であるとともに窒素の含有量
が0.10重量%以上である合金を用いる。
【0017】より好ましい合金組成は、クロム12〜3
2重量%、マンガン10〜38重量%、窒素0.10重
量%以上である。更に具体的には、クロム17〜19重
量%、マンガン17〜19重量%、窒素0.65重量%
より多く含有させるとともに、金属組織をオーステナイ
ト化した合金等が利用できる。
【0018】また、これら組成の合金にモリブデン及び
ニッケルを添加した合金を用いることもできる。モリブ
デンの添加は耐蝕性の向上に寄与する。モリブデン及び
ニッケルを添加する場合の合金組成としては、少なくと
も、鉄、クロム、マンガン、モリブデン、ニッケル、窒
素を含むステンレス鋼線であり、マンガンの含有量が
2.50重量%以上であるとともに窒素の含有量が0.
10重量%以上である。より好ましい合金としては、前
記組成を前提としてクロム12〜32重量%、マンガン
10〜38重量%、ニッケル6重量%以下、モリブデン
7重量%以下、窒素を0.10重量%以上含有させた合
金が挙げられる。更に具体的には、クロム17〜19重
量%、マンガン17〜19重量%、ニッケル1.0重量
%未満、モリブデン1.5〜2.5重量%、窒素を0.
65重量%より多く含有させるとともに、金属組織をオ
ーステナイト化した合金が挙げられる。耐力は、0.2
%という非常に小さい永久歪を生じるときの応力を表
し、ワイヤーを変形させようとする外力に抗して形状を
維持する強さに関係している。破断伸びは、破断する迄
にどれだけ素材が伸びたかを表し、塑性変形性に関係し
ている。引張弾性率は、歪みにくさを表し、変形しにく
さや剛性に関係している。本発明者の研究によれば歯間
ブラシ用ワイヤーとしては耐力と破断伸びは共に大きい
ほど良い。耐力が大きくても破断伸びが小さければ、変
形力に抗して現形状を維持する変形防止能力は高いもの
の、塑性変形性に劣るためラセン巻き加工が困難とな
る。また引張弾性率は使用時にワイヤーが座屈しない大
きさが必要である。ワイヤー素材の引張特性を耐力40
kgf/mm2 以上、破断伸び30%以上としたこと
で、ワイヤーは歯間ブラシ用ワイヤーとして要求される
バネ性、加工性を満足することができる。更に引張弾性
率12000kgf/mm2 以上という条件を付加する
ことにより適度な剛性が得られる。また、より好ましく
は耐力60kgf/mm2 以上、破断伸び40%以上、
引張弾性率15000kgf/mm2 以上とすることに
より、歯間ブラシ用ワイヤーとして要求される剛性、バ
ネ性、加工性の全てをバランスよく満足することができ
る。
【0019】ここで本発明の歯間ブラシ用ワイヤーの組
成上の特徴を明確化するために、従来技術として説明し
た特開平7−227315号公報において使用されたコ
バルト基合金であるNAS604PH並びに、歯間ブラ
シ用ワイヤーとして従来公知のSUS304、更にはこ
れの機械的強度を高めたSUS304N1、SUS30
4N2との組成の比較を表1として示す。ここで記載し
た本発明実施例は請求項6の記載内容に対応している。
【0020】
【表1】 本発明の歯間ブラシ用ワイヤーは、NAS604PH及
びSUS304、SUS304N1、SUS304N2
に比べてマンガン及び窒素の含有量が多いという特徴が
ある。特に表1に示した本発明実施例(請求項6に対
応)の合金は少量のニッケルを含むという特徴も有す
る。またSUS304、SUS304N1、SUS30
4N2がモリブデンを含有しないのに対して、本発明実
施例(請求項6に対応)とNAS604PHはモリブデ
ンを含有している。本発明実施例の合金は少量のモリブ
デンを含むことで、その耐蝕性が向上している。
【0021】次に本発明の効果を確認するために行った
各種試験について述べる。表2に示す化学成分を有する
各ステンレス鋼線について、機械的特性の測定、ブラシ
としての性能評価を行った。機械的特性は次のようにし
て測定した。先ず、100mmの間隔を有する把持具間
に試験片を固定し、この100mmの実質的長さを有す
る試験片を引っ張り速度30mm/分で引っ張って図8
に示すような「応力−歪み曲線」を得る。この図におけ
る曲線の始点立ち上がり部の勾配を表す直線Aの傾きか
ら引張弾性率を求める。耐力は図中Bの値、破断伸びは
図中Cの値、更に破断強度は図中Dの値で求める。測定
結果を表3に、また評価結果を表4に夫々示す。尚、使
用した鋼線の太さは直径0.25mmである。定歪み疲
労試験、定空隙通過疲労試験、座屈強度は次の方法によ
り測定した。これらの値は大きいほど歯間ブラシ用ワイ
ヤーとして優れていると判断できる。尚、サンプル数は
5本であり、表にはその平均値を記載した。
【0022】<定歪み疲労試験>図4(a)に示すよう
に歯間ブラシのワイヤー1aを基部付近で90°折曲さ
せた後、これを元の位置に戻し、次に図4(b)に示す
ように反対方向に90°折曲させた後、再び元の位置に
戻し、この往復動作を2回と数えて、ワイヤー1aが破
断するまでの曲げ回数を実測した。 <定空隙通過疲労試験>高速試験と低速試験の両方につ
いて試験した。 高速試験 図5(a)に示すように、ワイヤー1aの基部から先端
までの長さが12mmのブラシ1を用い、ワイヤー基部
から10mm上方に直径2mmの貫通孔5を有するスラ
イド板6を水平に配置して、貫通孔5にブラシ1の先端
部を嵌合させた状態で、図5(b)に示すように、スラ
イド板6を元位置から左右へ交互に5mmずつ水平移動
させることにより、ブラシ1の先端部を振幅10mm、
振動数300rpmで振動させ、ワイヤー1aが破断す
るまでの回数を実測した。 低速試験 図6(a)に示すように、ワイヤー1aの基部から先端
までの長さが12mmのブラシ1を用い、ワイヤー基部
から5mm上方に直径2mmの貫通孔5を有するスライ
ド板6を水平に配置して、貫通孔5にブラシ1の先端部
を嵌合させた状態で、図6(b)に示すように、スライ
ド板6を元位置から左右へ交互に6mmずつ水平移動さ
せることにより、ブラシ1の先端部を振幅12mm、振
動数60rpmで振動させ、ワイヤー1aが破断するま
での回数を実測した。 <座屈強度試験>図7(a)に示すように歯間ブラシの
ワイヤー先端に加圧板7を当て、この加圧板7の加圧力
を徐々に高めていき、図7(b)に示すように座屈した
ときの荷重を測定した。
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】表3、表4から次のことがわかる。本発明
実施例のワイヤーを用いた歯間ブラシは、定歪み疲労試
験の結果を除いて全ての項目においてSUS304、S
US304N2、SUS304N1に比べて数値が大き
く、機械的強度に優れていることがわかる。特に耐力の
大きさには特筆すべきものがあり、高価なNAS604
PHをも上回っていることがわかる。歯間ブラシ用ワイ
ヤーにとって耐力の大きさは極めて重要であり、高耐力
である本発明のワイヤーは歯間ブラシ用ワイヤーとして
最適といえる。尚、本発明のワイヤーは耐力が大きいこ
とから、スプリングバック現象を避けるためには従来の
オーステナイト系ステンレス鋼線よりも低速で塑性変形
を行わせてラセン巻き加工を行う必要がある。このよう
に従来のオーステナイト系ステンレス鋼線よりも低速で
ラセン巻き加工を行うことにより、耐力に優れしかもス
プリングバック現象もない歯間ブラシが得られる。
【0027】次に本発明者は本発明のワイヤーと従来公
知のSUS304のワイヤーについて、それぞれの使用
感についての実使用評価を14人の被験者を対象にして
行った。評価項目はワイヤーの弾力のあるなし、ワイヤ
ーの弾力の好き嫌い、ワイヤーの曲がりにくさ、使用何
日目に曲がったか、、ワイヤーの折れ、ワイヤーの耐久
性、歯間部への挿入性、歯や歯肉への感触、清掃効果、
毛抜け、総合評価の合計11項目とし、1週間朝晩交互
に使用して、表5に示す結果を得た。
【0028】
【表5】
【0029】表5に示すように、本発明のワイヤーを用
いた歯間ブラシは、全ての項目において、SUS304
を用いた現行歯間ブラシよりも高い評価が得られた。
【0030】次に本発明者は本発明実施例(請求項6に
対応)の歯間ブラシとNAS604PHを用いた歯間ブ
ラシ並びにSUS304N2を用いた現行歯間ブラシの
それぞれの使用感についての実使用評価を11人の被験
者を対象にして行った。評価項目はワイヤーの弾力、ワ
イヤー弾力の好き嫌い、ワイヤーの曲がり、歯間部への
挿入性、歯や歯肉への感触、挿入時や使用時の痛み、清
掃効果、総合評価の合計8項目とした。結果を表6に示
す。結果は平均値で表した。
【0031】
【表6】
【0032】表6よりわかるように、本発明実施例の歯
間ブラシは全ての項目においてNAS604PHを用い
た歯間ブラシに比べて優れており、またSUS304N
2I対しても、挿入時や使用時の痛みが少し強く感じら
れた以外は全ての項目に関して優れていることが確認さ
れた。
【0033】
【発明の効果】本発明に係る歯間ブラシ用ワイヤー及び
歯間ブラシは、ワイヤー素材である合金に、直径が0.
15〜0.35mmのワイヤーであって、その化学成分
として少なくとも、鉄、クロム、マンガン、窒素を含む
ステンレス鋼線であり、マンガンの含有量が2.50重
量%以上であるとともに窒素の含有量が0.10重量%
以上となしたものを用いた。このワイヤーは、歯間ブラ
シ用ワイヤーとして従来公知のステンレス鋼線に比べて
材料中のマンガンの含有比率が高く、また窒素を含むた
め、引張弾性率、耐力、破断強度等の機械的強度が高
く、歯間ブラシ用ワイヤーとして要求される剛性、バネ
性、加工性の全てがバランス良く向上させることがで
き、座屈や破断に対する歯間ブラシの耐久性を向上でき
るので、ブラシに腰のある操作性に優れた歯間ブラシを
実現できる。また、歯間ブラシの芯材としての特性を十
分に確保しつつ、ワイヤーの直径を小さくできるので、
歯間への挿通性を無理なく高めることが可能となる。ま
たモリブデンを少量添加した場合には上記特性に加えて
耐蝕性が向上し、更に金属組織をオーステナイト化する
ことで靱性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a),(b)は本発明が対象とする歯間ブ
ラシの形態を示す正面図
【図2】 (a),(b)は使用途上においてブラシに
作用する外力を示す説明図
【図3】 ラセン巻き加工の手順を示す説明図
【図4】 (a),(b)は定歪み疲労試験についての
説明図
【図5】 (a),(b)は定空隙通過疲労試験におけ
る高速試験についての説明図
【図6】 (a),(b)は定空隙通過疲労試験におけ
る低速試験についての説明図
【図7】 (a),(b)は座屈強度試験についての説
明図
【図8】 耐力、破断伸び、引張弾性率の算出手法を
説明するための「応力−歪み曲線」を示す線図
【符号の説明】
1 ブラシ 1a ワイヤー 1b 毛束 2 ハンドル 3 短軸基台 4 長軸ホルダー 5 貫通孔 6 スライド板 7 加圧板

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、鉄、クロム、マンガン、窒
    素を含むステンレス鋼線であり、クロムを12〜32重
    量%、マンガンを10〜38重量%、窒素を0.10重
    量%以上含有し、ラセン巻き加工前のワイヤーの引張特
    性が耐力40Kgf/mm 2 以上、破断伸び30%以上
    である歯間ブラシ用ワイヤー。
  2. 【請求項2】 少なくとも、鉄、クロム、マンガン、モ
    リブデン、ニッケル、窒素を含むステンレス鋼線であ
    り、クロムを12〜32重量%、マンガンを10〜38
    重量%、ニッケルを6重量%以下、モリブデンを7重量
    %以下、窒素を0.10重量%以上含有し、ラセン巻き
    加工前のワイヤーの引張特性が耐力40Kgf/mm 2
    以上、破断伸び30%以上である歯間ブラシ用ワイヤ
    ー。
  3. 【請求項3】 ブラシの芯材としての直径が0.15〜
    0.35mmのワイヤーであって、その化学成分として
    少なくとも、鉄、クロム、マンガン、窒素を含むオース
    テナイト系ステンレス鋼線であり、クロムを17〜19
    重量%、マンガンを17〜19重量%、窒素を0.65
    重量%より多く含有し、ラセン巻き加工前のワイヤーの
    引張特性が耐力40Kgf/mm 2 以上、破断伸び30
    %以上である歯間ブラシ用ワイヤー。
  4. 【請求項4】 ブラシの芯材としての直径が0.15〜
    0.35mmのワイヤーであって、その化学成分として
    少なくとも、鉄、クロム、マンガン、モリブデン、ニッ
    ケル、窒素を含むオーステナイト系ステンレス鋼線であ
    り、クロムを17〜19重量%、マンガンを17〜19
    重量%、ニッケルを1.0重量%未満、モリブデンを
    1.5〜2.5重量%、窒素を0.65重量%より多く
    含有し、ラセン巻き加工前のワイヤーの引張特性が耐力
    40Kgf/mm 2 以上、破断伸び30%以上である
    間ブラシ用ワイヤー。
  5. 【請求項5】 ラセン巻き加工前のワイヤーの引張特性
    が引張弾性率12000Kgf/mm2以上である請求
    項1〜4のいずれかに記載の歯間ブラシ用ワイヤー。
  6. 【請求項6】 ラセン巻き加工前のワイヤーの引張特性
    が耐力60Kgf/mm 2 以上、破断伸び40%以上、
    引張弾性率15000Kgf/mm 2 以上である請求項
    1〜4のいずれかに記載の歯間ブラシ用ワイヤー。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の歯間ブ
    ラシ用ワイヤーをラセン巻き加工して毛束をワイヤー間
    に挟持固定し、ワイヤーをブラシの芯材となした歯間ブ
    ラシ。
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