JP3594692B2 - 有機焦電圧電体の形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、赤外線センサー、圧力センサー、超音波トランスジュサー、非線形光学材料等にその焦電性や圧電性を利用して用いる有機焦電圧電体の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、基板上に積層状に配設された例えばアルミニウムから成る対向電極間に分極処理(ポーリング処理ともいう)が施されたポリ尿素から成るポリマー膜を介在させた有機焦電圧電体の製造方法としては、真空中で、基板上に下部電極、ポリ尿素膜、上部電極の順に積層して積層体に形成する。
【0003】
そして、該積層体を大気中、或いは例えば窒素ガス雰囲気中でポリマー膜の上下の電極間に例えば100MV/mの電界を印加した状態で室温からガラス転移点以上の温度まで昇温し、一定時間該温度を保持した後、室温まで降温してポリマー膜に分極処理を施す方法、或いは基板(導電性を付与してある)上にポリマー膜を成膜後、大気中、或いは例えば窒素ガス雰囲気中で基板と針間に例えば10kV/cmの電界を印加した状態で室温からガラス転移点以上の温度まで昇温し、一定時間該温度を保持した後、室温まで降温してポリマー膜に分極処理を施すコロナポーリング法が知られている。
【0004】
前記方法以外の焦圧電性を有する高分子膜を基板上に形成する方法として、本出願人は先に、特開平5−311399号(特願平4−119212号)公報で「基板上に積層状に配設された対向電極間に分極処理された高分子膜を介在させた有機焦電圧電体の形成方法において、基板前方に配置された針状、線状、或いは網状の電極と、基板との間に高電界を印加しながら真空中で2種以上の高分子膜の原料モノマーを蒸発させ、基板上で蒸着重合させて分極処理された高分子膜を形成する方法」を提案した。
【0005】
また、ポーリング処理を施すポリ尿素膜の原料モノマーに脂肪族モノマーを用いる方法として特開平5−335632号(特願平4−135227号)公報で「真空中でポリ尿素樹脂の原料モノマーを蒸発させ、これを基板上で重合させて形成されたポリ尿素膜にポーリング処理を施して有機焦電体を形成する方法において、前記ポリ尿素樹脂の原料モノマーとして脂肪族ジアミンと、脂肪族ジイソシアナートを用いる方法」を提案した。
【0006】
その他の方法として、特開平2−284485号(特願平1−104562号)公報で「真空中でジアミンとジイソシアナートとから成る原料モノマーを蒸発させ、これらを基板上で蒸着重合させて該基板上にポリユリア膜を形成し、該ポリユリア膜にポーリング処理を施す方法」を、また、特開平3−48470号(特願平1−183013号)公報で「ポリユリア膜の形成をジアミンと、ジイソシアナートを原料モノマーとする蒸着重合で行うと共に、電極の形成を電極材の蒸着により行い、これら蒸着により得られた多層構造体の各対向電極への電界の印加により該対向電極に挟まれるポリユリア膜にポーリング処理を施す方法」を夫々提案した。
【0007】
かかる方法のうち、特開平2−284485号並びに特開平3−48470号の方法において、原料モノマーに芳香族系モノマーを用いた場合、基板温度は室温でよく、形成後の膜はオリゴマー状態であって、ポーリング処理後に焦電定数(焦電率ともいう)20μC/mK、圧電e定数20mC/mという値が得られている。
【0008】
また、特開平5−335632号の方法で用いる原料モノマーである脂肪族モノマーからは基板温度0℃以下でないとポリ尿素膜が形成されない。これは原料モノマーの蒸気圧が高いことと、低温でも重合が可能であることから、反応性も高いことによるものと考えられる。
【0009】
そこで、上記の成膜条件を明確にするため、特開平2−284485号(原料モノマーは4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナートと4,4′−ジアミノジフェニルメタンである)、並びに特開平5−335632号(原料モノマーは1,9−ジイソシアナートノナンと1,9−ジアミノノナンである)の方法における、基板温度と蒸着速度との関係を図2に示す。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
更に、数多くの実験を繰り返し行った結果、次のことが分かった。
例えば、基板温度が0℃以下で形成したポリ尿素膜の原料モノマーが芳香族モノマーであっても蒸気圧が高く、反応性が高ければよく、脂肪族モノマーに限定されないが、主として脂肪族モノマーを用いて成膜したポリ尿素膜は室温に戻してポーリング処理を行った場合、例えば圧電e定数は最大で8mC/mである。
【0011】
その理由は、ポーリング処理前に、基板の温度をポリ尿素膜の形成時の温度(ここでは−40℃)から室温に戻した際に、膜中に残存する未反応部分が反応してしまい、ポリ尿素がポーリング時には既に配向されないような程度の高分子量の状態になってしまうものと考えられる。
【0012】
即ち、原料モノマーとして脂肪族モノマーを用いて成膜されたポリ尿素膜中の双極子の密度は、特開平2−284485号の方法における原料モノマーである芳香族モノマーの組合せ(ここではジアミンと、ジソイシアナート)とほぼ同じであるので、十分ポーリング処理が施されれば圧電e定数は20mC/m程度は発現するはずである。しかし、実際には圧電e定数は8mC/m程度である。
【0013】
また、特開平5−335632号の方法では、基板温度が低いままの状態でポーリング処理を行うため、圧電e定数は最大5mC/mまでしか達しない。
【0014】
そこで、基板温度が例えば0℃以下という低温状態で基板上に形成された高分子膜(ポリ尿素膜またはポリアミド膜)に十分なポーリング処理を施すことが出来る方法の開発が望まれていた。
【0015】
本発明は基板温度が例えば0℃以下という低温状態で基板上に形成された高分子膜(ポリ尿素膜またはポリアミド膜)に十分なポーリング処理を施して、焦電圧電性に優れた有機焦電圧電体の形成方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の有機焦電圧電体の形成方法は、真空処理室内で高分子膜の原料モノマーを蒸発させて、基板上で重合させ形成された高分子膜にポーリング処理を施して有機焦電圧電体を形成する方法において、前記高分子膜の原料モノマーは重合温度が0℃以下で、ポリ尿素膜またはポリアミド膜を形成する組合せであって、基板上に高分子膜を形成後、成膜時の温度を維持した状態で前記真空処理室内にガスを導入し、該高分子膜の下部に設けた電極と、基板の前方に配置された針状または線状の電極間に8〜15kVの電圧を印加し、基板温度をガラス転移温度まで昇温しながら高分子膜にポーリング処理を行うことを特徴とする。
【0017】
【作用】
真空中で2種以上の高分子膜の原料モノマーを蒸発させると、原料モノマーの蒸気が基板上に蒸着し、重合により基板上に高分子膜が形成される。その際、高電界がない場合は、基板上に形成される高分子膜となるポリ尿素、ポリアミド中の双極子(ポリ尿素の場合は尿素結合、ポリアミドの場合はアミド結合)は任意の方向を向いているために形成された高分子膜にポーリング処理が必要である。
【0018】
本発明では高分子膜の形成後、真空処理室内にガスを導入しながら、高分子膜の下部に設けた電極と、基板の前方に配置された針状または線状の電極間に8〜15kVの電圧を印加し、基板温度をガラス転移温度まで昇温しながらポーリング処理を行うようにしたので、高分子膜となるポリ尿素膜またはポリアミド膜がオリゴマー状態から、未反応部分が膜内部で基板の昇温時に未反応の末端基どうしと反応し、ポリ尿素の場合は尿素結合、ポリアミドの場合はアミド結合が生じる際、ポーリング処理され尿素結合またはアミド結合が配向し、その結果、高分子膜に大きな圧電性や焦電性が生じる。
【0019】
【実施例】
先ず、本発明の基本的な考え方を説明する。
基板温度が例えば0℃以下の低温で基板上への高分子膜(ポリ尿素膜またはポリアミド膜)の形成後に、該膜の下部に予め形成しておいた下部電極と、基板上に形成された高分子膜の前方、即ち原料モノマーの蒸発源の方向に配置された針状または線状の電極間に例えば10kV/cm程度の高電界を印加し、真空処理室内に空気、窒素、酸素等のガスを導入した状態で、基板温度を徐々に上昇させ、ガラス転移点以上の温度に例えば10分間保持した状態でポーリング処理を行った後、基板を室温まで冷却し、ポーリング処理された高分子膜が形成された基板を真空処理室内より取り出す有機焦電圧電体の形成方法である。
【0020】
また、本発明で基板温度が低温で、ポリ尿素またはポリアミドが形成可能なモノマーの組合せとは、ポリ尿素の場合は、炭素数が奇数の脂肪族または沸点が50℃以下の芳香族のジアミンとジイソシアナートの組合せであり、ポリアミドの場合は、炭素数が奇数の脂肪族または沸点が50℃以下の芳香族のジアミンとジクロライドの組合せの組合せである。
【0021】
次に添付図面に従って本発明の具体的実施例について説明する。
【0022】
図1は本発明方法を実施する装置の1例を示すもので、図中、1は真空処理室を示す。該真空処理室1内を外部の真空ポンプその他の真空排気系2に接続すると共に、ガスボンベ等のポーリング処理時に使用するガス源に接続されたガス導入系3に接続した。
【0023】
また、真空処理室1の外周に冷却用パイプ4を巻回し、冷却用パイプ4内に冷却水を循環させて真空処理室1内を所定温度に冷却するようにした。
【0024】
また、真空処理室1内の上方に焦電圧電体の蒸着膜(高分子膜)を形成せしめるべき基板5をシースヒーター6を内蔵せる銅製の基板ホルダー7のシースヒーター6側に保持するようにした。また、銅製の基板ホルダー7の背面側に液化窒素8のタンク9を配設した。
そして、基板5上に原料モノマーを蒸着させ高分子膜の形成中はタンク9内に液化窒素8を供給し、基板5を所定温度に冷却するようにし、また、基板5上に高分子膜の形成後はシースヒーター6により基板5を所定温度に昇温するようにした。
【0025】
また、真空処理室1内の下方に前記基板5に対向させて焦電圧電体の高分子膜の一方の原料モノマーA(ポリ尿素の場合は例えばジアミン、ポリアミドの場合は例えばジアミン)、および他方の原料モノマーB(ポリ尿素の場合は例えばジイソシアナート、ポリアミドの場合は例えばジクロライド)をその周囲に巻回したヒーター(または冷却コイル)10で夫々所定温度に保持し、蒸発させるためのガラス製、或いは銅製容器から成る蒸発源11、11を配設した。
【0026】
また、基板5の前方に基板5より3〜10mm程度の間隔を存してタンタル製或いはチタン製の針状の電極12を配設し、該電極12と基板ホルダー7を電源13を介して接続した。
【0027】
そして、基板5上に高分子膜が形成された後、真空処理室1内にガス導入系3からガスを導入すると共に、基板5の温度を前記シースヒーター6により所定温度に上昇させ、高分子膜のガラス転移点以上の温度に所定時間保持して、基板ホルダー7に保持された基板5と電極12間に8〜15kVの電圧を印加して両者間に高電界を生じせしめながら、高分子膜にポーリング処理を行って高分子膜の有機焦電圧電体を得るようにした。
【0028】
図中、14は基板5の温度を測定する熱電対、15は基板5と両蒸発源11の間に介在したシャッター、16は両蒸発源11の間に設けた仕切板、17はタンク9内に液化窒素8を供給並びに排除するためのパイプ、18はガス導入系3に配設したガスバルブを夫々示す。
尚、図示装置では電極12は針状としたが、電極12を線状としてもよい。
【0029】
前記図示装置を用いて、本発明方法の有機焦電圧電体の形成方法の具体的実施例を説明する。
【0030】
実施例1
本実施例では基板5として高分子膜が形成される側に厚さ1000Å(0.1μm)のアルミニウム(Al)製の下部電極を形成した50mm角、厚さ0.5mmのガラス製(コーニング社 、商品名7059)基板を用い、高分子膜をポリ尿素膜とし、基板5と電極(針状)12との間隔を10mmとし、ポリ尿素膜の形成後、真空処理室内にガスとして空気を導入し、基板を所定温度に保持した状態で基板5と電極12間に10kV/cmの電界を印加するようにした。
【0031】
先ず、真空処理室1内の一方の蒸発源11に高分子膜の一方の原料モノマーAとして1,9−ジアミノノナン(以下原料モノマーAという)を、他方の蒸発源7に高分子膜の他方の原料モノマーBとして1,9−ジイソシアナートノナン(以下原料モノマーBという)を夫々充填し、シャッター15を閉じた状態で真空処理室1内の圧力を真空排気系2により1.4×10−4Pa(1×10−6Torr)に設定した。
【0032】
次に、原料モノマーAを蒸発源11で30±0.5℃に、また、原料モノマーBを蒸発源11で50±0.5℃に夫々加熱した。
【0033】
次いで、原料モノマーAおよび原料モノマーBが所定温度に達した時点で、シャッター15を開き、原料モノマーA、Bを30Å/min(0.003μm/min)の析出速度で蒸発させて基板5上に蒸着させると共に、蒸着物を基板5上で付加重合させて厚さ5000Å(0.5μm)のポリ尿素膜を形成した後、シャッター15を閉じた。
【0034】
尚、原料モノマーA、Bは化学量論的にポリ尿素膜が形成されるように蒸発量の調整によって1:1のモル比で蒸発するようにした。また、原料モノマーA、Bの蒸発時における真空処理室1内の圧力は2.7×10−3Pa(2×10−5Torr)とした。
【0035】
また、ポリ尿素膜の形成中は、真空処理室1をその外周に巻回した冷却用パイプ4内に冷却水を循環させて冷却して真空処理室1内温度を+10℃に維持した。また、タンク9内に液化窒素8を供給して基板5温度を−20℃に維持した。
【0036】
基板5上にポリ尿素膜を形成した後、冷却用パイプ4内への冷却水の循環による真空処理室1の冷却と、基板ホルダー7による基板5の冷却を停止し、真空処理室1内にガス導入系3から空気を1気圧(1.01×10Pa)導入して、真空処理室1内を大気雰囲気とし、基板ホルダー7内のシースヒーター6により昇温速度6℃/分で基板5を加熱し、温度100℃に10分間保持しながら、基板5と電極12間に10kV/cmの電界を印加してポリ尿素膜にポーリング処理を行った。
ポーリング処理後、冷却用パイプ4内に再び冷却水を循環させて、基板5を室温まで降温した後、真空処理室1内より基板5を取出した。
【0037】
そして、基板5上のポリ尿素膜に常法に従って、厚さ1000Å(0.1μm)のアルミニウム(Al)製の上部電極を形成した後、上部電極並びに下部電極に夫々リード線を取付け、焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は18μC/mK、圧電e定数は17mC/mであった。
測定結果の焦電率並びに圧電e定数は、原料モノマーとして芳香族モノマーを用いて形成されたポリ尿素膜の焦電率20μC/mK、圧電e定数20mC/mに近い値を示した。
【0038】
実施例2
原料モノマーAとして1,5−ジアミノペンタン、原料モノマーBとしてオルト−ジイソシアナートベンゼンを用い、原料モノマーAの蒸発温度を10±0.5℃、原料モノマーBの蒸発温度を30±0.5℃とし、原料モノマーA、Bの蒸発時における真空処理室1内の圧力を2×10−3Pa(1.5×10−5Torr)とし、膜の形成時の真空処理室1内の温度を10℃と維持し、その際の基板5温度を−40℃とし、原料モノマーA、Bの析出速度を30Å/min(0.003μm/min)とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板5上に膜厚5000Å(0.5μm)のポリ尿素膜を形成した。
【0039】
前記実施例1と同様の方法でポリ尿素膜にポーリング処理を行った。
【0040】
そして、前記実施例1に準じて焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は22μC/mK、圧電e定数は25mC/mであった。
【0041】
実施例3
原料モノマーAとして1,9−ジアミノノナン、原料モノマーBとして1,9−ジクロライルノナンを用い、原料モノマーAの蒸発温度を30±0.5℃、原料モノマーBの蒸発温度を20±0.5℃とし、原料モノマーA、Bの蒸発時における真空処理室1内の圧力を5×10−3Pa(3.7×10−5Torr)とし、膜の形成時の真空処理室1内の温度を10℃に維持し、その際の基板5温度を−40℃とし、原料モノマーA、Bの析出速度を30Å/min(0.003μm/min)とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板5上に膜厚5000Å(0.5μm)のポリアミド膜を形成した。
尚、ポリアミド膜の形成は縮重合である。
【0042】
前記実施例1と同様の方法でポリアミド膜にポーリング処理を行った。
【0043】
そして、前記実施例1に準じて焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は18μC/mK、圧電e定数は20mC/mであった。
【0044】
実施例4
原料モノマーAとして1,5−ジアミノペンタン、原料モノマーBとしてオルト−ジクロライルベンゼンを用い、原料モノマーAの蒸発温度を30±0.5℃、原料モノマーBの蒸発温度を−10±0.5℃とし、原料モノマーA、Bの蒸発時における真空処理室1内の圧力を5×10−3Pa(3.7×10−5Torr)とし、膜の形成時の真空処理室1内の温度を10℃と維持し、その際の基板5温度を−40℃とし、原料モノマーA、Bの析出速度を30Å/min(0.003μm/min)とした以外は、前記実施例1と同様の方法で基板5上に膜厚5000Å(0.5μm)のポリアミド膜を形成した。
【0045】
前記実施例1と同様の方法でポリアミド膜にポーリング処理を行った。
【0046】
そして、前記実施例1に準じて焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は22μC/mK、圧電e定数は24mC/mであった。
【0047】
実施例5
先ず、前記実施例1に準じて基板4上に膜厚5000Å(0.5μm)のポリ尿素膜を形成した。
【0048】
次に、基板5上にポリ尿素膜を形成した後、真空処理室1内にガス導入系3から酸素(O)ガスを1気圧(1.01×10Pa)導入して、真空処理室1内を酸素ガス雰囲気とし、シースヒーターにより昇温速度6℃/分で基板5を加熱し、温度100℃に10分間保持しながら、基板5と電極12間に10kV/cmの電界を印加してポリ尿素膜にポーリング処理を行った。
ポーリング処理後、基板5を室温まで降温した後、真空処理室1内より基板5を取出した。
【0049】
そして、前記実施例1に準じて焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は18μC/mK、圧電e定数は19mC/mであった。
【0050】
実施例6
先ず、前記実施例1に準じて基板5上に膜厚5000Å(0.5μm)のポリ尿素膜を形成した。
【0051】
次に、基板5上にポリ尿素膜を形成した後、真空処理室1内にガス導入系3から窒素(N)ガスを1気圧(1.01×10Pa)導入して、真空処理室1内を窒素ガス雰囲気とし、シースヒーターにより昇温速度6℃/分で基板5を加熱し、温度100℃に10分間保持しながら、基板5と電極12間に10kV/cmの電界を印加してポリ尿素膜にポーリング処理を行った。
ポーリング処理後、基板5を室温まで降温した後、真空処理室1内より基板5を取出した。
【0052】
そして、前記実施例1に準じて焦電率、圧電e定数を調べた結果、焦電率は18μC/mK、圧電e定数は20mC/mであった。
【0053】
前記実施例から明らかなように、本発明は基本的には、基板上への膜の形成時における温度がプラスでもマイナスでも、その温度からポーリング処理を開始することである。
【0054】
また、基板上への高分子膜の形成時の温度は原料モノマーの蒸気圧と反応性から決定する。つまり、モノマーの官能基の未反応部分が多く残存したオリゴマーの状態で基板上に高分子膜を形成することが出来ればよいことになる。
【0055】
【発明の効果】
このように本発明の有機焦電圧電体の形成方法によるときは、高分子膜の形成後、該膜の下部に設けた電極と、基板の前方に配置された針状または線状の電極間に8〜15kVの電圧を印加し、真空処理室内にガスを導入して、基板温度をガラス転移温度まで昇温しながらポーリング処理を行うようにしたので、高分子膜となるポリ尿素膜またはポリアミド膜がオリゴマー状態から、未反応部分が膜内部で基板の昇温時に反応する際にポーリング処理が行われて、圧電性や焦電性が向上した有機焦電圧電体を容易にかつ効率よく形成することが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機焦電圧電体の形成方法を実施するための装置の1例の説明線図、
【図2】基板温度と蒸着速度との関係を示す特性線図。
【符号の説明】
1 真空処理室、 2 真空排気系、 3 ガス導入系、
5 基板、 11 蒸発源、 12 電極。

Claims (1)

  1. 真空処理室内で高分子膜の原料モノマーを蒸発させて、基板上で重合させ形成された高分子膜にポーリング処理を施して有機焦電圧電体を形成する方法において、前記高分子膜の原料モノマーは重合温度が0℃以下で、ポリ尿素膜またはポリアミド膜を形成する組合せであって、基板上に高分子膜を形成後、成膜時の温度を維持した状態で前記真空処理室内にガスを導入し、該高分子膜の下部に設けた電極と、基板の前方に配置された針状または線状の電極間に8〜15kVの電圧を印加し、基板温度をガラス転移温度まで昇温しながら高分子膜にポーリング処理を行うことを特徴とする有機焦電圧電体の形成方法。
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