JP3594429B2 - キースイッチ及びこれを用いたキーボード装置 - Google Patents

キースイッチ及びこれを用いたキーボード装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理装置の入力装置(キーボード)に用いられるキースイッチに関するものであり、さらにはそのキースイッチを用いたキーボード装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯用パーソナルコンピュータ(ノートパソコン)など、携帯に便利な情報処理装置が広く普及しているが、このような情報処理装置では、小型化、薄型化を実現するために、図6(a)、(b)に示すようなキースイッチを用いてキーボード装置を構成している。
【0003】
このキースイッチは、電気接点を有するメンブレンシート21と、このメンブレンシート21の下面を支持するベース板22と、メンブレンシート21上の電気接点を覆うように設けられたドーム状の絶縁弾性体からなるクリックラバー23と、このクリックラバー23上に載設されたキートップ24と、このキートップ24の周囲に配設されたキャップカバー25とからなるものである。
【0004】
キートップ24には、その一端に回転部24aが設けられており、さらにキャップカバー25の裏面には、支持部25aが突設されている。そして、この支持部25a下端に形成された受部25bと、キートップ24の回転部24aとが枢着することにより、キートップ24が回転部24aを中心にして揺動するようになっている。なお、キートップ24には、その外周につば部24bが設けられており、このつば部24bがキャップカバー25の裏面に当接することにより、キートップ24の上方向への離脱を防止するためのストッパとして機能する。
【0005】
このような構成のキースイッチでは、図6(c)に示すように、キートップ24が押下されると、回転部24aを中心にしてキートップ24が回転降下し、その回転降下によってクリックラバー23が座屈変形する。クリックラバー23が座屈変形すると、このクリックラバー23内に設けられている突部23aがメンブレンシート21の電気接点を押圧する。これにより、このキースイッチでは、電気接点が電気的に接続される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のキースイッチを用いてキーボード装置を構成する場合に、各キースイッチは、通常、キーボード装置の操作者からみて、手前側または奥側に回転降下するようになっている。ただし、手前側と奥側とで、どちらに回転降下するほうが操作し易く確実な入力操作を行えるかは、操作者毎に異なるものである。例えば、キーボード装置に慣れている操作者は、ブラインドタッチの際のホームポジションよりも奥にあるキースイッチについては奥側に回転降下し、それより手前にあるキースイッチについては手前側に回転降下すると、操作し易いと感じることが、実験の結果より分かっている。また、キーボード装置には慣れていないがピアノ等の鍵盤楽器に慣れている操作者の場合には、全てのキースイッチが手前側に回転降下したほうが、操作し易いと感じることが分かっている。
【0007】
しかしながら、上述のキースイッチでは、キーボード装置を構成する際の配置によって、各キースイッチが手前側と奥側とのどちらに回転降下するか定められてしまう。そのために、このキースイッチを用いてキーボード装置を構成しても、このキーボード装置を使用する全ての操作者が操作し易いと感じることはない。したがって、操作者によっては、操作しづらいと感じてしまう可能性があり、結果として快適な入力操作を行うことができず、入力ミスの誘発など確実な入力操作の損なう一因となってしまう。
【0008】
そこで、本発明は、回転降下する方向を変更可能にすることにより、全ての操作者にとって操作し易いキースイッチを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、回転降下する方向が変更可能なキースイッチを用いることにより、全ての操作者が快適な入力操作を行うことのできるキーボード装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために案出されたキースイッチで、ベース板と、このベース板上に設けられた電気接点と、この電気接点を覆うように形成されたドーム状の弾性体からなるクリックラバーと、このクリックラバーの天頂部に当接する略方形状のキートップとを備え、前記キートップが押下されると、前記クリックラバーが座屈変形し、前記クリックラバーの天頂部裏側に設けられた突部が前記電気接点を押圧するように構成されたものにおいて、前記ベース板上には、前記クリックラバーを挟んで対向する複数の支持固定部が設けられ、前記キートップには、その一端近傍に、前記支持固定部に枢着し、かつ、この支持固定部と着脱自在に形成された被支持部が設けられたことを特徴とするものである。
【0010】
このキースイッチでは、キートップの一端近傍に設けられた被支持部が、ベース板状に設けられた支持固定部と枢着するようになっている。よって、このキースイッチでは、キートップが押下されると、そのキートップが被支持部を支点にして回転降下し、クリックラバーを座屈変形させて電気接点を押圧する。
ただし、被支持部は、支持固定部と着脱自在に設けられており、かつ、ベース板上には、クリックラバーを挟んで対向する複数の支持固定部が設けられている。したがって、ある支持固定部に枢着している被支持部を、この支持固定部から取り外し、これを例えば180度反転させた後、クリックラバーを挟んで対向する位置の支持固定部に被支持部を枢着させると、キートップの回転降下方向は、反転以前に対して逆方向となる。
【0011】
また、本発明のキースイッチは、ベース板と、このベース板上に設けられた電気接点と、この電気接点を覆うように形成されたドーム状の弾性体からなるクリックラバーと、このクリックラバーの天頂部に当接する略方形状のキートップとを備え、前記キートップが押下されると、前記クリックラバーが座屈変形し、前記クリックラバーの天頂部裏側に設けられた突部が前記電気接点を押圧するように構成されたものにおいて、前記ベース板と前記キートップとの間に配設され、その一端近傍に前記キートップと係合する第1係合部を有し、かつ、他端近傍に前記ベース板と係合する第2係合部を有するアクチュエータと、前記キートップの一端近傍に設けられ、前記アクチュエータが有する第1係合部に枢着する被支持部と、前記ベース板上の前記クリックラバーを挟んで対向する複数箇所に設けられ、前記アクチュエータが有する第2係合部と係合してこれを支持する支持固定部とを備えてなり、前記第2係合部と前記支持固定部とを着脱自在に形成するとともに、前記第2係合部が複数箇所に設けられた前記支持固定部のいずれかと係合するように構成したことを特徴とするものである。
【0012】
このキースイッチでは、ベース板とキートップとの間にアクチュエータが位置しており、さらにそのアクチュエータの一端近傍に設けられた第1係合部にキートップの被支持部が枢着している。よって、このキースイッチでは、キートップが押下されると、そのキートップが被支持部を支点にして回転降下し、クリックラバーを座屈変形させて電気接点を押圧する。
ただし、アクチュエータは、第1係合部とは別の端にある第2係合部が、ベース板上に設けられた支持固定部に支持されている。また、第2係合部と支持固定部とは、着脱自在に形成されており、かつ、ベース板上には、クリックラバーを挟んで対向する複数の支持固定部が設けられている。そして、第2係合部が複数の支持固定部のいずれかと係合するようになっている。したがって、ある支持固定部に支持されている第2係合部を、この支持固定部から取り外し、例えばアクチュエータを180度反転させた後、クリックラバーを挟んで対向する位置の支持固定部に第2係合部を支持させると、アクチュエータの第1係合部と係合するキートップの回転降下方向は、反転以前に対して逆方向となる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき本発明に係わるキースイッチについて説明する。
【0014】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態におけるキースイッチの側断面図である。
本実施の形態のキースイッチは、ベース板1と、メンブレンシート2と、クリックラバー3と、キースイッチベース4と、キートップ5とから構成されたものである。
【0015】
ベース板1は、金属板等からなるものである。
メンブレンシート2は、薄膜状のシートからなるものであり、押下されると電気的に接続される電気接点2aを備えるものである。
クリックラバー3は、ゴム等の可撓性を有する絶縁弾性体からなるものであり、メンブレンシート2の電気接点2aを覆うように形成された断面逆U字状のドーム部3aと、このドーム部3aの天頂部3bの裏側に設けられた突部3cとを備えるものである。
【0016】
キースイッチベース4は、例えば樹脂材料により一体成形されたものであり、クリックラバー3のドーム部3cが貫通する大きさの開孔4aと、この開孔4aを挟んで対向する位置に設けられた軸受け部4b、4cと、各軸受け部4b、4cの近傍に設けられたストッパ4d、4eとを備えるものである。
軸受け部4b、4cは、それぞれ、キースイッチベース4上に突設されたものであり、その側壁部4f、4gに、後述するキートップ5の回転軸5dが係合する軸受溝4h、4iを有している。また、ストッパ4d、4eは、それぞれ、キースイッチベース4上で軸受溝4h、4iと対面する位置に突設されたものであり、軸受溝4h、4i側の側面上部を周面状に切削した直方体形状に形成されたものである。
【0017】
キートップ5は、例えば樹脂材料により一体成形されたものであり、上方よりみると略方形状で、かつ、天板5aと側板5bとを有する略反転箱型に形成されたものである。さらに、キートップ5は、一方の側板5bの端部近傍に、支軸5cを介して、このキートップ5の上面と平行する方向に延びた回転軸5dが設けられている。なお、キートップ5の天板5a及び側板5bは、その形状を、後述する理由により、回転軸5dが設けられた側と他端の側とで対象に形成すると良い。
【0018】
このような構成のキースイッチでは、ベース板1上にメンブレンシート2が着設し、その上にクリックラバー3が着設するようになっている。このクリックラバー3の上方には、キースイッチベース4を、軸受け部4b、4c及びストッパ4d、4eが上方に突出する状態で着設している。
さらに、キースイッチベース4の開孔4aを貫通したクリックラバー3のドーム部3aの上方には、キートップ5が位置しており、このキートップ5の天板5a裏面がクリックラバー3の天頂部3bと嵌合している。そして、このクリックラバー3の弾性力によって、キートップ5は、上方に付勢される。
【0019】
このキートップ5は、その回転軸5dが、キースイッチベース4の備える一方の軸受け部4bの軸受溝4hと係合している。そして、軸受け部4b近傍のストッパ4dが、回転軸5dが軸受溝4hから離脱してしまうことを防止し、軸受溝4h内で回転軸5dが回転自在になるようにしている。これにより、キートップ5は、回転軸5dを中心にして揺動する。また、キートップ5が揺動すると、軸受け部4bの側壁部4fには、キートップ5の支軸5cが当接する。これにより、キートップ5は、上方向(図中矢印A方向)への離脱が防止される。
【0020】
このようなキースイッチでは、操作者の打鍵等によってキートップ5が押下されると、キートップ5が回転軸5dを中心にして、図中時計回り方向に回転降下し、その回転降下によってクリックラバー3を座屈変形させる。クリックラバー3が座屈変形すると、このクリックラバー3内の突部3cは、メンブレンシート2の電気接点2aを押圧する。これにより、このキースイッチでは、電気接点2aが電気的に接続される。
【0021】
ただし、キースイッチベース4は、2つの軸受け部4b、4c及びストッパ4d、4eを備えており、それぞれが同様に形成されている。したがって、キートップ5の回転軸5dは、上述した軸受溝4hだけではなく、もう一方の軸受溝4iにも係合可能である。この場合には、キートップ5が押下されると、そのキートップ5は、上述とは逆、すなわち反時計回り方向に回転降下することとなる。
【0022】
ところで、このキースイッチでは、軸受溝4hとストッパ4dとの間の大きさ(図中L寸法)を、回転軸5dの外径よりも小さく形成している。よって、キートップ5の回転軸5dを、キースイッチベース4の軸受け部4b、すなわち軸受溝4hとストッパ4dとにより形成される空間(軸受空間)に係合させる際に、この回転軸5dの周面が軸受溝4h及びストッパ4dと当接してしまうが、回転軸5d(キートップ5)を押圧して、回転軸5c、軸受溝4h及びストッパ4dをそれぞれ弾性変形させることにより、回転軸5dを軸受空間に係合させるようになっている。また、これと逆の手順によれば、回転軸5dを軸受空間から取り外すこともできる。
【0023】
つまり、このキースイッチでは、キートップ5の回転軸5dと、キースイッチベース4の軸受溝4h及びストッパ4dによる軸受空間とが、着脱自在に形成されている。これは、キースイッチベース4上で、クリックラバー3のドーム部3aを挟んで対向する、もう一方の軸受空間についても同様である。
【0024】
したがって、このキースイッチでは、一方の軸受空間に回転軸5dが係合しているキートップ5について、その回転軸5dを軸受空間から取り外し、キートップ5の向きを180度反転した後に、回転軸5dを他方の軸受空間に係合させることにより、キートップ5を押下した際の回転降下方向を変更することが可能になる。すなわち、例えば手前側に回転降下していたものを、奥側に回転降下するように変更することができる。
【0025】
このとき、キートップ5の形状が、回転軸5d側と他端側とで対象に形成されていれば、キートップ5の向きを180度反転しても、操作者からみたキートップ5の形状は変わらないので、操作者が違和感を感じてしまうことがない。
【0026】
以上のように、本実施の形態のキースイッチは、クリックラバー3のドーム部3aを挟んで対向する2箇所に軸受け部4b、4c及びストッパ4d、4eを備えるとともに、これらとキートップ5の回転軸5dとが、着脱自在に形成されている。したがって、キートップ5を一旦取り外した後に180度反転させて再び取り付けるといったことが可能になり、キートップ5を押下した際の回転降下方向を変更することができるようになる。これにより、このキースイッチでは、全ての操作者にとって操作し易いものとなり、快適な入力操作と入力ミスの誘発などの防止を実現できる。
【0027】
なお、本実施の形態では、回転軸5dがキートップ5に、また軸受け部4b、4cがキースイッチベース4に、それぞれ設けられている場合について説明したが、これらが逆に設けられていても実現可能であることはいうまでもない。
また、本実施の形態では、軸受け部4b、4c及びストッパ4d、4eが2箇所に設けられている場合について説明したが、これらは例えばクリックラバー3のドーム部3aの周囲4箇所に設けてもよい。この場合には、キートップ5の回転降下方向が、奥側、手前側、右側、または左側の中から選択できるようになる。
【0028】
ところで、本実施の形態では、キートップ5の回転降下方向を変更するために、キートップ5の向きを180度反転するようになっている。しかし、これは、例えばキーボード装置における「スペースキー」のように、キートップ5表面に印刷の無いものであればよいが、文字等が印刷されている場合には、キートップ5を180度反転させることによって、文字等の向きが逆になってしまう。
【0029】
そこで、キースイッチを、以下に説明するように構成すれば、キートップ5表面に文字等が印刷されていても、その文字等の向きを逆にしてしまうことなく、回転降下方向を変更することができるようになる。
例えば図2に示すように、キートップ5には、その一端近傍に設けられた支軸5c及び回転軸5dに加えて、他端近傍にもこれと同様の支軸5e及び回転軸5fを設ける。そして、一方の軸受け部4bに回転軸5dが係合しているキートップ5の回転降下方向を変更する場合には、その回転軸5dを軸受け部4bから取り外した後に、他端に設けられた回転軸5fを、もう一方の軸受け部4cに係合させる。これにより、キートップ5を180度反転しなくても、回転降下方向の変更が可能になるので、キートップ5表面に文字等が印刷されていても、この文字等の向きが逆になってしまうことがない。
【0030】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明に係わるキースイッチの第2の実施の形態について説明する。ただし、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素については、同一の符号を与えてその説明を省略する。
図3は、本実施の形態におけるキースイッチの分解斜視図であり、図4は、本実施の形態におけるキースイッチの側断面図である。
本実施の形態のキースイッチは、図3に示すように、ベース板11と、メンブレンシート2と、クリックラバー3と、アクチュエータ12と、キートップ13とから構成されたものである。
【0031】
ベース板11は、金属板等からなるものであり、略垂直に立ち上がる固定部11a、11bを2箇所に備えている。これら固定部11a、11bは、クリックラバー3のドーム部3aを挟んで対向する位置に配設されており、それぞれがその立ち上がり部に開口11c、11dを有している。なお、固定部11a、11b及び開口11c、11dは、それぞれが同一形状に形成されている。
【0032】
アクチュエータ12は、例えば樹脂材料により一体成形されたものであり、その中央付近にクリックラバー3のドーム部3aが貫通する大きさの開孔12aを備えている。また、アクチュエータ12は、その一端近傍にベース板11と平行に設けられた回転軸12bを有しており、他端には開口11c、11dに挿入可能に形成された固定突部12cを有している。さらに、アクチュエータ12には、開孔12aと回転軸12bとの間に、開口11c、11dに嵌合するように形成されたストッパ12dが設けられるとともに、開孔12aの両側部付近には抜け防止爪12eが設けられている。
【0033】
キートップ13は、上述した第1の実施の形態のキートップ5と同様に、樹脂材料等により略反転箱型に一体成形されたものである。ただし、このキートップ13は、その一端近傍に、アクチュエータ12の回転軸12bに枢着するように形成された軸止め部13aを備えている。また、アクチュエータ12の抜け防止爪12eに対応するように、これらと係合する抜け防止爪13bを備えている。
【0034】
このような構成のキースイッチでは、図4に示すように、ベース板11上にメンブレンシート2とクリックラバー3とが着設するようになっている。ただし、メンブレンシート2及びクリックラバー3には、固定部11a、11bのニゲとなる開孔が設けられているものとする。また、このクリックラバー3の上方にはキートップ13が位置しており、このキートップ13の裏面がクリックラバー3の天頂部3dに当接している。そして、このクリックラバー3の弾性力によって、キートップ13は、上方に付勢される。
【0035】
また、このキースイッチでは、ベース板11とキートップ13との間に、アクチュエータ12が位置している。
アクチュエータ12は、固定突部12cが、ベース板11上の一方の固定部11b開口11dに遊嵌した状態で係合しており、ストッパ12dがもう一方の固定部11a開口11cに嵌合している。これにより、このアクチュエータ12は、固定突部12cと固定部11bとの係合部を支点に、ストッパ12dによって制限される範囲で、回転軸12b側の端が揺動するようになっている。なお、アクチュエータ12は、揺動せずに固定状態で装着されるものであってもよい。
【0036】
さらに、このキースイッチでは、アクチュエータ12の回転軸12bにキートップ13の軸止め部13aが枢着した状態で係合しているとともに、アクチュエータ12の抜け防止爪12eとキートップ13の抜け防止爪13bとが互いに係合している。これにより、キートップ13は、回転軸12bと軸止め部13aとの係合部を支点に、抜け防止爪12e、13bによって制限される範囲で、軸止め部13aと反対側の端が揺動するようになっている。
【0037】
このようなキースイッチでは、操作者の打鍵等によって、キートップ13が押下されると、先ず、アクチュエータ12が、固定突部12cと固定部11bとの係合部を支点にして、図中反時計回り方向に回転降下する。アクチュエータ12がベース板11に当接する位置まで回転降下すると、続いてキートップ13が、アクチュエータ12の回転軸12bを中心にして、図中時計回り方向に回転降下する。そして、これらの回転降下によって、キートップ13は、クリックラバー3を座屈変形させ、メンブレンシート11の電気接点2bを電気的に接続する。
【0038】
ただし、ベース板11は、2つの固定部11a、11b及び開口11c、11dを備えており、それぞれが同一形状に形成されている。よって、アクチュエータ12の固定突部12cは、上述した固定部11bだけではなく、もう一方の固定部11aにも係合可能である。これは、アクチュエータ12のストッパ12dについても同様である。つまり、アクチュエータ12は、その向きを180度反転しても、ベース板11に装着することができる。ただし、この場合には、キートップ13が押下されると、アクチュエータ12及びキートップ5は、上述とはそれぞれ逆方向に回転降下することとなる。
【0039】
ところで、このキースイッチでは、アクチュエータ12のストッパ12dが、断面形状において互いに対向する2つの突出部からなり、かつ、これら突出部の間が固定部11a、11bの板厚よりも小さくなるように形成されている。よって、例えばストッパ12dを開口11cに嵌合させる際に、これらの突出部が固定部11aと当接してしまうが、先ずこのアクチュエータ12の固定突部12cを開口11dに挿入した後に、アクチュエータ12を上方から押圧して、ストッパ12dの突出部を弾性変形させることにより、アクチュエータ12をベース板11に装着する。これと逆の手順によれば、アクチュエータ12をベース板11上から取り外すこともできる。
【0040】
また、このキースイッチでは、キートップ13の軸止め部13aに、アクチュエータ12の回転軸12bを圧入するためのスリットが設けられている。よって、軸止め部13aと回転軸12bとを係合させる際に、キートップ13を上方から押圧して、軸止め部13a及び回転軸12bを弾性変形させることにより、軸止め部13aと回転軸12bとを係合させるようになっている。これと逆の手順によれば、キートップ13をアクチュエータ12から取り外すこともできる。
【0041】
つまり、このキースイッチでは、ベース板11とアクチュエータ12、及びアクチュエータ12とキートップ13とが、それぞれ着脱自在に形成されている。したがって、このキースイッチでは、ベース板11に装着されているアクチュエータ12をこのベース板11から取り外し、その向きを180度反転した後に、再びベース板11に装着することにより、キートップ13を押下した際の回転降下方向を変更することが可能になる。
【0042】
以上のように、本実施の形態のキースイッチは、ベース板11上のクリックラバー3のドーム部3aを挟んで対向する2箇所に同一形状の固定部11a、11bを備えるとともに、これらとアクチュエータ12の固定突部12c及びストッパ12dとが、着脱自在に形成されている。したがって、アクチュエータ12をベース板11から一旦取り外した後に、その向きを180度反転して再び取り付けるといったことが可能になり、キートップ13を押下した際の回転降下方向を変更することができるようになる。これにより、このキースイッチでは、上述した第1の実施の形態の場合と同様に、全ての操作者にとって操作し易いものとなり、快適な入力操作と入力ミスの誘発などの防止を実現できる。
【0043】
また、本実施の形態のキースイッチは、ベース板11とキートップ13との間にアクチュエータ12が位置している。よって、キートップ13だけではなく、アクチュエータ12も揺動可能に構成すれば、第1の実施の形態のようにキートップ5だけが揺動する場合に比べて、キートップ13が押下されてから電気接点2bが接続されるまでのキートップ13の回転角度が小さくなる。したがって、このキースイッチでは、キースイッチ全体のストローク、具体的にはキートップ13の揺動端側のストロークを、より小さくすることができ、ノートパソコン等に用いるのに好適となる。
【0044】
なお、本実施の形態では、アクチュエータ12とキートップ13とも着脱自在に形成されているが、これはアクチュエータ12の着脱作業を容易にするためのものであり、キートップ13とアクチュエータ12とが着脱できなくても上述した効果を得ることができる。
さらに、本実施の形態では、回転軸12bがアクチュエータ12に、軸止め部13aがキートップ13に、それぞれ設けられている場合について説明したが、これらが逆に設けられていても実現可能であることはいうまでもない。
【0045】
ところで、本実施の形態では、キートップ13の回転降下方向を変更するために、アクチュエータ12の向きを180度反転するようになっているので、これに伴いキートップ13の向きも180度反転してしまう。
そこで、図5に示すように、キートップ13には、その一端近傍に設けられた軸止め部13aに加えて、他端にもこれと同様の軸止め部13cを設ける。そして、アクチュエータ12の向きを180度反転した後に、さらにキートップ13の向きも180度反転し、キートップ13の軸止め部13cをアクチュエータ12の回転軸12bに枢着させる。これにより、キートップ13の回転降下方向を変更しても、キートップ13表面の文字等の向きを逆にしてしまうことがない。
【0046】
また、以上に説明した第1、第2の実施の形態のキースイッチは、ベース板1、11上に複数のものを並設してもよい。つまり、これらのキースイッチを用いてキーボード装置を構成してもよい。この場合には、各キースイッチの回転降下方向を変更することが可能になるので、操作者毎に異なる設定(各キースイッチの回転降下方向の設定)で使用することができるようになり、全ての操作者にとって操作し易いものとすることができ、キーボード装置における確実な入力操作を可能にする。
【0047】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明のキースイッチは、キートップを一旦取り外した後に、その向きを180度反転させて再び取り付けるといったことが可能である。これにより、キートップを押下した際の回転降下方向を変更することができるようになり、全ての操作者にとって操作し易いものとなる。
【0048】
また、本発明のキースイッチを用いて構成したキーボード装置においては、各キースイッチの回転降下方向が変更できるので、操作者毎に異なる設定で操作することも可能となり、全ての操作者にとって操作し易く、快適な入力操作と入力ミスの誘発などの防止を実現できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるキースイッチの第1の実施の形態を示す側断面図である。
【図2】第1の実施の形態のキースイッチの変形例を示す側断面図である。
【図3】本発明に係わるキースイッチの第2の実施の形態を示す分解斜視図である。
【図4】図3に示すキースイッチの側断面図である。
【図5】第2の実施の形態のキースイッチの変形例を示す側断面図である。
【図6】従来のキースイッチの一例を示す図であり、(a)は分解斜視図、(b)は側断面図、(c)はキートップが押下されたときの側断面図である。
【符号の説明】
1、11 ベース板
2 メンブレンシート
2a 電気接点
3 クリックラバー
3a ドーム部
3b 天頂部
3c 突部
4 キースイッチベース
4b、4c 軸受け部
4d、4e ストッパ
4h、4i 軸受溝
5、13 キートップ
5c、5e 回転軸
11a、11b 固定部
11c、11d 開口
12 アクチュエータ
12b 回転軸
12c 固定突部
13a、13c 軸止め部

Claims (5)

  1. ベース板と、該ベース板上に設けられた電気接点と、該電気接点を覆うように形成されたドーム状の弾性体からなるクリックラバーと、該クリックラバーの天頂部に当接する略方形状のキートップとを備え、前記キートップが押下されると、前記クリックラバーが座屈変形し、前記クリックラバーの天頂部裏側に設けられた突部が前記電気接点を押圧するように構成されたキースイッチにおいて、
    前記ベース板上には、前記クリックラバーを挟んで対向する複数の支持固定部が設けられ、
    前記キートップには、その一端近傍に、前記支持固定部に枢着し、かつ、該支持固定部と着脱自在に形成された被支持部が設けられたことを特徴とするキースイッチ。
  2. 前記被支持部が、前記キートップの前記一端近傍に加えて、該一端近傍に対向する他端近傍にも設けられ、
    前記一端近傍と前記他端近傍に設けられた前記被支持部のうちの一方が、前記複数の支持固定部のうちの一方の支持固定部に枢着される
    ことを特徴とする請求項1記載のキースイッチ。
  3. ベース板と、該ベース板上に設けられた電気接点と、該電気接点を覆うように形成されたドーム状の弾性体からなるクリックラバーと、該クリックラバーの天頂部に当接する略方形状のキートップとを備え、前記キートップが押下されると、前記クリックラバーが座屈変形し、前記クリックラバーの天頂部裏側に設けられた突部が前記電気接点を押圧するように構成されたキースイッチにおいて、
    前記ベース板と前記キートップとの間に配設され、その一端近傍に前記キートップと係合する第1係合部を有し、かつ、他端近傍に前記ベース板と係合する第2係合部を有するアクチュエータと、
    前記キートップの一端近傍に設けられ、前記アクチュエータが有する第1係合部に枢着する被支持部と、
    前記ベース板上の前記クリックラバーを挟んで対向する複数箇所に設けられ、前記アクチュエータが有する第2係合部と係合してこれを支持する支持固定部とを備えてなり、
    前記第2係合部と前記支持固定部とを着脱自在に形成するとともに、前記第2係合部が複数箇所に設けられた前記支持固定部のいずれかと係合するように構成した
    ことを特徴とするキースイッチ。
  4. 前記被支持部が、前記キートップの前記一端近傍に加えて、該一端近傍に対向する他端近傍にも設けられるとともに、該被支持部は、前記第1係合部と着脱自在に形成され
    前記一端近傍と前記他端近傍に設けられた前記被支持部のうちの一方が、前記第1係合部に枢着される
    ことを特徴とする請求項3記載のキースイッチ。
  5. 請求項1、2、3または4記載のキースイッチを用いて構成したことを特徴とするキーボード装置。
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