JP3594421B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、調温された空気あるいは除湿された空気の吹出し方向を風向変更板で制御するように構成した空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
室内熱交換器で室内空気の調温を行うようにした空気調和機は、実開昭60−73050号公報などに記載されているものがある。この空気調和機では、風向変更板をモータで駆動させ、空気の吹出し方向を変更可能に構成しているものである。そして、モータを制御することによって、風向変更板をスイングさせる(揺動させる)ことも可能となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した空気調和機では、風向変更板をスイングさせると、その吹出される空気の風向が変えられるものの、周期的に風が身体に当たることもある。例えば、風が周期的に当たると、送風量を弱にしていたとしても使用者にとっては非常に不快感になることもある。特に、就寝中の使用者や、くつろいだ状態の使用者に規則的に風が当たると、前記不快感を感じやすい。このため、快適でない制御となることもある。規則的なスイングは予測可能であり、風が来そうだなと思いつつ風が当たると、不快感もより大きく感じてしまうものである。
【0004】
この発明は、特に、就寝時に快適な運転が行える空気調和機を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、吹出口に設けられ、この吹出口から吹出される空気の吹出し方向を上下方向に変える風向変更板と、この風向変更板を上下方向にスイングさせる駆動装置と、就寝の際に操作されるおやすみスイッチを有するリモートコントローラとを備えた空気調和機において、前記リモートコントローラのおやすみスイッチが操作されたときに、前記風向変更板のスイング時におけるスイングする角度、スイングする速度及びスイングする範囲のうち、少なくとも2つ以上を組み合わせた1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御とする制御手段を備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の空気調和機の実施例を図面に基き説明する。図2は本発明の空気調和機の冷媒回路図を示し、1は空気調和機、2は室内機、3は室外機、4は室内機と室外機とをつなぐ冷媒管で、空気調和機1はこれら室内機2、室外機3、冷媒管4で構成されている。
【0010】
6は能力可変型の圧縮機、7はマフラ、8は四方弁で、この四方弁は冷房運転及びドライ運転と、暖房運転とで切換えられるものである。9は室外熱交換器、10はキャピラリチューブで、このキャピラリチューブには冷房運転、ドライ運転、暖房運転のいずれの運転時においても冷媒が通過するものである。11は暖房用キャピラリチューブで、このキャピラリチューブには暖房運転時のみ冷媒が通過する。12は逆止弁で、図に示す矢印方向のみ冷媒を通過させるものである。13はストレーナ、14はサービスバルブ、15は室内熱交換器、16はサービスバルブ、17はマフラ、18はアキュームレータで、これら機器は冷媒管5A〜5D、4、5E〜5F、4、5H〜5Gで環状に接続されている。19は室外熱交換器9に室外空気を供給するための室外送風機、20は室内熱交換器15に室内空気を供給するための室内送風機(クロスフローファン)である。
【0011】
21は室内機2の運転を制御するための制御器(制御手段)、22は室外機3の運転を制御するための制御器で、これら制御器同士は配線23で接続され信号の授受を行えるようになっている。これら制御器21、22はマイクロコンピュータなどで構成され、制御器21は室内送風機20や風向変更板を制御し、制御器22は室外送風機19や圧縮機6などを制御する。
【0012】
図1は室内機及び室外機の外観図を示し、30は開閉自在の吸込グリル、31は風向変更板で、この変更板は上下方向への空気の吹出し方向を変えるためのものであり、吹出口に設けられている。尚、室内機に取り付けられているエアフィルタ、左右方向への空気の吹出方向を変えるための風向変更板などは図5に示す。室外機3における32は吹出口、33はバルブカバーである。
【0013】
図3はこの空気調和機の電気回路図を示し、まず最初に室内機側の電気回路について説明する。
【0014】
71はこの室内機側の制御装置に電源を供給するためのプラグ、72は電源スイッチ、73は電源基板、74は電源トランス、75は端子板温度ヒューズ、76はコントロール基板、77は風向変更板31を駆動させるためのモータ、78は表示基板で、表示LED79、赤外線信号を受信するための受信回路80、室温センサー81を備えている。尚、制御器21は主に電源基板21とコントロール基板76とで構成されている。82は室内熱交換器温度検知用の熱交温度センサー、83は室内送風機を駆動させるためのファンモータである。
【0015】
電源基板73に示す84は温度ヒューズ、85はシリアル回路、86はフィルタ、87はパワーリレー、88はFMC、89は12V電源、90は5V電源、91は本体スイッチである。コントロール基板76に示す92はモータ77を駆動させるための駆動回路、93はサービスランプ、94はマイクロコンピュータ(マイコン)、95は外部ROM、150はモータ83の位置検出用のホールアイシー、96は端子である。
【0016】
98は端子、151はヒューズ、99はコントロール回路(制御手段)、100は四方弁、101は室外送風機用のファンモータ、102はリアクタ、103はダイオード、104は電解コンデンサ、105は電解コンデンサ、106は外気温検知用の外気温センサー、107は室外熱交換器検知用の熱交温度センサー、108は圧縮機温度検知用の圧縮機温度センサーである。尚、図2の制御器22は主にコントロール基板99から構成されていると考えてよい。
【0017】
コントロール基板99における109はシリアル回路、110はノイズフィルタ、111はノイズフィルタ、112はヒューズ、113はヒューズ、114はスイッチング電源回路、115はマイクロコンピュータ(マイコン)、116は駆動回路、117は外部ROM、118はハイブリッドアイシー、119は駆動回路、120はリレー、121はFMCである。
【0018】
図4は、空気調和機を制御するためのワイヤレス式のリモートコントローラ(以下、リモコンという)41の正面図を示し、42は液晶表示部、43は運転スイッチ、44は1時間だけ運転させるための1時間タイマスイッチ、45は設定温度を上下させるためのスイッチ、46は風向を設定するための風向スイッチ、47は風量を設定するための風量スイッチ、48は運転を切換るための切換スイッチ、49は入タイマースイッチ、50は切タイマースイッチ、51はタイマーの予約を設定するための予約スイッチ、52はタイマーの設定を取消すための取消スイッチ、53は電気カーペットを使用する際に押されると電気代を節約する制御を行うためのスイッチ、54は就寝の際に押されると比較的音の静かな運転(通常より室内送風機の送風量及び圧縮機の回転速度、並びに設定温度を低下させた運転)を行うためのおやすみスイッチ(特定のスイッチ)である。風向スイッチ46が押される毎に、その設定及び表示(液晶表示部での表示は示さず)が、▲1▼の位置、▲2▼の位置、▲3▼の位置、▲4▼の位置、▲5▼の位置、▲6▼の位置、自動、スイングに切換わる。55はスイッチ46〜54を覆うカバーで、下方向にスライドさせることにより、スイッチなどを操作可能に露出させるものである。尚、この図4のリモコンの正面図は、カバー55を下方向にスライドさせた状態を示している。
【0019】
図5は室内機と空気の吹出し方向との関係を説明するためのものである。61、62は外装体、63はエアフィルタ、64は空気清浄フィルタ、65はドレンパン、66は吹出口、67は左右方向の空気の吹出し方向を変えるための風向変更板である。風向変更板67、31は夫々縦羽根、横羽根とも呼ばれることもある。風向変更板31は図示しないモータ(駆動装置)に連結されており、その方向が変えられることにより、▲1▼〜▲6▼の方向に空気を吹出すことが可能となっている。
【0020】
通常、風向変更板21は冷房運転やドライ運転では▲4▼、▲5▼、▲6▼の何れかの位置で使用されることが望ましく、暖房運転では▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼の何れかの位置で使用されるのが望ましいとされている。また、この空気調和機では、冷房運転及びドライ運転でのスイングは▲3▼〜▲6▼の範囲で行われ、暖房運転でのスイングは▲1▼〜▲4▼の範囲で行われるよう設定されている。
【0021】
図6は時間に対する風向の変化を示しており、縦軸の▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼は図5の空気の吹出方向▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼に対応している。図5に示す実線は本願発明の制御を示す制御波形であり、▲6▼の方向をスイングの出発点とし、▲4▼と▲5▼との中間点をスイングするゆらぎの基準点として、最小のスイング角度は▲5▼の方向まで、最大のスイング角度は▲3▼までというように、スイング角度が不規則に制御される。この不規則な制御は、この実施例では1/fゆらぎに基いた制御で行っている。
【0022】
具体的な制御は図6に示すように、▲6▼方向を出発点とし、最初のスイング角度はα1まで、次はα2まで、その次はα3までというように、スイングする角度がゆらいでいる。尚、図6に示す点線は従来の制御を示す制御波形であり、スイングするスピードは同一スピードであり、且つ、スイングする角度が常に▲3▼の方向までである。前記α1、α2、α3の順序や角度は、1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御となるように演算されており、この演算で出された結果に基いて、角度が制御されるものである。
【0023】
ここで、空気の吹出し方向(吹出し角度)αの演算方法について説明する。まず最初に、制御器21は、マイコン94の外部ROM95等に予め記憶された運転周波数のゆらぎデータDT(X)を取り込む。このゆらぎデータは、時系列的に連なり、かつ値が+1.5〜−1.5の範囲内で不規則に変化するように(値にゆらぎが生ずるように)各々の値が設定された複数(Xmax 個)のデータ(DT(1),DT(2),…)で構成されている。個々のデータの値は、具体的には次の(1)式に示すカオス演算式を用い、1/fのパワースペクトルとなるように求められている。
【0024】
Xn+1 =(Xn+Xn 1.5)MODl ・・・(1)
但し、Xnの初期値Xo =0.2
この1/fのパワースペクトルとなるゆらぎ、所謂1/fゆらぎは、人間の脈拍の変化もその一例とされ、人間に格別の快適感を与えるといわれている。このため、上記のようにして求めた運転周波数のゆらぎデータを用いてドライ運転を行うことにより、在室者に格別の快適感を与えることができるようにしている。
【0025】
そして、制御器21は前記取り込んだゆらぎデータDT(X)に基づいて、次の(2)式に従って吹出し方向αを演算する。
【0026】
α=ST+DT(X) ・・・(2)
但し、ゆらぎの基準点のSTは、前述に説明したとおり▲4▼と▲5▼との間の4.5であり、この位置は▲4▼と▲5▼との丁度中間の位置である。
【0027】
この(2)の式で演算された吹出し方向αに風向変更板の方向が制御される。
【0028】
このように構成された空気調和機では次に説明するように動作する。まず、「風向」がスイングになっているか否か制御器が判断する。「風向」がスイングになっていれば、次に、リモコンのおやすみスイッチ54が押されたか否かを制御器が判断する。制御器は、おやすみスイッチが押されていれば、図5に示すようなスイングを行わせるようにモータの運転を制御することによって風向変更板31のスイングを制御する。
【0029】
ワイヤレスリモコンで冷房運転が設定されていれば、あるいは自動運転が設定されていて室内温度等の検知データにより冷房運転が行われる場合は、図6の実線に示すように風向変更板が制御される。そして、例えば、使用者の身体に吹出される空気が当たるような位置に使用者が居たとしても、吹出される空気の吹出し方向が1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御となっていて、不規則であってその不規則さがより自然のそよ風に近く、周期的に空気が当たるような不快感を極力抑えることができる。
【0030】
また、この実施例では、おやすみスイッチと連動する手段を備え、おやすみスイッチに風向変更板のゆらぎ制御を連動させているので、使用者の好みに応じて任意にゆらぎ制御を行わせることができる。尚、この連動手段は、制御器の制御手順により実現しているので、メカ的な連動手段は備えていない。
【0031】
図7に本発明の第2実施例の空気調和機における、風向変更板の制御を示す。図6と異なるのは、図6では風向変更板のスイング角度をゆらぐように制御していたが、この図7ではスイングする速度をゆらぐよう制御している点である。図面に沿って説明すれば、方向、すなわち角度を縦軸にとっているので、傾きがそのまま風向変更板のスイング速度として表されることになる。そして、速度β1やβ2やβ3が夫々異なるように、スイング速度が異なっており、ゆらいでいる。このβ1、β2、β3の順序や角度は、第1実施例と同様に1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御となるように演算されており、この演算で求められた結果に基いて、角度が制御されるものである。例えば、スイングの1周期が7.5秒を基準として、プラスマイナス1.5秒の時間幅でゆらぐよう制御するようにしている。このため、1番速いスイング時間(1周期に要する時間)は6秒であり、一番遅いスイング時間は9秒である。また、一点鎖線Aで示すように、1周期の中でスイング速度がゆらぐように(直線にせずに曲線になるように)制御してもよい。
【0032】
図8に本発明の第3実施例における、風向変更板の制御を示す。図6や図7と異なるのは、図6では風向変更板のスイング角度がゆらぐように制御しており、図7ではスイングする速度がゆらぐように制御しているが、この図8ではスイングする範囲がゆらぐよう制御している点である。図面に沿って説明すれば、最初のスイングの範囲はγ1の範囲であり、次のスイングの範囲はγ2であり、その次の範囲はγ3であり、更にその次の範囲はγ4というように、スイングする範囲がゆらいでいる。このγ1、γ2、γ3の範囲や範囲は、第1、第2実施例と同様に、1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御となるように演算されており、この演算で出された結果に基いて、範囲が制御されるものである。
【0034】
また、これらの3つの実施例で、風向変更板のスイングする角度、速度、範囲を夫々個別に制御するように説明したが、これらのうち、2つ(例えば、スイングする角度と速度との2つを制御する)あるいは3つを組合わせた制御を行うことが良い。
【0036】
【発明の効果】
この発明によれば、吹出口に設けられ、この吹出口から吹出される空気の吹出し方向を上下方向に変える風向変更板と、この風向変更板を上下方向にスイングさせる駆動装置と、就寝の際に操作されるおやすみスイッチを有するリモートコントローラとを備えた空気調和機において、前記リモートコントローラのおやすみスイッチが操作されたときに、前記風向変更板のスイング時におけるスイングする角度、スイングする速度及びスイングする範囲のうち、少なくとも2つ以上を組み合わせた1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御とする制御手段を備えた構成であるから、就寝時におやすみスイッチを操作すると、使用者に規則正しく空気が当たるようなことはなく、しかも、空気が当たるようなことがあってもその周期は不規則であるので、自然のそよ風に近く、就寝時における不快感を極力抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の空気調和機の室内機と室外機とを示す外観斜視図である。
【図2】同空気調和機を示す冷媒回路図である。
【図3】同空気調和機の電気回路図である。
【図4】同空気調和機を制御するためのリモートコントローラの正面図である。
【図5】同空気調和機の室内機と空気の吹出し方向との関係を示す説明図である。
【図6】同空気調和機の冷房運転時における空気の吹出し方向を示す説明図である。
【図7】この発明の第2実施例の空気調和機の冷房運転時における空気の吹出し方向を示す説明図である。
【図8】この発明の第3実施例の空気調和機の冷房運転時における空気の吹出し方向を示す説明図である。
【符号の説明】
1 空気調和機
21 制御器(制御手段)
31 風向変更板
41 リモートコントローラ(リモコン)
54 おやすみスイッチ(特定のスイッチ)
66 吹出口
67 風向変更板
Claims (1)
- 吹出口に設けられ、この吹出口から吹出される空気の吹出し方向を上下方向に変える風向変更板と、この風向変更板を上下方向にスイングさせる駆動装置と、就寝の際に操作されるおやすみスイッチを有するリモートコントローラとを備えた空気調和機において、前記リモートコントローラのおやすみスイッチが操作されたときに、前記風向変更板のスイング時におけるスイングする角度、スイングする速度及びスイングする範囲のうち、少なくとも2つ以上を組み合わせた1/fゆらぎに基いたゆらぎ制御とする制御手段を備えたことを特徴とする空気調和機。
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