JP3594043B2 - 脱臭フィルター及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は空気清浄器や車載用の外気導入時の臭気対策用に使用される低圧力損失であり、かつ高脱臭性能を有する事を特徴とする脱臭フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
3次元網状構造を有するポリウレタンフォームを基材とした従来の脱臭フィルターの構造は表裏面共平面構造であった。この為、従来の技術いわゆる特公平4−35201号に見る様に、3次元網状化骨格構造を有するポリウレタンフォームの骨格表面及び内部に塗布された非溶剤系バインダー層と、該バインダー層に脱臭剤粒子の一部が接触して固着され残部が露出した、ポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する脱臭剤粒子とからなることを特徴とする表裏面共平面構造の脱臭フィルターの場合、脱臭性能を高める為に脱臭剤の付着量を上げようとすると圧力損失が次第に増加するといった問題が有った。この為、圧力損失的に厳しい用途については高付着量を有する脱臭フィルターの適用が出来なかった。
また、空気清浄フィルターの様に両面フラット構造のシート状集塵フィルターとの複合状態で使用した場合、その圧力損失は個々の材質の圧力損失の和として現わされる傾向にあった為、圧力損失的に厳しい用途については脱臭フィルター及び集塵フィルターの目付量を落し性能を犠牲にせざるを得なかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、従来のこの問題点について検討した結果、脱臭フィルターの構造的なものに起因することをつきとめ、脱臭フィルターの少なくとも表面或いは表・裏面の形状を凹凸化立体構造にする事で前記、特公平4−35201号記載の後付着法による脱臭フィルターの欠点であった脱臭剤付着量向上に伴う圧力損失の増加の問題を解消したタイプの脱臭フィルターの開発に成功した。
更に本発明者らは、本脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状集塵フィルターを重ね合わせ、または接着する事により、脱臭フィルターの表面積の効果により複合状態の圧力損失を個々の材質の圧力損失の和以下に抑える事が可能で有る事を実験的に証明した。この事により同一圧力損失下で従来品以上の高性能化を図る事が可能となった。
また、極めて低い圧力損失を要求される用途についは脱臭剤とバインダーをベースとし混練したスラリーを表面或いは表・裏面の形状を凹凸化立体構造とした3次元網状構造を有するポリウレタンフォーム基材に含浸、乾燥する事により、請求項2乃至3のタイプの脱臭性能よりは劣るがフラット構造のものと比べ、より低圧力損失の脱臭フィルターを得る事が出来る特徴を有する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、本発明の手段として、請求項1に記載のように、3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームに脱臭剤粒子をバインダーを用いて固着し、その表面および表裏面の形状を凹凸化立体構造とし、かつ、当該凹凸化立体構造を有する面にシート状の集塵フィルター(商品名EB−20N;三井石油化学工業社製)を重ね合わせ、または接着してなることを特徴とする脱臭フィルターとした。こうすることにより、従来の平面状のものと比較し同一圧力損失対比で、より脱臭剤付着量を稼いだタイプの脱臭フィルター材を得ることができるのみならず、脱臭フィルターの凹凸化立体構造による表面積の効果により圧力損失を抑えたタイプの集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターを提供する事が可能である。表面および表裏面の形状を凹凸化立体構造とする具体的な方法としては、3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームをあらかじめプロファイル加工や二次元カッターで凹凸化立体構造とすることが考えられる。また、3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームに脱臭剤をバインダーを用いて付着した後この様な凹凸化立体構造に加工してもよいが加工時のロスや脱臭性能への影響を考慮すると、あらかじめ凹凸化立体構造に加工した後に脱臭剤をバインダーを用いて付着加工した方が望ましい。
【0005】
凹凸化立体構造はプロファイル加工によって得られる片面のみのものや、二次元カッターによる加工で得られるプリーツ状の表裏面共凹凸化立体構造に加工にしたものが考えられる。また、プロファイル加工によって得られる片面のみを凹凸化立体構造としたものを単純にフラット面同士を重ね合わせたものや接着加工し表裏面共凹凸化立体構造にした脱臭フィルターが考えられるが、いずれも製品の許容厚み、圧力損失、脱臭剤付着量を考慮にいれ、用途毎に最大の脱臭剤付着量が得られる様に適宜選択設計すると良い。
脱臭剤の付着加工の方法は、あらかじめ脱臭剤とバインダーを主剤とした混練スラリーを含浸、乾燥加工する方法や請求項2乃至3記載のものが考えられるが圧力損失重視の場合は前記の方法が望ましく、また脱臭性能重視の場合は後記のものが望ましい。
【0006】
請求項2に記載の様に、3次元網状骨格化構造を有するポリウレタンフォームの骨格表面及び内部に塗布された非溶剤系バインダー層と、該バインダー層に脱臭剤粒子の一部が接触して固着され残部が露出した、ポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する脱臭剤とからなる脱臭フィルター、いわゆる特公平4−35201号の請求項1記載の脱臭フィルターにおいて、本特許ではその脱臭フィルターの表面および表裏面の形状を凹凸化立体構造とすることにより従来の特公平4−35201号の請求項1記載の平面状のものと比較し同一圧力損失対比でより多くの脱臭剤を付着する事の可能な脱臭フィルター材を得ることができる為、圧力損失的に厳しい用途についても高脱臭性能の脱臭フィルターを提供することが可能になった。
【0007】
請求項3記載の脱臭フィルターは、3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームの骨格表面及び内部に塗布された非溶剤系バインダー層と、該バインダー層に脱臭剤粒子の一部が接触して固着され残部が露出した、ポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する脱臭剤とからなり、且つ表層に非溶剤系バインダーが塗布されてなることを特徴とする脱臭フィルター、いわゆる特公平4−35201号の請求項2記載の脱臭フィルターにおいて、その表面および表裏面の形状を凹凸化立体構造としたことを特徴とする脱臭フィルターであり、このような手段により得られた脱臭フィルターは、請求項2記載のものに比べ表層に非溶剤系バインダーが塗布されていることにより脱臭性能は幾分劣るが脱臭剤の粉落ちが問題となる用途に対しても低圧力損失、高脱臭性能の脱臭フィルターを提供することが出来る特徴を有する。
【0008】
請求項4記載の脱臭剤は請求項1乃至3記載の脱臭フィルターに用いる脱臭剤に関するものであり脱臭剤として、活性炭、ゼオライト、無機系化学脱臭剤、脱臭性能を有する触媒物質、イオン交換樹脂などが上げられる。
請求項1乃至3記載の脱臭フィルターに用いる脱臭剤の粒子径はポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する上記脱臭剤を用いることにより三次網状骨格構造を有するポリウレタンフォームの内部迄均一に脱臭剤粒子を付着加工することが可能になる。
いわゆる粗大セル(孔)である6PPI(PPIは1インチ直線上の孔の数)のウレタンフォーム基材を用いた場合には、そのセル数より脱臭剤の平均粒子径を計算すると、25.4mm/6ケ =4.23mmに対し50分の1の値、に相当する0.085mmの平均粒子径を有する脱臭剤から、4.23mmに対し1.5分の1以下の値に相当する2.82mmの平均粒子を有する脱臭剤が上げられ、この範囲の中で目的に応じ適宜選択設計することが望ましい、また、細かいセル数として20PPIのものを用いた場合は、同様の計算にて算出すると脱臭剤平均粒子は0.025mm以上0.85mm以下となり、この範囲の中より目的に応じ適宜選択設計するとよい。
単位体積あたりの脱臭剤付着量を稼ぐと言った面からは、ウレタンフォーム基材のセル数に応じた最大粒径の脱臭剤を選択するとよい。
また、あらかじめバインダーと脱臭剤粒子を混練しスラリーを作成、含浸、乾燥加工により脱臭フィルターを得る場合には0.05mm以下の粒度のものを用いる事により脱臭剤のスラリー中での分散性を高める事できる。
【0009】
請求項5記載のバインダーは、脱臭剤をフィルター基材に固着するためのもであり、脱臭性能への影響、製造加工時の取り扱いの簡便さ、環境への配慮の面より、バインダ−の種類は非溶剤系であることが好ましい。
非溶剤系バインダーの種類については特に問わないが目的とする脱臭剤とフィルター基材への付着性を考慮に入れ接着性の良好なものを適宜選択するとよい。
【0011】
次に本発明の詳細について説明する。
本発明の要旨は、脱臭フィルターにおいて、圧力損失を抑え、単位面積あたりの脱臭剤付着量を出来るだけ多くする為に、本発明者らは、脱臭フィルターの表面或いは表裏面を凹凸化立体構造とすることにより、空気の流れと垂直方向の見掛けの表面積を増加させる事により低圧力損失化が図れることに着目した。更に本発明者らは、当該脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状の集塵フィルターを重ね合わせる事による圧力損失への影響についても検討した結果、従来の表裏面共平面タイプのものと比べ低圧力損失で且つ、集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターを得られる事が出来る事を確認した。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、その具体的な方法として先ず第一に製造加工時における脱臭性能の低下の要因を出来るだけ取り除くという観点から、予めフィルター基材を凹凸化立体構造としておき、その後で脱臭剤粒子をバインダーを用いて付着加工する方法を検討した。
脱臭剤粒子のフィルター基材への固着の方法としは、予めフィルター基材へバインダーを均一に含浸・付着させ、乾燥させた後、バインダーのタック力を利用して脱臭剤粒子をフィルター基材の表裏面及び内部に均一に固着させる方法を採用した。いわゆる前述の従来技術である「特公平4−35201号」の脱臭フィルターにおける脱臭剤付着の方法である。
第二に、本脱臭フィルターとシート状集塵フィルターを複合した際の圧力損失を確認する為に、本脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状の集塵フィルターを重ね合わせて密着させ、凹凸化立体構造を有する面が空気の流れと垂直方向になる様にセットした集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターについて検討した。
【0013】
【作用】
上記脱臭フィルタ−の試作、評価の結果〔表1〜2〕の様に、脱臭フィルターを凹凸化立体構造とすることにより、圧力損失を抑え、単位面積あたりの脱臭剤の付着量を増加させることが可能となった。更に、本脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状の集塵フィルターを重ね合わせ密着させる事により従来の表裏面共平面タイプのものと比べ同一の集塵フィルターを使用しても脱臭剤付着量を稼ぎ且つ、圧力損失を抑えた集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターを提供する事ができ圧力損失的に厳しい用途についても高性能の脱臭フィルターを展開する事が可能となった。
【0014】
【実施例】
以下、幾つかの実施例・比較例・参考例を示して、本発明を具体的に説明するが、勿論これらの実施例に限定されるものではない。本実施例にて使用した材料は次に示す通りである。
【0015】
[参考例1〜2]は、脱臭フィルターの基材としては3次元網状化骨格構造を有するポリウレタンフォーム((株)ブリヂストン社製「エバーライトSF/QWK−09:セル10ppi」)を用い、脱臭剤を該フィルター基材に固着させる為のバインダーとしてはアクリル系エマルジョン「EW−2501」(固形分50%:総研化学社製)を用いた。また脱臭剤は、やし殻活性炭(北越炭素工業社製:Y−45、平均粒子径0.355mm品)を用いた。
【0016】
[参考例1]
フィルター基材としては上記エバーライトSF(QWK−06)、寸法1000mm×1000mm×17mmt品を用い、これをプロファイル裁断機でフラット面から谷間までの高さ5mm、また、フラット面から山頂迄の高さ12mm、山頂から山頂迄の間隔を30mmの片面を凹凸化立体構造としたフィルター基材をプロファイル裁断加工により作成し、次に該フィルター基材を500mm×500mmに裁断した。前述のバインダーを用いて上記フィルター基材に浸漬・含浸させた後、ロールで余分のバインダーを除去し、110℃×5分にて乾燥させた。この時点でのバインダーの付着量は、フィルター基材に対して30g/l(dry)となるように調整した。このようにして得られたバインダー付着状態のフィルター基材は3次元網状骨格構造上にほぼ均一にバインダーが塗布された状態となり、該バインダーによって生じたタック力を利用して、活性炭をバインダー処理を施した凹凸化立体構造を有する当該フィルター基材の凹凸化立体構造面側よりフィード・固着させ、またフラット面は当該フィルター基材を反転させた後、再度活性炭をフィ−ドさせる事により活性炭を付着させ、その後余分な活性炭を取り除き目的とする脱臭フィルターを得た。
【0017】
当該フィルター基材は3次元網状骨格構造を有していることにより、活性炭粒子はこの骨格状に付着されながら骨格間を通り抜け、内部骨格にも固着される。このようにして得られた片面凹凸化立体構造を有する活性炭フィルターは山部の内部迄均一に活性炭が固着されている為、脱臭フィルターの内部濾過機能により高風速域でも効率的に脱臭剤が臭気成分に対し接触除去出来る特徴を有する。
【0018】
[参考例2]
フィルター基材として参考例1と同様の材質を1000mm×1000mm×15mmtのシ−トに裁断し、これをプロファイル裁断機にてフラット面から谷間での高さ5mm、フラット面から山の頂点迄の高さ10mm、山の頂点から山の頂点迄の距離を30mmの片面を凹凸化立体構造としたフィルター基材を作成し、参考例1と同様の方法でバインダーがフォーム基材に対して30g/l(dry)となるように含浸・乾燥させ、その後、活性炭を参考例1と同様の方法で付着加工させ、余分の活性炭を取り除き目的とする脱臭フィルターを得た。〔図−4〕参照
【0019】
[比較例1]
比較例1は、特公平4−35201号に基づいたタイプの脱臭フィルターでフィルター基材として実施例1〜2と同様の材質を用い厚さ5mmt×500mm×500mmに裁断した。その後本フィルタ−基材を実施例1と同様のバインダーを用いてバインダーがフィルター基材に対して30g/l(dry)となる様に含浸・乾燥処理加工した後、参考例1と同様の方法で同活性炭を付着させ余分の活性炭を取り除き比較評価の為の脱臭フィルターを作成した。
【0020】
[比較例2、3]
フィルター基材である「エバーライトSF QWK−09」の厚みを7mm及び12mmとした以外は比較例1と同様にして脱臭フィルターを得た。
厚み12mmの比較例3の脱臭フィルタ−は、〔表1〕に見る様にフィルター基材の内部まで活性炭が付着出来ず付着むらが生じている。この為、平均粒子径0.355mmの活性炭を用いフィルター基材の内部まで均一に付着加工可能な厚みは従来技術の範囲ではフィルター厚み7mm程度である事が判る。
【0021】
すなわち、比較例1〜3は、フィルター基材を両面フラット構造とすることによりなる脱臭フィルターであり、参考例1〜2は、片面を凹凸化立体構造とすることによりなる脱臭フィルターである。
【0022】
以上に記載の参考例、比較例は片面凹凸化立体構造の脱臭フィルターと従来の両面平面構造の脱臭フィルターとの対比に関するもので、それぞれにおける脱臭剤の付着量及び圧力損失についての結果を〔表1〕に示した。
【0023】
【表1】
【0024】
以下に記載の実施例、比較例は請求項6、すなわち、集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターに関するものである。
【0025】
[実施例1、2及び比較例4、5]
実施例1、2は参考例1,2の脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状集塵フィルターを凹凸面に添って重ね合わせたものである。(〔図−5〕参照)。また、シート状集塵フィルターとしては三井石油化学工業社製の「EB−20N」を用いた。比較例4、5は参考例1,2の脱臭フィルターのフラット面に上記と同様のシート状集塵フィルターを重ね合わせたものであり、実施例1と比較例4または実施例2と比較例5の圧力損失の比較を行う為のものである。
【0026】
[比較例6]
比較例6は、従来技術(特公平4−35201号)に基づく両面フラット構造の比較例2の脱臭フィルターに上記と同様のシ−ト状集塵フィルターを重ね合わせたものであり、シート状集塵フィルター複合状態での従来技術と本特許の請求項1を比較するものである。
【0027】
凹凸化立体構造を有する脱臭フィルターとシート状集塵フィルターを複合した際の圧力損失の試験結果を〔表2〕に示す。本結果より従来の技術に見られる比較例6や比較例4、5の様に脱臭フィルターのフラット面にシート状集塵フィルターを重ね合わせたものの圧力損失は、個々のフィルターの圧力損失の和にほぼ等しい結果が得られているが、実施例1、2の様に凹凸化立体構造を有する面にシート状集塵フィルターを重ね合わせることにより、実施例1で比較例4対比、約27%もの圧力損失を落とすことが出来、また、実施例2で比較例5対比約24%の圧力損失を落とすことができた。
【0028】
以上、前述の参考例、実施例及び比較例の評価方法は下記に示す通りに行った。参考例1,2、実施例1,2、比較例1〜6の「圧力損失の測定」は、〔図−1〕に示す日本空気清浄協会指定の第2試験方法に準拠した縦型風洞を用いて各風速時の圧力損失を測定した。また、この時、参考例1,2、実施例1,2、比較例4〜5は凹凸化立体構造を有する面が風上となる様に配慮した。これらの試料は上記のt×500mm×500mmよりt×250mm×250mmに裁断し〔図−1〕の試験器にセットした。本評価結果を〔表1〕及び〔表2〕に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
また、〔表1〕即ち、参考例1〜2乃至、比較例1〜3における活性炭付着量の測定は前述の試作片の重量を小数点下1桁量れる電子天びんを用い量りウレタンフォームの重量と付着バインダーの重量を差引き算出した。脱臭性能の評価は、社団法人日本電機工業会指定の脱臭性能試験法を参考にし検知ガスとしてスチレンの検知管を用いた。スチレン検知管による吸引回数は標準の4ストロークとした。
【0031】
本来、社団法人日本電機工業会指定の評価ガスはアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸、を評価の指標としているが、これらの臭気の内、アセトアルデヒドやアンモニアは本試作に用いた未添着の活性炭では、ほとんど脱臭性能を示さない為、評価ガスとして適さない事と、弊社のこれまでのタバコ臭に対する研究の結果、タバコ臭に対しては社団法人日本電機工業会指定のアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸、等の極性ガスよりは、むしろ無極性炭化水素系ガスの方が実際の官能臭との相関が極めて高かった為である。
そこで、無極性炭化水素系ガスの中で実際に1m3 ボックス試験でのタバコ臭脱臭性能の評価ガスとして検知管で容易に検知可能な対象ガスを探索した結果スチレンの検知管である(株)ガステック社 製NO.124L型が傾向ある発色を呈した事により本評価に上記のスチレンの検知管を用い測定した。
【0032】
また、本試験に用いた空気清浄器はシャープ(株)製のFU−52E−Hで運転条件は手動の強とした。本試験に用いた評価サンプルは、対象となる臭気がタバコ臭である為、タバコの煙を取り除く目的でシート状集塵フィルターと複合させた実施例1及び2と比較例6をベースとし個々のフィルターについてそれぞれ評価した。具体的な評価方法は後述の〔図−2〕の装置を用いて次の通りの方法で行った。
【0033】
(測定方法)
▲1▼、1m×1m×1mのボックス内に評価サンプルをセットした空気清浄器をセットし、指定の喫煙器にて1回の評価に対しマイルドセブンを5本を喫煙させる。
▲2▼、タバコが燃焼中は空気清浄器を停止しさせておく。
▲3▼、空気清浄器は、扉を開けないでリモコンで運転の入切を行う。
▲4▼、攪拌ファンは空気清浄器運転時だけ停止する。
▲5▼、(株)ガステック社製NO.124L型のスチレン検知管を用い初期ガス濃度の測定を行う。初期ガス濃度の測定はタバコの燃焼が終了した後3分後とする。
▲6▼、空気清浄器を30分間運転させた後、運転を中止し残存ガス濃度を上記スチレン検知管を用い測定する。
▲7▼、上記▲1▼〜▲6▼を繰り返し下式により各試験回数毎の除去率を算出する。
【数1】
本評価に用いたサンプルはサイズをt×336mm×308mmとなる様裁断し上記空気清浄器にセットした。
結果を〔図−3〕に示す。
【0034】
本脱臭性能の評価を行った目的は、凹凸化立体構造の低圧力損失化による脱臭性能の影響を実機装着レベルで確認する為であり、〔表2〕より、実施例2の脱臭フィルタ−は従来技術に基づく比較例6に比べ同一活性炭付着量を有するにも係らず圧力損失は約33%低く抑える事が出来る。また、脱臭性能は〔図−3〕の様に比較例6と同等レベルとなっており、凹凸化立体構造の低圧力損失化による脱臭性能への悪影響は確認されなかった。実施例1の様に、更に活性炭付着量を増すと、実施例2よりも脱臭性能を高める事が出来、しかも比較例6以下の圧力損失に抑える事が可能である。この様に脱臭フィルターの形状を凹凸化立体構造にする事によりシート状集塵フィルターとの複合状態では、更に大幅な低圧力損失効果を得ることが出来る。
【0035】
【発明の効果】
▲1▼ 3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームをベースとして、その表面及び表裏面を凹凸化立体構造とすることにより、圧力損失を抑え、単体面積あたりの脱臭剤付着量を増した低圧力損失、高脱臭性能を有する脱臭フィルターを提供することが可能である。
▲2▼ 上記▲1▼の脱臭フィルターの凹凸化立体構造を有する面にシート状集塵フィルターをセットすることにより、集塵フィルターとの複合化による圧力損失の向上を抑えた集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターを提供することが可能である。
上記の本発明の効果により、低圧力損失で且つ高脱臭性能を有する脱臭フィルターとして広範な適用が期待出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】日本空気清浄協会指定の第2試験方法に準拠した縦型風洞による圧力損失の評価試験該略図。
【図2】社団法人日本電機工業会指定の1m3ボックス試験に基づくタバコ臭の脱臭性能の評価試験器該略図。
【図3】実施例1〜2及び比較例6〜7における〔図2〕の評価試験器を用い、上記7の方法にて算出した各試験回数毎の脱臭性能を〔図3〕に示す。
【図4】参考例1乃至2の脱臭フィルター
【図5】請求項1に基づく実施例1乃至2の集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルター
Claims (6)
- 3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームをフィルターの基材とし、該基材にバインダーを用い脱臭剤粒子を固着させた脱臭フィルターであって、その脱臭フィルターの少なくとも表面或いは表・裏面の形状が凹凸化立体構造であり、かつ当該凹凸化立体構造を有する面にシート状の集塵フィルター(商品名EB−20N;三井石油化学工業社製)を重ね合わせ、または接着してなることを特徴とする集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルター。
- 3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームの骨格表面及び内部に塗布された非溶剤系バインダー層と、該バインダー層に脱臭剤粒子の一部が接触して固着され残部が露出した、ポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する脱臭剤粒子とからなることを特徴とする請求項1記載の脱臭フィルター。
- 3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームの骨格表面及び内部に塗布された非溶剤系バインダー層と、該バインダー層に脱臭剤粒子の一部が接触して固着され残部が露出した、ポリウレタンフォームの平均骨格間距離の50分の1以上、1.5分の1以下の平均粒子径を有する脱臭剤粒子とからなり且つ表層に非溶剤系バインダーが塗布されてなることを特徴とする請求項1記載の脱臭フィルター。
- 上記脱臭剤粒子が、活性炭、ゼオライト、無機系化学脱臭剤、脱臭触媒、イオン交換樹脂などの脱臭性能を有する粒子状の脱臭剤である事を特徴とする請求項1乃至3記載の脱臭フィルター。
- 上記バインダーが非溶剤系バインダーである事を特徴とする請求項1乃至4記載の脱臭フィルター。
- 集塵機能を兼ね備えた脱臭フィルターの製造方法であって、3次元網状骨格構造を有するポリウレタンフォームをフィルターの基材とし、該基材にバインダーを用い脱臭剤粒子を固着させて脱臭フィルター材を形成する工程と、その脱臭フィルター材の少なくとも表面或いは表・裏面の形状を凹凸化立体構造に加工する工程と、その凹凸化立体構造に加工された面にシート状の集塵フィルター(商品名EB−20N;三井石油化学工業社製)を重ね合わせ、または接着する工程と、を有することを特徴とする脱臭フィルターの製造方法。
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