JP3593432B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関し、さらに詳しくは、バック面側から露光された光学情報を記録するためのハロゲン化銀乳剤層を有し、記録された光学情報が現像処理後に、その情報を読みとるのに十分な濃度を持つハロゲン化銀カラー写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料、特に撮影用カラー写真感光材料は、優れた画像を与えることが強く要望される。
【0003】
また、カメラによる撮影時に、支持体に対してハロゲン化銀乳剤層が塗布してある感材表面側とは反対のバック面側から撮影日時などを露光し光学的に記録することが行われている。この情報は、現像処理後に感材表面から露光された被写体の画像とともに光学記録される。
【0004】
この光学記録は、被写体の画像が記録されている画面外(未露光部)に記録される場合もあるが、多くは、被写体の画像が記録されている画面内の周辺に近い部分(例えば画面右下)に記録されている。
【0005】
このため、表面から露光された被写体の画像の色、濃度、形状などによっては非常に読みとり難くなることがあり改良が要望された。
【0006】
乳剤層とハレーション防止層中の例えば、黒色コロイド銀などのような着色物の塗布量を低下させていくとバック面側からの露光量が増え、光学記録の濃度をある程度あげることは可能である。
【0007】
この方法では、表面側からの被写体の画像濃度が低い部分ではバック面側からの光学記録の濃度を上げる効果は見られるが、表面側からの被写体の画像濃度が高い部分における光学記録の濃度を上げる効果は小さい。
【0008】
また、ハレーション防止層中の黒色コロイド銀の塗布量を低下させると、鮮鋭性が低下することは良く知られているが、これ以外に感光材料の赤外線吸収濃度が低下して、現像処理機で赤外線による感光材料の検知ができなくなり、搬送トラブルや、現像処理液の補充が正しく行われないという懸念がある。
【0009】
これらのことは、逆に言えば、鮮鋭性低下を改良するためや赤外線吸収濃度を高めるためにハレーション防止層中の黒色コロイド銀の塗布量を増やすと、光学記録の濃度は、ますます低下して読みとり難くなる。
【0010】
一方、GB−1519993には、緑感性層と赤感性層に同時に隣接する水透過性層中にコロイド銀を含有せしめて層間効果を改良する発明が提案されているが、バック面からの露光による光学記録の濃度を上げる効果は見られない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、バック面側から露光された光学情報が現像処理後に、その情報を読みとるのに十分な濃度を持つハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、鋭意研究を行った結果、下記構成のハロゲン化銀カラー写真感光材料によって達成することができた。すなわち、
(1) 支持体上にそれぞれ少なくとも1層の赤感性ハロゲン化銀乳剤層(RL)、緑感性ハロゲン化銀乳剤層(GL)、青感性ハロゲン化銀乳剤層(BL)を有し、更に該支持体とそれに最も近い感光性ハロゲン化銀乳剤層との間に黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−1)を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、前記親水性コロイド層と支持体の間に感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する支持体を通した露光による光学情報を記録するための感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)を有し、この感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)またはその隣接層に発色カプラーを有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料、
(2) 前記の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する支持体を通した露光による光学情報を記録するための感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)と支持体の間にさらに黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−2)を有することを特徴とする上記(1)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料、
(3) 前記の黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−1または、AH−1とAH−2)に含まれる黒色コロイド銀の塗布量の総和が、銀換算で、0.01g/m2 以上1.0g/m2 以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0013】
(4) 前記の黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−1または、AH−1とAH−2)に含まれる黒色コロイド銀の塗布量の総和が、銀換算で、0.25g/m2 以上1.0g/m2 以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0014】
(5) 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の950nmにおける赤外線吸収濃度が、1.7以上であることを特徴とする上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
【0015】
(6) 前記の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する支持体を通した露光による光学情報を記録するためのハロゲン化銀層(DL)に含まれる感光性ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも1種が赤感性ハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれか1つに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料、
によって達成することができた。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について順次詳細に説明する。
【0017】
まず、
黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−1)、
支持体を通した露光による光学情報を記録するためのハロゲン化銀乳剤層(D
L)、
DLと支持体の間にさらに黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−2)について説明する。
【0018】
AH−1は、DLに隣接し、それよりも支持体から遠いところに設置されている黒色コロイド銀を含有する親水性コロイド層である。
【0019】
AH−2は、DLに隣接し、それより支持体に近いところに設置されている黒色コロイド銀を含有する親水性コロイド層である。
【0020】
AH−1、AH−2の黒色コロイド銀の塗布量は特に制限されることはないが、AH−1または、AH−1とAH−2を合わせた黒色コロイド銀の塗布量は、感光材料の950nmにおける赤外線吸収濃度が1.7以上となるように設定することが好ましい。より好ましくは、1.8以上、さらに好ましくは、2.0以上である。赤外線吸収濃度を1.7以上と規定したのは、赤外線検出器の検出では濃度が最低1.7必要ということであり、これ以上高くとも問題はない。赤外線吸収濃度は、高いほど、赤外線検出器による読取り確率は上がる。
【0021】
すなわち、ハロゲン化銀乳剤の塗布量が少なければ、ハロゲン化銀乳剤による赤外線吸収は少ないため、黒色コロイド銀の塗布量をより多めに設定することが好ましい。
【0022】
ハロゲン化銀乳剤の塗布量により、AH−1または、AH−1とAH−2を合わせた黒色コロイド銀の好ましい塗布量は変化するが、おおよそ銀換算で、0.01g/m2 〜1.0g/m2 の範囲が好ましい。より好ましくは、0.25g/m2 〜1.0g/m2 である。
【0023】
本発明において、AH−1は必須であるが、AH−2はあってもなくても本発明の効果は発揮できる。しかし、AH−2は塗布されている方がより好ましい。
【0024】
AH−1、AH−2が両方共に塗布されている場合、AH−1とAH−2の黒色コロイド銀の塗布量の比率はいずれでも良いが、これはDLに塗布されているハロゲン化銀乳剤の感度によって決定するのが良い。好ましくはAH−1の黒色コロイド銀の塗布量が10%以上であることが好ましい。
【0025】
AH−1、AH−2には、黒色コロイド銀以外に、ハロゲン化銀乳剤、カプラー(カラードカプラー、DIRカプラーなどのような機能性カプラーも含む。)などの通常使われている写真用素材を含んでも構わない。これらについては後記する。
【0026】
AH−1、AH−2は、それぞれ2層以上から構成されていてもよく、これらの層は、隣接していても離れていても良い。
【0027】
AH−1、AH−2が2層以上から構成されている場合、上記好ましい黒色コロイド銀の塗布量は、それらの合計である。
【0028】
DLに含まれるハロゲン化銀乳剤は、赤感性、緑感性、青感性のいずれでも良く、2種以上のものを混合使用しても良い。混合使用するハロゲン化銀乳剤は感色性が同じでも異なっても良い。好ましくは、赤感性ハロゲン化銀乳剤である。
【0029】
DLに含まれるカプラーは、シアン、マゼンタ、イエローのいずれに発色するカプラーでも構わない。また、DIRカプラーなどのような機能性カプラーや、ハイドロキノン類のように現像主薬酸化体と反応するもの、さらに、通常使われる写真用素材を含んでも良い。これらについては後記する。
【0030】
また、DLには発色カプラーを含まなくともその隣接層に発色カプラーを含んでも本発明の効果を得ることはできる。
【0031】
DLは、2層以上塗布されていても良い。
【0032】
また、DLは、バック面側からの露光以外に、表面側からの露光によって色像をつくるようなことがあっても良い。
【0033】
本発明に用いる黒色コロイド銀について説明する。
【0034】
ハロゲン化銀カラー写真感光材料において、コロイド銀は、イエローフィルター用としての黄色コロイド銀、ハレーション防止用の黒色コロイド銀が一般的に知られているが、本発明では、通常ハレーション防止用に使われている黒色コロイド銀を使用することで本発明の効果が得られる。
【0035】
また、本発明でいう黒色コロイド銀とは、可視光領域での吸収が実質的に変化しないようなものだけでなく、例えば、褐灰色のようなコロイド銀なども含む。すなわちハレーション防止として機能するものであれば全て含まれる。
【0036】
これらのコロイド銀の製法は、従来から知られている方法、例えば、米国特許第2,688,601号にみられるようにゼラチン溶液中で可溶性銀塩をハイドロキノンによって還元する方法、ドイツ国特許第1,096,193号に記載されている難溶性銀塩をヒドラジンによって還元する方法、米国特許第2,921,914号に記載されているようにタンニン酸により銀に還元する方法、特開平5−134358に記載されているように無電解メッキによって銀粒子を形成する方法などを用いることが可能である。
【0037】
本発明の感光材料は、支持体上に少なくとも1層の感光性層が設けられていればよい。典型的な例としては、支持体上に、実質的に感色性は同じであるが感光度の異なる複数のハロゲン化銀乳剤層から成る感光性層を少なくとも1つ有するハロゲン化銀写真感光材料である。該感光性層は青色光、緑色光、および赤色光の何れかに感色性を有する単位感光性層であり、多層ハロゲン化銀カラー写真感光材料においては、一般に単位感光性層の配列が、支持体側から順に赤感色性層、緑感色性層、青感色性の順に設置される。しかし、目的に応じて上記設置順が逆であっても、また同一感色性層中に異なる感光性層が挟まれたような設置順をもとり得る。上記のハロゲン化銀感光性層の間および最上層、最下層には非感光性層を設けてもよい。これらには、後述のカプラー、DIR化合物、混色防止剤等が含まれていてもよい。各単位感光性層を構成する複数のハロゲン化銀乳剤層は、DE 1,121,470あるいはGB 923,045に記載されているように高感度乳剤層、低感度乳剤層の2層を、支持体に向かって順次感光度が低くなる様に配列するのが好ましい。また、特開昭57−112751 、同62− 200350、同62−206541 、62−206543 に記載されているように支持体より離れた側に低感度乳剤層、支持体に近い側に高感度乳剤層を設置してもよい。
【0038】
具体例として支持体から最も遠い側から、低感度青感光性層(BL)/高感度青感光性層(BH)/高感度緑感光性層(GH)/低感度緑感光性層(GL)/高感度赤感光性層(RH)/低感度赤感光性層(RL)の順、またはBH/BL/GL/GH/RH/RLの順、またはBH/BL/GH/GL/RL/RHの順等に設置することができる。
【0039】
また特公昭 55−34932 公報に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GH/RH/GL/RLの順に配列することもできる。また特開昭56−25738、同62−63936に記載されているように、支持体から最も遠い側から青感光性層/GL/RL/GH/RHの順に配列することもできる。
【0040】
また特公昭49−15495に記載されているように上層を最も感光度の高いハロゲン化銀乳剤層、中層をそれよりも低い感光度のハロゲン化銀乳剤層、下層を中層よりも更に感光度の低いハロゲン化銀乳剤層を配置し、支持体に向かって感光度が順次低められた感光度の異なる3層から構成される配列が挙げられる。このような感光度の異なる3層から構成される場合でも、特開昭59−202464 に記載されているように、同一感色性層中において支持体より離れた側から中感度乳剤層/高感度乳剤層/低感度乳剤層の順に配置されてもよい。
【0041】
その他、高感度乳剤層/低感度乳剤層/中感度乳剤層、あるいは低感度乳剤層/中感度乳剤層/高感度乳剤層の順に配置されていてもよい。
【0042】
また、4層以上の場合にも、上記の如く配列を変えてよい。
【0043】
色再現性を改良するために、US 4,663,271、同 4,705,744、同 4,707,436、特開昭62−160448 、同63− 89850 の明細書に記載の、BL,GL,RLなどの主感光層と分光感度分布が異なる重層効果のドナー層(CL)を主感光層に隣接もしくは近接して配置することが好ましい。
【0044】
本発明に用いられる好ましいハロゲン化銀は約30モル%以下のヨウ化銀を含む、ヨウ臭化銀、ヨウ塩化銀、もしくはヨウ塩臭化銀である。特に好ましいのは約2モル%から約10モル%までのヨウ化銀を含むヨウ臭化銀もしくはヨウ塩臭化銀である。
【0045】
写真乳剤中のハロゲン化銀粒子は、立方体、八面体、十四面体のような規則的な結晶を有するもの、球状、板状のような変則的な結晶形を有するもの、双晶面などの結晶欠陥を有するもの、あるいはそれらの複合形でもよい。
【0046】
ハロゲン化銀の粒径は、約 0.2μm以下の微粒子でも投影面積直径が約10μmに至るまでの大サイズ粒子でもよく、多分散乳剤でも単分散乳剤でもよい。
【0047】
本発明に使用できるハロゲン化銀写真乳剤は、例えばリサーチ・ディスクロージャー(以下、RDと略す)No.17643 (1978年12月), 22 〜23頁, “I. 乳剤製造(Emulsion preparation and types)”、および同No.18716 (1979年11月),648頁、同No.307105(1989年11月),863 〜865 頁、およびグラフキデ著「写真の物理と化学」,ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chimie et Phisique Photographiques, Paul Montel, 1967) 、ダフィン著「写真乳剤化学」,フォーカルプレス社刊(G.F. Duffin, Photographic Emulsion Chemistry,Focal Press, 1966) 、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V. L. Zelikman, et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 164) などに記載された方法を用いて調製することができる。
【0048】
US 3,574,628、同 3,655,394およびGB 1,413,748に記載された単分散乳剤も好ましい。
【0049】
また、アスペクト比が約3以上であるような平板状粒子も本発明に使用できる。平板状粒子は、ガトフ著、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Gutoff, Photographic Science and Engineering)、第14巻 248〜 257頁(1970年);US 4,434,226、同 4,414,310、同 4,433,048、同 4,439,520およびGB 2,112,157に記載の方法により簡単に調製することができる。
【0050】
結晶構造は一様なものでも、内部と外部とが異質なハロゲン組成からなるものでもよく、層状構造をなしていてもよい。エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀が接合されていてもよく、例えばロダン銀、酸化鉛などのハロゲン化銀以外の化合物と接合されていてもよい。また種々の結晶形の粒子の混合物を用いてもよい。
【0051】
上記の乳剤は潜像を主として表面に形成する表面潜像型でも、粒子内部に形成する内部潜像型でも表面と内部のいずれにも潜像を有する型のいずれでもよいが、ネガ型の乳剤であることが必要である。内部潜像型のうち、特開昭 63−264740に記載のコア/シェル型内部潜像型乳剤であってもよく、この調製方法は特開昭 59−133542に記載されている。この乳剤のシェルの厚みは現像処理等によって異なるが、3 〜40nmが好ましく、5 〜20nmが特に好ましい。
【0052】
ハロゲン化銀乳剤は、通常、物理熟成、化学熟成および分光増感を行ったものを使用する。このような工程で使用される添加剤はRDNo.17643、同No.18716および同No.307105 に記載されており、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
【0053】
本発明の感光材料には、感光性ハロゲン化銀乳剤の粒子サイズ、粒子サイズ分布、ハロゲン組成、粒子の形状、感度の少なくとも1つの特性の異なる2種類以上の乳剤を、同一層中に混合して使用することができる。
【0054】
US 4,082,553に記載の粒子表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子、US 4,626,498、特開昭 59−214852に記載の粒子内部をかぶらせたハロゲン化銀粒子、コロイド銀を感光性ハロゲン化銀乳剤層および/または実質的に非感光性の親水性コロイド層に適用することが好ましい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀粒子とは、感光材料の未露光部および露光部を問わず、一様に(非像様に)現像が可能となるハロゲン化銀粒子のことをいい、その調製法は、US 4,626,498、特開昭 59−214852に記載されている。粒子内部がかぶらされたコア/シェル型ハロゲン化銀粒子の内部核を形成するハロゲン化銀は、ハロゲン組成が異なっていてもよい。粒子内部または表面をかぶらせたハロゲン化銀としては、塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、塩沃臭化銀のいずれをも用いることができる。これらのかぶらされたハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズとしては0.01〜0.75μm 、特に0.05〜0.6 μm が好ましい。また、粒子形状は規則的な粒子でもよく、多分散乳剤でもよいが、単分散性(ハロゲン化銀粒子の重量または粒子数の少なくとも95%が平均粒子径の±40%以内の粒子径を有するもの)であることが好ましい。
【0055】
本発明には、非感光性微粒子ハロゲン化銀を使用することが好ましい。非感光性微粒子ハロゲン化銀とは、色素画像を得るための像様露光時においては感光せずに、その現像処理において実質的に現像されないハロゲン化銀微粒子であり、あらかじめカブラされていないほうが好ましい。微粒子ハロゲン化銀は、臭化銀の含有率が 0〜 100モル%であり、必要に応じて塩化銀および/または沃化銀を含有してもよい。好ましくは沃化銀を 0.5〜10モル%含有するものである。微粒子ハロゲン化銀は、平均粒径(投影面積の円相当直径の平均値)が0.01〜 0.5μm が好ましく、0.02〜 0.2μm がより好ましい。
【0056】
微粒子ハロゲン化銀は、通常の感光性ハロゲン化銀と同様の方法で調製できる。ハロゲン化銀粒子の表面は、光学的に増感される必要はなく、また分光増感も不要である。ただし、これを塗布液に添加するのに先立ち、あらかじめトリアゾール系、アザインデン系、ベンゾチアゾリウム系、もしくはメルカプト系化合物または亜鉛化合物などの公知の安定剤を添加しておくことが好ましい。この微粒子ハロゲン化銀粒子含有層に、コロイド銀を含有させることができる。
【0057】
本発明の感光材料の塗布銀量は、6.0g/ m 2 以下が好ましく、4.5g/ m 2 以下が最も好ましい。
【0058】
本発明に使用できる写真用添加剤もRDに記載されており、下記の表に関連する記載箇所を示した。
【0059】
本発明の感光材料には種々の色素形成カプラーを使用することができるが、以下のカプラーが特に好ましい。
【0060】
イエローカプラー: EP 502,424A の式(I),(II)で表わされるカプラー; EP 513,496A の式(1),(2) で表わされるカプラー (特に18頁のY−28); EP 568,037Aのクレーム1の式(I) で表わされるカプラー; US 5,066,576のカラム1の45〜55行の一般式(I) で表わされるカプラー; 特開平4−274425の段落0008の一般式(I) で表わされるカプラー; EP 498,381A1の40頁のクレーム1に記載のカプラー(特に18頁のD−35); EP 447,969A1 の4頁の式(Y) で表わされるカプラー(特にY−1(17頁),Y−54(41 頁)); US 4,476,219のカラム7の36〜58行の式(II)〜(IV)で表わされるカプラー(特にII−17,19( カラム17),II−24(カラム19))。
【0061】
マゼンタカプラー; 特開平3−39737(L−57(11 頁右下),L−68(12 頁右下),L−77(13 頁右下); EP 456,257 の[A−4]−63(134頁),[A−4]−73,−75(139頁); EP 486,965 のM−4,−6(26 頁),M−7(27頁); EP 571,959AのM−45(19 頁);特開平5−204106の(M−1)(6 頁);特開平4−362631の段落0237のM−22。
【0062】
シアンカプラー: 特開平4−204843のCX−1,3,4,5,11,12,14,15(14 〜16頁); 特開平4−43345 のC−7,10(35 頁),34,35(37頁),(I−1),(I−17)(42 〜43頁); 特開平6−67385 の請求項1の一般式(Ia)または(Ib)で表わされるカプラー。
ポリマーカプラー: 特開平2−44345 のP−1,P−5(11頁) 。
【0063】
発色色素が適度な拡散性を有するカプラーとしては、US 4,366,237、GB 2,125,570、EP 96,873B、DE 3,234,533に記載のものが好ましい。
発色色素の不要吸収を補正するためのカプラーは、EP 456,257A1の5 頁に記載の式(CI),(CII),(CIII),(CIV) で表わされるイエローカラードシアンカプラー(特に84頁のYC−86)、該EPに記載のイエローカラードマゼンタカプラーExM−7(202 頁) 、 EX−1(249 頁) 、 EX−7(251 頁) 、US 4,833,069に記載のマゼンタカラードシアンカプラーCC−9 (カラム8)、CC−13(カラム10) 、US 4,837,136の(2)(カラム8)、WO92/11575のクレーム1の式(A) で表わされる無色のマスキングカプラー(特に36〜45頁の例示化合物)が好ましい。
【0064】
現像主薬酸化体と反応して写真的に有用な化合物残基を放出する化合物(カプラーを含む)としては、以下のものが挙げられる。現像抑制剤放出化合物:EP 378,236A1の11頁に記載の式(I),(II),(III),(IV) で表わされる化合物(特にT−101(30頁),T−104(31頁),T−113(36頁),T−131(45頁),T−144(51頁),T−158(58頁)), EP 436,938A2の 7頁に記載の式(I) で表わされる化合物(特にD−49(51 頁))、EP 568,037A の式(1) で表わされる化合物(特に(23)(11 頁))、EP 440,195A2の5 〜6 頁に記載の式(I),(II),(III)で表わされる化合物(特に29頁のI−(1) );漂白促進剤放出化合物:EP 310,125A2の5 頁の式(I),(I´)で表わされる化合物(特に1 頁の(60),(61)) 及び特開平6−59411 の請求項1の式(I) で表わされる化合物(特に(7)(7 頁); リガンド放出化合物:US 4,555,478のクレーム1に記載のLIG−X で表わされる化合物(特にカラム12の21〜41行目の化合物) ;ロイコ色素放出化合物:US 4,749,641のカラム3〜8の化合物1〜6;蛍光色素放出化合物:US 4,774,181のクレーム1のCOUP−DYEで表わされる化合物(特にカラム7〜10の化合物1〜11);現像促進剤又はカブラセ剤放出化合物:US 4,656,123のカラム3の式(1) 、(2) 、(3) で表わされる化合物(特にカラム25の(I−22)) 及びEP 450,637A2 の75頁36〜38行目のExZK−2; 離脱して初めて色素となる基を放出する化合物: US 4,857,447のクレーム1の式(I) で表わされる化合物(特にカラム25〜36のY−1 〜Y−19) 。
【0065】
カプラー以外の添加剤としては、以下のものが好ましい。
【0066】
油溶性有機化合物の分散媒: 特開昭62−215272 のP−3,5,16,19,25,30,42,49,54,55,66,81,85,86,93(140〜144 頁); 油溶性有機化合物の含浸用ラテックス: US 4,199,363に記載のラテックス; 現像主薬酸化体スカベンジャー: US 4,978,606のカラム2の54〜62行の式(I) で表わされる化合物(特にI−,(1),(2),(6),(12) (カラム4〜5)、US 4,923,787のカラム2の5〜10行の式(特に化合物1(カラム3); ステイン防止剤: EP 298321Aの4頁30〜33行の式(I) 〜(III),特にI−47,72,III−1,27(24 〜48頁); 褪色防止剤: EP 298321AのA−6,7,20,21,23,24,25,26,30,37,40,42,48,63,90,92,94,164(69 〜118 頁), US5,122,444のカラム25〜38のII−1〜III−23, 特にIII−10, EP 471347Aの8 〜12頁のI−1 〜III−4,特にII−2, US 5,139,931のカラム32〜40のA−1 〜48, 特にA−39,42; 発色増強剤または混色防止剤の使用量を低減させる素材: EP 411324Aの5 〜24頁のI−1 〜II−15,特にI−46; ホルマリンスカベンジャー: EP 477932Aの24〜29頁のSCV−1 〜28, 特にSCV−8; 硬膜剤: 特開平1−214845の17頁のH−1,4,6,8,14, US 4,618,573のカラム13〜23の式(VII) 〜(XII) で表わされる化合物(H−1〜54),特開平2−214852の8頁右下の式(6) で表わされる化合物(H−1〜76),特にH−14, US 3,325,287のクレーム1に記載の化合物; 現像抑制剤プレカーサー: 特開昭62−168139 のP−24,37,39(6〜7 頁); US 5,019,492 のクレーム1に記載の化合物,特にカラム7の28,29; 防腐剤、防黴剤: US 4,923,790のカラム3 〜15のI−1 〜III−43, 特にII−1,9,10,18,III−25; 安定剤、かぶり防止剤: US 4,923,793のカラム6 〜16のI−1 〜(14), 特にI−1,60,(2),(13), US 4,952,483 のカラム25〜32の化合物1〜65, 特に36: 化学増感剤: トリフェニルホスフィン セレニド, 特開平5−40324 の化合物50; 染料: 特開平3−156450の15〜18頁のa−1 〜b−20, 特にa−1,12,18,27,35,36,b−5,27 〜29頁のV−1 〜23, 特にV−1, EP 445627A の33〜55頁のF−I−1 〜F−II−43,特にF−I−11,F−II−8, EP 457153A の17〜28頁のIII−1 〜36, 特にIII−1,3, WO 88/04794の8〜26のDye−1 〜124 の微結晶分散体, EP 319999Aの6〜11頁の化合物1〜22, 特に化合物1, EP 519306A の式(1) ないし(3) で表わされる化合物D−1 〜87(3〜28頁),US 4,268,622の式(I) で表わされる化合物1〜22 (カラム3〜10), US 4,923,788 の式(I) で表わされる化合物(1) 〜(31) (カラム2〜9); UV吸収剤: 特開昭46−3335 の式(1) で表わされる化合物(18b) 〜(18r),101 〜427(6〜9頁),EP 520938Aの式(I) で表わされる化合物(3) 〜(66)(10 〜44頁) 及び式(III) で表わされる化合物HBT−1 〜10(14 頁), EP 521823A の式(1) で表わされる化合物(1) 〜(31) (カラム2〜9)。
【0067】
本発明は、一般用もしくは映画用のカラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルムおよびカラー反転ペーパーのような種々のカラー感光材料に適用することができる。また、特公平2−32615 、実公平3−39784 に記載されているレンズ付きフイルムユニット用に好適である。
【0068】
本発明に使用できる適当な支持体は、例えば、前述のRD.No.17643 の28頁、同No.18716の 647頁右欄から 648頁左欄、および同No.307105 の 879頁に記載されている。
【0069】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の全親水性コロイド層の膜厚の総和が28μm 以下であることが好ましく、23μm 以下がより好ましく、18μm 以下が更に好ましく、16μm 以下が特に好ましい。また膜膨潤速度T1/2 は30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。T1/2 は、発色現像液で30℃、3 分15秒処理した時に到達する最大膨潤膜厚の90%を飽和膜厚としたとき、膜厚そのが1/2 に到達するまでの時間と定義する。膜厚は、25℃相対湿度55%調湿下(2日)で測定した膜厚を意味し、T1/2 は、エー・グリーン(A.Green)らのフォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング (Photogr.Sci.Eng.),19卷、2,124 〜129 頁に記載の型のスエロメーター(膨潤計)を使用することにより測定できる。T1/2 は、バインダーとしてのゼラチンに硬膜剤を加えること、あるいは塗布後の経時条件を変えることによって調整することができる。また、膨潤率は 150〜400 %が好ましい。膨潤率とは、さきに述べた条件下での最大膨潤膜厚から、 式:(最大膨潤膜厚−膜厚)/膜厚 により計算できる。
【0070】
本発明の感光材料は、乳剤層を有する側の反対側に、乾燥膜厚の総和が2 μm 〜20μm の親水性コロイド層(バック層と称す)を設けることが好ましい。このバック層には、前述の光吸収剤、フィルター染料、紫外線吸収剤、スタチック防止剤、硬膜剤、バインダー、可塑剤、潤滑剤、塗布助剤、表面活性剤を含有させることが好ましい。このバック層の膨潤率は150 〜500 %が好ましい。
【0071】
本発明の感光材料は、前述のRD.No.17643 の28〜29頁、同No.18716の 651左欄〜右欄、および同No.307105 の880 〜881 頁に記載された通常の方法によって現像処理することができる。
【0072】
次に、本発明に使用されるカラーネガフイルム用の処理液について説明する。
【0073】
本発明に使用される発色現像液には、特開平4−121739の第9頁右上欄1行〜第11頁左下欄4行に記載の化合物を使用することができる。特に迅速な処理を行う場合の発色現像主薬としては、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)アミノ〕アニリン、2−メチル−4−〔N−エチル−N−(4−ヒドロキシブチル)アミノ〕アニリンが好ましい。
【0074】
これらの発色現像主薬は発色現像液1リットルあたり0.01〜0.08モルの範囲で使用することが好ましく、特には 0.015〜0.06モル、更には0.02〜0.05モルの範囲で使用することが好ましい。また発色現像液の補充液には、この濃度の 1.1〜3倍の発色現像主薬を含有させておくことが好ましく、特に 1.3〜 2.5倍を含有させておくことが好ましい。
【0075】
発色現像液の保恒剤としては、ヒドロキシルアミンが広範に使用できるが、より高い保恒性が必要な場合は、アルキル基やヒドロキシアルキル基、スルホアルキル基、カルボキシアルキル基などの置換基を有するヒドロキシルアミン誘導体が好ましく、具体的にはN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミン、モノメチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、モノエチルヒドロキシルアミン、ジエチルヒドロキルアミン、N,N−ジ(カルボキシエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。上記の中でも、特にN,N−ジ(スルホエチル)ヒドロキルアミンが好ましい。これらはヒドロキシルアミンと併用してもよいが、好ましくはヒドロキシルアミンの代わりに、1種または2種以上使用することが好ましい。
【0076】
保恒剤は1リットルあたり0.02〜 0.2モルの範囲で使用することが好ましく、特に0.03〜0.15モル、更には0.04〜 0.1モルの範囲で使用することが好ましい。また補充液においては、発色現像主薬の場合と同様に、母液(処理タンク液)の 1.1〜3倍の濃度で保恒剤を含有させておくことが好ましい。
【0077】
発色現像液には、発色現像主薬の酸化物のタ−ル化防止剤として亜硫酸塩が使用される。亜硫酸塩は1リットルあたり0.01〜0.05モルの範囲で使用するのが好ましく、特には0.02〜0.04モルの範囲が好ましい。補充液においては、これらの
1.1〜3倍の濃度で使用することが好ましい。
【0078】
また、発色現像液のpHは 9.8〜 11.0 の範囲が好ましいが、特には10.0〜10.5が好ましく、また補充液においては、これらの値から 0.1〜 1.0の範囲で高い値に設定しておくことが好ましい。このようなpHを安定して維持するには、炭酸塩、リン酸塩、スルホサリチル酸塩、ホウ酸塩などの公知の緩衝剤が使用される。
【0079】
発色現像液の補充量は、感光材料1m 2 あたり80〜1300ミリリットルが好ましいが、環境汚濁負荷の低減の観点から、より少ない方が好ましく、具体的には80〜 600ミリリットル、更には80〜 400ミリリットルが好ましい。
【0080】
発色現像液中の臭化物イオン濃度は、通常、1リットルあたり0.01〜0.06モルであるが、感度を保持しつつカブリを抑制してディスクリミネーションを向上させ、かつ、粒状性を良化させる目的からは、1リットルあたり 0.015〜0.03モルに設定することが好ましい。臭化物イオン濃度をこのような範囲に設定する場合に、補充液には下記の式で算出した臭化物イオンを含有させればよい。ただし、Cが負になる時は、補充液には臭化物イオンを含有させないことが好ましい。
【0081】
C=A−W/V
C:発色現像補充液中の臭化物イオン濃度(モル/リットル)
A:目標とする発色現像液中の臭化物イオン濃度(モル/リットル)
W:1m 2 の感光材料を発色現像した場合に、感光材料から発色現像液に溶出する臭化物イオンの量(モル)
V:1m 2 の感光材料に対する発色現像補充液の補充量(リットル)
また、補充量を低減した場合や、高い臭化物イオン濃度に設定した場合、感度を高める方法として、1−フェニル−3−ピラゾリドンや1−フェニル−2−メチル−2−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドンに代表されるピラゾリドン類や3,6−ジチア−1,8−オクタンジオールに代表されるチオエーテル化合物などの現像促進剤を使用することも好ましい。
【0082】
本発明における漂白能を有する処理液には、特開平4−125558の第4頁左下欄16行〜第7頁左下欄6行に記載された化合物や処理条件を適用することができる。
【0083】
漂白剤は酸化還元電位が 150mV以上のものが好ましいが、その具体例としては特開平5−72694 、同5−173312に記載のものが好ましく、特に1,3−ジアミノプロパン四酢酸、特開平5−173312号第7頁の具体例1の化合物の第二鉄錯塩が好ましい。
【0084】
また、漂白剤の生分解性を向上させるには、特開平4−251845、同4−268552、EP 588,289、同 591,934、特開平6−208213に記載の化合物第二鉄錯塩を漂白剤として使用することが好ましい。これらの漂白剤の濃度は、漂白能を有する液1リットルあたり0.05〜 0.3モルが好ましく、特に環境への排出量を低減する目的から、0.1 モル〜0.15モルで設計することが好ましい。また、漂白能を有する液が漂白液の場合は、1リットルあたり 0.2モル〜1モルの臭化物を含有させることが好ましく、特に 0.3〜 0.8モルを含有させることが好ましい。
【0085】
漂白能を有する液の補充液には、基本的に以下の式で算出される各成分の濃度を含有させる。これにより、母液中の濃度を一定に維持することができる。
【0086】
CR =CT ×(V1 +V2 )/V1 +CP
CR :補充液中の成分の濃度
CT :母液(処理タンク液)中の成分の濃度
CP :処理中に消費された成分の濃度
V1 :1m 2 の感光材料に対する漂白能を有する補充液の補充量(ミリリットル)
V2 :1m 2 の感光材料による前浴からの持ち込み量(ミリリットル)
その他、漂白液にはpH緩衝剤を含有させることが好ましく、特にコハク酸、マレイン酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸など、臭気の少ないジカルボン酸を含有させることが好ましい。また、特開昭53−95630、RDNo.17129、US 3,893,858に記載の公知の漂白促進剤を使用することも好ましい。
【0087】
漂白液には、感光材料1m 2 あたり50〜1000ミリリットルの漂白補充液を補充することが好ましく、特には80〜 500ミリリットル、さらには 100〜 300ミリリットルの補充をすることが好ましい。さらに漂白液にはエアレーションを行なうことが好ましい。
【0088】
定着能を有する処理液については、特開平4−125558の第7頁左下欄10行〜第8頁右下欄19行に記載の化合物や処理条件を適用することができる。
【0089】
特に、定着速度と保恒性を向上させるために、特開平6−301169の一般式(I)と(II)で表される化合物を、単独あるいは併用して定着能を有する処理液に含有させることが好ましい。またp−トルエンスルフィン酸塩をはじめ、特開平1−224762に記載のスルフィン酸を使用することも、保恒性の向上の上で好ましい。
【0090】
漂白能を有する液や定着能を有する液には、脱銀性の向上の観点からカチオンとしてアンモニウムを用いることが好ましいが、環境汚染低減の目的からは、アンモニウムを減少或いはゼロにする方が好ましい。
【0091】
漂白、漂白定着、定着工程においては、特開平1−309059に記載のジェット攪拌を行なうことが特に好ましい。
【0092】
漂白定着また定着工程における補充液の補充量は、感光材料1m 2 あたり 100〜1000ミリリットルであり、好ましくは 150〜 700ミリリットル、特に好ましくは 200〜 600ミリリットルである。
【0093】
漂白定着や定着工程には、各種の銀回収装置をインラインやオフラインで設置して銀を回収することが好ましい。インラインで設置することにより、液中の銀濃度を低減して処理できる結果、補充量を減少させることができる。また、オフラインで銀回収して残液を補充液として再利用することも好ましい。
【0094】
漂白定着工程や定着工程は複数の処理タンクで構成することができ、各タンクはカスケード配管して多段向流方式にすることが好ましい。現像機の大きさとのバランスから、一般には2タンクカスケード構成が効率的であり、前段のタンクと後段のタンクにおける処理時間の比は、 0.5:1〜1:0.5 の範囲にすることが好ましく、特には 0.8:1〜1:0.8 の範囲が好ましい。
【0095】
漂白定着液や定着液には、保恒性の向上の観点から金属錯体になっていない遊離のキレート剤を存在させることが好ましいが、これらのキレート剤としては、漂白液に関して記載した生分解性キレート剤を使用することが好ましい。
【0096】
水洗および安定化工程に関しては、上記の特開平4−125558、第12頁右下欄6行〜第13頁右下欄第16行に記載の内容を好ましく適用することができる。特に、安定液にはホルムアルデヒドに代わってEP 504,609、同 519,190に記載のアゾリルメチルアミン類や特開平4−362943に記載のN−メチロールアゾール類を使用することや、マゼンタカプラーを二当量化してホルムアルデヒドなどの画像安定化剤を含まない界面活性剤の液にすることが、作業環境の保全の観点から好ましい。
【0097】
また、感光材料に塗布された磁気記録層へのゴミの付着を軽減するには、特開平6−289559に記載の安定液が好ましく使用できる。
【0098】
水洗および安定液の補充量は、感光材料1m 2 あたり80〜1000ミリリットルが好ましく、特には 100〜 500ミリリットル、さらには 150〜 300ミリリットルが、水洗または安定化機能の確保と環境保全のための廃液減少の両面から好ましい範囲である。このような補充量で行なう処理においては、バクテリアや黴の繁殖防止のために、チアベンダゾール、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3オン、5−クロロ−2−メチルイソチアゾリン−3−オンのような公知の防黴剤やゲンタマイシンのような抗生物質、イオン交換樹脂等によって脱イオン処理した水を用いることが好ましい。脱イオン水と防菌剤や抗生物質は、併用することがより効果的である。
【0099】
また、水洗または安定液タンク内の液は、特開平3−46652 、同3−53246 、同−355542 、同3−121448、同3−126030に記載の逆浸透膜処理を行なって補充量を減少させることも好ましく、この場合の逆浸透膜は、低圧逆浸透膜であることが好ましい。
【0100】
本発明における処理においては、発明協会公開技報、公技番号94−4992 に開示された処理液の蒸発補正を実施することが特に好ましい。特に第2頁の(式−1)に基づいて、現像機設置環境の温度及び湿度情報を用いて補正する方法が好ましい。蒸発補正に使用する水は、水洗の補充タンクから採取することが好ましく、その場合は水洗補充水として脱イオン水を用いることが好ましい。
【0101】
本発明に用いられる処理剤としては、上記公開技報の第3頁右欄15行から第4頁左欄32行に記載のものが好ましい。また、これに用いる現像機としては、第3頁右欄の第22行から28行に記載のフイルムプロセサーが好ましい。
【0102】
本発明を実施するに好ましい処理剤、自動現像機、蒸発補正方式の具体例については、上記の公開技報の第5頁右欄11行から第7頁右欄最終行までに記載されている。
【0103】
本発明に使用される処理剤の供給形態は、使用液状態の濃度または濃縮された形の液剤、あるいは顆粒、粉末、錠剤、ペースト状、乳液など、いかなる形態でもよい。このような処理剤の例として、特開昭63−17453には低酸素透過性の容器に収納した液剤、特開平4−19655 、同4−230748には真空包装した粉末あるいは顆粒、同4−221951には水溶性ポリマーを含有させた顆粒、特開昭51−61837、特開平6−102628には錠剤、特表昭57−500485 にはペースト状の処理剤が開示されており、いずれも好ましく使用できるが、使用時の簡便性の面から、予め使用状態の濃度で調製してある液体を使用することが好ましい。
【0104】
これらの処理剤を収納する容器には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニール、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが、単独あるいは複合材料として使用される。これらは要求される酸素透過性のレベルに合わせて選択される。発色現像液などの酸化されやすい液に対しては、低酸素透過性の素材が好ましく、具体的にはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンとナイロンの複合材料が好ましい。これらの材料は 500〜1500μmの厚さで、容器に使用され、酸素透過性を20ミリリットル/m 2 ・24hrs ・atm 以下にすることが好ましい。
【0105】
次に本発明に使用されるカラー反転フイルム用の処理液について説明する。
カラー反転フイルム用の処理については、アズテック有限会社発行の公知技術第6号(1991年4月1日)第1頁5行〜第10頁5行、及び第15頁8行〜第24頁2行に詳細に記載されており、その内容はいずれも好ましく適用することができる。
【0106】
カラー反転フイルムの処理においては、画像安定化剤は調整浴か最終浴に含有される。このような画像安定化剤としては、ホルマリンのほかにホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウム、N−メチロールアゾール類があげられるが、作業環境の観点からホルムアルデヒド重亜硫酸ナトリウムかN−メチロールアゾール類が好ましく、N−メチロールアゾール類としては、特にN−メチロールトリアゾールが好ましい。また、カラーネガフイルムの処理において記載した発色現像液、漂白液、定着液、水洗水などに関する内容は、カラー反転フイルムの処理にも好ましく適用できる。
【0107】
上記の内容を含む好ましいカラー反転フイルムの処理剤として、イーストマンコダック社のE−6処理剤及び富士写真フイルム(株)のCR−56処理剤をあげることができる。
【0108】
次に、本発明に用いられる磁気記録層について説明する。
【0109】
本発明に用いられる磁気記録層とは、磁性体粒子をバインダー中に分散した水性もしくは有機溶媒系塗布液を支持体上に塗設したものである。
【0110】
本発明で用いられる磁性体粒子は、γFe2 O 3 などの強磁性酸化鉄、Co被着γFe2 O 3 、Co被着マグネタイト、、Co含有マグネタイト、強磁性二酸化クロム、強磁性金属、強磁性合金、六方晶系のBaフェライト、Srフェライト、Pbフェライト、Caフェライトなどを使用できる。Co被着γFe2 O 3 などのCo被着強磁性酸化鉄が好ましい。形状としては針状、米粒状、球状、立方体状、板状等いずれでもよい。比表面積では SBET で20m 2 /g以上が好ましく、30m 2 /g以上が特に好ましい。
【0111】
強磁性体の飽和磁化(σs)は、好ましくは 3.0×104 〜 3.0×105 A/m であり、特に好ましくは4.0 ×104 〜2.5 ×105 A/m である。強磁性体粒子を、シリカおよび/またはアルミナや有機素材による表面処理を施してもよい。さらに、磁性体粒子は特開平6−161032に記載された如くその表面にシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。又特開平4−259911、同5−81652 号に記載の表面に無機、有機物を被覆した磁性体粒子も使用できる。
【0112】
磁性体粒子に用いられるバインダーは、特開平4−219569に記載の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、酸、アルカリ又は生分解性ポリマー、天然物重合体(セルロース誘導体,糖誘導体など)およびそれらの混合物を使用することができる。上記の樹脂のTgは −40℃〜 300℃、重量平均分子量は 0.2万〜 100万である。例えばビニル系共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルローストリプロピオネートなどのセルロース誘導体、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂を挙げることができ、ゼラチンも好ましい。特にセルロースジ(トリ)アセテートが好ましい。バインダーは、エポキシ系、アジリジン系、イソシアネート系の架橋剤を添加して硬化処理することができる。イソシアネート系の架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、などのイソシアネート類、これらのイソシアネート類とポリアルコールとの反応生成物(例えば、トリレンジイソシアナート3molとトリメチロールプロパン1molの反応生成物)、及びこれらのイソシアネート類の縮合により生成したポリイソシアネートなどがあげられ、例えば特開平6−59357 に記載されている。
【0113】
前述の磁性体を上記バインダ−中に分散する方法は、特開平6−35092 に記載されている方法のように、ニーダー、ピン型ミル、アニュラー型ミルなどが好ましく併用も好ましい。特開平5−088283に記載の分散剤や、その他の公知の分散剤が使用できる。磁気記録層の厚みは 0.1μm〜10μm、好ましくは 0.2μm〜 5μm、より好ましくは 0.3μm〜 3μmである。磁性体粒子とバインダーの重量比は好ましくは 0.5:100〜60:100からなり、より好ましくは1:100 〜30:100である。磁性体粒子の塗布量は 0.005〜 3g/m 2 、好ましくは0.01〜 2g/m 2 、さらに好ましくは0.02〜 0.5g/m 2 である。磁気記録層の透過イエロー濃度は、0.01〜0.50が好ましく、0.03〜0.20がより好ましく、0.04〜0.15が特に好ましい。磁気記録層は、写真用支持体の裏面に塗布又は印刷によって全面またはストライプ状に設けることができる。磁気記録層を塗布する方法としてはエアードクター、ブレード、エアナイフ、スクイズ、含浸、リバースロール、トランスファーロール、グラビヤ、キス、キャスト、スプレイ、ディップ、バー、エクストリュージョン等が利用でき、特開平5−341436等に記載の塗布液が好ましい。
【0114】
磁気記録層に、潤滑性向上、カール調節、帯電防止、接着防止、ヘッド研磨などの機能を合せ持たせてもよいし、別の機能性層を設けて、これらの機能を付与させてもよく、粒子の少なくとも1種以上がモース硬度が5以上の非球形無機粒子の研磨剤が好ましい。非球形無機粒子の組成としては、酸化アルミニウム、酸化クロム、二酸化珪素、二酸化チタン、シリコンカーバイト等の酸化物、炭化珪素、炭化チタン等の炭化物、ダイアモンド等の微粉末が好ましい。これらの研磨剤は、その表面をシランカップリング剤又はチタンカップリング剤で処理されてもよい。これらの粒子は磁気記録層に添加してもよく、また磁気記録層上にオーバーコート(例えば保護層,潤滑剤層など)しても良い。この時使用するバインダーは前述のものが使用でき、好ましくは磁気記録層のバインダーと同じものがよい。磁気記録層を有する感材については、US 5,336,589、同 5,250,404、同 5,229,259、同 5,215,874、EP 466,130に記載されている。
【0115】
次に本発明に好ましく用いられるポリエステル支持体について記すが、後述する感材、処理、カートリッジ及び実施例なども含め詳細については、公開技報、公技番号94−6023(発明協会;1994.3.15.)に記載されている。本発明に用いられるポリエステルはジオールと芳香族ジカルボン酸を必須成分として形成され、芳香族ジカルボン酸として2,6−、1,5−、1,4−、及び2,7−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジオールとしてジエチレングリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、ビスフェノールが挙げられる。この重合ポリマーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート等のホモポリマーを挙げることができる。特に好ましいのは2,6−ナフタレンジカルボン酸を50モル%〜 100モル%含むポリエステルである。中でも特に好ましいのはポリエチレン−2,6−ナフタレートである。平均分子量の範囲は約 5,000ないし 200,000である。本発明のポリエステルのTgは50℃以上であり、さらに90℃以上が好ましい。
【0116】
次に、ポリエステル支持体は、巻き癖をつきにくくするために熱処理温度は40℃以上Tg未満、より好ましくはTg−20℃以上Tg未満で熱処理を行う。熱処理はこの温度範囲内の一定温度で実施してもよく、冷却しながら熱処理してもよい。この熱処理時間は、 0.1時間以上1500時間以下、さらに好ましくは 0.5時間以上 200時間以下である。支持体の熱処理は、ロ−ル状で実施してもよく、またウェブ状で搬送しながら実施してもよい。表面に凹凸を付与し(例えばSnO 2 や Sb 2 O 5 等の導電性無機微粒子を塗布する)、面状改良を図ってもよい。又端部にロ−レットを付与し端部のみ少し高くすることで巻芯部の切り口写りを防止するなどの工夫を行うことが望ましい。これらの熱処理は支持体製膜後、表面処理後、バック層塗布後(帯電防止剤、滑り剤等)、下塗り塗布後のどこの段階で実施してもよい。好ましいのは帯電防止剤塗布後である。
【0117】
このポリエステルには紫外線吸収剤を練り込んでも良い。又ライトパイピング防止のため、三菱化成製のDiaresin、日本化薬製のKayaset 等ポリエステル用として市販されている染料または顔料を練り込むことにより目的を達成することが可能である。
【0118】
次に、本発明では支持体と感材構成層を接着させるために、表面処理することが好ましい。薬品処理、機械的処理、コロナ放電処理、火焔処理、紫外線処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理、レーザー処理、混酸処理、オゾン酸化処理、などの表面活性化処理が挙げられる。表面処理の中でも好ましいのは、紫外線照射処理、火焔処理、コロナ処理、グロー処理である。
【0119】
次に、下塗法について述べると、単層でもよく2層以上でもよい。下塗層用バインダーとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ブタジエン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などの中から選ばれた単量体を出発原料とする共重合体を始めとして、ポリエチレンイミン、エポキシ樹脂、グラフト化ゼラチン、ニトロセルロース、ゼラチンが挙げられる。支持体を膨潤させる化合物としてレゾルシンとp−クロルフェノールがある。下塗層にはゼラチン硬化剤としてはクロム塩(クロム明ばんなど)、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒドなど)、イソシアネート類、活性ハロゲン化合物(2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−S−トリアジンなど)、エピクロルヒドリン樹脂、活性ビニルスルホン化合物などを挙げることができる。SiO 2 、TiO 2 、無機物微粒子又はポリメチルメタクリレート共重合体微粒子(0.01〜10μm)をマット剤として含有させてもよい。
【0120】
また、本発明においては、帯電防止剤が好ましく用いられる。それらの帯電防止剤としては、カルボン酸及びカルボン酸塩、スルホン酸塩を含む高分子、カチオン性高分子、イオン性界面活性剤化合物を挙げることができる。
【0121】
帯電防止剤として最も好ましいものは、 ZnO、TiO 2 、SnO 2 、Al2 O 3 、In2 O 3 、SiO 2 、 MgO、 BaO、MoO 3 、V 2 O 5 の中から選ばれた少くとも1種の体積抵抗率が107 Ω・cm以下、より好ましくは105 Ω・cm以下である粒子サイズ 0.001〜 1.0μm結晶性の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物(Sb,P,B,In,S,Si,C など)の微粒子、更にはゾル状の金属酸化物あるいはこれらの複合酸化物の微粒子である。
【0122】
感材への含有量としては、 5〜500mg/m 2 が好ましく特に好ましくは10〜350mg/m 2 である。導電性の結晶性酸化物又はその複合酸化物とバインダーの量の比は1/300 〜 100/1が好ましく、より好ましくは 1/100〜 100/5である。
【0123】
本発明の感材には滑り性がある事が好ましい。滑り剤含有層は感光層面、バック面ともに用いることが好ましい。好ましい滑り性としては動摩擦係数で0.25以下0.01以上である。この時の測定は直径 5mmのステンレス球に対し、 60cm/分で搬送した時の値を表す(25℃、60%RH)。この評価において相手材として感光層面に置き換えてももほぼ同レベルの値となる。
【0124】
本発明に使用可能な滑り剤としては、ポリオルガノシロキサン、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等であり、ポリオルガノシロキサンとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリジエチルシロキサン、ポリスチリルメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン等を用いることができる。添加層としては乳剤層の最外層やバック層が好ましい。特にポリジメチルシロキサンや長鎖アルキル基を有するエステルが好ましい。
【0125】
本発明の感材にはマット剤が有る事が好ましい。マット剤としては乳剤面、バック面とどちらでもよいが、乳剤側の最外層に添加するのが特に好ましい。マット剤は処理液可溶性でも処理液不溶性でもよく、好ましくは両者を併用することである。例えばポリメチルメタクリレート、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸= 9/1又は5/5(モル比))、ポリスチレン粒子などが好ましい。粒径としては 0.8〜10μmが好ましく、その粒径分布も狭いほうが好ましく、平均粒径の0.9 〜 1.1倍の間に全粒子数の90%以上が含有されることが好ましい。また、マット性を高めるために 0.8μm以下の微粒子を同時に添加することも好ましく例えばポリメチルメタクリレート(0.2μm)、ポリ(メチルメタクリレート/メタクリル酸= 9/1(モル比)、 0.3μm))、ポリスチレン粒子(0.25μm)、コロイダルシリカ(0.03μm)が挙げられる。
【0126】
次に、本発明で用いられるフィルムパトローネについて記載する。本発明で使用されるパトローネの主材料は金属でも合成プラスチックでもよい。
【0127】
好ましいプラスチック材料はポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニルエーテルなどである。更に本発明のパトローネは、各種の帯電防止剤を含有してもよくカーボンブラック、金属酸化物粒子、ノニオン、アニオン、カチオン及びベタイン系界面活性剤又はポリマー等を好ましく用いることが出来る。これらの帯電防止されたパトローネは特開平1−312537、同1−312538に記載されている。特に25℃、25%RHでの抵抗が1012Ω以下が好ましい。通常プラスチックパトローネは、遮光性を付与するためにカーボンブラックや顔料などを練り込んだプラスチックを使って製作される。パトローネのサイズは現在 135サイズのままでもよいし、カメラの小型化には、現在の 135サイズの25mmのカートリッジの径を22mm以下とすることも有効である。パトローネのケースの容積は、30cm3 以下好ましくは 25cm 3 以下とすることが好ましい。パトローネおよびパトローネケースに使用されるプラスチックの重量は5g〜15g が好ましい。
【0128】
更に本発明で用いられる、スプールを回転してフイルムを送り出すパトローネでもよい。またフイルム先端がパトローネ本体内に収納され、スプール軸をフイルム送り出し方向に回転させることによってフイルム先端をパトローネのポート部から外部に送り出す構造でもよい。これらはUS 4,834,306、同 5,226,613に開示されている。本発明に用いられる写真フイルムは現像前のいわゆる生フイルムでもよいし、現像処理された写真フイルムでもよい。又、生フイルムと現像済みの写真フィルムが同じ新パトローネに収納されていてもよいし、異なるパトローネでもよい。
【0129】
本発明のカラー写真感光材料は、アドバンスト・フォト・システム(以下、APシステムという)用ネガフイルムとしても好適であり、富士写真フイルム(株)(以下、富士フイルムという)製NEXIA A 、NEXIA F 、NEXIA H (順にISO 200/100/400 )のようにフイルムをAPシステムフォーマットに加工し、専用カートリッジに収納したものを挙げることができる。これらのAPシステム用カートリッジフイルムは、富士フイルム製エピオンシリーズ(エピオン300Z等)等のAPシステム用カメラに装填して用いられる。また、本発明のカラー写真感光材料は、富士フイルム製フジカラー写ルンですスーパースリムのようなレンズ付きフイルムにも好適である。
【0130】
これらにより撮影されたフイルムは、ミニラボシステムでは次のような工程を経てプリントされる。
(1) 受付(露光済みカートリッジフイルムをお客様からお預かり)
(2) デタッチ工程(カートリッジから、フイルムを現像工程用の中間カートリッジに移す)
(3) フイルム現像
(4) リアタッチ工程(現像済みのネガフイルムを、もとのカートリッジに戻す)
(5) プリント(C/H/P 3タイプのプリントとインデックスプリントをカラーペーパー〔好ましくは富士フイルム製SUPER FA8 〕に連続自動プリント)
(6) 照合・出荷(カートリッジとインデックスプリントをIDナンバーで照合し、プリントとともに出荷)
これらのシステムとしては、富士フイルムミニラボチャンピオンスーパーFA−298/FA−278/FA−258/FA−238 及び富士フイルムデジタルラボシステム フロンティアが好ましい。ミニラボチャンピオンのフイルムプロセサーとしてはFP922AL/FP562B/FP562B,AL/FP362B/FP362B,AL が挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCN−16L及びCN−16Qである。プリンタープロセサーとしては、PP3008AR/PP3008A/PP1828AR/PP1828A/PP1258AR/PP1258A/PP728AR/PP728A が挙げられ、推奨処理薬品はフジカラージャストイットCP−47L及びCP−40FAII である。フロンティアシステムでは、スキャナー&イメージプロセサー SP−1000及びレーザープリンター&ペーパープロセサー LP−1000P もしくはレーザープリンター LP−1000W が用いられる。デタッチ工程で用いるデタッチャー、リアタッチ工程で用いるリアタッチャーは、それぞれ富士フイルムのDT200/DT100 及びAT200/AT100 が好ましい。
【0131】
APシステムは、富士フイルムのデジタルイメージワークステーションAladdin 1000を中心とするフォトジョイシステムにより楽しむこともできる。例えば、Aladdin 1000に現像済みAPシステムカートリッジフイルムを直接装填したり、ネガフイルム、ポジフイルム、プリントの画像情報を、35mmフイルムスキャナーFE−550やフラットヘッドスキャナーPE−550を用いて入力し、得られたデジタル画像データを容易に加工・編集することができる。そのデータは、光定着型感熱カラープリント方式によるデジタルカラープリンターNC−550ALやレーザー露光熱現像転写方式のピクトログラフィー3000によって、又はフイルムレコーダーを通して既存のラボ機器によりプリントとして出力することができる。また、Aladdin 1000は、デジタル情報を直接フロッピーディスクやZip ディスクに、もしくはCDライターを介してCD−Rに出力することもできる。
【0132】
一方、家庭では、現像済みAPシステムカートリッジフイルムを富士フイルム製フォトプレイヤーAP−1に装填するだけでTVで写真を楽しむことができるし、富士フイルム製フォトスキャナーAS−1に装填すれば、パソコンに画像情報を高速で連続的に取り込むこともできる。また、フイルム、プリント又は立体物をパソコンに入力するには、富士フイルム製フォトビジョンFV−10/FV−5が利用できる。更に、フロッピーディスク、Zip ディスク、CD−Rもしくはハードディスクに記録された画像情報は、富士フイルムのアプリケーションソフトフォトファクトリーを用いてパソコン上で様々に加工して楽しむことができる。パソコンから高画質なプリントを出力するには、光定着型感熱カラープリント方式の富士フイルム製デジタルカラープリンターNC−2/NC−2Dが好適である。
【0133】
現像済みのAPシステムカートリッジフイルムを収納するには、フジカラーポケットアルバムAP−5ポップL 、AP−1ポップL 、 AP−1 ポップKG又はカートリッジファイル16が好ましい。
【0134】
【実施例】
以下に具体例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明の趣旨を越えない限り、実施例に限定されるものではない。
実施例1
三酢酸セルロースフイルム上に、下記のものを塗布し、試料101とした。
(感光層組成)
各層に使用する素材の主なものは下記のように分類されている;
ExC:シアンカプラー UV :紫外線吸収剤
ExM:マゼンタカプラー HBS:高沸点有機溶剤
ExY:イエローカプラー H :ゼラチン硬化剤
ExS:増感色素
各成分に対応する数字は、g/m 2 単位で表した塗布量を示し、ハロゲン化銀については、銀換算の塗布量を示す。ただし増感色素については、同一層のハロゲン化銀1モルに対する塗布量をモル単位で示す。
更に、各層に適宜、保存性、処理性、圧力耐性、防黴・防菌性、帯電防止性及び塗布性をよくするために W−1ないしW−3、B−4ないしB−6、F−1ないしF−18及び、鉄塩、鉛塩、金塩、白金塩、パラジウム塩、イリジウム塩、ロジウム塩が含有されている。
【0135】
上記試料101に使用した乳剤A〜及びXの平均AgI含量及び粒子サイズを下記表1に示す。
【0136】
【表1】
表1において、
(1)乳剤J〜Mは特開平2−191938号の実施例に従い、二酸化チオ尿素とチオスルフォン酸を用いて粒子調製時に還元増感されている。
(2)乳剤C〜E、G〜I、Mは特開平3−237450号の実施例に従い、各感光層に記載の分光増感色素とチオシアン酸ナトリウムの存在下に金増感、硫黄増感とセレン増感が施されている。
(3)平板状粒子の調製には特開平1−158426号の実施例に従い、低分子量ゼラチンを使用している。
(4)平板状粒子には、高圧電子顕微鏡を用いると、特開平3−237450号に記載されているような転位線が観察される。
(5)乳剤A〜E、G、H、J〜Mは、Rh、Ir、Feを最適量含んでいる。
また、平板度は、平板粒子の投影面積における平均円相当径をDc、平板状粒子の平均厚さをtとしたときに、Dc/t2 で定義されるものをいう。
有機固体分散染料の分散物の調製
下記、ExF−2を次の方法で分散した。即ち、水21.7ミリリットル及び5%水溶液のp−オクチルフェノキシエトキシエトキシエタンスルホン酸ソーダ3ミリリットル並びに5%水溶液のp−オクチルフェノキシポリオキシエチレンエ−テル(重合度10) 0.5gとを 700ミリリットルのポットミルに入れ、染料ExF−2を 5.0gと酸化ジルコニウムビ−ズ(直径1mm) 500ミリリットルを添加して内容物を2時間分散した。この分散には中央工機製のBO型振動ボールミルを用いた。分散後、内容物を取り出し、12.5%ゼラチン水溶液8gに添加し、ビーズを濾過して除き、染料のゼラチン分散物を得た。染料微粒子の平均粒径は0.44μmであった。
【0137】
同様にして、ExF−3、ExF−4及びExF−6の固体分散物を得た。染料微粒子の平均粒径はそれぞれ、0.24μm、0.45μm、0.52μmであった。ExF−5は欧州特許出願公開(EP)第549,489A号明細書の実施例1に記載の微小析出(Microprecipitation)分散方法により分散した。平均粒径は0.06μmであった。
【0138】
上記試料101の各層に用いた化合物を以下に示す。
【0139】
【化1】
【0140】
【化2】
【0141】
【化3】
【0142】
【化4】
【0143】
【化5】
【0144】
【化6】
【0145】
【化7】
【0146】
【化8】
【0147】
【化9】
【0148】
【化10】
【0149】
【化11】
【0150】
【化12】
【0151】
【化13】
【0152】
【化14】
【0153】
【化15】
【0154】
【化16】
【0155】
【化17】
試料102は、試料101において、第1層、第3層を下記表2に示すように変更した以外、試料101と同様に作製した。
【0156】
試料103は、試料101において、第2層を下記に示すように塗設した以外試料101と同様に作製した。
試料104〜109は、第2層の乳剤、カプラーを下記表2に記載したように変更し、第1層、第3層の黒色コロイド銀を下記表2のように変更した以外試料101と同様に作製した。
【0157】
以上のようにして作製した試料101〜109を下記のように評価した。
光学情報記録の評価▲1▼
作製した試料を支持体に対して乳剤層が塗布してある側と反対側(バック面)から白光にてウエッジ露光して(表面からの露光は無し)、下記処理工程により現像処理を行った。
(処理工程)
工 程 処理時間 処理温度
発色現像 3分15秒 38℃
漂 白 1分00秒 38℃
漂白定着 3分15秒 38℃
水洗(1) 40秒 35℃
水洗(2) 1分00秒 35℃
安 定 40秒 38℃
乾 燥 1分15秒 55℃
次に、処理液の組成を記す。
(水洗水)
水道水をH型強酸性カチオン交換樹脂(ロームアンドハース社製アンバーライトIR−120B)と、OH型強塩基性アニオン交換樹脂(同アンバーライトIR−400)を充填した混床式カラムに通水してカルシウム及びマグネシウムイオン濃度を3mg/リットル以下に処理し、続いて二塩化イソシアヌール酸ナトリウム20mg/リットルと硫酸ナトリウム0.15g/リットルを添加した。この液のpHは6.5〜7.5の範囲にあった。
これを濃度測定して、シアン色像の最低濃度部+0.1の濃度を与える露光量の逆数の対数で表し、これをバック面からの感度とする。
【0158】
表2には、試料101に対する相対値で示す。
光学情報記録の評価▲2▼
作製した試料を表面からシアン濃度で2.0になるように一定露光を与え、さらにバック面側からウエッジ露光を行い、上記処理工程により現像処理を行った。
【0159】
これを濃度測定して、シアン濃度の最高濃度値−最低濃度値の差を求めた。
【0160】
この値が、大きいほどバック面からの露光による光学情報記録の濃度が高いことになる。
光学情報記録の評価▲3▼
作製した試料を135サイズに加工して、パトローネにつめ、これをバック面より撮影日を写し込む機能を持ったカメラで種々な被写体を撮影し上記処理工程により現像処理を行い、これをカラーペーパーにプリントして目視により評価を行った。評価基準は以下の通りである。
【0161】
○:ほとんどのプリントで日付が読みとれる。
【0162】
△:一部のプリントのみで日付が読みとれる。
【0163】
×:ほとんどのプリントで日付が読みとれない。
【0164】
以上の結果をまとめて下記表2に示す。
【0165】
【表2】
表2からわかるように、黒色コロイド銀の塗布量を低下させてバック面からの感度を上げた場合(試料102)、表面からの露光が無い場合は光学情報が写り易くなる。
【0166】
しかし、表面からの露光がある場合は、その効果は少ない。
【0167】
現実には、表面から露光されないことはほとんどなく、表面からの露光がある場合に改良効果があることが必要である。
【0168】
この点で、DLを設けた試料103〜109でだけ効果が見られる。
【0169】
種々の被写体を撮影して、その撮影日の写り方を評価した場合にもDLを試料103〜109で効果が見られる。
【0170】
又、950nmにおける赤外濃度が低いもの、すなわち銀塗布量が少ないもの(試料106、107)は、光学情報の記録は、十分であったが、自動現像機で搬送トラブルを起こすことがあった。
Claims (2)
- 支持体上にそれぞれ少なくとも1層の赤感性ハロゲン化銀乳剤層(RL)、緑感性ハロゲン化銀乳剤層(GL)、青感性ハロゲン化銀乳剤層(BL)を有し、更に該支持体とそれに最も近い感光性ハロゲン化銀乳剤層との間に黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−1)を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該親水性コロイド層と支持体の間に感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する支持体を通した露光による光学情報を記録するための感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)を有し、この感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)またはその隣接層に発色カプラーを有することを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記の感光性ハロゲン化銀乳剤層を含有する支持体を通した露光による光学情報を記録するための感光性ハロゲン化銀乳剤層(DL)と支持体の間にさらに黒色コロイド銀を含む親水性コロイド層(AH−2)を有することを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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