JP3592806B2 - シリコン酸化膜の作製方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、シリコン基板の所定部位にシリコン酸化膜を作製する方法に関し、具体的には、電解効果トランジスタのゲート酸化膜、素子間分離用のアイソレーション膜、外界からの素子保護用パッシベーション膜等、半導体デバイスに使用するシリコン酸化膜の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン基板上にシリコン酸化膜を形成する方法として、熱酸化法が知られている。熱酸化法には、▲1▼スチーム酸化、▲2▼ドライ酸化、▲3▼ウエット酸化などがあるが、いずれもシリコン基板表面のシリコンと酸素分子との熱反応により、基板全面に酸化膜を形成する方法である。図3は、従来の熱酸化法で作製されたシリコン酸化膜の断面を示した図である。シリコン基板1を加熱装置3で加熱して基板全面にシリコン酸化膜2を作製する様子を示したものである。
【0003】
上記の熱酸化法では、成膜速度を上げるために基板温度を1000℃以上に加熱して酸化膜を形成しているが、半導体集積回路の高集積化に伴い、上記の加熱は他の成長膜の特性を変化させる恐れが高く、低温の成膜法が要望されていた。そこで、紫外線をシリコン基板及び原料ガスに照射してそれぞれを励起して低温でシリコン基板を形成する方法が提案された。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の酸化膜形成方法では、基板全面に酸化膜が形成されるため、半導体デバイスを構成するためには、別途リソグラフィやエッチング等の工程が必要になる。また、上記工程は、成長膜の不純物混入の原因となり、膜質を劣化させる恐れがあるため、デバイス作製において問題となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の欠点を解消し、基板を高温にさらすことなく、シリコン基板表面の所望領域だけに成膜することができるシリコン酸化膜の作製方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、真空容器にシリコン原料ガスと酸素含有ガスを導入し、シリコン基板の所定部位にシリコン酸化膜を作製する方法において、電子線のエネルギーを100〜1000eVで、かつ電流密度を0.01mA/cm 〜1000A/cm の範囲に調整し、ビーム径を10オングストローム〜1mmの範囲に絞った電子線を走査するか、前記基板を移動してシリコン酸化膜作製部位に照射し、シリコン酸化膜を形成することを特徴とするシリコン酸化膜の作製方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の方法を実施するための成膜装置の概念図である。まず、真空容器5内の移動ステージ10上にシリコン基板1を設置し、高真空に排気した後、シリコン基板1の背面を加熱装置3で必要に応じて加熱し、次に、真空容器5内にシラン系ガス11をノズル12から、酸素含有ガス13をノズル14からそれぞれ導入する。電子線4は、電子銃6を構成するブランキング装置8のアパーチャー9を通過した後、偏向電極7により走査させ、シリコン基板1の所定の領域に照射することによって、該領域にシリコン酸化膜2を堆積する。
【0008】
本発明における電子線の照射条件としては、電流密度が0.01mA/cm〜1000A/cm、好ましくは0.1mA/cm〜100A/cm、より好ましくは0.1A/cm〜10A/cmの範囲で選択することにより、電子線を走査させながら描画する際の成膜速度を速くし、膜質を向上させることができる。
【0009】
また、電子線のエネルギーは、100〜1000eVの範囲で選択することにより、成長膜に影響を与えることなく、成膜速度を速くし、膜質を向上させることができる。
電子線の照射角は任意の方向で良い。基板に垂直であれば基板表面の凹凸によらず、電子線のプロファイルに応じた均一な酸化膜が得られる。基板に斜めに入射すると、照射角度を基板と水平に近い角度とし、ビームを偏向することによりバッシベーション膜等の大面積酸化膜を作製することができる。
【0010】
真空容器に原料ガスを導入するときの圧力は、10−4〜10−6Torr、好ましくは5×10−6〜5×10−5Torrの範囲が、成膜速度を速くし、良質の膜を得るのに適している。
シリコン基板の温度は、室温から200℃の範囲で選択すると、成膜速度が速く、良質の膜が得られる。
【0011】
本発明では、電子線のビーム径を10オングストローム〜1mmの範囲に絞ることにより、所望形状の部位にシリコン酸化膜を容易に作製することができる。
【0012】
シリコン原料ガスとしては、SiH,Si,SiClなどを使用することができ、また、酸素含有ガスとしては、O,NO,NO等を使用することができる。シリコン原料ガスと酸素含有ガスの混合比は、O/Siの原子比で0.1〜10、好ましくは1〜4、特に好ましくは1.5〜2.5の範囲が適している。
【0013】
【実施例】
図1の成膜装置を用いてシリコン基板の表面にシリコン酸化膜を形成した。まず、シリコン基板を設置し、真空容器を2.0×10−10 Torrに真空排気した後、Siを1.2×10−5Torr、Oを6×10−6Torrとなるように導入した。基板温度は室温とした。電子線は、エネルギーを1000eV、電流密度を0.2mA/cmとし、ビーム径を0.5mmとして走査しながらシリコン基板上に垂直に照射して図2の描画パターンに沿ってシリコン酸化膜を形成した。描画パターンは、直径0.5mmの点描画15、幅0.5mmの線走査16及び3mm×4.4mmの面走査17からなり、それぞれの成膜時間は、30分間、4時間及び4時間とした。得られた膜厚は、それぞれ2500オングストローム、300オングストローム及び100オングストロームであった。
【0014】
【発明の効果】
本発明は、上記の構成を採用することにより、次のような効果を得ることができる。
▲1▼本発明の電子線を走査することにより、任意形状のシリコン酸化膜をシリコン基板上に描画することができるため、従来法におけるリソグラフィやエッチング工程を省略することが可能になった。
▲2▼シリコン基板を室温か比較的低温で成膜することができるため、他の成長膜の損傷を防止することが可能になった。
▲3▼高真空中で成膜することができるので、不純物濃度の少ない優れたシリコン酸化膜の作製が可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための成膜装置の概念図である。
【図2】実施例で成膜した酸化膜パターン図である。
【図3】従来の熱酸化法による酸化膜作製状況を説明するための説明図である。

Claims (1)

  1. 真空容器にシリコン原料ガスと酸素含有ガスを導入し、シリコン基板の所定部位にシリコン酸化膜を作製する方法において、電子線のエネルギーを100〜1000eVで、かつ電流密度を0.01mA/cm 〜1000A/cm の範囲に調整し、ビーム径を10オングストローム〜1mmの範囲に絞った電子線を走査するか、前記基板を移動してシリコン酸化膜作製部位に照射し、シリコン酸化膜を形成することを特徴とするシリコン酸化膜の作製方法。
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