JP3591926B2 - 液晶表示装置の駆動法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、単純マトリクス型液晶表示装置の階調駆動法に関する。
【0002】
【従来の技術】
単純マトリクス型液晶表示素子の基本的な駆動方式(マルチプレックス駆動)としては、1ライン順次選択法(例えばAPT:Alt Pleshko Technique やそれを改良したIAPT:Improved Alt Pleshko Technique)が従来から良く知られている。この手法はオン/オフレベルを簡単に駆動できるため、マルチプレックス駆動方式として非常に有効である。しかし、単純マトリクス型液晶表示素子はTFTなどの能動素子を用いないため、高速応答性の液晶表示素子を駆動した場合には、フレーム応答によるコントラスト低下が生じる問題があった。
【0003】
これを解決するために提案された手法が、複数ライン同時選択(Multi Line Selection)法であり、これにより高速で高コントラストの表示が可能となってきている。また、同様の目的で全ライン同時選択するタイプ(AA:Active Addressing )を用いた試みも報告されている。このように新しいアドレッシング技術が進展し、表示の品位が向上してきている。
【0004】
ところで、近年のパーソナルコンピュータやTVなどのディスプレイにおいて、多階調表示することへの要求が高まってきており、液晶表示素子においても例外ではない。階調表示には、いくつかの方法が用いられている。
【0005】
トランジスタ、ダイオードなどを用いた能動型(アクティブタイプ)駆動方式においては、表示データの濃度レベルに応じて高さが変化するような電圧パルスを用いて、比較的単純に振幅変調ができる。これは、液晶に加えられる電圧が基本的にスタティック波形であるためである。
【0006】
しかし、STN(スーパーツイステッドネマチック)素子などに代表される非能動型(パッシブタイプ)のマルチプレックス駆動方式においては、単純に表示データの濃度レベルに応じて高さが変化するような電圧パルスを印加すると、非選択時の電圧が変動してしまう。このような状況下で、非能動型マルチプレックス駆動方式において、階調を表示する方式として、いくつかの方式が用いられ、又は提案されてきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のSTNの駆動においては、階調表示を行うために、フレーム変調(FRC:Frame Rate Control)やパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)が提案され、かつ用いられている。また、最近、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)方式も提案された。以下、簡単にその説明をし、続いて、これらの手法を複数ライン同時選択に適用した場合の問題を説明する。
【0008】
(1)フレーム変調(FRC)
複数の表示フレームを用いて階調を表示する方式である。つまり、2値状態であるオン状態とオフ状態の数により中間調を構成する。例えば、3フレームを用いた場合、オン/オン/オン、オン/オフ/オン、オフ/オン/オフ、オフ/オフ/オフの4つの状態が表示できる。
【0009】
しかし、この方式で多階調化すると、フリッカー(ちらつき)の発生につながる問題がある。フレーム数が増えるので表示が完結するまでの時間が長くなるためである。そのため、実際には、FRCと空間的に位相をずらす空間変調とを組合せて、このようなちらつきを見えにくくすることが多い。しかしこれでも、16階調程度が限界と考えられている。
【0010】
もう一つの重要な問題は、ビデオ表示への対応が困難な点にある。例えば動画を表示させるためには、動画の切り替わる周期で表示が完結する必要がある。このため、多くのフレームを用いることができず、多階調表示が困難となる。
【0011】
具体的には、例えば、フレーム周波数が120Hz(一般的な周波数であり、1フレーム長は8.3ms)の場合、毎秒30画面(30Hz)の動画を表示するためには、4フレームで表示を完結させる必要がある。この場合、表示できる階調数はたかだか5〜8階調程度である。このように、動画表示においてはFRCでは充分な多階調表示ができなかった。
【0012】
(2)パルス幅変調(PWM)
1選択期間を例えば2n 個に分割し、オン状態の期間とオフ状態の期間を振り分ける手法である。FRCをフレーム内で行う手法と考えてもよい。しかし、この手法は、分割数に比例して駆動周波数が増大するため、高密度、多階調の表示になるほど表示むらが大きくなるという欠点がある。
【0013】
(3)振幅変調(AM)
前述のように、マルチプレックス駆動方式の単純マトリクス型の液晶表示装置では、単純に表示データの濃度レベルに応じて高さが変化するような電圧パルスを印加できず、非選択画素の実効値電圧の変動を防ぐための工夫が必要である。このために、複数の電圧を印加する手法と、仮想電極を用いる手法の二つが提案されている。
【0014】
前者は、二つ以上のフレームで異なるデータ(カラム)電圧を印加するか、1選択期間を二つ以上に分け、異なるデータ電圧を印加する手法である。複数の電圧印加により非選択時の電圧実効値が一定となり、正しい階調表示が実現できる。具体的には、例えば、数1の2種のデータに対応する電圧を、フレームごと又は1選択期間中に切替えて印加すればよい。
【0015】
【数1】
【0016】
ここで、dは表示データ(表示のオンを−1とし、表示のオフを1としたデータ)である。以後、数1に示したような複数のデータを分割データと呼ぶことにする。このような分割データの一部のみを印加した時点では、電圧実効値が所望の値に一定せず、アドレッシングが完了していない。このため、これらの分割データをフレームごとに分けて印加する場合、このフレームを通常のフレームと区別して、サブフレームと呼ぶことにする。分割データは、データの濃度レベルに応じて変化する成分(d)を含む点に特徴がある。それぞれの分割データは、補正項(±(1−d2 )0.5 )も含むため、非選択画素の電圧実効値を一定に保つことができる。なお、それぞれの分割データに基づいてさらに新しい分割データを生成することにより、2種を超える分割データを使用できる。
【0017】
この手法では、複数の電圧レベルを供給できるような装置が必要である。K階調を表示するために、(2K−2)個のレベルの電圧が必要になる。つまり、8階調の場合なら、14レベルである。階調数が増えるほどレベル数は増大する。レベル数の増大は、大きなコストアップ要因である。また、基本的に二つのレベルでの電圧印加で一つの状態が決まるので、単位電圧印加時間(電圧パルス幅)を一定にすると表示完結のフレーム長が従来の2倍になる。
【0018】
非選択画素の実効値変動を防ぐ手法の他の一つは、1行以上の仮想行を設け、そこに、非選択時の電圧を補正するための仮想データを表示するように駆動するか、又は仮想的に決められた電圧レベルを印加する手法である。この手法はフレーム長を2倍にしないので、周波数はほとんど変わらないという利点がある。しかし、全てのラインデータを用いた演算が必要なこと、供給する電圧のレベル数が階調数と補正レベル数との和になって、著しく増大することが欠点である。特に、電圧レベル数が多くなる点は重大で、AM方式が広く用いられていない最大の理由である。
【0019】
これらの二つの手法には、特開平6−138854号公報、特開平6−236167号公報に開示された方法や、同様の考え方で特開平6−89082号公報(EP569974)にPHM(Pulse Hight Modulation)と称して開示された手法をも含むことができる。
【0020】
以上のように、振幅変調を用いた階調表示手法では、回路構成の複雑化と、多レベルのドライバの必要性によるコスト上昇が大きな課題となっていた。
【0021】
(4)複数ライン同時選択法における問題
複数の選択ラインを同時に選択する方式においては、上記の従来駆動法を変形して採用できる。例えば、複数の分割データを用いて、AM方式の階調表示を行う場合には、それぞれの分割データを複数ライン同時選択法の方式にのっとって表示することにより、階調表示が可能になる。すなわち、分割データに所定の選択行列(直交行列)による直交変換を施してカラム信号とする。
【0022】
しかし、上記の階調表示における問題は、複数ライン同時選択においても深刻な問題である。FRC、PWMにおいては、1ライン順次選択法と同じ課題を有し、多階調の表示を行うことは困難である。また、AM方式においては、特に、複数ラインを同時に選択することによる電圧レベル数の増大と最大電圧値の増大とが1ライン順次選択法に比べてより深刻な問題となる。つまり、複数ライン同時選択を行った場合は、直交関数による演算を行うため、表示のために非常に多くの電圧レベルが必要になる。また、回路構成もきわめて複雑になる。このため、階調数を増やすと、大きなコストアップになるという重大な問題があった。
【0023】
従来のAMを用いた複数ライン同時選択においては、階調数が小さく、かつ同時選択ライン本数が少なくても、非常に多くのレベルを必要とする。例えば、AMで表示する階調数がわずか8階調程度であり、かつ1ラインの順次選択であっても12レベルが必要になる。8階調中6階調は中間調データであり、1ラインの順次選択であっても中間調データ数の2倍の電圧レベルが必要だからである。これを複数ライン同時選択法に適用する場合を考えると、直交変換時の電圧レベルの加算・減算により、同時選択する本数がわずかであってもレベル数が著しく増大する。例えば、L=3に対しては、最大83 =512レベル程度の電圧レベルが必要となる。
【0024】
つまり、複数ライン同時選択法でAM変調を行うためには、非常に高解像度(8ビット以上、10〜12ビットが望ましい)のカラムドライバが必要となり、このレベルよりも少ないレベルのドライバで駆動する場合には、データエラーが生ずる。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明は、階調情報量に比して、必要な電圧レベル数が著しく多くなってしまう従来のAM方式を改良し、効率のよい情報供給により、正しい階調表示を可能とする。
【0026】
本発明は、前述の課題を解決するものであり、マルチプレックス駆動を使用した以下の液晶表示装置の駆動法である。
【0027】
すなわち、
(a)階調データの表示に際し、表示すべきデータの濃度レベルに応じて変化する成分を含むような複数の階調データ(これを分割階調データという)に対応するパルス高の電圧パルスを画素に印加することにより、非選択状態にある走査電極上の画素に印加されるRMS電圧を表示の1フレーム内において実効的に一定とすること、及び、
(b)上記複数の分割階調データのうちの一部が、表示に使用する階調データのうちの少なくとも異なる二つにおいて共通になるようにし、
階調データd(−1<d<1であって、−1が表示のオン、1が表示のオフに相当する。)の表示は、分割階調データd+(1−d2 )1/2 及び分割階調データd−(1−d2 )1/2 を表示することにより実効的に行われるとともに、
前記階調データdとして、少なくとも{±d1 ,±(1−d1 2 )1/2 }の4種類(ここで−1<d1 <1かつd1 ≠0)を選択する液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0028】
さらに、フレーム変調又はパルス幅変調による階調表示を併用することを特徴とする上記の液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0029】
また、本発明は、上記の液晶表示装置の駆動法において、複数行を同時選択する方法を提供する。特に、中間的な階調データの表示時において、全ての行電極に少なくとも一つの選択パルスが印加される期間内に該選択パルスに対応してカラム電極に印加される信号群には、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とが混在していることを特徴とする液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0030】
また、特に、中間的な階調データの表示時において、同時選択される一つの行電極群に印加される1回の選択パルスに対応してカラム電極に印加される信号群には、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とが混在していることを特徴とする液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0031】
さらに本発明は、前記発明において、複数行を同時選択して、同時選択される特定の行電極群に注目した場合に、カラム電極に印加される信号は、所望の階調データを表示するために必要な全ての分割階調データを直交変換することによって形成された複数の信号が、選択行列の列ベクトルごとに一まとまりとなって、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されることを特徴とする液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0032】
また、本発明は、複数行を同時選択するとともに、同時選択される行に仮想行を加え、データ電極に印加される電圧レベル数を減らすように、仮想行上のデータを設定することを特徴とする上記の液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0033】
特に、同時選択される行に対応するカラム電極には実質的に直交性のある選択行列で階調データを変換して得られる信号を印加するともに、同時選択される行(仮想行を含む)に対応する表示データを絶対値の異なる表示データの組に分けた場合、それぞれの組に含まれる表示データの個数が所定の離散した整数値のみをとるように、仮想行上のデータを設定することを特徴とする上記液晶表示装置の駆動法、及び、同時選択される行に対応するカラム電極には実質的に直交性があって列ベクトルの要素積が一定な選択行列で階調データを変換して得られる信号を印加するとともに、同時選択される行(仮想行を含む)に対応する表示データの要素積の符号が一定になるように仮想行上のデータを設定することを特徴とする上記液晶表示装置の駆動法、を提供する。
【0034】
本発明は、以下の効果を有する。
【0035】
1)多階調の液晶表示装置を、現実的なレベル数(64/32レベル以下)のカラムドライバで駆動できる。すなわち、従来に比べて大幅な回路系の省力化とコストダウンが達成できる。
2)データエラーなく完全に独立して表示を行うことができる。特殊なデータ処理なしで、高品位の画像を提供できる。すなわち、従来に比べてクロストークなど情報エラーの少ない画像が提供できる。
【0036】
本発明において、電圧の振幅を変化させて階調を表示する際、非選択画素に印加される実効電圧の変動を防ぐために、一つの階調の表示のため、異なる複数の電圧レベルからなる電圧パルス群を信号電圧として印加するようにする。この「複数の電圧レベル」は、種々の方法で設定できる。
【0037】
まず、表示すべきデータを複数のデータで表現して、分割データを形成し、これを表示することによって、一つの階調を表示できる。複数ライン同時選択においては、データを直交変換してカラム信号を形成するが、分割と直交変換の順序は入れ替えることができる。つまり、分割データを形成した後、この分割データに直交変換を施して分割されたカラム信号を形成してもよく、表示データにまず直交変換を施してカラム信号を形成した後、そのカラム信号を複数の分割されたカラム信号で表現してもよい。
【0038】
また、同時選択されるラインでまとめてひとつの補正カラム信号を印加することもできる。この場合は、補正カラム信号を仮想ライン上のデータとして取り扱えばよい。
【0039】
【発明の実施の形態】
《本発明の基本的な考え方》
まず、本発明では、階調数に比べて必要な電圧レベル数が多くなりすぎることを回避し、最低限必要な電圧レベル数を用いて行うAM方式の階調駆動法を提案する。以下の本明細書の説明では、走査電極を行電極又はロウ電極ともいい、データ電極を列電極又はカラム電極ともいう。また、走査電極に印加される電圧波形をロウ波形、データ電極に印加される電圧波形をカラム波形ともいう。
【0040】
本発明は全てのAM方式に適用可能である。AM方式に含まれる方法は、出願人が、特開平6−138854号公報、特開平6−236167号公報で開示している方法と、特開平6−89082号公報に開示された方法があるが、これらは、AM方式の無限にある解のうちのいくつかをそれぞれ提案したものになっている。すなわち、それぞれの波高値に表示すべきデータの濃度レベルに応じて変化する成分を含むような複数の電圧パルスを画素に印加することによって、階調表示する方法は以下のような条件で表される。
【0041】
L(1以上)本の走査電極を同時に選択し、選択された走査電極へ印加する信号としては、直交関数信号A[Ami](ここで、Amiは直交行列Aのm行i列の要素で1,−1,又は0。mは1〜Lの整数であり、iは1〜Mの整数であり、1表示サイクル中のi番目の選択信号に相当する。)を加えるものとした場合に、特定のカラムの、一括選択される電極のグループにおけるj番目(jは1〜Lの整数)のラインの上の画素について、所定の階調レベルdj (dj は階調の濃度に応じて表示のオフを示す1と、表示のオンを示す−1との間の値をとる。)を得るために、(C1 ,C2 ,・・・,CM )=(d1 ,d2 ,・・・,dL )Aとすると、列電圧には実質的に数2によって表現される2種類の電圧に比例する電圧が印加される。
【0042】
【数2】
ただし、Σqi =一定≧tr[ tAA]である(ここで、tは行列の転置を、tr[ ]は[ ]内の行列の対角成分の和を示す)。
【0043】
出願人が、特開平6−236167号公報で開示している方法は、Σqi =tr[ tAA]、かつ、qiが全てのiについて等しい場合であり、特開平6−89082号公報に開示された方法のうち、Split Interval Mode と称される方法は、パルス幅変調による階調表示方法に合わせて、qiをiについて変動させながら設定したものである。もちろん、これらは結果として、互いに異なった電圧パルスを使用することになる。
【0044】
本発明は、広く、AM方式に適用可能であるが、説明の便宜上、以下には、数1の二つのレベルの使用に基づいた駆動法を例にとって説明する。
【0045】
1ライン順次選択法(APT)では、前述のとおり、数1の二つのレベルを印加することにより実効的に一つの階調を表現できる。
【0046】
本発明では、全体で使用する電圧レベルを減らすために、複数の階調を同じレベルを用いて表現する。我々のアイデアは、特殊な値を持つ階調レベルを選択して表示に用いることにある。すなわち、異なる表示データの分割データが一部重複するならば、結果として必要な電圧レベル数はさほど増大しない。これに対して、従来技術の考え方では、階調レベルは、入力信号のビット数や、処理回路の仕様に基づいて決定される。
【0047】
例えば、オン、オフ、50%グレイ(オン+オフで表現)以外の階調を二つの組(表示データを±d1 、±d2 とする)として追加し、必要なレベルを階調の増大数以外に増やさないようにするには、数3の条件を満たせばよい。数3より数4の条件が導かれる。
【0048】
【数3】
【0049】
【数4】
【0050】
数4で、d1 、d2 の条件式はデータの2乗に関して表され、正負対称になっている。したがって、±d1 、±d2 の4つの階調が4つの電圧レベルの追加により表示できる。具体的なd1 、d2 の組としては、表1のものがある。
【0051】
【表1】
【0052】
すなわち、ある階調データd1 (ならびに−d1 )を用いる場合、その対として、d2 (=(1−d1 2)0.5 )(ならびに−d2 )を用いることにより、必要な電圧レベル数を、増加した階調数と同数にできる。このような階調レベルの組合せは、従来、通常に用いられている、8、16、32階調などの表示からは一般的に得られない。これらの場合は、階調レベルに対応する複数の波高値が全て一致せず、電圧レベルの少ないドライバで駆動したのではエラーが大きくなる。本発明の方式では、基本的に、階調数Kに対し、必要なレベル数は、数5のように表される。
【0053】
【数5】
【0054】
したがって、従来方式の(2K−2)レベルに比べて(K−2)レベルの低減が可能である。なお、±1の電圧レベルを用いれば、データ「0」(50%グレイ)が表現可能である。
【0055】
前述のように、本発明では、表示データを分割して、二つのサブフレームを用いて表示を完結させるようになしうる。AMを用いて表示する表示データとして、オン(d=−1)、オフ(d=+1)、50%グレイ(d=0)(ただし、d=0は本発明で必須ではない)、さらに数4の条件を満たす4つのデータを選択する。すなわち、±1、±d1 、±d2 (=±(1−d1 2 )0.5 )(ならびに0)を階調レベルとして用いる場合を考える。この場合に、各表示データを表現するために必要な二つの分割データは表2のようになる。表2で、X0 、Y0 の意味は数6に示したとおりである。
【0056】
【表2】
【0057】
【数6】
【0058】
二つの分割データの印加順序は入れ替えてもよい。入れ替えによって、一方のサブフレームについては±1と±X0 、他方のサブフレームについては±1と±Y0 のみを分割データとして使用するようにできる。この場合の、±1と±X0 を用いるサブフレームをXサブフレーム、Xサブフレームで用いる分割データを総称して分割データXと呼び、±1と±Y0 を用いるサブフレームをYサブフレーム、Yサブフレームで用いる分割データを総称して分割データYと呼ぶことにする。
【0059】
すなわち、この場合に、各表示データを表現するための分割データX、Yは表3のようになる。定義からX0 は絶対値が1以上となり、Y0 は絶対値が1以下となる。
【0060】
【表3】
【0061】
図1は、表1における、d1 =0.6、d2 =0.8の組合せで、種々のロウ波形、カラム波形の場合について、画素に印加される電圧の値を示したものである。図1では、カラム電圧レベルを正規化して(1として)示した。ここでC=2V2 +2である。
【0062】
図1から、たとえば、階調レベル0.8と0.6とは、パルスハイト1.4を共通に含み、また、0.8と−0.6とはパルスハイト0.2とを共通に含むことがわかる。こうして±1.4、±0.2の4レベルで±0.6と±0.8の4階調が表示できる。これに、±1.0を加えると、カラム電圧6レベルで7階調が表示できる。選択時に印加される信号電圧のうち、カラム電圧で変化する部分は、表示データdに比例する。また、非選択時のRMS電圧は1表示フレーム内で一定である。
【0063】
次に、それぞれの階調レベルの間隔に着目する。上記の階調レベルの組合せから明らかなように、階調±d1 、±d2 を+1、−1という表示データに加えて表示した場合、等間隔な階調レベルは形成されていない。この点は、連続的な階調を表現するためには不利である。
【0064】
本発明では、より連続的な階調の表現をするために、AMと他の階調方式、特にFRCとを組合せることにより、飛躍的に階調数を増やすことを併せて提案する。この場合、表1における、d1 =0.6、d2 =0.8の組合せは特殊な解である。というのは、データ0.6、0.8、1.0は、0.2間隔のデータになっているからである。換言すれば、階調レベルが、−1と+1の間を実質的に等間隔に分割したレベルの一部からなっている。具体的には、1から−1までの0.2間隔のデータのうち、±0.2と±0.4が除かれた状態となっている。
【0065】
つまり、全てが埋まった等間隔な階調レベルを振幅変調で作るのではなく、等間隔のレベルのうちの一部が振幅変調による階調で表現されている。すなわち、振幅変調のみではレベルが閉じていない。
【0066】
この場合、FRCやPWMなどの他の階調表示方式と組合せることにより、等間隔の階調レベルが形成できることになるとともに、飛躍的に階調数が増えることになる。2フレームでのFRCと組合せた場合の例を説明する。例えば、AMで7階調(1、0.8、0.6、0、−0.6、−0.8、−1:ここで、表示データ0は、レベル±1で表示できる)を表示し、2フレームのFRCを併用すると、それぞれのレベルの組合せにより、1から−1までの0.1刻みの全てのレベル、21階調の表示を達成できる。これは、FRCを併用しない場合の3倍である。他の階調データの組合せの例としては、d1 =0.92,d2 =0.392などがある。この組合せは、FRCと組合せることにより、2フレーム(すなわち4サブフレーム)で25階調、3フレーム(すなわち6サブフレーム)で63階調、4フレーム(すなわち8サブフレーム)では100階調以上が実現される。
【0067】
比較として、AMで等間隔なK1 レベルを表示し、さらにMフレームのFRCで表示階調数を増やす場合には、((K1 −1)×M+1)階調が表現される。例えば、2フレームでのFRCを併用すると、(2K1 −1)階調が表現される。これは、FRCを併用しない場合の2倍以下にすぎない。
【0068】
以上のように、±0.8、±0.6などのように+1と−1の間を等間隔に分割した階調レベルから一部を取り出して複数のフレームにより階調を表示する場合、従来の多フレームを用いた階調表示手法より多くの階調が得られる。そして、±0.92,±0.392のような非等間隔レベルの一部を1フレームでの階調レベルとした場合には、フレーム数が増大するにつれ飛躍的に階調数を増大させることができる。
【0069】
表4に、d1 =0.6、d2 =0.8の組合せで、21階調の表示を行うために、第1フレーム及び第2フレームでどのようなデータを表示すればよいかを示した。ここで、1/21はオフ電圧、21/21はオン電圧である。なお、前述の2種類の分割データを各サブフレームに分けて印加する手法によれば、第1フレーム及び第2フレームはそれぞれ二つのサブフレームからなり、合計で4つのサブフレームにより各階調は表現される。
【0070】
【表4】
【0071】
比較のため、本発明と従来のAM手法で7〜8階調を表示する場合とで、必要なレベル数、FRCを併用して達成できる階調数を表5に示す。
【0072】
【表5】
【0073】
表5に示されるように、従来手法では、14レベルの電圧を使用して15階調しか表示できないが、本発明では、6レベルの電圧を使用して21階調の表示ができる。階調/レベルの効率は3倍以上高くなる。このことは、本方式によれば、大きなコストアップがなく表示品位が飛躍的に向上することを意味する。
【0074】
また、本発明の関係を2系統又はそれ以上用いることにより少ないフレーム数で、多くの階調を達成できる。たとえば、表1のd1 、d2 の組み合わせを2組(d1 、d2 、d1’、d2’)を用いた場合、必要な電圧レベルは10レベルで、1表示フレームにおいて11階調が表示できる。この場合、多フレームになるにつれ飛躍的に階調数を増やせ、2フレームFRCにおいて、64階調以上の階調が実質的に表示可能となる。
【0075】
また、多フレームを用いFRCとの組合せにより階調表示を行う場合、フレームに応じてロウ電圧を変化させることが階調を増やすために有効である。従来技術の場合は、単純にFRCのみで階調を表示しているので、さらにロウ電圧を変化させて信号を変調する場合においては、階調数を増やすためにロウ電圧を大きく変化させることが必要であった(特開平6−230752号公報)。したがって、最適なバイアス比(カラム電圧とロウ電圧の比)からのずれが生じ、オン/オフの電圧比が小さくなり、コントラスト、輝度などが低下するという問題を生じていた。しかし、本発明では、1フレーム内において振幅変調による階調増大が行われているので、ロウ電圧を少し変化させれば多階調化できる。したがって、液晶に印加されるオン/オフ電圧比をほとんど損なうことなく階調数を増大させうる。具体的には、従来例においては、変調のために、たとえば、複数のフレーム間で100%程度以上の電圧変調を必要とした(ロウ電圧比で1:2程度以上)のに対し、本発明においては、50%以下、通常は30%以下の電圧変調により階調の増大を生ずることが可能となる。この場合、ほとんど、電圧のオン/オフ比には悪影響を及ぼさない。
【0076】
《本発明の複数ライン同時選択法への適用》
次に、近年注目されている複数ライン同時選択法(複数ライン同時選択法/AAも含む)への本発明の適用について説明する。
【0077】
複数ライン同時選択においては、階調表示を行わなくても、必要なレベル数は従来駆動法よりは増大する。一般に、L本のラインを同時選択する場合には、(L+1)個の電圧レベルが必要とされる。
【0078】
AM法を複数ライン同時選択に適用するためには、以下の二つの条件を満足することが特に望ましい。
【0079】
1)AM法自体で必要なレベル数を極力少なくすること、
2)用いるレベルが等間隔となるようにすること。
【0080】
1)の条件を満たせば、前述のように、電圧レベル数の低減に関して、従来法よりは格段に改善される。1)の条件に加え、さらに2)の条件を満たすことが望ましいのは以下の理由からである。
【0081】
複数ライン同時選択法においては、カラム電圧は、同時に選択されるライン上の表示データの直交関数を用いたマトリクス演算の結果に比例した電圧となるので、電圧レベル間の加算、減算が多く行われる。この場合、もし、電圧レベルが等間隔レベルでないと、それぞれの演算により新しいレベルを設ける必要が生じ、Lの増大につれ指数的に必要なレベル数が増大してしまう。この観点では、表示データとしては、表1におけるd1 =±0.8,d2 =±0.6を中間調レベルとして用いる場合が、複数ライン同時選択に適する。
【0082】
以下、この場合を例に説明する。AMに対する表示データとして、1、0.8、0.6、0、−0.6、−0.8、−1を用いる場合を説明する。
【0083】
この場合、1ライン順次選択法と同様に、分割データX、Yとしては、±1、±1.4、±0.2の6種類が必要となる。複数ライン同時選択では、これらの分割データの加算・減算によりカラム電圧が決められる。この例では0.4間隔の電圧レベルの一部を用いていると考えうるので、加算・減算により生じる電圧レベルもまた0.4間隔である。また、最大電圧レベルは1.4・Lとなる。以上を考慮すると、本例では、(1.4・L/0.4)×2(個)の電圧レベルが必要となる。反対に、もし、もとの電圧レベルが等間隔レベルの一部を用いていなければ、必要なカラム電圧レベル数は同時選択ライン本数に対して指数的に増大する。
【0084】
本発明では、複数ライン同時選択においてAM方式による階調表示を行っても、電圧レベル数が指数的に増えることはない。例えば、L=3の例においては、AM方式で7階調表示をするのに必要なレベル数は、21レベルでしかない。従来例と比較すると、20分の1以下にレベル数が低減されている。つまり、従来は、8ビットドライバでも表示上の誤差を生じたのに対し、本発明では、5ビットドライバで全く誤差なく表示が行える。
【0085】
表6に、複数ライン同時選択(L=3)での、種々のデータの組合せで必要なカラム電圧レベルVx 、Vy の例を示す。表では、ロウ選択パターンが、(1、1、1)又は(−1、−1、−1)の場合に必要な電圧レベルを示すが、これで、全ての選択パターンについて必要な電圧レベルを尽くしたものになっている。この例は、AM階調を導入することによって生じる分割データについて、±1.4と±1の組と、±1と、±0.2の組に分けて、それぞれを別のサブフレーム(X、Y)で表示するようにしている。すなわち、表3の表記に従えば、X0 =1.4、Y0 =0.2である。
【0086】
このように、一つのサブフレームの中では、絶対値の同じものを組合せて、絶対値の異なる分割データが少なくなるように、各サブフレームに分割データを振り分けると、加算、減算による電圧レベルの増大を極力避けられる。
【0087】
【表6】
【0088】
適切なLの範囲は、この電圧レベル数のみで決まるのではなく、フレーム応答の抑制効果、すなわちコントラストの観点を考慮して決められる。フレーム応答の抑制には、全ライン数、駆動周波数、液晶の応答時間などが関係する。例えば、全ライン数Nは200〜400ラインとし、応答時間(立ち上がり時間と立ち下がり時間の平均)が150ms以下の液晶で、選択パルス幅20〜50μsとすると、2≦L≦15の関係を満たすことが性能と低コストの両立の観点より望ましいと判断される。ここで、一般に、Nが増えるほど、応答が早くなるほど、そしてパルス幅が長くなるほど、大きなLとすることが望ましい。
【0089】
AMを使用する場合は、上記のレベル数の観点より、フレーム応答が抑制される範囲でより少ないLを用いることが望ましい。したがって、以下のようにすることが望ましい。
【0090】
1)N≦300では、2≦L≦7、
2)N>300では、2≦L≦15。
【0091】
条件1)は、ドット数(H640(×RGB)×V480)、(H800(×RGB)×600)などを2画面駆動する場合や、その1/2、1/4サイズの1画面駆動に対応(N=240、300)する。条件2)はより高密度(ヘビーデューティー)なもの、例えば、(H1024×768)に対応する。
【0092】
同時選択数Lなどの条件によって、上記のように分割データX、Yをサブフレームごとに振り分けた方が望ましい場合、同一サブフレーム内で両分割データを用いた方が望ましい場合、がある。Lが大きい場合(特にL>4)では、前者が望ましい条件となるが、Lが小さな場合には、両方の手法のいずれをも用いうる。たとえば、L=2の場合、X、Y分割データをサブフレームごとに振り分けた場合と、X、Yを必ず同一サブフレーム内でかつ同一サブグループ内で用いる場合(すなわち、同時選択される1本のロウ電極にXデータを対応させもう1本にYデータを対応させる場合)とについて、分割データの組合せと電圧レベルは、表7、表8のようになる。ここで、X、Yとしては、±1.4、±0.2を用いた。
【0093】
【表7】
【0094】
【表8】
【0095】
表7、表8に示すように、X、Yのデータを同時に同一サブグループのラインに対応させる場合は、最大の電圧レベルが低下し、同時にこの場合、全レベル数も低減されている(表8)。これは、ドライバー耐圧を低減できる点、波形歪みによる表示の不均一性(クロストーク)を低減できる点などの、利点を生み出す。したがって、L=2の場合には、X、Y分割データを同一サブフレームの同一サブグループにおいて用いることには、利点がある。この関係は、特にLが小さくLが偶数のときに有効であり、L=2、4などにおいて、同時選択されるラインの半分をXデータ、残り半分をYデータとすることは、表示品位の観点、ならびに、コスト低減の観点より有効である。
【0096】
図4は、複数ライン同時選択法による駆動を行う場合の回路のブロック図の一例である。6ビットのデジタルRGB信号を、1画面分、メモリ1に保存した後、読み出し、同時選択するラインごとに、3個のサブフレーム振分けルックアップテーブル2によって、ガンマ補正と、フレームレートコントロールのためのフレーム分配を施す。
【0097】
フレーム分配された信号は、サブフレームカウンタに同期して、各サブフレームごとの表示データを3ビットパラレルで出力し、演算回路3へと送る。演算回路3で演算された信号はカラムドライバ5に送られて、カラム電圧に変換されたのち、液晶表示パネル7に印加される。
【0098】
演算回路3には、演算のための直交関数が関数発生器4から送られる。直交関数はロウドライバ6にも送られ、ロウ電圧に変換されたのち液晶表示パネル7に印加される。演算回路3及び関数発生器4へは、所定のタイミングで符号反転信号が送られて符号反転が行われ、液晶に印加される直流成分が除去される。
【0099】
《ダミー行とダミーデータの設定による電圧レベル数の削減》
本発明では、また、複数行を同時選択するとともに、同時選択される行に仮想行を加え、データ電極に印加される電圧レベル数を減らすように、仮想行上のデータを設定することを提案する。
【0100】
本発明では、AM方式の階調駆動を行うため、表示データは、絶対値の異なる2種以上のデータからなる。このような場合に、一般的に、電圧レベル数を減らせるような条件について例示、説明する。
【0101】
その一つは、同時選択される行(仮想行を含む)に対応する表示データを絶対値の異なる表示データの組に分けた場合、それぞれの組に含まれる表示データの個数が所定の離散した整数値のみをとるように、仮想行上のデータを設定することである。この離散した整数値の例としては、(1,3,5,7・・・),(2,4,6,8・・・),(3,6,9,12・・・)などがある。
【0102】
特に、絶対値の等しい表示データの個数を仮想電極を含む行電極サブグループの中で偶数又は奇数に揃えることが好ましい。必要な仮想電極の本数が多くなりすぎるのを防ぐためである。
【0103】
このような条件について、図面を参照しながら説明する。
【0104】
図2は、2ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合の、電圧レベルの低減効果を示す。図2は横に並んだ[A]〜[D]の4つの欄からなっており、それぞれは二つの場合を含んでいる。それぞれの内容は以下のとおりである。
【0105】
A欄は、データd1 の個数が奇数に統一され、データd2 の個数が偶数に統一された場合を示す。B欄は、データd1 の個数が偶数に統一され、データd2 の個数が奇数に統一された場合を示す。C欄は、A欄と同じく、データd1 の個数が奇数に統一され、データd2 の個数が偶数に統一された場合であり、データベクトルの要素積の符号をマイナスとした場合を示す。D欄は、データd1 の個数が偶数に統一され、データd2 の個数が奇数に統一された場合であり、かつデータベクトルの要素積の符号をマイナスとした場合を示す。
【0106】
表示データのうち、かっこで囲まれたものが仮想データであり、波形図はその場合の波形である。最下段に、全ての現実の表示パターンを表示するのに必要な電圧レベルを示した。ここでは、交流化のため、符号が反対の電圧レベルが必要になることが考慮されている。選択行列は表9に示すものとした。ここで、行列の行のうち、2行は実在する表示ライン、1行は仮想ラインに対応する。また、行列の列は、選択パルスのシーケンス(すなわち時間)に対応する。
【0107】
【表9】
【0108】
図2のように、データd1 の個数とデータd2 の個数との偶奇が反対になる二つの場合のそれぞれに対して必要な電圧レベルは8レベルずつである。3本の行電極を同時選択し、絶対値の異なる2種のデータを扱う場合は、本来16レベルが必要になるが、この16レベルが二つの場合に分かれたことになる。これは、それぞれのデータの個数の偶奇が固定されているため、必然的に取り得ないレベルが生じるためであると考えられる。本来、2本の行電極を同時選択し、絶対値の異なる2種のデータを扱う場合は、9レベルが必要なので、本発明のように、仮想行を設定し、かつ適当な仮想データを選択することにより、電圧レベルが1レベル減ることがわかる。
【0109】
一般的に、表示データの個数が所定の離散した整数値のみをとるようにすることにより、同様の効果が得られる。ただし、3の倍数などに固定するためには、必要な仮想電極の本数が多くなり、コントラスト比が下がる欠点がある。このため、表示データの個数をそれぞれ偶数又は奇数に固定することが好ましい。
【0110】
電圧レベル数を減らすための条件の他の一つは、選択行列として、列ベクトルの要素積の符号が一定となるようなものを用い、かつ同時選択される行(仮想行を含む)に対応する表示データの要素積の符号が一定になるように仮想行上のデータを設定することである。特に、表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積とで符号が逆になるようにすることが好ましい。これにより、最大電圧レベルを低くできるからである。
【0111】
この条件は、仮想電極を含む同時選択行電極本数が偶数の場合に、電圧レベル数低減の顕著な効果を示す。以下、図3を参照しながら具体例に即して説明する。
【0112】
図3は、3ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合の、電圧レベルの低減効果を示す。表示データ欄でかっこで囲まれたものが仮想データで、波形図はその場合の波形を示す。図2と同様に、最下段に、全ての現実の表示パターンを表示するために必要な電圧レベルを示した。選択行列は表10のものを用いた。ここで、行列の行のうち、3行は実在する表示ライン、1行は仮想ラインに対応する。また、行列の列は、選択パルスのシーケンス(すなわち時間)に対応する。この行列は、列ベクトルの要素積の符号が、負で一定になっている。例えば、表9に示した行列において、最も右の列の符号を反転した行列も直交行列であるが、このような行列は列ベクトルの要素積の符号が一定にならない。
【0113】
【表10】
【0114】
A欄の例は、データd1 、d2 の個数がいずれも偶数に統一され、かつ表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が逆に統一された場合である。B欄の例は、データd1 、d2 の個数がいずれも奇数に統一され、かつ表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が逆に統一された場合である。
【0115】
C欄の例は、データd1 、d2 の個数がいずれも偶数に統一され、かつ表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が等しく統一された場合である。D欄の例は、データd1 、d2 の個数がいずれも偶数に統一され、かつ表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が等しく統一された場合である。
【0116】
図3のように、それぞれの場合に、必要な電圧レベルの数は4個、6個、9個、6個となる。4本の行電極を同時選択し、絶対値の異なる2種のデータを扱う場合は、本来25レベルが必要になる。図3から理解できるように、この25レベルが4つの場合に分かれたことになる。4つの場合に分かれたのは、それぞれのデータの個数の偶奇が固定されているため、必然的に取り得ないレベルが生じるためであるばかりでなく、それぞれについて正負対称の電圧レベルになるので、交流化のために極性反転を行っても電圧レベルが増えないことによる。交流化のために極性反転を行っても電圧レベルが増えない点は、仮想行を含めた同時選択本数が偶数の場合の利点である。
【0117】
また、図3から、表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が逆になるように統一された場合には、最大電圧レベルが下がることがわかる。これは、直交変換の加算、減算のとき、全ての表示データの符号が揃うことがないためである。列ベクトルの要素積が一定でない直交行列を選択行列として使用する場合は、この点で不利になる。
【0118】
図3より、3ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合は、データd1 、d2 の個数がいずれも偶数に統一され、かつ表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が逆に統一された場合が最も有利なことがわかる。すなわち、一般に、電圧レベル数削減及び最大電圧低減の観点から最も望ましいといえる条件は、(1)仮想電極を含んだ全同時選択ライン本数を偶数とし、(2)各データ個数をいずれも偶数に統一し、かつ、(3)表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号を逆に統一する場合である。
【0119】
本発明で用いる同時選択行本数(L)としては、2≦L≦16程度が、回路構成の複雑さとフレーム応答の抑制の観点から望ましい範囲であり、特に、フリッカー抑制などの観点から、表示が完結するフレーム長が長くならないように、選択パルス系列を決める直交関数が正方行列に近いことが望ましい。この観点より、L=2S −1とするのが最も望ましい。これより、L=3、7、15が望ましい。回路構成ならびにドライバの観点より、なかでもL=3、7、特にはL=3が望ましい。
【0120】
前述のように、階調データとして、d1 ,d2 (=(1−d1 2)0.5 )を用いる場合は、基本的に、APT(1ライン選択)に対応するレベルは、±1、±X0 、±Y0 の6種類である。したがって、3ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合、大幅な電圧レベル数低減が可能になる条件は、具体的には次の1)〜3)を満たすことである。ただし、1)は必須ではない。
【0121】
1)特定のサブグループに対して、サブフレームには、±1と±X0 のみが割り振られるもの(Xサブフレーム)と、±1と±Y0 のみ割り振られるもの(Yサブフレーム)の二つのサブフレームが存在するようにする。
2)表示データの要素積と選択行列の列ベクトルの要素積との符号が逆になるように統一する。
3)4本のラインデータで「±1」「±X0 」「±Y0 」の数を偶数となるように統一する。
【0122】
この条件を満たすとき、最もレベルを低減できる。例えば、L=3においては、必要なレベル数は6レベル(±2、±2X0 、±2Y0 )である。これは、仮想データを用いない場合の、21レベルと比して、1/3以下のレベル数である。したがって、内部でのデータビット数も5ビットから3ビットに低減され、安価なカラムドライバが使用できる。
【0123】
選択行列の列ベクトルの要素積の符号は、その選択行列がアダマール行列からどのように形成されるかによって決定できる。つまり、アダマール行列に、行もしくは列の入れ替え、又は行もしくは列の極性反転を施して選択行列を形成し、その際に行もしくは列の反転の回数が偶数回か奇数回かで決めればよい。反転回数が偶数の場合は、4本のラインデータでマイナス符号の数を奇数とし、反転回数が奇数の場合には、4本のラインデータでマイナス符号の数を偶数とする。
【0124】
表10の4×4行列を例にとる。この行列は、アダマール行列に対して、以下の操作を施すと得られる。
【0125】
1)2、3列を反転、
2)2と3列を入れ替え、
3)1行を反転。
【0126】
この場合、行反転が1回入っているので、4本のラインデータでマイナス符号の数を偶数とすればよい。
【0127】
本発明のもう一つの大きな利点は、カラム電圧の最大値を低くできる点にある。この点をd1 =0.8、d2 =0.6の場合に、具体的に説明する。例えば、L=3では、選択パルス(1、1、1)に対して、データが全て1.4の場合、カラム電圧レベルは、1.4×3=4.2となるが、本方式では、1.4×2=2.8が最大となり、カラム電圧の最大値は半分になっている。
【0128】
このことは、低消費電力の点で有利であるだけでなく、印加されるカラム電圧波形が大きな変動を起こさないという利点もある。つまり、電圧の急激な変化(すなわち高周波成分)による波形の歪みで起こるクロストークが低減できる。
【0129】
以上の本発明の利点をまとめると、以下のようになる。
1)カラム電圧レベル数が低減できる、
2)カラム電圧の絶対値が低減できる、
3)クロストークが低減できる。
つまり、コスト低減と、表示品位の向上が同時に図れる。
【0130】
なお、仮想ラインを加える方式では、本来の同時選択ライン数に、仮想のラインを加えて駆動するために生ずる欠点も存在する。これは、実際にはLラインしか同時に駆動していないにもかかわらず、あたかも(L+1)ライン存在するかのように駆動するために生じるデューティ比の変化が原因である。具体的には、N本のラインをL本同時に駆動する際、仮想ラインを1本加えると、全部でN/L×(L+1)本のラインを駆動することに相当する。
【0131】
例えば、N=240の場合、実際の同時選択ライン本数が3本で仮想電極が1本のときに320ライン相当、実際の同時選択ライン本数が7本で仮想電極が1本のときに280ライン相当を駆動することに相当する。これにより、実効電圧のオン/オフ比は、従来駆動時の、1.066から、1.057及び1.062へ低下する。
【0132】
ダミーラインを使用して電圧レベル数を減らした場合の回路も図4とほぼ同じである。ただし、演算回路3は、ダミーデータ発生、行列演算ルックアップテーブル3になり、その出力は3ビットになる。
【0133】
6ビットのデジタルRGB信号を、1画面分、メモリ1に保存した後、読み出し、同時選択するラインごとに、3個のサブフレーム振分けルックアップテーブル2によって、ガンマ補正と、フレームレートコントロールのためのフレーム分配を施す。フレーム分配された信号は、サブフレームカウンタに同期して、各サブフレームごとの表示データを3ビットパラレルで出力し、ダミーデータ発生、行列演算ルックアップテーブル(3)へと送る。ここでダミーデータを含めて演算された信号はカラムドライバ5に送られて、カラム電圧に変換されたのち、液晶表示パネル7に印加される。
【0134】
ダミーデータ発生、行列演算ルックアップテーブル(3)には、演算のための直交関数が関数発生器4から送られる。直交関数は、ロウドライバ6にも送られ、ロウ電圧に変換されたのち液晶表示パネル7に印加される。ダミーデータ発生、行列演算ルックアップテーブル(3)及び関数発生器4へは、所定のタイミングで符号反転信号が送られて符号反転が行われ、液晶に印加される直流成分が除去される。
【0135】
《表示むらの低減》
今までに説明した手法で中間調を表示した場合、表示パターンによっては本来の階調レベルとは異なり、輝度の逆転現象が起こる場合がある。これは、それぞれの階調データを表示する際のカラム電圧波形の周波数スペクトル分布が互いに異なるためである。すなわち、表示されるべき階調(輝度)レベルは実効電圧の大きさによって制御される一方で、実際の液晶表示パネルでは印加されるカラム電圧の周波数特性にも依存する。階調数が増えれば増えるほど隣り合う階調レベルの場合、実効電圧値の差はわずかなものとなり、カラム電圧の周波数特性が異なると、階調レベル間で輝度の逆転現象が起こる可能性がある。
【0136】
本発明では、このような問題を解決して、さらに良好な表示を得るために、中間的な階調データの表示時において、全ての行電極に少なくとも一つの選択パルスが印加される期間(これを以後、1スキャンという)内に該選択パルスに対応してカラム電極に印加される信号群に、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とを混在せしめることを提案する。このようにすると、特定の階調において駆動信号の周波数成分が極めて低くなるような事態を回避できるため、前述の階調逆転現象を抑制できる。
【0137】
前述のようにXサブフレームとYサブフレームとに分けて一つの階調データを表示する場合においては、絶対値が1を超える階調データには、Xサブフレーム内で表現される±X0 (ここでX0 =d1 +(1−d1 2)0.5 )が相当し、絶対値が1未満の階調データとは、Yサブフレーム内で表現される±Y0 (ここでY0 =d1 −(1−d1 2)0.5 )が相当する。
【0138】
すなわち、上記の提案は1スキャン内で分割データXに基づくカラム電圧レベルと分割データYに基づくカラム電圧レベルとを混在させる手法であるともいえる。かかる手法により、カラム電圧波形は全体的に高周波化され、各階調間のカラム電圧波形は周波数的に均一化される。
【0139】
また、前述したように、本発明のAMによる階調表示では、Xサブフレームのみ終了した状態では、非選択画素の電圧実効値は一定ではなく表示データに依存し、XサブフレームとYサブフレームとを終了して、はじめて非選択画素の電圧実効値が表示データと無関係に一定となる。したがって、画面の切替えのタイミングによっては、実効電圧が大きく変動し、画素の輝度変化が人間の目に見える程度の時間スケールで生じ、これが縦筋状のむらとして観察される場合がある。これは、特に動画を表示する場合に顕著である。
【0140】
かかる縦筋状むらを低減するために、本発明ではまた、同時選択される特定の行電極群に注目した場合に、カラム電極に印加される信号は、所望の階調データを表示するために必要な全ての分割階調データを直交変換することによって形成された複数の信号が、選択行列の列ベクトルごとに一まとまりとなって、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されるようにする。
【0141】
一つの選択行列の列ベクトルによって直交変換された分割階調データに基づく信号が全て印加された時点で、非選択画素に印加されるの電圧実効値は表示データと関係なく一定となるため、上記の手法を採用すると、非選択画素に印加されるの電圧実効値が表示データと関係なく一定となる周期を短くでき、縦筋状むらを低減するのに顕著な項効果がある。
【0142】
前述のごとくXサブフレームとYサブフレームとに分けて一つの階調データを表示する場合においては、選択行列の同一の列ベクトルによって直交変換された分割データXに基づく信号と分割データYに基づく信号とが、同時選択される特定の行電極群に注目して、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されるようにすればよい。直交変換された分割データXに基づく信号と分割データYに基づく信号とがカラム電圧に印加された時点で非選択画素に印加される電圧実効値が表示データと関係なく一定となる。
【0143】
上記の二つの提案をより具体的に説明するため、まず、複数行同時選択法において、本発明のAMによる階調表示を行った場合の選択パルスシーケンスの例を具体的に説明する。
【0144】
AMを伴わない複数ライン同時選択法における列電極表示パターンベクトル(D)と列電極電圧シーケンスベクトル(c)との関係は一般的に数7のように、ベクトルとマトリクスとからなる表式で書ける。
【0145】
【数7】
【0146】
ここで、ベクトル(D)、ベクトル(c)、行列(S)は以下のようなものである。列電極表示パターンベクトル(D)=(D1 ,D2 ,・・・,DM )は、行電極本数M(仮想電極や仮想サブグループを含む)と等しい要素を持ち、特定の列電極上の行電極に対応する表示データを要素とする。従前と同様に、オフの場合を1、オンの場合を−1とする。列電極電圧シーケンスベクトル(c)=(c1 ,c2 ,・・・,cN )は、1フレーム内に印加されるパルス数Nと等しい要素を持ち、特定の列電極に対する電圧レベルを1フレーム内で時系列で並べたものを要素とする。
【0147】
行電極パルスシーケンス行列(S)は、M行N列の行列であり、特定の列電極に対する行電極電圧レベルからなる列ベクトルを1フレーム内で時系列で並べたものを要素とする。非選択の行電極に対応する要素は0とされる。典型的な行電極パルスシーケンス行列(S)は、選択行列Aのi列目の列ベクトルAi 、ならびにゼロベクトルZe により数8のように書かれる。
【0148】
【数8】
【0149】
複数ライン同時選択法の原理によれば、行電極パルスシーケンス行列(S)内の列ベクトルの入れ替えは任意に行うことができる。したがって、行電極サブグループの数NS と選択行列Aの列ベクトルの数Kとの間に特定の関係を満足させれば、行電極パルスシーケンス行列(S)内の列ベクトルの入れ替えにより、NS 番目のサブグループの選択からサブグループ1の選択に移行する場合の、選択行列Aの列ベクトルの飛びをなくせる。
【0150】
具体的には、同時選択行本数(仮想電極も含めて)が4本で選択行列Aの列ベクトルの数が4の場合は、サブグループの数を81とすれば、数9に示すように、サブグループ80からサブグループ1の選択に移行する際の選択行列の列ベクトルの飛びをなくせる。こうすると、不必要な低周波成分をなくせるので、フリッカーの抑制に効果的である場合が多い。サブグループの数が、現実のパネルと合致しない場合は、ダミーのサブグループを設けることにより、選択行列の列ベクトルの飛びをなくせる。
【0151】
【数9】
【0152】
ところで、本発明で採用したAMの一方式においては、一つのサブフレームでは、非選択画素の電圧実効値が一定にはならず、最低二つのサブフレームを必要とする。このような本発明のAMにおいて、1フレームの列電極表示パターンベクトル(D)と列電極電圧シーケンスベクトル(c)との関係を表現するためには、上記の表式に若干の修正を加える必要がある。二つのサブフレームX,Yで1フレームを表現する場合を例にとり、この場合の(D)、(c)、(S)を先のAMを併用しない場合と区別して、それぞれ、(DX+Y )、(cX+Y )、(SX+Y )と表現する。数7と同様に、数10が成立する。
【0153】
【数10】
【0154】
数10において、(DX+Y )=(D1 ,D2 ,・・・,D2M)は、行電極本数M(仮想電極や仮想サブグループを含む)の2倍の要素を持ち、特定の列電極上の行電極に対応する分割データXと分割データYとを要素とする。説明の便宜上、(DX+Y )の1番目からM番目までの要素とM+1番目から2M番目までの要素がそれぞれ前記の特定の列電極上のM本の行電極に対応するとする。また、列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )=(c1 ,c2 ,・・・,c2N)は、1サブフレーム内に印加されるパルス数Nの2倍の要素を持ち、特定の列電極に対する電圧レベルを1フレーム内で時系列で並べたものを要素とする。(SX+Y )は典型的には数7の(S)を用いて数11のように表現される。ここにおいて、Zeはゼロ行列である。
【0155】
【数11】
【0156】
すなわち、行電極パルスシーケンス行列(SX+Y )は、2M行2N列の行列であり、特定の列電極に対する行電極電圧レベルからなる列ベクトルを1フレーム内で時系列で並べたものを要素とする。(SX+Y )の第1行から第M行までと、第M+1行から第2M行までとはそれぞれ1フレーム内にそれぞれ2回の選択状態が生じるパネルの行電極に対応する。また、(SX+Y )の列ベクトルは特定の列電極に対する行電極電圧レベルからなる列ベクトルを1フレーム内で時系列で並べたものに対応する。
【0157】
前記の提案のうち、「1スキャン内に選択パルスに対応してカラム電極に印加される信号群に、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とを混在せしめる」というのは、列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )を適当に入れ替えて、1スキャン内に分割データXに基づくカラム電圧レベルと分割データYに基づくカラム電圧レベルとを混在させることに対応する。もちろんこの際には、(Sx+Y )の列ベクトルの入れ替えが対応して行われる。
【0158】
例えば、i番目の同時選択される行サブグループの選択時に特定のカラム電極にはj番目の選択行列の列ベクトルで直交変換したXサブフレームの分割階調データが信号として印加される場合に、この信号をgX i j と表し、同様に、i番目の同時選択される行サブグループの選択時に特定のカラム電極にはj番目の選択行列の列ベクトルで直交変換したYサブフレームの分割階調データが信号として印加される場合に、この信号をgY i j と表すとする。
【0159】
4行4列の選択行列を用いて、5サブグループの選択ごとに分割データXに基づくカラム電圧レベルと分割データYに基づくカラム電圧レベルとを入れ替える場合は、例えば、列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )は、たとえば、数12のようになる。これはもちろん、サブグループの数は、5よりも大きい場合である。
【0160】
【数12】
【0161】
XYの入れ替え周期は、カラム電圧波形のひずみによる実効電圧低下を考慮して、実験的に定めるのがよい。
【0162】
また、「同時選択される特定の行電極群に注目した場合に、カラム電極に印加される信号は、所望の階調データを表示するために必要な全ての分割階調データを直交変換することによって形成された複数の信号が、選択行列の列ベクトルごとに一まとまりとなって、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されるようにする」ためには、同時選択される特定の行電極群に注目した場合に、選択パルスごとに分割データXと分割データYとが入れ替わることを意味しており、具体的には、数13のような列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )を用いる場合である。分割データXと分割データYの表現は順序が逆であってもよい。
【0163】
【数13】
【0164】
なお、数13では5選択パルスを周期にして分割データXに基づくカラム電圧レベルと分割データYに基づくカラム電圧レベルとを入れ替えている。
【0165】
数13においては、最初の第1サブグループの選択で選択ベクトル1に対する分割データXが第1サブグループに対応づけられてから次の第1サブグループの選択(すなわち第2スキャン)で選択ベクトル1に対する分割データYが第1サブグループに対応づけられる。したがって、いかなる表示パターンに対しても、2回のスキャンが終了した時点で、カラム電極上の電圧実効値は一定値となる。これは、同一サブグループに対して分割データXが4つの選択ベクトルに対して対応づけられた後に分割データYが4つの選択ベクトルに対して対応づけられる場合に比べて1/4の周期でカラム電極上の電圧実効値が一定値となることを意味する。したがって、あるサブグループに対して、分割データXと分割データYがそのサブグループに対する選択パルス毎に入れ替えること、そのサブグループ選択に用いられる選択ベクトルが、2スキャンにおいて同一(この場合、極性は考慮されない)であることの二つの条件によって、カラム波形の低周波成分が除かれ、動画表示などにおいて画像データが頻繁に変化したとしても、スムーズな画像変化が得られる。
【0166】
これまでの例では、選択ベクトルはサブグループの選択毎に変化する(たとえば、選択ベクトルが選択行列内でインクリメントされる)ベクトルシーケンスの例を示したが、ベクトルシーケンスとしては、いくつかのサブグループの選択にわたり同一選択ベクトルを用いることもできる。最も長い同一選択ベクトルの使用は、2サブフレームにわたる場合である。すなわち、第1、第2スキャンがベクトル1、次の2スキャンがベクトル2、というケースである。この場合、数13のように、ベクトルが毎選択ごとに変化する場合に比べ、カラム電圧波形の基本周波数は非常に低くなる。この、基本周波数は、いくつかの選択毎に周期的にベクトルを進めることにより、調整できる。Wパルスごとに、ベクトルを進める場合、数13の場合に比べ、基本周波数は1/W倍になる。
【0167】
高い表示品位の達成において、重要な項目は、下記のようにまとめられる。
1)表示する階調レベルに対して必要なカラム電圧レベル数が適切である(多すぎない)こと、
2)カラム波形の周波数スペクトルが表示パターンにより大きく変動しないこと。
【0168】
1)は、必要なカラム電圧レベル数が多すぎると、波形が複雑になり、それによりクロストーク、階調逆転などを生じる場合があるため、これを生じないための要件であり、2)は、表示パターンによるクロストークを防ぐための要件である。本発明の一態様では、1、2の要件を同時に満たす、新規な多階調化手法を提供する。すなわち、低コストで均一性の高い多階調表示を達成する。
【0169】
1)の要件に関しては、既に述べた特定の階調レベルをとり、かつ、FRC技術と組合せることにより達成される。また、複数ライン同時選択法においては、さらに、仮想行とそれに対応した特殊な仮想データを用いることにより、より一層、カラム電圧レベル数に対する表示される階調数の効率をあげうる。
【0170】
2)の要件に関しては、いくつかの波形合成手法との組合せが適する。具体的には、以下のような手法である。
【0171】
2−1)1スキャン内で、分割データXに基づくカラム電圧レベルと分割データYに基づくカラム電圧レベルとを混在させる。かかるX、Yデータの混在手法には、混在を生じさせる空間的なサイズとして2種類ある。一つは、あるスキャンにXデータに対応するサブグループと、Yデータに対応するサブグループとを設けるというサブグループ単位での混在であり、もう一つは、同時に選択されるサブグループ内のラインによりXデータ、Yデータを割り振るライン単位の混在である。混在手法としては、それらの片方又は両方を用いうる。
【0172】
2−2)スキャン内で、選択パルスの形成に用いる選択ベクトルを規則的に変化させる。たとえば、選択ベクトルを、選択行列内で規則的にシフトして用いる。この周期は、1選択パルスから2スキャンの長さまでの間で可変である。
【0173】
2−3)サブグループ数の約数に相当する周期、又はサブグループの数とは独立な周期で、選択ベクトルの極性を反転させる。これは、基本的には、交流化周期を決める手法であり、同時にカラム波形の周波数スペクトルも制御できる。
【0174】
以上の3つの手法は、それぞれ独立、かつ有効にカラム波形の周波数スペクトルを制御可能なものであり、この手法により、カラム波形が表示パターンに強く依存するために生じるクロストークの発生を防止できる。特に、本発明のような多階調表示を実現する場合において、クロストークによる波形の電圧変動は、画像の品位を著しく悪化させる。動画表示の場合は、この画像の品位劣化が著しい。本発明の、階調化手法は、2)の要件と適切に組合せることにより、非常に高品位な画像を低コストで提供する。
【0175】
階調の増大手法については、前述のように、FRCとの組合せが本発明に最も適するが、この他にも、空間情報を利用する階調化手法である、誤差拡散法やディザ(dither)法を用いて階調数を増大することもできる。また、FRC法としては、従来の手法を応用でき、特に隣接する画素間で複数フレームへの階調データの対応の位相を変える空間変調の手法を用いることが望ましい。これにより、時間的な輝度の変動をより抑制でき、フリッカーのない多階調表示が可能となる。例えば、本発明でFRCとして4フレームを使った表示を行う場合、空間変調を組合せることにより、ほとんど時間的な輝度の変動は認識されないようになる。
【0176】
《本発明の実現するための回路手法》
次に、本発明を実現するための回路手法に関して説明する。
【0177】
本発明において特徴的な点は、振幅変調とFRCとの組合せにより多くの階調を発生させる点、ならびに、振幅変調が階調データを二つ以上の分割階調データから構成されカラム電圧が決定される点にある。したがって、これらの構成が本発明の基本的な回路構成となる。すなわち、表示するべき階調データを時系列に展開した階調データの系列に展開する回路手段、展開された階調データ(振幅変によって表現されるべき階調データ)を分割階調データに変換する回路手段、カラムに印加する電圧を決定する回路手段、が本発明の基本構成である。また、複数ライン同時選択法を用いる場合には、同時に選択されるロウ電極のサブグループに対応した振幅変調によって表現されるべき階調データから分割データの組を作る回路手段、ロウ電極に印加される選択ベクトルを発生する回路手段、分割データの組と選択ベクトルからカラム電圧を決定する回路手段を加える。これらの、回路手段は、論理回路又はROMにより構成される。また、いくつかの回路手段を一まとめにして処理することもできる。
【0178】
階調データは、上記いずれかの階調データの形でメモリなどに格納することが望ましい。表示するべき元階調データをメモリに格納し上記手段によりディスプレイに送るカラム電圧信号を決定することも、途中の振幅変調によって表現されるべき階調データとしてメモリに格納することも、分割階調データとしてメモリに格納することもできる。このうちで、必要なメモリのサイズ、消費電力などの点で最も有効なのが、振幅変調によって表現されるべき階調データの形でメモリに格納する手法である。この場合に関し、いくつかのシーケンスの例を下に示す。下記例のうち、3)は複数ライン同時選択法を用いた場合を表す。
【0179】
1)8ビット階調データ → 空間的階調化手法(誤差拡散、ディザ)→ 6ビット階調データ → 時系列展開(4フレームFRC) → 1フレームの振幅変調で表現されるべき階調データ 3ビット → メモリ → 分割データ発生 → カラム電圧発生 → ディスプレイ
2)6ビット階調データ → 時系列展開(4フレームFRC) → 1フレームの振幅変調で表現されるべき階調データ 3ビット → メモリ → 分割データ発生→ カラム電圧発生 → ディスプレイ
3)6ビット階調データ → 時系列展開(4フレームFRC) → 1フレームの振幅変調で表現されるべき階調データ 3ビット → メモリ → 分割データ発生(複数ライン) → ロウ選択パルス及びカラム電圧発生(Ex−Or演算と加算) → ディスプレイ
【0180】
メモリとしては、VRAM、DRAMなどが使用でき、データ幅を広くとれる構成であることが望ましい。このように、表示すべき階調データ(6〜8ビット)を、空間、時系列において演算しデータのビット数を減らし、1フレームの振幅変調データ(3〜4ビット程度)としメモリに格納することが効率的である。もちろん、元の階調データから直接(上記のようなメモリを介さずに)カラム電圧信号まで演算することもできる。ただし、この場合、大きなデータ幅と高速のアクセスタイムが必要となる。
【0181】
また、1)〜3)の例で、分割データ発生回路手段は、FRCの空間変調に対応するカラム、ロウの空間情報、ならびに、時系列の情報(フレームカウンター)から、複数の分割データのいずれであるかを決定するものである。
【0182】
以下、より具体的に回路構成に関し説明する。
本発明においては、画像信号処理回路が、行選択パターン発生回路と、入力された画像信号を時系列上に展開された複数のフレームに展開するフレーム変調回路と、前記複数のフレームに展開された画像信号(振幅変調に対応した階調データ)を電圧の振幅の計算に必要な量だけ保存可能なメモリと、メモリからの画像信号と行選択パターン信号とから列電圧信号を演算する列電圧信号演算回路と、画像信号が前記展開された複数のフレームの何フレーム目のものであって、かつXサブフレームとYサブフレームのいずれのフレームにあるかを指定するタイミング発生器(分割データX、Yの発生器)と、を備えているため、フリッカーの少ない多階調表示が可能になる。
【0183】
また、階調を含んだ画像信号をメモリに転送する前に時系列上に展開された複数フレームの信号に変換するフレーム変調回路を備えることにより、単位時間当たりのデータ量を低減できるため、フリッカーの少ない表示ができるとともに、メモリ数を削減できる。
【0184】
また、画像信号処理回路を集積回路とすることにより、メモリの読み書きのデデータ幅を広くとりうるので、アクセス速度の小さいメモリ(例えばDRAMなど)も使用できる。
【0185】
図5は、本発明の実施に用いることのできる画像信号処理回路の例を示す。
画像信号処理回路100は、フレーム変調回路21、入力ポート(シフトレジスタ)22、メモリ(3メガビットDRAM)23、出力ポート(シフトレジスタ)25、階調データ変換回路26、行選択パターン発生器27、列電圧信号演算回路28、タイミング発生器15を備えている。
【0186】
フレーム変調回路21では、入力された複数ビットの階調データを複数フレームの振幅変調に対応した階調データに変換する。本実施例では、前述のように4フレームを使う。フレーム変調回路21でのデータ変換は1フレームから4フレームまでのそれぞれに対応したルックアップテーブルを用意して、それを参照することにより行う。もちろんこのデータ変換をルックアップテーブルを使用せず、演算で行うことは任意である。
【0187】
入力ポート22は、フレーム変調回路21から転送された複数フレームの振幅変調に対応した階調データをKピクセル分の並列データに変換し、一度に大量のデータを後段のメモリに転送可能にする。Kの値が大きいほど一度に転送できるデータ量を大きくできる。本例では入力ポート22としてシフトレジスタを用いる。
【0188】
メモリ23としては、後段の列信号形成のための演算に必要なビット数を持つ1画面分のデータを格納できる容量を備えたものであれば、形式にかかわらず用いうる。特に、本発明の画像信号処理回路を集積化して、メモリを内蔵すれば、メモリの読み書きのデータ幅を広くとりうるので、アクセス速度の小さいメモリ(例えばDRAMなど)も用いうる。価格の安いDRAMを用いることはコストの観点からきわめて有利である。すなわち、本発明は、低コスト、低速度のDRAMを使用できるため、低消費電力化、低放射ノイズ化の観点で非常に有効である。
【0189】
出力ポート25は、メモリ23から転送されたデータを列電圧信号演算回路28に転送する。本例では、入力ポート22と同様にシフトレジスタを用いる。
【0190】
階調データ変換回路26では、あらかじめXサブフレーム及びYサブフレーム用にそれぞれ用意された論理を用いて分割データXデータ、Yデータに応じた階調データを出力する。階調データ変換回路26は、図7に示したようにセレクタと論理回路により構成できる。
【0191】
列電圧信号演算回路28では列信号を形成し、出力する。このデータは表示データとして液晶表示モジュールの列ドライバ80へ送られる。
【0192】
行選択パターン発生器7は、選択行列に基づく行選択パターンを発生する。行選択パターンは、行ドライバ90に送られて行電圧が形成されるほか、列電圧信号演算回路28に送られて、列電圧信号形成のための演算に用いられる。
【0193】
タイミング発生器15は、対応する画素の画像信号が前記展開された複数のフレームの何フレーム目のものであって、かつXサブフレームとYサブフレームのいずれのフレームにあるかを指定する制御回路であり、制御信号はフレーム信号と画素の空間情報を示す信号から構成される。
【0194】
なお、列電圧信号演算回路28へ送られる表示データは同時選択ライン数に等しい列方向のデータであり、これは、ディスプレイコントローラから画像信号処理回路100に送られるデータの転送順序とは異なる。
【0195】
図6はそれらの違いを示す概念図である。図6(a)はディスプレイコントローラから画像信号処理回路100に送られるデータ転送順序を示し、図6(b)は列電圧信号演算回路28へ送られるデータの転送順序を示す。
【0196】
すなわち、画像信号処理回路100に入力される画像信号は、通常、対応する表示画面の左上から横方向に向かう順序で順次RGB1組(すなわち1ピクセル)のシリアルデータとして転送される。1行目のデータが全て転送され終わると次の行に移り、以下同様にして1画面分のデータが送られる。
【0197】
転送順序を変更するためのフォーマット変換は、メモリの読み書きの際に行われる。例えば、メモリの書き込み時にランダムアクセスモードを用いて所定のフォーマットに変換して書き込み、読み出し時には順次、高速に連続して読み出す方法、又は、書き込み時に高速で順次、書き込み、読み出し時にランダムアクセスモードで所定のフォーマットで読み出す方法などがある。いずれの場合でも、画像信号処理回路を集積化して、メモリを当該集積回路に内蔵することにより、メモリの読み書きのデータ幅が広くとれる。したがって、シリアルデータをポートに蓄えてデータ幅の広いパラレルデータとして扱うことにより、メモリのアクセス時間に余裕をもたせうる。
【0198】
以下に、本例における回路の動作について説明する。
フラットパネルディスプレイコントローラからの入力信号は、通常のTFTモジュール用に用いるインターフェースと同じRGBディジタル18ビット信号であり、データ信号とともに水平同期信号、垂直同期信号、イネーブル信号、クロック信号が入力される。フレーム周波数は60Hzで、すなわち1秒間に60枚の画像が送られてくる。これらRGBそれぞれ6ビットの信号は、フレーム変調回路21に入力され、タイミング発生器15から入力されるフレームデータ(2ビット)信号を用いて3ビット×RGBの出力信号に変換される。この変換は、画像データ6ビットを時間的、空間的にフレーム変調するものである。この出力3ビット×640×3×480のデータは入力ポート22を介してメモリ23へ書き込まれる。
【0199】
図10はDRAMのメモリ空間の構成を示す一つの例である。
DRAMの領域を9つのブロックに分け, アドレスを制御することによりブロックを切り替える。ブロックサイズは、VGAの場合、72×640×3(RGB)×3ビット(階調情報)、SVGAの場合、84×800×3(RGB)×3ビット(階調情報)である。
【0200】
液晶表示パネルの上側をA、B、C、Dの4つの領域、下側をE、F、G、Hの4つの領域に分けて制御する。例えば、VGAの場合、A領域とH領域は24ライン、その他は72ラインで構成される。
【0201】
図10に示すように、9つのブロックのうち常に8つのブロックからA〜Hまでのデータが並列に読み出され、残り一つのブロックに新しいVGAフレームのデータが書き込まれる。選択行列として4列の直交行列を使用する場合、一つのVGAフレーム内にはX及びYの二つのサブフレームがあるため、一つのVGAフレームは8スキャンで構成される。この8スキャンの間、各ブロックのデータは一定であるため、電圧平均化法が成立する。
【0202】
フレーム変調された最初のフレームのうちの第1サブフレームではメモリ23から出力ポート25を介して入力される3ビット×RGB、計9ビットの信号と、タイミング発生器から供給される、対応画素がXサブフレームかYサブフレームかを指定する1ビット信号(この場合は、Xサブフレームを指定)が、階調データ変換回路26に入力される。階調データ変換回路26では、3ビットの階調をサブフレームがXかYかに応じて(この場合は、Xサブフレームデータ)2ビットの階調データに変換する。この2ビットは、前出の分割データXである±1、±1.4に相当する。
【0203】
この階調データは、列電圧信号演算回路28に入力される。列電圧信号演算回路28には並行して行選択パターン発生器27からの直交関数の1列目に対応する4ビットのデータが入力され、列電圧を選択し、3ビット×RGBの列電圧データが1番目のスキャンデータとして出力される。
【0204】
スキャンはフレーム内において、計8回行われ終了する。通常の場合、このフレーム周波数は、60〜75Hz程度であり、この期間に一つの振幅変調による階調表示が完了する。
【0205】
つづいて2枚目のフレーム信号、3枚目のフレーム信号、4枚目のフレーム信号について同様に行い1表示が完了する。
【0206】
以上のシーケンスは全て入力信号に同期した動作に基づいて説明してきたが、必ずしも同期した動作でなくともよい。また、モジュールへのデータ転送周波数が60Hzに等しいか又は大きければ、モジュールの1フレームの期間は表示データが一定であり、単純マトリクス型液晶表示素子の駆動法の基本である電圧平均化法は成立する。
【0207】
このようにして、ビデオ表示を充分可能な速度での駆動が可能になる。また、メモリに書き込む前にフレーム変調処理しておくことによって、これらのメモリに格納されたデータを液晶表示モジュールのフレーム周波数に同期させて読み出せば、フリッカーの少ない表示を得るとともに、メモリ数を削減できる。
【0208】
本発明の画像処理回路100を集積回路として、複数ライン同時選択方式のLCDモジュールの回路基板上に実装すると、TFTモジュールとのインターフェース互換性が保てるため有益である。この場合の回路構成例が、図8及び図9である。図8は、メモリとその他の回路で構成する場合を示し、図9は、メモリを内蔵する素子により構成する場合を示す。もちろん、パーソナルコンピュータ内の回路基板上に実装することもできる。また、この回路の一部又は全てを列ドライバのチップの上に組み込んでもよい。
【0209】
図8と図9とはともに、入力信号として8ビット×3(RGB)のフルカラーディジタル入力を想定している。同時選択されるライン数は4である。これらはいずれも、RGB各々の8ビットの入力データのうち下位2ビットをディザ処理(空間変調による諧調方式)に用い、上位6ビットをフレーム変調と振幅変調とによる諧調方式を用いる。すなわち8ビット入力データはディザ回路(DITH)で6ビットに変換されて出力され、さらにフレーム変調回路(FRC)で3ビットに変換されて入力ポート(WR FIFO)に送られる。
【0210】
図8では、画面の横方向に奇数番目のカラム電極上のデータ(ODD PIXEL)を偶数番目のカラム電極上のデータ(EVEN PIXEL)とを並列に入力することにより回路の動作周波数を下げている。そのため、奇数データ用と偶数データ用として全く同一な回路が2系統存在する。ここでは、一方のデータ・フローについて説明するが、他方のデータフローも全く同じである。
【0211】
図8はメモリをICの外に外づけするタイプである。入力ポート(WR FIFO)では2ピクセル分のデータを蓄えて、すなわち2×3×3(RGB)=18ビットデータがメモリへ、ここではVRAMへ送られる。メモりは上半分(UPPER)用と下半分(LOWER)用の2系統あり読み出しは並列に行われる。すなわち上半分用と下半分用合わせて36ビットのデータ同時に読み出されて出力ポート(RD FIFO)へ行きここで上半分と下半分それぞれ2ピクセル分のデータ計36ビットのデータにして諧調データ変換器(XYF)に行く。ここにはXサブフレームとYサブフレームのいずれのフレームにあるかを指定する1ビット信号がロウパルス発生器(RPG)から入力されており、XYのそれぞれのサブフレームに応じて72ビットの信号が列電圧信号演算回路(CVG)へ送られる。列電圧信号演算回路では、並行して行選択パターンが入力され、先に述べた入力データを用いて列電圧信号が演算される。ここから5ビット出力で上半分用とした半分用それぞれRGBの信号が計5×2×3=30ビットの信号としてここから液晶ドライバへ送られる。
【0212】
図9は、メモリをICに内蔵(DRAM内蔵)するタイプである。図8の回路との主な相違点はメモリにデータを送るデータ幅がきわめて大きいことと、これにより動作速度を遅くしてDRAMが使用できるようにした点にある。これにより、低消費電力化とコスト・ダウンが図れる。したがって、データ幅はICプロセスの可能な範囲で広くすることが望ましく、例えば128ビットや256ビットが効果的である。このデータ幅に対応して入力ポート、出力ポートのビット幅を大きくする必要があることは言うまでもない。
【0213】
【実施例】
[実施例1]
480×640×RGBのVGA液晶表示パネルを用意した。液晶表示パネルは、240度ツイストのSTNで、2枚の位相フィルムで位相補償を行い、内面カラーフィルタと組合せてカラー化したものであり、蛍光管バックライトを裏面に配置して、表示モジュールを構成した。
【0214】
全走査線(選択線)を上下2分割して、2画面駆動とした。駆動は選択ラインを1ライン順次選択法(APT)で行った。階調方式は、振幅変調とフレーム変調を併用し、21階調の表示を行った。5ビット(32階調分)のデータを入力し、ガンマ補正後21階調のレベルに割り振り、その21階調をAM7階調と2フレームでのフレーム変調に割り振った。AMの7階調は、±1、±0.8、±0.6、0である。すなわち、表1におけるd1 =0.8、d2 =0.6の条件を採用した。フレームでのAMデータ、カラム電圧レベルは、図1と表4に示したものになる。
【0215】
各フレームは、XサブフレームとYサブフレームに分けられ、Xサブフレームには表3の分割データXに対応する電圧、Yサブフレームには表3の分割データYに対応する電圧(ただし、d1 =0.8、d2 =0.6とする)、がカラム電圧として印加される。また、13選択パルス毎に信号電圧の極性を反転した。
【0216】
駆動周波数は、選択パルス幅が35μs(すなわちサブフレーム周波数=120Hz)となるようにし、バイアス比は1/14とした。カラムドライバは、8レベル(3ビット)ドライバを用い、ロウドライバは、通常の3レベル(±VR
、0)を用いた。
【0217】
上記駆動方式で駆動した状態での特性を表13に示す。応答時間は立ち上がり立ち下がり平均を示し、実施例2〜3、比較例についても同様である。
【0218】
信号入力として、パソコンからのVGA出力を用い駆動したところ、細やかな階調の表示が行われた。また、ビデオ信号をパソコンに入力しそれを表示したところ、若干の残像は見られたが、階調に優れた動画表示が得られた。
【0219】
[実施例2]
実施例1と同様であるが、より高速応答の液晶表示パネルの480×640×RGBのVGAパネル(240度ツイストフィルム補償型STN)を下記の要領で駆動した。
【0220】
全走査線(選択線)を上下2分割して、2画面駆動とした。駆動は選択ラインを3ラインずつ選択する複数ライン同時選択法(複数ライン同時選択)で行った。したがって、240の選択ラインは80個のサブグループに分割され、各サブグループが4回選択されたときに電圧実効値が確定するように表9に示す3×4の直交行列により選択パルス系列を規定した。
【0221】
階調方式は、実施例1と同様に振幅変調とフレーム変調を併用し21階調の表示を行った。5ビット(32階調分)のデータを入力し、ガンマ補正後21階調のレベルに割り振り、その21階調をAM7階調と2フレームでのフレーム変調に割り振った。AMの7階調は、±1、±0.8、±0.6、0である。すなわち、表1におけるd1 =0.8、d2 =0.6の条件を採用した。フレームでのAMデータ、カラム電圧レベルは、表4に示したものになる。AM7階調は、d1 =0.8、d2 =0.6として、表3に示したように、XサブフレームとYサブフレームに振り分けて行った。
【0222】
極性反転は、2フレーム(4サブフレーム)完了後、極性を反転した。Xサブフレームには表3の分割データXを演算した結果の電圧レベル、Yサブフレームには表3の分割データYを演算した結果の電圧レベル、がカラム電圧として印加される。
【0223】
駆動周波数は、選択パルス幅が35μs(すなわちサブフレーム周波数=120Hz)となるようにし、最大バイアス比(ロウ電圧/カラム最大電圧)は1/5とした。カラムドライバは、32レベル(5ビット)ドライバを用い(内20レベルを使用)、ロウドライバは、通常の3レベル(±VR 、0)を用いた。
【0224】
上記の駆動方式で駆動した状態での特性を表13に示す。
【0225】
信号入力として、パソコンからのVGA出力を用い駆動したところ、細やかな階調の表示が行われた。また、ビデオ信号をパソコンに入力しそれを表示したところ、残像のほとんどない階調に優れた動画表示が得られた。
【0226】
ウィンドウズでの静止画表示、ビデオ信号を用いた動画表示のいずれにおいても、優れた画像が得られ、実施例1よりもコントラストの高いクロストークの少ない表示が得られた。
【0227】
また、入力ビット数を6ビット(64階調)とし、それを、4フレームでのフレーム変調と7階調のAM変調に割り振り、表示を行ったところ、41階調の表示が達成された。
【0228】
[実施例3]
実施例1と同様の液晶表示パネルを駆動した。ただし、用いたカラム電圧レベルとしては、表11のようにした。すなわち、表示データとしては、1、0.866、0.5、0、−0.5、−0.866、−1の7つを用いた。
【0229】
【表11】
【0230】
得られたモジュールの特性を表13に示す。
【0231】
2フレームでは、21階調であったが、等間隔な階調ではなかった。
【0232】
入力ビット数を6ビット(64階調)に変更して、4フレームでのフレーム変調と7階調のAM変調に割り振り、表示を行ったところ、等間隔な階調表示が達成され、階調数は61階調であった。
【0233】
[比較例1]
実施例1と同様の480×640×RGBのVGA液晶表示パネル(240度ツイストのフィルム補償型STN)を下記の要領で駆動した。
【0234】
全走査線(選択線)を上下2分割して、2画面駆動とした。駆動は選択ラインを1ライン順次選択法(APT)で行った。階調方式は振幅変調とフレーム変調を併用し15階調の表示を行った。階調の対応は、4ビット(16階調分のデータを入力し、15階調のレベルに割り振り、その15階調をAM8階調と2フレームでのフレーム変調に割り振った。AM変調による8階調は、表示データ−1(オン)から+1(オフ)までを等間隔にとった8階調とした。
【0235】
極性反転は、13選択パルス毎に行った。各フレームは、XサブフレームとYサブフレームに分けられ、Xサブフレームには分割データXに対応する電圧、Yサブフレームには分割データYに対応する電圧、が印加される。駆動周波数は、選択パルス幅が35μs(すなわちサブフレーム周波数=120Hz)となるようにし、バイアス比は1/14とした。
【0236】
上記の駆動方式で駆動した状態での特性を、表13に示す。
【0237】
カラムドライバは、16レベル(4ビット)ドライバ(内14レベルを使用)を用い、ロウドライバは、通常の3レベル(±VR 、0)を用いた。
【0238】
信号入力として、パソコンからのVGA出力を用い駆動したところ、細やかな階調の表示が行われた。また、ビデオ信号をパソコンに入力しそれを表示したところ、若干の残像のある動画表示が得られたが、実施例1、2、3よりも品位の劣るものであった。
【0239】
以上の実施例、比較例の、カラム電圧レベル数ならびに階調数を表12に示す。なお、MLSは複数同時選択法の意味である。
【0240】
【表12】
【0241】
【表13】
【0242】
[実施例4]
480×640×RGBのVGA液晶表示パネルを用意した。液晶表示パネルは、240度ツイストのSTNで、2枚の位相フィルムで位相補償を行い、内面カラーフィルタと組合せてカラー化したものであり、蛍光管バックライトを裏面に配置して、表示モジュールを構成した。
【0243】
全走査線(選択線)を上下2分割して、2画面駆動とした。駆動は選択ラインを3ラインずつ選択する複数ライン同時選択で行った。したがって、240の選択ラインは80個のサブグループに分割され、表10に示す4×4の直交行列により選択パルス系列を規定した。ここで、各サブグループ単位に仮想ラインを1行設け、仮想的に4ライン選択として駆動した。
【0244】
階調方式は、振幅変調とフレーム変調を併用し21階調の表示を行った。5ビット(32階調分)のデータを入力し、ガンマ補正後21階調のレベルに割り振り、その21階調をAM7階調と2フレームでのフレーム変調に割り振った。AMで表示する7階調は±1、±0.8、±0.6、0を選択した。フレーム変調における各フレームでは、図4に示したような表示データの分配をした。また、AM7階調は、XサブフレームとYサブフレームに分けて表示した。
【0245】
仮想ライン上の仮想データは3本の実ラインのデータより計算され、以下の3つの条件を用いて計算し、ロウ(選択)関数発生器からの信号により、行列演算を実施し、6レベルの選択パルスに対応したカラム電圧レベルを得た。このデータを3ビットでカラムドライバに転送した。
【0246】
条件1:奇数サブフレームにおいては、1ラインデータ当たりの、分割データXとして±1、±1.4を用い、偶数サブフレームでは、分割データYとして±1、±0.2を用いる。
条件2:仮想ラインのデータは、4ラインの分割データとして±1の数が偶数になるようにする。
条件3:仮想ラインのデータは、4ラインの分割データとしてマイナス符号の数が偶数になるようにする。
【0247】
極性反転は、2フレーム(4サブフレーム)完了後、極性を反転した。Xサブフレームには、表3の分割データXを演算した結果に基づくカラム電圧を印加し、Yサブフレームには、表3の分割データYを演算した結果に基づくカラム電圧を印加する。
【0248】
駆動周波数は、選択パルス幅が35μs(すなわちサブフレーム周波数=120Hz)となるようにし、最大バイアス比(ロウ電圧/カラム最大電圧)は1/5とした。カラムドライバは、8レベル(3ビット)ドライバを用い(うち6レベルを使用)、ロウドライバは、通常の3レベル(±VR 、0)を用いた。
【0249】
上記の駆動方式で駆動した状態での特性は、コントラスト比40:1、応答時間(平均)70ms、であった。
【0250】
信号入力として、パソコンからのVGA出力を用い駆動したところ、細やかな階調の表示が行われた。また、ビデオ信号をパソコンに入力しそれを表示したところ、残像のほとんどない階調に優れた動画表示が得られた。
【0251】
ウィンドウズでの静止画表示、ビデオ信号を用いた動画表示のいずれにおいても、優れた画像が得られ、コントラストが高くクロストークの少ない表示が得られた。
【0252】
また、入力ビット数を6ビット(64階調)とし、それを、4フレームでのフレーム変調と7階調のAM変調に割り振り、表示を行ったところ、41階調の表示が達成された。
【0253】
[実施例5]
実施例4と同様に液晶表示素子を駆動した。ただし、用いた選択行列は、表14のものにした。
【0254】
【表14】
【0255】
選択行列の変更に応じて、仮想データの決め方を、一部変更した。実施例4では仮想ラインのデータは、4ラインの分割データとしてマイナス符号の数が偶数になるようにしていたのに対し(条件3)、これが奇数になるようにした。
【0256】
得られたモジュールの特性は、実施例4と同等であり、画像としても、実施例4とほぼ同じであった。
【0257】
[実施例6]
実施例4において、仮想的なサブグループを一つ追加し、サブグループの数を81として、選択行列の列ベクトルの飛びをなくして駆動した。この場合において、13選択パルスごとに極性反転した。また、AM7階調データに2フレームのFRCを併用するとともにフリッカー防止のためにAMデータを空間的、時間的に分散した。具体的には、1フレーム目と2フレーム目で表示されるデータを、表示画面上の2×2のピクセルに分けると、データを表15のようになるようにした。
【0258】
【表15】
【0259】
また、1スキャン内で、5サブグループの選択ごとに分割データXと分割データYの入れ替えを行った。すなわち、数12に示したような、列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )を用いた。
【0260】
上記の手法を用いることによって中間調のクロストークは大幅に減少した。また本来の階調レベル(実効電圧レベル)に対する輝度の逆転現象も大幅に抑制された。
【0261】
[実施例7]
実施例6で、さらに、選択行列の同一の列ベクトルによって直交変換された分割データXに基づく信号と分割データYに基づく信号とが、同時選択される特定の行電極群に注目して、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されるようにした。すなわち、数13に示したような、列電極電圧シーケンスベクトル(cX+Y )を用いた。
【0262】
かかる手法を用いることにより、AM特有の動画縦筋むらは大幅に低減した。その結果、ビデオ信号の表示を行ったところ、クロストークの少ない表示品位の優れた、表示が得られた。
【0263】
[実施例8]
480×640×RGBのVGA液晶表示パネルを用意した。液晶表示パネルは、240度ツイストのSTNで、2枚の位相フィルムで位相補償を行い、内面カラーフィルタと組合せてカラー化したものであり、蛍光管バックライトを裏面に配置して、表示モジュールを構成した。
【0264】
全走査線(選択線)を上下2分割して、2画面駆動とした。駆動は選択ラインを2ラインずつ選択する複数ライン同時選択で行った。したがって、240の選択ラインは120個のサブグループに分割され、表16示すように二つの2×2直交行列からなる2×4の直交行列により選択パルス系列を規定した。したがって、オン、オフデータに関しては、各サブグループが2回選択されたときに電圧実効値が確定し、中間調データに関しては、4回選択されたときに電圧実効値が確定するようにした。
【0265】
【表16】
【0266】
ここで、表16のようなベクトルを用いているのは、同時に選択される二つのロウ電極間でロウ波形の周波数成分を等しくし、ロウ方向の均一性を達成するためである。上記行列の各列(選択ベクトル)を本例で左からA1〜A4と呼ぶことにする。
【0267】
階調方式は、振幅変調とフレーム変調を併用し21階調の表示を行った。5ビット(32階調分)のデータを入力し、ガンマ補正後21階調のレベルに割り振り、その21階調をAM7階調と2フレームでのフレーム変調に割り振った。AMで表示する7階調は±1、±0.8、±0.6、0を選択した。フレーム変調における各フレームでは、図4に示したような表示データの分配をした。また、AM7階調は、分割データであるXデータとYデータに分けて表示した。
【0268】
特定のフレーム中のスキャンと、Xデータ、Yデータとの対応は、サブグループにより異なり、最初の5サブグループは、第1スキャンをXデータとし、次の5サブグループは第1スキャンをYデータとした。さらに、次のスキャン時には、それぞれ、X、Yを入れ替えてスキャンした。
【0269】
また、第1スキャンと第2スキャンとで使用する選択ベクトルが等しくなるようにし、第3スキャンと第4スキャンとで使用する選択ベクトルが等しくなるようにした。すなわち、2スキャンごとに選択ベクトルが変化する。さらに3回の選択ごとに選択ベクトルを規則的に変化させた。つまり、第1、2スキャンでの選択ベクトルの系列が、A1,A1,A1,A2,A2,A2,A3,A3,A3, ・・・、第3、4スキャンでの選択ベクトルの系列が、A2,A2,A2,A3,A3,A3,・・・、となるようにした。第1サブグループでは、表17のような選択ベクトルと、分割データが、それぞれのスキャンにおいて印加される。
【0270】
【表17】
【0271】
極性反転は、上記シーケンスとは独立に31パルスごととした。カラム信号は、選択ベクトルと分割データから演算され、カラムドライバとして4ビット(16レベル)のドライバを用いた。上記の駆動方式で駆動した状態での特性は、コントラスト比35:1、応答時間(平均)70ms、であった。
【0272】
信号入力として、パソコンからのVGA出力を用い駆動したところ、細やかな階調の表示が行われた。また、ビデオ信号をパソコンに入力しそれを表示したところ、残像のほとんどない階調に優れた動画表示が得られた。
【0273】
ウィンドウズでの静止画表示、ビデオ信号を用いた動画表示のいずれにおいても、優れた画像が得られ、コントラストが高くクロストークの少ない表示が得られた。
【0274】
また、入力ビット数を6ビット(64階調)とし、それを、4フレームでのフレーム変調と7階調のAM変調に割り振り、表示を行ったところ、41階調の表示が達成された。
【0275】
[実施例9]
実施例8とほぼ同様の駆動法で画像を表示した。
【0276】
ただし、X、Yの入れ替えは、サブグループ内とサブグループ間の両方で行った。また、サブグループ間のX、Yの切り替え部にダミーサブグループを挿入し、次のサブグループのデータをダミーサブグループ中の電極の仮想データとして用いた。これは、サブグループごとの切り替えにより生じる波形歪みによるサブグループ間の輝度むらを除くためである。X、Yのサブグループ間の切り替えは、20サブグループごとに行い、したがって、全体を6個のブロックに分け、6個のダミーサブグループ(12本の仮想ライン)を設けた。
【0277】
第1のブロックでは、第1フレーム第1スキャンで、同時選択される2ラインの第1ラインにXデータを第2ラインにYデータを振り分け、第2のブロックでは、第1ラインにYデータを第2ラインにXデータを振り分けた。次のスキャンでは、X、Yを入れ替えて用いた。
【0278】
駆動デューティは、1/252となったが、実施例8とほぼ同等の特性が得られ、かつ画像の高い均一性が得られた。
【0279】
[実施例10]
実施例8とほぼ同様の駆動法で画像を表示した。
【0280】
ただし、階調手法として、FRCにより時系列に展開される振幅変調に対応した階調データとして、2種類設定し、奇数カラムラインでは、奇数フレームに階調データA、偶数フレームに階調データB、偶数カラムラインでは、奇数フレームに階調データB、偶数フレームに階調データAとして表示を行った。用いた、階調データA,Bは、A(1,0.8,0.6,0,−0.6,−0.8,−1)、B(1,0.88,0.47,0,−0.47,−0.88,−1)とした。2フレームのFRCで表示を行ったところ、40階調を超える階調表示が得られ、階調データAのみの場合の、21階調に比べ飛躍的に階調数が増大した。ただし、カラムドライバとしては、5ビットのものを用い、内27レベルを用いた。
【0281】
[実施例11]
実施例8とほぼ同様の駆動法で画像を表示した。
【0282】
1フレームの階調データは、(1,0.8,0.6,0,−0.6,−0.8,−1)とし、奇数フレームと偶数フレームで、ロウ電圧の振幅の絶対値を変えて階調を表示した。ここで、偶数フレームのロウ電圧は、奇数フレームの0.75倍とした。
【0283】
実施例8とほぼ同等のコントラストが得られ、階調数は2フレームで44階調、4フレームで100階調以上が表示された。
【0284】
【発明の効果】
本発明においては、多階調の液晶表示装置を、現実的なレベル数(64/32レベル以下)で、振幅変調を利用した階調駆動ができる。すなわち、フリッカーのない階調表示を得るために、大幅な回路系の省力化とコストダウンが達成できる。
【0285】
また、データエラーなく完全に独立して表示を行える。特殊なデータ処理なしで、高品位の画像を提供できる。すなわち、クロストークなど情報エラーの少ない画像が提供できる。
【0286】
さらに、カラム電圧の最大レベルを低く抑制できる。これにより、消費電力を少なくするだけでなく、表示むらの原因となる電圧変動を小さくし、非常に高品位の表示を提供できる。
【0287】
本発明は、複数ライン同時選択法にもきわめて効果の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において、d1 =0.6、d2 =0.8の組合せで、種々のロウ波形、カラム波形の場合について、画素に印加される電圧の値を示した説明図。
【図2】2ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合の、電圧レベルの低減効果を示した説明図。
【図3】3ライン同時選択する駆動方式に対して1ラインの仮想電極を追加した場合の、電圧レベルの低減効果を示した説明図。
【図4】本発明によって、複数ライン同時選択法による駆動を行う場合の回路の一例のブロック図。
【図5】本発明の実施するための回路を示すブロック図。
【図6】(a)は従来の技術を実施するためのメモリマッピングを示す概念図、(b)は本発明を実施するためのメモリマッピングを示す概念図。
【図7】図5の階調データ変換回路の具体的な内容を示す回路図。
【図8】本発明を実施するための回路を集積化した場合の回路の一例を示すブロック図。
【図9】本発明を実施するための回路を集積化した場合の回路の他の例を示すブロック図。
【図10】本発明を実施するためのメモリマネージメントの方法を示す概念図。
【符号の説明】
1:メモリ
2:サブフレーム振分けルックアップテーブル
3:演算回路
4:関数発生器
5:カラムドライバ
6:ロウドライバ
7:液晶表示パネル
15:タイミング発生器
21:フレーム変調回路
22:入力ポート
23:メモリ
25:出力ポート
26:階調データ変換回路
27:行選択パターン発生器
28:列電圧信号演算回路
Claims (16)
- マルチプレックス駆動を使用した液晶表示装置の駆動法であって、
(a)階調データの表示に際し、表示すべきデータの濃度レベルに応じて変化する成分を含むような複数の階調データ(これを分割階調データという)に対応するパルス高の電圧パルスを画素に印加することにより、非選択状態にある走査電極上の画素に印加されるRMS電圧を表示の1フレーム内において実効的に一定とすること、及び、
(b)上記複数の分割階調データのうちの一部が、表示に使用する階調データのうちの少なくとも異なる二つにおいて共通になるようにし、
階調データd(−1<d<1であって、−1が表示のオン、1が表示のオフに相当する。)の表示は、分割階調データd+(1−d2 )1/2 及び分割階調データd−(1−d2 )1/2 を表示することにより実効的に行われるとともに、
前記階調データdとして、少なくとも{±d1 ,±(1−d1 2 )1/2 }の4種類(ここで−1<d1 <1かつd1 ≠0)を選択する液晶表示装置の駆動法。 - 階調データは、フレーム変調又はパルス幅変調を併用して表示されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 表示すべきデータの濃度レベルに応じて変化する成分を波高値に含むような電圧パルスによって得られる階調レベルが、−1と+1の間を実質的に等間隔に分割したレベルの一部からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 複数の走査電極が同時に選択され、その選択パルス系列が実質的に直交性を有する選択行列に対応することを特徴とする請求項1、2または3に記載の液晶表示装置の駆動法。
- データ電極には、同時選択される走査電極に対応する前記選択行列で前記分割階調データを変換して得られる信号を印加することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 階調データd(−1<d<1であって、−1が表示のオン、1が表示のオフに相当する。)の表示は、分割階調データd+(1−d2 )1/2 及び分割階調データd−(1−d2 )1/2 を表示することにより実効的に行われるとともに、
前記階調データdとして、少なくとも{±d1 ,±(1−d1 2 )1/2 }の4種類(ここで−1<d1 <1かつd1 ≠0)を選択することを特徴とする請求項4又は5に記載の液晶表示装置の駆動法。 - 中間的な階調データの表示時において、全ての走査電極に少なくとも一つの選択パルスが印加される期間内に該選択パルスに対応してデータ電極に印加される信号群には、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とが混在していることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 中間的な階調データの表示時において、同時選択される一つの走査電極群に印加される1回の選択パルスに対応してデータ電極に印加される信号群には、分割階調データのうち絶対値が1を超えるものを直交変換して得られる信号と絶対値が1未満のものを直交変換して得られる信号とが混在していることを特徴とする請求項6又は7に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 同時選択される特定の走査電極群に注目した場合に、データ電極に印加される信号は、所望の階調データを表示するために必要な全ての分割階調データを直交変換することによって形成された複数の信号が、選択行列の列ベクトルごとに一まとまりとなって、選択パルスの印加のタイミングに対応して連続的に印加されることを特徴とする請求項4〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 同時選択される走査電極に仮想走査電極を加え、表示に必要な電圧レベル数を減らすように、仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする請求項4〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 同時選択される走査電極(仮想走査電極を含む)に対応する表示データを絶対値の異なる表示データの組に分けた場合、それぞれの組に含まれる表示データの個数が所定の離散した整数値のみをとるように、仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 選択行列の列ベクトルの要素積が一定とされ、同時選択される走査電極(仮想走査電極を含む)に対応する表示データの要素積の符号が一定になるように仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 液晶表示装置の駆動法であって、
複数の走査電極が同時に選択され、その選択パルス系列を実質的に直交性を有する選択行列に対応させるとともに、データ電極には選択行列で階調データを変換して得られる信号を印加し、
該階調データは、絶対値の異なる2種以上のデータであり、
同時選択される走査電極に仮想走査電極を加え、表示に必要な電圧レベル数を減らすように仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする液晶表示装置の駆動法。 - 同時選択される走査電極(仮想走査電極を含む)に対応する表示データを絶対値の異なる表示データの組に分けた場合、それぞれの組に含まれる表示データの個数が所定の離散した整数値のみをとるように、仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置の駆動法。
- 選択行列の列ベクトルの要素積の符号が一定とされ、同時選択される走査電極(仮想走査電極を含む)に対応する表示データの要素積の符号が一定になるように仮想走査電極上のデータを設定することを特徴とする請求項13又は14に記載の液晶表示装置の駆動法。
- マルチプレックス駆動を使用した液晶表示装置の駆動法であって、
(a)第1の階調データの表示に際し、表示すべき第1の階調データの濃度レベルに応じて変化する成分を含むような複数の第2の階調データ(これを分割階調データという)に対応するパルス高の電圧パルスを画素に印加することにより、非選択状態にある走査電極上の画素に印加されるRMS電圧を表示の1フレーム内において実効的に一定とすること、及び、
(b)上記複数の第2の階調データのうちの一部が、表示に使用する第1の階調データのうちの少なくとも異なる二つにおいて共通になるようにしたこと、
を特徴とする液晶表示装置の駆動法。
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