JP3681194B2 - 画像表示装置の駆動法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、高速で応答する液晶に適した液晶表示装置を駆動する方法に関する。特に、本発明は、MLS法(複数ライン同時選択法、特開平6−27904号等参照)でマルチプレックス駆動を行う、単純マトリクス型液晶表示装置の駆動法において主にクロストークを低減する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
<従来技術におけるフレーム応答の抑制手段>
以下、本明細書では、走査電極を行電極またはラインともいい、データ電極を列電極ともいうことにする。
【0003】
高度情報化時代の進展にともなって情報表示媒体への需要はますます高まっている。液晶ディスプレイは薄型、軽量、低消費電力などの長所を有しており、半導体技術との整合性もよく、ますます普及するものと考えられる。一方で普及にともなって画面大型化、高精細化が求められるようになって大容量表示をする方法の模索が始まっている。そのなかでSTN(超ねじれネマティック)方式はTFT(薄膜トランジスタ)方式に比べ製造工程が簡素であり、低コストで生産できるので将来の液晶ディスプレイの主流になると考えられる。
【0004】
STN方式で大容量表示をするためには従来から線順次マルチプレクス駆動が行われている。この方法は各行電極を一本ずつ順次選択するとともに、列電極を表示したいパターンと対応させて選択するもので、全行電極が選択されることによって一画面の表示を終える。
【0005】
しかし、線順次駆動法では、表示容量が大きくなるにつれて、フレーム応答と呼ばれる問題が起こることが知られている。線順次駆動法では、選択時には比較的大きく、非選択時には比較的小さい電圧が画素に印加される。この電圧比は一般に行数が大きくなるほど(高デューティ駆動となるほど)大きくなる。このため、電圧比が小さいときには電圧実効値に応答していた液晶が印加波形に応答するようになる。すなわち、フレーム応答とは選択パルスの振幅が大きいためオフ時の透過率が上昇し、選択パルスの周期が長いためオン時の透過率が減少し、結果としてコントラストの低下を引き起こす現象である。
【0006】
フレーム応答の発生を抑制するためにフレーム周波数を高くし、これにより選択パルスの周期を短くする方法が知られているが、これには重大な欠点がある。つまり、フレーム周波数を増やすと、印加波形の周波数スペクトルが高くなるので、表示の不均一を引き起こし、消費電力が上昇する。このように、選択パルス幅が狭くなりすぎるのを防ぐため、フレーム周波数の上限には制限がある。
【0007】
周波数スペクトルを高くせずにこの問題を解決するために、最近、新駆動法が提案された。たとえば、特開平6−27904号には、複数の行電極(選択電極)を同時に選択する複数ライン同時選択法が記載されている。この方法は複数の行電極を同時に選択し、かつ、列方向の表示パターンを独立に制御できる方法であり、選択幅を一定に保ったままフレーム周期を短くできる。すなわちフレーム応答を抑制した高コントラスト表示ができる。
【0008】
また、フレーム応答を抑制する別の技術として、ヨーロッパ特許公開第507061号に開示されたものがある。この方法は行電極すべてを同時に選択し、フレーム応答を抑制するものである。
【0009】
<複数行を同時に選択する駆動法の概要>
特開平6−27904号の複数ライン同時選択法においては、列表示パターンを独立に制御するために、同時に印加される各行電極には所定の電圧パルス列が印加される。複数ライン同時選択法では、複数の行電極に同時に電圧パルスが印加されるため、列方向の表示パターンを同時にかつ独立に制御するために、行電極には各々極性の違うパルス電圧を印加する必要がある。行電極には極性を持つパルスが何回か印加され、全体としては各画素にはオン、オフに応じた実効電圧が印加される。
【0010】
1アドレス期間内に同時に選択される各行電極に印加される選択パルス電圧群は、L行K列の行列(これを以後、選択行列(A)という)として表すことができる。各行電極に対応する選択パルス電圧系列は1アドレス期間内で互いに直交なベクトル群として表せるため、これらを列要素として含む行列は直交行列となる。つまり、行列内の各行ベクトルは互いに直交である。このとき、行の数Lは同時選択数に対応し、各行はそれぞれのラインに対応する。たとえば、L本の同時選択ラインの中の第1ラインには、選択行列(A)の1行目の要素が対応する。そして、1列目の要素、2列目の要素の順に選択パルスが印加される。なお、本明細書では、選択行列(A)の表記において、1は正の選択パルスを、−1は負の選択パルスを意味する。
【0011】
列電極には、この行列の各列要素および列表示パターンに対応した電圧レベルが印加される。すなわち、列電極電圧系列はこの行電極電圧系列を決める行列と表示パターンによって決まる。
【0012】
列電極に印加される電圧波形のシーケンスは以下のように決定される。図4はその概念を示した説明図である。4行4列のアダマール行列を選択行列として使用する場合を例にとって説明する。列電極iおよび列電極jにおける表示データが図4(a)に示したようになっているとする。列表示パターンは図4(b)に示すようにベクトル(d)として表される。ここで列要素が−1のときはオン表示を表し、1はオフ表示を表す。行電極に、行列の列の順に順次行電極電圧が印加されていくとすると、列電極電圧レベルは図4(b)に示すベクトル(v)のようになり、その波形は図4(c)のようになる。図4(c)において、縦軸、横軸はそれぞれ任意単位である。
【0013】
部分ライン選択の場合、液晶表示素子のフレーム応答を抑制するために、1表示サイクル内で選択パルスを分散して電圧印加することが好ましい。具体的には、たとえば、同時選択される行電極群(これを以下、サブグループという)の1番目に対するベクトル(v)の第1番目の要素を印加した次には、同時選択される2番目の行電極群に対するベクトル(v)の第1番目の要素を印加し、以下同様のシーケンスをとる。
【0014】
以上のように、実際に列電極に印加される電圧パルスシーケンスは、電圧パルスを1表示サイクル内でどのように分散するか、また同時選択される行電極群に対してそれぞれどのような選択行列(A)が選ばれるかによって決定される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
複数行同時選択法は、高速応答性を有する液晶を備えた液晶表示素子を高コントラスト比で駆動するうえにおいて、きわめて効果的なものであるが、一方では、クロストークなどの好ましくない表示ムラが目立つ場合があることもわかってきた。本発明の目的は、これらの複数行を同時に選択する駆動法において、クロストークなどの好ましくない表示ムラを低減することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
<発明の概要>
本発明者らは、複数同時選択をする場合の表示ムラの発生原因について検討した結果、これらの表示ムラは、従来の線順次駆動法とは異なる複数行同時選択法に固有の原因によるものであり、さらに、以下に述べる本発明の実施によって、きわめて均一性の良い表示が得られることを見いだした。本発明の実施によって、得られる表示の均一性の高さは、驚くべきことに、従来の線順次駆動法による表示の均一性を上回ることすらある。
【0017】
本明細書で1表示サイクルとは、全行電極のアドレスが完了する最も短い時間をいうこととする。すなわち、実効値が定まる最小時間間隔である。これは、上記の直交行列(S)の直交する行ベクトル成分が全て選択電極に印加される時間間隔ということもできる。また、本明細書では、特に断らないかぎり、Lを同時選択される行電極数として用い、Kを特定の行電極に1表示サイクル中に印加される選択パルスの数として用い、Mを全行電極数として用い、Nを1表示サイクル内に印加されるパルス数として用いる。
【0018】
本発明は、以下の画像表示装置の駆動法を提供する。
【0019】
すなわち、複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列(S)(要素は1、−1、または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
(y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
であり、
Δyi =|yi −yi-1 | (ここでi=2〜N)
とすると、
(x)=(1,1,・・・,1)に対するΔyi の最大値ΔyMAX1と(1,−1,1,−1,・・・)に対するΔyi の最大値ΔyMAX2との和Qが、実質的にQ<1.4・Lとなり、1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転し、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なること、を特徴とする画像表示装置の駆動法を提供する。
【0020】
また、本発明の1態様においては、以下のような画像表示装置の駆動法を提供する。
【0021】
すなわち、複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列S(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転するとともに、
特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
(y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
であり、
(x)=(1,1,・・・,1)ならびに(1,−1,1,−1,・・・)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 とyj とが、同時選択行の本数Lに対して、
|yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
となり、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なることを特徴とする画像表示装置の駆動法を提供する。
【0022】
また、複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧5)一括して選択し、M行N列の直交行列(S)(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
(y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
であり、
Δyi =|yi −yi-1
(i=2〜N)
とすると、
(x)=(1,1,・・・,1)に対し、実質的にΔyi <0.7・Lとなり、1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転し、極性反転 をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なること、を特徴とする画像表示装置の駆動法を提供する。
【0023】
また、複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列S(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転するとともに、
特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
(y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
であり、
(x)=(1,1,・・・,1)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 とyj とが、同時選択行の本数Lに対して、
|yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
となり、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なることを特徴とする画像表示装置の駆動法を提供する。
【0024】
さらに、4本の行電極を一括して選択して駆動する液晶表示装置の駆動法において、同時に印加される各行電極に印加される電圧パルス列は2種類の電圧パルス極性を備え、1の電圧パルス極性を1とし、他の電圧パルス極性を−1とすると、数1に示した行列の行入れ替え操作、列入れ替え操作、行または列の極性反転操作、およびこれらの操作の組み合わせによって得られる行列で表され、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期(sパルスごと)とが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なり、極性反転周期sが、4の倍数ではないことを特徴とする液晶表示装置の駆動法を提供する。
【0025】
さらに、7本の行電極を一括して選択して駆動する液晶表示装置の駆動法において、同時に印加される各行電極に印加される電圧パルス列は2種類の電圧パルス極性を備え、1の電圧パルス極性を1とし、他の電圧パルス極性を−1とすると、数2に示した行列の行入れ替え操作、列入れ替え操作、行または列の極性反転操作、およびこれらの操作の組み合わせによって得られる行列で表され、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期(sパルスごと)とが、一方が他方の約数でないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なり、極性反転周期sが、7の倍数ではないことを特徴とする液晶表示装置の駆動法を提供する。
【0026】
本発明において、階調表示方式として、空間変調フレームレートコントロール方式またはディザ方式を採用できる。
【0027】
また、画像表示装置の画面の少なくとも一部でビデオ表示を行うことができる。
【0028】
<複数行を同時に選択する駆動法におけるクロストーク要因の分析>
発明者が研究を進めるうちに、複数行同時選択法による駆動において、特に、ウィンドウパターンや、中間調表示でのクロストークが目立つ場合があることがわかってきた。そこで、以下に、まずウィンドウパターンでのクロストーク現象について説明する。
【0029】
この種のクロストークの影響が最も顕著な場合となって現れるのが図3のようなバー表示をさせたときである。図では、全オン状態の背景(領域A)の中に、オフ状態のW×Hのバーを表示している。バーの下部の領域Bには表示ムラが出現する。つまり、同じオン状態に関わらず領域A<領域Bという輝度差が現れ、表示ムラとなる。この輝度差は液晶に印加される実効電圧も領域A<領域Bとなっていることを示している。ウィンドウ表示などの表示パターンは図3のようなバー表示の組合せであり、最も頻繁に使われることが想定されるため、この表示ムラ(クロストーク)低減が大きな課題である。
【0030】
このクロストークの大きさは、バーの幅Wもしくは長さHが変化することにより、変化する。表示パターンのバーの幅Wを大きくしていくと、領域Aと領域Bの輝度差は減少していく。またバーの長さHを大きくしていくと領域Aと領域Bの輝度差は増加していく。
【0031】
これらの現象は列電極波形の歪みがオン波形とオフ波形とで異なることに基づいて説明できる。つまり、オン波形はある程度歪んだ波形となるのに対し、オフ波形はほぼ理想に近い波形となっているのである。
【0032】
オン波形が歪む原因は主に2つある。ひとつは、駆動系が理想的な電源および理想的なドライバでは構成されていないからである。図3の表示では大部分がオン状態なので大部分の列電極ではオン波形を出力している。このとき駆動系では各列電極電圧レベルの中でオン波形を出力する電圧レベルに大きな負荷がかかり、これが歪みの原因になる。もうひとつは、パネル内部の容量による影響である。つまり、通常、液晶表示素子に用いる液晶は、誘電率異方性Δεが正であるため、全オン表示させると列電極に直列に接続される液晶の容量は最大となる。したがって、オン波形が多いとパネル内での波形は最も歪んだ状態となる。
【0033】
一方、オフ波形は理想に近い波形が出力される。オン波形に比べると液晶容量が小さく、波形が歪む条件に当てはまらないからである。
【0034】
図3において、領域Aでは、ほぼオンの列電極波形のみが印加されるが、領域Bでは、オンとオフの両方の列電極波形が印加される。したがって、領域Aの列電圧波形は非常に歪んだ波形のみが出力されるのに対し、領域Bでは領域Aに比べて全体としての列電圧の歪みは大きくない。したがって、領域Aに比べて、領域Bでは液晶に印加される実効電圧の減少が少ない。こうして、領域Aと領域Bとの間に実効電圧差が生じる。
【0035】
また、ウィンドウパターンとは異なり、中間調表示においても、特有のクロストークが存在する。
【0036】
中間調表示の方式としては、フレームレートコントロール方式、振幅変調方式、などがあり、フレームレートコントロール方式が液晶表示装置の駆動法としてはもっとも多く用いられている。
【0037】
フレームコントロール方式においては、フリッカの発生を目立たなくするために、空間変調と組み合わせることが多い。空間的に(隣接する画素間で)位相の差をつけフリッカをキャンセルさせるのである。この場合、ベタ表示とは異なり、各フレームごとに画像の空間的な周波数が非常に高くなる。この空間的周波数の高さは波形のなまりを招き、クロストークを生じさせ、画像の品位を劣化させる。また、空間変調の種であるディザ方式を用いた場合にも空間周波数が高いため、クロストークの問題が存在する。
【0038】
さらに、ウィンドウの中に動画表示を表示する場合には、発生するクロストークにより、動画表示自体の品位を劣化させるだけでなく、周辺のウィンドウにも影響して、画像の劣化が生じる。これは、ビデオ表示などの動画を表示する場合にも、ウィンドウパターンなどの基本的に幾何学的な表示とは異なり、空間的に複雑な(すなわち空間周波数の高い)表示が多く出現するためである。
【0039】
前述のように、複数行同時選択法はフレーム応答を抑制するためにきわめて有効な方法ではあるが、本発明者らが研究を進めるうち、従来駆動法に比べてクロストークによる表示ムラが目立つことが多いことがわかってきた。
【0040】
これは、複数行同時選択法では、行電極電圧レベルが線順次駆動に比べて低いという特徴に由来するものと推察される。つまり、複数の行を同時に選択すると、行電極電圧と列電極電圧とのバイアス比が小さくなり、列電極電圧が実効電圧に与える影響は従来駆動法に比べてきわめて大きくなる。この結果、列電極電圧系列に波形歪みがあれば、これが表示品位に与える影響は従来のものに比べ大きい。
【0041】
実際には駆動系で使用される電源、ドライブの能力は有限なので入力端では電圧波形は必ず歪んでいるし、パネルでは液晶自身の容量成分と電極抵抗の直列結合と考えられるので、列電極に出力されるべき電圧波形はかなりなまって出力される。したがって、複数行を同時選択すると、クロストークによる表示ムラが目立つ場合があることになる。この現象は、同時選択する行電極本数Lが5以上になると顕著になる。
【0042】
また、複数行同時選択法においては、列電極電圧のパルスの変動幅が列電極波形の実効値の変動に強く影響する。これは線順次駆動とは異なる複数行同時選択法に特有の特徴であり、複数の行電極が同時選択される場合は線順次駆動に比べて、列電極電圧レベルが多いことに起因する。つまり、線順次駆動では、大きな波形歪みは極性反転のときに主に生じるのに対し、複数同時選択駆動では列電極電圧のパルスごとの変動幅が大きい場合にも生じる。複数同時選択駆動においては、選択行列の種類によっては列電極電圧の変動が頻繁に起こるため、強いクロストークが発生すると考えられる。
【0043】
<複数行同時選択法における列電圧パルスシーケンス>
以上説明したように、クロストークの低減には実際に列電極に印加される電圧パルスシーケンスの検討がきわめて重要である。そこで、複数行同時選択法において、実際に列電極に印加される電圧パルスシーケンスがどのようになっているかについて以下に述べる。
【0044】
全行電極のうちの部を同時選択する(部分ライン選択)場合は、いつの時点で選択パルスシーケンスを進めるかという観点で基本的につの考え方がある。第1の考え方は、つのサブグループが選択され次のサブグループが選択される時点で、行電極の選択パルスシーケンスをつ進める、すなわちサブグループを単位とした選択パルスシーケンスの方式(1)であり、第2の考え方は、全ラインが選択された時点で(全サブグループに対して)選択パルスシーケンスを進めるという方式(2)であり、第3の考え方は方式(1)および(2)の中間方式(3)である。
【0045】
方式(1)および方式(2)の場合に、選択パルスを示すベクトルをサブグループごとに示すと表1のようになる。ここで、選択行列(A)の各列ベクトルをA1 、A2 ・・・ AM 、サブグループの数をNS とした。
【0046】
【表1】
Figure 0003681194
【0047】
列電極に印加される電圧のシーケンスは、列電極電圧レベルを図4(b)に示すのと同様にベクトル(v)=(v1 ,v2 ,v3 ,・・)で表せるとすると、方式(1)の場合、(v1 ,v2 ,v3 ,・・・,v2 ,v3 ,v4 ,・・)となり、方式(2)の場合、(v1 ,v1 , ・・v1 ,v2 ,v2 , ・・・,v2 ,v3 , ・・)となる。それぞれの繰り返し回数はサブグループの数である。
【0048】
これらの関係は一般的に数3のように、ベクトルとマトリクスとからなる表式で書くことができる。
【0049】
【数3】
Figure 0003681194
【0050】
ベクトル(x)、ベクトル(y)、行列(S)は以下のようなものである。列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )は、行電極本数Mと同じ数の要素を持ち、特定の列電極上の行電極に対応する表示パターンを要素とする。ここで、オフの場合が1、オンの場合が−1とする。列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )は、1表示サイクル内に印加されるパルス数Nと同じ数の要素を持ち、特定の列電極に対する電圧レベルを1表示サイクル内で時系列で並べたものを要素とする。
【0051】
行電極パルスシーケンス行列(S)は、M行N列の行列であり、特定の列電極に対する行電極電圧レベルからなる列ベクトルを1表示サイクル内で時系列で並べたものを要素とする。非選択の行電極に対応する要素は0とされる。たとえば、方式(1)における行電極パルスシーケンス行列Sは、選択行列Aのi列めの列ベクトルAi 、ならびにゼロベクトルZe により数4のように書かれる。
【0052】
【数4】
Figure 0003681194
【0053】
方式(2)のシーケンスは、周波数が低くなりすぎるため、フリッカ発生のおそれがある。したがって、各サブグループに選択パルスを少なくとも1回印加し終える前に選択パルスシーケンスを進める方が好ましい場合が多い。そこで、以下は、典型的な場合として、主に方式(1)のシーケンスを採用した場合を例にとって本発明を説明する。方式(2)および方式(3)のシーケンスを採用した場合も同様に考えることができる。
【0054】
方式(1)のシーケンスを採用した場合は、行電極パルスシーケンス行列(S)は、極性反転する場合や最後のサブグループから最初のサブグループに移る場合を除くと、選択行列(A)を(A)(A)・・(A)のように、並べた行列を考えれば充分である。これは、表1または数2に示したように、選択されるサブグループについて注目すると、A1 、A2 ・・・、AK に対応する電圧が繰り返し印加されているためである。
【0055】
つまり、方式(1)のシーケンスを採用するとすれば、どのような選択行列A(L行K列)が採用されるかによって、本発明の条件が満たされるかどうかが実質的に決まることになる。すなわち、互いに直交な行成分を持つ任意行列の列成分を適宜並び変えることによって適当な行列を作成し、選択行列として使用すれば、好ましい列電極波形を作成できる。
【0056】
<新規な選択行列の採用>
以下、クロストーク低減のために、どのような選択行列を採用するのが良いかについて具体的に説明する。
【0057】
本発明の1態様によれば、時間軸(シーケンスを進める順)における最大電圧変動幅を小さくするという観点で最適な列波形を選ぶための基準として、行列(S)は数5の条件で評価される。
【0058】
【数5】
Figure 0003681194
【0059】
ところで、すべての表示パターンでΔyi を一定値以下に抑えることが好ましいが、Δyi は列電極表示パターンベクトル(x)に依存する値なので、これは実際上難しい。たとえば、全面オンの表示と、市松模様の表示とでは、Δyi の値はまったく異なる。
【0060】
本態様では、基準となる列電極表示パターンベクトル(x)として、(x)=(1,1,・・・,1)を選ぶ。通常の使用状態でもっともクロストークが目立つのは、全オンもしくは全オフに近い状態(たとえば、均一なベタパターン上に、ブロックまたはラインの表示が存在するパターン)であり、この状態でのクロストークを抑えることにより、表示全体としての見栄えが格段に向上する。
【0061】
一般に、Δyi <0.7・L(これを以後、条件Aという)とすることにより、最大電圧変動差を実用可能な程度に抑えることができる。特に好ましくは、Δyi ≦0.5・L(これを以後、条件Bという)である。
【0062】
次に、従来まで用いられてきたアダマール関数を用いた列電極波形について調べる。図5、図6はアダマール関数を示し、図5(a)は4行4列のアダマール行列であり、図5(b)は8行8列のアダマール行列であり、図5(c)は7行8列のアダマール行列であり、図6は16行16列のアダマール行列である。
【0063】
以下は、図5(c)に示した7行8列のアダマール行列を例にとって説明する。(x)=(1,1,・・・,1)に対し、(y)=(7,−1,−1,・・,−1)となり、最大変位(Δyi の最大)は8である。一方、L=7なので条件Aは、「Δyi <4.9」となる。したがって、最大変位時に条件Aは満足されない。すなわち、選択行列として、アダマール行列を用いると、最大電圧変動は大きく、これが主に波形歪による実効値減少をもたらす。
【0064】
この場合の波形パターンは図2のようになる。図2は全オン表示のときの列電圧波形を任意単位で示す。周期的に大きな電圧変動のあることがわかる。
【0065】
図7は、本発明を実施するのに適した具体的な選択行列(A)の例である。図7は7行8列の行列であり、(x)=(1,1,・・・,1)に対し、(y)=(5,1,1,−3,−3,−3,1,1)となり、最大変位(Δyi の最大)は4である。一方、L=7なので条件Aは「Δyi <4.9」となる。したがって、最大変位時においても条件Aを満足する。
【0066】
この場合の波形パターンは図1(c)のようになる。図1(c)は全オン表示のときの列電圧波形を任意単位で示す。選択行列としてアダマール行列を用いた場合を示した図2の波形に比べて、最大電圧変動が小さくなっていることが容易に理解できる。
【0067】
このような行列の他の例を示すのが図8である。図8(a)は4行4列の行列であり、図8(b)は8行8列の行列であり、図8(c)は16行16列の行列である。
【0068】
図8(a)の行列については、(x)=(1,1,1,1)に対し、yの最大変位(Δyi の最大)は図中に示したように0である。一方、L=4なので条件Aは「Δyi <2.8」となる。図8(b)の行列については、(x)=(1,1,・・,1)に対し、yの最大変位(Δyi の最大)は図中に示したように4である。一方、L=8なので条件Aは「Δyi <5.6」となる。図8(c)の行列については、(x)=(1,1,・・,1)に対し、yの最大変位(Δyi の最大)は図中に示したように8である。一方、L=16なので条件Aは「Δyi <11.2」となる。したがって、いずれの場合も条件Aを満足する。
【0069】
このような行列のさらに他の例が図9である。図9は7行8列の行列であり、(x)=(1,1,・・,1)に対し、yの最大変位(Δyi の最大)は図中に示したように2である。一方、L=7なので条件Aは「Δyi <4.9」となり、条件Bは「Δyi ≦3.5」である。したがってこの行列は、条件Aをも条件Bをも満たす。
【0070】
この場合の波形パターンは図1(a)のようになる。図1(a)はやはり全オン表示のときの列電圧波形を任意単位で示す。選択行列としてアダマール行列を用いた場合を示した図2の波形に比べて、最大電圧変動が非常に小さくなっていることが理解できる。
【0071】
なお、選択パルスシーケンスを前述の方式(1)にしたがって進めた場合、最後のサブグループから最初のサブグループに移る場合には、選択パルスシーケンスは必ずしも選択行列の列ベクトル順序と一致しない。たとえば、数4の例では、列ベクトルAp の次に列ベクトルA2 が印加されることになるが、Ap はサブグループの数に依存したものになる。このような場合は、選択行列が上記の条件を満たすとしても、列電圧シーケンス全体では厳密には上記の条件を満たさない場合もあることになる。
【0072】
しかし、このような場合でも、選択行列について上記の条件が満たされていれば、実質的には列電圧パルスシーケンス全体で上記の条件を満たすといえる。たとえば、全走査線が240本以上あり、同時選択される走査線本数が16本以下程度の場合には、サブグループの数が30以上にもなる。したがって、最後のサブグループから最初のサブグループに移る場合に大きな波形ひずみが生じたとしても、それは、全電圧変動の1/30以下の寄与にすぎず、それによる電圧実効値の変動は比較的小さい。
【0073】
つまり、本発明は、「全サブグループが選択される周期における列電極電圧シーケンスベクトルに関し、上記条件を満たす」ことが実質的な条件になっているともいえる。この場合の(B)を、数1、数2と同様の表現で表すと、数6のようになる。ここでは、方式(1)の選択パルスシーケンスを採用している。
【0074】
【数6】
Figure 0003681194
【0075】
本発明のつの態様においては、印加電圧の極性反転を適当なタイミングで行うことにより、表示ムラの低減を行う。所定の周期で極性反転することにより、どのような直交行列を選択行列として使用しても直流成分を除去できるようになるだけでなく、極性反転の周期を調節することにより、駆動波形の中心となる周波数帯域を制御できる。この周波数帯域が低すぎると、表示パターンによっては表示ムラやフリッカを生じることがあるが、極性反転によりこのような不都合を除去できる。この意味では、比較的駆動周波数が低くなる場合に極性反転がきわめて効果的である。駆動周波数が比較的低くなる選択行列の例として、先に述べた図9に示した行列がある。
【0076】
極性反転を行うタイミングとしては、列電圧シーケンスにおいて、より0に近いレベルのときに、反転を行うことが非常に望ましい。極性反転に伴う波形歪みによる実効値変動を極力抑制するためである。具体的には、極性反転を行うタイミングの前後の列電極電圧レベルyj-1 、yj が、同時選択行の本数Lに対して次の関係を満たすことが望ましい。
【0077】
|yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
上記関係は、より望ましくは、以下のように表される。
【0078】
|yj-1 |<0.3・L かつ |yj |<0.3・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
この条件を満たすと、極性反転時の電圧実効値変動への影響を極力抑制できる。
【0079】
この条件は、適当な選択行列を用い、上記関係を満たすタイミングで極性反転を行うことにより実施できる。たとえば、図9に示す行列では、8列目と1列目の間、1列目と2列目の間などがこの条件を満たす極性反転のタイミングである。このようなタイミングで極性反転を行った場合従来の駆動法に比べて波形歪みの影響を抑制でき、クロストークのきわめて少ない画像を提供できる。
【0080】
また、極性反転の前後での列電圧レベルの差が、|yj-1 −yj |<0.7・Lの関係、特には|yj-1 −yj |≦0.5・Lの関係を同時に満たすことが望ましい。こうすると、極性反転時の列電圧歪みと、列電圧変動時の列電圧歪みとの両方を低減し、表示ムラの解消に大きく貢献できる。
【0081】
また、本発明では、つの行電極選択パルス印加を1ステップとし、すべての極性反転が、(x)=(1,1,1,・・・,1)に対して、|y|が等しいステップの直後に実施され、極性反転が周期的となるようにすることが好ましい。このようにすると、極性反転による電圧変化がもっとも少なくなるようなタイミングで極性反転が可能になる。したがって、極性反転による波形歪みを抑制できるので、クロストークの低減にきわめて効果的である。
【0082】
たとえば、図9に示した行列を選択行列として用いて、上記条件を満たす8ステップで極性反転した場合の波形が図1(b)である。これも図1中の他の図と同様に、全オン表示をした場合の列電圧波形を任意単位で示す。選択行列としてアダマール行列を用いた場合を示した図2の波形に比べて、最大電圧変動が非常に小さいだけでなく、全体的に駆動波形の周波数が低いことがわかる。すなわち、波形歪みの発生する頻度がきわめて少なくなるので、クロストーク低減には非常に有効な波形である。本例では8ステップで極性反転しているが、16ステップもしくは24ステップなどの8の倍数で極性反転してもよい。
【0083】
本発明においては、特に、以下の条件を満たすようにすることが好ましい。すなわち、(x)=(1,1,・・・,1)に対する列電極電圧シーケンス(y1 ,y2 ,・・・,yN )において、特定の行電極における1表示サイクル内での選択パルスの数をKとして、つの行電極選択パルス印加を1ステップとして負から正へ変化する点から次の負から正に変化する点までの間隔が実質的にKステップとする。Kを選択行列(A)の列の数と定義することもできる。このような行列では、1表示サイクル内において残る直流成分が小さくなるため、液晶のVthムラなど低周波ムラを抑制できる。特に、このような行列では、符号に関し対称にして(各行ベクトル中の正負の数を等しくして)完全に直流成分を除去できる。
【0084】
具体的には、選択行列の各行ベクトル中の正負の数を等しくすればよい。この場合、1表示サイクルでアドレスと直流成分除去とが終了する。つまり、実効値的な観点でも交流化という観点でも終了しているため、低周波成分によるムラや、複数の周波数成分の干渉によるムラの発生を抑制する効果が大きい。
【0085】
このような行列の例が図10である。図10は7行8列の行列であり、(x)=(1,1,・・,1)に対し、yの最大変位(Δyi の最大)は図の中に示したように2である。一方、L=7なので条件AはΔyi <4.9となり、条件BはΔyi <3.5である。したがって、条件Aをも条件Bをも満たす。
【0086】
この場合の波形パターンは図1(d)のようになる。図1(d)はやはり全オン表示のときの列電圧波形を任意単位で示す。選択行列としてアダマール行列を用いた場合を示した図2の波形に比べて、最大電圧変動が小さいことが理解できる。
【0087】
さらに、本発明では、同時選択行内の周波数が実質的に等しいような行列を用いることが好ましい。行電極ごとに周波数成分が異なると、クロストークの大きさも異なるので行電極ごとに現れる表示ムラの原因になるが、このような不都合を除去できる。このようなものの具体例として、図8(a)に示した行列を選択行列として採用する場合が挙げられる。
【0088】
以下に、本発明の第2の態様について、説明する。本発明の第2の態様についても、時間軸(シーケンスを進める順)における最大電圧変動幅という観点で最適な列波形を選ぶための基準として行列(S)は数5によって評価される。
【0089】
発明者は、以下のような要因が各種クロストークを支配する因子であることを見いだしている。
【0090】
(1)選択行列の種類、
(2)選択パルスシーケンス(選択パルスの分散方式)、
(3)選択行列の行・列入れ替え。
【0091】
すなわち、ベタ表示、動画など数多くのパターンでクロストークを抑制するには、上記(1)〜(3)を、適切に決める必要がある。本態様は、上記因子(1)〜(3)の結果構成される行列Sによるデータ変換に着目し、いかなる基準で決められるSならびにそのもととなる選択行列Aと選択パルスシーケンスとが表示品位向上(特にクロストークの抑制)に有効であるかを提案したものである。
【0092】
本発明の第2の態様では、基準となる列電極表示パターンベクトル(x)として、(x)=(1,1,・・・,1)(基準パターン1)ならびに(1,−1,1,−1,・・・)(基準パターン2)の2種類を選ぶ。通常の2値表示では、全オンもしくは全オフに近い状態(たとえば、均一なベタパターン上に、ブロックまたはラインの表示が存在するパターン)が支配的であり、階調表示や動画表示では、はるかに空間周波数の高い表示状態が支配的となる。これらの、空間周波数の全く異なるパターンに関して、クロストークを低減するには、上記の2つの基準ベクトルを用い、因子(1)〜(3)を決めることが重要であり、これにより画像の種類によらずクロストークの抑制された画像が提供できる。
【0093】
一般に、上記の基準ベクトルに対して、ΔyMAX1+ΔyMAX2<1.4・L(これを以後、条件Aという)とすることにより、最大電圧変動差を実用可能な程度に抑制できる。特に好ましくは、ΔyMAX1+ΔyMAX2≦L(これを以後、条件Bという)である。ここで、ΔyMAX1は基準パターン1に対する列電圧変動差の最大値を、ΔyMAX2は基準パターン2に対する列電圧変動差の最大値を示す。
【0094】
次に、従来まで用いられてきたアダマール関数を用いた列電極波形について調べる。ここで、選択パルスシーケンスは方式(1)を例にとる。図18(a)〜(c)は従来のアダマール行列を示す図であり、図18(a)は4行4列、図18(b)は8行8列、図18(c)は7行8列のアダマール行列である。以下は、代表的に図18(c)に示した7行8列のアダマール行列を例にとる。この場合、基準パターン1に対しては、(x)=(1,1,・・・,1)に対し、(y)1 =(7,−1,−1,・・,−1,7,−1,・・・)となり、最大変位(Δyi の最大)は8である。
【0095】
また、基準パターン2に対しては、(x)=(1,−1,1,−1・・・)に対し、(y)2 =(1,7,1,−1,1,−1,1,−1,1,7,1,・・・)となり、最大変位(Δyi の最大)は6である。
【0096】
ここで、(y)の添え字は、それぞれ基準パターン1に対するものであるか、基準パターン2に対するものであるかを示す。また、シーケンスは方式(1)を採用しているので、2,4,6,8列めのに対する基準パターンは1行目から(−1,1,−1,1,・・)になることに注意する必要がある。これは選択行列の行数が奇数(7)であるためである。
【0097】
一方、L=7なので条件Aは、「ΔyMAX1+ΔyMAX2<9.8」となる。この場合、ΔyMAX1+ΔyMAX2=14であり、条件Aは満足されない。すなわち、選択行列として、アダマール行列を用いると、低周波の表示パターンに対しても高周波の表示パターンに対しても最大電圧変動は大きく、これが主に波形歪による実効値減少をもたらす。
【0098】
この場合の波形パターンは図17のようになる。図17(a)は全オフ表示のときの列電圧波形、図17(b)はオン/オフ表示のときの列電圧波形を任意単位で示す。周期的に大きな電圧変動のあることがわかる。
【0099】
2つの基準パターンは空間周波数的に全く異なるものであるが、この2つの基準パターンの両方に対して適切な行列Sを決めることができる。まず基準となる選択行列(直交関数)を作製する。このときの基準は、隣り合う列要素の符号ができるだけ一致するように取ることが望ましい。これは、隣り合う列同士の符号が一致する際にはカラム電圧シーケンスに与えるパターン依存性が抑制されるためである。
【0100】
このための条件としては、行列Aの隣り合う列同士(1と2、2と3、・・、Kと1)の同符号となる要素の数の合計Fが、行列のサイズL×Kに対して、
F≧L×K/2
の関係を満たすことが望ましい。この条件により、一般的にカラム電圧に与えるパターン依存性を低減できる。
【0101】
この選択行列に対し、シーケンスに応じた行列Sを作製し、2つの基準パターンに関し、カラム電圧を計算し、そのレベル変動が、条件Aより望ましくは条件Bを満たすように、もとの行列Aを変形する。変形の方法としては、行入れ替え、列入れ替え、行および/または列の符号反転があり、これらは行列の直交性を失うことなく変形可能な方式である。
【0102】
上記の7行8列の行列の場合、つの元行列に対し、7!×8!個の行列が得られる。これは、2億種類を越える組み合わせが可能なことを意味する。これらの中から、つの基準パターンに対するフィルターを通して行列Aは最適化される。
【0103】
図19は、本発明を実施するのに適した具体的な選択行列(A)の例である。図19は7行8列の行列であり、(x)=(1,1,・・・,1)に対し、(y)1 =(−1,1,−1,−3,−3,−5,−3,−1)となり、最大変位(Δyi の最大)は2である。また(x)=(1,−1,1,−1,・・・)に対し、(y)2 =(1,1,1,5,3,1,3,−1)となり、最大変位(Δyi の最大)は4である。一方、L=7なので条件Aは「ΔyMAX1+ΔyMAX2=6<9.8」となる。したがって、最大変位時において条件Aを満足する。
【0104】
また、6<L=7より条件Bも満足する。この行列は、隣り合う列要素同士の符号の一致する数Fは、30であり、F≧L×K/2=28を満たす。なお、先述のアダマール行列では、この値Fは24となり上記関係を満たさない。図16に列電圧変動を示した。図16(a)は全オフ表示、図16(b)はオン/オフ表示の場合を示す。アダマール行列について示した図17に比べると、いずれのパターンでも列電圧変動差が小さく抑えられていることがわかる。
【0105】
本発明で使用できる選択行列の他の例を示したのが図20である。図20(a)の場合も、基準パターン1に対する最大変位は2、基準パターン2に対する最大変位は4であり、図19の場合と、行列そのものは異なるが同じ最大変位を与える。図20(b)の場合、基準パターン1に対し、最大変位2、基準パターン2に対し最大変位6であり、その和は8<9.8であり、条件Aを満たす。
【0106】
なお、選択パルスシーケンスを前述の方式(1)にしたがって進めた場合、最後のサブグループから最初のサブグループに移る場合には、選択パルスシーケンスは必ずしも選択行列の列ベクトル順序と一致しないという点については、第1の態様と同じである。ただし、この場合も、第1の態様と同様に、クロストークについては大きな問題にならない。
【0107】
第2の態様においても、印加電圧の極性反転を適当なタイミングで行うことにより、表示ムラを低減できる。すなわち、極性反転を行うタイミングの前後の列電極電圧レベルyj-1 、yj が、同時選択行の本数Lに対して次の関係を満たすことが望ましい。
【0108】
|yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)。
【0109】
上記関係は、より望ましくは、以下のように表される。
【0110】
|yj-1 |<0.3・L かつ |yj |<0.3・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)。
【0111】
この条件を満たすと、極性反転時の実効値への影響を極力抑制できる。
【0112】
この条件は、適当な選択行列を用い、上記関係を満たすタイミングで極性反転を行うことにより実施できる。たとえば、図19に示す行列では、8列目と1列目の間、1列目と2列目の間などがこの条件を満たす極性反転のタイミングである。このようなタイミングで極性反転を行った場合従来の駆動法に比べて波形歪みの影響を抑制でき、クロストークのきわめて少ない画像を提供できる。
【0113】
また、第1の態様と同様に、極性反転の前後での列電圧レベルの差が、前記基準パターン1および基準パターン2において、|yj-1 −yj |<0.7・Lの関係、好ましくは|yj-1 −yj |≦0.5・Lの関係を同時に満たすことが望ましい。こうすると、極性反転時の列電圧歪みと、列電圧変動時の列電圧歪みとの両方を低減し、表示ムラの解消に大きく貢献できる。
【0114】
以下、極性反転と列電圧レベルの変動との関係について本発明を通じて得られた知見につき説明する。従来の線順次駆動法における最適バイアス法において、行選択電圧レベルVr (>0)と、列電圧レベルVc (>0)の関係は、Vc =Vr /B(ここで、B=N1/2 )となる。したがって、この場合の極性反転時のレベル変動は、2Vc =2Vr /Bである。複数ライン同時選択法では、列電圧レベルは複数(L+1個)存在するがその最大レベルに対して、Vc =L/B・Vr の関係となる。
【0115】
この関係より、(1)従来の線順次駆動法、(2)アダマール関数を用いた複数ライン同時選択法(図18(c))、(3)本発明の複数ライン同時選択法(図20(b))、(4)本発明の複数ライン同時選択法(図19)、の4つの駆動方式での極性反転時の列電圧レベル変動幅は表2のように表される。ここで、行電極総本数を240、線順次駆動時は同時選択行本数を1、複数ライン同時選択駆動時は同時選択行本数Lを7とし、複数ライン同時選択法では選択行列の8列目と1列目の間(列電圧ベクトルの8番目と1番目の間)で極性が反転されるとした。
【0116】
【表2】
Figure 0003681194
【0117】
実際のクロストーク量を評価するためには、列電圧変動の絶対値について考慮することが重要である。この場合、複数ライン同時選択法において選択電圧Vr が線順次駆動法よりも低くなることに注目する必要がある。上の例では、複数ライン同時選択法でのVr は線順次駆動のVr の1/2以下である。つまり、上記関係より導かれる列電極電圧の極性反転にともなう変動幅は、駆動方式(3)の場合、駆動方式(1)の場合の1/2以下になる。このことは、本発明の極性反転方式を用いると、たとえ極性反転時に波形歪みが生じても実効値変動に影響が少なく、従来の線順次駆動法に比べてもさらに優れた表示の均一性を達成できることを示す。
【0118】
また、本発明の第2の態様においても、1つの行電極選択パルス印加を1ステップとし、すべての極性反転が、(x)=(1,1,1,・・・,1)に対して、|y|が等しいステップの直後に実施され、極性反転が周期的となるようにすることが好ましい。このようにすると、極性反転による電圧変化がもっとも少なくなるようなタイミングで極性反転が可能になる。したがって、極性反転による波形歪みを抑制できるので、クロストークの低減にきわめて効果的である。
【0119】
さらに、本発明の第2の態様においても、特に、以下の条件を満たすようにすることが好ましい。すなわち、(x)=(1,1,・・・,1)に対する列電極電圧シーケンス(y1 ,y2 ,・・・,yN )において、特定の行電極における1表示サイクル内での選択パルスの数をKとして、つの行電極選択パルス印加を1ステップとして負から正へ変化する点から次の負から正に変化する点までの間隔が実質的にKステップとする。
【0120】
このような行列では、1表示サイクル内において残る直流成分が小さくなるため、液晶のVthムラなど低周波ムラを抑制できる。特に、このような行列では、符号に関し対称にして(各行ベクトル中の正負の数を等しくして)完全に直流成分を除去できる。
【0121】
さらに、同時選択行内の周波数が実質的に等しいような行列を用いることが好ましい。行電極ごとに周波数成分が異なると、クロストークの大きさも異なるので行電極ごとに現れる表示ムラの原因になるが、このような不都合を除去できる。
【0122】
なお、複数ライン同時選択を行う場合は、1表示サイクルが長くなると、低周波成分により別種の表示の劣化が発生する危険性が高くなる。この例として、液晶表示素子の閾値電圧Vth特性が低周波領域で低くなることにともなうVthムラ、低周波成分によるフリッカなどが挙げられる。
【0123】
この観点より、1表示サイクルが長くなりすぎることは好ましくない。このため、行電極パルスシーケンス行列(S)はN≦4Mの関係を満たすことが望ましい。より望ましくは、N≦3Mとされる。たとえば、240の行(選択)ラインを同時選択ライン数L=7で駆動する場合、35のサブグループが存在し、1表示サイクルの長さは選択パルス幅×35×Nとなる。
【0124】
ここで、行電極パルスシーケンス行列(S)が7行24列とすると、サイクル長は、パルス幅×35×24=パルス幅×840であり、
パルス幅=30μsに対し25ms(40Hz)、
パルス幅=40μsに対し33ms(30Hz)、
となる。つまり、低周波成分による阻害を強く受けずに表示が可能となる。
【0125】
以上述べてきた条件により、最適化された4×4行列の1例が、図8(a)である。特には、その列入れ替えを行った、数7で示す行列が最適な4×4行列として例示される。
【0126】
【数7】
Figure 0003681194
【0127】
この行列においては、基準パターン1に対してはまったくの同一のレベルをとり、基準パターン2に対しては、+2と−2との間で1回変動するだけのきわめて電圧変動の少ない列信号を生成する。この行列のもうひとつの特徴は、各行ベクトル内で符号の数が同等になっている点(上記の例では正が3、負が1)にある。これは、同時に選択される行電極の組(サブグループ)内の各ラインにおいて、位相だけが違う同一な選択波形が送られることを意味し、各ライン間に明暗のムラが発生することを根本的に抑制できる。
【0128】
これ以外の直交行列において、このように各行ベクトルのシーケンスが位相の差のみであるようなものはなく、何らかの補正によりライン間のムラの補正が必要であった。本発明では、同時選択行本数を4とし、各行ベクトルの要素の符号の個数の比を1:3(または3:1)とすることにより、各ラインが位相以外は完全に等価となる駆動が可能になる。その具体例が上記の数7の行列であり、その行入れ替え操作、列入れ替え操作、行または列の極性反転操作、これらの操作の組み合せによって、類似の適した行列を得ることができる。
【0129】
L=4であることのもうひとつの特徴は、ベタの表示パターンに関して、電圧の変動をまったくなくすことができることにある。上記の行列では、それぞれの列ベクトル中要素の符号の数が一致しているので、列信号電圧は4つの列ベクトルすべてに共通になる。このすべての列ベクトルに対して、列電圧の変動がないということは、ベクトルシーケンスとはまったく非同期に極性反転などの操作が可能であることを示す。他のディメンジョンの直交行列を用いた場合、直交行列の列ベクトルごとに列信号の電圧レベルが変動するために、送られる列ベクトルのシーケンスに同期してしか極性反転をかけることができない。このことから駆動を行う場合の柔軟性が著しく阻害され、駆動が複雑になり、したがって回路構成も複雑なものが要求されていた。
【0130】
数7に代表される行列を用いれば、非同期の極性反転が可能なため、簡単なカウンタ機能を回路が持つだけで極性反転が行え、かつ、極性反転の周期も非常に広い範囲で任意に選択できる。実際には、極性反転がすべてのサブグループで成立するための周期などの観点により、選択パルスの3以上50未満の奇数倍が望ましく、特には3以上40以下の奇数とされる。偶数が好ましくないのは、L=4が偶数であり、各サブグループに1フレーム4回の選択パルスが送られることと関係し、交流化駆動が損なわれる危険性が高いためである。特に望ましい反転周期として、5、7、9、11、13、23などが挙げられる。
【0131】
極性反転と選択ベクトルシーケンスに関して、MとLとが適切な関係を満たすことが重要である。たとえば、行ライン数Mが240、L=4では、240/4=60となり、サブグループは60個となる。この場合、極性反転周期を5パルスごとにすると、60/5=12となり固定の場所で反転が起こり、かつ交流化が成立しないことになる。したがって、240ラインを極性反転5パルスごとで駆動するには仮想のラインを加え、上記のような関係を崩すことが必要である。たとえば、サブグループ数を61(ライン数=244)として極性反転5パルスごとで行えばよい。
【0132】
必要な条件は、このように、サブグループ数Ns と極性反転周期(sパルスごと)とが、一方が他方の約数でないこと、であり、仮想ラインを加えるなどしてこの条件を達成することが必要である。もうひとつの必要条件はベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なること、であり、極性反転周期sは、4の倍数であってはならない。
【0133】
従来からこのような駆動方式の選択行列として知られている関数系であるアダマール関数、擬似ランダム関数と本発明の駆動方式(選択行列)とを対比して以下に説明しておく。
【0134】
アダマール関数を用いた選択行列(アダマール行列)では、(y)の最大変位が先述のように大きく、少しの波形の理想状態からのずれ(歪み)が大きな実効値変動を生じさせるため、表示ムラが生じやすい。このため、本発明の駆動方式に比べ、著しい表示品位の低下が見られる。
【0135】
一方、擬似ランダム関数においては、つの大きな問題は、選択行列の行ベクトル間の直交性(行ベクトル同士の内積が0)が成立していないことである。擬似ランダム行列の任意の行ベクトルをαi 、αj (i=1〜L,j=1〜L)とした場合、その内積の絶対値は、i=kでは1、i≠kでは1/Lとなる。
【0136】
すなわち、Lが非常に大きな場合にはほぼ直交関係が成り立つが、L=3、4、7、8などの部分ライン選択においてこのような行列を選択行列として用いると、その直交性の欠如による情報の混在が生じ、あらたなクロストーク発生原因となる。直交性がない場合は、画素のオン/オフ情報が混在することになり、オン画素同士、オフ画素同士の実効値が完全には一致しなくなるからである。
【0137】
擬似ランダム関数を選択行列として採用した場合のもうつの問題点は、サイクル長の問題である。擬似ランダム関数では、選択行列の行数Lに対し、(2L −1)の列が必要となる。たとえば、L=7に対しては、K=255となる。これは、先述のように、低周波成分による表示品位低下の主要因となる。
【0138】
このように、擬似ランダム関数は、Lが小さいときにはその行列の直交性の欠如により、Lが大きいときにはそのサイクル長の長さにより、本発明の駆動方式と比べ欠点が多い。特に、部分ライン同時選択法において、コントラストなどの特性と、駆動回路系の簡便性の観点から同時選択数は3≦L≦16とすることが好ましい。この場合、本発明の駆動方式はアダマール行列、擬似ランダム行列を選択行列として採用した場合に比べて、上記理由により優位であることは明確である。
【0139】
<本発明を実施するための回路構成の一例>
本発明における駆動法は、特開平6−27904号に記載されているような回路を基本として用いて実現できる。
【0140】
最初に一般的に採用できる回路の構成の一例について説明する。そのブロック図を図11に示す。これは、RGBそれぞれ16階調表示を行うための回路である。データ信号を、16階調の信号をMSBからLSBまで4ビットの信号としてデータ前処理回路1に入力する。データ前処理回路1は後段の列信号形成に適したフォーマットとタイミングで列信号発生回路2に入力されるデータ信号を出力するための回路である。列信号発生回路2には、データ前処理回路2から出力されるデータ信号と直交関数発生回路5から出力される直交関数信号とが入力される。
【0141】
列信号発生回路2は両信号を用いて所定の演算を行い列信号を形成した後、列ドライバ3に出力する。列ドライバ3は所定の基準電圧を用いて、入力される列信号から液晶パネル6の列電極に印加する列電極電圧を形成して液晶パネル6に出力する。一方、液晶パネル6の行電極には、直交関数発生回路5から出力される直交関数信号を行ドライバ4で変換した行電極電圧が印加される。これらの回路は、必要に応じてタイミング回路等を備え、所定のタイミングにコントロールされて動作する。
【0142】
本発明で用いられている直交関数は、直交関数発生回路5が発生する。直交関数発生回路5は、直交関数信号発生のたびに演算を行い信号形成することもできる。しかし、あらかじめ、使用する直交関数信号をROMに保存しておき、それを適当なタイミングで読み出すほうが簡便性の点で好ましい。すなわち、液晶パネル6への電圧印加タイミングを規定するパルスを計数し、計数値をアドレス信号としてROM内の直交関数信号を順次読み出すようにする。
【0143】
データ前処理回路1は、具体的には、図12のような構成である。信号処理は、階調情報を持った4ビットの画像データをR、G、B3ビットずつ4組に分けて行う。すなわち、MSB(23 )、2ndMSB(22 )、3rdMSB(21 )、LSB(20 )の4組に信号を分けて、並列処理を行う。
【0144】
入力された3ビットのデータは5段直並列変換器11で15ビットのデータに変換してメモリ12に送られる。具体的には、5段シフトレジスタの入力端子にシリアルなデータを入力しその5個の各タップ出力をメモリ12に入力する。
【0145】
メモリ12としてはデータ幅16ビットのVRAMを用いた。メモリ12への書き込みは直接アクセスモードを用いて以下のように行う。すなわち、同じ列電極に対応した行電極上のデータは、同時選択される7本の行電極について隣り合う7個のアドレスに格納する。このようにすることにより、後段のメモリからの読み出しが高速に行えるとともに、演算が容易になる。
【0146】
メモリ12からの読み出しは高速な順次アクセスモードで液晶表示装置の駆動タイミングに応じて行い、4組の15ビットデータをデータフォーマット変換回路16へ送る。仮想データを近傍の行電極上のデータと一致させる場合には、この際の読み出しを、仮想行に対応する位置で複数回重複して読み出せばよい。
【0147】
データフォーマット変換回路16は、各階調ごとに15ビット幅で並列に送られたデータをRGBごとの20ビット幅の並列信号に整理し直す回路であり、通常は、回路基板上で適宜の配線を行うことにより足りる。
【0148】
データフォーマット変換回路16でRGB3組の20ビットデータに変換されたのち、データは階調決定回路15へ送られる。階調決定回路15では1ドット当り4ビットの階調データをオン/オフ1ビットのデータに変換してサブ画面の映像信号とし、サブ画面をたとえば15サイクルかけて階調表示を実現するフレーム変調用回路である。
【0149】
具体的には、20ビット幅のデータを所定のタイミングで5ビット幅データに分配するデマルチプレクサを用いた。どのビットがどのサブ画面に対応するかは、フレームカウンタによる計数によって決められる。このようにして5ドット分の階調データに相当する20ビットのデータを5ビットの階調のないシリアルデータに変換して縦横変換回路13に出力する。
【0150】
縦横変換回路13は5ピクセルの表示データを7回転送して蓄えておき、これを7ピクセルのデータとして5回に分けて読み出す回路である。2組の5×7ビットレジスタで構成されている。縦横変換回路13からデータ信号は列信号発生回路2に送られる。
【0151】
列信号発生回路2は、図13に示した構成である。7ビットのデータ信号を排他的論理和ゲート23、23、・・・に入力する。排他的論理和ゲート23にはそれぞれ直交関数発生回路5からの信号も入力される。排他的論理和ゲート23の出力は加算器21で同時選択される行電極について加算される。
【0152】
また、列ドライバ3は、図14のような構成になっている。シフトレジスタ31、ラッチ32、デコーダー33、および電圧分割器34からなっている。電圧レベル選別器33としてはデマルチプレクサを用い、1行分のデータをシフトレジスタ31に送り込んだ段階で表示データの列電圧への変換を行う。
【0153】
さらに、行ドライバ4は、図15のような構成になっている。駆動パターンレジスタ41、選択信号レジスタ42、およびデコーダー43からなる。選択信号レジスタ42の内容によって同時選択行が決められ、駆動パターンレジスタ41の内容によって選択された各行にどちらの極性の選択信号を出力するかが決められる。非選択行は0Vが出力される。
【0154】
図11〜図15は回路の一例として示したものであり、本発明の本質を損しないかぎり、さまざまな回路を採用できる。
【0155】
【実施例】
[例1〜例5]
図11〜図15に示した回路を用いて、液晶パネルを以下の要領で駆動した。液晶パネルは9.4インチのVGAモジュール(画素数480×240×3(RGB))で背面バックライトを備える。液晶パネルの応答時間は立ち上がりと立ち下がりとの平均で60msである。7本の行を同時選択するとともに、サブグループごとの選択で、選択行列の列を1つ進める方式(方式1)で駆動した。2画面駆動(上下分割)を行ったので、サブグループの数は35となった。バイアスはコントラスト比がほぼ最大となるように調整し、表示のコントラスト比は30:1、最大輝度は100cd/m2 となった。
【0156】
クロストーク量の評価は以下のように行った。上画面内に図3のようなパターンを作った場合とパターンを作らない場合とで、領域B内の電圧輝度特性を測定した。パターンはベタのオフパターン1行ごとの白黒パターンの2種類使用した。クロストーク量の定義は次のとおりである。
【0157】
|T1 −T2 |/T1 ×100(%)
ここでT1 :パターンなし(全オン)での輝度
2 :オンの背景の中にパターンがある場合の輝度
ただし、輝度はコントラストが最大となる電圧で測定した。
【0158】
結果を表3に示す。例1〜4においては、いずれも著しくクロストークが低減され、ウインドウズの画面表示でもほとんど気にならないレベルであった。
【0159】
【表3】
Figure 0003681194
【0160】
[例6]
図11〜図15に示した回路を用いて、例1で用いたのと同様の液晶パネルを以下の要領で駆動した。7本の行を同時選択するとともに、サブグループごとの選択で、選択行列の列を1つ進める方式(方式1)で駆動した。2画面駆動(上下分割)を行ったので、サブグループの数は35となった。バイアスはコントラスト比がほぼ最大となるように調整し、階調方式は空間変調フレームレートコントロールで行った。表示のコントラスト比は30:1、最大輝度は100cd/m2 となった。
【0161】
選択行列としては、図19に示した行列を用いた。
【0162】
実施例においては、いずれも著しくクロストークが低減され、画面表示でビデオ表示をウィンドウ内表示した場合においても、ほとんど気にならないレベルであった。
【0163】
[例7]
選択行列として図21に示した行列を用い、例6と同様に表示を行った。通常のウィンドウ画面ではクロストークはほとんど見られなかったが、ビデオ画像の動画表示を行ったところクロストークが発生し表示品位の低下が顕著であった。
【0164】
この選択行列においては、基準パターン1に関しては、最大変位は2であったが、基準パターン2においては最大変位は8であり、その合計は10であり、条件A、Bともに満たさないものであった。
【0165】
【発明の効果】
本発明のように、複数ライン同時選択駆動法において、列電極電圧シーケンスがΔyi に関する特定の条件を満たすことにより、列電圧の変動を実質的に抑え、波形歪みに起因するクロストークを大幅に抑制できる。
【0166】
この場合において、特に、1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を反転することによって、液晶に印加される直流成分の除去が容易になるばかりでなく、駆動波形の中心となる周波数領域をコントロールし、周波数成分が低くなりすぎることによって生じる表示ムラや、フリッカを抑制できる。
【0167】
また、一般的に、|yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)なる条件を満足させることによって、極性反転にともなう波形歪みによる実効値変動を抑制できるので、クロストークの抑制にはさらに効果的である。特に、この条件とΔyi に関する前記の条件との両方を満足させることにより、従来の線順次駆動法におけるクロストークレベルよりもさらに低いクロストークレベルをも実現しうる。
【0168】
さらに以上の場合において、つの行電極選択パルス印加を1ステップとし、すべての極性反転が、(x)=(1,1,1,・・・,1)に対して、|y|が等しいステップの直後に実施され、極性反転が周期的であるようにすることにより、極性反転が少なくなるようなタイミングでの極性反転が可能になり、結果としてクロストークの抑制に効果がある。
【0169】
また、(x)=(1,1,・・・,1)に対する列電極電圧シーケンス(y1 ,y2 ,・・・,yN )において、特定の行電極における1表示サイクル内での選択パルスの数をKとして、つの行電極選択パルス印加を1ステップとして負から正へ変化する点から次の負から正に変化する点までの間隔が実質的にKステップとなるようにすることにより、1表示サイクル内において残存する直流成分が小さくなるため、液晶のVthムラなどの低周波成分に起因するムラを抑制できる。特に、この場合において、1表示サイクルでの直流成分を完全に除くようにすれば、前記の低周波成分に起因するムラや複数の周波数成分の干渉によるムラを抑制する効果が大きい。
【0170】
さらに、各行電極における列電極電圧シーケンスベクトルの周波数が同時選択される行内で実質的に等しくなるようにすることにより、行電極間の表示ムラを抑制できる。
【0171】
また、行電極パルスシーケンス行列SにおけるMおよびNの関係がN≦4Mとなるようにすれば、低周波成分に起因するムラを安定に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の駆動方法における全オン表示のときの列電圧波形を示した波形図。
【図2】従来の駆動方法における全オン表示のときの列電圧波形を示した波形図。
【図3】クロストークを説明するための概念図。
【図4】(a)〜(c)はMLS法での電圧印加方法を説明する概念図および波形図。
【図5】(a)〜(c)はアダマール行列を示す説明図。
【図6】アダマール行列を示す説明図。
【図7】本発明で使用する選択行列の一例を示す説明図。
【図8】(a)〜(c)は本発明で使用する選択行列の他の例を示す説明図。
【図9】本発明で使用する選択行列の他の例を示す説明図。
【図10】本発明で使用する選択行列の他の例を示す説明図。
【図11】本発明を実施するための回路の構成の一例を示すブロック図。
【図12】データ前処理回路1を示すブロック図。
【図13】列信号発生回路2を示すブロック図。
【図14】列ドライバ3を示すブロック図。
【図15】行ドライバ4を示すブロック図。
【図16】(a)、(b)は、本発明の駆動方法における全オン表示、オン/オフ表示のときの列電圧波形を示した波形図。
【図17】(a)、(b)は、従来の駆動方法における全オン表示、オン/オフ表示のときの列電圧波形を示した波形図。
【図18】(a)〜(c)はアダマール行列を示す説明図。
【図19】本発明で使用する選択行列の例を示す説明図。
【図20】(a)、(b)は本発明で使用する選択行列の他の例を示す説明図。
【図21】選択行列の一例を示す説明図。
【符号の説明】
1:データ前処理回路
2:列信号発生回路
3:列ドライバ
4:行ドライバ
5:直交関数発生回路
6:液晶パネル

Claims (10)

  1. 複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列(S)(要素は1、−1、または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
    特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
    (y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
    であり、
    Δyi =|yi −yi-1 | (ここでi=2〜N)
    とすると、
    (x)=(1,1,・・・,1)に対するΔyi の最大値ΔyMAX1と(1,−1,1,−1,・・・)に対するΔyi の最大値ΔyMAX2との和Qが、実質的にQ<1.4・Lとなり、
    1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転し、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なること、を特徴とする画像表示装置の駆動法。
  2. (x)=(1,1,・・・,1)および(x)=(1,−1,1,−1,・・・)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 、yj が、同時選択行の本数Lに対して、実質的に、
    |yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)となることを特徴とする請求項1に記載の画像表示装置の駆動法。
  3. つの行電極選択パルス印加を1ステップとし、すべての極性反転が、(x)=(1,1,1,・・・,1)に対して、|y|が等しいステップの直後に実施され、極性反転が周期的であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像表示装置の駆動法。
  4. (x)=(1,1,・・・,1)および(x)=(1,−1,1,−1,・・・)に対する列電極電圧シーケンス(y1 ,y2 ,・・・,yN )において、特定の行電極における1表示サイクル内での選択パルスの数をKとして、つの行電極選択パルス印加を1ステップとして負から正へ変化する点から次の負から正に変化する点までの間隔が実質的にKステップとなっていることを特徴とする請求項1、2または3に記載の画像表示装置の駆動法。
  5. 複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列S(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
    1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転するとともに、
    特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
    (y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
    であり、
    (x)=(1,1,・・・,1)ならびに(1,−1,1,−1,・・・)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 とyj とが、同時選択行の本数Lに対して、
    |yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
    となり、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なることを特徴とする画像表示装置の駆動法。
  6. 複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧5)一括して選択し、M行N列の直交行列(S)(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
    特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
    (y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
    であり、
    Δyi =|yi −yi-1
    (i=2〜N)
    とすると、
    (x)=(1,1,・・・,1)に対し、実質的にΔyi <0.7・Lとなり、1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転し、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なること、を特徴とする画像表示装置の駆動法。
  7. (x)=(1,1,・・・,1)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 、yj が、同時選択行の本数Lに対して、実質的に、
    |yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
    となることを特徴とする請求項6に記載の画像表示装置の駆動法。
  8. 複数(M本)の行電極と複数の列電極とを有する画像表示装置の行電極をL本(L≧3)一括して選択し、M行N列の直交行列S(要素は1,−1,または0)の列ベクトルを時系列で展開した信号に基づく電圧を行電極に印加する画像表示装置の駆動法であって、
    1表示サイクルが完結する前に、行信号および列信号を極性反転するとともに、
    特定の列電極上の同時選択される行電極に対応する表示パターン(オフが1、オンが−1)を要素とする列電極表示パターンベクトル(x)=(x1 ,x2 ,・・・,xM )と、N個の電圧パルスからなる1表示サイクル内で時系列で並べられた前記列電極に対する電圧レベルを要素とする列電極電圧シーケンスベクトル(y)=(y1 ,y2 ,・・・,yN )と、の関係が、
    (y1 ,y2 ,・・・,yN )=(x1 ,x2 ,・・・,xM )(S)
    であり、
    (x)=(1,1,・・・,1)に対し、極性反転の前後の列電極電圧yj-1 とyj とが、同時選択行の本数Lに対して、
    |yj-1 |≦0.5・L かつ |yj |≦0.5・L (j−1、jはそれぞれ極性反転の直前、直後を示す添え字)
    となり、極性反転をsパルスごとに行うとすると、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期sとが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なることを特徴とする画像表示装置の駆動法。
  9. 4本の行電極を一括して選択して駆動する液晶表示装置の駆動法において、同時に印加される各行電極に印加される電圧パルス列は2種類の電圧パルス極性を備え、1の電圧パルス極性を1とし、他の電圧パルス極性を−1とすると、
    Figure 0003681194
    の行入れ替え操作、列入れ替え操作、行または列の極性反転操作、およびこれらの操作の組み合わせによって得られる行列で表され、同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期(sパルスごと)とが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なり、極性反転周期sが、4の倍数ではないことを特徴とする液晶表示装置の駆動法。
  10. 7本の行電極を一括して選択して駆動する液晶表示装置の駆動法において、同時に印加される各行電極に印加される電圧パルス列は2種類の電圧パルス極性を備え、1の電圧パルス極性を1とし、他の電圧パルス極性を−1とすると、
    Figure 0003681194
    の行入れ替え操作、列入れ替え操作、行または列の極性反転操作、およびこれらの操作の組み合わせによって得られる行列で表され
    同時選択される行電極のサブグループ数N s と極性反転周期(sパルスごと)とが、一方が他方の約数ではないこと、かつ、ベクトルシーケンスと極性反転の周期が異なり、極性反転周期sが、7の倍数ではないことを特徴とする液晶表示装置の駆動法。
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