JP3591394B2 - ボックスのロック機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、箱体の側面に配設された係合部材により蓋体を係止するとともに、係合部材を押圧操作することにより蓋体の係止状態を解除するボックスのロック機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、分電盤に用いられる分電箱のように前面が開口する箱体と箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体とから成り、内部に電気機器等が収納されるボックスにおいては、蓋体が不用意に開かないように箱体と蓋体をロックするロック機構が設けられている。このようなロック機構の従来例として、実開平1−61806号公報に記載されているものがある。
【0003】
上記公報に記載されているロック機構は、側面に切欠孔を有し前面が開口した箱体及び箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体から成る分電箱たるボックスに対して、基端部が箱体に一体形成され他端部が揺動自在且つ係止離脱自在に蓋体に係合する係合部材を設け、係合部材に一体形成された操作部を切欠孔を通して箱体の外部へ臨ませ、操作部をボックスの内方へ押圧操作することにより係合部材を揺動させて他端部と蓋体との係合(ロック状態)を解除させるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例のロック機構にあっては、操作部が不用意に押圧操作されると係合部材のロック状態が解除されて蓋体が簡単に開いてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は上記問題点の解決を目的とするものであり、簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができるボックスのロック機構を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、側面に切欠孔を有し前面が開口した箱体、該箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体から成るボックスと、前記箱体に取着される固定部、前記蓋体に係合する係合部並びに前記固定部と係合部との間に位置して前記切欠孔内に臨ませた操作部を有する係合部材とを備え、前記操作部を内方に押圧操作することにより前記係合部と前記蓋体との係合を解除させるボックスのロック機構において、前記ボックス内側に係合して操作部の押圧操作を阻止する施錠位置と前記ボックス内側との係合を解除して操作部の押圧操作を可能とする解除位置との間で移動自在な施錠部と、一端側に矩形平板状の把手を有し他端側で前記施錠部と連結されるとともに前記操作部をその押圧方向に貫通するように設けられた矩形の収納部内に収納され且つ前記箱体の前後方向に沿って移動自在としたスライド部とを有する施錠部材を前記係合部材に配設し、前記スライド部が前記箱体の前方へ移動したときに前記施錠部が解除位置から施錠位置に移動するとともに前記スライド部が前記箱体の後方へ移動したときに前記施錠部が施錠位置から解除位置に移動して成り、前記収納部内における前記把手の位置によって前記施錠部の施錠位置と解除位置を表示し、前記収納部に収納した状態で前記操作部の外面から突出しない長さ寸法に前記把手を形成するとともに、前記把手の切欠孔に臨む部位に爪先や工具の先端が差し込まれる操作溝を形成したことを特徴とし、スライド部を操作して施錠部を施錠位置に移動させれば施錠部がボックス内側に係合して操作部の押圧操作が阻止されるから、操作部が不用意に押されても係合部材のロック状態が解除されることがなく、施錠部とスライド部を有する施錠部材を係合部材に配設するだけの簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができる。また、スライド部が箱体の前方へ移動したときに施錠部が解除位置から施錠位置に移動するとともにスライド部が箱体の後方へ移動したときに施錠部が施錠位置から解除位置に移動して成り、収納部内における把手の位置によって施錠部の施錠位置と解除位置を表示しているから、収納部内における把手の位置に合わせてスライド部を操作すれば施錠部を施錠位置及び解除位置に容易に移動させることができて操作性の向上が図れる。さらに、収納部内における把手の位置を確認することで施錠部が施錠位置に在るか解除位置に在るかを容易に判別することができる。しかも、爪先やドライバの先端等を操作溝に挿入して把手を操作することができるために把手の操作性が向上できる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記施錠部を前記蓋体に係合させて成ることを特徴とし、請求項1の発明の作用に加えて、施錠部を蓋体に係合した施錠状態において操作部が無理に押圧操作された場合に最も変形し易い係合部材の係合部の変形を少なくすることができ、その結果、施錠状態で操作部が無理に押圧操作されたときに係合部と蓋体との係合が外れ難くなり、施錠状態で操作部が無理に押圧操作されても蓋体を開き難くすることができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記係合部に貫通して前記施錠部を施錠位置と解除位置との間に移動させて成ることを特徴とし、請求項2の発明の作用に加えて、施錠部を蓋体に係合したロック状態において操作部が無理に押圧操作されても施錠部に係合部が当接するために係合部と蓋体との係合が外れ難くなり、その結果、ロック状態で操作部が無理に押圧操作されても蓋体をさらに開き難くすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の実施形態1を図1〜図4を参照して詳細に説明する。本実施形態におけるボックス1は、例えば分電盤の分電箱であって、側面に切欠孔2bを有し前面が開口した箱体2と、箱体2の前面開口2aを開閉自在に塞ぐ蓋体3とから成り、内部には図示しない内器(主幹ブレーカや分岐ブレーカなど)が収納される。但し、ボックス1を分電箱に限定する趣旨ではなく、箱体と蓋体から成る種々のボックスについて本発明の技術思想が適用可能である。
【0013】
図1に示すようにボックス1の内部には係合部材10が取りつけられる。この係合部材10は、図2に示すように可撓性を有する合成樹脂により短冊形に形成された主片11と、主片11の長手方向に沿った一端部より前方へ突出し且つ主片11の長手方向に沿って延出された延出片12と、延出片12の主片11側の端部略中央より前方へ突設された第1支持片13と、第1の支持片13との間に所定の間隔を空けて主片11の略中央より前方へ突設された第2の支持片14と、第1及び第2の支持片13,14の先端に一体に形成されて支持された略矩形平板状の操作部15とを備えている。
【0014】
主片11の前面(操作部15側の面、以下同じ)における長手方向に沿った他端部略中央には、図2における下方から上方に向けて前方へ傾斜する傾斜面を有して前方へ突出する固定爪11aが設けてある。また、主片11の背面(操作部15と反対側の面、以下同じ)における中央近傍には、後方へ突出する固定リブ11bが設けてある。而して、本実施形態においては、後述するように固定爪11aと固定リブ11bにより係合部材10が箱体2に固定されるものであり、固定爪11a及び固定リブ11bにて固定部が構成される。また、延出片12の長手方向に沿った先端部には図2における上方から下方に向けて前方へ傾斜する傾斜面を有して前方へ突出する係合部12aが設けてあり、後述するように係合部12aを蓋体3の被係合部3bに係止離脱自在に係合することで箱体2と蓋体3がロックされるようになっている。
【0015】
操作部15は、一辺(図2における上辺)を除く残り三辺の端縁から側方へ突出する突片15aと、略中央部に設けられて前後方向に貫通する矩形の収納部15bとを備えている。なお、操作部15の上辺と第1の支持片13の上面、収納部15bの内側上面と第1の支持片13の下面、並びに収納部15bの内側下面と第2の支持片14の上面をそれぞれ面一としてある。また、操作部15を支持する第1及び第2の支持片13,14は互いに同じ幅寸法に形成され、第1の支持片13の操作部15近傍には幅方向に渡って上面に開口する溝13aが形成されている。
【0016】
一方、係合部材10には、施錠部21とスライド部22とから成る施錠部材20が取着される。施錠部21は可撓性を有する合成樹脂製であって、一対の脚片21aと、第1の支持片13に形成された溝13aに進退自在に進入し、一対の脚片21a同士を基端部で連結するとともに蓋体3の係合溝3c(後述する)に係止離脱自在に係合する係合片21bとを有した略コ字形に形成され、一対の脚片21aの間隔が第1及び第2の支持片13,14の幅寸法よりも僅かに大きい寸法に設定されている。ここで、各脚片21aは、前後方向に貫通する取付孔21cが略中央部に設けられるとともに、先端部からは内側面に沿って係合片21bに近付く向きに固定片21dが延設されている。なお、固定片21dの先端には、後述するように第2の支持片14の側端縁に係止離脱自在に係止して施錠部21を施錠位置と解除位置とに固定する固定爪21eが内向きに突設されている。
【0017】
スライド部22は可撓性を有する合成樹脂製であって、矩形平板状の把手22aと、把手22aの背面略中央より後方へ突設された当接片22bと、把手22aの背面両端部より当接片22bを挟んで後方へ突設された一対の取付片22cとを備え、取付片22cの先端部外側面には把手22aの方に向けて側方へ傾斜する傾斜面を有して側方へ突出する取付爪22dが突設されている。なお、把手22aの前面には矩形の操作溝22eが設けてある。
【0018】
而して、スライド部22を操作部15の収納部15b内に収納し、一対の脚片22aの間に第1及び第2の支持片13,14を挟むように施錠部21を主片11と操作部15との間に配置し、施錠部21の取付孔21cにスライド部22の取付片22cを挿入して、取付片22cの先端部に突設された取付爪22dを取付孔21cの周縁に係止させることにより、施錠部21とスライド部22から成る施錠部材20が主片11の長手方向(図2における上下方向)に沿ってスライド移動自在に係合部材10に取着される。
【0019】
一方、箱体2の内部には、図1に示すように開口2aに向けて外側へ傾斜する傾斜面を有し係合部材10の固定爪11aが係止固定される係止突部2c、並びに係合部材10の固定リブ11bが当接する突部2dが設けてある。また、蓋体3の切欠孔2b近傍の端縁には外方へ突出する断面形状略鉤形の鍔部3aが設けられるとともに、この鍔部3aに対向して内方へ突出する断面形状略鍵形の被係合部3bが設けられ、互いに対向する鍔部3aと被係合部3bの間に施錠部21の係合片21bが係止離脱自在に係合する係合溝3cが形成されている。
【0020】
而して、本実施形態の係合部材10は以下のようにして箱体2に取着される。すなわち、主片11の端部に設けた固定爪11aの傾斜面を箱体2に設けた係止突部2cの傾斜面に当接させて係合部材10を箱体2の開口2aから底面に向けて差し込めば、固定爪11aが係止突部2cに押されて主片11が撓み、やがて固定爪11aが係止突部2cを乗り越えると主片11が元の状態に復元して固定爪11aと係止突部2cとが係止される(図1参照)。このとき、係合部材10の固定リブ11bが箱体2の突部2dに当接するため、係合部材10がそれ以上箱体2の底面側に押し込まれることが無く、係合部材10が固定爪11aと固定リブ11bから成る固定部にて箱体2に固定されて取着される。ここで、係合部材10を箱体2に取着した状態では、操作部15が箱体2の側面に設けられた切欠孔2b内に内側から臨み、切欠孔2bを通して操作部15を内方へ押圧操作可能としてある。なお、切欠孔2bの下側内周面の外寄りの部位には、操作部15の突片15aに当接して操作部15が切欠孔2bから箱体2の外に突出しないように規制する規制片2eが設けてある。また、箱体2に係合部材10を取着した後に上述の手順で施錠部材20が係合部材10に取り付けられる。
【0021】
次に本実施形態のロック機構の動作を図1,図3及び図4を参照して説明する。
【0022】
図1には、係合部材10の延出片12に設けられた係合部12aが蓋体3の被係合部3bに係合して蓋体3がロックされるとともに、スライド部22が操作部15の収納部15b内で箱体2の開口2aに近付く向き(図1における上方)に移動させられて施錠部21の係合片21bが蓋体3の係合溝3cに係合して係合部材10が施錠されている状態を示している。このように係合片21bが係合溝3cに係合して係合部材10を施錠する施錠部材20の位置を施錠位置と呼ぶ。ここで、施錠部21の固定片21dに設けられた固定爪21eが第2の支持片14の側端縁に係止し、施錠部21及びスライド部22(施錠部材20)を上記施錠位置に保持することができる。また、操作部15の収納部15bを通してスライド部22の把手22aが視認可能であり、図1においては把手22aが収納部15bの上方に位置していることで施錠部材20が施錠位置に在ること、すなわち係合部材10が施錠されていることが表示できる。
【0023】
上記施錠状態からスライド部22の把手22aを持って、又は把手22aの操作溝22eに爪先やマイナスドライバの先端を差し込んでスライド部22を箱体2の開口2aから離れる向き(図1における下向き)に押操作すると、施錠部21の固定片21dが外向きに撓んで固定爪21eと第2の支持片14との係止が外れ、スライド部22が操作部15の収納部15b内で下方に移動する。そして、把手22aが収納部15bの下面に略当接する位置まで移動させれば、施錠部21の係合片21bが蓋体3の嵌合溝3cから退出して係合部材10の第1の支持片13に形成された溝13aに進入し、図3に示すように施錠部21によって蓋体3が施錠されない状態となる。このように係合片21bが係合溝3cに係合しない施錠部材20の位置を解除位置と呼ぶ。ここで、施錠部21の固定片21dに設けられた固定爪21eとスライド部22の当接片22bとで第2の支持片14を挟持し、施錠部21及びスライド部22(施錠部材20)を上記解除位置に保持することができる。また、図3においては把手22aが収納部15bの下方に位置していることで施錠部材20が解除位置に在ること、すなわち係合部材10が施錠されていないことが表示できる。
【0024】
そして、施錠部材20が解除位置に在るときには、図4に示すように切欠孔2bを通して操作部15を内方へ押圧操作して係合部材10の主片11を撓ませることによって、延出片12に設けた係合部12aと蓋体3の被係合部3bとの係合状態(ロック状態)を解除することができる。また、操作部15の押圧操作を止めれば、可撓性を有する主片11が元の状態に復帰し、蓋体3が閉められていれば係合部12aが被係合部3bに係合してロック状態となる(図1参照)。
【0025】
上述のように本実施形態では、スライド部22を操作して施錠部21を施錠位置に移動させれば施錠部21がボックス1内側に係合して操作部15の押圧操作が阻止されるから、操作部15が不用意に押されても係合部材10のロック状態が解除されることがなく、施錠部21とスライド部22から成る施錠部材20を係合部材10に取り付けるだけの簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができる。また、施錠部21の施錠位置と解除位置に各々対応する位置を表示する表示手段たる把手22aをスライド部22に設けてあるから、表示手段の表示(操作部15の収納部15b内における把手22aの位置)通りにスライド部22を操作すれば施錠部21を施錠位置及び解除位置に容易に移動させることができて操作性の向上が図れ、さらに、把手22aの位置を確認することで施錠部21が施錠位置に在るか解除位置に在るかを容易に判別することができる。しかも、表示手段をスライド部22に設けた把手22aとしたことにより、把手22aを持ってスライド部22を容易に操作することができるとともに、把手22aの位置から施錠位置及び解除位置を容易に表示することができるという利点がある。
【0026】
また、収納部15bに収納した状態で操作部15の外面から突出しない長さ寸法に把手22aを形成しているので、スライド部22に設けた把手22aが操作部15の外面から突出しないために把手22aの誤操作が防止しやすくなるという利点がある。さらに、把手22aの切欠孔2bに臨む前面に操作溝22eを形成したので、爪先やマイナスドライバの先端等を操作溝22eに挿入して把手22aを操作することができるために把手22aの操作性が向上できるという利点がある。しかも、本実施形態では施錠部21を蓋体3(実際には蓋体3に設けた係合溝3c)に係合させているので、施錠部21を蓋体3に係合した施錠状態において操作部15が無理に押圧操作された場合に最も変形し易い係合部材10の係合部12aの変形を少なくすることができ、その結果、施錠状態で操作部15が無理に押圧操作されたときに係合部12aと蓋体3との係合が外れ難くなり、施錠状態で操作部15が無理に押圧操作されても蓋体3を開き難くすることができるという利点がある。
【0027】
(実施形態2)
本発明の実施形態2を図5〜図8を参照して詳細に説明する。但し、本実施形態の基本構成は実施形態1と共通するので、共通する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0028】
本実施形態の係合部材10では、図5に示すように延出片12及び係合部12aに長手方向に沿った貫通溝12bが形成されるとともに、第1及び第2の支持片13,14には貫通溝12bと連通する貫通孔13b,14bがそれぞれ形成されている。ここで、第1及び第2の支持片13,14の幅寸法は実施形態1の場合よりも広く、操作部15の収納部15bの幅寸法よりも若干大きくしてある。
【0029】
一方、本実施形態においても、施錠部31とスライド部32とから成る施錠部材30が係合部材10に取着される。施錠部材31は合成樹脂製であって、図5に示すように係合部材10の貫通溝12b及び貫通孔13b,14bに挿通されてスライド部32が取り付けられる取付片31aと、蓋体3の係合溝3c’(後述する)に係止離脱自在に係合する係合片31bとを有した略T字形に形成されている。取付片31aには、前後方向に貫通する嵌合孔31cが略中央部に設けられるとともに、同じく前後方向に貫通する一対の取付孔31dが嵌合孔31cの両側に設けられている。
【0030】
スライド部32は可撓性を有する合成樹脂製であって、矩形平板状の把手32aと、把手32aの背面略中央より後方へ突設された嵌合突片32bと、嵌合突片32bを挟んで後方へ突設された一対の取付片32cとを備え、取付片32cの先端部外側面には把手32aの方に向けて側方へ傾斜する傾斜面を有して側方へ突出する取付爪32dが突設されている。なお、把手32aの前面には矩形の操作溝32eが設けてある。
【0031】
而して、スライド部32を操作部15の収納部15b内に収納し、係合部材10の貫通溝12b及び貫通孔13b,14bに施錠部31を挿通し、施錠部31の嵌合孔31cにスライド部32の嵌合突片32bを嵌合するとともに、取付孔31cにスライド部32の取付片32cを挿入して、取付片32cの先端部に突設された取付爪32dを取付孔31cの周縁に係止させることにより、施錠部31とスライド部32から成る施錠部材30が主片11の長手方向(図5における上下方向)に沿って係合部12aを貫通するようにスライド移動自在に係合部材10に取着される。
【0032】
一方本実施形態においては、図6に示すように蓋体3の内底面からリブ3dが突設されており、互いに対向するリブ3dと蓋体3の側壁の間に施錠部31の係合片31bが係止離脱自在に係合する係合溝3c’が形成されている。
【0033】
而して、本実施形態の係合部材10も実施形態1と同様にして箱体2に取着され、さらに箱体2に係合部材10を取着した後に上述の手順で施錠部材30が係合部材10に取着される。
【0034】
次に本実施形態のロック機構の動作を図6〜図8を参照して説明する。
【0035】
図6には、係合部材10の延出片12に設けられた係合部12aが蓋体3の被係合部3bに係合して蓋体3がロックされるとともに、スライド部32が操作部15の収納部15b内で箱体2の開口2aに近付く向き(図6における上方)に移動させられて施錠部31の係合片31bが蓋体3の係合溝3c’に係合して係合部材10が施錠されている状態を示している。このように係合片31bが係合溝3c’に係合して係合部材10を施錠する施錠部材30の位置を施錠位置と呼ぶ。また、操作部15の収納部15bを通してスライド部32の把手32aが視認可能であり、図6においては把手32aが収納部15bの上方に位置していることで施錠部材30が施錠位置に在ること、すなわち係合部材10が施錠されていることが表示できる。
【0036】
上記施錠状態からスライド部32の把手32aを持って、又は把手32aの操作溝32eに爪先やマイナスドライバの先端を差し込んでスライド部32を箱体2の開口2aから離れる向き(図6における下向き)に押操作すると、スライド部32が操作部15の収納部15b内で下方に移動する。そして、把手32aが収納部15bの下面に略当接する位置まで移動させれば、施錠部31の係合片31bが蓋体3の嵌合溝3c’から退出し、図7に示すように施錠部31によって蓋体3が施錠されない状態となる。このように係合片31bが係合溝3c’に係合しない施錠部材30の位置を解除位置と呼ぶ。また、図7においては把手32aが収納部15bの下方に位置していることで施錠部材30が解除位置に在ること、すなわち係合部材10が施錠されていないことが表示できる。
【0037】
そして、施錠部材30が解除位置に在るときには、図8に示すように切欠孔2bを通して操作部15を内方へ押圧操作して係合部材10の主片11を撓ませることによって、延出片12に設けた係合部12aと蓋体3の被係合部3bとの係合状態(ロック状態)を解除することができる。また、操作部15の押圧操作を止めれば、可撓性を有する主片11が元の状態に復帰し、蓋体3が閉められていれば係合部12aが被係合部3bに係合してロック状態となる(図6参照)。
【0038】
本実施形態では、延出片12及び係合部12aに設けた貫通溝12b並びに第1及び第2の支持片13,14にそれぞれ設けられた貫通孔13b,14bを貫通して施錠部31を施錠位置と解除位置との間に移動させるようにしたので、施錠部32を蓋体3に係合したロック状態において操作部15が無理に押圧操作されても施錠部31に係合部12aが当接するために係合部12aと蓋体3との係合が外れ難くなる。その結果、ロック状態で操作部15が無理に押圧操作されても、実施形態1に比較して蓋体3をさらに開き難くすることができるという利点がある。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明は、側面に切欠孔を有し前面が開口した箱体、該箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体から成るボックスと、前記箱体に取着される固定部、前記蓋体に係合する係合部並びに前記固定部と係合部との間に位置して前記切欠孔内に臨ませた操作部を有する係合部材とを備え、前記操作部を内方に押圧操作することにより前記係合部と前記蓋体との係合を解除させるボックスのロック機構において、前記ボックス内側に係合して操作部の押圧操作を阻止する施錠位置と前記ボックス内側との係合を解除して操作部の押圧操作を可能とする解除位置との間で移動自在な施錠部と、一端側に矩形平板状の把手を有し他端側で前記施錠部と連結されるとともに前記操作部をその押圧方向に貫通するように設けられた矩形の収納部内に収納され且つ前記箱体の前後方向に沿って移動自在としたスライド部とを有する施錠部材を前記係合部材に配設し、前記スライド部が前記箱体の前方へ移動したときに前記施錠部が解除位置から施錠位置に移動するとともに前記スライド部が前記箱体の後方へ移動したときに前記施錠部が施錠位置から解除位置に移動して成り、前記収納部内における前記把手の位置によって前記施錠部の施錠位置と解除位置を表示し、前記収納部に収納した状態で前記操作部の外面から突出しない長さ寸法に前記把手を形成するとともに、前記把手の切欠孔に臨む部位に爪先や工具の先端が差し込まれる操作溝を形成したので、スライド部を操作して施錠部を施錠位置に移動させれば施錠部がボックス内側に係合して操作部の押圧操作が阻止されるから、操作部が不用意に押されても係合部材のロック状態が解除されることがなく、施錠部とスライド部を有する施錠部材を係合部材に配設するだけの簡単な構造でロック状態が不用意に解除されるのを防止することができるができるという効果がある。また、スライド部が箱体の前方へ移動したときに施錠部が解除位置から施錠位置に移動するとともにスライド部が箱体の後方へ移動したときに施錠部が施錠位置から解除位置に移動して成り、収納部内における把手の位置によって施錠部の施錠位置と解除位置を表示しているから、収納部内における把手の位置に合わせてスライド部を操作すれば施錠部を施錠位置及び解除位置に容易に移動させることができて操作性の向上が図れ、さらに、収納部内における把手の位置を確認することで施錠部が施錠位置に在るか解除位置に在るかを容易に判別することができ、しかも、爪先やドライバの先端等を操作溝に挿入して把手を操作することができるために把手の操作性が向上できるという効果がある。
【0043】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記施錠部を前記蓋体に係合させて成るので、請求項1の発明の効果に加えて、施錠部を蓋体に係合した施錠状態において操作部が無理に押圧操作された場合に最も変形し易い係合部材の係合部の変形を少なくすることができ、その結果、施錠状態で操作部が無理に押圧操作されたときに係合部と蓋体との係合が外れ難くなり、施錠状態で操作部が無理に押圧操作されても蓋体を開き難くすることができるという効果がある。
【0044】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記係合部に貫通して前記施錠部を施錠位置と解除位置との間に移動させて成るので、請求項2の発明の効果に加えて、施錠部を蓋体に係合したロック状態において操作部が無理に押圧操作されても施錠部に係合部が当接するために係合部と蓋体との係合が外れ難くなり、その結果、ロック状態で操作部が無理に押圧操作されても蓋体をさらに開き難くすることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示し、施錠状態の要部側面断面図である。
【図2】同上における係合部材及び施錠部材を示す分解斜視図である。
【図3】同上の解除状態の要部側面断面図である。
【図4】同上のロック解除状態の要部側面断面図である。
【図5】実施形態2における係合部材及び施錠部材を示す分解斜視図である。
【図6】同上の施錠状態の要部側面断面図である。
【図7】同上の解除状態の要部側面断面図である。
【図8】同上のロック解除状態の要部側面断面図である。
【符号の説明】
1 ボックス
2 箱体
2b 切欠孔
3 蓋体
3b 被係合部
3c 係合溝
10 係合部材
12a 係合部
15 操作部
15b 収納部
20 施錠部材
21 施錠部
21b 係合片
22 スライド部
22a 把手
Claims (3)
- 側面に切欠孔を有し前面が開口した箱体、該箱体の前面開口を開閉自在に塞ぐ蓋体から成るボックスと、前記箱体に取着される固定部、前記蓋体に係合する係合部並びに前記固定部と係合部との間に位置して前記切欠孔内に臨ませた操作部を有する係合部材とを備え、前記操作部を内方に押圧操作することにより前記係合部と前記蓋体との係合を解除させるボックスのロック機構において、前記ボックス内側に係合して操作部の押圧操作を阻止する施錠位置と前記ボックス内側との係合を解除して操作部の押圧操作を可能とする解除位置との間で移動自在な施錠部と、一端側に矩形平板状の把手を有し他端側で前記施錠部と連結されるとともに前記操作部をその押圧方向に貫通するように設けられた矩形の収納部内に収納され且つ前記箱体の前後方向に沿って移動自在としたスライド部とを有する施錠部材を前記係合部材に配設し、前記スライド部が前記箱体の前方へ移動したときに前記施錠部が解除位置から施錠位置に移動するとともに前記スライド部が前記箱体の後方へ移動したときに前記施錠部が施錠位置から解除位置に移動して成り、前記収納部内における前記把手の位置によって前記施錠部の施錠位置と解除位置を表示し、前記収納部に収納した状態で前記操作部の外面から突出しない長さ寸法に前記把手を形成するとともに、前記把手の切欠孔に臨む部位に爪先や工具の先端が差し込まれる操作溝を形成したことを特徴とするボックスのロック機構。
- 前記施錠部を前記蓋体に係合させて成ることを特徴とする請求項1記載のボックスのロック機構。
- 前記係合部に貫通して前記施錠部を施錠位置と解除位置との間に移動させて成ることを特徴とする請求項2記載のボックスのロック機構。
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