JP3591108B2 - 電気自動車の駆動制御装置 - Google Patents

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  • Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
  • Electric Propulsion And Braking For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電気自動車の駆動制御装置に関し、特にトランスミッション付きの電気自動車においてクラッチ操作時の乗り心地をも向上させるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】
モータをインバータにより駆動するモータドライブ制御技術が広い分野で利用されている。近年では、地球環境の改善のために電気自動車の研究と実用化の検討が積極的に進められている。このような電気自動車にも上記モータドライブ技術が適用されている。
【0003】
電気自動車の種類としては、トランスミッションを備えたものがある。このようなトランスミッション付き電気自動車の従来の駆動制御装置を、図4及び図5を参照して説明する。図4において、アクセルペダル1を踏み込むと、アクセル信号出力部2はアクセルペダル1の踏み込み量に応じた値のアクセル信号A(例えば図5(a)参照)を出力する。トルク指令出力部3は、クッション時間設定機能を有しており、アクセル信号Aに応じたトルク指令T(例えば図5(b)参照)をクッション時間を組み込んで出力する。つまり、トルク指令Tの大きさはアクセル信号Aの大きさに対応しており、且つ、アクセル信号Aの変化に対してトルク指令Tが大きな時定数をもって変化するようにしている。
【0004】
電力変換器4は、インバータ等で構成されており、バッテリ5の直流電力を受電して、トルク指令Tに応じたモータ電力(三相交流電流,三相交流電圧)Pを出力する。駆動用モータ(交流電動機)6は、モータ電力Pの大きさに応じて回転駆動する。駆動用モータ6の回転力(トルク)は、トランスミッション7及び動力伝達装置8を介して車輪9に伝わる。このようにして車輪9が回転することにより、電気自動車が走行する。
【0005】
なお、クラッチペダル10が踏み込まれると、トランスミッション7のクラッチが開放される。また駆動用モータ6の回転数はタコメータ(回転数検出器)11により検出されて、運転者に表示される。
【0006】
上記従来の駆動制御装置では、トルク指令出力部3がクッション時間設定機能を有しているので、アクセルペダル1を急激に踏み込んだり急激に開放してアクセル信号Aが急峻に上昇・下降しても、トルク指令Tは緩やかに上昇・下降するため、乗り心地がよくなる。
【0007】
なお、図5に示すように、アクセルペダル信号Aが零の時(アクセルペダルを踏んでいないとき)には、トルク指令Tはマイナスの値となり、このようにすることにより、駆動用モータ6を回生動作(発電機として作動)させている。このように、踏んでいたアクセルペダル1を放したときには、駆動用モータ6が回生動作して、運転者にはエンジンブレーキと同様な制動感覚が得られ、運転感覚が良好になる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ギアチェンジをする際には、踏んでいたアクセルペダル1を放してクラッチペダル10を踏み込む動作をする。ところで従来の駆動制御装置では、クッション時間設定機能を持たせているため、図6に示すように、アクセルペダル1を放してクラッチペダル10を踏み込んでも、暫くの期間ではトルク指令Tの値は正の値となっている(図6(b)において斜線を施した期間X)。
この期間Xではクラッチが開放されて無負荷になっているにもかかわらず、正のトルク指令Tが出力されているため、駆動用モータ6のモータ回転数が急上昇する(図6(d)参照)。
【0009】
このように期間Xにおいてモータ回転数が急上昇するため、ギアチェンジ後にクラッチを再び接続するときには、モータ回転数の高い駆動用モータ6に対してクラッチ接続することになるため、クラッチ接続時のショックが大きくなり、この点で乗り心地が悪くなる。
【0010】
また期間Xにおけるモータ回転数の急上昇は、タコメータ11に表示される。このため、タコメータ11を見た運転者は、アクセルペダル1を放しているにもかかわらずモータ回転数が急上昇するので、暴走が発生したのではないかと不安になることがあった。
【0011】
本発明は、上記従来技術に鑑み、通常走行時(つまりクラッチ操作時を除く走行時)におけるクッション時間設定機能は保持しつつ、クラッチ操作時におけるモータ回転数の急上昇を生じさせることなくクラッチ操作時における乗り心地をも向上させた電気自動車の駆動制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明は、アクセルペダルの踏み込み量に応じた値のアクセル信号を出力するアクセル信号出力部と、前記アクセル信号の値に応じた値のトルク信号を出力するトルク指令出力部と、前記トルク指令に応じたモータ電力を出力する電力変換器と、前記モータ電力が供給されて回転駆動する駆動用モータと、クラッチペダルの操作に応じて接続・開放動作するクラッチを備えており前記駆動用モータの回転力を車輪側に伝達するトランスミッションと、を有する電気自動車の駆動制御装置であって、
前記クラッチペダルが踏み込まれると踏み込み信号を前記トルク指令出力部に送る踏み込み検出スイッチを備えるとともに、
前記トルク指令出力部は、前記踏み込み信号が入力されていない時には、前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させるとともに前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させ、前記踏み込み信号が入力されている時には、前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させることなく単に前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、アクセルペダルの踏み込み量に応じた値のアクセル信号を出力するアクセル信号出力部と、前記アクセル信号の値に応じた値のトルク信号を出力するトルク指令出力部と、前記トルク指令に応じたモータ電力を出力する電力変換器と、前記モータ電力が供給されて回転駆動する駆動用モータと、クラッチペダルの操作に応じて接続・開放動作するクラッチを備えており前記駆動用モータの回転力を車輪側に伝達するトランスミッションと、を有する電気自動車の駆動制御装置であって、
前記駆動用モータの加速度を検出しこの検出した加速度の値が予め設定した加速度基準値よりも大きいときに、過加速度信号を前記トルク指令出力部に送る加速度検出・監視手段を備えるとともに、
前記トルク指令出力部は、前記過加速度信号入力されていない時には、前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させるとともに前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させ、前記過加速度信号が入力されている時には、前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させることなく単に前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記加速度基準値は、前記クラッチを接続した状態で電気自動車を駆動した際に前記駆動用モータの加速度が最大となる値よりも、やや大きくしていることを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、従来技術と同一機能を果たす部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0016】
まず初めに、本発明の第1の実施の形態を図1及び図2を参照して説明する。本形態では、クラッチペダル10に踏み込み検出スイッチ20が接続されている。この踏み込み検出スイッチ20は、クラッチペダル10が踏み込まれると踏み込み信号Fをトルク指令出力部3aに出力する。
【0017】
本形態は、従来技術に対して、踏み込み検出スイッチ20を取り付けたこと、及びトルク指令出力部3aの機能が後述するように変更されていること、が異なる。他の部分は従来と同様である。よって以降は本形態に特有な動作を中心に説明する。
【0018】
トルク指令出力部3aは、踏み込み信号Fが入力されていない時には、従来と同様に、アクセル信号Aに応じたトルク指令Tをクッション時間を組み込んで出力する。つまり、トルク指令Tの大きさをアクセル信号Aの大きさに対応させ、且つ、アクセル信号Aの変化に対してトルク指令Tを大きな時定数をもって変化させるようにしている(図2の期間I参照)。
【0019】
一方、トルク指令出力部3aは、踏み込み信号Fが入力されると(図2の時刻t)、この踏み込み信号Fが入力されている期間では(図2の期間II)、クッション機能組み込み動作をやめ、アクセル信号Aの大きさに対応した大きさのトルク指令Tを出力する。このため、図2の例では、時刻tにおいて、アクセル信号Aが零であるため、トルク指令Tの大きさは、或る値から急に零になる。
なお、トルク指令Tが零になった以降は、駆動用モータ6を回生動作させるため、トルク指令Tは負の値となる。
【0020】
従って本形態では、ギアチェンジをするため、踏んでいたアクセルペダル1を放してクラッチペダル10を踏み込んだ際には、トルク指令Tが零になり、クラッチ開放のため無負荷となったにもかかわらず、駆動用モータ6はその回転数が急増することはなく、回転数は漸減する。
【0021】
よって、ギアチェンジ後にクラッチを再び接続するときには、モータ回転数の下がった駆動用モータ6に対してクラッチ接続することになるため、クラッチ接続時のショックは極めて小さくなり、クラッチ操作時であっても乗り心地がよくなる。
【0022】
また、クラッチ踏み込み時に、タコメータ11により表示される回転数も小さいため、運転者に不安を与えることもない。
【0023】
なお、クラッチペダル10を踏み込んだ時点(図2の時刻t)では、トルク指令Tが或る値から急に零になり、これにあわせて駆動用モータ6の出力トルクも急減するが、この時にはクラッチが開放されているので、タイヤ9には急激なトルク変動は伝わることなく、良好な乗り心地を確保できる。
【0024】
次に、本発明の第2の実施の形態を図3を参照して説明する。本形態では、加速度検出器21と、加速度監視器22が備えられ、またトルク指令出力部3aが後述する動作をする。他の部分は従来と同様である。
【0025】
加速度検出器21は、駆動用モータ6の速度をもとに駆動用モータ6の加速度を検出して加速度信号Kを出力する。加速度監視器22は、予め設定されている加速度基準値Kと加速度信号Kの値とを比較し、加速度信号Kの値が加速度基準値Kよりも大きいときには、過加速度信号Kを出力する。加速度基準値Kの値は、クラッチを接続した状態で電気自動車を駆動した際に駆動用モータ6の加速度が最大となる値、即ち、クラッチを接続し且つ1速ギアにしたときに最大トルクで駆動モータ6を駆動したときのモータ加速度の値、よりもやや大きくした値に設定している。
【0026】
トルク指令出力部3bは、過加速度信号Kが入力されていない時には、従来と同様に、アクセル信号Aに応じたトルク指令Tをクッション時間を組み込んで出力する。つまり、トルク指令Tの大きさをアクセル信号Aの大きさに対応させ、且つ、アクセル信号Aの変化に対してトルク指令Tを大きな時定数をもって変化させるようにしている。
【0027】
一方、トルク指令出力部3bは、過加速度信号Kが入力されると、この過加速度信号Kが入力されている期間では、クッション機能組み込み動作をやめ、アクセル信号Aの大きさに対応した大きさのトルク指令Tを出力する。このためギアチェンジのため、踏んでいたアクセルペダル1を放してクラッチペダル10を踏み込んだ際には、クラッチ開放のため無負荷となった駆動用モータ6の回転数が瞬間的には急増するが、ただちに過加速度信号Kが出力され、トルク指令Tの値はアクセル信号Aに応じて零となるため、駆動用モータ6の回転数は急速に減少する。
【0028】
よって、ギアチェンジ後にクラッチを再び接続するときには、モータ回転数の下がった駆動用モータ6に対してクラッチ接続することになるため、クラッチ接続時のショックは極めて小さくなり、乗り心地がよくなる。
【0029】
なお、ギアチェンジのため、踏んでいたアクセルペダル1を放してクラッチペダル10を踏み込んだ際には、クラッチ開放のため無負荷となった駆動用モータ6の回転数は、瞬間的には急増するが、モータ回転数はただちに減少するため、タコメータ11にはモータ回転の急増は表されない。または、仮に瞬時的にタコメータ11にモータ回転の急増が表されても、その後すぐにタコメータ11に表示された回転数は減少する。よって、タコメータ11の表示を見ていても運転者は不安を持つことはない。
【0030】
【発明の効果】
以上実施の形態とともに具体的に説明したように、本発明によれば、クラッチが開放されたことを、クラッチペダルの踏み込みや、駆動用モータの加速度から検出し、クラッチ開放時には、クッション時間設定機能を停止させて単にトルク指令の値をアクセル信号の値に応じた値とすることにより、クラッチ開放時のトルク指令が零となってモータ回転数が下がるので、クラッチ操作時における駆動用モータのモータ回転数上昇を抑えることができ、乗り心地が向上すると共に運転者に不安を与えることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すブロック図。
【図2】第1の実施の形態の信号状態を示す説明図。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示すブロック図。
【図4】電気自動車の従来の駆動制御装置を示すブロック図。
【図5】従来の信号状態を示す説明図。
【図6】従来の信号状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 アクセルペダル
2 アクセル信号出力部
3,3a,3b トルク指令出力部
4 電力変換器
5 バッテリ
6 駆動用モータ
7 トランスミッション
8 動力伝達装置
9 車輪
10 クラッチペダル
11 タコメータ
20 踏み込み検出スイッチ
21 加速度検出器
22 加速度監視器

Claims (3)

  1. アクセルペダルの踏み込み量に応じた値のアクセル信号を出力するアクセル信号出力部と、前記アクセル信号の値に応じた値のトルク指令を出力するトルク指令出力部と、前記トルク指令に応じたモータ電力を出力する電力変換器と、前記モータ電力が供給されて回転駆動する駆動用モータと、クラッチペダルの操作に応じて接続・開放動作するクラッチを備えており前記駆動用モータの回転力を車輪側に伝達するトランスミッションと、を有する電気自動車の駆動制御装置であって、
    前記クラッチペダルが踏み込まれると踏み込み信号を前記トルク指令出力部に送る踏み込み検出スイッチを備えるとともに、
    前記トルク指令出力部は、前記踏み込み信号が入力されていない時には、前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させるとともに前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させ、前記踏み込み信号が入力されている時には、前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させることなく単に前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させることを特徴とする電気自動車の駆動制御装置。
  2. アクセルペダルの踏み込み量に応じた値のアクセル信号を出力するアクセル信号出力部と、前記アクセル信号の値に応じた値のトルク指令を出力するトルク指令出力部と、前記トルク指令に応じたモータ電力を出力する電力変換器と、前記モータ電力が供給されて回転駆動する駆動用モータと、クラッチペダルの操作に応じて接続・開放動作するクラッチを備えており前記駆動用モータの回転力を車輪側に伝達するトランスミッションと、を有する電気自動車の駆動制御装置であって、
    前記駆動用モータの加速度を検出しこの検出した加速度の値が予め設定した加速度基準値よりも大きいときに、過加速度信号を前記トルク指令出力部に送る加速度検出・監視手段を備えるとともに、
    前記トルク指令出力部は、前記過加速度信号入力されていない時には、前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させるとともに前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させ、前記過加速度信号が入力されている時には、前記アクセル信号の変化に対して前記トルク指令を大きな時定数を持たせて変化させることなく単に前記トルク指令の大きさを前記アクセル信号の大きさに対応させることを特徴とする電気自動車の駆動制御装置。
  3. 前記加速度基準値は、前記クラッチを接続した状態で電気自動車を駆動した際に前記駆動用モータの加速度が最大となる値よりも、大きくしていることを特徴とする請求項2の電気自動車の駆動制御装置。
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