JP3590483B2 - 顔料分散物及びそれを用いた被覆剤組成物 - Google Patents

顔料分散物及びそれを用いた被覆剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、顔料分散レジスト、インキ、塗料等の技術分野における非水溶媒を用いる顔料分散物、及びそれを用いた被覆剤組成物に関し、特に液晶表示用カラーフィルターの製造に好適に用いられる顔料分散レジストに有用である。
【0002】
【従来の技術】
一般に、顔料分散レジスト、インキ、塗料等には、着色、遮光、防錆、内層保護等を目的として有機、無機の顔料が幅広く使用されている。これらの塗布物や印刷物には、光学濃度、着色力、透明度、又は表面平滑性が高いことが要求される。さらに塗布、印刷又は取扱い時に必要となる十分な流動性等が要求され、これらの性能は長期間の保存後でも維持されなけらばならない。このためには、顔料粒子が微細化されて高濃度に含まれても分散安定性が優れていなければならない。しかし、顔料粒子は一旦は微分散化されても再凝集し易いため、安定な微分散体を得ることは困難なことが多い。
【0003】
特に、近年のカラー液晶表示装置に対する可視光の高透過率化と高コントラスト化の要望の高まりから顔料粒子の微細化が進んでいる顔料分散レジストの分野では、顔料粒子径を少なくとも可視光の波長以下にする必要があるため、顔料粒子の比表面積が通常よりもかなり大きくなり、安定な微分散体を得ることが困難となる。また、R(赤)、G(緑)、B(青)三原色の画素に適したスペクトルを得るのにそれぞれの顔料分散レジスト中に2種以上の顔料が混合されて用いられるため、ヘテロ凝集が生じやすく分散がさらに難しくなっている。
【0004】
これらの問題を解決するために顔料分散剤を用いる様々な方法が開発されてきた。例えば、特開昭60−237403号公報等には、塩基性官能基等を有する有機顔料または染料の誘導体を顔料分散剤として用いる方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、この方法は、顔料分散効果においては良好な効果は認められるが、顔料分散剤自身の着色で顔料分散レジストの色調が変化するために適用範囲が限られるという問題を有するものであった。
【0006】
また、特開平3−212601号公報等には、イオン系あるいは非イオン系の界面活性剤、具体的には、長鎖アルキルアミンアセテート、4級アンモニウム塩、高分子多価カルボン酸、ポリオキシエチレン誘導体、長鎖脂肪酸のソルビタンエステル等を顔料分散剤として用いる方法が開示されている。
【0007】
しかしながら、この方法は、顔料分散安定化においてはある程度の効果は認められるものの、依然満足しうる効果が得られないものであった。
【0008】
これらの問題点により、顔料の選択や組合わせが限られたり、不充分な顔料分散安定性のまま使用せざるをえないのが現状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの問題を解決するためになされたものである。すなわち、色素誘導体ではない実質的に無色の新規な顔料分散剤を用いることにより、非水溶媒中で顔料濃度が高くても微分散安定化の向上した顔料分散物の提供、及びそれを用いた被覆剤組成物を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を重ねた結果、以下に示す特定の化合物群により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、(A)顔料、溶媒、顔料分散剤、及び必要に応じてバインダー樹脂を含む顔料分散物において、顔料分散剤として、重量平均分子量3,000〜100,000のグラフト共重合体であって、当該グラフト共重合体中、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、及び一般式(3)及び/又は一般式(4)で表わされる構成単位を少なくとも10モル%相当する量含有するグラフト共重合体を、顔料100重量部に対して少なくとも0.2重量部含有することを特徴とする顔料分散物に関する。
【0011】
【化5】
Figure 0003590483
【0012】
(式中、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、iは1〜100の範囲の整数を、Yは炭素数が2〜20の範囲にある2価の炭化水素基を、R、Rはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでXに接続している活性水素を持たない炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基を示す)
【0013】
【化6】
Figure 0003590483
【0014】
(式中、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、jは0〜100の範囲の整数を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでX(ただしj≠0のとき)或いはカルボニル基のα−炭素原子(ただしj=0のとき)に接続している活性水素を持たない炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基を、RとRはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、Rは炭素数1又は2である1価の炭化水素基を示す)
【0015】
【化7】
Figure 0003590483
【0016】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を、Rは水素原子又はハロゲン原子を、RとRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、アルコキシ基又はハロゲン原子を示す)
【0017】
【化8】
Figure 0003590483
【0018】
(式中、R10は水素原子又はメチル基を、R11は単結合(フェニル基がカルボニル基に隣接する酸素原子に直接結合していることを意味する)又はメチレン基を示す)
また、本発明は、(B)前記(A)項記載の顔料分散物を用いた被覆剤組成物に関する。
【0019】
また、本発明は、(C)前記(A)項記載の顔料分散物、ラジカル重合性化合物、及び光重合開始剤を含有することを特徴とするカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に関する。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明においては、顔料分散剤として前記特定のグラフト共重合体を使用することにより、長期間に渡り顔料微分散体の顔料再凝集と構造粘性が抑制される。これにより、顔料分散レジスト、インキ、塗料等の塗布物や印刷物の光学濃度、着色力、透明度、あるいは表面平滑性を高くし、また塗布、印刷、あるいは取扱い時に必要となる十分な流動性を得ることができる。
【0021】
以下、本発明の、顔料、溶媒、顔料分散剤、及び必要に応じてバインダー樹脂を含む顔料分散物において、顔料分散剤としてグラフト共重合体を含有せしめた顔料分散物及びそれを用いた被覆剤組成物について詳しく説明する。
【0022】
本発明のグラフト共重合体は、
(1)一般式(5):
【0023】
【化9】
Figure 0003590483
【0024】
(式中、RおよびRは前記と同じ)及び/又は一般式(6):
【0025】
【化10】
Figure 0003590483
【0026】
(式中、RおよびRは前記と同じ)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体10〜90モル%、一般式(7):
【0027】
【化11】
Figure 0003590483
【0028】
(式中、R、R、RおよびRは前記と同じ)で表わされる単量体及び/又は一般式(8):
【0029】
【化12】
Figure 0003590483
【0030】
(式中、R10およびR11は前記と同じ)で表わされる単量体の10〜90モル%、必要に応じてエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体0〜80モル%とを過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を用い、常法によりエポキシ基を含有する共重合体を得た後、該共重合体のエポキシ基に、後述する一般式(11)又は(12)で表わされる片末端にカルボキシル基を有する化合物を反応させることにより、又は(2)一般式(9):
【0031】
【化13】
Figure 0003590483
【0032】
(式中、R、R、X、i、Y、Zは前記と同じ)で表わされる単量体及び/又は一般式(10):
【0033】
【化14】
Figure 0003590483
【0034】
(式中、R、R、R、X、j、Zは前記と同じ)で表わされる単量体の10〜90モル%、及び一般式(7)で表わされる単量体及び/又は一般式(8)で表わされる単量体の10〜90モル%、必要に応じてエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体0〜80モル%とを過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤を用い、常法により反応させることにより得ることができる。なお、前記方法(1)において得られる共重合体のエポキシ基に後述する一般式(11)又は(12)で表わされる片端末にカルボキシル基を有する化合物を反応させて一般式(1)又は(2)で表わされる構成単位をうる反応、又は前記方法(2)においてエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体のエポキシ基に後述する一般式(11)又は(12)で表わされる片末端にカルボキシル基を有する化合物を反応させて一般式(9)又は(10)で表わされる単量体をうる反応は、必要に応じて溶媒を用い、また必要に応じて、脂肪族アミン、芳香族アミン、アンモニウム塩等の触媒を用い、60〜160℃に加熱して行うことができる。反応の進行はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で分子量、エポキシ当量等を測定することによって追跡することができる。
【0035】
前記一般式(3)で表される構成単位において、Rで表されるハロゲン原子としては塩素原子等が挙げられる。R又はRで表される炭素数1〜5の炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル等のアルキル基等が、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、ブトキシ等が、炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、例えばフェノキシ等が、ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
【0036】
本発明のグラフト共重合体の製造に用いる単量体のうち、一般式(7)で表わされ単量体のうちのスチレン誘導体としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、t−ブチルスチレン等のアルキル置換スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、フルオロスチレン等のハロゲン置換スチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン等のアルコキシスチレン、フェノキシスチレン等のアリールオキシスチレン、β−クロロスチレン等が使用できる。
【0037】
一般式(8)で表わされる単量体としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸フェニルがあげられる。
【0038】
一般式(5)又は(6)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2,3−エポキシ−2−メチルプロピル(メタ)アクリレート等が使用できる。
【0039】
必要に応じて用いるエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないその他のエチレン性不飽和単量体としては、カルボキシル基、フェノール性水酸基、1級アミノ基、2級アミノ基等のエポキシ基に対して反応性の高い官能基を有していないエチレン性不飽和単量体が使用できる。例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル類、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基を有する(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の脂肪族アルコール性水酸基を有する(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基を有する(メタ)アクリレート類、メチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、プロペニルエーテルプロピレンカーボネート等の脂肪族アルコール性水酸基を有するビニルエーテル類、アリルアセテート等の各種酸のアリルエステル等を挙げることができる。
【0040】
本発明のグラフト共重合体における一般式(1)又は一般式(2)で表される構成単位は、前記一般式(5)又は(6)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体から誘導される構成単位と一般式(11):
【0041】
【化15】
Figure 0003590483
【0042】
(式中、X、i、Zは前記と同じ)又は一般式(12):
【0043】
【化16】
Figure 0003590483
【0044】
(式中、R、X、i、Zは前記と同じ)で表わされる片末端にカルボキシル基を有する化合物とから、或いは、一般式(5)又は(6)で表わされるエポキシ基含有エチレン性不飽和単量体と一般式(11)又は(12)で表わされる片末端にカルボキシル基を有する化合物とから得られる単量体より得ることができる。
【0045】
前記一般式(11)で表わされる片末端にカルボキシル基を有する化合物は、一般式(13):
【0046】
【化17】
Figure 0003590483
【0047】
(式中、X、i、Zは前記と同じ)で表わされる片末端に水酸基を1つ有する化合物と二塩基酸無水物との反応によって得ることができる。或いは、一般式(14):
【0048】
【化18】
Figure 0003590483
【0049】
(式中、X、j、Zは前記と同じ)で表わされる片末端に水酸基を1つ有する化合物を酸化することによって得ることができる。
【0050】
一般式(13)又は一般式(14)で表わされる片末端に水酸基を1つ有する化合物は、一価のヒドロキシ含有化合物類、一価のカルボン酸類、一価の二級アミン類、一価の第二アミド類、或いは一価のチオール類等の活性水素を1つ有する炭素数1〜20の化合物に、アルキレンオキサイド類を開環付加させることによって得ることができる。
【0051】
該アルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられる。これらアルキレンオキサイドは単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。
【0052】
前記活性水素を1つ有する炭素数1〜20の化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクチルアルコール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類、フェノール、クレゾール、ナフトール等のフェノール類、1,3−ペンチレングリコールモノブチルエーテル、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノブチルエーテル、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノカプリルエーテル、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノラウリルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル類、1,3−ペンチレングリコールモノアセテート、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノブチレート、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノカプリレート、2,2,4−トリメチルペンチレングリコールモノラウレート等のアルキレングリコールモノエステル類、N,N−ジメチルアミノメタノール、N,N−ジエチルアミノメタノール、N,N−ジプロピルアミノメタノール、N,N−ジメチルアミノペンタノール、N,N−ジエチルアミノペンタノール、N,N−ジプロピルアミノペンタノール、N,N−ジブチルアミノペンタノール、N,N−ジイソブチルアミノペンタノール、N,N−ジメチルアミノヘキサノール、N,N−ジエチルアミノヘキサノール等のN,N−ジアルキルアミノアルカノール類、2−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン、3−ヒドロキシ−1−メチルピロリジン、1−エチル−2−ヒドロキシピロリジン、2−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、3−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、4−ヒドロキシ−1−メチルピペリジン、1−エチル−2−ヒドロキシピペリジン、2−ヒドロキシピリジン、3−ヒドロキシピリジン、4−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン、3−ヒドロキシメチル−1−メチルピロリジン、1−エチル−2−ヒドロキシメチルピロリジン、2−ヒドロキシメチル−1−メチルピペリジン、3−ヒドロキシメチル−1−メチルピペリジン、4−ヒドロキシメチル−1−メチルピペリジン、1−エチル−2−ヒドロキシメチルピペリジン、2−ヒドロキシメチルピリジン、3−ヒドロキシメチルピリジン、4−ヒドロキシメチルピリジン、2−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン、3−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピロリジン、1−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、2−ヒドロキシエチル−1−メチルピペリジン、3−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピペリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−1−メチルピペリジン、1−エチル−2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、3−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−ヒドロキシメチルピロリジン、1−ヒドロキシメチルピペリジン、1−ヒドロキシメチル−4−メチルピペリジン、1−ヒドロキシメチルモルホリン等の複素環を持つアルコール類、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、メチルエチルアミン、エチル−n−ブチルアミン、N−メチルアニリン、N−メチルベンジルアミン、N−メチルナフチルアミン、ジフェニルアミン等の2級アミン類、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、ピロール、ピロリン、1−メチルピペラジン、1−エチルピペラジン、1−ブチルピペラジン、インドール、インドリン等の複素環アミン類、N−メチルアセトアミド、N−メチルアセトアセタミド、N−メチルアクリルアミド等の第二アミド類、N−メチル−N−メチロールアセトアミド、エタンチオール、ブタンチオール、チオフェノール等のチオール類、酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪族酸類、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エレオステアリン酸等の不飽和脂肪族酸等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0053】
また一般式(13)又は(14)で表わされる片末端に水酸基を有する化合物としては、前記のごときアルキレンオキサイド付加物である必要はなく、本来一般式(13)又は(14)で表わされる構造を有するものであれば使用できる。
【0054】
このような化合物としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、エチレングリコールモノノニルエーテル、エチレングリコールモノラウリルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロプレングリコールモノブチルエーテル、プロプレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリメチレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノブチルエーテル、ブチレングリコールモノオクチルエーテル等のアルキレングリコールモノエーテル類、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールモノブチレート、エチレングリコールモノカプレート、エチレングリコールモノラウレート、プロプレングリコールモノブチレート、プロプレングリコールモノカプレート、プロプレングリコールモノラウレート、ジエチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノブチレート、ジエチレングリコールモノカプレート、トリメチレングリコールモノブチレート、ブチレングリコールモノカプロネート等のアルキレングリコールモノエステル類、N,N−ジメチルアミノエタノール、N,N−ジエチルアミノエタノール、N,N−ジプロピルアミノエタノール、N,N−ジブチルアミノエタノール、N−(2−エチルヘキシル)−N−メチルアミノエタノール、N,N−ジメチルアミノプロパノール、N,N−ジエチルアミノプロパノール、N,N−ジプロピルアミノプロパノール、N,N−ジメチルアミノブタノール、N,N−ジエチルアミノブタノール、N,N−ジプロピルアミノブタノール等のN,N−ジアルキルアミノアルカノール類、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルピペラジン、1−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン等の複素環を持つアルコール類が挙げられる。これらは、単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。
【0055】
前記二塩基酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、無水フタル酸、ドデセニルコハク酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸無水物等が挙げられる。これら二塩基酸無水物は単独で、或いは2種類以上を混合して使用することができる。
【0056】
前記一般式(14)で表わされる片末端に水酸基を1つ有する化合物を酸化して一般式(12)で表わされる片末端にカルボキシル基を1つ有する化合物を得る当該酸化方法としては、従来公知の方法がいずれも採用でき、たとえば触媒として過酸化ニッケルを用いる酸化法によって製造できる。
【0057】
一般式(1)において、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、iは1〜100の範囲の整数を、Yは炭素数が2〜20の範囲にある2価の炭化水素基を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでXに接続している炭素数が1〜20の範囲にある活性水素を有していない1価の有機基を、RとRはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を示す。一般式(2)において、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、jは1〜100の範囲の整数を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでX(ただしj≠0のとき)或いはカルボニル基のβ−炭素原子(ただしj=0のとき)に接続している炭素数が1〜20の範囲にある活性水素を有していない1価の有機基を、RとRはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、Rは炭素数が1又は2である一価の炭化水素基を示す。これらの適切な構造と適切な値は、使用する顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適な構造と最適値を選ぶのが好ましい。i又はjの値が前記範囲を超えても顔料分散性をそれ以上改善することはできない。
【0058】
本発明のグラフト共重合体は、一般式(1)及び/又は一般式(2)、及び一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される構造を必ず持っていなければならない。グラフト共重合体に対するこれらの含有量は、グラフト共重合体中、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、なかんづく10〜90モル%相当する量、及び一般式(3)及び/又は一般式(4)で表わされる構成単位を少なくとも10モル%相当する量、なかんづく10〜90モル%相当する量であることが好ましい。尚、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量含有するとは、グラフト共重合体をエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位に分割し、全構成単位中、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%含有することであり、一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量含有するとは、グラフト共重合体をエチレン性不飽和単量体に由来する構成単位に分割し、全構成単位中、一般式(3)及び/又は一般式(4)で表される構成単位を少なくとも10モル%含有することである。これらのいずれか、又は双方が、所定モル%相当する量含まれていない場合には、十分な顔料分散性が得られない。ただし、適切な値は、使用する顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の性質、分散媒の極性等に応じて変化するものであり、用途に応じて最適値を選ぶのが好ましい。
【0059】
本発明のグラフト共重合体の分子量は、重量平均分子量で3,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。重量平均分子量が3,000未満でも顔料分散効果はあるが、重合反応が難しくなり、それとともに多用される重合開始剤や連鎖移動剤による末端基の影響等で乳化適性の改善効果が低下する。一方、重量平均分子量が100,000を超えると十分な顔料分散効果が得られなくなる。
【0060】
本発明の対象となる顔料としては一般的な無機又は有機顔料が使用できる。有機顔料としては、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、ジオキサジン系、アントラピリミジン系、アンサンスロン系、インダンスロン系、フラバンスロン系、ペリレン系、チオインジゴ系、イソインドリノン系、トリフェニルメタン系、或いはカーボンブラック等が挙げられる。無機顔料としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、二酸化珪素、二酸化チタン等の体質顔料や、磁性酸化鉄等が挙げられる。これらの有機又は無機顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
また、本発明の溶媒としては、顔料分散物中の樹脂成分又は顔料分散物と共に用いられる樹脂成分を溶解するものであればよく、公知のものから用途に応じて適宜選択すればよい。
【0062】
また、本発明のバインダー樹脂としては、顔料分散レジスト、塗料、印刷インキ組成物等の分野で使用されている公知の各種バインダー樹脂が使用できる。
【0063】
本発明の顔料分散物を得るには、顔料分散剤として、グラフト共重合体を顔料100重量部に対し少なくとも0.2重量部含有させることが望ましい。顔料分散剤の量がこれより少ないと十分な顔料分散効果が得られない。一方顔料分散剤を顔料100重量部に対して100重量部より多量に使用しても顔料分散効果はそれ以上向上しない。
【0064】
但し、顔料分散効果は顔料の種類、顔料粒子の比表面積や粒子径、顔料表面処理剤の性質、分散媒の極性等に応じて異なるため、個々の場合で最適化するのが好ましい。
【0065】
次に、本発明の顔料分散物を用いた被覆剤組成物をカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を例にして具体的に説明する。
【0066】
顔料分散物に含まれる顔料分散剤としては、一般式(1)のZ或いは一般式(2)のZの持つ炭素数が1〜10の範囲のグラフト共重合体が好ましい。
【0067】
本発明の顔料分散物を用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に用いる顔料としては、この分野で公知のものを使用することができる。具体例には、赤顔料としてはアントラキノン系のC.I.ピグメントレッド177、アンサンスロン系のC.I.ピグメントレッド168、緑顔料としてはハロゲン化フタロシアニン系のC.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、青顔料としてはβ型フタロシアニン系のC.I.ピグメントブルー15:3、ε型フタロシアニン系のC.I.ピグメントブルー15:6、黄顔料としてはジスアゾ系のC.I.ピグメントイエロー83、イソインドリノン系のC.I.ピグメントイエロー139、紫顔料としてはジオキサジン系のC.I.ピグメントバイオレット23、クロモフタール系のC.I.ピグメントバイオレット37等を示すことができる。
【0068】
これらの顔料については、塗膜の光学濃度を高く維持した上で光透過率を上げるため、粒子径が可視光の波長の下限の400nm以下である必要があり、好ましくはその1/2である200nm以下、更に好ましくは100nm程度であるのがよい。
【0069】
本発明のグラフト共重合体を用いることで、このような微細顔料でも分散安定化することができる。R、G、B三原色のそれぞれの画素に適するスペクトルを得るため、例えば、赤顔料及び緑顔料には黄顔料を、青顔料には紫顔料を組み合わせたり、また2種以上の赤顔料を用いるなど、複数の顔料を組み合わせて用いることができる。
【0070】
また、上述した体質顔料を含む本発明の顔料分散物をカラーフィルターのオーバーコート材に用いるレジスト中に用いることができる。
【0071】
本発明の顔料分散物を、カラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に使用する場合は、グラフト共重合体を顔料100重量部に対して0.2〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部含有させることが好ましい。
【0072】
本発明の顔料分散物を用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に用いる溶媒としては、この分野で用いられる樹脂成分を溶解する有機溶媒であれば、公知のものを用いることができる。
【0073】
具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールモノエーテルアセテート類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、酢酸ブチル等の酢酸エステル類等が挙げられる。これらは、樹脂成分の溶解性や組成物の塗工適性を考慮して、単独もしくは2種以上を混合して用いることができる。
【0074】
本発明の顔料分散物を用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に用いるバインダー樹脂としては、使用される有機溶媒との相溶性等を考慮した上であれば公知のものが使用できる。カラーフィルター用光硬化性顔料分散レジストの用途には、樹脂の着色が少ないものが好ましく、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂等を挙げることができる。
【0075】
ラジカル重合による光硬化後、画像形成のために塗膜をアルカリ現像する必要があれば、バインダー樹脂として酸性官能基を導入したものを使用すればよい。この用途でのアクリル系樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体と(メタ)アクリル酸を共重合したもの、スチレン系樹脂としてはスチレンと無水マレイン酸の共重合体、更に各種の(メタ)アクリル酸誘導体を添加した共重合体、あるいはこれらの共重合体の酸無水物環をアルコールと反応させてハーフエステルとしたもの等が挙げられる。ウレタン系樹脂としてはジメチロールプロピオン酸等でカルボキシル基を導入したもの等が挙げられる。(メタ)アクリロイル基を導入すれば光硬化性も付与することもできる。エポキシ系樹脂としてはエポキシ基に酸成分をエポキシエステル化した後、生じた水酸基に酸無水物を反応させたもの等が挙げられる。該酸成分に(メタ)アクリル酸を用いれば、光硬化性を付与することができる。この他、アミノ樹脂等を添加して光硬化の後に熱硬化させることもできる。これらは単独で、若しくは2種以上を混合して用いてもよい。
【0076】
本発明の顔料分散物を用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を調製するためのラジカル重合の化合物としては、多官能の(メタ)アクリレート類を用いることができる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸とネオペンチルグリコールのエステルのジ(メタ)アクリレート、アジピン酸と1,6−ヘキサンジオールのエステルのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート類、また、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸グリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエステル、ロジンや乾性油等の変性による脂環族又は脂肪族のエポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ基と(メタ)アクリル酸との反応による多官能のエポキシ(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらは単独で、もしくは2種以上を混合して用いてもよい。これらに単官能の(メタ)アクリレート類を併用することもできる。硬化速度を上げるためには前記(メタ)アクリレート類のうちアクリレート類を用いることが好ましい。
【0077】
本発明の顔料分散物を用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を調製するためのラジカル重合の光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾインエーテル系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系等の公知の光重合開始剤が使用できる。具体的には、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、1−フェニルプロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等のアセトフェノン系開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系開始剤、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン系開始剤、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン系開始剤、あるいはジベンゾイル、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1,2−ビスイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、メチルフェニルグリオキシエステル等の開始剤、またはチタノセン化合物等を挙げることができる。これらは単独で、もしくは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0078】
更に、ベンゾフェノン系やチオキサントン系の開始剤、またジカルボニル化合物等の水素引き抜き型開始剤には、水素供与体となるトリエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル等のα−水素を有する3級アミン類を促進剤として用いることができる。更に、キサンテン、アクリジン、オキサジン、シアニン等の長波長の光に対する増感効果のある染料を加えてもよい。これらは単独で、もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
また、ハドロキノン、ハイドロキノンメチルエーテル、カテコール、ピクリン酸等の安定剤を用いることもできる。
【0080】
本発明の顔料分散物を用いてカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を調製するには、上述した材料の他にも滑剤や界面活性剤等、各種の添加剤を用いることができる。
【0081】
本発明のカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物における成分の含有量の好ましい範囲を表1に示す。
【0082】
【表1】
Figure 0003590483
【0083】
これらの成分のうち、顔料、グラフト共重合体、溶媒の全量又は一部、及び必要に応じてバインダー樹脂の一部又は全部を混合し、ビーズミルや3本ロールを用いて混練りすることによって、本発明の顔料分散物を得ることができる。これに残りの溶媒とバインダー樹脂、ラジカル重合性化合物、及び光重合開始剤を加えて更に混練り或いは十分に攪拌し、必要に応じてフィルター濾過や遠心分離を行なうことによって、本発明のカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を得ることができる。
【0084】
インキや塗料等、顔料分散レジスト以外の被覆剤組成物に本発明の顔料分散物を用いる場合は、従来よりそれらの被覆剤組成物で使用されている各種のバインダー樹脂、溶媒、及び添加剤を用いることができる。
【0085】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。主旨と適用範囲を逸脱しない限り、これらは本発明を限定するものではない。記述中の“部”は重量部を示す。
【0086】
[顔料分散剤]
顔料分散剤1
スチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ67モル%、33モル%)に、ブタノールにプロピレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルと無水コハク酸を反応させた片末端にカルボキシル基を持つポリエーテルを反応させ、グラフト共重合体(顔料分散剤1)を得た。重量平均分子量(GPCにより測定、以下同様)は15,000であった。
【0087】
顔料分散剤2
顔料分散剤1におけるスチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ67モル%、33モル%)を、ビニルトルエンとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ67モル%、33モル%)に置き換えて、重量平均分子量15,000のグラフト共重合体(顔料分散剤2)を得た。
【0088】
顔料分散剤3
顔料分散剤1におけるスチレンとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ67モル%、33モル%)を、ベンジルメタアクリレートとグリシジルメタクリレートの共重合体(含有率はそれぞれ67モル%、33モル%)に置き換えて、重量平均分子量17,000のグラフト共重合体(顔料分散剤3)を得た。
【0089】
顔料分散剤4
顔料分散剤1におけるブタノールにプロピレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルを、ブタノールにエチレンオキサイドを平均22.7モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルに置き換えて、重量平均分子量15,000のグラフト共重合体(顔料分散剤4)を得た。
【0090】
顔料分散剤5
顔料分散剤1におけるブタノールにプロピレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルを、ブタノールにブチレンオキサイドを平均13.9モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルに置き換えて、重量平均分子量13,000のグラフト共重合体(顔料分散剤5)を得た。
【0091】
顔料分散剤6
顔料分散剤1におけるブタノールにプロピレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルと無水コハク酸を反応させた片末端にカルボキシル基を持つポリエーテルを、ブタノールにエチレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルを酸化して得られる片末端にカルボキシル基を持つポリエーテルに置き換えて、重量平均分子量14,000のグラフト共重合体(顔料分散剤6)を得た。
【0092】
顔料分散剤7
顔料分散剤1におけるブタノールにプロピレンオキサイドを平均17.2モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルを、ジブチルアミンにプロピレンオキサイドを平均22.7モル付加した末端に水酸基を持つポリエーテルに置き換えて、重量平均分子量15,000のグラフト共重合体(顔料分散剤7)を得た。
【0093】
[比較顔料分散剤]
顔料分散剤8
顔料分散剤1で使用した片末端に水酸基を持つポリエーテルを顔料分散剤8とした。
【0094】
顔料分散剤9
市販のソルビタン脂肪酸エステル系化合物を顔料分散剤9とした。
【0095】
[カラーフィルター用光硬化製顔料分散ペースト]
実施例1〜9及び比較例1、2
顔料分散剤1〜7、及び比較顔料分散剤(顔料分散剤8、9)を用い、上述した方法によりビーズミルを用いて混練りし、表2に示した組成の顔料分散組成物を調製した。これにラジカル重合性化合物と光重合開始剤を加えて更に混練りし、最終的に表3に示した組成のカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物を得た。ここで溶媒としてはプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、バインダー樹脂としてはメタクリル酸とベンジルメタクリレートを共重合成分に含み、酸価100mgKOH/g、重量平均分子量45,000のアクリル樹脂を、ラジカル重合性化合物としてはトリメチロールプロパントリアクリレート(共栄社化学(株)製、TMP−A)を、光重合開始剤としては2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン(チバガイギー製、IRGACURE−907)を用いた。R、G、及びBの各色レジストに用いた顔料の種類と全顔料中に対する重量%を表4に示した。
【0096】
尚、顔料分散物の調製においては、表2に示すごとく顔料分散剤の使用量に応じて溶媒の使用量を増減して組成物全量が100重量%になるようにした。顔料分散レジストの調製においても、同様に組成物全量が100重量%になるようにした。また、比較例3では、顔料分散剤を使用せずに顔料分散剤相当量をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで置き換えた。
【0097】
【表2】
Figure 0003590483
【0098】
【表3】
Figure 0003590483
【0099】
【表4】
Figure 0003590483
【0100】
[評価試験]
顔料分散物及びカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物の性状と硬化膜の評価結果を表5に示した。
【0101】
(1)粘弾性
得られた顔料分散物及びカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物について、製造直後の粘度、TI(チキソトロピー・インデックス)を測定し、さらに40℃の恒温に保持された暗所で1月間保存したのち、再度粘度、TIを測定し、粘度とTIの経時変化を調べた。測定には、ハーケ社製回転粘度計を用い、25℃で測定した。粘度が低く、TIが1.0に近く、これらの経時変化が少なく、顔料分散レジスト組成物のスピンコート適性に何等問題がないものを粘弾性に優れるとして3、粘度、TIが若干高く、或いはこれらの経時変化が若干大きいもののスピンコートが可能なものを2、粘度、TIが著しく高く、スピンコート適性が無く、経時での不安定性が大きいものを1で示した。また、顔料の沈降や分離が認められる場合も1で示した。
【0102】
(2)透過率
各カラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物をガラス基板上にスピンコートし、2分間100℃に加熱した後200mJ/cmの紫外光により露光して厚さ0.9〜1.1μmの硬化膜を調製した。この硬化膜を形成したガラス基板について、ガラス基板を参照として可視光の透過スペクトルを測定した。表5には各色塗膜の透過域(R:610nm、G:540nm、B:450nm)の透過率を示した。表5における透過率の値は、硬化膜の厚さを1.0μmとしたばあいの換算値である。尚、透過率の値は高い程優れている。
【0103】
【表5】
Figure 0003590483
【0104】
本発明のグラフト共重合体を用いることにより、顔料微分散物及びそれを用いたカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物の粘弾性が改善され、透過率の高い硬化膜が得られた。一方、比較例では、粘弾性が悪く、透過率も低かった。
【0105】
【発明の効果】
本発明のグラフト共重合体を用いることにより、顔料分散物及びそれを用いた被覆剤組成物の顔料凝集と構造粘性を抑制し、特に、これをカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物に用いることにより、顔料分散性に起因する分光特性、保存安定性等の性能も向上する。

Claims (3)

  1. 顔料、溶媒、顔料分散剤、及び必要に応じてバインダー樹脂を含む顔料分散物において、顔料分散剤として、重量平均分子量3,000〜100,000のグラフト共重合体であって、当該グラフト共重合体中、一般式(1)及び/又は一般式(2)で表される構成単位を少なくとも10モル%相当する量、及び一般式(3)及び/又は一般式(4)で表わされる構成単位を少なくとも10モル%相当する量含有するグラフト共重合体を、顔料100重量部に対して少なくとも0.2重量部含有することを特徴とする顔料分散物。
    Figure 0003590483
    (式中、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、iは1〜100の範囲の整数を、Yは炭素数が2〜20の範囲にある2価の炭化水素基を、R、Rはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでXに接続している活性水素を持たない炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基を示す)
    Figure 0003590483
    (式中、Xは炭素数が2〜4の範囲にある2価の炭化水素基を、jは0〜100の範囲の整数を、Zは酸素、窒素又は硫黄原子のいずれかでX(ただしj≠0のとき)或いはカルボニル基のα−炭素原子(ただしj=0のとき)に接続している活性水素を持たない炭素数が1〜20の範囲にある1価の有機基を、RとRはそれぞれ独立に水素原子或いはメチル基を、Rは炭素数1又は2である1価の炭化水素基を示す)
    Figure 0003590483
    (式中、Rは水素原子又はメチル基を、Rは水素原子又はハロゲン原子を、RとRはそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又はハロゲン原子を示す)
    Figure 0003590483
    (式中、R10は水素原子又はメチル基を、R11は単結合又はメチレン基を示す)
  2. 請求項1記載の顔料分散物を用いたことを特徴とする被覆剤組成物。
  3. 請求項1記載の顔料分散物、ラジカル重合性化合物、及び光重合開始剤を含有することを特徴とするカラーフィルター用光硬化性顔料分散レジスト組成物。
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