JP3590247B2 - 車両のブレーキ操作装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【技術分野】
本願発明は、たとえばゴルフ場において、ゴルフバッグの運搬やゴルファの移動に用いられるゴルフカートなど、比較的簡易な構造に製作される車両に好適な車両のブレーキ操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、たとえば乗用型のゴルフカートは、一般の乗用車と比較するとかなり低速で走行するように構成されているが、そのブレーキ装置については、一般の乗用車と同様に、常用のブレーキ装置とパーキングブレーキ装置との双方が設けられていることが望まれる。一方、ゴルフカートは、乗用車などの運転に不慣れな者も運転する場合が多いため、ブレーキ装置の操作はできるかぎり簡単に行えるようにすることが望まれる。
【0003】
そこで、従来では、たとえば特開昭63−121556号公報に所載のブレーキ操作装置がある。この従来のブレーキ操作装置は、同公報の第8図に示されているように、ゴルフカートの運転車が乗り込む乗車スペースのフロアの下方からその上方にブレーキペダルユニットが起立状態に設けられたものであり、上記ブレーキペダルユニットを構成するブレーキアームの上端部には、常用ブレーキ用のフットペダルとパーキングブレーキ用のフットペダルとが並べて設けられている。一方、上記ゴルフカートのフロアの下方には、上記2つのフットペダルがそれぞれ踏み込み操作されたときに、常用のブレーキ装置を動作させるための動作機構部とパーキングブレーキ装置を作動させるための動作機構部とがそれぞれ設けられている。
【0004】
上記構成のブレーキ操作装置では、1つのブレーキアームに常用ブレーキ用のフットペダルとパーキングブレーキ用のフットペダルとをそれぞれ設けているために、2つのブレーキ用のフットペダルが1つのブレーキアームに集約され、これが車両運転者にとってブレーキであることが判り易い構造となっている。また、ゴルフカートを停止させる場合において、常用ブレーキ用のフットペダルを踏み込み操作した後に、さらにパーキングブレーキ用のフットペダルを踏み込むと、2種類のブレーキを一連の踏み込み操作によって容易に働かせることができることとなり、その操作性も良好となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のブレーキ操作装置では、次のような不具合を生じていた。
【0006】
すなわち、上記従来のブレーキ操作装置では、ブレーキアームが車両の乗車スペースのフロアの下方から上方へ起立した状態に設けられており、また動作機構部が上記フロアの下方に設けられている。一方、上記フロアには、上記ブレーキアームをフロアの下方から上方へ突出させるための穴部を設けておく必要があり、しかもこの穴部はブレーキアームの動作を妨げないサイズに形成しておく必要がある。ところが、このような構造では、上記フロア上に土や砂などが存在する場合に、これらの土や砂などが上記穴部からフロアの下方へ落下進入し、ブレーキアームの回転支点や動作機構部などに噛み込みを生じる虞れがある。このような噛み込みを生じたのでは、ブレーキアームや動作機構部を適切に動作させることができなくなる場合があり、適切でない。
【0007】
したがって、従来では、上記したような土や砂などの不当な噛み込みを防止するための特別な手段を別途設けることが必要となっていた。その結果、従来では、ブレーキ操作装置の構成が複雑化し、その製造コストが高価になるという不具合を生じていた。とくに、ゴルフカートでは、乗車スペースへのゴルファーの乗り降り頻度が高く、しかもゴルファーがそのゴルフシューズの底に大量の土や砂を付けたまま乗車スペースに乗り込む場合が多いため、乗車スペースのフロア上には土や砂などが溜まり易く、上記したような土や砂などの噛み込み現象をより適切に防止する必要があった。
【0008】
本願発明はこのような事情のもとで考え出されたものであって、土や砂などの噛み込みに原因してブレーキ操作が困難になるといった不具合を極力生じさせることなく、簡易な構造によって車両のブレーキ操作が容易かつ適切に行えるようにすることをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本願発明によれば、車両のブレーキ操作装置が提供される。この車両のブレーキ操作装置は、車両運転者の乗車スペースのフロアよりも高い位置にそれぞれ配されたブレーキアーム、可動部材、およびロック機構を具備しており、上記ブレーキアームは、下端部に設けられている第1フットペダル部の踏み込み操作によって常用ブレーキ用のブレーキブースタを動作させるように上部回転支点を中心に揺動可能に設けられているとともに、上記可動部材は、上記ブレーキアームの下端部に設けられている第2フットペダル部が踏み込み操作されたときに一定の動作を行うことにより車両のパーキングブレーキ装置を作動させる方向にパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張っるように設けられており、かつ上記ロック機構は、上記可動部材が上記パーキングブレーキ用ケーブルの引っ張り動作を行ったときにその引っ張り状態が保持されるように上記可動部材を固定保持可能に構成されており、上記第2フットペダル部の踏板は、上記第1フットペダル部の踏板よりも車両前方寄りの位置において上記ブレーキアームの一側方に配置されているとともに、上記第2フットペダル部の踏み込み操作がなされていない状態において、上記第1フットペダル部の踏板よりもこの第1フットペダル部の踏板の厚み方向における表面の高さが低くされていることに特徴づけられる。
【0011】
本願発明においては、ブレーキアームの下端部に設けられている第1フットペダル部を踏み込み操作すると、上記ブレーキアームは上部回転支点を中心に所定方向に回転して常用ブレーキ用のブレーキブースタを動作させることとなり、これによって常用ブレーキを働かせることができる。一方、上記ブレーキアームの下端部に設けられている第2フットペダル部を踏み込み操作すると、可動部材が一定の動作を行ってパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張ることとなり、これによってパーキングブレーキを働かせることができる。したがって、車両運転者がブレーキアームに設けられている第1フットペダル部と第2フットペダル部とを連続して踏み込み操作することによって、常用ブレーキを働かせた後にパーキングブレーキを適切に働かせることが可能となり、それらのブレーキ操作が容易に行える。さらに、上記可動部材がパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張るように動作したときには、ロック機構がその可動部材を固定保持するために、パーキングブレーキが働いている状態をその後も継続して保持させておくことができ、坂道などにおいて車両を停車させておくのに好都合となる。このように、本願発明では、ブレーキアーム、可動部材、およびロック機構を備えた簡易な構造のブレーキ操作装置によって、常用ブレーキとパーキングブレーキとを容易な操作によって適切に働かせることができるようにしたものであり、その操作性は良好であり、またその製作も簡易に行えることとなる。
【0012】
さらに、重要な効果として、本願発明では、上記ブレーキアーム、可動部材、およびロック機構のそれぞれが、車両運転者の乗車スペースのフロアよりも高い位置に配されているために、上記フロア上に土や砂などが比較的大量に存在する場合であっても、それらの土や砂などが上記各部の動作部分に進入する可能性は少なく、それらの部分に土や砂の噛み込みが生じる虞れを無くし、または非常に少なくすることができる。このため、本願発明では、ブレーキ操作装置の各部の動作についての信頼性を高めることができる。また、従来とは異なり、ブレーキアームやその他の部分への土や砂の噛み込みを防止するための特別な手段を別途設ける必要を無くすことができるため、全体の構造を一層簡易にし、その製造コストを安価にできるという効果も得られる。さらに、第2フットペダル部よりも車両後方に位置して車両運転者の近くに存在する第1フットペダル部を第2フットペダル部よりも踏み込み操作し易くなる。第2フットペダル部はブレーキアームの一側方の偏った位置に存在しているために、車両運転者が第1フットペダル部と第2フットペダル部との双方に跨がった状態に足を載せている場合であっても、第2フットペダル部が上記ブレーキアームの上面よりも低い位置へ誤って踏み込み操作されにくいようにすることができる。したがって、第1フットペダル部を単独で操作して常用ブレーキのみを働かせたいときに、第2フットペダル部が同時に踏み込み操作される虞れを少なくするのに好ましいものとなる。
【0013】
本願発明の好ましい実施の形態では、上記ロック機構は、上記可動部材に固定して設けられたラチェットギヤとこのラチェットギヤに係合する揺動可能なラチェット爪とを具備しており、かつ上記ラチェット爪は、車両のアクセルペダルが踏み込み操作されたときに上記ラチェットギヤとの係合状態が解除される方向へ回転するように上記アクセルペダルの踏み込み操作に連動して動作するケーブルの一端部と連結されている構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、第2フットペダル部を踏み込み操作して車両のパーキングブレーキを働かせた後に、車両のアクセルペダルを踏み込み操作すると、可動部材に固定して設けられたラチェットギヤとラチェット爪との係合状態が解除されることにより、パーキングブレーキ用ケーブルを引っ張っていた可動部材の固定状態が解除される。したがって、パーキングブレーキを解除するための特別な操作を何ら必要とすることなく、単に車両を発進させようとしてアクセルペダルを踏み込み操作するだけで、パーキングブレーキの解除が同時に行えることとなり、その操作性を一層良好なものにできる。また、上記ラチェットギヤとラチェット爪との係合状態の解除は、アクセルペダルの踏み込み操作に連動して動作するケーブルの一端部を上記ラチェット爪に連結した機構により行わせているために、上記アクセルペダルの踏み込み操作とラチェットギヤとの動作とを確実に連動させることができ、またその構造も簡易なものにすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】
図1は、本願発明が適用された車両の一例を示す側面図である。図2は、図1に示す車両に用いられているブレーキ操作装置の一例を示す側面断面図である。図3は、図2の矢視III 一部断面正面図である。図4は、図2および図3に示すブレーキ操作装置に用いられている第2フットペダル部の構成部品の一例を示す分解斜視図である。
【0019】
図1に示す車両Aは、乗用型のゴルフカートとして構成されたものである。この車両Aは、車両本体部7の上方に、フロントピラー70やリヤピラー71によって支持されたルーフ72を設けた構成とされている。上記車両本体部7には、たとえば計4名のゴルファを搭乗可能とする前後2組の座席73a,73bを備えた乗車スペース74が設けられているとともに、その後部にはゴルフバックを積載するためのステー75が設けられている。この車両Aは、たとえばリヤカウル部76内に配置されたエンジンまたはモータを駆動源として運転走行可能に構成されている。ステアリングホイール77と対向する1つの座席73aが、運転席となるが、この運転席の前方下方に、本実施形態のブレーキ操作装置Bが設けられている。
【0020】
図2および図3に示すように、上記ブレーキ操作装置Bは、ブレーキアーム1、可動部材2、ロック機構3、ブラケット4、および後述する各部材を具備して構成されている。上記ブレーキ操作装置Bを構成する各部材は、いずれも、車両Aの車両運転者が乗り込む乗車スペース74のフロア78よりも高い位置に配されている。
【0021】
上記ブラケット4は、上記ブレーキ操作装置Bを構成する各部材を支持するためのものであり、たとえば金属板をプレス加工するなどして形成されている。このブラケット4は、車両Aの乗車スペース74の前方に位置するダッシュパネル79やこのダッシュパネル79の上部に繋がった他のパネル79aなどの適当な箇所にボルト止めまたは溶接によって固定して取付けられている。
【0022】
上記ブレーキアーム1は、上下方向に湾曲して延びる形状を有しており、その上部には上記ブラケット4に両端部が支持された軸体12が貫通挿されている。これにより、上記ブレーキアーム1は、上記軸体12によってこの軸体周りに回転可能に支持されており、いわゆる吊り下げ式のブレーキアームとして構成されている。上記ブレーキアーム1の上部には、上記軸体12の挿通位置から一定方向に延びる延出部11が設けられており、この延出部11にブレーキブースタ6のロッド部60が連結されている。上記ブレーキブースタ6は常用ブレーキ装置を動作させるためのものであり、たとえば上記ブラケット4の上面に取付けられてステアリングシャフトの側方などの適当な位置に設けられている。
【0023】
上記ブレーキアーム1の下端部には、第1フットペダル部5Aと第2フットペダル部5Bとが設けられている。上記第1フットペダル部5Aは、上記ブレーキアーム1の下端部に踏板51を固定して取付けた構成であり、この踏板51はたとえば平面視矩形状のプレート状に形成されている。上記第1フットペダル部5Aを、矢印N1に示す下方向に踏み込み操作すると、上記ブレーキアーム1の延出部11がブレーキブースタ6のロッド部60を押し込むように回転するととなり、これにより常用ブレーキが働くこととなる。なお、上記軸体12の周囲にはバネ10が設けられており、上記ブレーキアーム1は、常時は、上記バネ10の弾発力によって上記矢印N1方向とは反対に回転する方向へ付勢されており、その下端部が乗車スペース74のフロア78の上方の一定高さに維持されるようになっている。
【0024】
上記第2フットペダル部5Bは、上記ブレーキアーム1の下端部に取付けられた軸56を中心として回転可能に設けられている。より具体的には、上記第2フットペダル部5Bは、図4によく表れているように、平面視矩形状のプレート状に形成された踏板52とこれを支持する支持部材54とを具備して構成されており、上記支持部材54の上面部分に上記踏板52がボルト90などを用いて組み付けられた状態で、上記ブレーキアーム1に取付けられている。上記支持部材54には、略水平方向に延びる軸心をもつ筒状部55が設けられているが、この筒状部55が上記ブレーキアーム1の下端部に固定して取付けられた水平状の軸56に外嵌することにより、上記第2フットペダル部5Bの全体が上記軸56周りに回転可能となっている。ただし、図2によく表れているように、上記軸56の周囲には、バネ53が設けられており、このバネ53の弾発力によって上記第2フットペダル部5Bは、その車両前方寄りの先端部分が矢印N2に示す上方に常時付勢されている。この第2フットペダル部5Bは、この第2フットペダル部5Bが操作されていない通常時においてその踏板52の上面が第1フットペダル部5Aの踏板51の上面と略同一の角度姿勢に保持されるように設定されている。上記支持部材54には、後述する第1のケーブル8Aの一端を固定連結するための切欠孔を備えたブラケット部57が設けられている。
【0025】
図3によく表れているように、上記第1フットペダル部5Aの踏板51は、平面視または正面視において上記ブレーキアーム1の左右両側方に跨がるように設けられている。これに対し、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、上記踏板51よりも小さなサイズとされており、その配置箇所は、上記第1フットペダル部5Aの踏板51よりも車両前方寄りの位置であって、上記ブレーキアーム1の一側方領域とされている。また、図2によく表れているように、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、踏み込み操作がなされていない通常時においては、その上面が第1フットペダル部5Aの踏板51の上面よりも若干寸法Hだけ低い高さとなるように設けられている。
【0026】
上記可動部材2は、金属板などの適当な板状部材によって形成されたものであり、その長手方向中央部分には、上記ブレーキアーム1を支持する軸体12が貫通挿している。これにより、上記可動部材2は、ブレーキアーム1と同様に上記軸体12周りに回転可能に支持されている。上記可動部材2の第1端部2aには、第1のケーブル8Aとパーキングブレーキ用ケーブル8Cとのそれぞれの一端が連結されている。上記第1のケーブル8Aは、チューブ状のアウタケーブル80とこのアウタケーブル80内に相対摺動可能にインサートされたインナケーブル81とを組合せて構成されたものであり、図6に示すように、第2フットペダル部5Bが踏み込み操作されて矢印N3方向に回転したときに可動部材2を矢印N4に示す方向へ回転させることができるように、上記可動部材2と上記第2フットペダル部5Bの支持部材54との間に配索されている。上記パーキングブレーキ用ケーブル8Cは、この車両Aに具備されているパーキングブレーキ装置(図示略)に繋がっており、上記図6に示すように、可動部材2の第1端部2aが上方に回転してこの可動部材2によって引っ張り力を受けると、上記パーキングブレーキ装置を作動させるケーブルである。
【0027】
図2において、上記ロック機構3は、本実施形態ではラチェット機構として構成されており、ラチェットギヤ30とラチェット爪31とを具備して構成されている。上記ラチェットギヤ30は、所定の円弧状周面部に多数の歯を連続して形成したものであり、上記可動部材2の第2端部2bに固定して取付けられている。上記ラチェット爪31は、所定位置に固定して設けられた支持軸33に支持されて、この支持軸33周りに揺動可能である。上記ラチェット爪31は、バネ32の弾発力によってその先端部が上記ラチェットギヤ30に常時接近する方向に付勢されており、上記ラチェットギヤ30の歯に対して係合するようになっている。上記ラチェット爪31は、軸体12を中心とするラチェットギヤ30および可動部材2の矢印N4方向の回転動作は許容する一方、それとは逆方向への回転動作は許容しないものである。
【0028】
上記ラチェット爪31の基端部には、第2のケーブル8Bの一端が連結されている。この第2のケーブル8Bは、この車両Aに設けられているアクセルペダル(図示略)が踏み込み操作されたときに矢印N5方向に引っ張られるものである。上記第2のケーブル8Bが同方向に引っ張られると、上記ラチェット爪31はその先端部がラチェットギヤ30から離反する方向に回転し、ラチェットギヤ30とラチェット爪31との係合状態が解除されるように構成されている。本願発明は、アクセルペダルの構造を対象とするものではないため、その説明は便宜上省略するが、このアクセルペダルは、本実施形態のブレーキアーム1と同様に、吊り下げ式のアーム形状にすることができる。
【0029】
次に、上記構成のブレーキ操作装置Bの作用について説明する。
【0030】
まず、車両Aの通常の走行時においては、上記ブレーキ操作装置Bは、図2に示すような状態となっている。このような状態において、車両運転者が第1フットペダル部5Aの踏板51上に足を載せて踏み込みと、図5に示すように、ブレーキアーム1の下端部が下降回転する結果、ブレーキブースタ6のロッド部60がブレーキアーム1の上端部の延出部11によって押動され、常用ブレーキが働くこととなる。常用ブレーキのみを働かせるためには、踏板51のみを下方へ踏み込む操作をし、第2フットペダル部5Bの踏板52については、強く踏み込まないようにする必要がある。これに対し、既述したとおり、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、第1フットペダル部5Aの踏板51よりも車両前方に位置して車両運転者から遠い位置にあり、しかもブレーキアーム1の一側方のみに偏った状態に設けられている。さらには、上記踏板52は、踏板51よりもその表面の高さが低くなっている。したがって、常用ブレーキのみを動作させたい場合に、車両運転者が第1フットペダル部5Aを踏み込み操作するときにこれと合わせて第2フットペダル部5Bについても同時に強く踏み込み操作することが適切に回避されることとなる。
【0031】
次に、車両運転者が第1フットペダル部5Aの踏み込み操作を行った後に、第2フットペダル部5Bにつまさきを掛けてこの部分を踏み込むと、図6に示すように、第2フットペダル部5Bを軸56周りに回転させることができる。すると、この第2フットペダル部5Bに連結されている第1のケーブル8Aの一端が引っ張り力を受ける結果、可動部材2が軸体12周りに矢印N4方向に回転し、パーキングブレーキ用ケーブル8Cが所定方向に引っ張られることとなる。その結果、車両Aのパーキングブレーキ装置が適切に作動する。このように、常用ブレーキに引き続いてパーキングブレーキをも働かせる操作は、互いに隣合う2つのフットペダル部5A,5Bを一連に踏み込み操作することによって非常に簡単に行えることとなる。また、上記可動部材2が上記矢印N4方向に回転したときには、ラチェットギヤ30に係合しているラチェット爪31がラチェットギヤ30と上記可動部材2との逆回転動作を阻止することとなる。したがって、上記第2フットペダル部5Bから足を離した後においても、パーキングブレーキが働いている状態を適切に維持することができる。
【0032】
また、上記ブレーキ操作装置Bでは、ブレーキアーム1と可動部材2とのそれぞれの回転動作は個別に行える構造となっているために、上記可動部材2を固定させてパーキングブレーキを働かせている場合であっても、上記ブレーキアーム1については上記可動部材2とは個別に元通りの位置に復帰させることが可能である。すなわち、第2フットペダル部5Bを踏み込み操作してパーキングブレーキを働かせた後に、ブレーキアーム1のペダル部5A,5Bから足を離すと、このブレーキアーム1は、図2に示した元の位置に復帰することとなる。したがって、このブレーキ操作装置Bでは、パーキングブレーキを働かせているか否かには関係なく、常用ブレーキを任意に効かせることが可能となり、車両運転者のニーズにあった車両Aの取扱いが行えることとなり、便利となる。
【0033】
さらに、パーキングブレーキを働かせている状態において、アクセルペダルを踏み込み操作すると、第2のケーブル8Bが図6の矢印N5方向に引っ張られることとなり、ラチェットギヤ30とラチェット爪31との係合状態が解除されることとなる。すると、可動部材2は、たとえばパーキングブレーキ用ケーブル8Cの引っ張り力によって図2に示す元の位置に回転することとなり、パーキングブレーキ装置の作動状態が解除されることとなる。したがって、上記ブレーキ操作装置Bでは、車両Aを発進させるときにパーキングブレーキを解除するための特別な操作を何ら行う必要はなく、その操作性が一層良好となる。
【0034】
上記ブレーキ操作装置Bの各部は、乗車スペース74のフロア78よりも上方に設けられている。したがって、上記フロア78の上面に土や砂などが比較的大量に存在していても、それらの土や砂などが上記ブレーキ操作装置Bの動作部分などに噛み込みを容易に生じるようなことがなく、ブレーキ操作装置Bの各部に所定の動作を確実に行わせることができることとなる。また、上記ブレーキ操作装置Bをフロア78の上方に設けておけば、フロア78の下方に設けた場合よりも、その保守管理なども容易となる。
【0035】
なお、本願発明に係る車両のブレーキ操作装置の各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。たとえば上記実施形態では、ブレーキアームの上端部をブレーキブースタのロッド部に直接連結した構造となっているが、本願発明は、これに限定されず、たとえばブレーキアームとブレーキブースタのロッド部とを適当な中間部材などを介して互いに連結した構造としてもかまわない。また、本願発明の適用対象となる車両はゴルフカートに限定されず、たとえば遊園地における移動や遊戯に用いられるカート類などゴルフカート以外の種々の車両に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明が適用された車両の一例を示す側面図である。
【図2】図1に示す車両に用いられているブレーキ操作装置の一例を示す側面断面図である。
【図3】図2の矢視III 一部断面正面図である。
【図4】図2および図3に示すブレーキ操作装置に用いられている第2フットペダル部の構成部品の一例を示す分解斜視図である。
【図5】図2に示すブレーキ操作装置の動作状態の一例を示す要部側面断面図である。
【図6】図2に示すブレーキ操作装置の動作状態の一例を示す要部側面断面図である。
【符号の説明】
A 車両
B ブレーキ操作装置
1 ブレーキアーム
2 可動部材
3 ロック機構
5A 第1フットペダル部
5B 第2フットペダル部
6 ブレーキブースタ
8A 第1のケーブル
8B 第2のケーブル
8C パーキングブレーキ用ケーブル
30 ラチェットギヤ
31 ラチェット爪
51,52 踏板
74 乗車スペース
78 フロア
【技術分野】
本願発明は、たとえばゴルフ場において、ゴルフバッグの運搬やゴルファの移動に用いられるゴルフカートなど、比較的簡易な構造に製作される車両に好適な車両のブレーキ操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
周知のとおり、たとえば乗用型のゴルフカートは、一般の乗用車と比較するとかなり低速で走行するように構成されているが、そのブレーキ装置については、一般の乗用車と同様に、常用のブレーキ装置とパーキングブレーキ装置との双方が設けられていることが望まれる。一方、ゴルフカートは、乗用車などの運転に不慣れな者も運転する場合が多いため、ブレーキ装置の操作はできるかぎり簡単に行えるようにすることが望まれる。
【0003】
そこで、従来では、たとえば特開昭63−121556号公報に所載のブレーキ操作装置がある。この従来のブレーキ操作装置は、同公報の第8図に示されているように、ゴルフカートの運転車が乗り込む乗車スペースのフロアの下方からその上方にブレーキペダルユニットが起立状態に設けられたものであり、上記ブレーキペダルユニットを構成するブレーキアームの上端部には、常用ブレーキ用のフットペダルとパーキングブレーキ用のフットペダルとが並べて設けられている。一方、上記ゴルフカートのフロアの下方には、上記2つのフットペダルがそれぞれ踏み込み操作されたときに、常用のブレーキ装置を動作させるための動作機構部とパーキングブレーキ装置を作動させるための動作機構部とがそれぞれ設けられている。
【0004】
上記構成のブレーキ操作装置では、1つのブレーキアームに常用ブレーキ用のフットペダルとパーキングブレーキ用のフットペダルとをそれぞれ設けているために、2つのブレーキ用のフットペダルが1つのブレーキアームに集約され、これが車両運転者にとってブレーキであることが判り易い構造となっている。また、ゴルフカートを停止させる場合において、常用ブレーキ用のフットペダルを踏み込み操作した後に、さらにパーキングブレーキ用のフットペダルを踏み込むと、2種類のブレーキを一連の踏み込み操作によって容易に働かせることができることとなり、その操作性も良好となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のブレーキ操作装置では、次のような不具合を生じていた。
【0006】
すなわち、上記従来のブレーキ操作装置では、ブレーキアームが車両の乗車スペースのフロアの下方から上方へ起立した状態に設けられており、また動作機構部が上記フロアの下方に設けられている。一方、上記フロアには、上記ブレーキアームをフロアの下方から上方へ突出させるための穴部を設けておく必要があり、しかもこの穴部はブレーキアームの動作を妨げないサイズに形成しておく必要がある。ところが、このような構造では、上記フロア上に土や砂などが存在する場合に、これらの土や砂などが上記穴部からフロアの下方へ落下進入し、ブレーキアームの回転支点や動作機構部などに噛み込みを生じる虞れがある。このような噛み込みを生じたのでは、ブレーキアームや動作機構部を適切に動作させることができなくなる場合があり、適切でない。
【0007】
したがって、従来では、上記したような土や砂などの不当な噛み込みを防止するための特別な手段を別途設けることが必要となっていた。その結果、従来では、ブレーキ操作装置の構成が複雑化し、その製造コストが高価になるという不具合を生じていた。とくに、ゴルフカートでは、乗車スペースへのゴルファーの乗り降り頻度が高く、しかもゴルファーがそのゴルフシューズの底に大量の土や砂を付けたまま乗車スペースに乗り込む場合が多いため、乗車スペースのフロア上には土や砂などが溜まり易く、上記したような土や砂などの噛み込み現象をより適切に防止する必要があった。
【0008】
本願発明はこのような事情のもとで考え出されたものであって、土や砂などの噛み込みに原因してブレーキ操作が困難になるといった不具合を極力生じさせることなく、簡易な構造によって車両のブレーキ操作が容易かつ適切に行えるようにすることをその課題としている。
【0009】
【発明の開示】
上記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0010】
本願発明によれば、車両のブレーキ操作装置が提供される。この車両のブレーキ操作装置は、車両運転者の乗車スペースのフロアよりも高い位置にそれぞれ配されたブレーキアーム、可動部材、およびロック機構を具備しており、上記ブレーキアームは、下端部に設けられている第1フットペダル部の踏み込み操作によって常用ブレーキ用のブレーキブースタを動作させるように上部回転支点を中心に揺動可能に設けられているとともに、上記可動部材は、上記ブレーキアームの下端部に設けられている第2フットペダル部が踏み込み操作されたときに一定の動作を行うことにより車両のパーキングブレーキ装置を作動させる方向にパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張っるように設けられており、かつ上記ロック機構は、上記可動部材が上記パーキングブレーキ用ケーブルの引っ張り動作を行ったときにその引っ張り状態が保持されるように上記可動部材を固定保持可能に構成されており、上記第2フットペダル部の踏板は、上記第1フットペダル部の踏板よりも車両前方寄りの位置において上記ブレーキアームの一側方に配置されているとともに、上記第2フットペダル部の踏み込み操作がなされていない状態において、上記第1フットペダル部の踏板よりもこの第1フットペダル部の踏板の厚み方向における表面の高さが低くされていることに特徴づけられる。
【0011】
本願発明においては、ブレーキアームの下端部に設けられている第1フットペダル部を踏み込み操作すると、上記ブレーキアームは上部回転支点を中心に所定方向に回転して常用ブレーキ用のブレーキブースタを動作させることとなり、これによって常用ブレーキを働かせることができる。一方、上記ブレーキアームの下端部に設けられている第2フットペダル部を踏み込み操作すると、可動部材が一定の動作を行ってパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張ることとなり、これによってパーキングブレーキを働かせることができる。したがって、車両運転者がブレーキアームに設けられている第1フットペダル部と第2フットペダル部とを連続して踏み込み操作することによって、常用ブレーキを働かせた後にパーキングブレーキを適切に働かせることが可能となり、それらのブレーキ操作が容易に行える。さらに、上記可動部材がパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張るように動作したときには、ロック機構がその可動部材を固定保持するために、パーキングブレーキが働いている状態をその後も継続して保持させておくことができ、坂道などにおいて車両を停車させておくのに好都合となる。このように、本願発明では、ブレーキアーム、可動部材、およびロック機構を備えた簡易な構造のブレーキ操作装置によって、常用ブレーキとパーキングブレーキとを容易な操作によって適切に働かせることができるようにしたものであり、その操作性は良好であり、またその製作も簡易に行えることとなる。
【0012】
さらに、重要な効果として、本願発明では、上記ブレーキアーム、可動部材、およびロック機構のそれぞれが、車両運転者の乗車スペースのフロアよりも高い位置に配されているために、上記フロア上に土や砂などが比較的大量に存在する場合であっても、それらの土や砂などが上記各部の動作部分に進入する可能性は少なく、それらの部分に土や砂の噛み込みが生じる虞れを無くし、または非常に少なくすることができる。このため、本願発明では、ブレーキ操作装置の各部の動作についての信頼性を高めることができる。また、従来とは異なり、ブレーキアームやその他の部分への土や砂の噛み込みを防止するための特別な手段を別途設ける必要を無くすことができるため、全体の構造を一層簡易にし、その製造コストを安価にできるという効果も得られる。さらに、第2フットペダル部よりも車両後方に位置して車両運転者の近くに存在する第1フットペダル部を第2フットペダル部よりも踏み込み操作し易くなる。第2フットペダル部はブレーキアームの一側方の偏った位置に存在しているために、車両運転者が第1フットペダル部と第2フットペダル部との双方に跨がった状態に足を載せている場合であっても、第2フットペダル部が上記ブレーキアームの上面よりも低い位置へ誤って踏み込み操作されにくいようにすることができる。したがって、第1フットペダル部を単独で操作して常用ブレーキのみを働かせたいときに、第2フットペダル部が同時に踏み込み操作される虞れを少なくするのに好ましいものとなる。
【0013】
本願発明の好ましい実施の形態では、上記ロック機構は、上記可動部材に固定して設けられたラチェットギヤとこのラチェットギヤに係合する揺動可能なラチェット爪とを具備しており、かつ上記ラチェット爪は、車両のアクセルペダルが踏み込み操作されたときに上記ラチェットギヤとの係合状態が解除される方向へ回転するように上記アクセルペダルの踏み込み操作に連動して動作するケーブルの一端部と連結されている構成とすることができる。
【0014】
このような構成によれば、第2フットペダル部を踏み込み操作して車両のパーキングブレーキを働かせた後に、車両のアクセルペダルを踏み込み操作すると、可動部材に固定して設けられたラチェットギヤとラチェット爪との係合状態が解除されることにより、パーキングブレーキ用ケーブルを引っ張っていた可動部材の固定状態が解除される。したがって、パーキングブレーキを解除するための特別な操作を何ら必要とすることなく、単に車両を発進させようとしてアクセルペダルを踏み込み操作するだけで、パーキングブレーキの解除が同時に行えることとなり、その操作性を一層良好なものにできる。また、上記ラチェットギヤとラチェット爪との係合状態の解除は、アクセルペダルの踏み込み操作に連動して動作するケーブルの一端部を上記ラチェット爪に連結した機構により行わせているために、上記アクセルペダルの踏み込み操作とラチェットギヤとの動作とを確実に連動させることができ、またその構造も簡易なものにすることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0018】
図1は、本願発明が適用された車両の一例を示す側面図である。図2は、図1に示す車両に用いられているブレーキ操作装置の一例を示す側面断面図である。図3は、図2の矢視III 一部断面正面図である。図4は、図2および図3に示すブレーキ操作装置に用いられている第2フットペダル部の構成部品の一例を示す分解斜視図である。
【0019】
図1に示す車両Aは、乗用型のゴルフカートとして構成されたものである。この車両Aは、車両本体部7の上方に、フロントピラー70やリヤピラー71によって支持されたルーフ72を設けた構成とされている。上記車両本体部7には、たとえば計4名のゴルファを搭乗可能とする前後2組の座席73a,73bを備えた乗車スペース74が設けられているとともに、その後部にはゴルフバックを積載するためのステー75が設けられている。この車両Aは、たとえばリヤカウル部76内に配置されたエンジンまたはモータを駆動源として運転走行可能に構成されている。ステアリングホイール77と対向する1つの座席73aが、運転席となるが、この運転席の前方下方に、本実施形態のブレーキ操作装置Bが設けられている。
【0020】
図2および図3に示すように、上記ブレーキ操作装置Bは、ブレーキアーム1、可動部材2、ロック機構3、ブラケット4、および後述する各部材を具備して構成されている。上記ブレーキ操作装置Bを構成する各部材は、いずれも、車両Aの車両運転者が乗り込む乗車スペース74のフロア78よりも高い位置に配されている。
【0021】
上記ブラケット4は、上記ブレーキ操作装置Bを構成する各部材を支持するためのものであり、たとえば金属板をプレス加工するなどして形成されている。このブラケット4は、車両Aの乗車スペース74の前方に位置するダッシュパネル79やこのダッシュパネル79の上部に繋がった他のパネル79aなどの適当な箇所にボルト止めまたは溶接によって固定して取付けられている。
【0022】
上記ブレーキアーム1は、上下方向に湾曲して延びる形状を有しており、その上部には上記ブラケット4に両端部が支持された軸体12が貫通挿されている。これにより、上記ブレーキアーム1は、上記軸体12によってこの軸体周りに回転可能に支持されており、いわゆる吊り下げ式のブレーキアームとして構成されている。上記ブレーキアーム1の上部には、上記軸体12の挿通位置から一定方向に延びる延出部11が設けられており、この延出部11にブレーキブースタ6のロッド部60が連結されている。上記ブレーキブースタ6は常用ブレーキ装置を動作させるためのものであり、たとえば上記ブラケット4の上面に取付けられてステアリングシャフトの側方などの適当な位置に設けられている。
【0023】
上記ブレーキアーム1の下端部には、第1フットペダル部5Aと第2フットペダル部5Bとが設けられている。上記第1フットペダル部5Aは、上記ブレーキアーム1の下端部に踏板51を固定して取付けた構成であり、この踏板51はたとえば平面視矩形状のプレート状に形成されている。上記第1フットペダル部5Aを、矢印N1に示す下方向に踏み込み操作すると、上記ブレーキアーム1の延出部11がブレーキブースタ6のロッド部60を押し込むように回転するととなり、これにより常用ブレーキが働くこととなる。なお、上記軸体12の周囲にはバネ10が設けられており、上記ブレーキアーム1は、常時は、上記バネ10の弾発力によって上記矢印N1方向とは反対に回転する方向へ付勢されており、その下端部が乗車スペース74のフロア78の上方の一定高さに維持されるようになっている。
【0024】
上記第2フットペダル部5Bは、上記ブレーキアーム1の下端部に取付けられた軸56を中心として回転可能に設けられている。より具体的には、上記第2フットペダル部5Bは、図4によく表れているように、平面視矩形状のプレート状に形成された踏板52とこれを支持する支持部材54とを具備して構成されており、上記支持部材54の上面部分に上記踏板52がボルト90などを用いて組み付けられた状態で、上記ブレーキアーム1に取付けられている。上記支持部材54には、略水平方向に延びる軸心をもつ筒状部55が設けられているが、この筒状部55が上記ブレーキアーム1の下端部に固定して取付けられた水平状の軸56に外嵌することにより、上記第2フットペダル部5Bの全体が上記軸56周りに回転可能となっている。ただし、図2によく表れているように、上記軸56の周囲には、バネ53が設けられており、このバネ53の弾発力によって上記第2フットペダル部5Bは、その車両前方寄りの先端部分が矢印N2に示す上方に常時付勢されている。この第2フットペダル部5Bは、この第2フットペダル部5Bが操作されていない通常時においてその踏板52の上面が第1フットペダル部5Aの踏板51の上面と略同一の角度姿勢に保持されるように設定されている。上記支持部材54には、後述する第1のケーブル8Aの一端を固定連結するための切欠孔を備えたブラケット部57が設けられている。
【0025】
図3によく表れているように、上記第1フットペダル部5Aの踏板51は、平面視または正面視において上記ブレーキアーム1の左右両側方に跨がるように設けられている。これに対し、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、上記踏板51よりも小さなサイズとされており、その配置箇所は、上記第1フットペダル部5Aの踏板51よりも車両前方寄りの位置であって、上記ブレーキアーム1の一側方領域とされている。また、図2によく表れているように、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、踏み込み操作がなされていない通常時においては、その上面が第1フットペダル部5Aの踏板51の上面よりも若干寸法Hだけ低い高さとなるように設けられている。
【0026】
上記可動部材2は、金属板などの適当な板状部材によって形成されたものであり、その長手方向中央部分には、上記ブレーキアーム1を支持する軸体12が貫通挿している。これにより、上記可動部材2は、ブレーキアーム1と同様に上記軸体12周りに回転可能に支持されている。上記可動部材2の第1端部2aには、第1のケーブル8Aとパーキングブレーキ用ケーブル8Cとのそれぞれの一端が連結されている。上記第1のケーブル8Aは、チューブ状のアウタケーブル80とこのアウタケーブル80内に相対摺動可能にインサートされたインナケーブル81とを組合せて構成されたものであり、図6に示すように、第2フットペダル部5Bが踏み込み操作されて矢印N3方向に回転したときに可動部材2を矢印N4に示す方向へ回転させることができるように、上記可動部材2と上記第2フットペダル部5Bの支持部材54との間に配索されている。上記パーキングブレーキ用ケーブル8Cは、この車両Aに具備されているパーキングブレーキ装置(図示略)に繋がっており、上記図6に示すように、可動部材2の第1端部2aが上方に回転してこの可動部材2によって引っ張り力を受けると、上記パーキングブレーキ装置を作動させるケーブルである。
【0027】
図2において、上記ロック機構3は、本実施形態ではラチェット機構として構成されており、ラチェットギヤ30とラチェット爪31とを具備して構成されている。上記ラチェットギヤ30は、所定の円弧状周面部に多数の歯を連続して形成したものであり、上記可動部材2の第2端部2bに固定して取付けられている。上記ラチェット爪31は、所定位置に固定して設けられた支持軸33に支持されて、この支持軸33周りに揺動可能である。上記ラチェット爪31は、バネ32の弾発力によってその先端部が上記ラチェットギヤ30に常時接近する方向に付勢されており、上記ラチェットギヤ30の歯に対して係合するようになっている。上記ラチェット爪31は、軸体12を中心とするラチェットギヤ30および可動部材2の矢印N4方向の回転動作は許容する一方、それとは逆方向への回転動作は許容しないものである。
【0028】
上記ラチェット爪31の基端部には、第2のケーブル8Bの一端が連結されている。この第2のケーブル8Bは、この車両Aに設けられているアクセルペダル(図示略)が踏み込み操作されたときに矢印N5方向に引っ張られるものである。上記第2のケーブル8Bが同方向に引っ張られると、上記ラチェット爪31はその先端部がラチェットギヤ30から離反する方向に回転し、ラチェットギヤ30とラチェット爪31との係合状態が解除されるように構成されている。本願発明は、アクセルペダルの構造を対象とするものではないため、その説明は便宜上省略するが、このアクセルペダルは、本実施形態のブレーキアーム1と同様に、吊り下げ式のアーム形状にすることができる。
【0029】
次に、上記構成のブレーキ操作装置Bの作用について説明する。
【0030】
まず、車両Aの通常の走行時においては、上記ブレーキ操作装置Bは、図2に示すような状態となっている。このような状態において、車両運転者が第1フットペダル部5Aの踏板51上に足を載せて踏み込みと、図5に示すように、ブレーキアーム1の下端部が下降回転する結果、ブレーキブースタ6のロッド部60がブレーキアーム1の上端部の延出部11によって押動され、常用ブレーキが働くこととなる。常用ブレーキのみを働かせるためには、踏板51のみを下方へ踏み込む操作をし、第2フットペダル部5Bの踏板52については、強く踏み込まないようにする必要がある。これに対し、既述したとおり、上記第2フットペダル部5Bの踏板52は、第1フットペダル部5Aの踏板51よりも車両前方に位置して車両運転者から遠い位置にあり、しかもブレーキアーム1の一側方のみに偏った状態に設けられている。さらには、上記踏板52は、踏板51よりもその表面の高さが低くなっている。したがって、常用ブレーキのみを動作させたい場合に、車両運転者が第1フットペダル部5Aを踏み込み操作するときにこれと合わせて第2フットペダル部5Bについても同時に強く踏み込み操作することが適切に回避されることとなる。
【0031】
次に、車両運転者が第1フットペダル部5Aの踏み込み操作を行った後に、第2フットペダル部5Bにつまさきを掛けてこの部分を踏み込むと、図6に示すように、第2フットペダル部5Bを軸56周りに回転させることができる。すると、この第2フットペダル部5Bに連結されている第1のケーブル8Aの一端が引っ張り力を受ける結果、可動部材2が軸体12周りに矢印N4方向に回転し、パーキングブレーキ用ケーブル8Cが所定方向に引っ張られることとなる。その結果、車両Aのパーキングブレーキ装置が適切に作動する。このように、常用ブレーキに引き続いてパーキングブレーキをも働かせる操作は、互いに隣合う2つのフットペダル部5A,5Bを一連に踏み込み操作することによって非常に簡単に行えることとなる。また、上記可動部材2が上記矢印N4方向に回転したときには、ラチェットギヤ30に係合しているラチェット爪31がラチェットギヤ30と上記可動部材2との逆回転動作を阻止することとなる。したがって、上記第2フットペダル部5Bから足を離した後においても、パーキングブレーキが働いている状態を適切に維持することができる。
【0032】
また、上記ブレーキ操作装置Bでは、ブレーキアーム1と可動部材2とのそれぞれの回転動作は個別に行える構造となっているために、上記可動部材2を固定させてパーキングブレーキを働かせている場合であっても、上記ブレーキアーム1については上記可動部材2とは個別に元通りの位置に復帰させることが可能である。すなわち、第2フットペダル部5Bを踏み込み操作してパーキングブレーキを働かせた後に、ブレーキアーム1のペダル部5A,5Bから足を離すと、このブレーキアーム1は、図2に示した元の位置に復帰することとなる。したがって、このブレーキ操作装置Bでは、パーキングブレーキを働かせているか否かには関係なく、常用ブレーキを任意に効かせることが可能となり、車両運転者のニーズにあった車両Aの取扱いが行えることとなり、便利となる。
【0033】
さらに、パーキングブレーキを働かせている状態において、アクセルペダルを踏み込み操作すると、第2のケーブル8Bが図6の矢印N5方向に引っ張られることとなり、ラチェットギヤ30とラチェット爪31との係合状態が解除されることとなる。すると、可動部材2は、たとえばパーキングブレーキ用ケーブル8Cの引っ張り力によって図2に示す元の位置に回転することとなり、パーキングブレーキ装置の作動状態が解除されることとなる。したがって、上記ブレーキ操作装置Bでは、車両Aを発進させるときにパーキングブレーキを解除するための特別な操作を何ら行う必要はなく、その操作性が一層良好となる。
【0034】
上記ブレーキ操作装置Bの各部は、乗車スペース74のフロア78よりも上方に設けられている。したがって、上記フロア78の上面に土や砂などが比較的大量に存在していても、それらの土や砂などが上記ブレーキ操作装置Bの動作部分などに噛み込みを容易に生じるようなことがなく、ブレーキ操作装置Bの各部に所定の動作を確実に行わせることができることとなる。また、上記ブレーキ操作装置Bをフロア78の上方に設けておけば、フロア78の下方に設けた場合よりも、その保守管理なども容易となる。
【0035】
なお、本願発明に係る車両のブレーキ操作装置の各部の具体的な構成は、上記実施形態に限定されず、種々に設計変更自在である。たとえば上記実施形態では、ブレーキアームの上端部をブレーキブースタのロッド部に直接連結した構造となっているが、本願発明は、これに限定されず、たとえばブレーキアームとブレーキブースタのロッド部とを適当な中間部材などを介して互いに連結した構造としてもかまわない。また、本願発明の適用対象となる車両はゴルフカートに限定されず、たとえば遊園地における移動や遊戯に用いられるカート類などゴルフカート以外の種々の車両に適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明が適用された車両の一例を示す側面図である。
【図2】図1に示す車両に用いられているブレーキ操作装置の一例を示す側面断面図である。
【図3】図2の矢視III 一部断面正面図である。
【図4】図2および図3に示すブレーキ操作装置に用いられている第2フットペダル部の構成部品の一例を示す分解斜視図である。
【図5】図2に示すブレーキ操作装置の動作状態の一例を示す要部側面断面図である。
【図6】図2に示すブレーキ操作装置の動作状態の一例を示す要部側面断面図である。
【符号の説明】
A 車両
B ブレーキ操作装置
1 ブレーキアーム
2 可動部材
3 ロック機構
5A 第1フットペダル部
5B 第2フットペダル部
6 ブレーキブースタ
8A 第1のケーブル
8B 第2のケーブル
8C パーキングブレーキ用ケーブル
30 ラチェットギヤ
31 ラチェット爪
51,52 踏板
74 乗車スペース
78 フロア
Claims (2)
- 車両運転者の乗車スペースのフロアよりも高い位置にそれぞれ配されたブレーキアーム、可動部材、およびロック機構を具備しており、
上記ブレーキアームは、下端部に設けられている第1フットペダル部の踏み込み操作によって常用ブレーキ用のブレーキブースタを動作させるように上部回転支点を中心に揺動可能に設けられているとともに、
上記可動部材は、上記ブレーキアームの下端部に設けられている第2フットペダル部が踏み込み操作されたときに一定の動作を行うことにより車両のパーキングブレーキ装置を作動させる方向にパーキングブレーキ用ケーブルを引っ張っるように設けられており、かつ、
上記ロック機構は、上記可動部材が上記パーキングブレーキ用ケーブルの引っ張り動作を行ったときにその引っ張り状態が保持されるように上記可動部材を固定保持可能に構成されており、
上記第2フットペダル部の踏板は、上記第1フットペダル部の踏板よりも車両前方寄りの位置において上記ブレーキアームの一側方に配置されているとともに、上記第2フットペダル部の踏み込み操作がなされていない状態において、上記第1フットペダル部の踏板よりもこの第1フットペダル部の踏板の厚み方向における表面の高さが低くされていることを特徴とする、車両のブレーキ操作装置。 - 上記ロック機構は、上記可動部材に固定して設けられたラチェットギヤとこのラチェットギヤに係合する揺動可能なラチェット爪とを具備しており、かつ上記ラチェット爪は、車両のアクセルペダルが踏み込み操作されたときに上記ラチェットギヤとの係合状態が解除される方向へ回転するように上記アクセルペダルの踏み込み操作に連動して動作するケーブルの一端部と連結されている、請求項1に記載の車両のブレーキ操作装置。
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