JP3590197B2 - 油圧ショベル制御回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧ショベルの制御回路の技術分野に属する。さらに、詳細には油圧ショベルの水平引き等の操作における操作特性を改良した油圧回路の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油圧ショベルで水平引き等の操作をする場合に、これらの操作をオペレータがスムースに行ない得るように油圧制御回路に工夫がなされていた。図2は従来の油圧制御回路のうち本発明に関連する要部を示した図である。図3は上記油圧制御回路を備えた油圧ショベルの1例を示した図である。図2において、第1油圧ポンプ1は、センタ油路2によりアームシリンダ用切換弁3の左側入力ポートに接続されており、左側出力ポートは絞り4及び油タンク5に順次接続されている。また、センタ油路2からの分岐路6により第1油圧ポンプ1はチェック弁7を介して切換弁3の中央入力ポートに接続されており、中央出力ポートはアームシリンダ8の伸長側ポート8aに接続されている。アームシリンダ8の縮小側ポート8bは切換弁3の右側出力ポートに接続されており、右側入力ポートは油タンクに接続されている。
【0003】
第2油圧ポンプ11は、センタ油路12によりブームシリンダ用切換弁13の左側入力ポートに接続されており、左側出力ポートは合流用切換弁14、絞り15及び油タンク16に順次接続されている。合流用切換弁14の右側パイロットポートはアームパイロット圧で作動するように接続されており、アームパイロット圧が作用すると合流用切換弁14の入出ポートの油路は遮断される。また、センタ油路12からの分岐油路17により第2油圧ポンプ11はチェック弁17を介して切換弁13の中央入力ポートに接続されており、中央出力ポートはブ゛ームシリンダ19の伸長側ポート19aに接続されている。ブームシリンダ19の縮小側ポート19bは切換弁13の右側出力ポートに接続されており、右側入力ポートは油タンクに接続されている。
【0004】
ブームシリンダ用切換弁13の左側出力ポートの下流で合流油路21がセンタ油路12から分岐し、チェック弁22を介して分岐油路6のチェック弁7の下流に合流している。さらに、第2油圧ポンプ11の下流から制御油路23が分岐し、チェック弁24及び絞り25を介して分岐油路6上のチェック弁7の下流に合流している。
【0005】
この従来回路は上記構成により以下のように作用する。即ち、アームを単独で操作するときは、切換弁13のセンタ油路12(左側入出力ポート)が連通し、合流用切換弁14の油路(入出力ポート)は遮断状態になる。従って、センタ油路12の圧油は合流油路21を経由して分岐油路6に合流し、アームシリンダの移動速度を速める。一方、制御油路23からも第2油圧ポンプ11の圧油は供給されるが絞り25による抵抗のため合流油路からの圧油供給量に比べて小さい。
【0006】
次に、ブームを単独で操作するときは、センタ油路12は切換弁13で遮断され(左側入出力ポートは遮断)、また制御油路23も切換弁3により遮断される。従って、このときは、第2油圧ポンプ11からの圧油は全てブームシリンダの操作に使用される。このため、ブームシリンダはより速い速度で移動可能となる。
【0007】
また、アームとブームの双方が同時に操作されるときは、第2油圧ポンプ11からの圧油は一部制御油路を経由して分岐油路6に合流し、アームシリンダの移動速度を速める。しかし、センタ油路12は切換弁13で遮断されているので合流油路21を経由する増速は起こらない。また、ブームシリンダの移動速度は制御油路を流れる圧油の分だけ移動速度が遅くなる。
【0008】
以下に、油圧ショベルで水平引きを行う場合の作業について図3を用いて説明する。図3は油圧ショベルの全体概略を示したものであり、図3において、走行車両41上に上部施回体42が設けられている。上部施回体42の正面適宜の位置にブーム43が回動自圧に設けられ、ブーム43の先端部にアーム44及び、バケット45が順次回動自圧に連結されている。ブーム43、アーム44及び、バケット45は各々ブーム用シリンダ19、アーム用シリンダ8、バケット用シリンダによってその回動角及び速度が制御されている。
【0009】
上記油圧ショベルで水平引き作業を行うにはブーム43、アーム44及びバケット45を同時に操作しながら、バケット45の先端を図の矢印方向に移動する必要がある。即ち、アーム閉じ操作、ブーム上げ操作を同時に行いながら、バケットの回動操作を行う。水平引作業の初期段階ではバケット45は施回体42から最も遠い位置にあり、ここから水平引き作業を行うにはアーム44の閉じ操作(アームシリンダ46の伸長操作)を行う。この場合バケット45の下向き速度が大きい為、ブーム43の上げ操作を高速度で行う必要がある。
【0010】
次に中間段階、即ちバケットがある程度引き寄せられた状態では、バケットの下向き速度は小さくなる。従って、ブームの上げ操作量も小さくなり、ブームの上げ操作は微妙な操作が必要となる。即ちブーム用方向切換弁13の上げ操作と遮断操作の切換を頻繁に行う必要がある。これにより、ブームシリンダ19の上げ側入口ポート19aへの供給油量の流入/遮断の変化が頻繁に行われる。また方向切換弁13の右側中間入出力ポートの開口面積は中央左側入出力ポートの開口面積に比べて大きい為、供給油の油圧が振動的になる。このためブームが振動的になり、これが操作者に「ふわふわ感」を与える。
【0011】
このふわふわ感を防止するためには油圧ポンプ11からの圧油供給量を一部アーム側へ直接逃がしてブームシリンダの上げ側ポートへの供給油量の変化を少なくすれば良い。このために従来、回路では絞り25を介して油圧ポンプからの圧油の一部をアーム側へ供給する油路が設けられている。
【0012】
以上の説明から分かるように、この従来回路では、絞り25の作用により、ブームシリンダの移動速度を抑え、油圧ショベルで水平引き動作を行うときに起こるブームの「ふわふわ感」を防止すると同時にアームの移動速度の上昇を図っていた。しかし、絞り25は固定絞りであり、かつアームとブームを同時に操作した場合は第2油圧ポンプ11からの圧油がこの絞り25を介してアームシリンダ8に流れる。
【0013】
従って、絞り25の抵抗が小さい場合は、水平引き等のフル操作時には第2ポンプ11からの圧油が低圧のアームシリンダ側に流れ込んでしまい、ブームが上がらず、アームのみが高速で移動する結果、バケットが地面に食い込んでしまうという不都合が発生した。これを防止するために、アームシリンダ用切換弁3の開度を絞り込む操作をするとアームの移動速度が落ちて作業能率の向上が図れないという不都合がある。また、絞り25の抵抗を大きくするとブームの移動速度は上昇するが、ゲインが大きいため、ブーム操作に「ふわふわ感」が生じたり、アームシリンダへの圧油供給量不足によるアームの瞬間的停止又は減速するいわゆる「息継ぎ」という現象が起こり操作性が悪くなるという不都合が再発する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、従来回路では絞り25が固定絞りであったため、水平引き作業等における作業能率の向上と「ふわふわ感」等の防止を同時に解決することができなかった。本発明は上記課題を解決し、操作性の優れた油圧ショベルの制御回路を提供することを目的とし、このため、可変絞り弁または切換絞り弁を採用した。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の制御回路は、ブーム用駆動油路とアーム用駆動油路とを連通させ、該連通油路上に可変絞り弁または切換絞り弁を設け、前記絞り弁の閉側パイロットポートにブーム上向側パイロット圧が作用するように配管接続し、かつ該絞り弁の開側パイロットポートにアームパイロット圧が作用するように配管接続し、前記絞り弁にアームパイロット圧とブーム上向き側パイロット圧を夫々作用させた場合において、アーム閉じ操作とブーム上げ操作が行われているときは該絞り弁が閉状態になるように構成し、ブームの上げ速度を小さくするためにブーム上げ操作を戻し始めてパイロット油圧が下がったときに該絞り弁が開状態に切換るように構成したことを特徴としている。
【0016】
請求項1による制御回路では、例えば床掘作業の初期操作段階のようにアーム閉じ操作とブームの上げ操作の操作量がほぼ同じかまたはそれ以上の場合は該絞り弁を閉状態にし、作業の途中又は最終段階のようにブームの上げ速度が低速でよく、アームの移動速度を速くしたい場合は該絞り弁を開状態に移し、ブーム側の圧油供給量の一部をアーム側に流入させ、ブームのゲインを下げる。これにより、初期段階ではブームはよく上がり、バケットの食い込みは防止できる。また、後半の段階では、アームの速度上昇が図られ、作業能率が向上すると共に、ブームのゲインが小さくなるため「ふわふわ感」が生じず、操作性が良くなる。
【0017】
また、請求項2の制御回路は、請求項1の制御回路で該絞り弁の閉状態から開状態への切換えは、アームパイロット圧がブーム上向き側パイロット圧に比較して所定圧以上に上昇したときに連通状態になるようにしたことを特徴としている。即ち、請求項2の制御回路では、アームパイロット圧がブーム上向側パイロット圧より所定圧だけ上昇したときに初めて絞り弁が閉状態から開状態に移行する。従って、所定圧を大きくとるとブームの上げ速度を操作の途中まで高速に維持することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態の概略構成を示す図である。図1において、従来回路(図2参照)で説明したと同じ構成要素については同じ参照番号を付して詳細な説明は省略する。
図1と図2を比較すれば分かるように、この実施形態では、絞り25(図2参照)の代わりに切換弁31を利用している。この切換弁31は遮断状態と絞り付きの開状態との切換が可能な弁で絞りの抵抗は適切なものが選択される。また、この切換弁のスプールの閉側はスプリング31cにより加圧されている。切換弁31の閉側パイロットポート31aにはブーム用リモコン弁32のブーム上げ操作側のパイロット油圧を作用させ、開側パイロットポート31bにはアーム操作用リモコン弁パイロット油圧をシャトル弁34を介して作用させている。
【0019】
本実施形態は上記の構成により以下のように機能する。即ち、床掘開始時等の操作では、アーム閉じ操作(アーム引き操作)とブーム上げ操作を同時に行うが、両操作量は略同じである。即ち、アームリモコン33のパイロット油圧とブームリモコン32のパイロット油圧は略同程度である。従って、切換弁31は、ばね31Cの力が作用しているため、遮断状態にある。この状態では第2油圧ポンプ11からの圧油は切換弁13を介して全てブーム用シリンダ19に供給されるため、ブームはよく上がる。
【0020】
しかし、該操作の中間段階ではブームの上げ速度を小さくするため、ブーム上げ操作を戻し始める。これにより、ブーム用リモコン32のパイロット油圧が下がり、切換弁31は閉状態から開状態に移動し始める。これにより、油圧ポンプ11の圧油が一部アーム用切換弁3に流れ始め、アームの速度が増加し、作業能率が向上すると共に、ブームのゲインが下がる(ブーム切換弁13に流れる圧油の割合が減少する。)ため、ブームの「ふわふわ感」がなくなり、更に、アームシリンダへの圧油供給量は増加するため息継ぎのような現象は発生せず、操作性が良くなる。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、床堀等の初期操作の段階ではブームはスムースに上がるため、バケットが地面等に食い込むことはない。また、中間段階ではアームの移動速度が増加するため作業能率も向上し、かつブームのゲインが下がるため、ふわふわ感等がなく、操作性が良くなるという効果がある。
【0022】
尚、上記実施形態では、切換弁31の移動開始時期をばね31Cにより調整しているが、本発明はこれに限るものではなく、ばね31Cの代わりにアームリモコン33とパイロットポート31bの油路上に減圧弁を介在させても良いし、また、パイロットポート31bの油圧の作用する面積をパイロットポート31aの面積よりも小さくしてもよい。切換弁31の閉側から開側への移動開始時期、即ち、ばね31cの押圧力等は操作性を考慮して適切に定める。または、調整可能にする手段を設けて調整しながら定めてもよい。
【0023】
以上、この発明の実施形態および実施例を図面により詳細に説明してきたが、具体的な構成は以上の説明又は例示されたものに限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があってもこの発明に含まれる。例えば、
切換絞り弁31の代わりに可変絞り弁を用いてもよいし、電磁比例弁等を用いて同様な機能を行わせてもよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、アームの速度増大による作業能率の向上が図られ、ブーム操作にふわふわ感やアームの息継ぎ現象がなくなり操作性が良くなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の制御回路を示す図である。
【図2】従来の制御回路を示す図である。
【図3】従来利御回路を実施した油圧ショベルの1例を示す図である。
【符号の説明】
2 センタ油路(アーム駆動油路)
3 アームシリンダ用切換弁
8 アームシリンダ
12 センタ油路(ブーム駆動油路)
13 ブームシリンダ用切換弁
19 ブームシリンダ
23 制御油路(連通油路)
31 切換弁(切換絞り弁)
32 ブーム用リモコン
33 アーム用リモコン
Claims (2)
- ブーム用駆動油路とアーム用駆動油路とを連通させ、該連通油路上に可変絞り弁または切換絞り弁を設け、前記絞り弁の閉側パイロットポートにブーム上向側パイロット圧が作用するように配管接続し、かつ該絞り弁の開側パイロットポートにアームパイロット圧が作用するように配管接続し、前記絞り弁にアームパイロット圧とブーム上向き側パイロット圧を夫々作用させた場合において、アーム閉じ操作とブーム上げ操作が行われているときは該絞り弁が閉状態になるように構成し、ブームの上げ速度を小さくするためにブーム上げ操作を戻し始めてパイロット油圧が下がったときに該絞り弁が開状態に切換るように構成したことを特徴とする油圧ショベル制御回路。
- 前記絞り弁の閉状態から開状態への切換えは、アームパイロット圧がブーム上向き側パイロット圧に比較して所定圧以上に上昇したときに連通状態になるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の油圧ショベル制御回路。
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