JPH0442368Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は油圧シヨベルの旋回・アーム同時操作
用油圧回路に関するものである。

従来の技術 油圧シヨベルの上部旋回体フロント部には、ブ
ーム、アーム、バケツトなど作業アタツチメント
（図示なし）を装着して種々の掘削作業を行なつ
ている。そのうち、バケツト側面を傾斜壁面に押
付けて壁面を垂直に掘削する旋回押付掘削やアー
ム斜め引き整地などがあるが、いずれも旋回とア
ームの同時操作を行なうものである。それで旋回
押付掘削においては、旋回力が小さいとバケツト
が側方へ逃げて傾斜壁面を垂直に掘削することは
できない。そのために、油圧シヨベルにて旋回と
アームを同時操作する場合には旋回優先システム
が採用されている。第２図は従来技術の旋回優先
システムの油圧回路図である。図において、１は
旋回操作用リモートコントロール弁（以下リモコ
ン弁という）、２はアーム操作用リモコン弁、３
は旋回モータ、４はアームシリンダ、５は旋回モ
ータ３制御用旋回切換弁、６′はアームシリンダ
４制御用アーム切換弁、７は油圧ポンプ、８はパ
イロツトポンプ、９，１０は旋回切換弁５左右の
それぞれパイロツト圧受圧部、１１はパイロツト
圧受圧部９と１０とを連通する油路中間部に設け
られたシヤトル弁である。

本油圧回路は上記の如き油圧機器にて構成され
ているが、次に旋回・アームの同時操作における
作動機能について述べる。たとえば旋回用リモコ
ン弁１をイ位置へ、またアーム用リモコン弁２を
ロ位置へ同時に操作する。そうすると旋回用リモ
コン弁１よりのパイロツト圧はパイロツト油路１
２を経て旋回切換弁５の右側パイロツト圧受圧部
１０へ作用し旋回切換弁５をハ位置に切換えると
ともに、アーム用リモコン弁２よりパイロツト圧
はパイロツト油路１３を経て、アーム切換弁６′
の右側パイロツト圧受圧部１４へ作用しアーム切
換弁６′をニ位置に切換える。それと同時に、油
圧ポンプ７より吐出圧油は油路１５、チエツク弁
１６、油路１７，１８、チエツク弁１９、旋回切
換弁５のハ位置を経て旋回モータ３へ送油され、
該旋回モータ３を回転作動させる。一方、アーム
シリンダ４は旋回モータ３と回路が並列に設けら
れているので、油圧ポンプ７よりの吐出圧油は油
路１５、チエツク弁１６、油路１７，２０、アー
ム切換弁６′のニ位置、油路２１を経てアームシ
リンダ４の伸張作動を行なわしめる。また、旋回
切換弁５の右側パイロツト圧受圧部１０に作用し
たパイロツト圧油の一部は、シヤトル弁１１、油
路２２を経て切換弁６′のニ位置セクシヨン内の
可変リストリクタ２３に作用する。そこでアーム
シリンダ４ピストンロツド側よりの戻り油回路
は、切換弁６′のニ位置セクシヨン内可変絞り部
２４にて油路が絞られる。そのために、アームシ
リンダ４のヘツド側圧力は昇圧するが送油量は減
少するので、油圧ポンプ７よりの吐出圧油は油路
１８、チエツク弁１９、旋回切換弁５のハ位置を
経て旋回モータ３へ多分に供給され、旋回力は増
大する。

考案が解決しようとする問題点 油圧シヨベルにおいては、旋回モータとアーム
シリンダが油圧ポンプ吐出側同一回路上に並列に
接続されている。それで旋回・アームを同時操作
して、たとえば旋回押付掘削作業などを行なうと
油圧ポンプからの吐出圧油は負荷の小さい低圧の
方へ流れる。そのために旋回力は弱くなり、バケ
ツトが側方へ逃げて旋回押付掘削作業が困難にな
る。そこで従来技術の旋回優先システムではアー
ム切換弁内に可変絞り部を設け、その可変絞り部
に旋回作動パイロツト圧を作用させ、アームシリ
ンダへの供給油量を減少させると同時に、旋回モ
ータへの供給油量をふやして旋回力を増大させて
いる。しかし上記旋回優先システムにおいては、
第２図内旋回モータ３用リリーフ弁２５のリリー
フ設定圧をアーム切換弁６′側のリリーフ弁２６
より低圧に設定している。そのために旋回モータ
３用リリーフ弁２５がリリーフするとアームシリ
ンダ４側油路もリリーフ弁２５設定圧より油圧が
上がらず、アーム掘削力は低下し掘削作業性を阻
害していた。そこで本考案は、旋回・アーム同時
操作時における旋回優先機能と旋回モータリリー
フに対するアーム掘削力増加機能とをともにそな
えた油圧回路を提供することを目的とするもので
ある。

問題点を解決するための手段 上記の問題点を解決するために講じたこの考案
の手段は イ リモコン弁操作にて導出されるパイロツト圧
により切換弁を切換えて、油圧ポンプの吐出圧
油を各種油圧アクチユエータに供給する油圧シ
ヨベルの油圧回路において、油圧ポンプの吐出
油路に絞り部位置付切換弁を設け、 ロ 上記絞り部付切換弁よりアーム切換弁および
旋回切換弁を並列に配置し、 ハ 一方、旋回切換弁の左右両側パイロツト圧受
圧部を連通する油路中間部に設けられたシヤト
ル弁と、上記絞り部付切換弁のパイロツト圧受
圧部とのパイロツト油路中間部にパイロツト切
換弁を設け、 ニ 上記パイロツト切換弁により絞り部付切換弁
を切換制御可能に持続するとともに、 ホ 上記パイロツト切換弁のパイロツト圧受圧部
と旋回モータ用リリーフ弁の出口側とを連通せ
しめる如く構成した。

作 用 イ 油圧シヨベルの旋回用リモコン弁を単独操作
すると、旋回作動パイロツト圧がシヤトル弁を
経て絞り部付切換弁のパイロツト圧受圧部へ作
用する。そうすると油圧ポンプからの吐出圧油
は、絞り部付切換弁の絞り部を有しない方の油
路を通じて旋回モータへ十分な油量にて送油さ
れる。

ロ また油圧シヨベルのアーム用リモコン弁を単
独操作すると、従来技術と同時に、アームシリ
ンダへは十分な供給油量が送油される。

ハ 旋回用およびアーム用リモコン弁を同時操作
すると絞り部付切換弁は切換わり、アームシリ
ンダへ供給する油は絞り部を通過し、旋回モー
タへ供給する油は絞り部のない油路を通過す
る。したがつてアームシリンダへの流量は減少
し、旋回モータへの流量は増加するので、旋回
力は増大していわゆる旋回優先システムが可能
である。

ニ 旋回・アーム同時操作時において旋回モータ
用リリーフ弁がリリーフした場合には、そのリ
リーフ弁の出口側より導出されるパイロツト圧
はパイロツト切換弁を切換える。そのために、
旋回作動パイロツト圧は絞り部付切換弁に作用
しなくなり、該絞り部付切換弁も切換わる。そ
れで旋回モータへ供給する油は絞り部を通過
し、アームシリンダへ供給する油は絞り部のな
い油路を通過する。したがつて旋回モータへの
流量は絞られて減少し、アームシリンダ側の流
量および圧力が増加するので、アーム掘削力は
増大する。

実施例 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。第１図は本考案の油圧回路図である
が、本考案油圧回路は従来技術油圧回路第２図に
おけるアーム切換弁ニ位置セクシヨン内の可変絞
り部を廃止し、回路内に絞り部付切換弁およびパ
イロツト切換弁を付加配置して、旋回優先機能や
旋回用リリーフ弁リリーフ時のアーム掘削力増加
機能をはたらかせる如く構成したものである。第
１図において、６はアーム切換弁、２７は絞り部
付切換弁、２８はパイロツト切換弁、２９，３０
は絞り部付切換弁２７、パイロツト切換弁２８の
それぞれパイロツト圧受圧部、３１は油タンク、
３２はポンプ駆動用原動機、３３はパイロツトポ
ンプ８用リリーフ弁、３４はブーストチエツク弁
である。なお、本回路内絞り部付切換弁２７およ
びパイロツト切換弁２８のそれぞれパイロツト圧
受圧部２９，３０へパイロツト圧が作用していな
いときには、絞り部付切換弁２７はホ位置に、そ
してパイロツト切換弁２８はト位置にある。また
旋回モータ３用リリーフ弁２５のリリーフ設定圧
は、旋回モータ３と他の油圧アクチユエータと同
時作動時の作業性や旋回減速機（図示なし）の強
度上の制限などにより、アーム切換弁６側のリリ
ーフ弁２６より低圧に設定してある。

次に、本考案油圧回路の旋回・アーム同時操作
時における作動機能について述べる。旋回用リモ
コン弁１をイ位置へ、またアーム用リモコン弁２
をロ位置へ同時に操作する。そうすると、リモコ
ン弁１のパイロツト圧により旋回切換弁５はハ位
置へ切換わるが、それと同時にリモコン弁１のパ
イロツト圧はパイロツト油路１２、シヤトル弁１
１、油路３５、パイロツト切換弁２８のト位置、
油路３６を経て絞り部付切換弁２７のパイロツト
圧受圧部２９へ作用する。そこで絞り部付切換弁
２７はヘ位置に切換わる。そのために油圧ポンプ
７からの吐出圧油は旋回モータ３に対して、油路
１５、チエツク弁１６、油路３７、絞り部付切換
弁２７のヘ位置セクシヨン部絞り部のない油路、
油路３８、チエツク弁１９、旋回切換弁５のハ位
置を経て旋回モータ３を作動させる。一方、旋回
モータ３と並列に接続されているアームシリンダ
４へは、圧油がチエツク弁１６，油路３７、絞り
部付切換弁２７のヘ位置セクシヨン内絞り部付油
路、油路３９、アーム切換弁６のニ位置、油路２
１を経てアームシリンダ４を伸張作動させる。ア
ームシリンダ４へ送油される圧油は、絞り部付切
換弁２７の絞り部にて流量が減少されるので、旋
回モータ３への供給湯量が増加し、旋回力は増大
する。しかし本考案ではさらに、旋回モータ側リ
リーフ弁２５がリリーフした場合に、そのリリー
フ弁２５の出口側よりのパイロツト圧が油路４０
を経てパイロツト切換弁２８のパイロツト圧受圧
部３０へ作用する。そうするとパイロツト切換弁
２８はチ位置に切換わり、シヤトル圧１１、油路
３５よりのパイロツト圧は遮断され、かつ絞り部
付切換弁２７のパイロツト圧受圧部２９は油路３
６、パイロツト切換弁２８のチ位置、油路４１を
経て油タンク３１と連通する。そのために、絞り
部付切換弁２７は弁内ばね力によりホ位置へ切換
わる。それで旋回モータ３へ供給する油は、絞り
部付切換弁２７ホ位置内絞り部を通過し、アーム
シリンダ４へ供給する油は絞り部のない油路を通
過する。したがつて旋回モータ３用リリーフ弁２
５がリリーフした場合には、旋回モータ３への流
量が絞られて減少し、アームシリンダ４側の流量
および圧力は増加するので、アーム掘削力を増大
させることができる。

考案の効果 前述のように本考案油圧回路は、油圧ポンプ吐
出油路に絞り部付切換弁を設け、該絞り部付切換
弁より旋回切換弁およびアーム切換弁を並列に配
置し、その絞り部付切換弁はパイロツト切換弁を
通過する旋回作動パイロツト圧により切換制御可
能とするとともに、上記パイロツト切換弁を旋回
モータ用リリーフ弁のリリーフ時における出口側
パイロツト圧により切換制御する如く構成した。
それで油圧シヨベルの旋回・アーム同時操作を行
なう場合には、旋回作動パイロツト圧が絞り部付
切換弁を切換えるので、アームシリンダ側への供
給圧油は絞り部付切換弁の絞り部を通過し、旋回
モータ側への供給圧油は絞り部のない油路を通過
する。そのために旋回モータへの供給油量が増加
し、いわゆる旋回優先機能が可能となる。また旋
回モータ用リリーフ弁がリリーフした場合には、
リリーフ弁出口側のパイロツト圧はパイロツト切
換弁を切換えるので、絞り部付切換弁も切換わ
る。そうすると旋回モータ側への供給圧油は絞り
部付切換弁の絞り部を通過し、一方、アームシリ
ンダへの供給圧油は絞り部のない油路を通過す
る。そのためにアームシリンダへの供給油量およ
び圧力が増加し、アーム掘削力を増大せしめるこ
とができる。

従来技術では、旋回優先システムとしてアーム
切換弁内に可変絞り部を設け、その可変絞り部に
旋回作動パイロツト圧を作用させてアームシリン
ダへの供給油量を減少させると同時に、旋回モー
タへの供給油量をふやして旋回力を増加させてい
た。しかし旋回モータ用リリーフ弁がリリーフす
ると、アームシリンダ側の圧油が旋回用リリーフ
設定圧以上に上昇しないので、アーム掘削力は低
下し掘削作業性を阻害していた。

しかし本考案ではアーム切換弁内に可変絞り部
を設けないで、回路内に絞り部付切換弁およびパ
イロツト切換弁を設定することにより、旋回優先
機能及び旋回リリーフ時のアーム掘削力増加機能
をはたらかせることができる。したがつて旋回・
アーム同時操作において、旋回優先作動は勿論、
旋回モータ用リリーフ弁がリリーフしてもアーム
掘削力を低下させることなく、重掘削を続行し掘
削作業性を向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の油圧回路図、第２図は従来技
術の油圧回路図である。 １，２……リモートコントロール弁、３……旋
回モータ、４……アームシリンダ、５……旋回切
換弁、６，６′……アーム切換弁、７……油圧ポ
ンプ、１１……シヤトル弁、２５，２６，３３…
…リリーフ弁、２７……絞り部付切換弁、２８…
…パイロツト切換弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. リモートコントロール弁操作にて導出されるパ
   イロツト圧により切換弁を切換えて、油圧ポンプ
   の吐出圧油を各種油圧アクチユエータに供給する
   油圧シヨベルの油圧回路において、油圧ポンプの
   吐出油路に絞り部付切換弁を設け、該絞り部付切
   換弁よりアーム切換弁および旋回切換弁を並列に
   配置し、一方、旋回切換弁の左右両側パイロツト
   圧受圧部を連通する油路中間部に設けられたシヤ
   トル弁と上記絞り部付切換弁パイロツト圧受圧部
   とのパイロツト油路中間部にパイロツト切換弁を
   設け、該パイロツト切換弁により絞り部付切換弁
   を切換制御可能に接続するとともに、上記パイロ
   ツト切換弁のパイロツト圧受圧部と旋回モータ用
   リリーフ弁の出口側とを連通せしめる如く構成し
   ていることを特長とする油圧シヨベルの油圧回
   路。