JP3142640B2 - 油圧作業機の油圧回路 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は油圧作業機の油圧駆動シ
ステムに係り、特に油圧ショベルのような複数の作業要
素を備えた油圧作業機の油圧回路に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の油圧作業機の油圧回路を図３ない
し図５をもとに従来技術を説明する。１は左右一対のク
ローラ４，６を備えた構造をもつ走行体、２は該走行体
１上に旋回自在に取り付けられた旋回体で、該旋回体２
は旋回体に設けられた旋回用アクチュエータとしての旋
回用油圧モータ３によって、走行体１に対して旋回駆動
される。前記走行体１は、右側に設けられた上記クロー
ラ６を駆動するために、右側の走行体の一端部に設けら
れた第１の走行用アクチュエータとしての右走行用油圧
モータ７、左側に設けられた上記クローラ４を駆動する
ために、左側の走行体の一端部に設けられた第２の走行
用アクチュエータとしての左走行用油圧モータ５によっ
て走行可能となっている。また上記旋回体２には、ブー
ム８、アーム９、バケット１０から構成される作業装置
としてのフロント作業機１４が取り付けられており、そ
れらはそれぞれブーム用アクチュエータとしてのブーム
シリンダ１１、アーム用アクチュエータとしてのアーム
シリンダ１２、バケット用アクチュエータとしてのバケ
ットシリンダ１３によってそれぞれが揺動する。そし
て、前述した走行体１、旋回体２、フロント作業機１４
を駆動する左右の走行用モータ５，７、旋回用油圧モー
タ３、ブームシリンダ１１、アームシリンダ１２、バケ
ットシリンダ１３などのそれぞれのアクチュエータは、
第１，第２の油圧ポンプ２１，３１を有する第１，第２
の油圧回路１２０，１３０を構成し、これら第１，第２
の油圧回路１２０，１３０には、前記油圧ポンプ２１，
３１から前記それぞれのアクチュエータに供給される圧
油の流れを制御するための複数の方向切換弁からなる第
１，第２の方向切換弁群２２，３２をそれぞれ有し、こ
れら前記方向切換弁を操作して関連する前記アクチュエ
ータの作動を制御するようになっている。

【０００３】次に前記した、第１，第２の油圧回路につ
いて図３をもとにさらに詳細に説明する。

【０００４】前記第１の油圧回路１２０は、第１の方向
切換弁群２２と、前記第１の方向切換弁群２２に接続さ
れ、原動機１２１によって駆動される第１の油圧ポンプ
２１から構成されており、前記第１の方向切換弁群２２
は、第１の油圧ポンプ２１から優先的に圧油を受け得る
最上流に位置する第１の走行用方向切換弁としての右走
行用方向切換弁２３と、その下流の位置で第１の油圧ポ
ンプ２１から圧油を受け得るバケット用方向切換弁２６
と、その下流の位置で第１の油圧ポンプ２１から圧油を
受け得る第１のブーム用方向切換弁２４と、その下流の
位置で第１の油圧ポンプ２１から圧油を受け得る第１の
アーム用方向切換弁２５とを備え、それら方向切換弁２
３，２６，２４，２５は、第１の油圧ポンプ２１に対
し、先の順で主管路１６により接続されている。しかし
ながらバケット用方向切換弁２６の入口ポ−ト２６ａ
と、第１のブーム用方向切換弁２４の入口ポ−ト２４ａ
とはバイパス管路４１を介して並列に接続されている。

【０００５】さらに前記第２の油圧回路１３０は、第２
の方向切換弁群３２と、前記第２の方向切換弁群３２に
接続され、原動機１３１によって駆動される第１の油圧
ポンプ３１から構成されており、前記第２の方向切換弁
群３２は、第２の油圧ポンプ３１から吐出される圧油の
最下流の位置で第２の油圧ポンプ３１から圧油を受け得
る第２の走行用方向切換弁としての左走行用方向切換弁
３３と、その上流の位置で第２の油圧ポンプ３１から圧
油を受け得る第２のブーム用方向切換弁３４と、その上
流の位置で第２の油圧ポンプ３１から圧油を受け得る第
２のアーム用方向切換弁３７と、その上流の位置で第２
の油圧ポンプ３１から圧油を受け得る旋回用方向切換弁
３５とを備え、それら方向切換弁３３，３４，３７，３
５は第２の油圧ポンプ３１に対し、先の順で主管路１７
により接続されていると共に、旋回用方向切換弁３５
と、第２のアーム用方向切換弁３７と、第２のブーム用
方向切換弁３４は、それぞれの入口ポ−ト３５ａ，３７
ａ，３４ａをバイパス管路４２，４３によって接続する
ことにより、並列に接続されている。

【０００６】なお前記した第１，第２の油圧ポンプ２
１，３１はそれぞれ原動機１２１，１３１によって駆動
するものとしたが、同一の原動機によって第１，第２の
油圧ポンプ２１，３１を駆動しても同様の機能をえるこ
とができる。

【０００７】前記第１，第２の方向切換弁群２２，３２
を構成するそれぞれの方向切換弁において、右走行用方
向切換弁２３には、第１の走行用アクチュエータとして
の右走行用油圧モータ７が接続され、バケット用方向切
換弁２６には、バケット用アクチュエータとしてのバケ
ット用油圧シリンダ１３が接続され、第１のブーム用方
向切換弁２４には、ブーム用アクチュエータとしてのブ
ーム用油圧シリンダ１１が接続され、第１のアーム用方
向切換弁２５には、アーム用アクチュエータとしてのア
ーム用油圧シリンダ１２が接続されている。さらに左走
行用方向切換弁３３には、第２の走行用アクチュエータ
としての左走行用油圧モータ５が接続され、第２のブー
ム用方向切換弁３４には、ブーム用アクチュエータとし
てのブーム用油圧シリンダ１１が接続され、ブーム用油
圧シリンダ１１のロッド室とタンク５６とは、管路４４
によって接続され、管路４４には、タンク５６からブー
ム用油圧シリンダ１１へ流れのみを許容する逆止弁４５
が介在されている。また第２のアーム用方向切換弁３７
にはアーム用アクチュエータとしてのアーム用油圧シリ
ンダ１２が接続され、旋回用方向切換弁３５には、旋回
用アクチュエータとしての旋回用油圧モータ３が接続さ
れている。

【０００８】前記した第１，第２のブーム用方向切換弁
２４，３４は、それぞれパイロット室２４ｂ，２４ｃ及
び、パイロット室３４ｂ，３４ｃを備えており、そして
操作レバー８５ａによって操作される図示しない減圧弁
で構成されたパイロット弁８５と前記パイロット室２４
ｂ，３４ｃとは伝達手段としてのパイロット管路ａによ
って接続され、前記パイロット弁８５と前記パイロット
室２４ｃとは伝達手段としてのパイロット管路ｂによっ
て接続されている。そして、前記した第１，第２のブー
ム用方向切換弁２４，３４は、前記パイロット弁８５を
作動することにより、パイロット用油圧ポンプ１１５か
らの圧油の圧力に基づき、操作信号を前記パイロット室
２４ｂ，２４ｃ，３４ｃに出力して切り換えられる。パ
イロット室３４ｂは、タンクポ−ト５６に接続されてい
る。他の方向切換弁２３，２６，２５，３３，３７，３
５はそれぞれ図示したレバーによって直接操作される。

【０００９】さらに第１，第２の油圧回路１２０，１３
０には、第１，第２の方向切換弁群２２，３２のフロン
ト作業機用の方向切換弁２６，２４，２５，３７，３４
及び、旋回用方向切換弁３５の作動を検出するためのフ
ロント動作検出手段５０が設けてあり、第１の油圧ポン
プ２１と、左走行用方向切換弁３３との間には、バイパ
ス回路４０が設けられている。前記バイパス回路４０
は、一端が左走行用方向切換弁３３の入口ポ−ト３６ａ
に接続され、他端は右走行用方向切換弁２３の入口ポ−
ト３６ｂに接続されているバイパスライン３７と、その
バイパスライン３７中に介在された開位置ｇと閉位置ｈ
を有する開閉弁３８及び、逆止弁３９を備えている。開
閉弁３８は、フロント作業機用の方向切換弁２６，２
４，２５，３７，３４及び、旋回用方向切換弁３５が操
作状態にないときは閉位置ｈにあり、フロント動作検出
手段５０がフロント作業機用の方向切換弁２６，２４，
２５，３７，３４及び、旋回用方向切換弁３５のいずれ
かの切り換え動作を検出したときには開位置ｇに切り換
わるようになっており、逆止弁３９は、第１の油圧ポ−
ト２１のから吐出される圧油の流れのみを許容するよう
に取り付けられている。

【００１０】フロント動作検出手段５０は、パイロット
用油圧ポンプ５１と、一端が前記パイロット油圧源５１
に接続され、フロント作業機用方向切換弁２６，２４，
２５，３７，３４及び旋回用方向切換弁３５にそれぞれ
設けられるパイロット切換弁５５ａ，５５ｂ，５５ｃ，
５５ｄ，５５ｅ，５５ｆを貫通し、他端がタンク５６に
通じるパイロット通路５３と、一端が上記開閉弁３８の
パイロット部に接続され、他端がパイロット通路５３に
接続されたフロント・旋回信号伝達通路５４から構成さ
れている。前記パイロット通路５３には、前記パイロッ
ト油圧源５１から吐出され、パイロット通路５３を流れ
る圧油の最高圧力を規定する図示しないリリーフ弁が接
続されている。以上のように構成されるフロント動作検
出手段５０は、少なくとも、フロント作業機用の方向切
換弁２６，２４，２５，３７，３４、旋回用方向切換弁
３５のうちのいずれか１つが作動したときには、タンク
５６に通ずるパイロット通路５３がパイロット切換弁５
５ａ，５５ｂ，５５ｃ，５５ｄ，５５ｅ，５５ｆのいず
れかによって遮断されるために、フロント・旋回信号伝
達通路５４内の圧力がタンク圧から前記リリーフ弁によ
って規定される圧力まで上昇し、その圧力はフロント・
旋回信号伝達通路５４を介して、開閉弁３８のパイロッ
ト部に伝達され、開閉弁３８が、閉位置ｇに切り換えら
れて、第１の油圧ポンプ２１と、左走行用方向切換弁３
３の入口ポ−ト３６ａとが接続される。

【００１１】以上のように構成される油圧作業機の油圧
回路において、その動作を以下に説明する。

【００１２】（１）フロント作業機あるいは旋回動作
と、走行動作との複合操作 フロント作業機用方向切換弁２６，２４，２５，３７，
３４及び、旋回用方向切換弁３５を操作して、フロント
作業機１４，旋回体２のいずれかを動作すると、フロン
ト動作検出手段５０によってバイパスライン３７に介在
している開閉弁３８が閉位置ｈから開位置ｇに切り換わ
り、左走行用油圧モータ５と右走行用油圧モータ７に
は、第１の油圧ポンプ２１から吐出される圧油が供給さ
れ、フロント作業機１４のアクチュエータあるいは旋回
用油圧モータ３には、第２の油圧ポンプ３１の圧油が供
給されるために、走行体１は、フロント作業機１４、旋
回体２の負荷の影響を受けないので走行動作の独立性が
確保される。

【００１３】（２）旋回動作と走行動作の複合操作 旋回用方向切換弁３５を操作して旋回動作を行うと上述
したようにフロント動作検出手段５０によってバイパス
ライン３７に介在している開閉弁３８が閉位置ｈから開
位置ｇに切り換わり、左走行用油圧モータ５と右走行用
油圧モータ７には、第１の油圧ポンプ２１から吐出され
る圧油が供給されると共に、第２の方向切換弁群３２に
配設している旋回用方向切換弁３５は左走行用方向切換
弁３３よりも優先的に第２の油圧ポンプ３１の圧油を受
け、その圧油が旋回用油圧モータ３に、供給されるた
め、走行体１は、旋回体２の負荷の影響を受けないので
走行動作の独立性が確保される。

【００１４】（３）走行動作とアーム動作の複合操作 第１，第２のアーム用方向切換弁２５，３７を操作し
て、アーム９の動作を行うと前述したようにフロント動
作検出手段５０によってバイパスライン３７に介在して
いる開閉弁３８が閉位置ｈから開位置ｇに切り換わり、
第１の油圧ポンプ２１から吐出される圧油は、左走行用
油圧モータ５と右走行用油圧モータ７に供給されて、第
１のアーム用方向切換弁２５には圧油が供給されない
が、第２の方向切換弁群３２の第２のアーム用方向切換
弁３７が左走行用方向切換弁３３よりも優先的に第２の
油圧ポンプ３１の圧油を受けるため、アーム用油圧シリ
ンダ１２には、第２のポンプ３１の圧油が供給されて、
走行動作に対し、アーム動作の独立性は確保される。

【００１５】（４）走行動作とブームの上げ動作の複合
動作 パイロット弁８５の操作レバー８５ａをｃ方向に操作
し、第１，第２のブーム用方向切換弁２４，３４のパイ
ロット室２４ｂ，３４ｃにブームの上げの操作信号を作
用させることにより、第１のブーム用方向切換弁２４、
第２のブーム用方向切換弁３４の双方ともブームの上げ
動作となる切り換え位置Ａに切り換わると共に、フロン
ト動作検出手段５０によってバイパスライン３７に介在
している開閉弁３８が閉位置ｈから開位置ｇに切り換わ
り、第１の油圧ポンプ２１から吐出される圧油は、左走
行用油圧モータ５と右走行用油圧モータ７に供給され、
右走行用方向切換弁２３の下流に位置する第１のブーム
用方向切換弁２４には圧油が供給されないが、第２の方
向切換弁群３２の第２のブーム用方向切換弁３４は、左
走行用方向切換弁３３よりも優先的に第２の油圧ポンプ
３１の圧油をうけるので、ブーム用油圧シリンダ１１の
ボトム室には、第２の油圧ポンプ３１の圧油が供給され
て、走行動作に対し、ブームの上げ動作の独立性は確保
される。

【００１６】

【発明が解決しようとする課題】以上のように構成され
る油圧作業機の油圧回路にあっては、第２のブーム用方
向切換弁をブームシリンダのロッド室に圧油を供給する
ように切り換えると、旋回、ブームの下げ動作との複合
動作時において、第２の油圧ポンプの圧油が第２のブー
ム用方向切換弁を介して、ブームシリンダのロッド室
と、旋回用方向切換弁を介して旋回用油圧モータへ供給
される。このとき、ブームシリンダの負荷圧の低いブー
ムの下げ動作と、負荷圧の高い旋回動作が同時に行われ
るため、第２の油圧ポンプから吐出される圧油は、負荷
圧の低いブームシリンダに流れてしまい、旋回用油圧モ
ータに供給される圧油の流量が減少して、旋回の加速性
が悪い。また、単独のブームの下げ動作を行って、特に
第１，第２の油圧ポンプからの圧油がブームシリンダの
ロッド側に供給されるとブームの下げ動作のスピードが
速すぎる不具合となるため、これらを防止する上で、ブ
ーム下げの操作信号を第２のブーム用方向切換弁に作用
させず、第２のブーム用方向切換弁を切り換えないよう
に構成している。

【００１７】走行、ブームの下げ動作の複合動作時にお
いて、第１のブーム用方向切換弁はブームの下げ操作信
号により、ブーム下げ動作位置に切り換られるとブーム
シリンダのボトム室とタンクポ−トが接続されると共
に、ロッド室とタンクとが接続されるためにブームシリ
ンダのボトム室の圧油はタンクに戻り、ロッド室にはタ
ンクから圧油が導かれて、ブームは、自重によって下が
るため、走行動作とブームの下げ動作との複合動作は可
能である。しかしながら、走行しながらブームによっ
て、車体を持ち上げる動作（例えば、油圧ショベルで急
勾配を下る際に転倒を防止するためにブームで車体を支
持しながら走行する場合）は、第２のブーム用方向切換
弁にブームの下げ動作の操作信号が作用しないようにな
っているので、第２のブーム用方向切換弁がブーム下げ
動作方向に切り換わらず、従って第２の油圧ポ−トとブ
ームシリンダのロッド室とが接続されないので、車体を
持ち上げられない。

【００１８】本発明は以上のような問題に鑑みてなされ
たもので、本発明の目的は、走行動作とブームの下げ動
作の複合動作を相互に独立性をもって行うことができる
油圧作業機の油圧回路を提供することである。

【００１９】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明が採用する構成の特徴は、請求項１に示すよ
うに、複数のアクチュエータを駆動するための少なくと
も第１及び第２の油圧回路を含み、前記第１の油圧回路
は、第１の油圧ポンプと、前記第１の油圧ポンプから関
連するアクチュエータの圧油の流れをそれぞれ制御する
ための複数の方向切換弁を含む第１の方向切換弁群とを
有し、前記第２の油圧回路は、第２の油圧ポンプと、前
記第２の油圧ポンプから関連するアクチュエータの圧油
の流れをそれぞれ制御するための複数の方向切換弁を含
む第２の方向切換弁群とを有し、前記複数のアクチュエ
ータは少なくても第１，第２の走行用アクチュエータ
と、ブーム用アクチュエータと、アーム用アクチュエー
タと、旋回用アクチュエータと、バケット用アクチュエ
ータとを含むものであり、前記第１の方向切換弁群には
少なくとも第１の走行用アクチュエータへの圧油の流れ
を制御するための第１の走行用方向切換弁と、前記ブー
ム用アクチュエータへの圧油の流れを制御するための第
１のブーム用方向切換弁とを含み、前記第１の走行用方
向切換弁は前記第１の油圧回路において前記第１のブー
ム用方向切換弁よりも優先的に前記第１の油圧ポンプか
らの圧油を受け得るように、該第１のブーム用方向切換
弁の上流の位置で該第１の油圧ポンプに接続されてお
り、前記第２の方向切換弁群には少なくとも第２の走行
用アクチュエータへの圧油の流れを制御するための第２
の走行用方向切換弁と、前記ブーム用アクチュエータへ
の圧油の流れを制御するための第２のブーム用方向切換
弁と、旋回用アクチュエータへの圧油の流れを制御する
ための旋回用方向切換弁を含み、前記第２のブーム用方
向切換弁と、旋回用方向切換弁は、前記第２の油圧回路
において前記第２の走行用方向切換弁よりも優先的に前
記第２の油圧ポンプからの圧油を受け得るように、該第
２の走行用方向切換弁の上流の位置で該第２の油圧ポン
プに接続されており、さらに前記第１の油圧ポンプと、
前記第２の走行用方向切換弁の圧油供給ポ−トとを接続
するバイパスラインを含むバイパス回路であって、前記
第２の走行用切換弁の上流に位置する前記第２のブーム
用及び、旋回用方向切換弁を含む前記第２の方向切換弁
群の少なくとも１つが作動したとき、及び前記第１の走
行用切換弁の下流に位置する前記第１のブーム用方向切
換弁を含む前記第１の方向切換弁群の少なくとも１つが
作動したときに、前記第１の油圧ポンプからの圧油を前
記第２の走行用アクチュエータに供給し得るバイパス回
路が設けられている油圧作業機の油圧回路において、第
２のブーム用方向切換弁を操作する操作手段と、該操作
手段から出力される操作信号を前記第２のブーム用方向
切換弁に伝達する伝達手段と、前記第１，第２の走行用
方向切換弁の切り換えに基づく走行作動状態を検出し、
信号を出力する走行状態検出手段とを備え、前記操作手
段から出力される操作信号を第２のブーム用方向切換弁
に伝達する位置及び遮断する位置とを有する切換手段を
前記伝達手段に設け、前記切換手段は走行状態検出手段
から出力される信号により遮断する位置から伝達する位
置へ切り換わるように構成したことにある。

【００２０】また請求項２に示すように、前記の走行状
態検出手段は、前記第１，第２の走行用方向切換弁の走
行動作方向への切り換えに基づき圧力信号を発生させ得
る圧力発生手段からなり、前記切換手段は、前記圧力信
号に基づいて切り換わる切換弁からなり、前記走行状態
検出手段と切換弁とを信号伝達手段で接続したことにあ
る。

【００２１】また請求項３に示すように、前記の走行状
態検出手段は、第１，第２の走行用方向切換弁のそれぞ
れに接続した第１，第２の圧力発生弁と、第１，第２の
圧力発生弁に接続した油圧源とからなり、前記切換手段
は、第１，第２の圧力発生弁によって生じる圧力信号に
より切り換わる切換弁からなり、前記信号伝達手段は、
第１，第２の圧力発生弁の上流側と前記切換弁とを接続
するパイロット管路からなり、前記切換弁は第１第２の
走行用切換弁を走行動作方向に切り換えた時に、連動し
て切り換わる第１，第２の圧力発生弁の上流側の圧力に
より切り換わるように構成したことにある。

【００２２】また請求項４に示すように、複数のアクチ
ュエータを駆動するための少なくとも第１及び第２の油
圧回路を含み、前記第１の油圧回路は、第１の油圧ポン
プと、前記第１の油圧ポンプから関連するアクチュエー
タの圧油の流れをそれぞれ制御するための複数の方向切
換弁を含む第１の方向切換弁群とを有し、前記第２の油
圧回路は、第２の油圧ポンプと、前記第２の油圧ポンプ
から関連するアクチュエータの圧油の流れをそれぞれ制
御するための複数の方向切換弁を含む第２の方向切換弁
群とを有し、前記複数のアクチュエータは少なくても第
１，第２の走行用アクチュエータと、ブーム用アクチュ
エータと、アーム用アクチュエータと、旋回用アクチュ
エータと、バケット用アクチュエータとを含むものであ
り、前記第１の方向切換弁群には少なくとも第１の走行
用アクチュエータへの圧油の流れを制御するための第１
の走行用方向切換弁と、前記ブーム用アクチュエータへ
の圧油の流れを制御するための第１のブーム用方向切換
弁とを含み、前記第１の走行用方向切換弁は前記第１の
油圧回路において前記第１のブーム用方向切換弁よりも
優先的に前記第１の油圧ポンプからの圧油を受け得るよ
うに、該第１のブーム用方向切換弁の上流の位置で該第
１の油圧ポンプに接続されており、前記第２の方向切換
弁群には少なくとも第２の走行用アクチュエータへの圧
油の流れを制御するための第２の走行用方向切換弁と、
前記ブーム用アクチュエータへの圧油の流れを制御する
ための第２のブーム用方向切換弁と、旋回用アクチュエ
ータへの圧油の流れを制御するための旋回用方向切換弁
を含み、前記第２のアーム用方向切換弁と、旋回用方向
切換弁は、前記第２の油圧回路において前記第２の走行
用方向切換弁よりも優先的に前記第２の油圧ポンプから
の圧油を受け得るように、該第２の走行用方向切換弁の
上流の位置で該第２の油圧ポンプに接続されており、さ
らに前記第１の油圧ポンプと、前記第２の走行用方向切
換弁の圧油供給ポ−トとを接続するバイパスラインを含
むバイパス回路であって、前記第２の走行用切換弁の上
流に位置する前記第２のブーム用及び、旋回用方向切換
弁を含む前記第２の方向切換弁群の少なくとも１つが作
動したとき、及び前記第１の走行用切換弁の下流に位置
する前記第１のブーム用方向切換弁を含む前記第１の方
向切換弁群の少なくとも１つが作動したときに、前記第
１の油圧ポ−トからの圧油を前記第２の走行用アクチュ
エータに供給し得るバイパス回路が設けられている油圧
作業機の油圧回路において、第１の走行用アクチュエー
タを制御する第１の走行用方向切換弁は、一方側に第１
のパイロット室を有し、他方側に第２のパイロット室を
設けたパイロット式方向切換弁からなり、第２の走行用
アクチュエータを制御する第２の走行用方向切換弁は、
一方側に第３のパイロット室を有し、他方側に第４のパ
イロット室を設けたパイロット式方向切換弁からなって
いる。

【００２３】前記第１の走行用方向切換弁のそれぞれの
パイロット室に接続された第１，第２の出力ポ−トと、
パイロット用油圧ポンプに接続された入力ポ−トを備え
た第１のパイロット弁と、前記第２の走行用方向切換弁
のそれぞれのパイロット室に接続された第３，第４の出
力ポ−トと、パイロット用油圧ポンプに接続された入力
ポ−トを備えた第２のパイロット弁と、一端側が前記第
１の出力ポ−トに接続され、他端側が前記第１のパイロ
ット室に接続された第１のパイロット管路と、一端側が
第２の出力ポ−トに接続され、他端側が前記第２のパイ
ロット室に接続された第２のパイロット管路と、一端側
が第３の出力ポ−トに接続され、他端側が前記第３のパ
イロット室に接続された第３のパイロット管路と、一端
側が第４の出力ポ−トに接続され、他端側が前記第４の
パイロット室に接続された第４のパイロット管路と、第
１のパイロット管路と第２のパイロット管路に、それら
のうちの高圧力を選択し、かつ出力する第１のシャトル
弁を接続し、第３のパイロット管路と第４のパイロット
管路に、それらのうちの高圧力を選択し、かつ出力する
第２のシャトル弁を接続し、第１，第２のシャトル弁に
よって出力された圧油の圧力のうちの高圧力を選択し、
かつ出力する第３のシャトル弁を設け、さらに前記第２
のブーム用方向切換弁を操作する操作手段と、該操作手
段から出力される操作信号を前記第２のブーム用方向切
換弁に伝達する伝達手段と、前記操作手段から出力され
る操作信号を第２のブーム用方向切換弁に伝達する位置
及び遮断する位置とを有するパイロット式切換弁を前記
伝達手段に設け、該パイロット式切換弁は、前記第３の
シャトル弁から出力される圧力により遮断する位置から
伝達する位置へ切り換わるように構成したことにある。

【００２４】

【作用】本発明は以上のように構成してあることから、
請求項１においては、走行状態検出手段が第１，第２の
走行用方向切換弁の作動されたことを検出すると、切換
手段がブーム用アクチュエータの下げを操作する操作信
号を遮断する位置から第２のブーム用方向切換弁に伝達
する位置に切り換えられる。よって走行作動状態におい
て、ブームの下げ動作をした場合に、第２の油圧ポンプ
の圧油が第２の走行用方向切換弁より優先的に第２のブ
ーム用方向切換弁に供給されるので、走行しながらブー
ムによって車体を持ち上げる複合操作が可能となる。

【００２５】次に、請求項２においては、第１，第２の
走行用方向切換弁が作動されると、その作動に連動して
圧力発生手段が、圧力信号を出力し、その圧力信号に基
づき、切換弁がブーム用アクチュエータの下げを操作す
る操作信号を遮断する位置から第２のブーム用方向切換
弁に伝達する位置に切り換えられる。よって走行作動状
態において、ブーム下げ動作をした場合に、第２の油圧
ポンプの圧油が第２の走行用方向切換弁より優先的に第
２のブーム用方向切換弁に供給されるので、走行しなが
らブームによって車体を持ち上げる複合操作が可能とな
る。

【００２６】次に請求項３に示すように、第１，第２の
走行用方向切換弁が走行動作方向に切り換え作動される
と、第１，第２の走行用方向切換弁に接続された第１，
第２の圧力発生弁により、圧力信号が出力され、その圧
力信号が切換弁に伝達され、切換弁がブーム用アクチュ
エータの下げを操作する操作信号を遮断する位置から第
２のブーム用方向切換弁に伝達する位置に切り換えられ
る。よって走行作動状態において、ブーム下げ動作をし
た場合に、第２の油圧ポンプの圧油が第２の走行用方向
切換弁より優先的に第２のブーム用方向切換弁に供給さ
れるので、走行しながらブームによって車体を持ち上げ
る複合操作が可能となる。

【００２７】次に請求項４に示すように、第１，第２の
走行用方向切換弁を操作する第１，第２のパイロット弁
を操作すると、第１のシャトル弁によって、第１，第２
のパイロット管路の圧油のうちの高圧側を出力し、さら
に第２のシャトル弁によって、第３，第４のパイロット
管路の圧油のうちの高圧側を出力し、前述した第１及
び、第２のシャトル弁によって出力された圧力の高圧側
を第３のシャトル弁は、伝達手段を介して、パイロット
式切換弁に伝達し、パイロット式切換弁は、ブーム用ア
クチュエータの下げを操作する操作信号を遮断する位置
から第２のブーム用方向切換弁に伝達する位置に切り換
えられる。よって走行作動状態において、ブーム下げ動
作をした場合に、第２の油圧ポンプの圧油が第２の走行
用方向切換弁より優先的に第２のブーム用方向切換弁に
供給されるので、走行しながらブームによって車体を持
ち上げる複合操作が可能となる。

【００２８】

【実施例】第１の実施例を図１、第２の実施例を図２を
もとに説明する。なお前述した従来技術と同様の構成要
素のものには同一の符号を付し、その説明を省略する。

【００２９】図１は第１の実施例における油圧作業機の
油圧回路図である。

【００３０】図において、６０は第１の方向切換弁群２
２内に配設され、第１の油圧ポンプ２１から吐出される
圧油を優先的に受け得るように第１の方向切換弁群２２
の最上流に位置している第１の走行用方向切換弁として
の右走行用方向切換弁、６１は第２の方向切換弁群３２
内に配設され、第２の油圧ポンプ３１から吐出される圧
油をフロント作業機用の方向切換弁３４，３７及び、旋
回用方向切換弁３５よりも下流で受け得る位置に設けら
れている第２の走行用方向切換弁としての左走行用方向
切換弁である。７０は走行していることを検出する走行
状態検出手段で、該走行状態検出手段は、油圧源として
のパイロット用油圧ポンプ７１、第１，第２の方向切換
弁群２２，３２に配設されている右、左走行用方向切換
弁６０，６１内に設けられている第１，第２のパイロッ
ト切換弁７５ａ，７５ｂと、一端が前記パイロット用油
圧ポンプ７１に接続されて、パイロット切換弁７５ａ，
７５ｂを貫通し、他端がタンク５６に通じる走行用パイ
ロット通路７３を備えており、該走行用パイロット通路
７３を流れる圧油の最高圧力は図示しないリリーフ弁に
よって設定されている。

【００３１】８０は、第２のブーム用方向切換弁３４の
第２のパイロット室３４ｂに接続されたパイロット管路
ｂに介在された切換弁であり、該切換弁のパイロット部
は信号伝達手段としての走行用信号通路７４を介して、
右走行用方向切換弁６０の上流側位置で、パイロット用
油圧ポンプ７１と接続されている。切換弁８０は、前記
走行状態検出手段７０からの信号によって、切り換えら
れて、第２のブーム用方向切換弁３４のパイロット室３
４ｂをパイロット管路ｂを通してパイロット弁８５に接
続させる位置ｆと、前記走行状態検出手段７０からの信
号によって中立状態を保持してパイロット管路ｂを遮断
すると共に、第２のブーム用方向切換弁３４のパイロッ
ト室３４ｂをタンク５６に接続させる位置ｅを備えて
る。

【００３２】以上のように構成された第１の実施例につ
いて、その動作を説明する。

【００３３】走行状態検出手段７０の作用について簡単
に説明しておく。右、左走行用方向切換弁６０，６１の
少なくとも一方が作動したときには、タンク５６に通じ
る走行用パイロット通路７３がその動作により同じに切
り換えられる第１，第２のパイロット切換弁７５ａ，７
５ｂによってタンク５６に通じている走行用パイロット
管路７３が遮断されるために、走行用信号通路７４がタ
ンク圧から前記リリーフ弁によって設定された圧力まで
上昇し、その圧力は走行用信号通路７４を介して、切換
弁８０のパイロット部に伝達され、それは位置ｅから位
置ｆに切り換わる。

【００３４】次に、各複合動作について、説明する。

【００３５】（１）走行動作とブームの下げ動作の複合
動作 右、左走行用方向切換弁６０，６１を操作して走行動作
を行うと、上述した走行状態検出手段７０によって、切
換弁８０が位置ｅから位置ｆに切り換わる。よってパイ
ロット管路ｂが連通状態となり、ブームの下げ動作の操
作信号が第１のブーム用方向切換弁２４のパイロット室
２４ｃに作用すると共に、第２のブーム用方向切換弁３
４のパイロット室３４ｂにも作用し、第１，第２のブー
ム用方向切換弁２４，３４は、ブームの下げ動作位置で
あるＢ位置に切り換わり、第２の油圧ポンプ３１から吐
出される圧油は、左走行用方向切換弁６１よりも優先的
に受け得る第２のブーム用方向切換弁３４を介してブー
ムシリンダ１１のロッド室に供給される。またフロント
動作検出手段５０によって、パイロット弁８５によって
第１，第２のブーム用方向切換弁２４，３４のいずれか
が操作されたことを検出した時に、上記したバイパスラ
イン３７に介在されている開閉弁３８が閉位置ｈから開
位置ｇに切り換わる。第１の油圧ポンプ２１から吐出さ
れる圧油は、それぞれ右、左走行用方向切換弁６０，６
１によって、右、左走行用油圧モータ７，５のそれぞれ
に供給されるので、走行しながらブームで車体を持ち上
げる複合動作は可能となる。従ってブームで車体を支持
しながら走行する必要がある油圧ショベルで急勾配を下
る際に転倒を防止することが可能となる。

【００３６】（２）ブームの下げ動作と旋回動作の複合
操作 パイロット弁８５の操作レバー８５ａをｄ方向に操作
し、第１，第２ブーム用方向切換弁２４，３４をブーム
下げ動作位置であるＢ位置に切り換えてブームの下げ動
作を行うと、切換弁８０はパイロット管路ｂを遮断して
いるので操作信号は第２のブーム用方向切換弁３４のパ
イロット室３４ｂに伝達されないため、第２のブーム用
方向切換弁３４は中立状態を保持するので、ブームシリ
ンダ１１のロッド室には、第１の油圧ポンプ２１から吐
出される圧油のみが第１のブーム用方向切換弁２４を介
して供給され、ブームは下げ動作する。またこの状態で
旋回用方向切換弁３５を操作して旋回動作を行うと、第
２の油圧ポンプ３１から吐出される圧油は、旋回用方向
切換弁３５を介して旋回用油圧モータ３に供給されるた
め負荷圧の低いブームの下げ動作と、負荷圧の高い旋回
動作が同じに行われても、第２の油圧ポンプ３１から吐
出される圧油は、負荷圧の低いブームシリンダ１１に供
給されることがないので、ブームの下げ動作に対する旋
回動作の独立性は確保される。

【００３７】以上のように構成される第１の実施例の効
果は、ブームの下げ動作と旋回動作との複合動作時に相
互の独立性を確保すると共に、走行動作とブームの下げ
動作との複合動作時にも相互の独立性を確保させること
ができ、従って走行動作をしながらブームによって車体
を持ち上げることが可能となり、下り坂をブームによっ
て車体を支持しながら走行できるので安全に走行するこ
とができる。

【００３８】次に図２をもとに第２の実施例を説明す
る。ここで第１の実施例と同様の構成のものには同一の
符号を付し、その説明を省略する。

【００３９】図において９０は一方側に第１のパイロッ
ト室９０ａ、他方側に第２のパイロット室９０ｂを備え
たパイロット室の右走行用方向切換弁で、９１は一方側
に第３のパイロット室９１ａ、他方側に第４のパイロッ
ト室９１ｂを備えた左走行用方向切換弁である。１０
１，１０２はそれぞれ右、左走行用方向切換弁９０，９
１を制御するための第１，第２のパイロット弁である。
第１のパイロット弁１０１には、パイロット用油圧ポン
プ１１５から供給された圧油を右走行用方向切換弁９０
の第１のパイロット室９０ａに導くための第１の出力ポ
−ト１０１ａと、パイロット用油圧ポンプ１１５から供
給された圧油を右走行用方向切換弁９０の第２のパイロ
ット室９０ｂに導くための第２の出力ポ−ト１０１ｂと
を備えている。第２のパイロット弁１０２には、パイロ
ット用油圧ポンプ１１５から供給された圧油を左走行用
方向切換弁９１の第３のパイロット室９１ａに導くため
の第３の出力ポ−ト１０２ａと、パイロット用油圧ポン
プ１１５から供給された圧油を左走行用方向切換弁９１
の第４のパイロット室９１ｂに導くための第４の出力ポ
−ト１０２ｂとを備えている。そして、第１のパイロッ
ト弁１０１の第１の出力ポ−ト１０１ａと右走行用方向
切換弁９０の第１のパイロット室９０ａは第１のパイロ
ット管路１１０で接続され、第１のパイロット弁１０１
の第２の出力ポ−ト１０１ｂと右走行用方向切換弁９０
の第２のパイロット室９０ｂは第２のパイロット管路１
１１で接続されている。さらに、第２のパイロット弁１
０２の第３の出力ポ−ト１０２ａと左走行用方向切換弁
９１の第３のパイロット室９１ａは第３のパイロット管
路１１２で接続され、第２のパイロット弁１０２の第４
の出力ポ−ト１０２ｂと左走行用方向切換弁９１の第４
のパイロット室９１ｂは第４のパイロット管路１１３で
接続されている。第１，第２のパイロット弁１０１，１
０２は、パイロット用油圧ポンプ１１５から供給される
圧油の圧力を第１，第２のパイロット弁１０１，１０２
の操作量に対応した値にするように図示しない減圧弁に
より構成されており、それにより出力された圧力は、そ
れぞれパイロット信号として第１，第２，第３，第４の
パイロット管路１１０，１１１，１１２，１１３を介し
て右、左走行用方向切換弁９０，９１のそれぞれの第
１，第２，第３，第４のパイロット室９０ａ，９０ｂ，
９１ａ，９１ｂに伝達されて、右、左走行用方向切換弁
９０，９１が切り換えられる。

【００４０】次に上記第１のパイロット管路１１０を通
るパイロット信号はＱ，上記第２のパイロット管路１１
１を通るパイロット信号はＲ，上記第３のパイロット管
路１１２を通るパイロット信号はＳ，上記第４のパイロ
ット管路１１３を通るパイロット信号はＴである。１０
０は、上記パイロット信号Ｑ，Ｒ，Ｓ，Ｔのうちの最高
圧力信号を検出するシャトル弁群で、該シャトル弁群
は、第１のパイロット弁１０１の操作量に応じて出力さ
れるパイロット信号Ｑ，Ｒを選択的に検出するために第
１，第２のパイロット管路１１０，１１１に接続された
第１のシャトル弁１０３と、第２のパイロット弁１０２
の操作量に応じて出力されるパイロット信号Ｓ，Ｔを選
択的に検出するために第３，第４のパイロット管路１１
２，１１３に接続された第２のシャトル弁１０４と、前
記第１，第２のシャトル弁１０３，１０４によって選択
されたパイロット信号を選択的に検出する第３のシャト
ル弁１０５とからなり、第１の実施例で前述した走行状
態検出手段７０をシャトル弁群１００によって構成され
ている。第３のシャトル弁１０５の出力口と、前記切換
弁８０のパイロット部とは、伝達手段としての走行用信
号通路７６によって接続されている。

【００４１】以上のように構成される第２の実施例の動
作を以下に説明する。

【００４２】（１）走行動作とブームの下げ動作の複合
動作 第１，第２のパイロット弁１０１，１０２を操作して
右、左走行用方向切換弁９０，９１を走行動作の位置に
切り換えて走行動作を行うと、前記シャトル弁群１００
によって圧油によるパイロット信号が出力されると、そ
のパイロット信号は走行用信号通路７６を通って切換弁
８０のパイロット部に伝達される。これにより、切換弁
８０は位置ｅから位置ｆに切り換わり、パイロット管路
ｂが連通状態となることで、パイロット弁８５を操作し
て出力されたブームの下げ動作の操作信号が第１のブー
ム用方向切換弁２４のパイロット室２４ｃに作用すると
共に、第２のブーム用方向切換弁３４のパイロット室３
４ｂに作用し、第１，第２のブーム用方向切換弁２４，
３４は、ブームの下げ動作位置であるＢ位置に切り換わ
る。これにより、第２の油圧ポンプ３１から吐出される
圧油は、左走行用方向切換弁９１よりも優先的に受け得
る第２のブーム用方向切換弁３４を介してブームシリン
ダ１１のロッド室に供給される。また、前記パイロット
弁８５によって第１，第２のブーム用方向切換弁２４，
３４が操作されたことをフロント動作検出手段５０によ
って検出した時に、上記したバイパスライン３７に介在
されている開閉弁３８が閉位置ｈから開位置ｇに切り換
えられる。従って第１の油圧ポンプ２１から吐出される
圧油は、それぞれ右、左走行用方向切換弁９０，９１を
介して、右、左走行用油圧モータ７，５にそれぞれに導
かれるので、走行しながらブームで車体を持ち上げる複
合動作が可能となる。従って、ブームで車体を支持しな
がら走行する必要がある油圧ショベルで急勾配を下る際
に、転倒を防止することが可能となる。

【００４３】またブームの下げ動作と旋回動作の複合操
作については、第１の実施例で述べた（２）の動作と同
様である。

【００４４】以上のように構成される第２の実施例にあ
っては、右、左走行用方向切換弁９０，９１に走行動作
を検出するためのパイロット切換弁を一体的に設けなく
ても、第１の実施例と同様な効果が得られる。

【００４５】上記各実施例では、右、左走行用方向切換
弁６０，６１，９０，９１の切り換え状態を油圧の圧力
信号として検出し、その圧力信号によって直接切換弁８
０を切り換えていたが、圧力信号を圧力スイッチ等の油
圧電気変換装置によって電気的に検出し、その検出され
た電気信号に基づいて作動する電気式切換弁によって構
成した切換弁を切り換えることであっても、同様な作
用、効果を得ることができる。

【００４６】また上記各実施例での右、左走行用方向切
換弁の切り換え状態を各パイロット弁１０１，１０２の
操作レバーの変位をリミットスイッチ等によって電気的
に検出し、その検出された電気信号に基づいて作動する
電気式切換弁によって構成した切換弁を切り換えること
であっても、同様な作用、効果を得ることができる。

【００４７】また上記各実施例では、各方向切換弁６
０，６１，２６，２４，２５，３５，３７，３４，９
０，９１の切り換え状態を油圧の圧力信号として検出す
るための油圧源として、３つのパイロット用油圧ポンプ
５１，７１，１１５を用い、しかもそれぞれのポンプに
対してそれらの吐出圧力を設定する図示しないリリーフ
弁をそれぞれ設けていたが、３つのパイロット用油圧ポ
ンプ５１，７１，１１５を１つのパイロット用油圧ポン
プとし、これに対するリリーフ弁も１つとし、これによ
って各方向切換弁６０，６１，２６，２４，２５，３
５，３７，３４，９０，９１の切り換え状態を油圧の圧
力信号によって検出し、この信号によって前記開閉弁３
８、前記切換弁８０を制御しても同様な作用、効果を得
ることができる。

【００４８】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の油圧作業機
の油圧回路は、走行状態検出手段が第１，第２の走行用
方向切換弁の作動されたことを検出すると、切換手段が
ブーム用アクチュエータの下げを操作する操作信号を遮
断する位置から第２のブーム用方向切換弁に伝達する位
置に切り換えられるので走行作動状態においてブームの
下げ動作をした場合に、第２の油圧ポンプの圧油が第２
の走行用方向切換弁より優先的に第２のブーム用方向切
換弁に供給されるので、走行しながらブームによって車
体を持ち上げる複合操作が可能となり、下り坂を走行す
る際に、ブームによって、車体を支えながら走行するこ
とができ、安全性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１の実施例を表す油圧回路図であ
る。

【図２】本発明の第２の実施例を表す油圧回路図であ
る。

【図３】従来技術による油圧作業機の油圧回路図であ
る。

【図４】油圧作業機の構成を表す全体側面図である。

【図５】図４の平面図である。

【符号の説明】

３ 旋回用アクチュエータ ５ 第２の走行用アクチュエータ ７ 第１の走行用アクチュエータ １１ ブーム用アクチュエータ １２ アーム用アクチュエータ １３ バケット用アクチュエータ ２１ 第１の油圧ポンプ ２２ 第１の方向切換弁群 ２３ 第１の走行用方向切換弁 ２４ 第１のブーム用方向切換弁 ３１ 第２の油圧ポンプ ３２ 第２の方向切換弁群 ３３ 第２の走行用方向切換弁 ３４ 第２のブーム用方向切換弁 ３５ 旋回用方向切換弁 ４０ バイパス回路 ７０ 走行状態検出手段 ７４ 信号伝達手段 ７５ａ パイロット切換弁 ７５ｂ パイロット切換弁 ８０ 切換手段 ８５ 操作手段 １０１ 第１のパイロット弁 １０２ 第２のパイロット弁 １０３ 第１のシャトル弁 １０４ 第２のシャトル弁 １０５ 第３のシャトル弁 １１０ 第１のパイロット管路 １１１ 第２のパイロット管路 １１２ 第３のパイロット管路 １１３ 第４のパイロット管路 １２０ 第１の油圧回路 １３０ 第２の油圧回路 ａ 伝達手段 ｂ 伝達手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) E02F 9/22 F15B 11/17

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 複数のアクチュエータを駆動するための
   少なくとも第１及び第２の油圧回路を含み、前記第１の
   油圧回路は、第１の油圧ポンプと、前記第１の油圧ポン
   プから関連するアクチュエータの圧油の流れをそれぞれ
   制御するための複数の方向切換弁を含む第１の方向切換
   弁群とを有し、前記第２の油圧回路は、第２の油圧ポン
   プと、前記第２の油圧ポンプから関連するアクチュエー
   タの圧油の流れをそれぞれ制御するための複数の方向切
   換弁を含む第２の方向切換弁群とを有し、前記複数のア
   クチュエータは少なくとも第１，第２の走行用アクチュ
   エータと、ブーム用アクチュエータと、アーム用アクチ
   ュエータと、旋回用アクチュエータと、バケット用アク
   チュエータとを含むものであり、前記第１の方向切換弁
   群には少なくとも第１の走行用アクチュエータへの圧油
   の流れを制御するための第１の走行用方向切換弁と、前
   記ブーム用アクチュエータへの圧油の流れを制御するた
   めの第１のブーム用方向切換弁とを含み、前記第１の走
   行用方向切換弁は前記第１の油圧回路において前記第１
   のブーム用方向切換弁よりも優先的に前記第１の油圧ポ
   ンプからの圧油を受け得るように、該第１のブーム用方
   向切換弁の上流の位置で該第１の油圧ポンプに接続され
   ており、 前記第２の方向切換弁群には少なくとも第２の走行用ア
   クチュエータへの圧油の流れを制御するための第２の走
   行用方向切換弁と、前記ブーム用アクチュエータへの圧
   油の流れを制御するための第２のブーム用方向切換弁
   と、旋回用アクチュエータへの圧油の流れを制御するた
   めの旋回用方向切換弁を含み、前記第２のブーム用方向
   切換弁と、旋回用方向切換弁は、前記第２の油圧回路に
   おいて前記第２の走行用方向切換弁よりも優先的に前記
   第２の油圧ポンプからの圧油を受け得るように、該第２
   の走行用方向切換弁の上流の位置で該第２の油圧ポンプ
   に接続されており、 さらに前記第１の油圧ポンプと、前記第２の走行用方向
   切換弁の圧油供給ポートとを接続するバイパスラインを
   含むバイパス回路であって、前記第２の走行用切換弁の
   上流に位置する前記第２のブーム用及び、旋回用方向切
   換弁を含む前記第２の方向切換弁群の少なくとも１つが
   作動したとき、及び前記第１の走行用切換弁の下流に位
   置する前記第１のブーム用方向切換弁を含む前記第１の
   方向切換弁群の少なくとも１つが作動したときに、前記
   第１の油圧ポンプからの圧油を前記第２の走行用アクチ
   ュエータに供給し得るバイパス回路が設けられている油
   圧作業機の油圧回路において、 第２のブーム用方向切換弁を操作する操作手段と、該操
   作手段から出力される操作信号を前記第２のブーム用方
   向切換弁に伝達する伝達手段と、前記第１，第２の走行
   用方向切換弁の切り換えに基づく走行作動状態を検出
   し、信号を出力する走行状態検出手段とを備え、前記操
   作手段から出力される操作信号を第２のブーム用方向切
   換弁に伝達する位置及び遮断する位置とを有する切換手
   段を前記伝達手段に設け、前記切換手段は走行状態検出
   手段から出力される信号により遮断する位置から伝達す
   る位置へ切り換わるように構成したことを特徴とする油
   圧作業機の油圧回路。
2. 【請求項２】 前記の走行状態検出手段は、前記第１，
   第２の走行用方向切換弁の走行動作方向への切り換えに
   基づき圧力信号を発生させ得る圧力発生手段からなり、
   前記切換手段は、前記圧力信号に基づいて切り換わる切
   換弁からなり、前記走行状態検出手段と切換弁とを信号
   伝達手段で接続したことを特徴とした請求項１の油圧作
   業機の油圧回路。
3. 【請求項３】 前記の走行状態検出手段は、第１，第２
   の走行用方向切換弁のそれぞれに接続した第１，第２の
   圧力発生弁と、第１，第２の圧力発生弁に接続した油圧
   源とからなり、前記切換手段は、第１，第２の圧力発生
   弁によって生じる圧力信号により切り換わる切換弁から
   なり、前記信号伝達手段は、第１，第２の圧力発生弁の
   上流側と前記切換弁とを接続するパイロット管路からな
   り、前記切換弁は第１，第２の走行用切換弁を走行動作
   方向に切り換えた時に、連動して切り換わる第１，第２
   の圧力発生弁の上流側の圧力により切り換わるように構
   成したことを特徴とした請求項２の油圧作業機の油圧回
   路。
4. 【請求項４】 複数のアクチュエータを駆動するための
   少なくとも第１及び第２の油圧回路を含み、前記第１の
   油圧回路は、第１の油圧ポンプと、前記第１の油圧ポン
   プから関連するアクチュエータの圧油の流れをそれぞれ
   制御するための複数の方向切換弁を含む第１の方向切換
   弁群とを有し、前記第２の油圧回路は、第２の油圧ポン
   プと、前記第２の油圧ポンプから関連するアクチュエー
   タの圧油の流れをそれぞれ制御するための複数の方向切
   換弁を含む第２の方向切換弁群とを有し、前記複数のア
   クチュエータは少なくとも第１，第２の走行用アクチュ
   エータと、ブーム用アクチュエータと、アーム用アクチ
   ュエータと、旋回用アクチュエータと、バケット用アク
   チュエータとを含むものであり、前記第１の方向切換弁
   群には少なくとも第１の走行用アクチュエータへの圧油
   の流れを制御するための第１の走行用方向切換弁と、前
   記ブーム用アクチュエータへの圧油の流れを制御するた
   めの第１のブーム用方向切換弁とを含み、前記第１の走
   行用方向切換弁は前記第１の油圧回路において前記第１
   のブーム用方向切換弁よりも優先的に前記第１の油圧ポ
   ンプからの圧油を受け得るように、該第１のブーム用方
   向切換弁の上流の位置で該第１の油圧ポンプに接続され
   ており、 前記第２の方向切換弁群には少なくとも第２の走行用ア
   クチュエータへの圧油の流れを制御するための第２の走
   行用方向切換弁と、前記ブーム用アクチュエータへの圧
   油の流れを制御するための第２のブーム用方向切換弁
   と、旋回用アクチュエータへの圧油の流れを制御するた
   めの旋回用方向切換弁を含み、前記第２のブーム用方向
   切換弁と、旋回用方向切換弁は、前記第２の油圧回路に
   おいて前記第２の走行用方向切換弁よりも優先的に前記
   第２の油圧ポンプからの圧油を受け得るように、該第２
   の走行用方向切換弁の上流の位置で該第２の油圧ポンプ
   に接続されており、 さらに前記第１の油圧ポンプと、前記第２の走行用方向
   切換弁の圧油供給ポ−トとを接続するバイパスラインを
   含むバイパス回路であって、前記第２の走行用切換弁の
   上流に位置する前記第２のブーム用及び、旋回用方向切
   換弁を含む前記第２の方向切換弁群の少なくとも１つが
   作動したとき、及び前記第１の走行用切換弁の下流に位
   置する前記第１のブーム用方向切換弁を含む前記第１の
   方向切換弁群の少なくとも１つが作動したときに、前記
   第１の油圧ポンプからの圧油を前記第２の走行用アクチ
   ュエータに供給し得るバイパス回路が設けられている油
   圧作業機の油圧回路において、 第１の走行用アクチュエータを制御する第１の走行用方
   向切換弁は、一方側に第１のパイロット室を有し、他方
   側に第２のパイロット室を設けたパイロット式方向切換
   弁からなり、第２の走行用アクチュエータを制御する第
   ２の走行用方向切換弁は、一方側に第３のパイロット室
   を有し、他方側に第４のパイロット室を設けたパイロッ
   ト式方向切換弁からなっており、前記第１の走行用方向
   切換弁のそれぞれのパイロット室に接続された第１，第
   ２の出力ポ−トと、パイロット用油圧ポンプに接続され
   た入力ポ−トを備えた第１のパイロット弁と、前記第２
   の走行用方向切換弁のそれぞれのパイロット室に接続さ
   れた第３，第４の出力ポ−トと、パイロット用油圧ポン
   プに接続された入力ポ−トを備えた第２のパイロット弁
   と、一端側が前記第１の出力ポ−トに接続され、他端側
   が前記第１のパイロット室に接続された第１のパイロッ
   ト管路と、一端側が第２の出力ポ−トに接続され、他端
   側が前記第２のパイロット室に接続された第２のパイロ
   ット管路と、一端側が第３の出力ポ−トに接続され、他
   端側が前記第３のパイロット室に接続された第３のパイ
   ロット管路と、一端側が第４の出力ポ−トに接続され、
   他端側が前記第４のパイロット室に接続された第４のパ
   イロット管路と、第１のパイロット管路と第２のパイロ
   ット管路に、それらのうちの高圧力を選択し、かつ出力
   する第１のシャトル弁を接続し、第３のパイロット管路
   と第４のパイロット管路に、それらのうちの高圧力を選
   択し、かつ出力する第２のシャトル弁を接続し、第１，
   第２のシャトル弁によって出力された圧油の圧力のうち
   の高圧力を選択し、かつ出力する第３のシャトル弁を設
   け、さらに前記第２のブーム用方向切換弁を操作する操
   作手段と、該操作手段から出力される操作信号を前記第
   ２のブーム用方向切換弁に伝達する伝達手段と、前記操
   作手段から出力される操作信号を第２のブーム用方向切
   換弁に伝達する位置及び遮断する位置とを有するパイロ
   ット式切換弁を前記伝達手段に設け、該パイロット式切
   換弁は、前記第３のシャトル弁から出力される圧力によ
   り遮断する位置から伝達する位置へ切り換わるように構
   成したことを特徴とする油圧作業機の油圧回路。