JP3590167B2 - 低電圧差動増幅回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、差動増幅回路に関し、特に低電源電圧駆動が可能で同相入力信号除去特性が良好な低電圧差動増幅回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、差動増幅回路としては、図4に示すような抵抗バイアスのエミッタ結合方式のものが知られている(「アナログ集積回路設計技術」グレイ/メイヤー共著、永田穣監訳、1990年11月30日培風館発行、上巻P194 参照)。この差動増幅回路のように、NPNトランジスタQ41,Q42の共通エミッタ端子に接続されるバイアス電流源が抵抗の場合、同相入力信号除去比(CMRR)は、おおよそ次式(1)で表される。
CMRR≒IEE×REE/V ・・・・・・・・・・(1)
ここで、IEEはバイアス電流、REEはバイアス源抵抗、Vは熱電圧で約26mVである。この(1)式から抵抗による電流源では、IEE×REEをVに対してかなり大きく設定しなければ、CMRRが良くならないことがわかる。なお、図4において、R42,R43は負荷抵抗、VINは入力信号源を示している。
【0003】
これに対し、図5に示すように、NPNトランジスタQ51,Q52から構成される差動増幅回路の共通エミッタ端子に、定電流源となるNPNトランジスタQ53のコレクタ端子を接続して、差動増幅回路のバイアス電流源として構成したもの(前記文献のP252 参照)は、バイアス電流源のインピーダンスγ(上記(1)式のREEに相当し、おおよそ数百KΩ以上)が高いため、バイアス電流はほぼ一定に保たれ、CMRRは次式(2)で表され、差動増幅回路の同相入力信号除去能力が良くなるものである。
CMRR≒ICQ53×γ/V ・・・・・・・・・(2)
ここで、ICQ53は定電流源となるNPNトランジスタQ53のコレクタ電流である。なお、図5において、Q54は定電流源を構成するNPNトランジスタ、R51,R52は負荷抵抗、IREF は電流源、VINは入力信号源を示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4及び図5に示した差動増幅回路においては、同相入力信号除去能力改善における低電源電圧動作という観点については考慮がなされていない。特に図5に示した差動増幅回路において、低電源電圧で動作させるためには、全てのトランジスタのVBEが約0.75V,またVCEsat (トランジスタのコレクタ、エミッタ間最低動作電圧)が約0.4 Vと考えると、Q51,Q52のVBEとそのエミッタに接続するトランジスタQ53(電流源)のVCEsat により、電源電圧が約1.15V以下では、この差動増幅回路は動作しない。また図4に示した差動増幅回路においても、CMRRを良くしようと考えた場合、IEE×REEを大きくしなければならなく、低電圧動作に不向きである。
【0005】
本発明は、従来の差動増幅回路の上記問題点を解消するためになされたもので、低電源電圧(電源電圧約1.15V以下)でも動作可能で従来と同等以上の同相入力信号除去能力のある差動増幅回路を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するため、本発明は、差動増幅器と、該差動増幅器の正転入力端子及び反転入力端子のそれぞれにベースが接続され、エミッタ及びコレクタがそれぞれ共通に接続された第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のトランジスタの共通エミッタと第1の電源間に接続された第1の抵抗と、前記第1及び第2のトランジスタの共通コレクタと第2の電源間に接続された定電流源と、入力端子は前記第1及び第2のトランジスタの共通コレクタに、出力端子は前記差動増幅器のバイアス電流源抵抗端子に接続されたカレントミラー回路とで、低電圧差動増幅回路を構成するものである。
【0007】
このように構成した低電圧差動増幅回路においては、差動増幅器のバイアス電流源により発生する電流は、第1及び第2のトランジスタと第1の抵抗により発生する電流によって打ち消され、差動増幅回路のバイアス電流は入力電圧に依存しない定電流源による定電流となり、同相入力信号除去能力が改善され、また差動増幅回路のバイアス電流源としてトランジスタによる定電流源を用いなくてもよいので、低電源電圧動作が可能となる。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に、実施の形態について説明する。図1は本発明に係る低電圧差動増幅回路の第1の実施の形態を示す図である。図1において、Q11,Q12はNPNトランジスタで、該NPNトランジスタQ11,Q12の各エミッタに共通に接続したバイアス電流源抵抗R11と負荷1とで差動増幅器が構成されている。そして、該差動増幅器のバイアス電流IBIAS1 と等しい電流を作るため、差動増幅器の入力端子であるNPNトランジスタQ11,Q12の各ベース端子に、NPNトランジスタQ13,Q14のベース端子をそれぞれ接続し、NPNトランジスタQ13,Q14のエミッタ端子と第1の電源端子2との間に、抵抗R11と値が同等の抵抗R12を接続して、バイアス電流IBIAS2 を流す。このバイアス電流IBIAS2 の出力端子であるNPNトランジスタQ13,Q14のコレクタ端子には、定電流IREF を流す定電流源3とカレントミラー部4の入力端を接続し、バイアス電流IBIAS2 と定電流IREF との差電流をカレントミラー部4により折り返し、その出力端に接続した差動増幅器のバイアス電流源抵抗R11に流すように構成する。なお、図1において、5は入力信号源、6は第2の電源端子を示している。
【0009】
このように構成した差動増幅回路において、NPNトランジスタQ11,Q12及び抵抗R11によって生じるバイアス電流IBIAS1 と、NPNトランジスタQ13,Q14及び抵抗R12によって生じるバイアス電流IBIAS2 は、抵抗R11とR12が等しいことにより、次式(3)が成立する。
BIAS1 =IBIAS2 ・・・・・・・・・・・・・・(3)
また、カレントミラー部4の出力電流IOUT は、次式(4)で表される。
OUT =IBIAS2 −IREF ・・・・・・・・・・・(4)
ここで、IBIAS1 =IBIAS2 >IREF と設定すれば、差動増幅回路のバイアス電流IBIASは、次式(5)で表される。
BIAS=IBIAS1 −(IBIAS2 −IREF )=IREF ・・・(5)
【0010】
したがって、この実施の形態による差動増幅回路は、図5に示した従来例のように、トランジスタによる定電流を差動増幅回路のエミッタ端子にバイアス電流源として使用していないため、低電源電圧動作が可能となり、更に差動増幅回路のバイアス電流は入力電圧に依存しない定電流(IREF )となるため、同相入力信号除去能力も良好となる。
【0011】
次に、第2の実施の形態を図2に示した回路構成図に基づいて説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態における差動増幅器の負荷1及びカレントミラー部4をトランジスタで構成した具体例であり、該カレントミラー部はPNPトランジスタQ25,Q26とで構成されており、また差動増幅器の負荷は、NPNトランジスタQ21,Q22のコレクタに接続したPNPトランジスタQ27,Q28からなる能動負荷で構成されている。そして、その他の構成は第1の実施の形態と同じであり、トランジスタ及び抵抗には20番代の符号を付して示している。この実施の形態の作用効果は第1の実施の形態と同様である。
【0012】
次に、第3の実施の形態を図3に示す。この実施の形態は、第2の実施の形態におけるトランジスタの極性を逆にしたもので、すなわちPNPトランジスタをNPNトランジスタに、NPNトランジスタをPNPトランジスタに置き換えて構成したものであり、各トランジスタ及び抵抗は、30番代の符号を付して示している。この実施の形態でも、第1及び第2の実施の形態と同一の作用効果が得られる。
【0013】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、トランジスタによる定電流源を差動増幅回路のバイアス電流源として使用していないため、低電源電圧動作が可能となり、また差動増幅回路のバイアス電流は入力電圧に依存しない定電流となるため、同相入力信号除去能力も良好な低電圧差動増幅回路が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る低電圧差動増幅回路の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す回路構成図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態を示す回路構成図である。
【図4】従来の差動増幅回路の構成例を示す回路構成図である。
【図5】従来の差動増幅回路の他の構成例を示す回路構成図である。
【符号の説明】
1 負荷
2 第1の電源端子
3 定電流源
4 カレントミラー部
5 入力信号源
6 第2の電源端子

Claims (1)

  1. 差動増幅器と、該差動増幅器の正転入力端子及び反転入力端子のそれぞれにベースが接続され、エミッタ及びコレクタがそれぞれ共通に接続された第1及び第2のトランジスタと、前記第1及び第2のトランジスタの共通エミッタと第1の電源間に接続された第1の抵抗と、前記第1及び第2のトランジスタの共通コレクタと第2の電源間に接続された定電流源と、入力端子は前記第1及び第2のトランジスタの共通コレクタに、出力端子は前記差動増幅器のバイアス電流源抵抗端子に接続されたカレントミラー回路とからなることを特徴とする低電圧差動増幅回路。
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