JP3589224B2 - 外壁下地パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物躯体の屋外側に設置する外壁下地パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、在来木造住宅の躯体部分を鉄骨に置き換えた住宅が普及しはじめた。
図18はこのような住宅の建物躯体に外壁下地材を取付けた状態の一例を示す一部を省略した斜視図、図19はその建物躯体部分を示す斜視図、図20は図18の平断面図である。なお、以下の説明では建物躯体側を屋内側、外壁下地材を取付ける側を屋外側という。
【0003】
図に示すように、鉄筋コンクリート基礎21上に設置されたH形断面の鋼材からなる土台22(下梁)と、同じくH形断面の鋼材からなる上梁23との間において、土台22及び上梁23の幅方向の中心部に、一辺の幅がこれらの上面の幅より狭い角形断面の鋼材からなる柱25a,25bが所定の間隔で設けられている。
そして、隣接する柱25a,25bの対向面及び両者の中間部には、一方のフランジを土台21の屋外側と同一平面にしてリップ溝形鋼からなる受け材30a、間柱30bが設けられており、柱25a,25b及び中間部の間柱30bは、柱脚金物32a,32bを介してボルトにより土台21及び上梁23に固定されている。
【0004】
33(図19(a)参照)は隣接する柱25a,25bの上部と下部に交叉して×状に取付けられたブレースで、このブレース33の取付けにあたっては、中間部に設けた間柱30bが干渉するため、この間柱30bのウェブには、図19(b)に示すように、ブレース33を通すための貫通穴31が設けられている。なお、柱25a,25bの対向面に取付ける受け材30aは、その上下が柱25a,25bに設けたブレース33の取付金具が干渉するため、その部分を切除してウェブをタッピンねじ等により柱25a,25bに固定している。
【0005】
上記のような建物躯体に外壁下地材35を取付けるには、先ず、合板36を受け材30a、間柱30bの屋外側のフランジに当接してタッピンねじ等で接合し、その屋外側に板状の断熱材37を接合する。ついで、断熱材37の屋外側に防水シート38を配設し、その屋外側に受け材30a、間柱30bに対応して通気用縦胴縁39を設置して、これらを一体にしてタッピンねじ、釘等により受け材30a、間柱30bに固定する。最後に通気用縦胴縁39の屋外側にサイディング等の仕上材40を取付ければ、施工を終了する。なおこのとき、防水シート38と仕上材40との間には、通気スペース41が形成される。また、断熱材37に代えて繊維系断熱材を使用する場合は、室内から断熱材への水蒸気の進入を防止するために、合板36と繊維系断熱材との間に防湿層を配置する。
【0006】
下地に合板36を用いずに直接断熱材37を取り付けて構成する場合も合板36の取り付け部分以外は同様の手順で施工する。また,受け材30aを省略して柱25a,25bと同じせいの形鋼による間柱30bを用い、柱25a,25b及び間柱30bと土台22のフランジ等との幅の差を、柱25a,25b及び間柱30bの屋外側面にスペーサを用いて対応する場合も、合板36の取り付け工程をスペーサー取り付けの工程に入れ替えた形で施工が行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来、外壁下地材を取付ける建物躯体は、土台22のフランジ、上梁23のフランジ及び柱25a,25bを固定するための柱脚金物32aが、柱25a,25bの屋外面から屋外側に突出しているため、外壁下地材35を直接柱25a,25bの屋外面に取付けようとすると、これらの突出部が干渉して取付けることができない。このため、外壁下地材35の突出部に対応する部分にはつり加工や切欠き加工を施さなければならず、このため多くの手間がかかってコストアップになるばかりでなく、断熱性能の低下も避けられない。
【0008】
また、外壁下地材35の板状の断熱材37に代えて繊維系断熱材を使用する場合は、形状保持のために下地合板の施工や外装受材としての胴縁を付加する必要があるが、前記の突出部の干渉を避けるために、下地合板の切欠き加工などが必要であり、施工性が悪い。下地合板を省略した場合は、この部分の防湿層の施工がきわめて困難であり、繊維系断熱材の使用は事実上不可能であった。
【0009】
このような問題を解決するために、図18〜20に示すように、受け部材30a及び間柱30bを設けてその屋外面を土台22の屋外面と等しいか又はこれより突出させて、この屋外面に外壁下地材35を取付ける方法もあるが、このようにすると部品点数が非常に多くなり部材重量が増加するため、施工性、コスト上不利である。また、間柱30bの屋外側に前記突出部より厚い合板等のスペーサを挿入する方法も実施されているが、この場合も部品点数や施工手間が増加するため、コスト上不利である。
【0010】
また、間柱30bには、ブレース33を通すための貫通穴31を設けなければならないため、さらに多くの手間とコストがかかり、その上貫通穴31にブレース33を通して設置する作業も面倒で、改善が求められている。
さらに、気密住宅とするために防水シート38を気密シートとした場合の施工は、継ぎ目の処理が面倒であり、確実に施工されていない場合には、気密性の低下、内部への水分の侵入や通気スペース内の通気効果を損うなど、建物の耐久性上の問題に発展することもある。
また、外壁下地材の一部をパネル化した例もあるが、合板及び断熱材をパネル化するだけで、防水シート38をパネルの取付後に施工する場合は施工の合理化の効果が低く、防水シート38を気密シートとしてパネルにあらかじめ先付けした場合には、継ぎ目の気密処理が困難であるという問題がある。
【0011】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、受け材、間柱等の部品点数を大幅に減らすことができ、その上施工が容易でコストを低減することのできる外壁下地パネルを提供することを目的としたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明に係る外壁下地パネルは、縦胴縁と横胴縁からなるパネル枠と、該パネル枠内に配設された断熱材と、断面ほぼZ字状の取付部材とを備え、前記パネル枠の縦胴縁の屋内側に前記取付部材の一方のフランジを接合し、他方のフランジを前記縦胴縁の側方に突出させたものである。
【0013】
(2)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(1)の取付部材を、建物の土台又は下梁から上梁までの高さ以下の長さの連続体で形成した。
(3)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(1)又は(2)のパネル枠の長さを、連続体からなる取付部材の長さとほぼ等しいか又はこれより長く形成した。
【0014】
(4)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(1)〜(3)のいずれかのパネル枠の屋内側にシート状又は板状の材料を配置し、該材料を縦胴縁と取付部材との間に挾持して固定した。
(5)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(1)〜(4)のいずれかのパネル枠の屋外側にシート状又は板状の材料を配置し、該材料を前記パネル枠に固定した。
【0015】
(6)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(4)又は(5)のパネル枠の屋内側又は屋外側に配置したシート状又は板状の材料の一部又は全部を、前記パネル枠の外周部から外方に延設した。
(7)本発明に係る外壁下地パネルは、上記(6)のシート状の材料の縁部をパネル枠の側面又は側面から屋外面若しくは屋内面にかけて折曲げて該パネル枠に固定した。
【0016】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は本発明の実施の形態1に係る外壁下地パネルを建物躯体に取付けた状態を示す一部を省略した斜視図、図2は図1のパネル枠の斜視図、図3は図2のパネル枠を柱に取付けた状態を示す側面図である。なお、以下の説明では、図1の建物躯体側を屋内側、外壁下地パネル側を屋外側という。
【0017】
図において、21は鉄筋コンクリート基礎、22は鉄筋コンクリート基礎21上に設置された下梁である土台で、図にはH形断面の鋼材を用いた場合を示してある。25a,25bは例えば角形断面の鋼材からなり、所定の間隔で土台22とH形断面の鋼材からなる上梁23との間に立設された柱(以下、単に25と記すことがある)で、その幅が土台22のフランジ及び上梁23のフランジの幅より狭く形成されている。寸法構成の一例としては土台22及び上梁23のフランジ幅は100mmであり、柱25の一辺の幅は75mmである。
【0018】
1は隣接する柱25a,25bの間に形成された間口の屋外側に設置された外壁下地パネル(以下、下地パネルという)で、その幅は柱25a,25bの対向する側壁の間隔(間口の幅)とほぼ等しく、高さ(長さ)は土台22の上フランジの上面から上梁23の下フランジの下面までの高さとほぼ等しいか、又は若干低く形成されている。3a,3bは木材からなる一対の縦胴縁、4は木材からなり両端部が縦胴縁3a,3bに固定された複数の横胴縁で、縦胴縁3a,3bの上端部と下端部及びその間に所定の間隔で、屋内側面と屋外側面がそれぞれ縦胴縁3a,3bと同一平面になるように設けられており、これら縦胴縁3a,3bと横胴縁4とによりパネル枠2が形成されている。
【0019】
5は縦胴縁3a,3bと横胴縁4で囲まれた領域内に、その屋内面がパネル枠2の屋内面と同一平面上に位置するように設置された横胴縁4より薄い板状の断熱材である。この断熱材5はプラスチック系断熱材が望ましいが、繊維系断熱材であってもよい。なお、上記の説明では、断熱材5の厚みが横胴縁4の厚みより薄い場合を示したが、断熱材5は横胴縁4と同じ厚みでもよく、あるいは横胴縁4と断熱材5が同じ厚みで、かつ縦胴縁3a,3bの厚みより薄い場合であってもよい。
【0020】
6は鋼材からなり、図4(b)に示すように、ウェブ6aの一端がほぼ直角に折曲げられた屋外側フランジ6bと、ウェブ6aの他端が屋外側フランジ6bと反対方向にほぼ直角に折曲げられた屋内側フランジ6cとからなる断面ほぼZ字状の取付部材で、その高さ(長さ)は、パネル枠2の高さ(長さ)とほぼ等しく形成されている。なお、ウェブ6aのせいは、後述の柱25と土台22との間に形成された段差Dに対応している。
この取付部材6は図のように、パネル枠2の高さと同じ高さ(長さ)のものを用いてもよく、あるいは、複数に分割した短い取付部材6を所定の間隔を隔てて設けてもよい。なお、6dは屋内側フランジ6cの上下方向に所定の間隔で設けられたタッピンねじ等の先穴である。
【0021】
7は断熱材5を含むパネル枠2の屋内側に設けられたシート状又は合板などの板状の材料(以下、説明を容易にするためこれらを気密材と記す)である。この気密材7は、図4に示すように、パネル枠2の屋内側に展開して、その両縁部を縦胴縁3a,3bの屋内側と取付部材6の屋外側フランジ6bとの間に挾持し、ビス等8により固定したものである。なお、気密材7は単層でも複層でもよく、気密材と非気密材の積層構造でもよい。断熱材5を板状のプラスチック系断熱材とした場合は、気密材7に代えて、シージングボードなど気密材以外の材料を用いてもよく、省略してもよい。熱抵抗の高い材料を用いれば、断熱性能、防露性能をより高めることができる。断熱材5を繊維系断熱材とした場合でも、断熱材内部で結露を生じて断熱性能や耐久性が損なわれない限り、同様にしてもよい。
【0022】
また、図5(a),(b)に示すように、パネル枠2より幅の広い気密材7をパネル枠2の屋内側に展開し、縦胴縁3a,3bと取付部材6の屋外側フランジ6bとの間に挾持してビス等8で固定すると共に、気密材7の両縁部を縦胴縁3a,3bの両側壁に沿って折曲げて、縦胴縁3a,3bの側壁にファスナ9で固定してもよく、あるいは、図5(c)に示すように、気密材7をさらに幅広に形成し、縦胴縁3a,3bと取付部材6の屋外側フランジ6との間に挾持してビス8等で固定すると共に、シート7の両縁部を縦胴縁3a,3bの両側壁から屋外壁に沿って折曲げて縦胴縁3a,3bを包み込み、その屋外壁にファスナ9で固定してもよい。なお、パネル枠2の上下端部については、気密材7を同様に延長して上下端部の横胴縁4の上下面に取付けても、包み込んでもよく、同じ高さとしてパネル枠2の屋内面のみに取付けてもよい。
【0023】
このように、気密材7の縁部を折曲げてパネル枠2の縦胴縁3a,3bの側壁又は屋外壁に固定することにより、気密材7の固定と気密性能をより高めることができる。なお、気密材7にポリエチレンシートあるいはプラスチック板、金属板等の透湿抵抗の高い材料を用いれば、防湿層として機能するので、板状の断熱材5に代えて繊維系断熱材を容易に用いることができる。
【0024】
10はパネル枠2の屋外側全面に取付けた合板であり、この合板10に完全耐水合板を使用すれば耐久性上より好ましい。なお、この合板10は省略することができる。11は合板10の屋外側の幅方向のほぼ中央部において、上下方向に取付けられた通気用縦胴縁である。
【0025】
次に、上記のように構成した下地パネル1を柱25に取付ける手順について説明する。なお、柱25の屋外壁には、下地パネル1の取付部材6の屋内側フランジ6cに設けた先穴6dに対応して2列のタッピンねじ等の先穴26が設けられている。
先ず、図1、図3に示すように、隣接する柱25a,25bの間に下地パネル1aを配設し、取付部材6を土台22の上フランジ上に載置し、屋内側フランジ6cを柱25a,25bの屋外壁に当接する。この場合、図7に示すように、パネル枠2の最下部の横胴縁4の屋内側に、角材、L字形鋼材等からなる1個又は複数の支持部材15を設け、この支持部材15を土台22の上フランジ上に載置するようにしてもよい。
【0026】
そして、取付部材6の屋内側フランジ6cに設けた先穴6dを柱25a,25bに設けた先穴26と整合させ、ついで、図6(a)に示すように、屋内側フランジ6cの先穴6dから柱25a,25bの先穴26にタッピンねじ等12を螺入して固定し、同様にして、下地パネル1bを柱25に固定する。次に、両下地パネル1a,1bの間に形成されたすき間(継ぎ目)16の開口部に、合板10の上から通気用縦胴縁11を取付けて開口部を閉塞すれば、建物躯体への下地パネル1a,1bの取付けは完了する。なお、ここでは柱25a,25bに2列の先穴26を設けてそれぞれ取付部材6の屋内側フランジ6cを固定する例を示したが、柱25a,25bの中央部に1列の先穴26を設け、隣接する取付部材6の屋内側フランジ6cどうしを重ね合わせて固定してもよい。
【0027】
また、柱25の屋外壁の幅方向の中央部の上下方向にタッピンねじ等の複数の先穴を設け、図6(b)に示すように、左右の下地パネル1a,1bに設けた取付部材6の屋内側フランジ6cを柱25に当接し、その屋外側に先穴を有する固定押え金具13を当接してタッピンねじ等12を螺入し、両下地パネル1a,1bを一体的に柱25に固定する。そして、両下地パネル1a,1bの間に形成された継ぎ目16の開口部に、合板10の上から通気用縦胴縁11を取付けてもよい。
さらに、図6(c)に示すように、両下地パネル1a,1bの間に形成された継ぎ目16内に充填材14を充填してもよい。充填材14は、繊維系断熱材、プラスチック系断熱材のいずれでも使用可能であるが、現場発泡系の断熱材を用いれば、この部分の断熱性、気密性をより向上させることができる。
なお、上記の説明では、1階建ての建物の屋外側に下地パネル1を取付ける場合を示したが、2階建て又はそれ以上の建物の屋外側にも、同様にして下地パネル1を取付けることができる。
【0028】
本実施の形態は、一対の縦胴縁3a,3bの間に複数の横胴縁4を取付けてパネル枠2を形成し、縦胴縁3a,3bと横胴縁4で囲まれた領域にそれぞれ断熱材5を配設し、その屋内側に配設した気密材7を介して断面ほぼZ字状の取付部材6を縦胴縁3a,3bに固定して下地パネル1を構成し、取付部材6の屋内側フランジ6cを柱25に固定することにより、下地パネル1を柱25の屋外側に装着するようにしたので、次のような効果を得ることができる。
【0029】
下地パネル1の屋内側に設けた断面Z字状の取付部材6により下地パネル1を建物躯体の柱25に取付けるようにしたので、柱25と土台22(梁)等との間に形成された段差Dを取付部材6のウェブせい(高さ)で吸収することができ、これにより、従来技術のようなスペーサ等が不要になるため、厚みの厚い枠組を貫通させて柱にビス止めする必要がない。
また、パネル枠2、断熱材5等からなる下地パネル1を、はつり加工などをすることなくそのまま建物躯体に取付けることができるため断面欠陥を生じることがなく、さらに、断面ほぼZ字状の取付部材6は、その屋外側フランジ6bが下地パネル1の縦胴縁3a,3bの屋内側に固定されるだけなので、取付部材6を鋼材のような熱伝導率の高い材料で構成してもヒートブリッジになることはない。
【0030】
さらに、取付部材6を連続体で構成した場合は、この範囲でパネル枠2の縦胴縁3a,3bの強度及び剛性が累加されるため、下地パネル1を柱25に固定するためのタッピンねじ等の数を減らすことができる。なお、ここで云う連続体とは、必ずしも全長にわたって一体に形成されたものに限定しておらず、相互の上下端部を概ね突き付けにして、縦胴縁3a,3bに取付けている状態を指し、同一縦胴縁3a(3b)上にある取付部材6どうしの接合の有無、微小な隙間の有無は問わない。
また、パネル枠2の屋内側に気密材7を配設し、その縁部を縦胴縁3a,3bと取付部材6とで挾持して固定するようにしたので、断熱材5の形状保持、気密材7の取付を確実に行うことができる。
【0031】
[実施の形態2]
図8は本発明の実施の形態2に係る外壁下地パネルを構成するパネル枠の斜視図、図9はこのパネル枠を柱に取付けた状態を示す側面図である。なお、実施の形態1と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
実施の形態1では、下地パネル1の高さを土台22の上面から、上梁23の下面までの高さとほぼ等しく形成し、その縦胴縁3a,3bの屋内側に気密材7を介してこれとほぼ等しい高さ(長さ)の取付部材6を取付けた場合(取付部材6は長手方向に複数に分割して取付ける場合もある)を示したが、本実施の形態は、下地パネル1の高さをこれより高く形成したもである。
【0032】
図8、図9において、パネル枠2は、縦胴縁3a,3bの高さが土台22の上面から上梁23の上面までの高さとほぼ等しく形成されており、最上部の横胴縁4aは天井梁23の下面とほぼ等しいか又はそれより若干下方において縦胴縁3a,3bの間に固定されている。そして横胴縁4aの下方には複数の横胴縁4が所定の間隔で設けられており、最下部の横胴縁4bは縦胴縁3a,3bの下端部の間に取付けられている。
【0033】
また、取付部材6は最上部と最下部の横胴縁4a,4b間の高さとほぼ等しい高さ(長さ)に形成されており、パネル枠2の屋内側の最上部と最下部の横胴縁4a,4bの間に展開された気密材7を縦胴縁3a,3bとの間で挾持し、図4又は図5で説明した要領により気密材7を固定する。
【0034】
上記のように構成した本実施の形態に係る下地パネル1は、実施の形態1の場合と同様に、取付部材6の屋内側フランジ6cを柱25に固定し、建物躯体に取付ける。このとき、縦胴縁3a,3bの上端部は天井梁23の上面近傍に位置し、両者の間には空間部が形成されるので、必要に応じてこの空間部に板状あるいはブロック状の断熱材を装着してもよく、あるいは縦胴縁3a,3bの上端部間に横胴縁4を設けて、これらの間に断熱材5を設けてもよい。この場合、気密材7は実施の形態1の場合と同様に、縦胴縁3a,3b間に設けられた横胴縁4まで延長して取付けるとよい。
なお、本実施の形態においては、図8、図9に破線で示すように、縦胴縁3a,3bの下端をほぼ基礎21の上面に達するまで延設してもよく、あるいは、縦胴縁3a,3bの上端部を実施の形態1の場合と同様に形成し、下部のみを延設してもよい。また、この延設部の下端部間に横胴縁4を設け、必要に応じてこれらの間に断熱材5を設けてもよい。この場合においても、気密材7は、実施の形態1の場合と同様に、縦胴縁3a,3bの間に設けられた横胴縁4まで延長して取付けるとよい。
【0035】
本実施の形態に係る下地パネル1を2階建以上の建物の屋外側に取付ける場合は、縦胴縁3a,3bの下方延設部または横胴縁4の屋内側に設けた支持部材15を、図10に示すように、土台22の下フランジ上(又は上フランジ上)に載置して取付部材6を柱25に固定する。ついで、実施の形態1に係る下地パネル1の取付部材6又は支持部材15を上梁23の上面に載置し、取付部材6を上梁23上に立設した柱25に固定すればよい。なお、上階の屋外側には、縦胴縁3a,3bが下方に延設されていない実施の形態2に係る下地パネル1を取付けてもよい。これにより建物躯体の屋外側には上下方向、左右方向に連続して下地パネル1が取付けられる。
本実施の形態によれば、建物躯体の上下方向に取付けられた下地パネル1も、縦胴縁3a,3bにより接合することができるので、梁部分のパネルを省略することができ、気密性、防水性をより高めることができる。
【0036】
[実施の形態3]
図11は本発明の実施の形態3に係る下地パネルの要部の縦断面図である。なお、実施の形態1,2と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。実施の形態1,2では、パネル枠2の屋内側に気密材7を設置した場合を示したが、本実施の形態においては、パネル枠2の屋内側と屋内側の両方、又は屋外側のみに気密材7を設けたものである。
【0037】
図11(a)は実施の形態1の場合と同様に、板状の断熱材5を取付けたパネル枠2(ただし、パネル枠2の屋内側には、気密材7を介して複数に分割した取付部材6を取付けた場合が示してある)の屋内側と屋外側の両面に気密材7を配設し、縦胴縁3a,3b(必要に応じて横胴縁4を含む)にファスナ9で固定したものである。
【0038】
また、図11(b)は屋外側の気密材7に透湿防水性を有する樹脂シート(JIS A6111 透湿防水シート)を用い、縦胴縁3a,3bと横胴縁4で囲まれた領域内に、板状の断熱材5に代えて繊維状断熱材5aを設置したものである。ここでは、屋内側の気密材7は、透湿抵抗の高いポリエチレンシートなどを用いている。ここで挙げたように、繊維系断熱材を使用する場合には、屋外側には透湿性、防水性を有する材料、屋内側には防湿性を有する材料を組み合わせて選択すると冬季に断熱材内部に結露が発生しにくいので、断熱性能の低下、耐久性の低下が起こりにくいが、性能上問題のない場合には、屋内側にも透湿性の材料を用いてもよい。なお、いずれの場合も、図5に示すように、屋内側若しくは屋外側、又は両方の気密材7の縁部を縦胴縁3a,3b側に折曲げてファスナ9で固定してもよい。
【0039】
本実施の形態において、屋外側に板体状の気密材7を設けた場合は、この気密材7をパネル枠2の高さより高く形成し、パネル枠2の上方又は上方と下方に延設してもよい。上下方向に接続される側のパネルの気密材7を、延設された気密材7の延長された寸法分短く配置して、他方のパネルの気密材7を接続することにより、気密性及び防水性をより向上させることができる。
また、図11(a)の場合(板状の断熱材5を用いた場合)は、屋内側の気密材7を省略して屋外側だけに気密材7を設けてもよい。
本実施の形態によれば、下地パネル1の気密性、防水性を高めることができ、また、断熱材として繊維性断熱材5aを容易に使用することができる。
【0040】
[実施の形態4]
本発明の実施の形態4は、建物躯体に複数の下地パネル1を設置した場合における隣接する下地パネル1の間に形成される継ぎ目(すき間)16の処理に関するものである。なお、実施の形態1〜3と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
【0041】
本実施の形態の一例である図12(a)において、屋外側に気密材7が設けられた隣接する下地パネル1a,1bの取付部材6をそれぞれ柱25の屋外壁に固定するが、このとき、両下地パネル1a,1bの間には継ぎ目16が形成される。この継ぎ目16をそのままにしておくと、前述のように、気密性の低下、内部への水分の侵入、熱橋による断熱性能の低下などの問題が発生し、建物の耐久性にも影響を及ぼす。
【0042】
そこで、本例において、この継ぎ目16の開口部に図12(b)に示すように、屋外側から通気用縦胴縁11を当接し、ビス等により下地パネル1a,1bに固定して開口部を閉塞したものである。なお、隣接する下地パネル1a,1bの柱25への固定には、図6(b)に示すように、固定押え座金13を用いてもよく、また、図6(c)に示すように、この継ぎ目16に充填材14を充填してもよい。
【0043】
図13は本実施の形態の他の例を示すもので、パネル枠2の屋外側に、パネル枠2の表面積より大きい面積の気密材7を配設し、図14に示すように、ファスナ9により横胴縁4に固定したもので、パネル枠2の外周には気密材7の延設片7aが形成される。
【0044】
本例においては、図15(a)に示すように、取付部材6により柱25に取付けられた下地パネル1a,1bの間に形成された継ぎ目16の開口部を、両下地パネル1a,1bに設けた気密材7の延設片7aを重ね合わせて封止し、図15(b)に示すように、延設片7aを重ね合わせた部分の屋外側に通気用縦胴縁11を当接してビス等により下地パネル1a,1bに固定し、継ぎ目16の開口部を閉塞したものである。
【0045】
本実施の形態によれば、隣接する下地パネル1a,1bの間に形成された継ぎ目16を、直接又は気密材7の延設片7aを介して通気用縦胴縁11で閉塞したので、接合部分に静止空気層が設けられることにより断熱性能が向上すると共に気密性が向上し、内部に水分が侵入することがなく、建物の耐久性を高めることができる。
また、パネル枠2よりも大きい面積の気密材7を屋外面に配設する際に、屋外面の気密シート7を横胴縁4にのみ止め付けたので、隣接するパネルの屋外側の気密材7の延設片7aを容易に重ね合わせることができる。
【0046】
[実施の形態5]
図16は本発明の実施の形態5に係る下地パネルの正面図(図には2つの下地パネル2a,2bを並設した場合が示してある)である。なお、実施の形態1〜4と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
本実施の形態は、パネル枠2を構成する最上部の横胴縁4aと最下部の横胴縁4bを他の横胴縁4より長く形成し、縦胴縁3a,3bの両側から外方に突出させたものである。なお、この突出長は、取付部材6の屋内側フランジ6cの端部とほぼ等しいか、またはこれより若干長く設定する。そして、このパネル枠2の屋外側に、上下の横胴縁4a,4bを含むパネル枠2の表面積より大きい面積の気密材7(破線及び1点鎖線で示す)をファスナ9により取付けたものである。
【0047】
本実施の形態においては、パネル枠2の柱25に取付けて、図17に示すように、隣接するパネル枠2a,2bの間に形成された継ぎ目16を気密材7の延設片7aどうしを屋外側で重ね合わせて塞いだのち、上部の延設片7aを重ね合わせてパネル枠2a,2bの最上部の横胴縁4aを包み込み、横胴縁4aの屋内側にファスナ9によって固定し、隣接するパネル枠2a,2bの縦胴縁3a,3bに通気用縦胴縁11を取付ける。この場合、上階のパネル枠2a,2bの気密材7の延設片7aは、下階のパネル枠2a,2bの最上部の横胴縁4aの屋外面まで延長し、横胴縁4aにファスナ9で固定する。
【0048】
上記の各実施の形態においては、パネル枠を構成する縦胴縁、横胴縁あるいは通気用縦胴縁等を木材で形成した場合を示したが、本発明はこれに限定するものではなく、これら縦胴縁等を、例えば断面四角形状、コ字状、L字状、H状等の鋼材を用いてもよい。
【0049】
【発明の効果】
本発明に係る外壁下地パネルは、屋内側に断面ほぼZ字状の取付部材を設け、この取付部材の屋内側フランジを柱に固定し、土台(下梁)や上梁と柱との間に形成された段差をこの取付部材のウェブにより吸収するようにしたので、外壁下地部材の取付けにあたって、段差の干渉を避けるためのはつり加工等を施す必要がなく、このため、施工性が向上し断熱性能の低下を防止することができる。
【0050】
また、従来必要としていた受け材、間柱やこれらを土台(下梁)に固定するための柱脚金物、あるいはスペーサ等を省略できるので、部材点数を大幅に減らすことができ、また施工が容易になるためコストを低減することができる。
さらに、外壁下地のパネルの屋外側に設置する気密材をパネル枠より大きく形成することにより、設置時に隣接する外壁下地パネルの間に形成される継ぎ目を、気密材を重ね合わせて接合することができるので、気密性、防水性をさらに高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る外壁下地パネルを建物躯体に取付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図1のパネル枠の斜視図である。
【図3】図2のパネル枠の柱に取付けた状態を示す側面図である。
【図4】パネル枠に気密材を取付ける状態を示す上面図及び斜視図である。
【図5】図4の別の例の上面図及び斜視図である。
【図6】図1の外壁下地パネルの柱への取付状態を示す説明図である。
【図7】パネル枠に支持部材を取付けた状態を示す背面斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係るパネル枠の斜視図である。
【図9】図8のパネル枠を柱に取付けた状態を示す側面図である。
【図10】図9の他の例を示す側面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る外壁下地パネルの縦断面図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係る外壁下地パネルの柱への取付状態を示す説明図である。
【図13】実施の形態4の他の例を示す外壁下地パネルの背面図である。
【図14】一部を省略した図13の正面図である。
【図15】図13の外壁下地パネルの柱への取付状態を示す説明図である。
【図16】本発明の実施の形態5に係る外壁下地パネルの正面図である。
【図17】図16の外壁下地パネルに設けた気密材の施工状態を示す説明図である。
【図18】従来の外壁下地材を建物躯体に取付けた状態を示す斜視図である。
【図19】図17の建物躯体部分を示す斜視図である。
【図20】図17の平断面図である。
【符号の説明】
1 外壁下地パネル
2 パネル枠
3a,3b 縦胴縁
4 横胴縁
5,5a 断熱材
6 取付部材
6a ウェブ
6b 屋外側フランジ
6c 屋内側フランジ
7 気密材
7a 延設片
11 通気用縦胴縁
15 支持部材
16 継ぎ目
21 基礎
22 土台(下梁)
23 上梁
25 柱
Claims (7)
- 縦胴縁と横胴縁からなるパネル枠と、該パネル枠内に配設された断熱材と、断面ほぼZ字状の取付部材とを備え、
前記パネル枠の縦胴縁の屋内側に前記取付部材の一方のフランジを接合し、他方のフランジを前記縦胴縁の側方に突出させたことを特徴とする外壁下地パネル。 - 取付部材を、建物の土台又は下梁から上梁までの高さ以下の長さの連続体で形成したことを特徴とする請求項1記載の外壁下地パネル。
- パネル枠の長さを、連続体からなる取付部材の長さとほぼ等しいか又はこれより長く形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の外壁下地パネル。
- パネル枠の屋内側にシート状又は板状の材料を配置し、該材料を縦胴縁と取付部材との間に挾持して固定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の外壁下地パネル。
- パネル枠の屋外側にシート状又は板状の材料を配置し、該材料を前記パネル枠に固定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の外壁下地パネル。
- パネル枠の屋内側又は屋外側に配置したシート状又は板状の材料の一部又は全部を、前記パネル枠の外周部から外方に延設したことを特徴とする請求項4又は5記載の外壁下地パネル。
- シート状の材料の縁部をパネル枠の側面又は側面から屋外面若しくは屋内面にかけて折曲げて該パネル枠に固定したことを特徴とする請求項6記載の外壁下地パネル。
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