JP3588653B2 - 吸上管詰まり防止機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸上管詰まり防止機構に関し、特にジョイントを介して重りと一体の形で容器本体の内部に設けた内容物通過用の吸上管に異物が流入することを防ぐ機能を持つ吸上管詰まり防止機構に関する。
【0002】
この吸上管詰まり防止機構は、エアゾール形式の容器やポンプ形式の容器などで用いられる。
【0003】
【従来の技術】
図6は、重りのホルダ側に異物侵入防止用の小孔を有する吸上管詰まり防止機構を示す説明図である。(a)は吸上管詰まり防止機構の断面、(b)はフィルタ作用部分のA−A’断面をそれぞれ示している。
【0004】
図6において、30は吸上管詰まり防止機構、31は吸上管、32は重り本体、33はお碗状のホルダ、33aは内容物流入口、33bは内部空間、33cは重り本体を係止するためホルダ内周面に所定間隔で形成した凸状部、33dは当該凸状部が形成されていない内容物通過用の空間部、33eは内容物の導入路、33fは異物侵入防止用の小孔(フィルタ作用部)、33gは後述のブッシュ34を固定的に保持する筒状の受部、34は吸上管31を保持するブッシュ、34aは受部33gと嵌合する突状部、34bは吸上管31を挟持するテーパ面をそれぞれ示している。
【0005】
容器本体の内容物は、ホルダ33に流入して吸上管31にいたるまで、内容物流入口33a−内部空間33b−空間部33d−導入路33e−小孔33f−吸上管31の経路を通っていく。
【0006】
図示の吸上管詰まり防止機構30は、吸上管31の入口側部分に異物侵入防止用の小孔33fを形成し、これによりホルダ33の内部空間33bを経由した内容物が吸上管31に流入する際に異物の侵入を防止し、本来の内容物のみが吸上管31内に流入するようにしている。
【0007】
そして、ホルダ33の内部空間33bは重り本体32の保持部だけではなく、内容物の通路部分にもなっているため、その下部には内容物流入口33aが形成され、また内周面には重り32を確実に保持するための凸部33cが飛び飛びに形成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の吸上管詰まり防止機構の重りホルダは、重り本体の保持部と放出モードにおける内容物通過部とを兼用している。
【0009】
そのため、ホルダには、内容物を自らの内部空間に取り込むための流入口や、当該流入口から吸上管までの内容物通路を完全に遮断しない形で重り本体を確実に係止するための凸状部を、設けなければならず、重り部分の構造が複雑になってその製造に手間がかかるという問題点があった。
【0010】
そこで、本発明では、重り部分(重り本体やそのホルダ)の役割を重り作用のみとし、異物の流入を防止する通路部は、重り部分とは別の、比較的大きな形状の(吸上管を直接保持する)ジョイント部分に形成して、吸上管詰まり防止機構全体の製造の簡単化を図ることを目的とする。
【0011】
また、球状の重り本体をその一部が露出するかたちでホルダに設定し、容器内の当該ホルダが傾いた状態になる、すなわちホルダと一体のジョイント部分に形成した異物流入防止用の通路部の入口側が少しでも下方に位置するようにして、容器の内容物が少量となったときにもこれを当該入口側から吸上管へと供給できるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明はこの課題を次のように解決する。
(1)ジョイントを介して重りと一体の形で容器本体の内部に設けられる内容物通過用の吸上管に異物が流入することを防ぐ機能を持つ吸上管詰まり防止機構において、前記容器本体の内容物を前記吸上管にその上流側端部から流入させるための通路部を、重り部分ではなく、前記ジョイントの一部に、前記吸上管の最小径部分よりも小さなサイズにて形成する。
(2)上記(1)において、前記通路部を、前記ジョイントの面部分に溝状部のかたちで設ける。
(3)上記(1),(2)において、前記重りを、球状の重り本体とそのホルダとからなり、当該ホルダの内部空間側と前記吸上管の上流側端部側とが遮断され、かつ当該重り本体の一部が当該ホルダから露出するかたちに設定する。
【0013】
本発明によれば、上記(1)のように、重り付きの吸上管詰まり防止機構における重りと、吸上管上流側の異物流入防止用の通路部とを峻別して、この通路部については吸上管よりも大きな形状のジョイントに形成し、これにより吸上管詰まり防止機構全体の製造の簡単化を図っている。
【0014】
また、上記(2)のように、ジョイントの面部分に溝状部からなる異物流入防止用の通路部を形成し、これにより重り付き吸上管詰まり防止機構の製造の手間を一段と簡単なものにしている。
【0015】
また、上記(3)のように、重り本体をその一部が露出するかたちでホルダ内部に保持して、当該ホルダと一体のジョイント部分に形成した異物流入防止用の通路部の入口側が少しでも下方に位置するようにし、これにより容器の内容物が少量となったときの当該内容物の有効利用を図っている。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1乃至図5を用いて説明する。
図1は、吸上管詰まり防止機構を備えた容器全体の概要を示し、
図2は、図1の吸上管詰まり防止機構のホルダ,ジョイントおよび吸上管の結合関係を拡大的に示し、
図3は、図2のジョイントのみを全体的に示し、
図4は、図2とは別の結合関係を拡大的に示し、
図5は、図4のジョイントのみを全体的に示している。
【0017】
図2および図3と、図4および図5との違いは、ジョイントの形状(異物流入防止用のスリットなどの形成部分)およびこれにともなう内容物の流入経路である。
【0018】
これらの図において、
10は第1の吸上管詰まり防止機構,
10′は第2の吸上管詰まり防止機構,
11は吸上管,11aはその先端部,
12は球状の重り本体,
13は重り本体12のホルダ,13aは鞘状の吸上管差込部,13bは吸上管差込部の上縁部,13cは吸上管差込部の内周面に形成した環状凹部,13dは後述のジョイントを保持する挟持部,13eは吸上管の先端部11aを受けて内容物の通路を確保する複数の段部,13fは段部相互間の内容物通路,13gは重り保持具の内周面に形成した重り保持専用の環状凸部,
14は外面側に異物侵入防止用のフィルター機能を有するジョイント,14aは鍔部,14bは異物侵入防止用のスリット,14cは垂下部,14dはこの垂下部14cの外周面側に形成した異物侵入防止用の片部,14eは片部14dと吸上管差込部13aとの間の狭間部,14fは吸上管差込部13aと係合する突状部,14gは垂下部14cの下側部分に形成した切欠部,14hは吸上管11を把持するテーパ面,14iは吸上管差込部13aの下側内周面と吸上管11の下側外周面との間の空間部,
15は内周面側に異物侵入防止用のフィルター機能を有するジョイント,15aは鍔部,15bは垂下部,15cは吸上管差込部13aと係合する環状突状部,15dは内周面の上下方向に形成した異物侵入防止用のスリット,15eは切欠部,15fは吸上管11を把持するテーパ面,15gは吸上管差込部13aの下側内周面と吸上管11の下側外周面との間の空間部,
16は容器本体,
17は内容物放出機構,
18は内容物の放出口,
をそれぞれ示している。
【0019】
図示の吸上管詰まり防止機構は、吸上管,重り(重り本体・そのホルダ)およびジョイントから構成される。
【0020】
その基本的な特徴は、ジョイントの一部にフィルター機能を有するスリットを形成し、容器内の内容物を当該スリットから直接取り込んで、すなわち重りホルダの内部を経由せずに、吸上管へ流入させるようにしたことである。
【0021】
したがって、ホルダの内部空間は内容物の通路とはならず、ホルダ内周面に形成した凸部は重り本体の保持専用であり、従来例(図6参照)のように、ホルダ自体に内容物の流入口を形成したり、内容物通過用の空間部を考慮して凸部を形成する必要はない。
【0022】
本発明の吸上管詰まり防止機構は、各種形式の操作部材や各種方式の内容物放出機構を対象とすることができ、また、容器を正立した(内容物の放出口が上方に位置する)状態でも倒立した状態でも使用することができる。
【0023】
図1乃至図3を参照して、第1の実施の形態である吸上管詰まり防止機構10を説明する。
【0024】
吸上管詰まり防止機構10の使用モードでは、容器本体16の内容物はジョイント14の鍔部14aに形成されたスリット14bから流入し、内容物放出機構17の作用で放出口18から外部空間へと放出される(図1参照)。なお、内容物放出機構自体は各種の周知のものが用いられる。
【0025】
球状の重り本体12はホルダ13から露出しているので、吸上管詰まり防止機構10は図示のように傾倒し易く、内容物の量が少なくなったときにもスリット14bの内容物流入側開口部は当該内容物の中に位置する。これにより容器本体16の内容物を効率的に使い切ることができる。
【0026】
ホルダ13の外面の中央部分には、吸上管11を取り付けるための鞘状の吸上管差込部13aが一体成形されている。吸上管差込部13aには、吸上管11の先端部11aを受けて内容物の通路を確保するための段部13eや、ジョイント14を保持する環状凹部13c,挟持部13dなどが設けられている。
【0027】
重り本体12は、ホルダ13の下部から露出する態様で、ホルダ内周面の環状凸部13gに確実に保持されている。
【0028】
ジョイント14は、鍔部14aと垂下部14cからなる筒形状であり、鍔部14aの下面部分には複数の異物侵入防止用のスリット14bを放射状に形成している(図3参照)。
【0029】
ジョイント14の垂下部14cには、その外周面を三等分する態様で、異物侵入防止用の片部14dを形成し、ホルダ13の吸上管差込部13aと嵌合する凸部14fを設けている。また、垂下部14cの下方には2つの切欠部14gを対向する態様で形成し、内周面には吸上管11を把持するテーパ面14hを形成している。
【0030】
吸上管11,ホルダ13およびジョイント14の結合関係は、図2に示すように、
・ホルダ13(吸上管差込部13a)の環状凹部13cでジョイント14の凸部14fを係合保持するとともに、当該ホルダの挟持部13dでジョイント14の垂下部14cを挟み込み、
・ジョイント14のテーパ面14hで吸上管11を把持した、
状態になっている。
【0031】
切欠部14gのため比較的変形し易い垂下部(ジョイント)14cは、ホルダ13の挟持部13dによって強制的に内側に曲げられてテーパ面14hが吸上管11に強く食い込むので、吸上管11はジョイント14に確実に保持される。
【0032】
内容物は、図2の矢印で示すように、スリット14b−狭間部14e−片部14dの間(片部の欠落部分)−切欠部14g−空間部14i−段部相互間の内容物通路13f−吸上管11の経路で流れる。
【0033】
異物侵入防止用の片部14dとホルダ13の吸上管差込部13aの内周面との間には狭間部14eが形成されるので、スリット14bに加え、この部分によっても異物の通過を防止することができる。
【0034】
すなわち、異物は、流れ方向に対する断面積が小さなスリット14bや狭間部14eを通過することができないので、吸上管11内に侵入することはない。また、図3に示すように、スリット14bから切欠部14gに至るまでの内容物の通路は迂回しているので、内容物が吸上管11に至るまでの通路は長く、より効果的に異物の侵入を防止することができる。
【0035】
複数のスリット14bや片部14d(狭間部14e)を形成しているので、そのうちの一部が異物によって閉塞された場合にも内容物は他のスリット14bや狭間部14eを通過して吸上管11内に流入することができる。
【0036】
容器16を傾けたり倒立して使用した際にも、重り12の自重によって吸上管詰まり防止機構10のスリット14bの流入側開口部は内容物内に位置するので、内容物を吸上管11内に流入させることができる。この場合にも上述のように異物は吸上管11内に侵入することはなく、本来の内容物のみが吸上管11に流入する。
【0037】
なお、スリット14bおよび片部14dは吸上管11の最小径部分よりも小さなサイズで形成すればよく、その形状や個数は任意である。また、切欠部14gの形状や個数も任意であり、例えば幅の狭いスリット状の切欠部を垂下部14cの下部全体にわたって形成してもよい。
【0038】
吸上管詰まり防止機構10を組み立てる手順は例えば次のようになる。
▲1▼重り本体12をホルダ13の内部空間に入れて環状凸部13gに嵌合させる。
▲2▼吸上管11をジョイント14の鍔部14a側から入れ、その先端部11aをジョイント14の垂下部14cから露出させる。
▲3▼上記▲1▼の嵌合後のホルダ13の吸上管差込部13aをジョイント14の垂下部14cの側から挿入し、治具等を用いて、ホルダ13の段部13eに吸上管11の先端部11aを当接させる。
【0039】
図4および図5を参照して、第2の実施の形態である吸上管詰まり防止機構10′を説明する。
【0040】
なお、上述したように、図4は図2とは別の結合関係を拡大的に示し、図5は図4のジョイント15のみを示している。図1乃至図3の第1の実施の形態との違いは、ジョイントのスリット形成位置およびこれにともなう内容物の流入経路などである。
【0041】
すなわち、吸上管詰まり防止機構10′のジョイント15の場合、その内周面側に異物侵入防止用のスリット15dを吸上管11の最小径部分よりも小さなサイズで形成している。
【0042】
また、ジョイント15の垂下部15bの外周面には、ホルダ13(吸上管差込部13a)の環状凹部13cと係合する環状突状部15cが形成され、下方には切欠部15eが一箇所に形成されている。
【0043】
吸上管11,重り本体12,ホルダ13それぞれの形状や、全体の組立方法などは吸上管詰まり防止機構1の場合と同様である。
【0044】
内容物は、図4の矢印で示すように、スリット15d−切欠部15e−空間部15g−段部相互間の内容物通路13f−吸上管11の経路で流れる。
【0045】
異物は、スリット15dを通過できないので、吸上管11まで流入することはない。また、複数のスリット15dを形成しているので、一部のスリット15dが異物によって閉塞された場合にも内容物は他のスリット15dを通過して吸上管11に流入することができる。
【0046】
本発明の吸上管詰まり防止機構は、重り作用部と、異物流入防止用通路部とを峻別するという基本概念の下で、種々の変形例をとりえることは勿論である。
【0047】
例えば、
・ジョイント15に、異物流入防止用の複数の孔部を、上述のスリットに代え、またはこれと併用する形で設けたり、
・図3のスリット14b,狭間部14eと、図5のスリット15dとを併用したり、
・重り本体12とホルダ13を単一化する、すなわち重り本体12に吸上管差込部を形成する、
ようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
本発明では、このように、重り付きの吸上管詰まり防止機構における重りと、吸上管上流側の異物流入防止用の通路部とを峻別し、この通路部については吸上管よりも大きな形状のジョイントに形成しているので、吸上管詰まり防止機構全体の製造の簡単化を図ることができる。
【0049】
また、ジョイントの面部分に溝状部からなる異物流入防止用の通路部を形成しているので、重り付き吸上管詰まり防止機構の製造の手間を一段と簡単なものにすることができる。
【0050】
また、重り本体をその一部が露出するかたちでホルダ内部に保持し、当該ホルダと一体のジョイント部分に形成した異物流入防止用の通路部の入口側が少しでも下方に位置するようにしているので、容器の内容物が少量となったときの当該内容物の有効利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の、吸上管詰まり防止機構を備えた容器全体の概要を示す説明図である。
【図2】本発明の、図1の吸上管詰まり防止機構のホルダ,ジョイントおよび吸上管の結合関係を拡大的に示す説明図である。
【図3】本発明の、図2のジョイントのみを全体的に示す説明図である。
【図4】本発明の、図2とは別の結合関係を拡大的に示す説明図である。
【図5】本発明の、図4のジョイントのみを全体的に示す説明図である。
【図6】従来の、吸上管詰まり防止機構を示す説明図である。
【符号の説明】
10:第1の吸上管詰まり防止機構
10′:第2の吸上管詰まり防止機構
11:吸上管
11a:先端部
12:球状の重り本体
13:ホルダ
13a:鞘状の吸上管差込部
13b:上縁部
13c:環状凹部
13d:挟持部
13e:複数の段部
13f:内容物の通路
13g:重り保持専用の凸部
14:第1のジョイント
14a:鍔部
14b:異物侵入防止用のスリット
14c:垂下部
14d:異物侵入防止用の片部
14e:狭間部
14f:突状部
14g:切欠部
14h:テーパ面
14i:空間部
15:第2のジョイント
15a:鍔部
15b:垂下部
15c:環状突状部
15d:異物侵入防止用のスリット
15e:切欠部
15f:テーパ面
15g:空間部
16:容器本体
17:内容物放出機構
18:内容物の放出口
30:吸上管詰まり防止機構
31:吸上管
32:重り本体
33:ホルダ
33a:内容物流入口
33b:内部空間
33c:凸状部
33d:内容物通過用空間部
33e:内容物導入路
33f:異物侵入防止用の小孔
33g:受部
34:ブッシュ
34a:突状部
34b:テーパ面
Claims (3)
- ジョイントを介して重りと一体の形で容器本体の内部に設けられる内容物通過用の吸上管に異物が流入することを防ぐ機能を持つ吸上管詰まり防止機構において、
前記容器本体の内容物を前記吸上管にその上流側端部から流入させるための通路部を、重り部分ではなく、前記ジョイントの一部に、前記吸上管の最小径部分よりも小さなサイズにて形成した、
ことを特徴とする吸上管詰まり防止機構。 - 前記通路部を、前記ジョイントの面部分に溝状部のかたちで設けた、
ことを特徴とする請求項1記載の吸上管詰まり防止機構。 - 前記重りを、球状の重り本体とそのホルダとからなり、当該ホルダの内部空間側と前記吸上管の上流側端部側とが遮断され、かつ当該重り本体の一部が当該ホルダから露出するかたちに設定した、
ことを特徴とする請求項1または2記載の吸上管詰まり防止機構。
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