JP3587460B2 - 磁気記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置やフロッピーディスク装置に用いられる磁気ディスクの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、磁気記録再生装置は、小型でかつ大容量のものを実現するために、高記録密度化の傾向にある。
【0003】
代表的な磁気ディスク装置であるハードディスクドライブの分野においては、既に面記録密度が10Gbit/sqinを越える装置が商品化されており、数年後には、面記録密度が20Gbit/sqinの装置の実用化が予測されるほどの急峻な技術の進歩が認められる。
【0004】
このような高記録密度を可能とした技術的背景には、線記録密度の向上もさることながら、わずか数μmのトラック幅の信号をSN良く再生できる磁気抵抗素子型ヘッドに依るところが大である。
【0005】
また、高記録密度に伴い磁気記録媒体に対する浮動磁気スライダの浮上量の低減化も要求されてきており、浮上中も何らかの要因でディスク/スライダの接触が発生する可能性が増大している。このような状況下において、記録媒体にはより平滑性が要求されてきている。
【0006】
さて、ヘッドが狭トラックを正確に走査するためにはヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。このようなトラッキングサーボ技術を用いた現在のハードディスクドライブでは、磁気記録媒体に一定の角度間隔でトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等が記録された領域を設け(以下、プリフォーマット記録という。)、ドライブ装置は、ヘッドから一定時間間隔で再生されるこれらの信号によりヘッドの位置を検出し修正して、ヘッドが正確にトラック上を走査することを可能にしている。
【0007】
ここで、上述のようにサーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等はヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となるものであるから、その書き込み(以下、フォーマティングと記す)には高い位置決め精度が必要である。現在のハードディスクドライブでは、光干渉を利用した高精度位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ装置(以下サーボライタ)を用いて記録ヘッドを位置決めしてフォーマティングが行われている。
【0008】
しかしながら、上記サーボライタによるフォーマティングには以下の課題が存在する。
【0009】
第1に、磁気ヘッドによる記録は、基本的に磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対移動に基づく線記録であり、多数のトラックにわたって信号を書き込む必要があるため、サーボライタによる方法では、プリフォーマット記録に多大な時間を要するとともに、生産性をあげるためには高価な専用のサーボライタが複数台必要であり、プリフォーマット記録が高コストとなっていた。
【0010】
また、第2に、多くのサーボライタの導入、維持管理には多額のコストがかかる。これらの課題はトラック密度が向上し、トラック数が多くなるほど深刻であった。
【0011】
そこで、フォーマティングをサーボライタではなく、予め全てのサーボ情報が書き込まれたマスタと呼ばれるディスクとフォーマティングすべき磁気ディスクを重ね合わせ外部から転写用のエネルギーを与えることによりマスタの情報を磁気ディスクに一括転写する方式が提案されている。
【0012】
その一例として、特開平10−40544号公報に示された磁気転写装置があげられる。
【0013】
同公報には、基体の表面に、情報信号に対するパターン形状で強磁性材料からなる磁性部を形成してマスター情報坦体とし、このマスター情報坦体の表面を、強磁性薄膜あるいは強磁性粉塗布層が形成されたシート状もしくはディスク状磁気記録媒体の表面に接触させ、所定の磁界をかけることにより、マスター情報坦体に形成した情報信号に対応するパターン形状の磁化パターンを磁気記録媒体に記録する方法が開示されている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる従来の磁気転写装置を用いた情報信号の記録においては、マスター情報坦体に設けられた情報信号に対応する配列パターンを磁化パターンとして磁気記録媒体に一括記録する方法であるが、磁気記録媒体表面全体に亘って均一に安定して高密度の情報信号が記録されることが重要である。
【0015】
しかし、上記従来の磁気転写装置においては、磁気記録媒体とマスタ情報担体との間に異常突起や異物が存在する場合、両者が接触することによって磁気記録媒体の表面に陥没部が発生する。
【0016】
図12は従来の磁気転写方法において磁気記録媒体とマスタ情報担体とを接触させ磁気転写を行った後の磁気記録媒体の表面形状を示す図であり、中央の丸印は異常突起により出来た陥没部である。また図13は、この陥没部の断面を測定した図である。
【0017】
図13において、磁気記録媒体表面より50nm程度窪んだ陥没部のまわりには20nm程度の微小突起が存在していることがわかる。
【0018】
ここで、前述したように浮動磁気スライダの磁気記録媒体表面からの浮上量としては通常20nm程度であり、それに対して、磁気記録媒体上に図12(13)に示すような20nm程度の突起が存在すれば、データ記録再生時に、磁気ヘッドと磁気記録媒体とが接触することになり、かかる場合、接触した瞬間に磁気ヘッドが飛ばされ、磁気ヘッドと磁気記録媒体のクリアランスが大となり信号の記録再生性能が低下し、また磁気ヘッドが磁気記録媒体と物理的に接触することにより、磁気ヘッドの寿命が低下したり、ともすれば磁気記録媒体自体の破損につながる原因となっていた。
【0019】
図14は、かかる従来の磁気転写方法によって磁気転写を行った後の磁気記録媒体全体の表面の突起の状態を光学的に測定した結果を示したものであり、磁気記録媒体の表面に20nmあるいはそれを越える突起が多数存在することがわかる。
【0020】
このように、従来の磁気転写方法によれば、磁気転写後の磁気ディスク上には多数の突起が存在することとなり、記録再生性能および磁気ヘッド寿命の低下という問題があり、今後の高記録密度化に伴って磁気ヘッド、ディスク間の浮上量がさらに小さくなればますます深刻な問題となる。
【0021】
本発明は上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、磁気ディスクに微小突起が発生せず、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、ディスク状基体上に強磁性薄膜からなる磁性層を形成させて磁気ディスクとする工程1と、前記磁気ディスクに潤滑剤を塗布する工程2と、磁性膜が少なくとも片面に形成された磁気転写用マスタを前記磁性層が形成された磁気ディスク表面に密着させ、外部磁界を印加することにより前記磁気ディスク表面に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する工程3と、前記磁気ディスクの、少なくとも前記磁気転写用マスタを密着させる側の表面にバーニッシュ処理を施す工程4、とを含み、工程1、工程4、工程2、工程4、工程3の順番で磁気記録媒体を製造する方法であって、前記磁気ディスク表面上の欠陥を光学的に検出する欠陥検出工程を有し、前記磁気ディスク表面上の欠陥数或いは欠陥の大きさが所定の値以下であることを検査した直後に前記磁気転写する工程3を行うことを特徴とするものである。
【0025】
これにより、磁気転写によって磁気ディスク表面に欠陥が発生することのない、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0026】
また、本発明の磁気記録媒体の製造方法は、ディスク状基体上に強磁性薄膜からなる磁性層を形成させて磁気ディスクとする工程1と、前記磁気ディスクに潤滑剤を塗布する工程2と、磁性膜が少なくとも片面に形成された磁気転写用マスタを前記磁性層が形成された磁気ディスク表面に密着させ、外部磁界を印加することにより前記磁気ディスク表面に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する工程3と、前記磁気ディスクの、少なくとも前記磁気転写用マスタを密着させる側の表面にバーニッシュ処理を施す工程4、とを含み、工程1、工程4、工程2、工程4、工程3の順番で磁気記録媒体を製造する方法であって、前記磁気ディスク表面から所定の距離だけ浮上して前記磁気ディスク上を検査用ヘッドが走査することにより前記磁気ディスク上の欠陥を検出する検出工程を含み、前記検出工程は前記磁気転写する工程3の後に行うことを特徴とするものである。
【0027】
これにより、磁気転写によって磁気ディスク表面に欠陥が発生することのない
、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となり、ひいては
表面に欠陥の発生しない磁気ディスクの提供を可能ならしめるものである。
上記の方法において好ましくは、工程1の後のバーニッシュ処理を施す工程4による前記磁気ディスクへの押し付け力は、工程2の後のバーニッシュ処理を施す工程4による押し付け力よりも強くする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1〜図11を用いて本発明の実施の形態における磁気転写装置および磁気記録媒体を製造する方法について説明する。
【0030】
図1に、本発明の実施の形態の磁気転写の工程を含んだ磁気ディスクの製造工程のチャートを示す。
【0031】
まず、磁気転写用マスタについて説明する。
【0032】
図2は、本発明の実施の形態における磁気転写用マスタ2の構成を説明するための部分拡大図である。
【0033】
図2において、30は磁気ディスク1に磁気パターンを転写するための磁性膜であり、磁性膜30上には磁気ディスク1に記録されるディジタル情報信号に対応したパターン形状で強磁性薄膜からなる磁性部によるマスター情報パターンが形成されている。
【0034】
ここで、強磁性薄膜としては、硬質磁性材料、半硬質磁性材料、軟質磁性材料を問わず、多くの種類の磁性材料を用いることができ、磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録出来るものであればよい。例えば、Fe、Co、Fe−Co合金などを用いることが出来る。
【0035】
尚、マスター情報パターンが記録される磁気ディスク1の種類によらずに十分な記録磁界を発生させるためには、磁性材料の飽和磁束密度が大きいほどよい。特に2000エルステッドを越える高保磁力の磁気ディスクや磁性層の厚みの大きいフレキシブルディスクに対しては、飽和磁束密度が0.8テスラ以下になると十分な記録を行うことができない場合があるので、一般的には、0.8テスラ以上、好ましくは1.0テスラ以上の飽和磁束密度を有する磁性材料が用いられる。
【0036】
4は磁気転写用マスタ2の磁性膜30が設けられている接触面3に設けられた放射状の溝である。このように構成された磁気転写用マスタ2に対して、まず図1中ST1に示すように、公知の方法による洗浄、例えばスクラブ洗浄を行う。しかし、通常の洗浄方法では磁気転写用マスタ2の接触面3に残存する磁性膜30の微小な異常突起や、20〜50nm程度の超微小な異物を除去することができないことが実験により明らかになってきた。上記課題を解決する方法としてST1の工程の後にST2の工程、つまり、磁気転写用マスタとクリーニング用NiPディスクを所定の回数だけ密着/離間する操作を実施する。ST2の工程については、磁気ディスクに磁気転写を行うに先立ってクリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ間で吸引、圧送を繰り返すことにより、磁気転写用マスタの表面をバリなく滑らかに保つことができ、また磁気転写用マスタ表面に残存している異物をも確実に除去することが可能となる。
【0037】
ここで、図面を用いて、ST2の工程について説明する。図5及び図6は本実施の形態における磁気転写装置の断面図であり、2は磁気転写用マスタ、1は磁気ディスクを示し、図5はこれら磁気転写用マスタ2、磁気ディスク1が離間しているときの状態を、図6はこれら磁気転写用マスタ2、磁気ディスク1が密着しているときの状態を示す。
【0038】
ST2の工程はこれら図中、磁気ディスク1の代わりにクリーニング用NiPディスクを装着して行う。
【0039】
5は、磁気転写用マスタ2の中心部に固着されたボスで、6は、クリーニング用NiPディスクを支持するための支持台であり、中心部に空気を流すための通気孔7が設けてある。8は磁気転写用マスタ2とクリーニング用NiPディスクの間の気体を排出、圧送するための通路、9は通路8から気体を排出するための気体排出口、10は気体排出口に接続された吸引ポンプ、11は気体の排出を制御する排気弁である。また、12は通路8に気体を圧送するための給気ポンプ、13は気体の給気を制御する給気弁である。
【0040】
14は、磁気転写用マスタ2を保持するための保持アームであり、磁気転写用マスタ2に固着されている。保持アーム14はさらにガイド部材16により上部のボス部を介して垂直方向に摺動自在に位置決めされている。
【0041】
次に、図5及び6を用いて吸引/圧送の工程について詳細に説明する。
【0042】
まず、図5を使用して圧送による離間の工程について説明する。
【0043】
排気弁11を閉じて給気弁13を開放した状態で給気ポンプ12を動作させることによって、気体を通路8に流し込む。すると通気孔7には図5の矢印Aで示したように上方向に空気が圧送される。このことにより、通気孔7に圧送された空気は、ボス5を上方向に押し上げ、さらに矢印Bに示すように、空気は溝4に圧送される。溝4に圧送された空気は溝4を通って磁気転写用マスタ2の中心から外周へ向かって放射状に広がる。そして、さらに溝4から磁気転写用マスタ2とクリーニング用NiPディスクとの隙間を通って大気へと抜ける。この空気の流れにより、磁気転写用マスタ2やクリーニング用NiPディスクの表面に付着していた微細な異物は気体とともに外部へと排出されることになる。
【0044】
このとき、クリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2との間の隙間はできる限り小さく設定する方が好ましい。本実施の形態では約0.5mmに設定している。このことによって、クリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2との間の気体の流れは速くなるため、両者の間に存在する微細な異物を確実に外部へと排出することができる。
【0045】
本実施の形態では、クリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2が密着した状態から磁気転写用マスタ2が保持アーム14と一体的に0.5mm上昇した時点で保持アーム14の上面がガイド部材16の下面と当接することによって、クリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2間の距離は制御される。
【0046】
次に、吸引による密着の工程について図6を用いて説明する。
【0047】
給気ポンプ12を停止させ、給気弁13を閉じる。すると、クリーニング用NiPディスクを固着した保持アーム14が自重で下方向に移動し、ボス5がクリーニング用NiPディスクの内周孔と嵌合した状態でクリーニング用NiPディスクに載置される。その後、排気弁11を開き、排気ポンプ10を作動させる。
【0048】
すると、図6の矢印Cに示したように通気孔7の気体が下方向に排出されるため、溝4内部、即ち空間Aの気体もクリーニング用NiPディスクの内周孔とボス5との隙間を通って排出されることになる。
【0049】
ここで、溝4は図7に示したごとく、磁気転写用マスタ2の最外周まで抜けている形状ではない為、最外周のドーナツ状部分では磁気転写用マスタ2とクリーニング用NiPディスクとは全周にわたり密着した状態となっており、空間Aは密閉された状態となっており、その圧力は大気圧よりも低くなる。従って、クリーニング用NiPディスクは大気圧15により磁気転写用マスタ2に押しつけられることとなる。
【0050】
その結果、クリーニング用NiPディスク上に存在する異物はクリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2との間に挟まれることになる。ここで、クリーニング用NiPディスクと磁気転写用マスタ2との硬度を比較すれば、クリーニング用NiPディスクの方が硬度が低い材質を用いており、両者間に挟まれた異物は磁気転写用マスタ2の表面を傷つけることなく、クリーニング用NiPディスク側にめり込む、あるいは欠陥を生じさせることとなる。また、磁気転写用マスタ2上に存在する微小な異常突起については、クリーニング用NiPディスクと密着することにより平坦化されることとなる。
【0051】
以上の操作を繰り返すことにより、磁気転写用マスタ2の表面をバリなく滑らかに保ち、また磁気転写用マスタ2表面に残存している異物をも確実に除去することが可能となる。
【0052】
次に磁気ディスク1の製造方法について説明する。
【0053】
まず、ST3(スパッタ)の工程に示すように、公知の方法で表面に磁性層を形成する。磁性層の形成については、例えばアルミニウム製の基板上に蒸着やスパッタ手段のような乾式めっき手段により磁性層を設ける工程がある。また、通常は磁性層上に蒸着やスパッタ手段のような乾式めっき手段あるいはディッピングやスピンコート法により保護膜を設ける工程を行うことによって磁性層を保護する方法が採られている。
【0054】
その後、ST4の工程にてテープバーニッシュを実施する。この内容について図3を用いて説明する。図3は本発明の実施の形態におけるテープバーニッシュの工程を示す図である。図3において、磁気ディスク1を回転させるためのスピンドル55と、磁気ディスク1上の突起を除去するためのラッピングテープ56と、ラッピングテープ56を磁気ディスク1に押し付けるために空気57を吹き出すノズル58とからなる。
【0055】
図3において、まず磁気ディスク1を回転させながらノズル58から空気57を吹き出して、図中矢印P方向に移送されるラッピングテープ56を磁気ディスク1に押し付け、磁気ディスク1の表面の突起を除去する。ここで、このバーニッシュ工程に使用されるラッピングテープ56は、砥粒面平均粗さが1.0μmのものを用いた。また、ラッピングテープ56が磁気ディスク1に押圧する加工圧力を400kPaとした。この工程により、保護膜形成後の磁気ディスク1の表面に存在する異常突起を除去することができる。
【0056】
その後、図1中ST5に示すように公知の手段である潤滑剤を形成する工程を実施する。潤滑剤溶液中に磁気ディスク1を浸けた後に所定の速度で引き上げることによって潤滑剤を塗布する工程である。
【0057】
その後、ST6に示した工程であるテープバーニッシュ工程を再度実施する。この工程の構成はST4の工程と同じであるが、加工圧力の条件が異なる。すなわち、図3において、ここではラッピングテープ56が磁気ディスク1に押圧する加工圧力を40kPaとする。
【0058】
このように、潤滑剤形成工程の前後にテープバーニッシュ工程を行い、さらに、後のテープバーニッシュ工程におけるラッピングテープの磁気ディスクへの押圧力を小さくすることにより、潤滑膜形成後の磁気ディスク1の表面に存在する異物を確実に除去することができる。
【0059】
以上の工程で磁気ディスク1を製造することにより、磁気転写前の磁気ディスク1の表面上に異物や異常突起物が存在することのない、磁気転写に適した磁気ディスクを作製できることが、実験の結果明らかになった。その詳細については図11を用いて後で説明する。
【0060】
次に実施するST7の工程とST8の工程について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態におけるST7およびST8の工程を示す図である。図4において、60はクリーンブースであり、0.01μm以上の異物に対する集塵効率が99.9999995%のフイルタ61を上部に配置し、クリーンブース内に0.01μm以上の異物が混入しない構成となっている。このクリーンブース60内に、光学的な検査方法によって磁気ディスク1の表面に異物が存在しないかどうかの検査を実施するためのST7の工程、および磁気転写を実施するためのST8の工程が配置されている。
【0061】
まず、クリーンブース60の左側から矢印I方向に、ST6(テープバーニッシュ)の工程後の磁気ディスク1を収納した搬入カセット62が、クリーンブース60内に載置される。
【0062】
その後、クリーン用ロボット69によって、カセット62内に収納されていた磁気ディスク1が取り出され、スピンドル64に載置される。65はレーザー光源、66は検出器、67はレーザー光が外部に漏れないようにするためのカバーであり、レーザー光源65をスピンドル64によって回転させられている磁気ディスク1上に照射させ、その時に発生する散乱光を検出器66によって検出することによって、少なくとも磁気転写を行う前の磁気ディスク1上に存在する異物を検査する。
【0063】
ここで、検出器66によって異物が確認された場合、磁気ディスク1はクリーン用ロボット70によってNGカセット(図示せず)に収納される。
【0064】
また、検出器66によって磁気ディスク1上の表面に異物が確認されなかった場合は、ST8の磁気転写の工程を行う。そのために、クリーン用ロボット70によって磁気ディスク1は支持台6に載置される。
【0065】
ここで、ST7の工程における磁気ディスク1の表面の検査の方法としては、本実施の形態に示したように、散乱光方式を使用するのが好ましい。
【0066】
つまり、散乱光方式の検査方法は、ディスク表面上の異物を検出するのに適した方法であり、磁気転写の工程の直前にこの工程を行うことによって、異物の存在しない磁気ディスク1のみを効率的に磁気転写出来る。
【0067】
次に、ST8の工程である磁気転写を実施する。この内容については、図5および図6を用いて詳細に説明する。
【0068】
図5は本発明の実施の形態におけるST8の工程を行う装置の断面図であり、磁気転写における磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が離間した状態を示している。図6は本発明の実施の形態におけるST8の工程を行う装置の断面図であり、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が密着した状態を示している。
【0069】
図5において、1は磁気ディスクであり、2は磁気ディスク1の表面と密着させるための磁気転写用マスタである。
【0070】
3は磁気転写用マスタ2における磁気ディスク1との接触面であり、接触面3には磁気転写用マスタ2の中心から放射状に広がった溝4が設けられてある。
【0071】
図7は磁気転写用マスタ2における磁気ディスク1との接触面3を示した図であり、図7に示すように、溝4は磁気転写用マスタ2の中心から放射状に広がっている。
【0072】
本実施の形態では、溝の深さは5μm程度に設定している。5は、磁気転写用マスタ2の中心部に固着されたボスであり、磁気ディスク1の内周孔に嵌合させることで磁気ディスク1と磁気転写用マスタ2との位置決めを行っている。
【0073】
また、磁気ディスク1の内周孔とボス5との間には所定の隙間51(図8参照)が設けられており、空気の流れが可能なように構成されている。6は、磁気ディスク1を支持するための支持台であり、中心部に空気を流すための通気孔7が設けられてある。
【0074】
8は磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1の間の空気を排出、圧送するための空気通路、9は空気通路8から空気を排出するための空気排出口、10は空気排出口に接続された吸引ポンプ、11は空気の排出を制御する排気弁である。
【0075】
また、12は空気通路8に空気を圧送するための給気ポンプ、13は空気の給気を制御する給気弁である。給気ポンプ12には、0.01μmのエアーフィルタが設けられており、0.01μm以上の異物が空気通路8に圧送されないように構成されている。14は、磁気転写用マスタ2を保持するための保持アームであり、保持アーム14に設けられた貫通孔から空気を吸引することによって(図示せず)磁気転写用マスタ2を吸着している。16は保持アーム14を上下自在に摺動させるための保持台である。
【0076】
まず、図5を使用して離間手段について説明する。排気弁11を閉じて給気弁13を開放した状態で吸引ポンプ12を動作させることによって、空気を空気通路8に流し込む。すると通気孔7には図5の矢印Aで示したように上方向に空気が圧送される。このことにより、通気孔7に圧送された空気は、ボス5を上方向に押し上げ、さらに矢印Bに示すように、空気は溝4に圧送される。溝4に圧送された空気は溝4を通って磁気転写用マスタ2の中心から外周へ向かって放射状に広がる。そして、さらに溝4から磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1との隙間を通って大気へと抜ける。
【0077】
この時の時間経過と、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とで挟まれた空間(以下、空間Sと称す)の気圧との関係を示すのが図9であり、同図で時間経過が約3秒のあたりから空間Sの気圧が101.3kPaから瞬間的に上昇し、その後約1秒間は130kPaほどの気圧を保持している期間が、上記に示した磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が離間している状態に相当する。
【0078】
次に、密着手段について図6を用いて説明する。給気ポンプ12を停止させ、給気弁13を閉じる。すると、磁気転写用マスタ2は重力によって下方向に移動し、ボス5が磁気ディスク1の内周孔と嵌合した状態で磁気ディスク1に載置される。その後、排気弁11を開き、排気ポンプ10を作動させる。すると、図6の矢印Cに示したように通気孔7の空気が下方向に排出されるため、溝4内部の空気も磁気ディスク1の内周孔とボス5との隙間51を通って排出されることになり、磁気ディスク1によって閉じられた溝4の空間の圧力は大気圧よりも低くなる。従って、磁気ディスク1はほぼ大気圧15により磁気転写用マスタ2に押しつけられる。図9で空間Sの気圧が30kPaほどの区間が上記密着状態に相当する。
【0079】
その後、マグネット20を矢印D方向に移動させ、磁気転写用マスタ2に接近させ、その距離が1mmになった時に矢印D方向への移動を停止し、次に磁気ディスク1の円周方向、すなわち矢印Eの向きにマグネット20を1回転以上させることにより、転写に必要な磁界を印可する。以上の方法によって、磁気ディスク1の表面に磁気転写用マスタ2の表面上に形成されていた磁性膜30のパターンが形成される。
【0080】
ST8(磁気転写)の工程が終了した後は、図4に示すようにクリーン用ロボット71によって磁気ディスク1が搬出カセット63に収納され、その後搬出カセット63がクリーンブース60より搬出される。
【0081】
本実施の形態に示すように、ST7(検査)の工程とST8(磁気転写)の工程とをクリーンブース60内に一体的に形成させ、ST7による磁気ディスク1の表面を検査した直後にST8の工程による磁気転写を行うことによって、ST7とST8の工程間で磁気ディスクの表面上に異物が付着することはないため、磁気転写の工程によって磁気ディスクの表面上に陥没傷が発生することはない。
【0082】
なお、本実施の形態では、磁気ディスク1の搬送およびST7の工程、ST8の工程で、磁気ディスク1の表面を上に向けた構成としているが、例えば磁気ディスク表面をクリーンブース60内のフイルタ61に空気の流れに対して直角な方向である縦方向に設置するような構成としてもよい。この場合は、空気の流れが磁気ディスク1の表面と平行になるため、より磁気ディスク表面上への異物の付着が発生しにくくなる。
【0083】
また、本実施の形態では、スピンドル64と支持台6とを別々に配置したが、同一の場所でST7とST8の工程を実施するような構成としても構わない。
【0084】
次にST9(グライドハイトテスト)の工程について図10を用いて説明する。
【0085】
グライドハイトテストとは、実際の磁気ディスクと磁気ヘッドの走査時のクリアランスよりも若干小さいクリアランスをもって、磁気ディスク上に検出用ヘッドを走査させ、その時、検出用ヘッドによって衝撃を検出することにより、磁気ディスク上の欠陥を検出するテストのことである。
【0086】
図10は本発明の実施の形態におけるグライドハイトテストを行うための装置を説明する斜視図である。図10の装置は、ST8の工程(磁気転写の工程)を経た後の磁気ディスク1を保持して回転させるスピンドル21と、磁気ディスク1をスピンドル21に固定するクランプ機構22と、グライドハイトテスト用ヘッドスライダ40を備えるヘッド支持機構23と、ヘッド支持機構23をその根元で片持ち支持し、アコースティックエミッションセンサー25が固着されたガイドアーム24と、ヘッド40をヘッド支持機構23及びガイドアーム24を介して磁気ディスク1の記録面上で動かして位置決めするヘッド位置決め部26と、ヘッド位置決め部26の動作を制御する位置決め制御部27と、スピンドル21の動作を制御するスピンドル制御部28と、位置決め制御部27とスピンドル制御部28を制御するコントローラ29とから構成されている。
【0087】
まず、コントローラ29によって、スピンドル制御部28を介して磁気ディスク1を定速回転させる。次に、ヘッド位置決め部26を図10中矢印F方向に移動させるように位置決め制御部27で制御し、磁気ディスク1とヘッド40との間が所定の距離、すなわち15nmになった位置で停止させる。この位置の設定方法を以下に示す。
【0088】
予めヘッド位置決め部26がある位置にある時の、磁気ディスク1とヘッド40との間の距離を測定しておく。そして、磁気ディスク1とヘッド40との間の距離を15nmとするために移動させるべき距離を算出し、コントローラ29に記憶させる。コントローラ29は位置決め制御部27を介してヘッド位置決め部26を移動させ、磁気ディスク1とヘッド40との間の距離を15nmに設定する。ここで磁気ディスク1とヘッド40との間の距離、すなわち15nmは、実際の装置での記録再生を行う時の浮上量、もしくはそれよりも小さい値に設定している。
【0089】
その後、磁気ディスク1を回転させた状態で図10中矢印G方向、すなわち磁気ディスク半径方向にヘッド40を移動させるように位置決め制御部27によって制御し、ST8の工程で磁気転写を行う際に磁気転写用マスタ2と接触した面に対してグライドハイトテストを行う。
【0090】
このことによって、磁気ディスク1の表面に存在する異常突起、特に、記録再生途中における磁気ディスクと磁気ヘッドとのクリアランス以上の突起、を衝突によって発生する過大振動エネルギーを通じてアコースティックエミッションセンサー25によって検出し、異常突起の存在を検出するものである。
【0091】
ここで、1枚の磁気ディスク1において1個以上の異常突起が存在すれば不良ディスクと判断し、図1中ST2で示すように、磁気転写用マスタ2のクリーニングを開始させる。
【0092】
また、異常突起が検出されなかった場合は、OKディスクと判断し、次の工程であるST10を実施する。ST10の工程は、磁気ディスク1の表面、特にST8の工程(磁気転写の工程)によって磁気転写用マスタ2と接触した面の上の欠陥を検査する工程であり、図1中ST7の工程と同様の方法にて磁気ディスク1の表面に対して光学的に欠陥検査を行う。
【0093】
この検査にて、欠陥が見つかった場合は、図1に示すように、磁気転写用マスタ2のクリーニングを開始させる。欠陥が見つからなかった場合は、磁気ディスク1をハードディスク装置に組み込む。
【0094】
以上の工程を実施することによって、磁気転写の際に磁気ディスクへの欠陥がなく、かつ信号の劣化も発生しない高信頼性の磁気転写を実現することが可能となる。
【0095】
このことを、図11を用いて説明する。図11は、各種磁気ディスク製造工程において、磁気転写を行った磁気ディスクに対して市販の光学的な検査方法を用いて欠陥数を測定した結果、および信号欠陥検査を実施した結果を示している。
【0096】
サンプル1〜8に対し、左から右に時系列で工程を表示している。
【0097】
欠陥数に関しては、磁気転写を実施していない通常の磁気ディスクの欠陥数を1とした時の欠陥数の相対的な平均値を示している。
【0098】
また、信号欠陥に関しては磁気転写によって記録された信号に対する再生評価を行い、磁気転写を実施していない通常の磁気ディスクのリードライト時の信号出力を検査し、ドロップアウトが発生した欠陥数を基準に、○、△、×で相対的な評価を行った。
【0099】
磁気転写の方式は、本実施の形態の図5および図6で示した方法で行った。また、サンプル6、7、8に関しては、磁気転写を行う前に散乱光方式による光学的な検査を行い、検査で欠陥が見つからなかった磁気ディスクに対してのみ磁気転写を行っている。光学的な検査装置と磁気転写装置は、本実施の形態の図4で示したように、一体的に構成し、光学的な検査の直後に磁気転写を行う構成とした。
【0100】
この光学的検査にて、磁気ディスクの表面に異物が検出された確率は、サンプル6が5%、サンプル7が0%、サンプル8が0%である。また、磁気転写用マスタ2はST1(磁気転写用マスタの洗浄工程)およびST2(磁気転写用マスタとクリーニング用ディスクの密着/離間)の工程を実施することによって接触面3上には微小異物や異常突起物は存在していない状態で実験を行った。
【0101】
図11中のサンプル6、サンプル7、サンプル8の結果より明らかなように、磁気転写の直前に光学的な検査を実施することによって、磁気転写による磁気ディスク表面上の欠陥数、信号欠陥は、共に、磁気転写を実施しない通常の磁気ディスクのレベルと同等であることがわかった。逆に、他の工程の結果より明らかなように、磁気転写を実施する前に光学的な検査を行わない場合、磁気ディスク表面上の欠陥、信号欠陥共に通常の磁気ディスクよりも悪化することがわかった。
【0102】
これは、磁気転写を行う直前に磁気ディスク表面上に異物が存在した場合、磁気転写によって磁気ディスク表面上に陥没傷が発生することになり、サンプル1やサンプル4やサンプル5に示すように、いったん磁気ディスクに陥没傷が発生すると、その後はテープバーニッシュの工程によって磁気ディスク表面上の欠陥をある程度回復させることはできるものの、信号欠陥に関しては回復させることは困難であることがわかる。
【0103】
これは、陥没部周辺の盛り上がり部分をテープバーニッシュによって削りとることは可能であるが、陥没部分を平坦にするまでの効果はないため、信号を再生する時にスペーシングが発生して信号出力の低下を伴うため、信号の欠陥として現れることによるものである。
【0104】
また、磁気転写を行う前に、グライドハイトテストや、ヘッドバーニッシュ等、ヘッドによって磁気ディスク表面を走査させると磁気ディスク表面に異物が付着しやすくなる。
【0105】
つまり、磁気ディスク表面にヘッドを走査させようとすると、ヘッドを所定の位置、例えば磁気ディスクとヘッド間のスペーシングが15nmの位置に移動させた時、ヘッドの浮上量が安定するまでの間、どうしても磁気ディスクとヘッドとが物理的に接触する現象が発生する。磁気ディスクとヘッドとの衝突が発生すると、摩耗によって、磁気ディスク表面に傷が発生したり、摩耗粉が付着する。この問題は、今後の高記録密度化実現に向けた低浮上量化が進むにつれてますます深刻な問題となってくる。
【0106】
従って、磁気転写前の磁気ディスク表面上をヘッドが走査する工程はない方が好ましい。
【0107】
図11中のサンプル1、サンプル2、サンプル3、サンプル6は磁気転写を実施する前に磁気ディスク表面にヘッドを走査させた場合であり、サンプル4、サンプル5、サンプル7、サンプル8は磁気転写を行う前に磁気ディスク表面にヘッドを走査させなかった場合である。
【0108】
これらのサンプル例からもわかるように、サンプル1では磁気転写前にヘッドで磁気ディスク表面を走査し、その時に発生した欠陥を磁気転写後のテープバーニッシュ工程である程度抑制できたものの、信号欠陥まで回復させることができず、また、サンプル6では磁気転写前にヘッドで磁気ディスク表面を走査したにも拘わらず良い結果が出ているが、これは、磁気転写に先だつ光学的検査の工程で欠陥が検出されたためであり、欠陥発生率もサンプル7及び8が0%なのに対し、サンプル6は5%となっている。
【0109】
以上のことから、磁気転写を実施する前の磁気ディスクの製造方法としては、本実施の形態に示した方法である、サンプル7或いはサンプル8が良いことがわかる。サンプル7では、磁気転写後にテープバーニッシュを実施しているが、これを省略した工程であるサンプル8と同等レベルであるため、本実施の形態では磁気転写後のテープバーニッシュ工程は省略している。
【0110】
以上のように本実施の形態によれば、スパッタ、テープバーニッシュ、潤滑剤塗布、テープバーニッシュの工程の後に磁気転写を行うため、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0111】
また、本実施の形態では、磁気転写の直前に光学的な検査方法によって磁気ディスク表面を測定し、磁気ディスク表面に欠陥がないことを確認した直後に磁気転写を行う構成としたため、磁気転写によって磁気ディスクに陥没傷を与えることのない、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0112】
また、本実施の形態では、磁気転写を行う前にヘッドバーニッシュやグライドハイトテストのようなヘッド走査を行っていないので、磁気転写によって磁気ディスク表面に陥没傷を与えることのない、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0113】
なお、本実施の形態では、ST7(光学的検査)の工程とST8(磁気転写)の工程を一体的にする方法として、同一のクリーンブース内に配置した構成としたが、これに限定されるものではなく、2つのクリーンブースを重ね合わせることによって一体的な構成としても、超低発塵タイプのクリーンルーム内で装置自体を一体的に構成させても同等の効果を発揮する。
【0114】
また、本実施の形態では、図4に示すように磁気ディスクの表面を横置きの構成としたが、より異物が付着しにくくするために縦置きの構成としてもよい。この場合、ST8の工程(磁気転写の工程)の際に、図6に示した磁気転写用マスタ2を磁気ディスク側に付勢する手段として、本実施の形態では重力を利用したが、縦置きの場合は、保持アーム14と保持台16との間に付勢用バネを設けて、磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1側に付勢させるような構成とすれば、同等の効果が得られる。
【0115】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、スパッタ、テープバーニッシュ、潤滑剤塗布、テープバーニッシュの工程の後に磁気転写を行うため、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0116】
また、本実施の形態では、磁気転写の直前に光学的に磁気ディスク表面を測定し、磁気ディスク表面に欠陥がないことを確認した直後に磁気転写を行う構成としたため、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【0117】
また、本実施の形態では、磁気転写を行う前にヘッドバーニッシュやグライドハイトテストのようなヘッド走査を行っていないので、信頼性の高い磁気記録媒体の製造方法を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における磁気ディスク製造工程のチャートを示す図
【図2】同磁気転写用マスタの構成を説明するための部分拡大図
【図3】同テープバーニッシュ工程を示す図
【図4】同ST7およびST8の工程を示す概略図
【図5】同ST8の工程を示す装置の断面図
【図6】同ST8の工程を示す装置の断面図
【図7】同磁気転写用マスタの磁気ディスクとの接触面を示した図
【図8】同ボスの詳細図
【図9】同空間Sの気圧と経過時間との関係を示す図
【図10】同グライドハイトテストを行うための装置を説明する斜視図
【図11】各種磁気ディスク製造工程と欠陥、信号欠陥との関係を示す図
【図12】従来の磁気転写後の磁気ディスク表面観察結果を示す図
【図13】同磁気ディスクの陥没部の断面を測定した図
【図14】同磁気転写後の磁気ディスク表面を光学的な測定方法で測定した結果を示す図
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 磁気転写用マスタ
3 接触面
4 溝
30 磁性膜
Claims (3)
- ディスク状基体上に強磁性薄膜からなる磁性層を形成させて磁気ディスクとする工程1と、
前記磁気ディスクに潤滑剤を塗布する工程2と、
磁性膜が少なくとも片面に形成された磁気転写用マスタを前記磁性層が形成された磁気ディスク表面に密着させ、外部磁界を印加することにより前記磁気ディスク表面に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する工程3と、
前記磁気ディスクの、少なくとも前記磁気転写用マスタを密着させる側の表面にバーニッシュ処理を施す工程4、とを含み、工程1、工程4、工程2、工程4、工程3の順番で磁気記録媒体を製造する方法であって、
前記磁気ディスク表面上の欠陥を光学的に検出する欠陥検出工程を有し、前記磁気ディスク表面上の欠陥数或いは欠陥の大きさが所定の値以下であることを検査した直後に前記磁気転写する工程3を行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - ディスク状基体上に強磁性薄膜からなる磁性層を形成させて磁気ディスクとする工程1と、
前記磁気ディスクに潤滑剤を塗布する工程2と、
磁性膜が少なくとも片面に形成された磁気転写用マスタを前記磁性層が形成された磁気ディスク表面に密着させ、外部磁界を印加することにより前記磁気ディスク表面に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する工程3と、
前記磁気ディスクの、少なくとも前記磁気転写用マスタを密着させる側の表面にバーニッシュ処理を施す工程4、とを含み、工程1、工程4、工程2、工程4、工程3の順番で磁気記録媒体を製造する方法であって、
前記磁気ディスク表面から所定の距離だけ浮上して前記磁気ディスク上を検査用ヘッドが走査することにより前記磁気ディスク上の欠陥を検出する検出工程を含み、
前記検出工程は前記磁気転写する工程3の後に行うことを特徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 工程1の後のバーニッシュ処理を施す工程4による前記磁気ディスクへの押し付け力は、工程2の後のバーニッシュ処理を施す工程4による押し付け力よりも強いことを特徴とする請求項2記載の磁気記録媒体の製造方法。
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