JP3587461B2 - 磁気ディスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置やフロッピーディスク装置に用いられる磁気ディスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、代表的な磁気ディスク装置であるハードディスクドライブは、すでに面記録密度が1Gbit/sqinを越える装置が商品化され、数年後には10Gbit/sqinの実用化が議論されるほどの急激な技術進歩が認められる。
【0003】
このような高記録密度を可能とした技術的背景には、線記録密度の向上もさることながら、わずか数μmのトラック幅の信号をSN良く再生できる磁気抵抗素子型ヘッドに依るところが大である。
【0004】
また、高記録密度に伴い磁気記録媒体に対する浮動磁気スライダの浮上量の低減化も要求されてきており、浮上中も何らかの要因でディスク/スライダの接触が発生する可能性が増大している。このような状況下において、記録媒体にはより平滑性が要求されてきている。
【0005】
ここで、ヘッドが狭トラックを正確に走査するためにはヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。このようなトラッキングサーボ技術を用いた現在のハードディスクドライブでは、ディスクの一周中、一定の角度間隔でトラッキング用のサーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等が記録されている。ドライブ装置は、ヘッドから一定時間間隔で再生されるこれらの信号によりヘッドの位置を検出し修正して、ヘッドが正確にトラック上を走査することを可能にしている。
【0006】
上述した、サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等はヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となるものであるから、その書き込み(以下、フォーマティングと記す)には高い位置決め精度が必要である。現在のハードディスクドライブでは、光干渉を利用した高精度位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ装置(以下サーボライタ)を用いて記録ヘッドを位置決めしてフォーマティングが行われている。
【0007】
しかしながら、上記サーボライタによるフォーマティングには以下の課題が存在する。
【0008】
第1に、ヘッドを高精度に位置決めしながら多数のトラックにわたって信号を書き込むには多くの時間がかかる。生産性を上げるには多くのサーボライタを同時に稼働させなければならない。
【0009】
第2に、多くのサーボライタの導入、維持管理には多額のコストがかかる。これらの課題はトラック密度が向上し、トラック数が多くなるほど深刻である。
【0010】
そこで、フォーマティングをサーボライタではなく、予め全てのサーボ情報が書き込まれたマスタと呼ばれるディスクとフォーマティングすべき磁気ディスクを重ね合わせ外部から転写用のエネルギーを与えることによりマスタの情報を磁気ディスクに一括転写する方式が提案されている。
【0011】
その一例として、特開平10−40544号公報に示された磁気転写装置が挙げられる。
【0012】
同公報には、基体の表面に、情報信号に対するパターン形状で強磁性材料からなる磁性部を形成して磁気転写用マスタとし、この磁気転写用マスタの表面を、強磁性薄膜あるいは強磁性粉塗布層が形成されたシート状もしくはディスク状磁気記録媒体の表面に接触させ、所定の磁界をかけることにより、磁気転写用マスタに形成した情報信号に対応するパターン形状の磁化パターンを磁気記録媒体に記録する方法が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ディスクが回転している時のヘッドとディスク表面のクリアランスは通常30nm程度であり、従ってディスク表面の凹凸は最大でも20nm程度に押さえる必要がある。磁気記録媒体上にそれ以上の突起が存在すれば、データ記録再生時に、磁気ヘッドと磁気記録媒体とが接触することになり、かかる場合、接触した瞬間に磁気ヘッドと磁気ディスクのクリアランスが大となり信号の記録再生性能が低下し、また磁気ヘッドが磁気ディスクと物理的に接触することにより、磁気ヘッドの寿命低下の原因となっていた。
【0014】
つまり、上記特開平10−40544号公報に開示された磁気転写装置では、フォーマティングが一瞬にして可能な反面、磁気転写用マスタと磁気ディスクが全面にわたり接触するため、このようなヘッド、ディスク間クリアランスでも実使用に耐え得るためには厳重な表面管理が必要となる。
【0015】
さらに、近年磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク等のディスク状記録媒体は、小型化、薄型化、高容量化等の高性能化が進んでいるが、それに伴って上述のように高密度記録媒体への要求が高まっている。そのような要求を満たすためには、高精度で高い信頼性を有するディスク状記録媒体が必要となり、平坦性や平滑性に優れ、情報を記録する際に微細なゴミなどの付着がないディスク状記録媒体を製造することが急務となっている。
【0016】
これに対し、上記従来の磁気転写装置においては、いくら厳重な管理をしても微少な異物の混入を回避することは不可能であり、マスタとフォーマティングすべき磁気ディスクとを重ね合わせた瞬間に、かかる異物によってマスタあるいは磁気ディスクの表面に微少な異常突起が生じていた。通常、マスタの材質はシリコンであり、磁気ディスクがそれよりも硬度の低い材質、例えばアルミニウムのような場合は、マスタ上の異物による凸部が磁気ディスク側の窪みとして形状転写され、逆に磁気ディスクが硬度の高い材質、例えばガラスのような場合は、磁気ディスク上に存在する異物によってマスタ側に欠陥が生じていた。かかる場合はその後に磁気転写される磁気ディスクには全てその欠陥が反映され、高品質な磁気ディスクを効率良く安定に製造するのが困難であった。
【0017】
そこで、本発明は、かかる微少突起の大きさを問題のないレベルにまで低減し、記録再生時にエラーの発生しない、高品質な磁気ディスクの製造方法を実現することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記従来の課題を解決するために、本発明の磁気ディスクの製造方法は、磁性膜を所定の情報信号に対応する配列パターン形状になるように形成してなる磁気転写用マスタを磁気ディスクの表面に重ね合わせるとともに、前記磁気転写用マスタの磁性膜を磁化することにより、磁気転写用マスタの情報信号の配列パターンを情報信号の磁化パターンとして磁気ディスクに転写記録することで磁気ディスクを製造する製造方法であって、前記磁気ディスクの表面に、前記磁気ディスクよりも硬度の低いダミーマスタを密着/離間させる操作を所定回数繰り返した後、前記磁気転写用マスタと前記磁気ディスクとを密着させ、磁気転写を行うことを特徴とする。かかる方法をとることにより、磁気転写時のマスタ表面をバリのないなめらかな状態に常に保つことが出来、磁気転写されるディスクについては、問題となる微少突起が殆ど発生せず、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0019】
密着/離間の操作は、ダミーマスタと磁気ディスク間の気体を吸引し、あるいは前記ダミーマスタと前記磁気ディスク間に気体を流入させることにより行うことができる。
【0020】
前記ダミーマスタはシリコン製、前記磁気ディスクはガラス製とすることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1〜図6を用いて本実施の形態における磁気記録媒体及び磁気記録媒体を製造する方法について説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態の工程を示すフローチャートである。図1において、まず、正規のディスクについては、例えばCo等から成る強磁性薄膜をスパッタリング法等の公知の方法によって、磁性層としてディスク表面に形成しておく。
【0025】
一方、ダミーディスクを装置に装着し、マスタをダミーディスクに近接させた後、吸引/圧送を繰り返した後に、正規のディスクに交換し、磁気転写を行う。
【0026】
次に、図1の磁気転写工程について、図2〜図5を用いて詳細に説明する。
【0027】
図2は本実施の形態における磁気転写装置の断面図であり、磁気転写用マスタと磁気ディスクが離間しているときの状態を示す。図3は磁気転写用マスタと磁気ディスクが密着しているときの状態を示す。図4は磁気転写用マスタ2における磁気ディスク1との接触面3を示した図であり、溝4は磁気転写用マスタ2の中心から放射状に広がっている。本実施の形態では、溝の深さは5μm程度に設定している。
【0028】
図2において、1はダミーディスクであり、吸引/圧送の工程の後、磁気ディスクに交換される。材質はアルミニウムを使用した。2は磁気転写用マスタで材質はシリコンを使用した。3は磁気転写用マスタ2上のダミーディスク1との接触面であり、接触面3には磁気転写用マスタ2の中心から放射状に広がった溝4が設けられてある。
【0029】
5は、磁気転写用マスタ2の中心部に固着されたボスで、6は、ダミーディスク1を支持するための支持台であり、中心部に空気を流すための通気孔7が設けてある。8は磁気転写用マスタ2とダミーディスク1の間の気体を排出、圧送するための通路、9は通路8から気体を排出するための気体排出口、10は気体排出口に接続された吸引ポンプ、11は気体の排出を制御する排気弁である。また、12は通路8に気体を圧送するための給気ポンプ、13は気体の給気を制御する給気弁である。
【0030】
ここで、給気ポンプ12には、0.01μmのエアーフィルタが設けられており、0.01μm以上の異物が通路8に圧送されないように構成されている。14は、磁気転写用マスタ2を保持するための保持アームであり、磁気転写用マスタ2に固着されている。
【0031】
固着方法としては、接着等の方法もあるが、図2のように、保持アーム14に設けられた貫通孔から気体を吸引することによって磁気転写用マスタ2を吸着してもよい。
【0032】
保持アーム14はさらにガイド部材16により上部のボス部を介して垂直方向に摺動自在に位置決めされている。
【0033】
ただし、磁気転写用マスタ2の位置決め方法は保持アーム14によるものに限ったものではなく、例えばボス5の外周を、磁気ディスク(ここではダミーディスク1)の内周孔に嵌合させることによっても行うことが出来る。かかる場合には、ボス5の形状は図5のように構成され、磁気転写用マスタ2とダミーディスク1の間の気体はボス5外周部に設けられた切り欠き部51を通って排出、圧送される。
【0034】
次に、図2〜図4を用いて吸引/圧送の工程について詳細に説明する。
【0035】
まず、図2を使用して圧送による離間の工程について説明する。排気弁11を閉じて給気弁13を開放した状態で給気ポンプ12を動作させることによって、気体を通路8に流し込む。すると通気孔7には図2の矢印Aで示したように上方向に空気が圧送される。このことにより、通気孔7に圧送された空気は、ボス5を上方向に押し上げ、さらに矢印Bに示すように、空気は溝4に圧送される。溝4に圧送された空気は溝4を通って磁気転写用マスタ2の中心から外周へ向かって放射状に広がる。そして、さらに溝4から磁気転写用マスタ2とダミーディスク1との隙間を通って大気へと抜ける。この空気の流れにより、磁気転写用マスタ2やダミーディスク1の表面に付着していた微細な異物は気体とともに外部へと排出されることになる。
【0036】
この時の時間経過と、磁気転写用マスタ2とダミーディスク1とで挟まれた空間(以下、空間Aと称す)の気圧との関係を示すのが図6で、同図で時間経過が3秒のあたりから空間Aの気圧が30kpaから瞬間的に上昇し、その後約1秒間は130kpaほどの気圧を保持している期間が、上記に示した磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が離間している状態に相当する。
【0037】
このとき、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2との間の隙間はできる限り小さく設定するほうが好ましい。本実施の形態では約0.5mmに設定している。このことによって、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2との間の気体の流れは速くなるため、両者の間に存在する微細な異物を確実に外部へと排出することができる。
【0038】
本実施の形態では、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2が密着した状態から磁気転写用マスタ2が保持アーム14と一体的に0.5mm上昇した時点で保持アーム14の上面がガイド部材16の下面と当接することによって、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2間の距離は制御される。
【0039】
次に、吸引による密着の工程について図3を用いて説明する。
【0040】
給気ポンプ12を停止させ、給気弁13を閉じる。すると、ダミーディスク1を固着した保持アーム14が自重で下方向に移動し、ボス5がダミーディスク1の内周孔と嵌合した状態でダミーディスク1に載置される。その後、排気弁11を開き、排気ポンプ10を作動させる。すると、図3の矢印Cに示したように通気孔7の気体が下方向に排出されるため、溝4内部、即ち空間Aの気体もダミーディスク1の内周孔とボス5との隙間を通って排出されることになる。
【0041】
ここで、溝4は図4に示したごとく、磁気転写用マスタ2の最外周まで抜けている形状ではない為、最外周のドーナツ状部分では磁気転写用マスタ2とダミーディスク1とは全周にわたり密着した状態となっており、空間Aは密閉された状態となっており、その圧力は大気圧よりも低くなる。従って、ダミーディスク1は大気圧15により磁気転写用マスタ2に押しつけられることとなる。
【0042】
その結果、ダミーディスク1上に存在する異物はダミーディスク1と磁気転写用マスタ2との間に挟まれることになる。ここで、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2との硬度を比較すれば、ダミーディスクの方が硬度が低いため、両者間に挟まれた異物は磁気転写用マスタ2の表面を傷つけることなく、ダミーディスク1側にめり込む、あるいは欠陥を生じさせることとなる。また、磁気転写用マスタ2上に存在する微少な異常突起については、ダミーディスク1と密着することにより平坦化されることとなる。
【0043】
図6で空間Aの気圧が30kpaほどの区間が上記密着状態に相当する。
【0044】
但し、溝4の形は必ずしも上記形状に限られるものではなく、溝4が磁気転写用マスタ2の外周まで抜けている形状の場合は、磁気転写用マスタ2および磁気ディスク(ダミーディスク1)の外周を密閉出来るような部材を設ければ良い。
【0045】
次に、再度図2に示した離間手段を実施する。すなわち、排気弁11を閉じ、給気弁13を開き、給気ポンプ12を作動させる。すると、矢印A,Bに示すように気体が圧送され、磁気転写用マスタ2は気体が圧送する力によって保持アーム14と一体的に移動し、保持アーム14の上面がガイド部材16と当接した所で止まる。このとき、矢印Bに示したように、気体は溝4を通して磁気転写用マスタ2の中心から外周側へ放射状に圧送された状態を保っている。そのことによって、ダミーディスク1の表面に存在していた異物は、給気ポンプ12から圧送された気体と共に外部へ排出されることとなる。
【0046】
上記吸引、圧送を所定回数繰り返した後、ダミーディスク1を磁気ディスクと交換し、磁気ディスクに対して上記した吸引の工程を行い、磁気ディスクが磁気転写用マスタ2と密着した状態で、図3に示すように磁界印加の工程を施す。
【0047】
即ち、図3に示すようにマグネット17を矢印D方向に移動させ、磁気転写用マスタ2に接近させ、その距離が1mm程度になった時に矢印D方向への移動を停止し、次に磁気ディスクの円周方向、すなわち、矢印Eの向きにマグネット17を1回転以上回転させることにより、転写に必要な磁界を印加する。
【0048】
ここで、マスタに形成したパターン形状に対応した情報信号を磁気ディスクに転写記録する手順について、図7〜図9を用いてさらに詳しく説明する。
【0049】
まず、マグネット15を磁気ディスク1に近づけた状態で、磁気ディスク1の中心軸を回転軸として磁気ディスク1と平行に回転させることにより、図7の矢印で示すように磁気ディスク1を予め一方向に磁化する(初期磁化)。
【0050】
次に、上述したように、磁気ディスク1にマスタ2を位置決めして重ね合わせた状態で、マスタ2と磁気ディスク1とを均一に密着させ、その後図3中矢印Eに示すように、初期磁化とは逆方向に磁界を印加することにより、マスタ2の磁性部16が磁化され、そしてマスタ2に重ね合わせた磁気ディスク1の所定の領域1bに、図8に示すように磁性部16のパターン形状に対応した情報信号が記録される。なお、図8に示す矢印は、この時磁気ディスク1に転写記録される磁化パターンの磁界の方向を示している。
【0051】
図9にその磁化処理時の様子を示しており、図9に示すように、磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に密着させた状態で、磁気転写用マスタ2に外部から磁界を印加して磁性部16を磁化することによって、磁気ディスク1の強磁性層1cに情報信号を記録することができる。すなわち、非磁性の基体2bに所定の情報信号に対応する配列パターン形状で強磁性薄膜からなる磁性部11を形成して構成したマスタ2を用いることにより、その情報信号に対応した磁化パターンとして磁気ディスク1に磁気的に転写記録することができる。
【0052】
なお、磁気転写用マスタ2のパターンを磁気ディスク1に転写記録する際の方法として、上述のように磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に接触させた状態で外部磁界を印加する方法以外に、磁気転写用マスタ2の磁性部16をあらかじめ磁化させておき、その状態で磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に密着するように接触させる方法であっても情報信号を記録することができる。
【0053】
ここで、完成した磁気ディスクの表面状態を示すのが図10および図11であり、図11は、従来の転写方法、即ち、ダミーディスクを使わず前述の吸引/圧送動作を施さない状態で転写した磁気ディスク表面の状態を示す。
【0054】
図11より、磁気ディスク表面には深さが40nm以上の欠陥(ディフェクト)が24個存在しており、特に外周部に多く存在しているのがわかる。
【0055】
これに対して、図10は、ダミーディスクを用いて上記吸引/圧送動作を10万回行った後に正規の磁気ディスクに交換して磁気転写を行った磁気ディスク表面の状態を示す図であり、同図より、磁気ディスク表面に存在する40nm以上の欠陥(ディフェクト)は2個であることがわかる。
【0056】
これらの図より、ダミーディスクを用いて吸引/圧送の動作を繰り返すことによって、磁気転写用マスタ2の表面が平滑化され、従来は磁気転写用マスタ2上の異常突起により存在していた磁気ディスク上の欠陥が激減することがわかる。
【0057】
ここで、上記図10および図11の関係をグラフ化したものが図12であり、同図より、吸引/圧送の動作回数を増加させる程、ディフェクト数が減少するのがわかる。
【0058】
また、磁気転写用マスタ2の表面の初期状態および上記吸引/圧送を繰り返した後の状態を示したのが図13である。
【0059】
同図(a)より、磁気転写用マスタ2上に形成されたトラックパターンのエッジ部に出来たバリが吸引/圧送により滑らかになっているのがわかる。
【0060】
また、同図(b)より、初期に存在していた突起部が吸引/圧送により平滑化され、突出量が最大であった突起部先端を除いてほぼ消失しているのがわかる。
【0061】
以上のように本実施の形態によれば、磁気転写の工程の前にダミーディスクを用いて吸引/圧送の動作を行うことにより、磁気転写用マスタ2の表面に存在する異物を取り除くと共に異常突起を平坦化するため、極めて平滑な表面性を有する高品質な磁気ディスクを製造することが可能となり、正確な磁気転写を行うことが出来る。
【0062】
尚、ダミーディスクについては、表面汚れや表面の異物の数が所定以上になれば、新しいダミーディスクに交換するものとする。
【0063】
また、本実施の形態に示したように、ダミーディスク表面の硬度は磁気ディスク表面の硬度よりも小さいほうが好ましい。これは、もしダミーディスク表面の硬度が磁気ディスク表面の硬度よりも高いとすると、磁気ディスク表面の硬度よりも高くダミーディスク表面の硬度よりも低い異物が磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1の間に存在していた場合、ダミーディスク表面の硬度は異物の硬度よりも高いため、ダミーディスク表面にくぼみが生じない、すなわちダミーディスク側に異物が付着しないことになる。従って、異物は磁気転写用マスタ2側に付着したままとなり、その後磁気ディスク1と磁気転写用マスタ2とが密着した時に、異物の硬度は磁気ディスク1表面の硬度よりも高いため、磁気ディスク1の表面にくぼみが発生し、欠陥の原因となる。
【0064】
逆に、本実施の形態のようにダミーディスク表面の硬度を磁気ディスク表面の硬度よりも小さくすることによって、磁気ディスク1と磁気転写用マスタ2とが密着した時に、上述した理由によって磁気ディスクにくぼみを発生させることを確実に防止することができる。
【0065】
また、本実施の形態では、ダミーディスクの材質をアルミニウムとしたが、これに限定されるものではなく、例えばアルミニウムの表面にめっき層を塗布させたディスクをダミーディスクとして使用してもよい。めっき層としては、Co−Re−P、Co−Ni−P、Co−Ni−Re−Pのような磁気特性を有したものが好ましい。ダミーディスクの表面に磁気特性を有しためっき層を塗布させることによって、以下に示す効果が得られる。すなわち、磁気転写用マスタディスク2の表面上に存在する磁性膜に異常突起が存在していた場合、ダミーディスク1との密着/離間の繰り返し動作によって磁性膜は剥がれることになるが、ダミーディスク1の表面に磁気特性を有しためっき層が塗布されているために、磁性膜は確実にダミーディスク側に付着することになる。
【0066】
また、本実施の形態では、バーニッシュ工程を実施していないが、例えばテープ、ヘッド、バフ研磨剤等を使用してのバーニッシュ工程を実施した後に、磁気ディスク表面上に残存している研磨粉あるいは研削粉を、上記した吸引/圧送の工程を施すことにより除去する事もできる。この場合には、図6における、圧送時の圧力はそのままで、吸引時の圧力を高めに、例えば60kpa程度に設定することで、除去効果をより高めることが出来る。
【0067】
ここで、図4に示した磁気転写用マスタ2について詳細に説明する。
【0068】
図14に磁気転写用マスタ2の一例の平面を模式的に示しており、図14に示すように、磁気転写用マスタ2の一主面、すなわち磁気ディスク1の強磁性薄膜表面に接触する側の表面には、略放射状に信号領域2aが形成されている。図4及び図14は模式的に示した図であり、実際には、図14における信号領域2aは図4における接触面3上に構成されているものである。
【0069】
図14の点線で囲んだ部分Aの拡大図を、図15に模式的に示す。図15に示すように、信号領域2aには、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号、例えばプリフォーマット記録に対応する位置に、上記情報信号に対応したパターン形状で強磁性薄膜からなる磁性部によるマスター情報パターンが形成されている。図15において、ハッチングを施した部分が強磁性薄膜によって構成された磁性部である。この図15に示すマスター情報パターンは、クロック信号、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号等の各々の領域をトラック長さ方向に順次配列したものである。なお、図15に示すマスター情報パターンは一例であり、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に応じて、マスター情報パターンの構成や配置等を適宜決定することとなる。
【0070】
例えば、ハードディスクドライブのように、ハードディスクの磁性膜に、まずリファレンス信号を記録し、そのリファレンス信号に基づきトラッキング用サーボ信号などのプリフォーマット記録を行う場合には、本発明によるマスター情報担体を用いてハードディスクの磁性膜に、あらかじめプリフォーマット記録に用いるリファレンス信号のみを転写記録し、そしてそのハードディスクをドライブの筐体内に組み込み、トラッキング用サーボ信号などのプリフォーマット記録は、ハードディスクドライブの磁気ヘッドを使用して行うようにしてもよい。
【0071】
図14、図15に示した領域の一部断面を図16に示す。
【0072】
図16に示すように、磁気転写用マスタ2は、Si基板、ガラス基板、プラスチック基板などの非磁性材料からなる円盤状の基体2bの一主面、すなわち磁気ディスク1の表面が接触する側の表面に、情報信号に対応する複数の微細な配列パターン形状で凹部2cを形成し、その基体2bの凹部2cに磁性部である強磁性薄膜16を埋め込む形態で形成することにより構成されている。
【0073】
ここで、強磁性薄膜16としては、硬質磁性材料、半硬質磁性材料、軟質磁性材料を問わず、多くの種類の磁性材料を用いることができ、磁気記録媒体にディジタル情報信号を転写記録できるものであればよい。例えば、Fe、Co、Fe−Co合金などを用いることができる。なお、マスター情報が記録される磁気記録媒体の種類によらずに十分な記録磁界を発生させるためには、磁性材料の飽和磁束密度が大きいほどよい。特に、2000エルステッドを超える高保磁力の磁気ディスクや磁性層の厚みの大きいフレキシブルディスクに対しては、飽和磁束密度が0.8テスラ以下になると十分な記録を行うことができない場合があるので、一般的には、0.8テスラ以上、好ましくは1.0テスラ以上の飽和磁束密度を有する磁性材料が用いられる。
【0074】
また、強磁性薄膜16の厚さは、ビット長や磁気記録媒体の飽和磁化や磁性層の膜厚によるが、例えばビット長約1μm、磁気記録媒体の飽和磁化約500emu/cc、磁気記録媒体の磁性層の厚さが約20nmの場合では、50nm〜500nm程度あればよい。
【0075】
ここで、このような記録方法において、良好な記録信号品質を得るためには、磁気転写用マスタに設けた強磁性薄膜としての軟質磁性薄膜もしくは半硬質磁性薄膜の配列パターン形状に基づき、プリフォーマット記録時にはこれを励磁して一様に磁化することが望ましく、また磁気転写用マスタを用いた信号記録に先立って、ハードディスクなどの磁気記録媒体を一様に直流消去しておくことが望ましい。
【0076】
次に、かかる磁気転写用マスタを製造する方法について説明する。
【0077】
すなわち、本発明の記録方法に用いる磁気転写用マスタは、Si基板の表面に、レジスト膜を成膜し、フォトリソグラフィ法のようなレーザビームまたは電子ビームを用いたリソグラフィ技術によってレジスト膜を露光、現像してパターニングした後、ドライエッチング等によってエッチングして、情報信号に対応した微細な凹凸形状を形成し、その後Co等からなる強磁性薄膜をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、めっき法等により成膜した後、いわゆるリフトオフ法によってレジスト膜を除去することにより、凹部に強磁性薄膜が埋め込まれた形態でかつ情報信号に対応した磁性部を備えた磁気転写用マスタを得ることができる。
【0078】
なお、磁気転写用マスタの表面に凹凸形状を形成する方法は上述の方法に限定されるものではなく、例えば、レーザ、電子ビームまたはイオンビームを用いて微細な凹凸形状を直接形成したり、機械加工によって微細な凹凸形状を直接形成してもよい。
【0079】
(実施の形態2)
次に、図17を用いて本発明の実施の形態2における磁気転写装置について説明する。
【0080】
図17に、本実施の形態の工程のチャートを示す。各工程に関しては実施の形態1と同様であり、異なるのは、磁気ディスクを磁気転写した後に磁気転写用マスタの表面粗度を測定し、その結果をフィードバックする点である。
【0081】
即ち、図17において、正規の磁気ディスクに磁気転写を行った後、磁気転写用マスタに存在する異物を後方散乱光検出法を用いた異物検査装置等を用いて測定する。ここで、異物が観察されなければ、新たに正規の磁気ディスクを装着し、磁気転写を継続する。
【0082】
しかし、磁気転写を繰り返すうちに磁気転写用マスタ表面における異物の数が増大し、ある一定以上の値になれば前述したようにヘッドクラッシュの問題があるため、異物の数が所定の値、本実施の形態の場合は3個以上となったときには、ダミーディスクを装着し、吸引/圧送の動作を繰り返す。このことにより、表面性の悪化した磁気転写用マスタ2に対して、吸引/圧送の工程を施すことにより表面性を改善することができ、平滑な表面性を有する磁気ディスクを改めて製造することが出来る。
【0083】
つまり、本実施の形態は磁気転写工程の中で磁気転写用マスタ2の表面性に対して定期的にメンテナンスを行うことにより、平滑な表面性を有する磁気ディスクを継続して生産できるようにしたものである。
【0084】
尚、磁気転写用マスタ2の異物検査については、必ずしも磁気ディスク1枚を磁気転写する毎に行う必要はなく、所定枚数の磁気転写を行う毎に行ったり、あるいは磁気転写を何回ほど行った後に磁気転写用マスタの異物数が所定値以上になる、というデータを逐次記憶させ、その回数よりも少ない回数の磁気転写工程を行う毎に磁気転写用マスタ表面粗度の測定を行わせてもよい。
【0085】
また、磁気転写用マスタの異物検査の測定には一定時間を要する為、かならずしも異物検査の測定を行わなくとも、所定枚数の磁気ディスクを磁気転写する毎にダミーディスクを装着して磁気転写用マスタのメンテナンスを行えば同様の結果が得られる。
【0086】
また、磁気転写後の検査をディスクによって行い、磁気転写後のディスクの異物が所定の値以上であれば、磁気転写用マスタ2に対して吸引/圧送の工程を施す方法を採っても同様の効果が得られる。
【0087】
このことはダミーディスク1についても同様で、磁気転写用マスタ2とダミーディスク1との吸引/圧送の際に、ダミーディスク1表面を測定することによっても、磁気転写用マスタ2上の異物を検出することが出来る。
【0088】
即ち、アルミニウム製のダミーディスク1はシリコン製の磁気転写用マスタ2よりも硬度が低いため、磁気転写用マスタ/ダミーディスク間に異物が存在すれば、吸引時にその異物がダミーディスク1側にめりこむこととなり、ダミーディスク1表面には窪みが発生することとなる。
【0089】
従って、所定回数の吸引/圧送の度にダミーディスク1表面の微細な窪みを検出し、かかる窪みが検出されなくなった時点でダミーディスク1を正規の磁気ディスクと交換し、磁気転写を行えば、異物のない滑らかな表面状態の磁気転写用マスタで、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0090】
ここで、ダミーディスク表面の異物に対する吸着性に着目すれば、吸着性が高い方が望ましい。
【0091】
つまり、吸着性が低いと、磁気転写用マスタとダミーディスク間に異物が存在しても、異物はダミーディスク表面に付着しない為、磁気転写用マスタ側に付着したり、また、ダミーディスク表面は異物のない滑らかな状態の為、ダミーディスク表面の状態から異物の有無を判断する場合は、誤った判断をしてしまう可能性がある。
【0092】
一方、吸着性が高いと、磁気転写用マスタとダミーディスク間の異物はダミーディスク側に付着するため、磁気転写用マスタ上の異物を効率的に除去でき、かつ、ダミーディスク表面の状態からでも異物の有無を正確に判断することが出来る。
【0093】
以上のことより、ダミーディスクとしては、磁気転写用マスタよりも硬度が低いことに加え、異物に対する吸着性が高い方が好ましい。つまり、潤滑剤は塗布されていない状態のものが好ましい。
【0094】
ここで、ダミーディスクとして潤滑剤を塗布したものを使用した場合と、潤滑剤の塗布されていないものを使用した場合について、磁気転写用マスタ上の異物、欠陥数と、吸引/圧送の関係を示したのが図18である。
【0095】
図18で丸印はダミーディスクに潤滑剤を塗布していないもの(以下、試料D)を示し、正方形のドットは表面に潤滑剤を塗布したダミーディスク(以下、試料E)を示す。
【0096】
図18からわかるように、試料Dと試料Eを比較すれば、磁気転写用マスタ上の異物、欠陥数は、初期段階においては同一であるが、試料Dについてはマスターディスクとダミーディスクの密着、離間を数回繰り返すことにより、効率的にマスターディスク上のパーティクルが除去出来、ほぼ0とすることが出来るのに対し、試料Eを用いた場合は密着、離間を100回繰り返しても殆ど、異物、欠陥の数は減少していないのがわかる。
【0097】
さらに、図19には、磁気転写後の磁気ディスクに信号を記録した後、その信号を再生した時の信号のエンベロープを模式的に示す。
【0098】
図19(a)は、潤滑剤を塗布したダミーディスクを用いて磁気転写用マスタとの吸引/圧送を1000回繰り返した後、磁気転写用マスタから磁気転写した磁気ディスクのエンベロープ(試料G)、同図(b)は、潤滑剤のないダミーディスクを用いて磁気転写用マスタとの吸引/圧送を1000回繰り返した後、磁気転写用マスタから磁気転写した磁気ディスクのエンベロープ(試料H)を示す。
【0099】
試料Gをみれば、エンベロープの中央部に信号出力の低下している部分が認められるのに対して、試料Hにはかかる信号の低下部は認められない。
【0100】
これは、試料Gに関して、磁気ディスクの表面上の欠陥は認められなくとも、磁気転写用マスタに異物が残っているために、磁気転写用マスタからの磁気転写時にスペーシングロスが発生し、サーボ信号が正常に記録されていないものであると考えられる。
【0101】
これに対して、試料Hについては、磁気転写用マスタに対して、潤滑剤のないダミーディスクで吸引/圧送処理を施している為に、磁気転写用マスタ上の異物が完全に取り除かれ、磁気ディスクへの磁気転写が正常に行われた為、スペーシングロスが発生していないと考えられる。
【0102】
(実施の形態3)
次に、図20〜図21を用いて本発明の実施の形態3における磁気転写装置について説明する。
【0103】
実施の形態1〜2と本実施の形態が異なるのは、磁気転写用マスタとダミーディスクとの吸引/圧送時の磁気転写用マスタ上の密着領域が、正規な磁気ディスクに磁気転写を行う際の磁気転写領域を完全に含んでいる点である。
【0104】
図20は、磁気転写用マスタ2とダミーディスク1との吸引/圧送時の関係を模式的に示した図である。同図(a)において、磁気転写用マスタ2とダミーディスク1との吸引/圧送により、領域A内の異物は取り除かれる。
【0105】
次に、ダミーディスク1を正規の磁気ディスクに交換した後、磁気転写を行った場合、ダミーディスク1と正規の磁気ディスクが同じ大きさの場合、磁気ディスクの取り付け位置のずれにより、同図(b)に示すように、磁気ディスクのエッジが異物と当接する場合がある。
【0106】
かかる場合においては、異物の近傍において、磁気ディスクと磁気転写用マスタ2の密着度が低下してスペーシングロスとなり、磁気ディスクに転写されるサーボ信号の出力が低下する。
【0107】
その結果、読み取りエラーを発生し、磁気ディスクの回転に乱れを生じることとなる。
【0108】
そこで、本実施の形態においては、ダミーディスク1として、正規の磁気ディスクよりもサイズの大きなものを使用することで図20(a)での領域Aを広くし、磁気ディスクとダミーディスク1の取り付け位置にずれが生じても、磁気ディスク全面に渡り正常な磁気転写を行うことが出来、サーボ信号出力低下を招くことなく、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0109】
尚、通常、ダミーディスク1としては、正規な磁気ディスクの製造工程の途中段階のものを使用することが多く、サイズが等しいため、上記効果を得るために、ダミーディスク1と磁気転写用マスタ2の吸引/圧送時には、ダミーディスク1を偏芯させてもよい。即ち、図21に示すように、吸引/圧送の度に、磁気転写用マスタ2に対して、ダミーディスク1の密着位置をX,Y,Z・・・のように順次ずらしていけば、磁気ディスクを完全に含む領域について、吸引/圧送を行うことが出来る。
【0110】
(実施の形態4)
次に、図22〜図23を用いて本発明の実施の形態4における磁気転写装置について説明する。
【0111】
実施の形態1乃至3と異なるのは、磁気ディスクの材質として、ガラスを用いており、シリコン製の磁気転写用マスタ2よりも硬度が高い点、及び、磁気ディスク側ではなく、磁気転写用マスタ側について、ダミーマスタ/正規マスタと交換する点である。
【0112】
さらに、図22に、本実施の形態の工程のチャートを示す。各工程に関しては、実施の形態1と同様である。
【0113】
図22において、まず、シリコンでできたダミーマスタを装置に装着し、磁性層を形成した正規の磁気ディスクを装置に装着する。
【0114】
次に、ダミーマスタと正規の磁気ディスクとの間で、実施の形態1と同様に吸引/圧送の工程を繰り返した後、ダミーマスタを正規マスタと交換し、磁気転写を行う。
【0115】
この時、磁気ディスク材質はガラスであるため、ダミーマスタと磁気ディスクとの密着時には、間にはさまった異物によりダミーマスタ側には欠陥が生じても、磁気ディスク側には欠陥が生じることがない。一方、磁気ディスク表面に存在する微細な異物はダミーマスタにより除去される。
【0116】
図23および24に、本実施の形態における磁気ディスク表面の観察結果を示す。図24は吸引/圧送を行う前の初期状態における磁気ディスクの表面状態を示し、同図より、深さ30nm以上の欠陥が6個存在し、さらに小さな欠陥は無数にディスク上に存在しているのがわかる。
【0117】
図23はダミーマスタにより1回の吸引/圧送を行った後に、正規のマスタで磁気転写を行った磁気ディスクの表面状態を示し、同図より、深さ30nm以上の欠陥は発見されず、さらに小さな欠陥も殆どなく、極めて滑らかな表面性を有することがわかる。
【0118】
本実施の形態においては、磁気ディスク材質として、磁気転写用マスタ材質よりも硬度の高い材質を用いているため、磁気ディスク表面には、マスタ表面の凹凸形状が転写されるのではなく、磁気ディスク表面に存在している微少突起、あるいは微少な異物が、ダミーマスタの密着および吸引/圧送の工程により取り除かれるものと考えられる。
【0119】
以上のように、本実施の形態における磁気ディスクの製造方法では、磁気ディスクよりも硬度の低いダミーマスタを用いて、まず吸引/圧送の工程を行うことにより磁気ディスク上の異物を取り除き、磁気ディスクの表面を平滑化した後に正規の磁気転写用マスタで磁気ディスクに対して磁気転写の工程を行うことにより、異物や異常突起のほとんどない磁気ディスクに対して磁気転写を施すことが可能となり、表面性の極めて良好な高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0120】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、磁気転写用マスタの磁性膜パターンをディスク表面に磁気転写する製造方法において、正規の磁気ディスクに転写するに先だってダミーディスクと磁気転写用マスタ間で吸引、圧送を繰り返すことにより、磁気転写用マスタの表面をバリなく滑らかに保つことが出来、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0121】
さらに、本発明によれば、磁気転写後に磁気転写用マスタ表面を測定することにより、磁気転写用マスタの表面上に異物を検知したときにはダミーディスクを装着し、ダミーディスクと磁気転写用マスタ間の吸引、圧送を繰り返すことにより磁気転写用マスタの表面上に付着した異物を確実に取り除くことが出来、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【0122】
また、本発明によれば、磁気ディスク材質として磁気転写用マスタ材質よりも硬度の高いものを用いることにより、ダミーマスタと正規の磁気ディスク間での吸引、圧送を繰り返すことによって、磁気ディスク上に存在する微少な異物を除去することが出来、表面性の極めて滑らかな、高品質な磁気ディスクを製造することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の工程を示すフローチャート
【図2】本発明の実施の形態1における磁気転写装置の断面図
【図3】同断面図
【図4】磁気転写用マスタの表面を示す図
【図5】本発明における磁気転写用マスタのボス形状を示す図
【図6】本発明の磁気転写装置における吸引、圧送の時間経過を説明する図
【図7】磁気ディスクへの初期磁化を示す図
【図8】磁気転写された後の磁気ディスクを示す図
【図9】磁気ディスクの磁化処理を示す断面図
【図10】本発明における磁気転写装置で磁気転写を行った磁気ディスク表面を示す図
【図11】従来の磁気転写装置で磁気転写を行った磁気ディスク表面を示す図
【図12】磁気ディスク表面の欠陥数と吸引、圧送の回数の関係を示す図
【図13】吸引、圧送を繰り返す前後における磁気転写用マスタの表面を示す図
【図14】磁気転写用マスタの表面を示す模式図
【図15】マスター情報パターンを示す図
【図16】マスター情報パターンが形成された部分の断面図
【図17】本発明の実施の形態2の磁気転写装置における工程を示すフローチャート
【図18】ダミーディスク上の潤滑剤の有無、磁気転写用マスタ上の異物、欠陥数と、吸引/圧送の関係を示した図
【図19】磁気転写後の磁気ディスクに記録した信号の再生エンベロープを示す図
【図20】磁気転写用マスタとダミーディスクとの吸引/圧送時の関係を模式的に示した図
【図21】磁気転写用マスタに対して、ダミーディスクの密着位置を示す図
【図22】本発明の実施の形態4の磁気転写装置における工程を示すフローチャート
【図23】吸引、圧送の工程を施した状態での磁気転写用マスタの表面を示す図
【図24】吸引、圧送の工程を施していない状態での磁気転写用マスタの表面を示す図
【符号の説明】
1 ダミーディスク
2 磁気転写用マスタ
3 磁気転写用マスタの転写面
4 溝
6 支持台
7 通気孔
10 吸引ポンプ
12 給気ポンプ

Claims (3)

  1. 磁性膜を所定の情報信号に対応する配列パターン形状になるように形成してなる磁気転写用マスタを磁気ディスクの表面に重ね合わせるとともに、前記磁気転写用マスタの磁性膜を磁化することにより、磁気転写用マスタの情報信号の配列パターンを情報信号の磁化パターンとして磁気ディスクに転写記録することで磁気ディスクを製造する製造方法であって、
    前記磁気ディスクの表面、前記磁気ディスクよりも硬度の低いダミーマスタを密着/離間させる操作を所定回数繰り返した後、前記磁気転写用マスタと前記磁気ディスクとを密着させ、磁気転写を行うことを特徴とする磁気ディスクの製造方法。
  2. 密着/離間の操作は、ダミーマスタと磁気ディスク間の気体を吸引し、あるいは前記ダミーマスタと前記磁気ディスク間に気体を流入させることにより行うことを特徴とする請求項1記載の磁気ディスクの製造方法。
  3. 前記ダミーマスタはシリコン製、前記磁気ディスクはガラス製である請求項1または2記載の磁気ディスクの製造方法。
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