JP3587455B2 - 磁気転写用マスタ洗浄装置及び方法、又はこれらを用いた磁気記録再生装置 - Google Patents

磁気転写用マスタ洗浄装置及び方法、又はこれらを用いた磁気記録再生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハードディスク装置やフレキシブルディスク装置に用いられる磁気記録媒体へ磁気転写を行うための磁気転写用マスタディスクの洗浄装置、洗浄方法、及びこれらを使用した磁気記録再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるマルチメディア技術の進展等により、データ容量の増加傾向が顕著である。それに伴い、これら大容量データを記録再生するための磁気記録再生装置においては、より小型であり、かつより大容量のものが強く求められており、これらの要求を実現するために、より高記録密度化する傾向にある。
【0003】
代表的な磁気ディスク装置であるハードディスク装置の分野においては、既に面記録密度が10ギガビット/in(6.55テラビット/mm)を越える装置が商品化されており、数年後には面記録密度が100ギガビット/in(65.5テラビット/mm)の装置の実用化が予測されるほどの急峻な技術の進歩が認められる。
【0004】
このような高記録密度化を可能とした技術的背景には、線記録密度の向上もさることながら、わずか数μmのトラック幅の信号を良好なSN比でもって再生することができる磁気抵抗素子型ヘッドの開発に依るところが大である。
【0005】
また、高記録密度化に伴って、磁気記録媒体に対する浮動磁気スライダの浮上によって、条件次第ではディスク/スライダへの接触が発生する可能性が増大してきている。かかる可能性を排除するために、磁気記録媒体に対する浮動磁気スライダの浮上量の低減化の他、磁気記録媒体に対しては、より平滑性が要求されてきている。
【0006】
さて、ヘッドが狭トラックを正確に走査するためには、ヘッドのトラッキングサーボ技術が重要な役割を果たしている。かかるトラッキングサーボ技術を用いた現在のハードディスク装置においては、磁気記録媒体に一定の角度間隔でトラッキング用サーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等が記録されている。そして、ドライブ装置は、ヘッドから一定時間間隔で再生されるこれらの信号によりヘッドの位置を検出し、それに応じてヘッド位置を動的に修正することによって、ヘッドが正確にトラック上を走査することを可能としている。
【0007】
ここで、上述したようなサーボ信号やアドレス情報信号、再生クロック信号等は、ヘッドが正確にトラック上を走査するための基準信号となるものであるから、その書き込み(以下、「フォーマッティング」という。)には高い位置決め精度が要求される。現在のハードディスク装置では、光干渉を利用した高精度位置検出装置を組み込んだ専用のサーボ装置(以下、「サーボライタ」という。)を用いて記録ヘッドを位置決めしてから、フォーマッティングが行われている。
【0008】
しかしながら、サーボライタによるフォーマッティングには、以下のような問題点が存在していた。
【0009】
すなわち第1の問題点は、磁気ヘッドによる記録は、基本的に磁気ヘッドと磁気記録媒体との相対移動に基づく線記録であり、多数のトラックにわたって信号を書き込む必要があることから、サーボライタによるフォーマッティングでは、プリフォーマット記録に多大な時間を要する点である。したがって、生産性を向上するためには、高価な専用のサーボライタが複数台必要となってしまい、プリフォーマット記録が高コストとなっていた。
【0010】
また、第2の問題点は、多くのサーボライタの導入、及びその維持管理には多額のコストがかかってしまう点である。これらの問題点は、トラック密度が向上し、トラック数が多くなればなるほど大きな問題点となってしまう。
【0011】
そこで、フォーマティングをサーボライタを用いることなく、あらかじめ全てのサーボ情報が書き込まれたマスタと呼ばれるディスクとフォーマティングすべき磁気ディスクとを重ね合わせ、外部から転写用のエネルギー(磁界)を与えることによって、マスタの情報を磁気ディスクに一括転写する方式である磁気転写方式が提案されている。
【0012】
かかる磁気転写方式の代表例が、特開平10−269566号公報において開示されている。特開平10−269566号公報においては、マスタ情報担体の表面に位置情報信号に対応した微細な凹凸形状部が形成されており、多数の円弧状の凸部領域が設けられている。
【0013】
そして、かかる凸部領域の表面にはコバルト等の強磁性材の薄膜が設けられており、溝部は凸部領域よりもくぼんだ形状を有している。また溝部においても、多数の孔が設けられている。
【0014】
このようなマスタ情報担体の磁化情報をスレーブディスクである被転写磁気記録媒体に転写するときは、マスタ情報担体と被転写磁気記録媒体とを重ね合わせ、周囲を密閉することによって、両者間の空気を前述した多数の孔を介して排出することになる。その結果、被転写磁気記録媒体にマスタ情報担体の凸部領域の表面が密着させることができる。この状態で、被転写磁気記録媒体に所定の強さの磁界を与えることによって、マスタ情報担体の磁化情報が被転写磁気記録媒体に転写される。したがって、磁気転写方式においては、マスタ情報担体と被転写磁気記録媒体とを隙間なく密着させることが重要となる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
上述したような従来の磁気転写装置を用いた情報信号の記録においては、マスタ情報担体に設けられた情報信号に対応する配列パターンを磁化パターンとしてディスク状磁気記録媒体に一括記録しているが、ディスク状磁気記録媒体表面全体にわたり、均一に安定して高密度の情報信号が記録されることが重要となる。
【0016】
しかし、磁気転写の時にマスタ情報担体の表面上に微小異物が存在していた場合、両者が接触することによってディスク状磁気記録媒体の表面に陥没部が発生することがある。
【0017】
図15は、従来の磁気転写方式において、磁気転写の時にマスタ情報担体の表面上に微小異物が存在していた場合、ディスク状磁気記録媒体とマスタ情報担体とを接触させ磁気転写を行った後におけるディスク状磁気記録媒体の表面形状を示す図である。図15において、中央部に示す丸印のように、マスタ情報坦体とディスク状磁気記録媒体の間に介在した微小異物によって陥没部が生じていることがわかる。
【0018】
また図16は、当該陥没部の断面形状を測定した結果を示す図である。図16に示すように、ディスク状磁気記録媒体表面より50nm程度窪んだ陥没部の周囲には、20nm程度の微小突起が存在していることがわかる。
【0019】
ここで、浮動磁気スライダのディスク状磁気記録媒体表面からの浮上量は、通常の状態で20nm程度であり、それに対してディスク状磁気記録媒体上に図16に示すような20nm程度の突起が存在すると、データ記録再生時において、磁気ヘッドとディスク状磁気記録媒体とが接触してしまうおそれがある。
【0020】
したがって、ひとたび両者が接触すると、接触した瞬間に磁気ヘッドが飛ばされ、磁気ヘッドとディスク状磁気記録媒体のクリアランスが大きくなってしまうことから、信号の記録再生性能が大きく低下してしまうという問題点が生じている。また、磁気ヘッドがディスク状磁気記録媒体と物理的に接触することによって、磁気ヘッドの寿命が低下したり、ディスク状磁気記録媒体自体の破損につながるという問題点も残されている。
【0021】
さらに、溝部に異物が付着していた場合にも、磁気転写を実行している間に当該異物がディスク状磁気記録媒体へ移動することも考えられる。したがって、マスタ情報担体の表面や溝部に付着している異物については確実に除去する必要がある。
【0022】
本発明は、上述したような問題点を解決するため、マスタ情報担体の表面及び溝部についた異物を確実に洗浄することができる磁気転写用マスタの洗浄装置及び方法を提供することを目的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、円形の基体の中央部に円形の中央凹部が形成されるとともに、前記基体の内周から外周へと向かう放射線形状であって、前記中央凹部と連通し、かつ外周端部が開放された密着用溝部が形成され、前記密着用溝部の間の凸部領域の表面に情報信号に対応する磁性膜が形成された磁気転写用マスタの洗浄装置であって、前記磁気転写用マスタを保持する保持手段と、前記磁気転写用マスタにおける磁性膜が形成された面に対向配置され、前記磁気転写用マスタの面に直交する軸の周りに回転し、前記磁気転写用マスタと当接する部分が円形である洗浄冶具と、前記洗浄冶具を前記磁気転写用マスタに対して相対的に摺動させる摺動手段とを含み、前記洗浄冶具における前記磁気転写用マスタと当接する円形部分の半径は、前記磁気転写用マスタの中央凹部の半径よりも小さく設定され、洗浄時において、前記摺動手段が、前記洗浄冶具と前記磁気転写用マスタとを所定量押し付け、前記洗浄冶具を前記密着用溝部の前記放射線形状に沿うように前記磁気転写用マスタの中心位置から外周に向かって摺動させることを特徴とする。
【0024】
かかる構成により、磁気転写用マスタの表面及び溝部に付着している異物を、容易かつ確実に除去することができ、異物の存在に起因する磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触による磁気ヘッドや磁気記録媒体の破損を未然に回避することが可能となる。また、洗浄開始前に、洗浄冶具を磁気転写用マスタへ押し込む際に、洗浄冶具と溝部により形成されている凹凸が接触しないようにすることが可能である。
【0026】
さらに、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、洗浄冶具が回転ブラシであることが好ましい。
【0027】
また、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、回転ブラシの半径をr(mm)、摺動手段によって回転ブラシが摺動する際における摺動繰り返し周期をt(s)、略円形形状を有する磁気転写用マスタの半径をR(mm)、磁気転写用マスタが保持手段によって回転する時の回転速度をx(rps)とするとき、πtxR<rの関係を有することが好ましい。磁気転写用マスタの全面に対して確実に洗浄を行うことができるからである。
【0028】
また、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、磁気転写用マスタにおける密着用溝部の深さをM(mm)、洗浄時における回転ブラシの磁気転写用マスタに対する押し付け量をN(mm)とした時、N/M>10の関係を有することが好ましい。かかる関係を有することで、確実に異物を排除することができるからである。
【0029】
また、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、密着用溝部の幅が、内周から外周へと向かうにつれて拡がっていることが好ましい。溝部に存在する異物を、より確実に外周側へ排除することができるからである。
【0030】
また、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、洗浄冶具が、磁気転写用マスタの磁性膜が形成された面上を磁性膜の外周端部よりも外側にまで摺動することが好ましい。異物が磁気転写用マスタの外周端部に残ることなく、確実に排除することができるからである。
【0031】
また、本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄装置は、密着用溝部が略円弧形状を有し、洗浄冶具が所定の位置を中心として回動し、かつ円弧状の曲率半径と洗浄冶具の回動半径とが略一致することが好ましい。溝部に付着した異物を、より確実に排除するためである。
【0032】
次に、上記目的を達成するために本発明にかかる磁気転写用マスタ洗浄方法は、円形の基体の中央部に円形の中央凹部が形成されるとともに、前記基体の内周から外周へと向かう放射線形状であって、前記中央凹部と連通し、かつ外周端部が開放された密着用溝部が形成され、前記密着用溝部の間の凸部領域の表面に情報信号に対応する磁性膜が形成された磁気転写用マスタの洗浄方法であって、前記磁気転写用マスタを保持する工程と、前記磁気転写用マスタの磁性膜が形成された面に対向配置され、前記磁気転写用マスタの面に直交する軸の周りに回転し、前記磁気転写用マスタと当接する部分が円形である洗浄冶具を、前記磁気転写用マスタに対して相対的に摺動させる工程とを有し、前記洗浄冶具における前記磁気転写用マスタと当接する円形部分の半径を、前記磁気転写用マスタの中央凹部の半径よりも小さく設定し、洗浄時において、前記洗浄冶具と前記磁気転写用マスタとを所定量押し付け、前記洗浄冶具を前記密着用溝部の前記放射線形状に沿うように前記磁気転写用マスタの中心位置から外周に向かって摺動させることを特徴とする。
【0033】
かかる構成により、磁気転写用マスタの表面及び溝部に付着している異物を、容易かつ確実に除去することができ、異物の存在に起因する磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触による磁気ヘッドや磁気記録媒体の破損を未然に回避することが可能となる。
【0034】
次に、上記目的を達成するために本発明にかかる磁気記録再生装置は、上述したような磁気転写用マスタ洗浄装置又は方法によって洗浄された磁気転写用マスタと、磁気転写用マスタの磁性膜が形成された側の表面を磁気記録媒体に密着させ、外部磁界を印加することによって磁気記録媒体に磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する磁気転写手段と、磁気転写手段によって磁気転写された磁気記録媒体と、磁気記録媒体に対して記録あるいは再生を行うための磁気ヘッドとを含むことを特徴とする。
【0035】
かかる構成により、磁気転写用マスタの表面及び溝部に付着している異物を、容易かつ確実に除去することができ、異物の存在に起因する磁気記録媒体と磁気ヘッドとの接触による磁気ヘッドや磁気記録媒体の破損の生じていない品質の高い磁気記録再生装置を提供することが可能となる。
【0036】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態にかかる磁気転写用マスタの洗浄装置及び方法について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明の実施の形態にかかる磁気転写用マスタの洗浄装置を含む磁気転写装置の断面図であり、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が離れているときの状態を示している。また図2は、本発明の実施の形態にかかる磁気転写用マスタの洗浄装置を含む磁気転写装置の断面図であり、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が密着しているときの状態を示している。
【0037】
さらに図3は、磁気転写用マスタ2における磁気ディスク1との接触面3を示しており、溝4が磁気転写用マスタ2の中心から外周部へと放射状に広がっていることがわかる。なお、本実施の形態においては、溝の深さは5μmに設定している。
【0038】
図1及び図2において、1は磁気ディスクを、2は磁気転写用マスタを、それぞれ示している。また、3は磁気転写用マスタ2上の磁気ディスク1との接触面を示しており、接触面3には磁気転写用マスタ2の中心から放射状に広がった溝4が設けられている。
【0039】
さらに、6は磁気ディスク1を支持するための支持台を示しており、中心部に気体を流すための通気孔7が設けられている。また、8は磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1の間の気体を排出又は圧送するための通路を、9は通路8から気体を排出するための気体排出口を、10は気体排出口に接続された吸引ポンプを、11は気体の排出を制御する排気弁を、それぞれ示している。同様に、12は通路8に気体を圧送するための給気ポンプを、13は気体の給気を制御する給気弁を、それぞれ示している。
【0040】
ここで、給気ポンプ12には、0.01μmのエアーフィルタが設けられており(図示せず)、0.01μm以上の異物が通路8に圧送されないように構成されている。
【0041】
また、14は磁気転写用マスタ2を保持するための保持アームを示しており、磁気転写用マスタ2に固着されている。保持アーム14の固着方法としては、保持アーム14に設けられた貫通孔から気体を吸引することによって磁気転写用マスタ2を吸着する方法が良く用いられている。さらに、保持アーム14は、上部に有するボス部分を介して、ガイド部材16と垂直方向に摺動自在に配置されている。
【0042】
次に、図1から図3を参照しながら、磁気転写装置内の空気の吸引/圧送による磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とを密着/離間させる処理の工程について詳細に説明する。
【0043】
まず、図1に示すように、排気弁11を閉じることによって、給気弁13を開放した状態で給気ポンプ12を動作させる。そうすることで、外気が通路8に流し込まれることになる。そして、通気孔7には、図1の矢印Aで示したように上方向に空気が圧送される。
【0044】
通気孔7に圧送された空気は、磁気転写用マスタ2を上方向に押し上げることになり、矢印Bに示すように、溝4に対しても圧送されることになる。溝4に圧送された空気は、溝4を通って磁気転写用マスタ2の中心から外周へ向かって放射状に拡散していく。そして、溝4から磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1との隙間を通って大気中へ排出されることになる。
【0045】
この時の時間経過と、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とで挟まれた空間(以下、「離間空間」という。)の気圧との関係を図4に示す。図4においては、時間が3秒経過したあたりから離間空間の気圧が瞬間的に上昇し、その後約1秒間の約130kpaの気圧を保持している期間が、上述した磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1が離れている状態に相当することになる。
【0046】
なお、本実施の形態においては、磁気ディスク1と磁気転写用マスタ2が密着した状態から磁気転写用マスタ2が保持アーム14と一体的に0.5mm上昇した時点で保持アーム14の上面がガイド部材16の下面と当接することになるように設計されている。したがって、磁気ディスク1と磁気転写用マスタ2間の距離は、最大でも0.5mmになるように制御されている。
【0047】
次に、吸引による磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とを密着させる処理の工程について説明する。図2において、まず給気ポンプ12を停止させ、給気弁13を閉じる。すると、磁気ディスク1を固着した保持アーム14が自重で下方向に移動し、磁気ディスク1に載置される。その後、排気弁11を開き、吸引ポンプ10を作動させる。
【0048】
こうすることで、図2の矢印Cに示すように、通気孔7内の気体が下方向に排出されるようになるため、溝4の内部、すなわち離間空間に存在する気体についても、磁気ディスク1の内周孔とボスとの隙間を通って大気中へ排出されることになる。
【0049】
ここで、図3に示すように、溝4は内周から外周に向かって放射線形状を有するように形成されており、かつ最外周まで抜けている形状を有していることから、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とは全周にわたって密着した状態となっており、離間空間の圧力は大気圧よりも低くなる。したがって、磁気ディスク1は大気圧15によって磁気転写用マスタ2に押しつけられることとなる。
【0050】
また、本実施の形態においては、溝4は、図3に示すように円弧形状を有している。さらに当該円弧形状は、磁気転写後の磁気ディスク1を後述するハードディスク装置に搭載した場合における磁気ヘッドの回動軌跡を考慮した形状となっている。
【0051】
時間経過と、離間空間における気圧との関係を示す図4においては、時間が3秒経過する以前に存在する離間空間の気圧が約30kpaになっている区間が、上述した密着状態に相当する。
【0052】
次に、図2に示すようにマグネット17を矢印D方向に移動させ、磁気転写用マスタ2に接近させ、その距離が1mm程度になった時に矢印D方向への移動を停止する。そして、磁気ディスク1の円周方向、すなわち矢印Eの向きにマグネット17を1回転以上回転させることにより、転写に必要な磁界を印加することになる。
【0053】
ここで、磁気転写用マスタ2について、図5から図7を参照しながら詳細に説明する。まず図5は、本発明の実施の形態にかかる磁気転写用マスタの洗浄装置における磁気転写用マスタ2の平面図である。図5に示すように、磁気転写用マスタ2の一主面、すなわち磁気ディスク1の強磁性薄膜表面に接触する側の表面には、略放射状に信号領域2aが形成されている。なお、図3及び図5は模式的に示したものであり、実際には、信号領域2aは図3における接触面3上に構成されているものである。
【0054】
また図6は、図5において点線で囲んだ部分A’の拡大図である。図6に示すように、信号領域2aには、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号、例えばプリフォーマット記録に対応する位置に、上記情報信号に対応したパターン形状で強磁性薄膜からなる磁性部によるマスタ情報パターンが形成されている。図6において、ハッチングを施した部分が強磁性薄膜によって構成された磁性部である。
【0055】
かかる図6に示すようなマスタ情報パターンは、クロック信号、トラッキング用サーボ信号、アドレス情報信号等の各々の領域をトラック長さ方向に順次配列したものである。なお、図6に示すマスタ情報パターンは一例であり、磁気記録媒体に記録されるディジタル情報信号に応じて、マスタ情報パターンの構成や配置等を適宜決定することとなる。
【0056】
例えば、ハードディスク装置のように、ハードディスクの磁性膜に、まずリファレンス信号を記録し、そのリファレンス信号に基づきトラッキング用サーボ信号などのプリフォーマット記録を行う場合には、本発明によるマスタ情報媒体を用いてハードディスクの磁性膜に、あらかじめプリフォーマット記録に用いるリファレンス信号のみを転写記録し、そして当該ハードディスクをドライブの筐体に組み込み、トラッキング用サーボ信号等のプリフォーマット記録は、ハードディスク装置の磁気ヘッドを使用して行うようにしてもよい。
【0057】
次に図7には、図5及び図6に示した領域の部分断面図である。図7に示すように、磁気転写用マスタ2は、Si基板、ガラス基板、プラスティック基板等の非磁性材料からなる円盤状の基体2bの一主面、すなわち磁気ディスク1の表面が接触する側の表面に、情報信号に対応する複数の微細な配列パターン形状で凹部2cを形成し、その基体2bの凹部2cに磁性部である強磁性膜2dを埋め込むように形成することによって構成されている。
【0058】
ここで、強磁性薄膜2dとしては、硬質磁性材料、半硬質磁性材料、軟質磁性材料を問わず、多くの種類の磁性材料を用いることができ、磁気記録媒体にデジタル情報信号を転写記録できるものであればよい。例えば、Fe、Co、Fe−Co合金等を用いることができる。
【0059】
なお、マスタ情報が記録される磁気記録媒体の種類によらずに十分な記録磁界を発生させるためには、磁性材料の飽和磁束密度は大きいほどよい。特に、2000エルステッド(158000A/m)を越える高保磁力の磁気ディスクや磁性層の厚みの大きいフレキシブルディスクに対しては、飽和磁束密度が0.8テスラ以下になると十分な記録を行うことができない場合が考えられる。したがって、一般的には、0.8テスラ以上、好ましくは1.0テスラ以上の飽和磁束密度を有する磁性材料を用いることが好ましい。
【0060】
また、強磁性薄膜2dの厚さは、ビット長や磁気記録媒体の飽和磁化や磁性層の膜厚によるが、例えばビット長約1μm、磁気記録媒体の飽和磁化約500emu/cc(0.628T)、磁気記録媒体の磁性層の厚さが約20nmの場合では、50nm〜500nm程度あればよい。
【0061】
また、上述したような記録方法において、良好な記録信号品質を得るためには、磁気転写用マスタに設けた強磁性薄膜としての軟質磁性薄膜もしくは半硬質磁性薄膜の配列パターンに基づいたプリフォーマット記録時には、これを励磁して一様に磁化することが望ましく、また磁気転写用マスタを用いた信号記録に先立って、ハードディスク等の磁気記録媒体を一様に直流消去しておくことが望ましい。
【0062】
次に、上述した磁気転写用マスタ2を製造する方法について説明する。すなわち、本実施の形態にかかる磁気転写用マスタは、Si基板の表面に、レジスト膜を製膜し、フォトリソグラフィ法のようなレーザビームまたは電子ビームを用いたリソグラフィ技術によってレジスト膜を露光、現像してパターニングした後、ドライエッチング等によってエッチングして、情報信号に対応した微細な凹凸形状を形成したものである。その後、Co等からなる強磁性薄膜をスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、CVD法、めっき法等により、凹部に埋め込むことによって、情報信号に対応した磁性部を備えた磁気転写用マスタを得ることができる。
【0063】
なお、磁気転写用マスタの表面に凹凸形状を形成する方法はこれらに限定されるものではなく、例えば、レーザ、電子ビーム、あるいはイオンビームを用いて微細な凹凸形状を直接形成したり、機械加工によって微細な凹凸形状を直接形成してもよい。
【0064】
次に、磁気転写用マスタ2に形成したパターン形状に対応した情報信号を磁気ディスクに転写記録する手順について、図8から図10を参照しながら詳しく説明する。
【0065】
まず、マグネット17を磁気ディスク1に近づけた状態で、磁気ディスク1の中心軸を回転軸として磁気ディスク1と平行に回転させる。こうすることで、図8の矢印で示すように、磁気ディスク1にあらかじめ一定方向を有する磁界を付与することになる(初期化)。
【0066】
次に、磁気ディスク1に磁気転写用マスタ2を位置決めして重ね合わせた状態で、磁気転写用マスタ2と磁気ディスク1とを均一に密着させ、その後、図2に示す矢印Eの方向に、初期化とは逆方向に磁界を印加する。
【0067】
こうすることで、磁気転写用マスタ2の磁性部2dが磁化され、そして磁気転写用マスタ2に重ね合わせた磁気ディスク1の所定の領域1bに、図9に示すように磁性部2dのパターン形状に対応した情報信号が記録される。なお、図9に示す矢印は、この時磁気ディスク1に転写記録される磁化パターンの磁界の方向を示している。
【0068】
そして、図10は上述した磁化処理時の様子を示しており、図10に示すように、磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に密着させた状態で、磁気転写用マスタ2に外部から磁界を印加して磁性部2dを磁化することによって、磁気ディスク1の強磁性層1cに情報信号を記録することができる。すなわち、非磁性の基体2bに、所定の情報信号に対応する配列パターン形状で強磁性薄膜からなる磁性部2dを形成して構成された磁気転写用マスタ2を用いることにより、その情報信号に対応した磁化パターンとして磁気ディスク1に磁気的に転写記録することができる。
【0069】
なお、磁気転写用マスタ2のパターンを磁気ディスク1に転写記録する際の方法として、上述のように磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に接触させた状態で外部磁界を印加する方法以外に、磁気転写用マスタ2の磁性部2dをあらかじめ磁化させておき、その状態で磁気転写用マスタ2を磁気ディスク1に密着するように接触させる方法であっても情報信号を記録することができる。
【0070】
その後、再度図1に示すような離間手段を実施する。すなわち、排気弁11を閉じ、給気弁13を開き、給気ポンプ12を作動させる。すると、矢印A及びBに示すように気体が圧送され、磁気転写用マスタ2は気体が圧送する力によって保持アーム14と一体的に移動し、保持アーム14の上面がガイド部材16と当接した所まで上昇する。このとき、矢印Bに示したように、気体は溝4を通して磁気転写用マスタ2の中心から外周側へ放射状に圧送された状態を保つことになる。
【0071】
ここで、磁気転写用マスタ2の接触面3及び溝部4に異物が存在しないように洗浄する必要がある。磁気転写用マスタ2の接触面3上に異物が存在すると、磁気転写を実施することによって磁気ディスク1に欠陥が生じることになる。また、磁気転写用マスタ2の溝4に異物が存在すると、転写時に異物が磁気ディスク1の表面に付着する可能性が生じる。
【0072】
そこで、図11及び図12を参照しながら、本発明の実施の形態にかかる磁気転写用マスタの洗浄方法について説明する。図11は、本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の要部構成を示す斜視図である。
【0073】
図11において、2は磁気転写用マスタを示しており、中心から外周に向かって放射線形状を有する溝部4が形成されている。本実施の形態においては、半径50mmのシリコン基板を使用している。また、103は基盤回転ステージを示しており、公知の手段である静電チャックによって磁気転写用マスタ2を保持して、矢印AAの方向に1rpmの回転速度で回転可能な構成となっている。
【0074】
また、ポリウレタン製の回転ブラシ108を外周部に取り付けたクリーナディスク107は、磁気転写用マスタ2における溝部4と対向して配置され、回転モータ109により矢印BBの方向に回転可能な構成となっている。本実施の形態においては、回転ブラシ108の半径は10mmである。回転ブラシ108の半径は、図3における溝部4の放射線形状を形成しない中心部の領域の半径13mmよりも小さくなるように設定している。
【0075】
また回転モータ109は、連結アーム110によって矢印CC方向に回動可能な回動モータ111に連結されており、回動モータ111は矢印DD方向に移動可能なエアシリンダ112の上に載置されている。
【0076】
図11では、エアシリンダ112が矢印DDの上部に位置している場合が、磁気転写用マスタ2と回転ブラシ108とが離れている場合を示しており、エアシリンダ112が矢印DDの下部に位置している場合が、磁気転写用マスタ2と回転ブラシ108とが当接している状態を示している。両者が当接する圧力は、エアシリンダ112の下部に配置されたマイクロメータ113によって調節可能な構成となっている。
【0077】
本実施の形態においては、エアシリンダ112を下方向に移動させた時の回転ブラシ108の磁気転写用マスタ2に対する押し込み量を0.20mmと設定している。すなわち、回転ブラシ108と磁気転写用マスタ2とが当接する位置から下方向に0.20mmの位置に回転ブラシ108が来るように、マイクロメータ113を調整している。
【0078】
また、114は洗浄液を噴射させるための噴射口を示しており、噴射口114に0.05μmのフィルタ(図示せず)を透過した純水を流すことで、磁気転写用マスタ2と回転ブラシ108との間に純水を噴射することができる構成となっている。
【0079】
図12は、本発明の実施の形態にかかる洗浄装置の要部構成を示す平面図である。図12において、溝部4の円弧形状の曲率半径は回動モータ111の中心と回転ブラシ108の中心との間の距離と略々一致するように構成されている。また、回動モータ111の中心は、磁気転写用マスタ2が回転した時の溝部4の円弧形状の中心の軌跡上に略々一致するよう、配置されている。
【0080】
まず、磁気転写用マスタ2を基盤回転ステージ103の上に載置し、公知の手段である静電チャックによって保持させる。その時、エアシリンダ112は図11に示すDD方向の上側に配置されている。すなわち、磁気転写用マスタ2と回転ブラシ108とは離れている状態である。この時、回転ブラシ108は図12のFFに示す位置に配置されている。
【0081】
次に、回動モータ111によって、回転ブラシ108を時計方向に回動させ、図12のEEに示す位置、すなわち磁気転写用マスタ2の中心の位置まで移動させる。
【0082】
そして、基盤回転ステージ103によって、磁気転写用マスタ2を矢印AAの方向に回転数1rpmで回転させ、回転モータ109によって回転ブラシ108を矢印BBの方向に450rpmで回転させる。この状態で噴射口114から洗浄液を噴射する。
【0083】
次に、エアシリンダ112によって、回転ブラシ108を矢印DDの下側に移動させる。すると、回転ブラシ108が磁気転写用マスタ2へ回転しながら接近し、回転ブラシ108が磁気転写用マスタ2へ0.2mm押し込まれた位置で上下移動を停止する。このとき、図12に示すように、回転ブラシ108の半径10mmの方が、溝部4を有さない中央部分の半径よりも小さくなるようにしていることから、溝部4の凹凸が回転ブラシ108と当接することはない。
【0084】
そして、回動モータ111によって、回転ブラシ108を矢印CCの方向に移動させる。この時、回転ブラシ108が磁気転写用マスタ2の溝部4に略々沿って移動するよう、回転モータ11の移動速度を磁気転写用マスタ2の回転速度である1rpmよりも十分速い速度に設定することになる。
【0085】
図13は、この場合における回転ブラシ108の移動周期を示す図である。図13において、縦軸はエアシリンダ112の位置を、横軸は経過時間を表している。エアシリンダ112の位置が上側にある時は、回転ブラシ108と磁気転写用マスタ2とが離れている状態、エアシリンダ112の位置が下側にある時は、回転ブラシ108と磁気転写用マスタ2とが当接されている状態を表している。
【0086】
図13における経過時間0秒では、回転ブラシ108がエアシリンダ112の上側であり、図12におけるFFの位置に配置されている状態を表している。そして1秒後には、回転ブラシ108はエアシリンダ112の上側で、図12におけるEEの位置に移動する。さらに0.5秒後には、エアシリンダ112の位置が下側に移動し、磁気転写用マスタ2と当接することになる。
【0087】
その後、1秒間で回動モータ111によって回転ブラシ108はエアシリンダ112の下側の位置を保ちながら図12におけるEEの位置からFFの位置まで移動する。すなわち、回転ブラシ108は磁気転写用マスタ2の表面上を内周から外周に向かって摺動することになる。
【0088】
この時、回転ブラシ108の半径10mmが、溝部4が形成されていない中心部分の半径よりも小さく設定されていることから、特に溝部4における放射線形状を形成している部分において、確実に内周から外周に向かって回転ブラシ108を摺動させることができることになる。
【0089】
また、FFに示す位置は、回転ブラシ108と磁気転写用マスタ2とが当接しないよう、磁気転写用マスタ2の最外周端部より離れた所に配置されている。こうすることによって、異物が磁気転写用マスタ2の外周端部に残ることなく、確実に除去することが可能となる。
【0090】
そして、0.5秒後には、回転ブラシ108がエアシリンダ112の上側に再度移動する。その後は、上述したような洗浄動作を繰り返し行うことによって、異物を排除することになる。
【0091】
本実施の形態においては、回転ブラシ108の移動周期を3秒に設定している。また、合計洗浄時間を5分となるよう設定している。そのため、回転ブラシの移動は合計100周期となる。
【0092】
また、磁気転写用マスタ2の回転速度を1rpm、半径は50mmとしているので、回転ブラシ108が一周する間に磁気転写用マスタ2の最外周端部は、π×2×50mm×(1/60)×3秒=15.6mm移動することになる。
【0093】
さらに、回転ブラシ108の半径が10mmであるため、回転ブラシ108が1周する間に磁気転写用マスタ2の最外周端部は10mm×2=20mm洗浄される。したがって、磁気転写用マスタ2が移動する15.6mm以上の領域を洗浄することになるため、磁気転写用マスタ2が一回転すると確実に磁気転写用マスタ2表面の全面が回転ブラシ108と当接していることになる。
【0094】
すなわち、回転ブラシの半径をr(mm)、摺動手段によって回転ブラシが摺動する際における摺動繰り返し周期をt(s)、略円形形状を有する磁気転写用マスタ2の半径をR(mm)、磁気転写用マスタ2の回転速度をx(rps)とすると、(数1)の関係を具備することが好ましい。
【0095】
【数1】
πtxR<r
また、磁気転写用マスタ2の回転速度と比較して、回転ブラシ108の移動速度が十分に速いため、略々磁気転写用マスタ2の溝部4の放射線形状に沿って、確実に内周から外周側に向かって摺動させることが可能となる。
【0096】
このように、磁気転写用マスタ2の表面において、溝部4を内周から外周に向かって放射線形状を有するように形成し、かつ外周端部を開放状態にすると共に、回転ブラシ108を磁気転写用マスタ2における溝部4の放射線形状に沿って、内周から外周に向かって摺動できる構成とすることにより、溝部4に付着している異物を確実に外周側に排出することが可能となる。すなわち、溝部4に付着している異物は、回転ブラシ108との当接及び回転ブラシ108自身の回転運動によって磁気転写用マスタ2から分離され、放射線形上に構成された溝部4を通って、磁気転写用マスタ2の外側へ排出されることになる。
【0097】
また、回転ブラシ108の離間位置FFを磁気転写用マスタ2と当接しない位置、すなわち回転ブラシ108と磁気転写用マスタ2との間の接触部分が完全になくなる位置になるように設定していることから、磁気転写用マスタ2の表面に付着している異物を確実に外部へ排出することが可能となる。
【0098】
この時、本実施の形態で示したように、溝部4の幅が、外周に向かうにつれて拡がっていく形状であるほうが好ましい。こうすることによって、回転ブラシ108の内周から外周へ向けての摺動に伴って、異物が外側へ排出されやすくなるからである。
【0099】
また、本実施の形態に示したように、回転ブラシ108の押し付け量は溝4の深さの10倍以上に設定することが好ましい。これは、押し付け量が少なすぎると溝4の端部の異物を除去する効果がなくなるためである。
【0100】
例えば、図11におけるマイクロメータ113を調整することによって、回転ブラシ108の押し付け量と、磁気転写用マスタ2を洗浄した後における溝部4の異物の有無との関係を確認するべく、顕微鏡による観察を行った。その結果、溝部4の深さ5μmに対して、0.05mm以上押し付ければ、溝部4の異物が確実に排除されていることが確認されている。
【0101】
以上のように、回転ブラシ108の押し付け量を溝部4の深さの10倍以上に設定することによって、溝部4における異物が確実に除去できることが実験的に明らかになっている。
【0102】
次に、図14を用いて本発明の実施の形態にかかる磁気記録再生装置の内容について説明する。図14は、本実施の形態によって洗浄された磁気転写用マスタ2を使用して磁気転写を行った後の磁気ディスク1を、ハードディスク装置に組み込んだ時の構成図である。
【0103】
図14において、1は磁気転写を行った後の磁気ディスクを示しており、図5に示した磁気転写用マスタ2の信号領域2aの情報が磁気転写によって磁気ディスク1の表面上に記録されているものである。
【0104】
また、磁気ヘッド61が磁気ディスク1上を走査する際、ヘッドサスペンション62に搭載された磁気ヘッド61は、ヘッドアクチュエータの回転軸63を中心とする円弧上を移動し、これは信号領域2aの円弧と一致している。そして、磁気ディスク1は、スピンドルモータ(図示せず)によって反時計方向に5400rpmの回転速度で回転し、磁気ヘッド61は磁気ディスク1よりも20nm浮上させた状態でボイスコイルモータ64によって回動可能な構成となっている。
【0105】
図14に示すように、磁気転写後の磁気ディスク1を搭載したハードディスク装置において、磁気ヘッド1によって記録再生を行い、データの誤り率のテストを行った。その結果、本実施の形態に示した方法で磁気転写用マスタを洗浄し、磁気転写を行った後の磁気ディスクに関しては、磁気転写を行わない磁気ディスクとほぼ同等のデータ誤り率であることがわかった。したがって、磁気転写用マスタ2の表面上に異物が存在せず、かつ溝部4にも異物が残ることのない洗浄が実現されているものと考えられる。
【0106】
以上のように本実施の形態によれば、簡単な方法で確実に磁気転写用マスタの表面及び溝部を洗浄することが可能となる。このことにより、信頼性の高い磁気記録再生装置を実現することが可能となる。
【0107】
なお、洗浄用の液体としては純水を使用しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えばIPA(イソプロピルアルコール)等の他の液体を使用しても同等の効果が期待できる。
【0108】
【発明の効果】
以上のように本発明にかかる磁気転写用マスタの洗浄装置及び方法によれば、簡単な方法で確実に磁気転写用マスタの表面及び溝部の洗浄を行うことができ、信頼性の高い磁気転写を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置の構成図
【図2】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置の構成図
【図3】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における磁気転写用マスタの斜視図
【図4】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における離間空間の時間と気圧との関係を示す図
【図5】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における磁気転写用マスタの平面図
【図6】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における磁気転写用マスタの部分拡大図
【図7】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における磁気転写用マスタの部分断面図
【図8】磁気転写用マスタの初期化状態を示す図
【図9】磁気転写用マスタの磁気転写状態を示す図
【図10】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における磁化処理状態の説明図
【図11】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置の斜視図
【図12】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置の平面図
【図13】本発明の実施の形態にかかる磁気転写装置における回転ブラシの移動周期を示す図
【図14】本発明の実施の形態にかかる磁気記録再生装置の平面図
【図15】従来の磁気転写用マスタによって磁気転写を行った後の磁気ディスク表面の状態を示す図
【図16】陥没部の断面図
【符号の説明】
1 磁気ディスク
2 磁気転写用マスタ
3 接触面
4 溝部
6 支持台
7 通気孔
8 通路
9 排出口
10 吸引ポンプ
11 排気弁
12 給気ポンプ
13 給気弁
14 保持アーム
16 ガイド部材
17 マグネット
61 磁気ヘッド
62 ヘッドサスペンション
63 回転軸
64 ボイスコイルモータ
103 基盤回転ステージ
107 クリーナディスク
108 回転ブラシ
109 回転モータ
110 連結アーム
111 回動モータ
112 エアシリンダ
113 マイクロメータ
114 噴射口

Claims (10)

  1. 円形の基体の中央部に円形の中央凹部が形成されるとともに、前記基体の内周から外周へと向かう放射線形状であって、前記中央凹部と連通し、かつ外周端部が開放された密着用溝部が形成され、前記密着用溝部の間の凸部領域の表面に情報信号に対応する磁性膜が形成された磁気転写用マスタの洗浄装置であって
    記磁気転写用マスタを保持する保持手段と、
    前記磁気転写用マスタにおける磁性膜が形成された面に対向配置され、前記磁気転写用マスタの面に直交する軸の周りに回転し、前記磁気転写用マスタと当接する部分が円形である洗浄冶具と、
    前記洗浄冶具を前記磁気転写用マスタに対して相対的に摺動させる摺動手段とを含み、
    前記洗浄冶具における前記磁気転写用マスタと当接する円形部分の半径は、前記磁気転写用マスタの中央凹部の半径よりも小さく設定され、
    洗浄時において、前記摺動手段が、前記洗浄冶具と前記磁気転写用マスタとを所定量押し付け、前記洗浄冶具を前記密着用溝部の前記放射線形状に沿うように前記磁気転写用マスタの中心位置から外周に向かって摺動させることを特徴とする磁気転写用マスタ洗浄装置。
  2. 前記洗浄冶具が回転ブラシである請求項1に記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  3. 前記回転ブラシの半径をr(mm)、前記摺動手段によって前記回転ブラシが摺動する際における摺動繰り返し周期をt(s)、略円形形状を有する前記磁気転写用マスタの半径をR(mm)、前記磁気転写用マスタが前記保持手段によって回転する時の回転速度をx(rps)とするとき、πtxR<rの関係を有する請求項記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  4. 前記磁気転写用マスタにおける前記密着用溝部の深さをM(mm)、洗浄時における前記回転ブラシの前記磁気転写用マスタに対する押し付け量をN(mm)とした時、N/M>10の関係を有する請求項2又は3記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  5. 前記密着用溝部の幅が、内周から外周へと向かうにつれて拡がっている請求項1からのいずれか一項に記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  6. 前記洗浄冶具が、前記磁気転写用マスタの磁性膜が形成された面上を前記磁性膜の外周端部よりも外側にまで摺動する請求項1からのいずれか一項に記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  7. 前記密着用溝部が略円弧形状を有し、前記洗浄冶具が所定の位置を中心として回動し、かつ前記円弧状の曲率半径と前記洗浄冶具の回動半径とが略一致する請求項1からのいずれか一項に記載の磁気転写用マスタ洗浄装置。
  8. 円形の基体の中央部に円形の中央凹部が形成されるとともに、前記基体の内周から外周へと向かう放射線形状であって、前記中央凹部と連通し、かつ外周端部が開放された密着用溝部が形成され、前記密着用溝部の間の凸部領域の表面に情報信号に対応する磁性膜が形成された磁気転写用マスタの洗浄方法であって
    記磁気転写用マスタを保持する工程と、
    前記磁気転写用マスタの磁性膜が形成された面に対向配置され、前記磁気転写用マスタの面に直交する軸の周りに回転し、前記磁気転写用マスタと当接する部分が円形である洗浄冶具を、前記磁気転写用マスタに対して相対的に摺動させる工程とを有し、
    前記洗浄冶具における前記磁気転写用マスタと当接する円形部分の半径を、前記磁気転写用マスタの中央凹部の半径よりも小さく設定し、
    洗浄時において、前記洗浄冶具と前記磁気転写用マスタとを所定量押し付け、前記洗浄冶具を前記密着用溝部の前記放射線形状に沿うように前記磁気転写用マスタの中心位置から外周に向かって摺動させることを特徴とする磁気転写用マスタ洗浄方法。
  9. 請求項1からのいずれか一項に記載の磁気転写用マスタ洗浄装置によって洗浄された磁気転写用マスタと、
    前記磁気転写用マスタの磁性膜が形成された側の表面を磁気記録媒体に密着させ、外部磁界を印加することによって前記磁気記録媒体に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する磁気転写手段と、
    前記磁気転写手段によって磁気転写された前記磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に対して記録あるいは再生を行うための磁気ヘッドとを含む磁気記録再生装置。
  10. 請求項に記載の磁気転写用マスタ洗浄方法によって洗浄された磁気転写用マスタと、
    前記磁気転写用マスタの磁性膜が形成された側の表面を磁気記録媒体に密着させ、外部磁界を印加することによって前記磁気記録媒体に前記磁気転写用マスタの磁性膜パターンを磁気転写する磁気転写手段と、
    前記磁気転写手段によって磁気転写された前記磁気記録媒体と、
    前記磁気記録媒体に対して記録あるいは再生を行うための磁気ヘッドとを含む磁気記録再生装置。
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