JP3586866B2 - 新規共重合体とその製造方法および用途 - Google Patents
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Description
本発明は、新規共重合体とその製造方法および用途に関する。
関連技術
従来、種々の撥水撥油剤が提案されている。
特開平6−507438号公報は、ジイソシアネートをペルフルオロ化合物またはエピクロロヒドリン付加物および3個の水酸基を含む化合物の(メタ)アクリルエステルの反応生成物の重合によって得られる重合体または共重合体からなる撥水撥油剤を開示している。しかし、撥水性が不十分である。
特開平6−330027号公報および特開平6−313166号公報は、パーフルオロアルキル基を有する1価基を少なくとも2つ有し、その全てが同一の炭素原子または炭素原子に結合した骨格を有する重合性α,β−モノエチレン性不飽和単量体を重合または共重合した撥水撥油基剤を開示している。しかし、撥水撥油性が不十分である。
特開昭62−132850号公報は、トルエン−2,4−ジイソシアネートとペルフルオロアルキル基を有する化合物と水酸基を有するアクリル酸エステルを反応させた単量体の重合体からなる撥水撥油剤を開示している。しかし、撥水性が不十分である。
特開平5−214325号公報は、ポリフルオロアルキル基含有のアクリレートあるいはメタクリレートとウレタン結合を有するポリアクリレートあるいはポリメタクリレートとを必須成分とする少なくとも2種のモノマーを共重合して得られる共重合体およびブロックドポリイソシアナート化合物を含有する撥水撥油剤組成物を開示している。しかし、この撥水撥油剤組成物の乳化安定性は不良であり、撥水撥油剤組成物はアルコール溶媒に不溶である。
従来の撥水撥油剤ポリマーはアルコール溶媒に対する溶解性が低かった。また、アルコール溶媒に溶解性が比較的高い含フッ素ウレタン化合物は撥水性能が低かった。
発明の要旨
本発明の目的は、良好な撥水撥油性を与え、アルコール溶媒に溶解する共重合体を提供することにある。
本発明は、
(I)炭素数3〜21のポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(II)フッ素原子を含まず、ウレタンまたはウレア結合を1つ以上有しかつ炭素−炭素二重結合を1つ有する単量体から誘導される繰り返し単位
を有する共重合体であって、
単量体(II)が、
(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物、
(B)1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物、および
(C)R2−OH
R2−NH2または
R2−NH−R3
[式中、R2およびR3は、同一または異なって、C1〜C22のアルキル基を表わし、芳香族、脂環式化合物を含んでいてもよい。]
で示される1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物
を反応させることによって得られる単量体である共重合体を提供する。
本発明は、前記共重合体および溶媒を含む処理剤をも提供する。
発明の詳細な説明
フッ素原子を有する単量体(I)は、炭素数3〜21のポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレートであってよい。単量体(I)は、式:
[式中、R11は水素原子またはメチル基、Rfは炭素数3〜21のフルオロアルキル基(窒素原子、スルホニル基、アミド基が炭素−炭素結合間に存在してもよい。)である。]
で示される化合物であってよい。
フッ素原子を有する単量体(I)の例は、次のとおりである。
フッ素原子を含まず、ウレタンまたはウレア結合を1つ以上有しかつ炭素−炭素二重結合を1つ有する単量体(II)は、
(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物、
(B)1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物、および
(C)1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物を反応させることによって得られる。
化合物(A)の例は、以下のとおりである。
化合物(A)は好ましくはジイソシアネートである。しかし、トリイソシアネートおよびポリイソシアネートも反応に使用できる。
たとえば、ジイソシアネートの3量体、ポリメリックMDI(ジフェニルメタジイソシアネート)、更には、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン等の多価アルコールとジイソシアネートのアダクト体も反応に使用できる。
トリイソシアネートおよびポリイソシアネートの例は、以下のとおりである。
化合物(B)は、例えば、式:
で示される化合物であってよい。
式中、R1は水素原子またはメチル基である。Xは次の通りである。
[式中、mおよびnは、1〜300の数である。]
化合物(C)は、例えば、式:
R2−OH
R2−NH2または
R2−NH−R3
[式中、R2およびR3は、同一または異なって、C1〜C22のアルキル基を表わし、ヘテロ原子、芳香族、脂環式化合物を含んでいてもよい。]
で示される化合物であってよい。好ましいR2基およびR3基は、C8H17、C17H35、C4H9、シクロヘキシルである。
化合物(C)の例は、ブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキシルアルコール、2−エチルヘキシルアミン、ステアリルアミンである。
化合物(A)、(B)および(C)は、(A)がジイソシアネートの時、(A)1モルに対し、(B)、(C)ともに1モル、(A)がトリイソシアネートの時、(A)1モルに対し(B)1モル、(C)2モルで反応させてよい。
本発明においては、単量体(I)および(II)に加えて、他の共重合可能な単量体を使用してもよい。
他の共重合可能な単量体は、(メタ)アクリル酸エステルであってよい。(メタ)アクリル酸エステルの例は、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ポリ(オキシアルキレン)(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソシアナートエチル(メタ)アクリレート、アジリジニル(メタ)アクリレート、ポリシロキサンを有する(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートである。N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートを使用すると、綿の撥水性が向上する。
他の共重合可能な単量体の追加的な例は、エチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、メチロール化(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ビニルアルキルエーテル、ハロゲン化アルキルビニルエーテル、ビニルアルキルケトン、無水マレイン酸、N−ビニルカルバゾール、アクリロニトリルである。
本発明の共重合体において、単量体(I)と単量体(II)の重量比は、5:95〜95:5、好ましくは20:80〜95:5である。他の共重合可能な単量体の量は、共重合体の90重量%以下、例えば5〜90重量%である。共重合体の分子量は、500〜1000000であってよい。
共重合体は、溶液重合、乳化重合または懸濁重合によって製造できる。
本発明の共重合体は、有機溶媒中での溶液重合によって製造できる。有機溶媒の例は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどのエステル類、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールなどのアルコール類、パークロルエチレン、トリクレン、1,1−ジクロロ−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,3−ジクロロ−1,2,2,3,3−ペンタフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(HCFC−141b)などのハロゲン化炭化水素、オクタン、石油、トルエン、キシレンなどの炭化水素、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコール、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコール、エチレングリコールである。
好ましい有機溶媒は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどである。
本発明の共重合体は、水性乳濁液中で製造することもできる。単量体を、水、乳化剤、要すれば有機溶媒を用いて乳化重合する。これらの混合物を高圧乳化機等であらかじめ乳化させてから重合してもよい。
乳化剤としては、アニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種界面活性剤を使用することができる。
アニオン界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ココイルサルコシンナトリウム、ナトリウムN−ココイルメチルタウリン、ポリオキシエチレンヤシアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ジエーテルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルカルボン酸塩(商品名ユニダインDS−101,102(ダイキン工業(株)製))などである。
カチオン界面活性剤の例は、ジアルキル(C12〜C22)ジメチルアンモニウムクロライド、アルキル(ヤシ)ジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルアミン酢酸塩、テトラデシルアミン酢酸塩、牛脂アルキルプロピレンジアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(牛脂)トリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(ヤシ)トリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキル(牛脂)イミダゾリン4級塩、テトラデシルメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜C22)ベンジルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンラウリルモノメチルアンモニウムクロライド、1−ヒドロキシエチル−2−アルキル(牛脂)イミダゾリン4級塩、疎水基としてシロキサン基を有するシリコーン系カチオン界面活性剤、疎水基としてフルオロアルキル基を有するフッ素系カチオン界面活性剤(商品名:ユニダインDS−202(ダイキン工業(株)製))などである。
ノニオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーンオイル(商品名:SH3746、SH3748、SH3749、SH3771(東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製))、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名:ユニダインDS−401、DS−403(ダイキン工業(株)製)、フルオロアルキルエチレンオキシド付加物(商品名:ユニダインDS−406(ダイキン工業(株)製)、パーフルオロアルキルオリゴマー(商品名:ユニダインDS−451(ダイキン工業(株))などである。
乳化重合で使用する有機溶媒の例は、溶液重合で使用する有機溶媒と同様のものである。
重合においては、重合を開始するために、重合開始剤、γ−線のような電離性放射線などを使用する。重合開始剤の例は、有機過酸化物、アゾ化合物、過硫酸塩などである。
有機過酸化物の例は、t−ブチルパーオキシピバレート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートである。アゾ化合物の例は、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である。
本発明の共重合体は処理剤として使用できる。処理剤は、撥水撥油剤であってよい。処理剤は共重合体および溶媒を含有する。溶媒は、水、アルコール(例えば、アルカノール)、ケトン、エステル、エーテル(例えばグリコールエーテル)またはこれらの混合物であってよい。処理剤の溶媒と重合時の溶媒は異なったものであってよい。処理剤の溶媒と重合時の溶媒が異なるものである場合に、処理剤とする前に、重合溶媒を(蒸発などにより)除去する。
処理剤において使用するアルコールとして、炭素数1〜4の低級アルカノール、たとえば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール等が挙げられる。これらの低級アルカノールの中ではエタノールおよび2−プロパノールが安全性の点から好ましい。アルカノールの炭素数が5以上では乾燥性が悪いので好ましくない。これらの低級アルカノールは、1種または2種以上を併用して使用することもできる。
イソパラフィン、n−ヘプタン、n−ヘキサン、ミネラルターペン、酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといった溶剤も危険の少ない範囲内で添加することができる。勿論、フロン141b等の代替フロンを使用しても差し支えない。又、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類も白化防止のために少量加えることも有効である。
エアゾール原液において、共重合体と溶剤の重量比は、0.05:99.95〜5.0:95.0、好ましくは0.1:99.9〜3.0:97.0であってよい。
本発明の処理剤には必要により種々の添加物を配合することができる。その中でオルガノポリシロキサンは撥水性を高めることが出来るので重要である。オルガノポリシロキサンとしては、シリコーンオイルやシリコーンディスパージョンまたはそれらの混合物が使用できる。シリコーンオイルは最も一般的には下記式:
で示されるジメチルポリシロキサンであって25℃に於ける粘度が0.65〜30万csの範囲にある各種の重合度のものがある。
また、主鎖に少量の下記基:
を含むものもある。
このほかにも−(CH3)2SiO−に代えて−(CH3CH2)2SiO−、−(CH3)HSiO−、−(C6H5)2SiO−、−(C6H5)(CH3)SiO−にしたものおよびこれらの混合物などがある。又、主鎖であるSi−O−Siの末端を水酸基で置換したものもある。更には、これらの側鎖を塩素化したものや、側鎖にアミノ基、エポキシ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、水酸基、トリフロロアルキル基、アルコールエステル基、アルキル基等を導入して変性させた各種の変性シリコーンオイルがある。又、シリコーンディスパージョンは重合初期状態にあるシリコーン樹脂やシリコーンゴムを溶剤に溶解したもので、加熱すると縮合をおこして三次元網状構造の皮膜を形成するものである。本発明では以上に挙げたものに限らず各種のオルガノポリシロキサンを使用することが出来る。これらのオルガノポリシロキサンには、多くの種類の市販品がある。市販品の例としては、SH200、PRX413、SH8011、SD8000(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製品名)、KP−801M、KPN−3504(信越化学工業社製品名)等が例示できる。オルガノポリシロキサンの配合量としては、エアゾール原液に対する量として約0.05〜約10重量%、好ましくは約0.5〜5重量%程度配合されるのが望ましい。
本発明の処理剤には更に必要により、特公昭62−6163号公報や特公昭63−33797号公報に記載されているようなシミ残り防止剤、紫外線防止剤、界面活性剤、殺菌剤、防虫剤、帯電防止剤、香料等を配合することができる。又、さらに処理布を柔軟にしたり、処理布の帯電を防止したり、撥水撥油性を改良したり、防縮性などを改善したりする目的で帯電防止剤、アミノプラスト樹脂、アクリルポリマー、グリオキザール樹脂、メラミン樹脂、天然ワックス、シリコーン樹脂等を本発明の効果が阻害されない程度に配合することもさしつかえない。
本発明の処理剤は、常法に従って乳濁液、溶剤溶液、エアゾールなどの任意の形態に調製される。例えば、前記したような乳化重合法によって水性乳濁液型組成物が調製され、又、溶液重合によって溶剤溶液型組成物やエアゾール組成物が調製される。
本発明の処理剤はエアゾールとして使用することが好ましい。本発明の処理剤は、原液に噴射剤を加えて容器に充填することにより容易にエアゾール化することが出来る。噴射剤としては、液化石油ガス(LPG)、プロパン、ブタン、ジメチルエーテル、炭酸ガス、窒素ガス等が使用される。必要に応じてHFC−134a、HCFC−141b等の代替フロン等も用いられる。原液と噴射剤の重量比は、99.5/0.5〜30/70、好ましくは99/1〜50/50である。
本発明の撥水撥油剤組成物で処理され得る被処理物は、特に限定なく種々の例をあげることが出来る。例えば、繊維製品、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面およびプラスターなどがある。而して、繊維製品としては、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンの如き種々の合成繊維、レーヨン、アセテートの如き半合成繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維の如き無機繊維、これらの混合繊維、ならびにこれら繊維から成る糸、布(織物、不織布、編物)があげられる。
実施例
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。部は特記しない限り重量部を表わす。
なお、以下の実施例および比較例中に示す撥水性および撥油性については次の様な尺度で示してある。撥水性はJISL−1092のスプレー法による撥水性No.(下記第1表参照)をもって表わす。撥油性は、下記第2表に示された試験溶液を試料布の上、1滴(径約5mm)置き、30秒間保持するか否かをもって撥油性No.として表してある(AATCC TM118−1992)。なお、撥水性No.に「+」印を付したものは性能がわずかに良好なもの、「−」印を付したものは性能がわずかに劣るものを示している。
防汚試験はJIS L 1023−1992に準じて行った。先ずJIS L 1023−1992に準じて表3に示す組成のドライソイルでカーペットを汚染させる。
その後、表面の余剰ドライソイルを電気掃除機で吸引してから色彩色差計による表面の明度を測定し、次式によって汚染率を算出してドライソイル防汚性の評価とする。
汚染率(%)=[(Lo−L)/Lo]×100
(ただし、Lo:汚染前の明度、L:汚染後の明度)
ウレタン結合を有する単量体の製造を製造例1〜4に示す。
製造例1(生成物U1の製造)
攪拌器と温度計と還流冷却器と滴下ロートを備えたフラスコで2,4−トリレンジイソシアネート348gをメチルイソブチルケトン(MIBK)348gに溶解し、窒素パージ、攪拌をしながら80℃とする。80℃となった時、ジブチルスズラウレート2滴を加えると同時に、2−エチルヘキシルアルコール260gの滴下を始め、2時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後、2−ヒドロキシエチルメタクリレート260gを2時間かけてゆっくりと滴下した。滴下終了後さらに80℃のまま2時間攪拌を続けた。その後、減圧でMIBKを留去し、淡黄色透明の粘性液体868gが得られた。IRにより−NCO基が完全に消失していることを確認し、1H−NMR、13C−NMRにより−OHの消失、ウレタン結合の生成および2重結合の存在の確認を行った。この生成物をU1とする。
生成物U1の化学式は次のとおりであると考えられる:
製造例2(生成物U2の製造)
2−エチルヘキシルアルコールと2−ヒドロキシエチルメタクリレートの滴下する順番を逆(先に2−ヒドロキシエチルメタクリレートを滴下)にした以外は製造例1と同様に反応した。この生成物をU2とする。
生成物U2の化学式は次のとおりであると考えられる:
製造例3(生成物U3の製造)
2,4−トリレンジイソシアネート348gをMIBK348gに溶解したものに代えて、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)500gをMIBK500gに溶解したものを使用する以外は、製造例1と同じ方法で反応を行った。この生成物をU3とする。
生成物U3の化学式は次のとおりであると考えられる:
製造例4(生成物U4の製造)
2,4−トリレンジイソシアネート348gをMIBK348gに溶解したものに代えて、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)336gをMIBK336gに溶解したものを使用する以外は、製造例1と同じ方法で反応を行った。この生成物をU4とする。
生成物U4の化学式は次のとおりであると考えられる。
以下に示す製造例において、表4に示す単量体を使用した。
製造例5
攪拌器と温度計と還流冷却器を備えたフラスコに、表4に示す単量体I(フッ素アクリレート)120g、および製造例1で合成したU1(ウレタン結合含有単量体)80gを仕込み、MIBK800gに溶解させて、攪拌、窒素パージをしながら60℃とした。
窒素パージ開始1時間後、内温が60℃であることを確認し、t−ブチルパーオキシピバレート(商品名:パーブチルPV(日本油脂製))4gを添加し、重合を開始した。
重合開始8時間後、単量体Iが99%反応したことを、ガスクロマトグラフィーで確認し、固形分濃度20%の淡黄色液体を得た。この固形分は、GPC測定の結果、数平均分子量5000(ポリスチレン換算)であった。
製造例6〜17ならびに比較製造例1および2
フッ素含有アクリレートとウレタン結合含有モノマーおよび他の単量体を表5に示す組み合わせで製造例5と同様の方法で重合した。
ただし、単量体IVを使用した製造例は、重合開始剤にAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を使用し、重合温度は80℃とした。
実施例1
製造例5で得た溶液をイソプロピルアルコール(IPA)で固形分1%に希釈しIPAへの低温での溶解性およびこの溶液を用いて布に処理し撥水撥油性能を測定した。
試験はポリエステルトロピカル布(白布)、ナイロンタフタ布(白布)、綿ブロード布(白布)について行った。
前記のごとく希釈した溶液に布を浸漬し、ウェットピックアップが約40%となるようにマングルで絞り、室温で1時間乾燥させた。
実施例2〜13
表6に示した重合体を用いて実施例1と同様に撥水撥油性を測定した。
比較例1および2
比較製造例1および2で得た溶液を用い実施例1と同様に撥水撥油性を測定した。
比較例3
特開平6−507438号公報の例2、例10と同じ方法で重合体を作り、この重合体をIPAで固形分1%に希釈し、実施例1と同様に撥水撥油性を測定した。
実施例14〜26および比較例4
実施例1〜13および比較例3で得たものに次に示すような組成で、炭酸ガスを噴射剤に用いてブリキ製のノンコート缶に充填し、エアゾール製品とした。
・原液組成
固形分 1.0%
MIBK 5.0%
IPA 94.0%
合 計 100 %
・エアゾール組成
原液 96.3%
炭酸ガス 3.7%
合 計 100 %
そして、試験布(ポリエステルトロピカル、綿ブロード、ナイロンタフタ)を20cm×20cmに裁断した後、エアゾールを4秒間スプレーし、室温で1時間乾燥させて撥水撥油試験用サンプルとした。試験結果を表7に示す。
比較例5
特開平6−313166号公報の実施例1のとおりにエアゾール化し、撥水撥油試験を行った。試験結果を表7に示す。
比較例6
特開平6−313166号公報の実施例9のとおりにエアゾール化し、撥水撥油試験を行った。試験結果を表7に示す。
製造例18
表4に示す単量体I(含フッ素アクリレート)120gおよび製造例1で合成したU1(ウレタン結合含有単量体)80gをメチルイソブチルケトン(MIBK)20gに溶解させた後、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム12g、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル8g、イオン交換水880gを加えて高圧ホモジナイザーで予備乳化させた。この乳化液を撹拌器と温度計と還流冷却器を備えたフラスコに移し、60℃で窒素パージを十分に行った後、過硫酸アンモニウム1.1gを添加し、重合を開始した。重合開始10時間後、単量体Iが99%反応したことをガスクロマトグラフィーで確認し、固形分濃度20%のエマルションを得た。
比較製造例3
製造例18で単量体U1の代わりに単量体VIIIを用いて製造例18の通りエマルション重合を行い、固形分濃度20%のエマルションを得た。
製造例19
表4に示す単量体I(含フッ素アクリレート)120g、単量体U1 20g、単量体VIII 60gを撹拌器と温度計と還流冷却器を備えたフラスコに仕込み、n−オクタン800gに溶解させて撹拌、窒素パージをしながら60℃とした。窒素パージ開始1時間後、t−ブチルパーオキシピバレート4gを添加重合を開始した。重合開始8時間後、単量体IおよびVIIIが99%以上反応したことをガスクロマトグラフィーで確認し、固形分濃度20%の淡黄色液体を得た。
比較製造例4
製造例19で単量体U1 20gおよび単量体VIII 60gに代えて単量体VIIIを80g仕込んだ以外は製造例19の通り溶液重合を行い、固形分濃度20%の無色透明液体を得た。
実施例27
製造例18で得たエマルションを水で固形分3%に希釈し、ナイロン製ループパイルカーペット生地(未バッキング品)に100g/m2となるようにこの液を均一にスプレーした。スプレーはハンドスプレーを使用した。その後、130℃で5分間乾燥した。この処理カーペットについて撥油試験、防汚試験を行った。試験結果を表8に示す。
実施例28
製造例18で得たエマルションと、特開平8−3113号公報記載のポリメチルメタクリレート/エチルメタクリレート(MMA/EMAの重量比=80/20wt比)エマルションを固形分重量比で1対1で混合した後、水で固形分3%に希釈し、実施例27の通り試験を行った。この結果を表8に示す。
比較例7
比較製造例3で得たエマルションを用い、実施例27と同様に試験を行った。この結果を表8に示す。
実施例29
製造例19の溶液をn−オクタンで固形分濃度10wt%に希釈し、10℃、0℃、−5℃、−10℃の恒温槽に50gずつ24時間放置後の状態を観察した。結果を表9に示す。
比較例8
比較製造例4の溶液をn−オクタンで固形分濃度10wt%に希釈し、10℃、0℃、−5℃、−10℃の恒温槽に50gずつ24時間放置後の状態を観察した。結果を表9に示す。
発明の効果
本発明の共重合体は、アルコール溶媒に対する溶解性、および撥水撥油性能ともに良好である。
Claims (4)
- (I)炭素数3〜21のポリフルオロアルキ ル基を有する(メタ)アクリレート単量体から誘導される繰り返し単位、および
(II)フッ素原子を含まず、ウレタンまたはウレア結合を1つ以上有しかつ炭素−炭素二重結合を1つ有する単量体から誘導される繰り返し単位
を有する共重合体であって、
単量体(II)が、
(A)少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物、
(B)1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物、および
(C)R2−OH
R2−NH2または
R2−NH−R3
[式中、R2およびR3は、同一または異なって、C1〜C22のアルキル基を表わし、芳香族、脂環式化合物を含んでいてもよい。]
で示される1つのヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物
を反応させることによって得られる単量体である共重合体。 - 請求項1に記載の共重合体および溶媒を含む撥水撥油剤。
- 溶液、エマルションまたはエアゾールの形態である請求項2に記載の撥水撥油剤。
- 有機溶媒溶液中または水性乳濁液中で共重合を行う請求項1に記載の共重合体の製法。
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