JP2021014482A - 撥水性重合体および撥水剤組成物 - Google Patents

撥水性重合体および撥水剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた撥水性を与え、フッ素原子を有しない撥水性重合体を提供する。
【解決手段】(a)炭素数7〜30の長鎖アルキル基およびスルホンアミド基を有するアクリル単量体から誘導された繰り返し単位を有し、フッ素を含有しない撥水性重合体。単量体(a)は、式: CH=CA−C(=O)−O−R−A−R [式中、Aは、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、Aは、−NH−SO−または−SO−NH−であり、Rは炭素数1〜5の炭化水素基であり、Rは炭素数7〜30の炭化水素基である。]で示される化合物であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本開示は、撥水性重合体および撥水剤組成物に関する。
従来、フッ素化合物を含んでなる含フッ素撥水撥油剤が知られている。この撥水撥油剤は、繊維製品などの基材に処理すると、良好な撥水撥油性を示す。
最近の研究結果[EPAレポート"PRELIMINARY RISK ASSESSMENT OF THE DEVELOPMENTAL TOXICITY ASSOCIATED WITH EXPOSURE TO PERFLUOROOCTANOIC ACID AND ITS SALTS" (http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoara.pdf) ]などから、長鎖フルオロアルキル化合物の一種であるPFOA(perfluorooctanoic acid)に対する環境への負荷の懸念が明らかとなってきており、2003年4月14日にEPA(米国環境保護庁)がPFOAに対する科学的調査を強化すると発表した。
一方、Federal Register(FR Vol.68, No.73/April 16, 2003[FRL-2303-8], http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafr.pdf)やEPA Environmental News FOR RELEASE: MONDAY APRIL 14, 2003 EPA INTENSIFIES SCIENTIFIC INVESTIGATION OF A CHEMICAL PROCESSING AID(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoaprs.pdf)やEPA OPPT FACT SHEET April 14, 2003(http://www.epa.gov/opptintr/pfoa/pfoafacts.pdf)は、テロマーが分解または代謝によりPFOAを生成する可能性があると公表している(テロマーとは長鎖フルオロアルキル基のことを意味する)。また、テロマーが、撥水撥油性、防汚性を付与された泡消火剤、ケア製品、洗浄製品、カーペット、テキスタイル、紙、皮革などの多くの製品に使用されていることをも公表している。含フッ素化合物が環境に蓄積することが懸念されている。
特開平6−200073号公報(特許文献1)は、フルオロアルキル基およびスルホンアミド基を有するアミノアルコールを含む組成物によって撥水性を与えることを開示している。
フルオロアルキル基含有単量体を使用しない撥水剤が提案されている。
特開2006−328624号公報(特許文献2)は、エステル部分の炭素数が12以上の(メタ)アクリル酸エステルを単量体単位として含む非フッ素系ポリマーからなる撥水剤であって、(メタ)アクリル酸エステルの構成割合が非フッ素系ポリマーを構成する単量体単位の全量に対して80〜100質量%である撥水剤を開示している。
特開2016−040380号公報(特許文献3)は、長鎖(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有する非フッ素重合体、ノニオン性界面活性剤およびカチオン性界面活性剤の両方を含む界面活性剤、ならびに水を含む水系エマルションである表面処理剤を開示している。
特開平6−200073号公報 特開2006−328624号公報 特開2016−040380号公報
本開示の目的は、優れた撥水性を与え、フッ素原子を有しない撥水性重合体を提供することにある。
本開示は、フッ素原子を有しない重合体、すなわち、非フッ素重合体に関する。このような重合体は、撥水剤の有効成分として使用できる。
このような重合体は、撥水剤組成物を形成できる。
本開示の好ましい態様は、次のとおりである。
[1]
(a)炭素数7〜30の長鎖アルキル基およびスルホンアミド基を有するアクリル単量体
から誘導された繰り返し単位を有し、フッ素原子を含有しない撥水性重合体。
[2]
スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)は、式:
CH=CA−C(=O)−O−R−A−R
[式中、
は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
は、−NH−SO−または−SO−NH−であり、
は炭素数1〜5の炭化水素基であり、
は炭素数7〜30の炭化水素基である。]
で示される化合物である[1]に記載の撥水性重合体。
[3]
スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)の量が撥水性重合体に対して2〜100重量%である[1]または[2]に記載の撥水性重合体。
[4]
撥水性重合体が、さらにスルホンアミド基含有アクリル単量体(a)以外の重合性単量体から誘導された繰り返し単位を有し、
単量体(a)以外の重合性単量体が、式:
CH=CX−T
[式中、Xは、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
Tは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基である。]
で示される化合物である[1]〜[3]のいずれかに記載の撥水性重合体。
[5]
スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)以外の重合性単量体が、
(b)(メタ)アクリレートエステル単量体、
(c)非フッ素架橋性単量体、および
(d)ハロゲン化オレフィン
からなる群から選択された少なくとも1種である[4]に記載の撥水性重合体。
[6]
(メタ)アクリレートエステル単量体(b)が、
(b1)脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体、
および
(b2)環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体
からなる群から選択された少なくとも1種である請求項5に記載の撥水性重合体。
[7]
非フッ素架橋性単量体(c)が、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物である[5]に記載の撥水性重合体。
[8]
ハロゲン化オレフィン単量体(d)が塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群から選択された少なくとも1種である[5]に記載の撥水性重合体。
[9]
撥水性重合体において、繰り返し単位(a)100重量部に対して、繰り返し単位(b)の量が0〜20重量部であり、繰り返し単位(c)の量が0〜50重量部であり、繰り返し単位(d)の量が0〜100重量部である[5]〜[8]のいずれかに記載の撥水性重合体。
[10]
(1)[1]〜[9]のいずれかに記載の撥水性重合体、および
(2)液状媒体
を含む撥水剤組成物。
[11]
液状媒体(2)が、水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合物である[10]に記載の撥水剤組成物。
[12]
外的処理剤または内的処理剤である[10]または[11]に記載の撥水剤組成物。
[13]
[10]〜[12]のいずれかに記載の撥水剤組成物を基材に適用して、撥水性重合体を基材に付着させることからなる、基材を処理する方法。
[14]
[1]〜[9]のいずれかに記載の撥水性重合体が付着した繊維製品。
本開示によれば、優れた撥水性を繊維製品などの基材に与える撥水性重合体が得られる。例えば、スプレー撥水性およびブンデスマン撥水性に優れている。
撥水性重合体は、通常の撥水剤では撥水性を与えにくい綿基材に対しても、優れた撥水性を与えることができる。
撥水性重合体は、炭素数7〜30の長鎖アルキル基およびスルホンアミド基を有するアクリル単量体から誘導された繰り返し単位を有し、フッ素原子を含有しない重合体である。
撥水剤組成物は、(1)撥水性重合体および(2)液状媒体を含んでなる。撥水剤組成物は、さらに、(3)界面活性剤を含有してもよい。
(1)撥水性重合体(または「重合体」)
撥水性重合体は、フッ素原子を有しない非フッ素重合体である。
撥水性重合体は、一般に、
(a)スルホンアミド基含有アクリル単量体から誘導された繰り返し単位
を有する。
撥水性重合体は、さらに、スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)以外の非フッ素重合性単量体から誘導された繰り返し単位を有していてもよい。
単量体(a)以外の非フッ素重合性単量体は、非フッ素非架橋性単量体または非フッ素架橋性単量体であってよい。
非フッ素非架橋性単量体は、式:
CH=CA−T
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)、炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基である。]
で示される化合物であってよい。
炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基の例は、炭素数1〜40の直鎖または分岐の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の環状脂肪族基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基、炭素数7〜40の芳香脂肪族炭化水素基である。
エステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基の例は、−C(=O)−O−Qおよび−O−C(=O)−Q(ここで、Qは、炭素数1〜40の直鎖または分岐の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜40の飽和または不飽和(例えば、エチレン性不飽和)の環状脂肪族基、炭素数6〜40の芳香族炭化水素基、炭素数7〜40の芳香脂肪族炭化水素基)である。
非フッ素架橋性単量体は、後に説明するとおりである。
単量体(a)以外の非フッ素重合性単量体の例は次のとおりである。
(b)(メタ)アクリレートエステル単量体、
(c)非フッ素架橋性単量体、および
(d)ハロゲン化オレフィン単量体
撥水性重合体は、フッ素原子を有しない。すなわち、撥水性重合体は非フッ素重合体であり、撥水性重合体を構成する全ての単量体は非フッ素単量体である。
(a)スルホンアミド基含有アクリル単量体
スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)は、式:
CH=CA−C(=O)−O−R−A−R
[式中、
は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
は、−NH−SO−または−SO−NH−であり、
は炭素数1〜5の炭化水素基であり、
は炭素数7〜30の炭化水素基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。Aは、水素原子、メチル基、または塩素原子であることが好ましい。
は、−NH−SO−または−SO−NH−であるが、Aは、−NH−SO−であることが好ましい。
は、2価の炭素数1〜5の炭化水素基である。炭化水素基は、直鎖状または分岐状であってよい。炭化水素基は、飽和の脂肪族炭化水素基、例えばアルキレン基であってよい。炭化水素基の炭素数は、2〜4、特に2であることが好ましい。Rの具体例は、限定されるものではないが、−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CHCHCHCH−、−CHCHCHCHCH−である。
は、1価の炭化水素基である。炭化水素基は、直鎖状または分岐状の炭化水素基であることが好ましい。炭化水素基は、特に直鎖状の炭化水素基であってよい。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、特に飽和の脂肪族炭化水素基、特別にアルキル基であることが好ましい。炭化水素基は、短いと側鎖同士の結晶性が低下し更には撥水性能も低くなる。また長すぎると、重合の際に、単量体の溶解度の低下や、乳化の不安定性などの問題が生じる可能性がある。これらのことから、炭化水素基の炭素数は、12〜30、例えば16〜26、特に18〜22であることが好ましい。
スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)の具体例としては、
CH=CH−C(=O)−O−R−NH−SO−R
CH=C(CH)−C(=O)−O−R−NH−SO−R
CH=CCl−C(=O)−O−R−NH−SO−R
CH=CH−C(=O)−O−R−SO−NH−R
CH=C(CH)−C(=O)−O−R−SO−NH−R
CH=CCl−C(=O)−O−R−SO−NH−R
[式中、Rは炭素数1〜5の炭化水素基であり、
は炭素数7〜30の炭化水素基である。]
が挙げられる。
(b)(メタ)アクリレートエステル単量体
撥水性重合体は他の(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
他の(メタ)アクリレートエステル単量体の例は、次のとおりである。
(b1)脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体、および
(b2)環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体
撥水性重合体は、単量体(b1)および単量体(b2)からなる群から選択された少なくとも1種の単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
(b1)脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体
撥水性重合体は、脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体は、脂肪族炭化水素基がアルコール残基を形成する(メタ)アクリレートエステル(すなわち、アクリレートまたはメタクリレート)であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体の好ましい例は、式:
CH=CA11−C(=O)−O−A12
[式中、A11は、水素原子またはメチル基であり、
12は、炭素数1〜40の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。]
で示される化合物である。
脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体は、フッ素原子を含有しない。
12は、直鎖状または分岐状の炭化水素基である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、特に直鎖状の炭化水素基であってよい。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数が1〜40、例えば10〜40、好ましくは18〜40である。直鎖状または分岐状の炭化水素基は、炭素数18〜28、特に18または22であることが好ましく、一般に飽和の脂肪族炭化水素基、特にアルキル基であることが好ましい。
脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
脂肪族炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステルが存在することにより、風合いがより柔軟になる。
(b2)環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体
撥水性重合体は環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体は、
式:
CH=CA21−C(=O)−O−A22
[式中、A21は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数2〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、シアノ基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり、
22は、炭素数4〜40の環状炭化水素含有基である。]
で示される化合物であることが好ましい。
環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体は、そのホモポリマーの融点が高い(例えば、50℃以上、特に80℃以上)単量体であることが好ましい。
環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体は、フッ素原子を含有しない。
21の例は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、シアノ基である。A21は、塩素原子であることが好ましい。
22は、鎖状基(例えば、直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基)を有していてよい環状炭化水素基である。環状炭化水素基としては、飽和または不飽和である、単環基、多環基、橋かけ環基などが挙げられる。環状炭化水素基は、飽和であることが好ましい。環状炭化水素基の炭素数は、4〜40であり、6〜20であることが好ましい。環状炭化水素基としては、炭素数4〜20、特に5〜12の環状脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、炭素数7〜20の芳香脂肪族基が挙げられる。環状炭化水素基の炭素数は、15以下、例えば12以下であることが特に好ましい。環状炭化水素基は、飽和の環状脂肪族基であることが好ましい。環状炭化水素基の具体例は、シクロヘキシル基、t−ブチルシクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基である。
環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体の具体例としては、
シクロヘキシルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート;および
シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルシクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレートが挙げられる。
環状炭化水素基含有(メタ)アクリレートエステル単量体が存在することにより、加工安定性が改良されたり、撥水性が向上し得る。
(c)非フッ素架橋性単量体
撥水性重合体は非フッ素架橋性単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
非フッ素架橋性単量体は、フッ素原子を含まない単量体である。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの反応性基および/またはエチレン性不飽和二重結合(好ましくは、(メタ)アクリレート基)を有し、フッ素原子を含有しない化合物であってよい。非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合(好ましくは、(メタ)アクリレート基)を有する化合物、あるいは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。反応性基の例は、ヒドロキシル基、エポキシ基、クロロメチル基、ブロックイソシアネート基、アミノ基、カルボキシル基、などである。
非フッ素架橋性単量体は、反応性基を有するモノ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレートまたはモノ(メタ)アクリルアミドであってよい。あるいは、非フッ素架橋性単量体は、ジ(メタ)アクリレートであってよい。
非フッ素架橋性単量体の1つの例は、ヒドロキシル基を有するビニル単量体である。
非フッ素架橋性単量体としては、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、モノクロロ酢酸ビニル、メタクリル酸ビニル、グリシジル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどが例示されるが、これらに限定されるものでない。
非フッ素架橋性単量体が存在することにより、撥水性重合体が与える洗濯耐久性が高くなる。
(d)ハロゲン化オレフィン単量体
撥水性重合体は、ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位を有してよい。
ハロゲン化オレフィン単量体は、フッ素原子を有しない。
ハロゲン化オレフィン単量体は、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体は、炭素数2〜20の塩素化オレフィン、特に1〜5の塩素原子を有する炭素数2〜5のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体の好ましい具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。撥水性(特に撥水性の耐久性)が高くなるので、塩化ビニルが好ましい。
ハロゲン化オレフィン単量体から誘導された繰り返し単位が存在することにより、撥水性重合体が与える洗濯耐久性が高くなる。
(e)他の単量体
単量体(a)〜(d)以外の他の単量体(e)、例えば、非フッ素非架橋性単量体を使用しても良い。
他の単量体の例には、例えば、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。他の単量体はこれらの例に限定されない。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートまたはメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリルアミド」とは、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを意味する。
単量体(a)〜(e)のそれぞれは、1種単独であってよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。
単量体(a)の量は、撥水性重合体に対して2〜100重量%である。単量体(a)の量の下限は、撥水性重合体に対して、3重量%、例えば5重量%、特に10重量%、特別に15重量%であってよい。あるいは、単量体(a)の量の下限は、撥水性重合体に対して、20重量%、例えば25重量%、特に30重量%、特別に40重量%または50重量%であってよい。単量体(a)の量の上限は、撥水性重合体に対して、95重量%、例えば80重量%、あるいは75重量%、あるいは70重量%であってよい。
撥水性重合体において、単量体(a)100重量部に対して、
繰り返し単位(b)の量が0〜2000重量部、好ましくは0〜200重量部、より好ましくは1〜100重量部、例えば5〜80重量部、
繰り返し単位(c)の量が0〜50重量部、好ましくは1〜10重量部、例えば2〜8重量部、
繰り返し単位(d)の量が0〜100重量部、好ましくは1〜60重量部、例えば2〜10重量部、
繰り返し単位(e)の量が0〜100重量部、好ましくは1〜30重量部、例えば2〜10重量部、
であってよい。
撥水性重合体において、単量体(b1)および単量体(b2)のそれぞれの量は、単量体(a)100重量部に対して、0〜150重量部、好ましくは1〜100重量部、例えば2〜50であってよい。
あるいは、単量体(b)、単量体(c)、単量体(d)および単量体(e)の量は、撥水性重合体に対して、(b):(c):(d):(e)が0〜80重量%:0〜10重量%:0〜40重量%:0〜20重量%、例えば3〜75重量%:0.5〜5重量%:2〜30重量%:0〜10重量%、特に10〜70重量%:0.8〜3重量%:5〜25重量%:0〜5重量%であってよい。
撥水性重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、1000〜1000000、例えば5000〜500000、特に3000〜200000であってよい。撥水性重合体の数平均分子量(Mn)は、一般に、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定する。
撥水性重合体は、ランダム重合体であることが好ましい。
撥水性重合体の側鎖においてスルホンアミドスペーサーが存在するので、撥水性重合体の側鎖の結晶性が高い。
本開示において、単量体を重合させ、重合体が液状媒体に分散または溶解した撥水剤組成物を得る。
本開示において使用する単量体は次のとおりである。
単量体(a)、
単量体(a)+(b)、
単量体(a)+(b)+(c)、
単量体(a)+(b)+(d)、または
単量体(a)+(b)+(c)+(d)。
上記に加えて、単量体(e)を使用してもよい。単量体(b)は、単量体(b1)および単量体(b2)の少なくとも1種であってよい。
(2)液状媒体
撥水剤組成物は、液状媒体(2)を含有する。液状媒体(2)は、水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合物である。
撥水剤組成物は、一般に、溶液または分散液である。溶液は、重合体が有機溶媒に溶解している溶液である。分散液は、重合体が水性媒体(水、または水と有機溶媒の混合物)に分散している水性分散液である。
有機溶媒の例は、エステル(例えば、炭素数2〜30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2〜30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1〜30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)、芳香族系溶剤(例えば、トルエンおよびキシレン)、石油系溶剤(例えば、炭素数5〜10のアルカン、具体的には、ナフサ、灯油)である。
液状媒体は、水の単独、あるいは水と(水混和性)有機溶媒との混合物であってよい。有機溶媒の量は、液状媒体に対して、30重量%以下、例えば10重量%以下(好ましくは0.1重量%以上)であってよい。液状媒体は、水の単独であることが好ましい。
液状媒体の量は、撥水性重合体1重量部に対して、0.2〜100重量部、例えば0.5〜50重量部、特に1〜20重量部であってよい。
(3)界面活性剤
撥水剤組成物は水性分散液である場合に、界面活性剤(3)を含有することが好ましい。
被処理物が繊維製品である場合において特に、撥水剤組成物において、界面活性剤(3)は、ノニオン性界面活性剤を含むことが好ましい。さらに、界面活性剤(3)は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、および両性界面活性剤から選択された1種以上の界面活性剤を含むことが好ましい。ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の組み合わせを用いることが好ましい。
(3−1)ノニオン性界面活性剤
ノニオン性界面活性剤の例としては、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドが挙げられる。
エーテルの例は、オキシアルキレン基(好ましくは、ポリオキシエチレン基)を有する化合物である。
エステルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルである。アルコールの例は、1〜6価(特に2〜5価)の炭素数1〜50(特に炭素数10〜30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。
エステルエーテルの例は、アルコールと脂肪酸のエステルに、アルキレンオキシド(特にエチレンオキシド)を付加した化合物である。アルコールの例は、1〜6価(特に2〜5価)の炭素数1〜50(特に炭素数3〜30)のアルコール(例えば、脂肪族アルコール)である。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。
アルカノールアミドの例は、脂肪酸とアルカノールアミンから形成されている。アルカノールアミドは、モノアルカノールアミドまたはジアルカノールアミノであってよい。脂肪酸の例は、炭素数2〜50、特に炭素数5〜30の飽和または不飽和の脂肪酸である。アルカノールアミンは、1〜3のアミノ基および1〜5ヒドロキシル基を有する炭素数2〜50、特に5〜30のアルカノールであってよい。
多価アルコールは、2〜5価の炭素数10〜50のアルコールであってよい。
アミンオキシドは、アミン(二級アミンまたは好ましくは三級アミン)の酸化物(例えば炭素数5〜50)であってよい。
ノニオン性界面活性剤は、オキシアルキレン基(好ましくはポリオキシエチレン基)を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。オキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は、2〜10であることが好ましい。ノニオン性界面活性剤の分子におけるオキシアルキレン基の数は、一般に、2〜100であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、エーテル、エステル、エステルエーテル、アルカノールアミド、多価アルコールおよびアミンオキシドからなる群から選択されており、オキシアルキレン基を有するノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
ノニオン性界面活性剤は、1種単独であってよく、あるいは2種以上の混合物であってもよい。
(3−2)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤は、アミド基を有しない化合物であることが好ましい。
カチオン性界面活性剤は、アミン塩、4級アンモニウム塩、オキシエチレン付加型アンモニウム塩であってよい。カチオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリン等のアミン塩型界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウム等の4級アンモニウム塩型界面活性剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤の好ましい例は、
51−N(−R52)(−R53)(−R54)X
[式中、R51、R52、R53およびR54は炭素数1〜30の炭化水素基、
Xはアニオン性基である。]
の化合物である。
51、R52、R53およびR54の具体例は、アルキル基(例えば、メチル基、ブチル基、ステアリル基、パルミチル基)である。Xの具体例は、ハロゲン(例えば、塩素)、酸(例えば、塩酸、酢酸)である。
カチオン性界面活性剤は、モノアルキルトリメチルアンモニウム塩(アルキルの炭素数4〜30)であることが特に好ましい。
カチオン性界面活性剤は、アンモニウム塩であることが好ましい。カチオン性界面活性剤は、式:
−N
[式中、RはC12以上(例えばC12〜C50)の直鎖状および/または分岐状の脂肪族(飽和および/または不飽和)基、
はHまたはC1〜4のアルキル基、ベンジル基、ポリオキシエチレン基(オキシエチレン基の数は例えば1(特に2、特別には3)〜50である。)
(CH、Cが特に好ましい)、
Xはハロゲン原子(例えば、塩素)、C〜Cの脂肪酸塩基、
pは1または2、qは2または3で、p+q=4である。]
で示されるアンモニウム塩であってよい。Rの炭素数は、12〜50、例えば12〜30であってよい。
カチオン性界面活性剤の具体例には、ドデシルトリメチルアンモニウムアセテート、トリメチルテトラデシルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、トリメチルオクタデシルアンモニウムクロライド、(ドデシルメチルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロライド、メチルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、ベンジルドデシルジ(ヒドロポリオキシエチレン)アンモニウムクロライド、N−[2−(ジエチルアミノ)エチル]オレアミド塩酸塩が包含される。
両性界面活性剤としては、アラニン類、イミダゾリニウムベタイン類、アミドベタイン類、酢酸ベタイン等が挙げられ、具体的には、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、および両性界面活性剤のそれぞれが1種または2以上の組み合わせであってよい。
カチオン性界面活性剤の量は、界面活性剤の全量に対して、5重量%以上、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上であってよい。ノニオン性界面活性剤とカチオン性界面活性剤の重量比は、好ましくは95:5〜20:80、より好ましくは85:15〜40:60である。
カチオン性界面活性剤の量は、重合体100重量部に対して、0.05〜10重量部、例えば、0.1〜8重量部であってよい。界面活性剤の合計量は、重合体100重量部に対して、0.1〜20重量部、例えば、0.2〜10重量部であってよい。
(4)添加剤
撥水剤組成物は、撥水性重合体(1)、および液状媒体(2)ならびに必要により(3)界面活性剤に加えて、(4)添加剤を含有してもよい。
添加剤(4)の例は、他の撥水剤,撥油剤,乾燥速度調整剤,架橋剤,造膜助剤,相溶化剤,凍結防止剤,粘度調整剤,紫外線吸収剤,酸化防止剤,pH調整剤,消泡剤,風合い調整剤,すべり性調整剤,帯電防止剤,親水化剤,抗菌剤,防腐剤,防虫剤,芳香剤,難燃剤等などである。
添加剤(4)は、含フッ素重合体であってよい。
撥水剤組成物は、重合体(活性成分)として上記の撥水性重合体(特にすなわち、非フッ素重合体)のみを含有してよいが、上記の非フッ素重合体に加えて、含フッ素重合体を含有してもよい。一般に、撥水剤組成物(特に、水性エマルション)において、非フッ素重合体によって形成される粒子と、含フッ素重合体によって形成される粒子が別個に存在する。すなわち、非フッ素重合体と含フッ素重合体を別個に製造した後、非フッ素重合体と含フッ素重合体を混合することが好ましい。一般に、非フッ素重合体のエマルション(特に、水性エマルション)と含フッ素重合体のエマルション(特に、水性エマルション)を別個に製造した後、非フッ素重合体のエマルションと含フッ素重合体のエマルションを混合することが好ましい。
含フッ素重合体は、含フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有する重合体である。含フッ素単量体は、一般式:
CH=C(−X)−C(=O)−Y−Z−Rf
[式中、Xは、水素原子、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のアルキル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、CFX12基(但し、X1およびX2は、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)、シアノ基、炭素数1〜21の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基、置換または非置換のベンジル基、置換または非置換のフェニル基であり;
Yは、−O−または−NH−であり;
Zは、炭素数1〜10の脂肪族基、炭素数6〜18の芳香族基または環状脂肪族基、
-CH2CH2N(R1)SO2−基(但し、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。)または
-CH2CH(OZ1) CH2−基(但し、Z1は水素原子またはアセチル基である。)または
-(CH2)m−SO2−(CH2)n−基または -(CH2)m−S−(CH2)n−基(但し、mは1〜10、nは0〜10、である)、
Rfは、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状のフルオロアルキル基である。]
で示されるアクリレートエステルまたはアクリルアミドであることが好ましい。
Rf基の炭素数は、1〜6、特に4〜6、特別に6であることが好ましい。
含フッ素重合体は、ハロゲン化オレフィン単量体、非フッ素非架橋性単量体および非フッ素架橋性単量体からなる群から選択された少なくとも1種の非フッ素単量体から誘導された繰り返し単位を有してもよい。
ハロゲン化オレフィン単量体は、1〜10の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子で置換されている炭素数2〜20のオレフィンであることが好ましい。ハロゲン化オレフィン単量体の具体例は、ハロゲン化ビニル、例えば塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、ハロゲン化ビニリデン、例えば塩化ビニリデン、臭化ビニリデン、ヨウ化ビニリデンである。
好ましい非フッ素非架橋性単量体は、式:
CH=CA−T
[式中、Aは、水素原子、メチル基、または、フッ素原子以外のハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子)であり、
Tは、水素原子、炭素数1〜20の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数1〜20の有機基である。]
で示される化合物である。非フッ素非架橋性単量体の具体例には、アルキル(メタ)アクリレートエステル、エチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、およびビニルアルキルエーテルが含まれる。
非フッ素架橋性単量体は、少なくとも2つの炭素−炭素二重結合(例えば、(メタ)アクリル基)を有する化合物、あるいは少なくとも1つの炭素−炭素二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物であってよい。
撥水剤組成物における非フッ素重合体と含フッ素重合体の重量比は、100:0〜10:90、例えば90:10〜20:80、好ましくは80:20〜30:70であってよい。
非フッ素重合体と含フッ素重合体のそれぞれは、1種の重合体であってもよいが、2種以上の重合体の組み合わせであってもよい。
非フッ素重合体および含フッ素重合体の組み合わせを使用する場合には、含フッ素重合体のみを使用する場合と同等または同等以上の性能(特に、撥水性)が得られる。
重合体(非フッ素重合体、および含フッ素重合体、特にフルオロアルキル基を有する共重合体)は通常の重合方法の何れでも製造でき、また重合反応の条件も任意に選択できる。このような重合方法として、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。乳化重合が好ましい。
撥水剤組成物が水系エマルションであれば、重合体の製造方法は限定されない。例えば、溶液重合により重合体を製造した後に、溶剤の除去および界面活性剤および水の添加を行って、水系エマルションを得ることができる。
溶液重合では、重合開始剤の存在下で、単量体を有機溶媒に溶解させ、窒素置換後、30〜120℃の範囲で1〜10時間、加熱撹拌する方法が採用される。重合開始剤としては、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどが挙げられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜20重量部、例えば0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
有機溶媒は、単量体に不活性でこれらを溶解するものであり、例えば、エステル(例えば、炭素数2〜30のエステル、具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ケトン(例えば、炭素数2〜30のケトン、具体的には、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン)、アルコール(例えば、炭素数1〜30のアルコール、具体的には、イソプロピルアルコール)であってよい。有機溶媒の具体例としては、アセトン、クロロホルム、HCHC225、イソプロピルアルコール、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、テトラクロロジフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタンなどが挙げられる。有機溶媒は単量体の合計100重量部に対して、10〜2000重量部、例えば、50〜1000重量部の範囲で用いられる。
乳化重合では、重合開始剤および乳化剤の存在下で、単量体を水中に乳化させ、窒素置換後、50〜80℃の範囲で1〜10時間、撹拌して重合させる方法が採用される。重合開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーベンゾエート、1−ヒドロキシシクロヘキシルヒドロ過酸化物、3−カルボキシプロピオニル過酸化物、過酸化アセチル、アゾビスイソブチルアミジン−二塩酸塩、過酸化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの水溶性のものやアゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシピバレート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートなどの油溶性のものが用いられる。重合開始剤は単量体100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲で用いられる。
放置安定性の優れた重合体水分散液を得るためには、高圧ホモジナイザーや超音波ホモジナイザーのような強力な破砕エネルギーを付与できる乳化装置を用いて、単量体を水中に微粒子化して重合することが望ましい。また、乳化剤としてはアニオン性、カチオン性あるいはノニオン性の各種乳化剤を用いることができ、単量体100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲で用いられる。アニオン性および/またはノニオン性および/またはカチオン性の乳化剤を使用することが好ましい。単量体が完全に相溶しない場合は、これら単量体に充分に相溶させるような相溶化剤、例えば、水溶性有機溶媒や低分子量の単量体を添加することが好ましい。相溶化剤の添加により、乳化性および共重合性を向上させることが可能である。
水溶性有機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールなどが挙げられ、水100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。また、低分子量の単量体としては、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートなどが挙げられ、単量体の総量100重量部に対して、1〜50重量部、例えば10〜40重量部の範囲で用いてよい。
重合においては、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤の使用量に応じて、重合体の分子量を変化させることができる。連鎖移動剤の例は、ラウリルメルカプタン、チオグリコール、チオグリセロールなどのメルカプタン基含有化合物(特に、(例えば炭素数1〜30の)アルキルメルカプタン)、次亜リン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムなどの無機塩などである。連鎖移動剤の使用量は、単量体の総量100重量部に対して、0.01〜10重量部、例えば0.1〜5重量部の範囲で用いてよい。
撥水剤組成物は、溶液、エマルション(特に、水性分散液)またはエアゾールの形態であってよいが、溶液または水性分散液であることが好ましい。撥水剤組成物は、重合体(撥水剤組成物の活性成分)および媒体(特に、液状媒体、例えば、有機溶媒および/または水)を含んでなる。媒体の量は、例えば、撥水剤組成物に対して、5〜99.9重量%、特に10〜80重量%であってよい。
撥水剤組成物において、重合体の濃度は、0.01〜95重量%、例えば5〜50重量%であってよい。
撥水剤組成物は、外的処理剤(表面処理剤)または内的処理剤として使用できる。撥水剤組成物は、撥油剤、防汚剤、汚れ脱離剤、剥離剤または離型剤として使用できる。
撥水剤組成物は、外的処理剤である場合に、従来既知の方法により被処理物に適用することができる。通常、該撥水剤組成物を有機溶媒または水に分散して希釈して、浸漬塗布、スプレー塗布、泡塗布などのような既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥する方法が採られる。また、必要ならば、適当な架橋剤(例えば、ブロックイソシアネート)と共に適用し、キュアリングを行ってもよい。さらに、撥水剤組成物に、防虫剤、柔軟剤、抗菌剤、難燃剤、帯電防止剤、塗料定着剤、防シワ剤などを添加して併用することも可能である。基材と接触させる処理液における重合体の濃度は0.01〜10重量%(特に、浸漬塗布の場合)、例えば0.05〜10重量%であってよい。
処理剤組成物(撥水剤組成物)で処理される被処理物としては、繊維製品、石材、フィルター(例えば、静電フィルター)、防塵マスク、燃料電池の部品(例えば、ガス拡散電極およびガス拡散支持体)、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラスチック、塗面、およびプラスターなどを挙げることができる。繊維製品としては種々の例を挙げることができる。例えば、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなどの合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アスベスト繊維などの無機繊維、あるいはこれらの混合繊維が挙げられる。
繊維製品は、繊維、布等の形態のいずれであってもよい。
撥水剤組成物は、防汚剤、剥離剤、離型剤(例えば、内部離型剤あるいは外部離型剤)としても使用できる。例えば、基材の表面を、他の表面(該基材における他の表面、あるいは他の基材における表面)から容易に剥離することができる。
重合体は、繊維製品を液体で処理するために知られている方法のいずれかによって繊維状基材(例えば、繊維製品など)に適用することができる。繊維製品が布であるときには、布を溶液に浸してよく、あるいは、布に溶液を付着または噴霧してよい。処理された繊維製品は、撥水性を発現させるために、乾燥され、好ましくは、例えば、100℃〜200℃で加熱される。
あるいは、重合体はクリーニング法によって繊維製品に適用してよく、例えば、洗濯適用またはドライクリーニング法などにおいて繊維製品に適用してよい。
処理される繊維製品は、典型的には、布であり、これには、織物、編物および不織布、衣料品形態の布およびカーペットが含まれるが、繊維または糸または中間繊維製品(例えば、スライバーまたは粗糸など)であってもよい。繊維製品材料は、天然繊維(例えば、綿または羊毛など)、化学繊維(例えば、ビスコースレーヨンまたはレオセルなど)、または、合成繊維(例えば、ポリエステル、ポリアミドまたはアクリル繊維など)であってよく、あるいは、繊維の混合物(例えば、天然繊維および合成繊維の混合物など)であってよい。
あるいは、繊維状基材は皮革であってよい。重合体を、皮革を疎水性および疎油性にするために、皮革加工の様々な段階で、例えば、皮革の湿潤加工の期間中に、または、皮革の仕上げの期間中に、水溶液または水性乳化物から皮革に適用してよい。
あるいは、繊維状基材は紙であってもよい。重合体を、予め形成した紙に適用してよく、または、製紙の様々な段階で、例えば、紙の乾燥期間中に適用してもよい。
「処理」とは、処理剤を、浸漬、噴霧、塗布などにより被処理物に適用することを意味する。処理により、処理剤の有効成分である重合体が被処理物の内部に浸透するおよび/または被処理物の表面に付着する。
撥水剤組成物は、内的処理剤である場合に、樹脂、例えば熱可塑性樹脂に添加することによって、樹脂に撥水性を付与できる。樹脂の成形体を製造するときに、撥水剤組成物を使用できる。
重合体を含む液(溶液または分散液)から液状媒体を除去し、重合体を得る。例えば、重合体の分散液(水性分散液または有機溶媒分散液)を水または有機溶媒で再沈した後、乾燥することによって、重合体を得ることができる。
例えば、樹脂と重合体を混合して樹脂組成物を得る工程、および樹脂組成物を成形する工程を有する製造方法によって成形体を製造できる。押出機等を用いて溶融混練することにより成形体を製造することが好ましい。
一般に、熱可塑性樹脂と重合体とは、溶融状態において相溶性である。混練は、例えば一軸押出機、二軸押出機、ロール等、従来公知の方法にて行うことができる。こうして得られた樹脂組成物を、押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロー成形、プレス等によって成形する。樹脂組成物は、種々の形状の成形体に成形される。得られた成形体は、成形加工後さらにオーブン、乾燥炉等で加熱処理を施してもよい。成形品は単層であってもよく、2層〜10層、例えば3層〜5層の複層であってよい。
成形体は、熱可塑性樹脂が使用される用途、特に、汚れに対して優れたふき取り容易性と優れた耐傷つき性を有することが好ましい用途に使用できる。成形体の用途は、自動車(外装部品および内装部品)(例えば、バンパー、インスツルメンタルパネル、ドアトリム)、家庭電気製品(例えば、洗濯機および冷蔵庫)(例えば、筐体、冷蔵庫内の扉、トレイ、野菜室容器)、各種ケース類、建築物(内装および部品)(例えば、手すり、壁紙、机、椅子、便座及び便座力バー、浴槽)、電子機器(例えば、スマートフォンの筐体)、排水溝、パイプ、食器、床材、ガソリンタンク、燃料ホース、OA機器などである。中でも、自動車の内装部品、家庭電化製品の内装部品、建築物が更に好ましい。
以下、実施例を挙げて本開示を詳しく説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下において、部または%または比は、特記しない限り、重量部または重量%または重量比を表す。
試験の手順は次のとおりである。
スプレー撥水性試験
JIS−L−1092(AATCC−22)のスプレー法に準じて布の撥水性を評価した。下記表1に示されるように撥水性No.によって表す。点数が大きいほど撥水性が良好なことを示し、状態によっては中間値(95、85、75)をつける。
Figure 2021014482
ブンデスマン撥水性試験
JIS−L−1092(C)法に記載のブンデスマン試験にしたがって、降雨量を80cc/分、降雨水温を20℃、降雨時間を10分とする条件で降雨させ、撥水性を評価した。評価方法はスプレー撥水性試験と同様に表1に示されるように撥水性No.によって表す。
上記試験において、数値または記号に「+」(または「−」)を付けている場合、その数値または記号の評価よりもわずかに良い(または悪い)ことを示す。
以下において、略号の意味は次のとおりである。
C18SAm: CH=CHC(=O)OCNHSO1837
StA: ステアリルアクリレート
N−MAM: N−メチロールアクリルアミド
VCM: 塩化ビニル
AIBN: アゾビスイソブチロニトリル
LSH: ラウリルメルカプタン
合成例1
CH=CHC(=O)OCNHSO1837(C18SAm)の合成:
500mlフラスコ内に8.9gの2−アミノエタノール、2.8gのトリエチルアミンの入ったクロロホルム溶液を調製し、氷浴しながら1―オクタデカンスルホニルクロリド10.0gのクロロホルム溶液を滴下した。1時間室温で撹拌した後、反応液をエバポレートし、酢酸エチル:クロロホルム=1:1でシリカゲルショートパスカラムにより中間体を得た。
500mlフラスコへ中間体12.8gと溶媒THF100mlを入れ、撹拌を開始した。12.3gのトリエチルアミンと5.5gのアクリロイルクロリドと重合禁止剤のt-ブチルカテコールを静かに加え0 ℃で約2時間撹拌した。原料の消失が認められたら水を加えて反応を止めた。反応溶液にクロロホルムを入れて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させた後、濾過し、その濾液をエバポレートし、粗生成物を得た。ヘキサン:酢酸エチル=8:2でシリカカラムによる分離を行い、C18SAmを得た。
実施例1(溶剤系、ホモポリマー)
100mL反応フラスコにCH=CHC(=O)OCNHSO1837(C18SAm)を9.8g入れ、トルエン26.0gに溶解させた後、反応フラスコ内を窒素置換後、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.26gを添加し、80℃で4時間反応させ、重合体を得た。重合体をメタノールで再沈殿して固体を得た後、1.5%固形分となるようにトルエンで希釈して処理液(100g)を調製した。この処理液にポリエステル布(グレー)、ナイロン布(ブラック)、綿(ホワイト)を浸せきした後、170℃で3分間、オーブンで加熱処理した。その後、処理布をシャワー撥水性試験とブンデスマン撥水性試験に付した。結果を表2に示す。
実施例2(溶剤系、StAと共重合)
表2に示す組成で、実施例1と同様の方法で重合を実施し、重合後再沈殿した後に1.5%固形分となるようにトルエンで希釈して処理液(100g)を調製した。重合体は、仕込み単量体と同様の組成比を有した。実施例1と同様の方法で処理液に布を浸し、撥水性試験を行った。結果を表2に示す。
比較例1(溶剤系、StAのみ)
表2に示す組成で、実施例1と同様の方法で重合を実施し、重合後再沈殿した後に1.5%固形分となるようにトルエンで希釈して処理液(100g)を調製した。重合体は、仕込み単量体と同様の組成比を有した。実施例1と同様の方法で処理液に布を浸し、撥水性試験を行った。結果を表2に示す。
実施例3(水系、塩ビ共重合)
500mlのポリ容器にトリプロピレングリコール10g、C18SAm10g、N−メチロールアクリルアミド0.5g、純水60g、ジメチルオクタデシルアンモニウムクロライド0.3g、ポリオキシエチレントリデシルエーテル1.0g、ポリオキシエチレンラウリルエーテル1.0gを仕込み、80℃に加熱し、ホモミキサーで1分、2000rpmで攪拌した後、超音波で15分間、乳化分散させた。乳化分散物を窒素導入管、温度計、攪拌棒、還流管を備えた500ccの四つ口フラスコに移し、窒素置換後、ラウリルメルカプタン0.1gを仕込み攪拌後、更に2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)2塩酸塩0.6gを添加し、60℃で昇温し、4時間、反応させて重合体の水性分散液を得た。重合体は、仕込み単量体と同様の組成比を有した。その後、純水を追加し、固形分濃度が20%の水分散体を調製した。さらに水道水で希釈して、固形分濃度1.5%の処理液を調製した。この処理液にポリエステル布(グレー)、ナイロン布(ブラック)、綿(ホワイト)を浸せきした後、マングルで絞った。この処理布を170℃で1分間、ピンテンターに通し、乾燥、キュアリングした。その後、処理布をJIS L−1092のスプレー法による撥水性試験で撥水性を評価した。撥水性の結果を表2に示す。
実施例4〜6および比較例2〜3
表2に示す組成で、実施例3と同様の方法で重合を実施し、重合後純水を追加し、固形分濃度が20%の水分散体を調製した。重合体は、仕込み単量体と同様の組成比を有した。さらに水道水で希釈して、固形分濃度1.5%の処理液を調製した。実施例3と同様の方法で処理液に布を浸し、撥水性試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2021014482
Figure 2021014482
撥水性重合体は、外的処理剤(表面処理剤)または内的処理剤の有効成分として使用できる。撥水性重合体を含む撥水剤組成物は、繊維製品およびメーソンリーなどの基材に対して好適に使用でき、基材に優れた撥水性を付与する。特に、通常の撥水撥油剤では撥水性を与えにくい綿に対して優れた撥水性が得られる。

Claims (14)

  1. (a)炭素数7〜30の長鎖アルキル基およびスルホンアミド基を有するアクリル単量体
    から誘導された繰り返し単位を有し、フッ素原子を含有しない撥水性重合体。
  2. スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)は、式:
    CH=CA−C(=O)−O−R−A−R
    [式中、
    は、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
    は、−NH−SO−または−SO−NH−であり、
    は炭素数1〜5の炭化水素基であり、
    は炭素数7〜30の炭化水素基である。]
    で示される化合物である請求項1に記載の撥水性重合体。
  3. スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)の量が撥水性重合体に対して2〜100重量%である請求項1または2に記載の撥水性重合体。
  4. 撥水性重合体が、さらにスルホンアミド基含有アクリル単量体(a)以外の重合性単量体から誘導された繰り返し単位を有し、
    単量体(a)以外の重合性単量体が、式:
    CH=CX−T
    [式中、Xは、水素原子、メチル基、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子であり、
    Tは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜40の鎖状または環状の炭化水素基、またはエステル結合を有する鎖状または環状の炭素数2〜41の有機基である。]
    で示される化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の撥水性重合体。
  5. スルホンアミド基含有アクリル単量体(a)以外の重合性単量体が、
    (b)(メタ)アクリレートエステル単量体、
    (c)非フッ素架橋性単量体、および
    (d)ハロゲン化オレフィン
    からなる群から選択された少なくとも1種である請求項4に記載の撥水性重合体。
  6. (メタ)アクリレートエステル単量体(b)が、
    (b1)脂肪族炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体、
    および
    (b2)環状炭化水素基を有する(メタ)アクリレートエステル単量体
    からなる群から選択された少なくとも1種である請求項5に記載の撥水性重合体。
  7. 非フッ素架橋性単量体(c)が、少なくとも2つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、あるいは少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合および少なくとも1つの反応性基を有する化合物である請求項5に記載の撥水性重合体。
  8. ハロゲン化オレフィン単量体(d)が塩化ビニルおよび塩化ビニリデンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項5に記載の撥水性重合体。
  9. 撥水性重合体において、繰り返し単位(a)100重量部に対して、繰り返し単位(b)の量が0〜200重量部であり、繰り返し単位(c)の量が0〜50重量部であり、繰り返し単位(d)の量が0〜100重量部である請求項5〜8のいずれかに記載の撥水性重合体。
  10. (1)請求項1〜9のいずれかに記載の撥水性重合体、および
    (2)液状媒体
    を含む撥水剤組成物。
  11. 液状媒体(2)が、水、有機溶媒または水と有機溶媒の混合物である請求項10に記載の撥水剤組成物。
  12. 外的処理剤または内的処理剤である請求項10または11に記載の撥水剤組成物。
  13. 請求項10〜12のいずれかに記載の撥水剤組成物を基材に適用して、撥水性重合体を基材に付着させることからなる、基材を処理する方法。
  14. 請求項1〜9のいずれかに記載の撥水性重合体が付着した繊維製品。
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