JP3586632B2 - 炊飯器の蓋開閉機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯器の蓋開閉機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、炊飯器の蓋開閉機構は、炊飯器本体の後方上部に設けた支軸に蓋体を回動自在に取り付けた構成となっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記構成では、蓋体の開放時、全高が高くなるので、設置場所が制限される。一方、全高を抑えるために、蓋体の開度を水平面に対して90度以下としたのでは、米飯の取り出しや内鍋の着脱時に邪魔になる。
【0004】
また、蓋体の内面に設けたパッキンが内鍋の上方開口内縁に密着しているため、炊飯器本体に対して蓋体を水平方向にスライドさせる構成を採用して蓋体開放時の全高を抑えようとしても、簡単には採用不可能である。
【0005】
そこで、本発明は、蓋体開放時の全高を抑えつつ、開放初期の回動もスムーズに行わせることができ、しかも全開可能な炊飯器の蓋開閉機構を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するための手段として、炊飯器本体に開閉自在に設けた蓋体により、前記炊飯器本体内に収容した内鍋の上方開口部を開閉する炊飯器の蓋開閉機構において、
前記蓋体を、開放初期には、炊飯器本体の後方上部に設けた第1支軸を回動中心として回動させる一方、開放途中で、前記第1支軸よりも下方に設けた第2支軸に回動中心を変更して炊飯器本体の後方に回動させるようにしたものである。
【0007】
この構成により、前記内鍋の上方開口内縁に蓋体の内面に設けたパッキンが係合した状態から、従来同様、蓋体を第1支軸を中心として回動させることにより、スムーズに開放させることができる。そして、蓋体は、第1支軸を中心とする開放途中で、回動中心が第1支軸よりも下方の第2支軸に変換されるので、蓋体の軌跡が変更され、開放途中での全高を低く抑えることが可能となる。また、蓋体は、炊飯器本体の側方に回動するので、全開可能となり、米飯の取り出しや内鍋の着脱時、邪魔になることはない。
【0008】
また、本発明は、前記課題を解決するための手段として、炊飯器本体に開閉自在に設けた蓋体により、前記炊飯器本体内に収容した内鍋の上方開口部を開閉する炊飯器の蓋開閉機構において、
前記蓋体を、炊飯器本体の側面に上下動可能に設けた支軸を中心として回動自在とすることにより、開放初期で、一旦内鍋の上方に移動させた後、炊飯器本体の後方に回動させるようにしたものである。
【0009】
この構成により、前記内鍋の上方開口内縁に蓋体の内面に設けたパッキンが係合した状態から、蓋体を上動させることにより、この係合状態を簡単に解除することができる。そして、蓋体を炊飯器本体の側面に設けた支軸を中心として回動させることにより、開放途中での全高を低く抑えることが可能となる。また、蓋体は、炊飯器本体の側方に回動するので、全開可能となり、米飯の取り出しや内鍋の着脱時、邪魔になることはない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施形態を添付図面に従って説明する。
(第1実施形態)
図1ないし図4は、第1実施形態に係る炊飯器を示す。この炊飯器では、炊飯器本体1内に取り出し自在に収容された内鍋2を、炊飯器本体1に設けられ、開放途中で回動中心を変更される蓋体3により開閉するようになっている。
【0011】
蓋体3は、ある開度まで炊飯器本体1の後方上部に位置する第1支軸4を中心として回動自在に設けられている。第1支軸4には第1スプリング5が巻回されている。第1スプリング5の一端部は、後述するアーム8の係止凹部11に係止され、他端部は蓋体3の係止受部(図示せず)に係止されている。これにより、蓋体3は第1支軸4を中心として開放方向に付勢される。また、蓋体3は、図示しないフックが炊飯器本体1に係止することにより、前記第1スプリング5の付勢力に抗して閉塞状態に維持される。蓋体3の内面外周部には環状のパッキン6が突設されている。パッキン6は、閉塞状態で、炊飯器本体1に収容した内鍋2の上方開口内縁に圧接し、内鍋2内を封止状態とする。
【0012】
炊飯器本体1には、両側面下方の各第2支軸7を中心として一対のアーム8が回動自在に設けられている。各アーム8の先端には、前記第1支軸4の両端部がそれぞれ回転自在に連結されている。また、各第2支軸7には第2スプリング9が巻回されている。第2スプリング9の一端部は、炊飯器本体1に設けた係止片10に係止され、他端部はアーム8に圧接している。これにより、アーム8は、図1中、第2支軸7を中心として反時計回り方向に付勢され、第1支軸4を炊飯器本体1の後方上部に位置決めする。
【0013】
前記アーム8の先端には、前記第1支軸4の近傍に、係止凹部11、ストッパ面12、及びストッパ部13がそれぞれ形成されている。係止凹部11には、前記第1スプリング5の一端部が係止されている。ストッパ面12は、蓋体3を第1支軸4を中心として回動させてパッキン6が内鍋2から離脱する中間開放位置(図3)で、蓋体3の押圧面3aに押圧される。したがって、これ以降、蓋体3及びアーム8は第2支軸7を中心として一体的に回動する。つまり、蓋体3は開放途中で回動中心を第1支軸4から第2支軸7に変換されることになる。前記ストッパ部13は、ゴム等を半球状に形成したもので、炊飯器本体1の背面上下にそれぞれ当接する。このため、炊飯器本体1の背面は、蓋体3の開閉動作に伴って第1支軸4と共に回動するストッパ部13の軌跡にほぼ沿う形状に形成されている。そして、蓋体3が全開位置まで回動すると、ストッパ部13が炊飯器本体1の背面下部に当接してそれ以上の回動を阻止する。
【0014】
次に、前記炊飯器に於ける蓋体3の開閉動作について説明する。
蓋体3により内鍋2の上方開口部を閉塞した状態では、第1支軸4が炊飯器本体1の後方上部に位置しており、蓋体3のフックが炊飯器本体1の係止受部(図示せず)に係止している。また、パッキン6が内鍋2の上方開口内縁に圧接し、内鍋2内は封止されている。
【0015】
この状態から、前記フックの係止を解除すると、第1スプリング5の付勢力により、蓋体3は従来の炊飯器とほぼ同じ位置にある第1支軸4を中心として図1中時計回り方向に回動する。したがって、内鍋2からパッキン6を無理なく適切に離脱させることができる。
【0016】
内鍋2からパッキン6が離脱して蓋体3が図3に示す中間開放位置に到達すると、蓋体3の押圧面3aがアーム8のストッパ面12に圧接する。このため、蓋体3は図4に示すようにアーム8と共に第2支軸7を中心として一体的に回動する。すなわち、蓋体3の開放途中で、回動中心が下方側に変換されるので、蓋体3の先端側(第1支軸とは反対側)の軌跡が、第1支軸4のみを中心として回動させる場合の軌跡から外れ、低く変位することになる。この結果、炊飯器の全高が抑えられ、上下方向に十分に余裕のない場所に設置することが可能となる。また、蓋体3が中間開放位置(図3)から全開位置(図4)に至るまでは、中間開放位置に到達したときの慣性力と、蓋体3及びアーム8の自重とにより、蓋体3が第2スプリング9の付勢力に抗して回動を続け、スムーズに後方へと開放して行く。さらに、蓋体3は、炊飯器本体1の側方(背面側)にほぼ垂直となる位置まで回動した時点で、ストッパ部13が炊飯器本体1の背面下部に当接することにより、それ以上の回動を阻止される。この状態では、内鍋2の上方には蓋体3が位置しないため、米飯の取り出しや内鍋2の着脱を簡単に行うことが可能である。また、蓋体3を閉じるときは、蓋体3を持って上方及び前方に向かって力を付与することにより、第2スプリング9の付勢力に助けられながらスムーズに中間開放位置まで回動させることができる。その後、第1スプリング5の付勢力に抗して押し下げると、フックが炊飯器本体1の係止受部に係止され、全閉状態となる。
【0017】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態に係る炊飯器を示す。この炊飯器では、蓋体3の両側中央部にアーム14が一体化されている。アーム14の先端部には支軸14aが設けられている。支軸14aは炊飯器本体1の両側面下部に形成した上下方向に延びるガイド溝15に沿って上下動すると共に、ガイド溝15の上端部で回転自在となっている。また、支軸14aは、図示しないスプリングにより、上方及び反時計回り方向に付勢されると共に、図示しないロック機構によりガイド溝15の下端部に位置決め可能となっている。ロック機構としては、例えば、図5に点線で示すように、炊飯器本体1の前面に設けたボタン16を押込操作することにより、リンク17を回動させ、その先端をアーム8の先端に形成した係止爪18から離脱させるようにした構造が採用可能である。
【0018】
次に、前記構成の炊飯器に於ける蓋体3の開閉動作について説明する。
蓋体3により内鍋2を閉塞した状態では、支軸14aがガイド溝15の下端部に位置し、係止爪18にリンク17の先端が係止することにより上動を阻止される。これにより、蓋体3に設けたパッキン6が内鍋2の上方開口内縁に圧接して内部を封止する。
【0019】
ここで、ボタン16を押し込むと、図6に示すように、リンク17による係止が解除され、図示しないスプリングの付勢力により、支軸14aがガイド溝15をその上端部まで移動する。これにより、蓋体3は、一旦パッキン6が内鍋2から離脱する中間開放位置まで上動する。支軸14aがガイド溝15の上端部まで移動すると、図示しないスプリングの回転方向に作用する付勢力により蓋体3は炊飯器本体1の背面側に向かって回動する。この場合、図7に示すように、蓋体3の回動中心は、ガイド溝15の上端部に位置する支軸14aであり、炊飯器本体1の約半分の高さの位置である。しかも、この位置は、炊飯器本体1の前後方向中央部である。したがって、蓋体3の軌跡は、従来の炊飯器に比べて低く抑えられ、前記第1実施形態に係る炊飯器と同様、上下方向に十分に余裕のない場所に設置することができると共に、蓋体3を全開させて米飯の取り出しや内鍋2の着脱を簡単に行うことが可能となる。なお、蓋体3を閉める場合には、上方及び前方に向かって力を付与することにより、図6に示すように、蓋体3を炊飯器本体1の上方に移動させた後、下方に向かって押し込めばよい。
【0020】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、蓋体を、開放途中で回動中心を下方に変更する構成としたり、一旦上動した後、炊飯器本体の側面に設けた支軸を中心として回動する構成としたので、蓋体の開放初期でのスムーズな動作を確保しつつ、蓋体開放時の全高を抑えることができる。また、蓋体は、炊飯器本体の側方まで回動するので、全開でき、米飯の取り出しや内鍋の着脱を障害物なくスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る炊飯器の概略図である。
【図2】図1の部分破断平面図である。
【図3】図1から中間開放位置まで回動した状態を示す概略図である。
【図4】図3から全開位置まで回動した状態を示す概略図である。
【図5】他の実施形態に係る炊飯器の概略図である。
【図6】図5から中間開放位置まで上動した状態を示す概略図である。
【図7】図6から全開位置まで回動した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
1…炊飯器本体
2…内鍋
3…蓋体
4…第1支軸
5…第1スプリング
6…パッキン
7…第2支軸
8…アーム
9…第2スプリング
12…ストッパ面
13…ストッパ部

Claims (2)

  1. 炊飯器本体に開閉自在に設けた蓋体により、前記炊飯器本体内に収容した内鍋の上方開口部を開閉する炊飯器の蓋開閉機構において、
    前記蓋体を、開放初期には、炊飯器本体の後方上部に設けた第1支軸を回動中心として回動させる一方、開放途中で、前記第1支軸よりも下方に設けた第2支軸に回動中心を変更して炊飯器本体の後方に回動させるようにしたことを特徴とする炊飯器の蓋開閉機構。
  2. 炊飯器本体に開閉自在に設けた蓋体により、前記炊飯器本体内に収容した内鍋の上方開口部を開閉する炊飯器の蓋開閉機構において、
    前記蓋体を、炊飯器本体の側面に上下動可能に設けた支軸を中心として回動自在とすることにより、開放初期で、一旦内鍋の上方に移動させた後、炊飯器本体の後方に回動させるようにしたことを特徴とする炊飯器の蓋開閉機構。
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