JP3586444B2 - 住宅用制振装置の設置システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主振動系たる住宅に対する副振動系として作用する制振装置、特に複数の分割マスをそれぞれゴムマウントで弾性支持した分割マス型ダイナミックダンパを住宅に設置するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般住宅等の建築構造物では、交通振動、工場振動などの地盤から伝わる外力、風などの構造物に直接加わる外力、あるいは構造物内部の人の移動、設備機器の稼動による外力などによって構造物に振動が発生し、時には体感するに至り、不快感を感じるという問題が発生している。また、この振動に伴う不快音も問題となっている。
【0003】
従来、建築構造物用の振動低減装置としては、高層ビルやタワー等の高層建築物の揺れを軽減するためのダンパ装置が幾つか提案されている。例えば、特開平3−74649号公報や特開平8−338467号公報には、付加質量を建築構造物に対して多段積層ゴムで弾性支持せしめた構造のダンパ装置が開示されている。これらのダンパ装置は、水平方向で一つの副振動系を構成することにより、建築構造物に引き起される水平方向の振動に対して低減効果を発揮するようになっている。
【0004】
しかし、これら従来のダンパ装置においては、特にダンパ装置のバネ部材がゴム弾性体で形成されている場合、バネ定数が温度依存性を有するために有効な振動低減効果が得られないという問題があった。例えば、一般住宅で屋根裏にダンパ装置を設置すると、屋根裏の温度は零下数十度から60〜70℃もの間で大きく変化するため、ダンパ装置の固有振動数を基準温度(例えば20℃)でチューニングしても、目的とする制振効果を安定して得ることは望めなかった。
【0005】
このような問題に対して、特開2000−193020号公報には、温度変化等に起因して副振動系の主振動系に対する同調状態が変化した場合でも、安定した制振効果を得ることができる振動低減装置が提案されている。即ち、建築構造物の制振すべき振動に応じた最適質量を分割した複数の分割マスを採用し、各分割マスをそれぞれゴムマウントで弾性支持せしめて複数の副振動系を構成し、複数の副振動系に対して異なる固有振動数を設定するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の各分割マスをそれぞれゴムマウントで弾性支持して複数の副振動系を構成した振動低減装置によれば、複数の副振動系に対して異なる固有振動数が設定されているため、制振すべき振動だけでなく、広い周波数にわたって振動低減効果が得られる。従って、ゴムマウントのばらつき、温度変化、バネ定数の経年変化、及び建築構造物の固有値のばらつきに起因して、チューニングのずれが発生した場合であっても、全体として良好な制振効果を維持することが可能とされている。
【0007】
しかしながら、このような従来の振動低減装置を住宅に設置する場合には、一般的に個々の住宅毎に卓越振動数が異なっているため、制振すべき住宅の卓越振動数を実際に測定した後、その住宅に設置する分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数を建築現場でそれぞれ最適にチューニングして設置する必要があった。
【0008】
そのため、個々の住宅に対して分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数を建築現場で設定するための時間が長くかかり、人件費の増加も大きいなど、個別対応のために生産性が著しく劣っていた。また、住宅の共振による卓越振動数が複数個あった場合には、個別対応が難しくなり生産性が一層低下していた。
【0009】
本発明は、このような従来の事情に鑑み、個々の住宅毎に建築現場で複数の分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数をチューニングする等の個別対応をなくして、生産性を顕著に向上させることができる、複数の分割マスからなる住宅用制振装置の設置方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明が提供する住宅用制振装置の設置方法は、主振動系たる住宅に対する副振動系として、複数の分割マスをそれぞれ弾性支持した分割マス型ダイナミックダンパを設置する住宅用制振装置の設置方法であって、
住宅の固有振動数について予め2〜8Hzの範囲内で複数の住宅振動数領域をX−Y2振動方向にて分画設定し、その住宅振動数領域毎に分割マスの数が2〜8個で、固有振動数が0.1〜0.8Hzの範囲内の一定のピッチ幅で順に増加又は減少するように設定された分割マス型ダイナミックダンパを規格化しておき、次に、個々の住宅に分割マス型ダイナミックダンパを設置する際に、住宅で実測され又は住宅の構造から予測される住宅固有振動数を求め、当該住宅の住宅固有振動数が含まれる住宅振動数領域内の規格化された分割マス型ダイナミックダンパを選択して、住宅に設置することを特徴とする。この本発明の住宅用制振装置の設置方法では、特に、前記住宅振動数領域毎に、それぞれ1種の分割マス型ダイナミックダンパが規格化されることが好ましい。
【0011】
また、上記本発明の住宅用制振装置の設置方法においては、前記住宅振動数領域を更に住宅のX−Y2振動方向にて分画した4〜9の領域に設定すると共に、その分画した各住宅振動数領域内において、分割マスの数を少なくして分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅が大きくなるように、又は分割マスの数を多くして分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅が小さくなるように、分割マス型ダイナミックダンパを規格化することを特徴とする。
【0012】
上記本発明における住宅用制振装置の設置方法においては、その好ましい態様として、前記住宅振動数領域毎に規格化された1種の分割マス型ダイナミックダンパの合計マス重量が400〜800kgの範囲内である。また、前記分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を、低周波数側では狭く及び/又は高周波数側では広く設定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明においては、防振すべき2階建や3階建の住宅の交通振動などによる微振動の固有振動数が2〜8Hzの範囲内にあることから、この範囲内で複数の住宅振動数領域を分画して設定し、設定した住宅振動数領域毎に分割マス型ダイナミックダンパを予め規格化し、規格化された分割マス型ダイナミックダンパ群を予め用意しておく。尚、各分割マス型ダイナミックダンパは、それぞれ所定のマス重量を有する分割マスと、この分割マスを弾性支持する所定のバネ定数を有するゴムマウント等の弾性支持要素とからなり、予め定められた固有振動数に調整(チューニング)されている。
【0014】
分割マスについては、一般の2階建や3階建の住宅について予め複数の重量区分を定め、それぞれの重量区分毎に分割マスを準備する。その際、複数の分割マスを組み合わせたときの合計マス重量を、400〜800kgの範囲内とすることが好ましい。また、1個の分割マスを弾性支持する1個又は複数のゴムマウント等の弾性支持要素についても、予め複数のバネ定数区分を定め、それぞれのバネ定数区分毎にゴムマウント等の弾性支持要素を製造する。
【0015】
これらの分割マスとゴムマウント等の弾性支持要素とを組み合わせ、2〜8Hzの範囲内で予め定められた住宅振動数領域毎に、設定され規格化された分割マス型ダイナミックダンパを製造して用意する。各規格化された分割マス型ダイナミックダンパにおいては、分割マスの数が2〜8個であり、それぞれのダンパの固有振動数が0.1〜0.8Hzの範囲内の所定ピッチ幅で順に増加又は減少するように設定される。例えば、分割マス型ダイナミックダンパについて、固有振動数が最少の2Hzから最大の8Hzまでの間に、0.1Hz、0.2Hz、0.3Hz、0.4Hz、0.5Hz、0.6Hz、0.7Hz、0.8Hzから選択した所定ピッチ幅で固有振動数が増加又は減少するように設定する。
【0016】
本発明における規格化された分割マス型ダイナミックダンパ中の各分割マスへの質量の分割は、均等な分割であっても又は不均等な分割であっても良い。また、各分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅は、基本的には等しい間隔とするが、不均等な間隔であっても良い。また、低周波数域と高周波数域では振動ないしは揺れの体感性が異なっており、低周波数域では敏感に振動を体感するのに対して、高周波数域では低周波数域ほど敏感に体感しないため、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を低周波数側では狭く、及び/又は高周波数側では広く設定することにより、体感的な制振効果をより一層高めることができる。
【0017】
次に、これらの分割マス型ダイナミックダンパを住宅に設置する際には、予め住宅で実測され又は住宅の構造から予測される固有振動数を求め、次に、予め分画設定した複数の住宅振動数領域の中から当該住宅の固有振動数を含む住宅振動数領域を求め、その住宅振動数領域に設定され規格化された分割マス型ダイナミックダンパの中から最適のものを選択する。特に、予め住宅振動数領域毎にそれぞれ1種の分割マス型ダイナミックダンパを規格化しておき、設置すべき住宅により住宅振動数領域を選定して、その1種の分割マス型ダイナミックダンパを用いることが好ましい。
【0018】
このように選択した分割マス型ダイナミックダンパを、例えば住宅の屋根裏に設置する。従って、本発明のシステムによれば、個々の住宅毎に、複数の分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数値を建築現場でチューニングするなどの個別対応をする必要がなくなり、規格化され且つ工業的に量産された分割マス型ダイナミックダンパ群を用意しておき、その中から選択した分割マス型ダイナミックダンパを用いることで、生産性を顕著に向上させることができる。
【0019】
しかも、一つの住宅に2〜8個からなる分割マス型ダイナミックダンパを設置し、且つ分割マス型ダイナミックダンパの個々の固有振動数を0.1〜0.8Hzの範囲内のピッチ幅で順に増加又は減少するように設定することにより、住宅の固有振動数変化やゴムマウント等の弾性支持要素のバネ定数変化に対するロバスト性が改善され、例えばゴムマウント等の弾性支持要素のばらつき、温度変化及びバネ定数の経年変化に起因するバネ定数のずれや、住宅の固有振動数のばらつきによるチューニングのずれ、及び住宅の卓越振動数が複数個あった場合でも広い範囲での対応が可能である。また、一般の住宅における2〜8Hzの固有振動数の範囲では、分割マス型ダイナミックダンパによる反共振を無くし又は低減することができるため、反共振に伴う別の振動や騒音の発生を防ぐことが可能である。
【0020】
以下、本発明に係わる分割マス型ダイナミックダンパの好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明例の規格化された分割マス型ダイナミックダンパ1を住宅に設置した状態を示すものであり、それぞれ住宅の構造部材2に独立して設置された4個の分割マス型ダイナミックダンパ1a、1b、1c、1dから構成されている。各分割マス型ダイナミックダンパ1a、1b、1c、1dは、それぞれ分割マス11a、11b、11c、11dを、各4個のゴムマウント12a、12b、12c、12dで弾性支持した構造となっている。
【0021】
因みに、一般的な軽量鉄骨や木造の軸組構造における2〜3階建ての住宅の場合、一般的に固有振動数は2〜8Hzの間にあり、その振動特性に対して安定した制振性能を発揮するためには、分割マス型ダイナミックダンパの各分割マスの合計マス重量として400〜800kg程度が適当である。
【0022】
尚、分割マスは、金属等の高比重材で形成されており、例えば鉄系や鉛系等で形成されたものが好適に採用される。分割マスの形状は特に限定されるものではないが、一般に板形状のものが好適に採用され、幅寸法よりも高さ寸法が小さく且つ高さが一定の板形状であって、平面的に複数の対象軸を有する形状が望ましい。また、分割マスとして、安価なコンクリート材を用いることもできる。
【0023】
また、これら各分割マスを弾性支持するゴムマウントは、多段積層形のゴムマウントが好ましい。具体的には、図2及び図3に示すように、多段積層形のゴムマウント12は、上下方向に積層された複数の板状金具13と、隣接する各板状金具13、13の間に加硫接着して固着された複数のゴムブロック14とからなる。各平板金具13は中央の平板部13aを挟んだ長手方向両端が斜め上方に傾斜して形成され、この傾斜部13bに対して各ゴムブロック14がほぼ直交方向に固着されている。
【0024】
最上段の平板金具15には上方に突出した第1取付ボルト17が設けてあり、平板金具15の上に載置した分割マス部材(図示せず)を固定するようになっている。また、最下段の平板金具16には下方に突出する第2取付ボルト18が設けてあり、住宅の構造部材に固定できるようになっている。分割マス部材及び住宅の構造部材への固定方法については、取付ボルトに限るものではなく、固定できれば取付ボルトの代りに取付ナット又は取付穴を設けてもよい。
【0025】
次に、本発明において、住宅振動数領域毎に複数の分割マス型ダイナミックダンパを設定して規格化する手法について、詳しく説明する。まず、2階建て又は3階建て住宅の固有振動数は2〜8Hzが一般的であるが、3階建て住宅の固有振動数2〜5Hzを住宅のX−Y2振動方向にて分画し、4〜9の住宅振動数領域(領域幅1.0〜1.5Hzの範囲内となる)を設定する。例えば、固有振動数2〜5Hzを1.5Hzの領域幅で分画すると、X−Y2振動方向に合計4つの住宅振動領域が設定される。また、1.0Hzの領域幅で分画すると、X−Y2振動方向に合計9つの住宅振動領域が設定される。
【0026】
住宅振動数領域毎に複数の分割マス型ダイナミックダンパを規格化する場合、分割マスの数は2〜8個とし、各ダンパの固有振動数は0.1〜0.8Hzの範囲内のピッチ幅で順に増加又は減少するように設定する。その際、コストを重視して分割マスの数を少なくした場合、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を大きく設定することになる。一方、コストよりもロバスト性を重視する場合には、分割マスの数を多くし、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を小さくする必要がある。尚、2〜3階建ての住宅の振動特性に対して安定した制振性能を発揮する最適質量、即ち分割マス型ダイナミックダンパにおける各分割マスの合計マス重量は400〜800kgの範囲である。
【0027】
分割マス型ダイナミックダンパの好ましい規格の例としては、住宅振動数領域を1.5Hzの領域幅で4領域に分画設定すると共に、分割マス型ダイナミックダンパは、分割マスの数を8、及び固有振動数のピッチ幅を0.2Hzに設定する。この規格においては、分割マスの数が多いためコストは若干高くなるが、ロバスト性に優れている。逆に、ロバスト性は若干劣るが、コスト的に安価な例としては、住宅振動数領域を1.0Hzの領域幅で9領域に分画設定すると共に、分割マス型ダイナミックダンパは、分割マスの数を2、及び固有振動数のピッチ幅を0.8Hzに設定することが好ましい。最も好ましい例は、住宅振動数領域を1.5Hzの領域幅で4領域に分画設定すると共に、分割マス型ダイナミックダンパは、分割マスの数を4、及び固有振動数のピッチ幅を0.4〜0.6Hzに設定するものであり、コスト及びロバスト性の両方に優れている。
【0028】
具体的に、住宅の振動の大きさに応じた最適質量が500kg、且つ住宅の振動レベルに対して目標とする低減振動レベルを−5dB以上とした場合、その最適質量を2〜8分割して分割マスとし、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を0.05〜1Hzの範囲内で設定して、選択した複数の分割マス型ダイナミックダンパに関する各実施例及び比較例を下記表1に示す。尚、この表1においてΔ5dB幅とは、選択した分割マス型ダイナミックダンパ(TMD)の固有振動数が目標とする低減振動レベル(−5dB)を達成している振動数の幅を意味する。
【0029】
【表1】
Figure 0003586444
【0030】
上記表1の実施例2を例にとって更に詳しく説明すると、最適質量を2分割とし、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を0.8Hzに設定すると、表1よりΔ5dB幅における固有値変動量は1.13Hzであるので、住宅振動数領域の領域幅は約1.1Hzとなり、図4に示すように、X方向とY方向における振動数2〜5.3Hzの間の分画数は各3となり、住宅振動数領域として領域1〜9が設定され、分割マス型ダイナミックダンパ(TMD)群の仕様数は9となる。このとき、図4に示す各領域1〜9には、それぞれX方向及びY方向の固有振動数が異なる2種の分割マス型ダイナミックダンパが含まれ、例えば領域1にはX方向が2.2Hzと3.0Hz及びY方向が4.4Hzと5.2Hz、領域5にはX方向及びY方向が共に3.3Hzと4.1Hzの分割マス型ダイナミックダンパが含まれる。
【0031】
このようにして選定した規格に従って、複数の分割マスと、各分割マスを弾性支持するゴムマウントとを製造し、各住宅振動数領域毎に分割マス型ダイナミックダンパを用意する。その際に、分割マスのマス重量とゴムマウントのバネ定数を選定することにより、または分割マスを弾性支持する各ゴムマウントの角度を調整することによって、得られる分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数を予め規格化された値に調整する。
【0032】
上記のごとく規格化された中から分割マス型ダイナミックダンパを選択して住宅に設置する際には、設置すべき住宅の固有振動数を実測するか又は図面等から推測し、その振動数を含む住宅振動数領域の分割マス型ダイナミックダンパを使用する。例えば、ある住宅の固有振動数がX−Y方向共に3.6Hzと計算された場合には、図4の領域5(振動数3.6Hzを含む)で規格化されている分割マス型ダイナミックダンパを選定して住宅に設置すればよい。
【0033】
このようにして、上記表1の各実施例及び比較例について、それぞれ分割マス型ダイナミックダンパを選択して住宅に設置したとき、その分割マス型ダイナミックダンパの設計中心周波数と住宅の固有値(固有振動数)との誤差、即ち固有値変動量(住宅振動数領域の分割マス型ダイナミックダンパの設計中心周波数をゼロとする)と、振動レベルの低減量とを、それぞれ最適質量の分割数毎に図5〜7に示した。
【0034】
図5〜7から分かるように、本発明の実施例である各分割マス型ダイナミックダンパの場合には、住宅の振動レベルの低減効果が大きく、しかもΔ5dB幅が0.8Hzよりも大きいため、住宅の固有振動数変化やゴムマウントのバネ定数変化に対するロバスト性に優れている。しかも、規格化する分割マス型ダイナミックダンパの仕様数が少ないため、予め準備する規格品の数が少なくて済み、量産性及び経済性にも優れている。特に、前記実施例2、6、及び7は、ロバスト性を示すΔ5dB幅が1Hz以上であり、最適質量の分割数と住宅振動数領域での分画数(TMD仕様数)が少ないため、優れた実施例であるといえる。
【0035】
本発明で用いる分割マス型ダイナミックダンパは、予め規格化された製品を工場で製造しておき、その規格化された分割マス型ダイナミックダンパ群の中から住宅の固有振動数に応じて適宜選択して、そのまま住宅の天井裏などの構造部材に取り付けることができる。従って、個々の住宅の建築現場における分割マス型ダイナミックダンパのチューニング作業が全く不要となり、予め規格化され且つ工業的に量産された分割マス型ダイナミックダンパを極めて効率良く住宅に設置することができるので、生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0036】
しかも、分割マス型ダイナミックダンパは主振動系である住宅に対してそれぞれ独立した副振動系を構成し、交通振動や歩行時の振動などに対して有効な制振効果を発揮するのみならず、分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を0.1〜0.8Hzに調整することで反共振を無くしたり、広い振動数範囲で振動レベルの低減ができるので、住宅のような複数の振動数を持つ複雑な振動となるものに対しては有効となる。また、このような複数の分割マス型ダイナミックダンパを用いることで、住宅の建物の固有振動数変化やゴムマウントのバネ定数変化等に対するロバスト性が著しく改善されるため、10年に1回程度のメンテナンスを実施すれば半永久的に性能を維持することができる。尚、上記のゴムマウントによる弾性支持に限らず、ゲル状になったゴム又は樹脂をシート状にしたものや2枚の鉄板の中にそのシートを挟み込んだ複合体、コイルばね、板ばね等のばね要素を持っているものが採用できる。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、予め住宅の固有振動数領域毎に設定され規格化された分割マス型ダイナミックダンパ群を用意しておき、その分割マス型ダイナミックダンパ群の中から住宅に合わせて選択して設置することによって、個々の住宅毎にチューニングなどの個別対応をする必要がなくなり、生産性を顕著に向上させることができる。しかも、各分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を0.1〜0.8Hzの間に設定することによって、反共振を無くし又は低減することが可能なうえ、広い振動数範囲で振動レベルの低減ができるので、住宅のような複数の振動数を持つ複雑な振動となるものに対して有効となる。また、住宅の建物の固有振動数変化やゴムマウントのバネ定数変化等に対するロバスト性が改善され、少ないメンテナンス回数で半永久的に制振性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により住宅に設置した分割マス型ダイナミックダンパの一具体例を示す概略の平面図である。
【図2】本発明に係わる分割マス型ダイナミックダンパに用いるゴムマウントの一具体例を示す概略の側面図である。
【図3】図2のゴムマウントの一部を切り欠いて示した平面図である。
【図4】実施例2で設定された振動数の領域を示す説明図である。
【図5】最適質量を2分割し、固有振動数のピッチ幅が異なる各分割マス型ダイナミックダンパを設置した各実施例及び比較例において、固有値変動量と振動レベルの低減量との関係を示すグラフである。
【図6】最適質量を4分割し、固有振動数のピッチ幅が異なる各分割マス型ダイナミックダンパを設置した各実施例及び比較例において、固有値変動量と振動レベルの低減量との関係を示すグラフである。
【図7】最適質量を8分割し、固有振動数のピッチ幅が異なる各分割マス型ダイナミックダンパを設置した各実施例及び比較例において、固有値変動量と振動レベルの低減量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 規格化された分割マス型ダイナミックダンパ
1a、1b、1c、1d 分割マス型ダイナミックダンパ
11a、11b、11c、11d 分割マス
12、12a、12b、12c、12d ゴムマウント
13 板状金具
14 ゴムブロック

Claims (5)

  1. 主振動系たる住宅に対する副振動系として、複数の分割マスをそれぞれ弾性支持した分割マス型ダイナミックダンパを設置する住宅用制振装置の設置方法であって、
    住宅の固有振動数について予め2〜8Hzの範囲内で複数の住宅振動数領域をX−Y2振動方向にて分画設定し、その住宅振動数領域毎に分割マスの数が2〜8個で、固有振動数が0.1〜0.8Hzの範囲内の一定のピッチ幅で順に増加又は減少するように設定された分割マス型ダイナミックダンパを規格化しておき、次に、個々の住宅に分割マス型ダイナミックダンパを設置する際に、住宅で実測され又は住宅の構造から予測される住宅固有振動数を求め、当該住宅の住宅固有振動数が含まれる住宅振動数領域内の規格化された分割マス型ダイナミックダンパを選択して、住宅に設置することを特徴とする住宅用制振装置の設置方法
  2. 前記住宅振動数領域毎に、それぞれ1種の分割マス型ダイナミックダンパが規格化されることを特徴とする、請求項1に記載の住宅用制振装置の設置方法
  3. 前記住宅振動数領域を更に住宅のX−Y2振動方向にて分画した4〜9の領域に設定すると共に、その分画した各住宅振動数領域内において、分割マスの数を少なくして分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅が大きくなるように、又は分割マスの数を多くして分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅が小さくなるように、分割マス型ダイナミックダンパを規格化することを特徴とする、請求項1又は2に記載の住宅用制振装置の設置方法
  4. 前記分割マス型ダイナミックダンパの固有振動数のピッチ幅を、低周波数側では狭く及び/又は高周波数側では広く設定することを特徴とする、請求項1又は2に記載の住宅用制振装置の設置方法
  5. 前記住宅振動数領域毎に規格化された1種の分割マス型ダイナミックダンパの合計マス重量が400〜800kgの範囲内であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の住宅用制振装置の設置方法
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