JP3585032B2 - キノコ栽培用栄養源及び該栄養源を用いたキノコ栽培方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キノコ栽培用栄養源及び該栄養源を用いたキノコ栽培方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、培地基材と栄養源を混合した培地によるキノコ菌床栽培において、培地に添加される栄養源は、栽培者が自家調製することが多く、入手できる材料の違いによってその収量や品質にばらつきを生じ、安定した収穫量が得られないという問題があった。
【0003】
キノコの菌床栽培において、高い収穫量を得るためには、栽培に使用する培地に含まれる炭素(C)と窒素(N)の比率(C/N比)、或いは可溶性無窒素物(NFE)と粗蛋白質の比率(NFE/粗蛋白比)が重要な要因の一つであると考えられている。
【0004】
前者の培地に含まれるC/N比を規定したものとしては、炭素源に無機窒素化合物を培地のC/N比を20以上になるように配合し、微生物の関与を受けない状態で加熱殺菌処理を行うもの(特開昭63−233724)、また、豆腐粕を、培養基全体の乾物重量中、10〜40重量%含むとともに、C/N比を20〜50に調製するもの(特開平1−91716)等が挙げられる。
【0005】
また、後者のNFE/粗蛋白比を規定したものとしては、ブナオガコ培地の場合、栄養源のNFE/粗蛋白比は2.8〜3.0が理想であるが、ナラオガコ等使用した場合には、ブナオガコ使用時よりも高い3.6〜4.0となるようにするのがよいとするもの(96年版「きのこ年鑑」155頁)や、広葉樹のおが屑と廃ほだ屑からなる培地であって、粗蛋白質5.0〜6.5重量%、NFE40〜60 重量%となるように調製した培地を用いるもの(特開平9−23744)等が挙げられる。
【0006】
しかし、これらの技術では、何れも、C/N比やNFE/粗蛋白比だけを調節した培地が使用されており、この場合、必ずしも良質のキノコが常に安定して高い収量で得られるわけではない。
【0007】
これは、炭素源となる成分には、澱粉、水溶性ヘミセルロース、難溶性ヘミセルロース、セルロースといった種々の糖質が含まれるが、糖質の種類によりキノコ菌糸の利用し易さが異なり、その成長に影響を及ぼすためである。しがって、培地のC/N比やNFE/粗蛋白比を調整しただけでは、栄養源に含まれる炭素源の種類によって収量や品質にバラツキを生じ易いと推察される。
【0008】
また、栄養源として、白ふすまを全量又は一部使用するもの(特開平10−33055)がある。
【0009】
白ふすまとは、一般の小麦ふすまが、殆ど小麦の外皮であるに対して、小麦の外皮部分と胚乳部分を一定割合で製粉混合したものであると記載されている。
【0010】
このような栄養源は、その成分が調節されていないため、キノコの成長にバラつきが生じやすく、安定した収穫が期待できない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、安定して良質のキノコを高収量で得られるキノコの栽培が可能となる、コスト面で有利な栄養源を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を重ねたところ、栄養源として、特定の農産物に由来する安価な栄養素材を組合わせて用い、而も栄養源に含まれる粗蛋白質に対する澱粉の比(澱粉/粗蛋白含有比率)を特定の値にしたものを用いると、優れた品質のキノコを高収量で安定的に得られることを見出し、更に研究を重ねた結果、本発明を完成した。
【0013】
即ち、本発明は、以下のような構成からなるものである。
【0014】
1.小麦ふすま、及び少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材との配合物からなるキノコ栽培用栄養源を得るに際し、該配合物中の澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)が0.5〜2.0となるように調製することを特徴とするキノコ栽培用栄養源の調製方法。
【0015】
2.小麦ふすまが20%以上含有されるものである上記1記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
【0016】
3.他の農産物に由来する栄養素材が、大豆、トウモロコシ、菜種又は米の加工産物である上記1又は2記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
【0017】
4.大豆の加工産物が、大豆皮又はオカラである上記3記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
【0018】
5.培地基材と上記1、2、3又は4記載の調製方法で調製されたキノコ栽培用栄養源を混合した培地を菌床として用いることを特徴とするキノコ栽培方法。
【0019】
本発明の栄養源は、▲1▼小麦ふすまと少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材とを組合わせて使用し、▲2▼該混合物中の澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)を0.5〜2.0としたものであって、この栄養源の使用により、安定して良質のキノコを高収量で得ることの出来る栽培を可能としたものである。
【0020】
特に、上記条件▲2▼に関して、キノコ栽培において、栄養源の澱粉/粗蛋白含有比率が重要な指標であることは、本発明者らによって、初めて見出された新発見である。
【0021】
いずれにしても、本発明の目的を達成するためには、上記の▲1▼と▲2▼の条件を同時に満足する必要がある、即ち、上記▲1▼の条件を欠いた場合、即ち、単一の農産物由来の栄養素材だけを栄養源とした場合、上記▲2▼の条件(澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲)を満足しても、キノコの収穫量(発生量又は平均個重)は低くなり、本発明の目的を達成することは出来ない。
【0022】
このことは、多分、単一の農産物由来の栄養素材だけを使用した栄養源では、本発明で指標の一つとした粗蛋白質のアミノ酸組成に偏りを生じるが、これに他の農産物由来の栄養素材を配合することにより、アミノ酸組成の偏りが解消されることに起因するものと推察される。
【0023】
また、もう一つの重要な指標が澱粉である。菌床培地中の澱粉は菌糸が栄養源として利用し易く、菌糸の培養初期における効果的な栄養源となっている。このことは、菌床培地中の澱粉量が培養の初期段階で急速に減少する現象からも確認することができる。したがって、澱粉量が少なすぎると菌糸が効果的に培養されず、一方、澱粉量が多すぎると過剰栄養となり、発生量や平均個重に悪影響を及ぼすと考えられる。
【0024】
以上、本発明は、上記▲1▼、▲2▼の二つの条件を同時に選択することにより、その相乗効果によって、安定して良質のキノコを高収量で得ることが出来るという格別の効果を達成した点で、価値が高いものである。
【0025】
このような予期し得ない優れた効果は、従来の技術(C/N比やNFE/粗蛋白比の規定)等によっては、到底達成することが出来ないものである。
【0026】
また、本発明の栄養源に用いる栄養素材として、一般的に農産物の加工時に発生する小麦ふすまや大豆皮等を使用できるものであるが、これらの素材は副産物であって安価であるので、コスト面からみて有利であるばかりでなく、資源の有効利用の面からみても、価値がある。
【0027】
以上のような点からみても、本発明は、従来の技術からは、予想することが出来ない発明であることは明白であろう。
【0028】
以下、更に、本発明について詳述する。
【0029】
(A) キノコ栽培用栄養源
前述したように、本発明のキノコ栽培用栄養源は、▲1▼小麦ふすまと少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材との配合物からなるものであって、▲2▼該配合物中の澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)が0.5〜2.0であることを特徴とするものであり、この条件▲1▼と▲2▼を同時に満足しないと、本発明の目的を達成することが出来ない。
【0030】
そこで、先ず、本発明の栄養源の必須の構成要件である、上記の条件▲1▼と▲2▼について、以下説明する。
【0031】
(1) 条件▲1▼(栄養素材)について
(イ)小麦ふすま、及び小麦に由来する栄養素材
小麦ふすまの使用量は、栄養源に含まれる小麦ふすま量として20%以上、好ましくは40%以上にするのがよい。
【0032】
小麦ふすまの外、小麦に由来する栄養素材、例えば、小麦粉、全粒粉、小麦澱粉、小麦胚芽(生胚芽、焙煎胚芽)又は小麦胚芽油等を併用してもよい。
【0033】
(ロ)小麦以外の農産物に由来する栄養素材
上記の小麦以外の他の農産物に由来する栄養素材の農産物としては、大豆、トウモロコシ、菜種、米、大麦、ライ麦、オーツ麦、小豆、エンドウ豆、ヒマワリ種、綿実、ジャガイモ、サツマイモ、サトウキビ、ビート、トマト、ミカン等々が挙げられる。
【0034】
これらの農産物に由来する栄養素材となる加工産物としては、例えば、大豆粕、大豆皮、大豆蛋白、大豆胚軸、大豆粉、オカラ、大豆油、大豆油滓(抽出油滓、ソーダ油滓)、コーン皮(コーンファイバー)、コーンブラン、コーンジャーム、コーンジャーム粕、コーングルテンフィード、コーングルテンミール、コーンスターチ、コーン油、コーン油滓(抽出油滓、ソーダ油滓)、菜種粕、菜種油、菜種油滓(抽出油滓、ソーダ油滓)、米粉、米糠、米油、ビール粕、ウイスキー粕、水飴、異性化糖、オリゴ糖、葡萄糖、ジャガイモ皮、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、ビート粕、ミカン皮、ミカン搾粕、酒粕等々が挙げられるが、これらのものを二種以上用いてもよい。
【0035】
上記の栄養素材の中で、特に大豆の加工産物である大豆皮を使用すると、収穫量(発生量や平均個重)の点で更に有利なキノコ栽培を実現できる。
【0036】
大豆皮には、水溶性ヘミセルロースが多く含まれるが、この水溶性ヘミセルロースは、キノコ菌糸の培養時に比較的利用され易い炭素源になり得ると考えられる。また、大豆皮を配合することで、比較的利用されにくい難溶性ヘミセルロースを水溶性ヘミセルロースに置き換えられるので、キノコ栽培に有利に働くと推察される。更に、大豆皮は、小麦ふすまや米糠に比して保水性に優れている。この優れた保水性も、キノコ栽培を良化させる一つの要因であると考えられる。
【0037】
また、同様に大豆の加工産物である乾燥オカラは、大豆皮と同様に、水溶性ヘミセルロースが多く保水性に優れているので、このものも、大豆皮と同様の効果が期待できる。
【0038】
このように、本発明の特徴の一つは、栄養素材として、上記の栄養素材(イ)と栄養素材(ロ)とを併用することにある。
【0039】
(2) 条件▲2▼(澱粉/粗蛋白含有比率=0.5〜2.0)について
本発明者らは、従来の栄養源の指標である、NFE/粗蛋白比が同程度の値であっても、澱粉/粗蛋白含有比率の違いによってキノコの収穫量(発生量や平均個重)に差を生じることを発見し、栄養源の良否を決める指標として優れていることを知った。
【0040】
そこで、この点について探求したところ、良質なキノコを高収量で得るためには、澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.5に調整する必要があることが分かった。
【0041】
このように、本発明の特徴の二つ目は、栄養源の栄養成分である澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)を特定の値(0.5〜2.0)にした点にある。
【0042】
以上のように、本発明では、栄養源として、上記の条件▲1▼及び▲2▼を満足するものを調製すれば、キノコ栽培に最適なものを得ることが出来る。
【0043】
(3) その他
栄養源の澱粉/粗蛋白含有比率を特定の値とする際に、澱粉量を調節する素材としては、全粒粉、小麦粉、小麦澱粉、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、サゴ澱粉、及び各種加工澱粉が有効である。
【0044】
また、本発明の栄養源には、澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲であれば、農産物に由来する栄養素材以外の素材を混ぜて使用することができる。このような素材としては、水畜産物・畜産加工品の製造で発生する産物がある。具体的には、畜肉、畜乳、畜乳加工品、畜肉加工残渣(骨破砕物、骨粉など)、鶏卵、卵殻、魚肉、魚油、魚粉等々が挙げられる。
【0045】
(B) キノコの栽培方法
キノコの栽培方法としては、通常の方法を使用すればよい。例えば、培地基材と本発明の栄養源、必要により、その他の添加剤等を混ぜた培地を菌床として用いる方法が挙げられる。
【0046】
培地基材として、通常のものが使用可能であり、特に限定されない。例えば、オガ屑(オガ粉、オガチップ)、コーンコブミール(破砕したコーンコブ)、籾殻などが使用できる。勿論、これらの内の2種以上を混ぜて使用することも可能である。更に、培地の骨格を形成できるものであれば、ガラスビーズ等の化成品を使用することもできる。
【0047】
具体的な培養法としては、例えば、培地基材、栄養源、水を混合して得た培地を、容器に充填して(水分:60%前後)、高温高圧殺菌し、殺菌処理された菌床に種菌を接種し、その後、常法に従って、所定の温度(5〜28℃)と湿度(60〜100%)を維持しながら培養する方法等が挙げられる。
【0048】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
なお、以下の実施例等において、「%」とあるのは、特に断りのない限り、「重量%」を意味する。
【0050】
【実施例】
(栄養源の調製)
各種の農産物由来の栄養素材を配合して、以下の表1〜3に示す組成を有する栄養源1〜14を調製した。尚、澱粉量を調節するため、小麦粉には澱粉含量の異なる下級粉と上級粉を適当な割合で使用した。
【0051】
(1)表1は、栄養源1〜4の組成を示すものであって、比較例1〜5に使用した。
【0052】
【表1】
(2)表2は、栄養源5〜8の組成を示すものであって、実施例1〜4(シイタケ栽培)に使用した。
【0053】
【表2】
(3)表3は、栄養源9〜14の組成を示すものであって、実施例5〜10(ナメコ栽培)に使用した。
【0054】
【表3】
【実施例1〜4】及び【比較例1〜2】
(シイタケ栽培)
栄養源として、実施例1〜4は栄養源5〜8を、比較例1〜2は栄養源1〜2を、それぞれ使用して、以下のような栽培法によってシイタケ栽培を行った。
【0055】
オガ屑 0.9 m3、オガチップ(散水放置によって水分吸収させたオガチップ) 0.9 m3、栄養源 100 kg、水 165 kgを混合し、約3 kgの混合物をガゼット型ポリ袋に詰めた。そして、加熱殺菌(培地温度120 ℃で約2時間)を施した後、北研600号((株)北研)を接種した。培養は18〜20℃で123日間行った。培養終了後、10〜13℃にて約30日間発生させた。収穫後、収穫量(発生量)を測定し、また、発生個数から平均個重を求めた。
【0056】
得られたシイタケ栽培の結果は、表4に示す。
【0057】
【表4】
NFE(可溶性無窒素物)%=100−{水分(%)+灰分(%)+蛋白(%)+脂肪(%)+繊維(%)}
なお、表中の蛋白とは、粗蛋白質のことである。
【0058】
【実施例5〜10】及び【比較例3〜5】
(ナメコ栽培)
栄養源として、実施例5〜10は栄養源9〜14を、比較例3、4、5は栄養源1、3、4を、それぞれ使用して、以下のような栽培法によってナメコ栽培を行った。
【0059】
オガ屑 2.3 kg、栄養源0.6 kg、水3.1 kgを混合し、800 ccのポリ瓶に約450 gの混合物を充填した。そして、加熱殺菌(121℃、90分間)を施した後、日本調温(株)が保有する種菌KN245−津南(KN245と津南から分離した菌の交配種)を接種した。培養は18〜20℃で65日間行った。培養終了後、13〜16℃にて30日間発生させた。収穫後、収穫量(発生量)を測定し、また、発生個数から平均個重を求めた。
【0060】
得られたナメコ栽培の結果は、表5に示す。
【0061】
【表5】
NFE(可溶性無窒素物)%=100−{水分(%)+灰分(%)+蛋白(%)+脂肪(%)+繊維(%)}
なお、表中の蛋白とは、粗蛋白質のことである。
【0062】
ところで、上記の表4及び表5の栄養体の成分分析は、以下の方法により行った。
【0063】
1)可溶性無窒素物(NFE)は、水分(乾燥減量法)、灰分(灰化法)、粗蛋白質(ケルダール法)、脂肪(酸分解抽出法)、繊維(静置法)の測定値の総和を100から減じることで求めた。
【0064】
2)粗蛋白質はケルダール法によって測定した。窒素換算係数は6.25を用いた。
【0065】
3)澱粉はTOTAL STARCH ASSAY KIT(日本バイオコン(株))を用いて測定した。
【0066】
まず、アミラーゼ及びグルコシダーゼによって試料中に含まれる澱粉をグルコースに分解する。次に、得られたグルコースをグルコースオキシダーゼ法で定量する。そして、グルコース量に0.9を乗じた値を澱粉量とした。
【0067】
以上の表4及び表5の結果から、以下のことが分かった。
【0068】
(1)2種以上の農産物由来の栄養素材、即ち、小麦に由来する栄養素材と少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材との配合物からなるものを使用して、栄養源の澱粉/粗蛋白含有比率を0.5〜2.0、好ましくは0.5〜1.5に調整することで、キノコ菌床栽培において高い発生量と高い平均個重が得られた。
【0069】
(2)澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲にあっても、単一の農産物由来の栄養素材(小麦ふすまのみ)を栄養源とした場合には、キノコの発生量は低かった。
【0070】
(3)NFE/粗蛋白含有比率の値に関わらず、澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲にない栄養源を使用した場合には、キノコの発生量または平均個重は低く、逆に、澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲にある栄養源を使用すれば、キノコの発生量または平均個重は高かった。
【0071】
(4)澱粉/粗蛋白含有比率が0.5〜2.0の範囲にあって、小麦ふすま含量が20%以上である栄養源は平均個重の点で有利であった。また、小麦ふすま含量が40%以上である栄養源は発生量と平均個重の点で更に優れていた。
【0072】
以上のことから、▲1▼小麦ふすま、及び少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材との混合物からなるもの、▲2▼該混合物中の澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)が0.5〜2.0であるという、条件▲1▼及び条件▲2▼を同時に満足すれば、その相乗効果により、優れた特性を有するキノコ栽培用栄養源が得られることが分かる。
【0073】
【発明の効果】
本発明は、栄養素材それ自体としては、通常の農産物に由来する加工産物を使用したにもかかわらず、その組み合わせと澱粉/粗蛋白含有比率の調整により、安定して良質のキノコを高収量で得ることが出来るという意外な効果を奏する点で、極めて価値が高いものである。
【0074】
また、本発明は、栄養源の栄養素材として、農産物の加工副産物を利用できるものであるが、これらの素材は安価であるので、コスト面からみて有利であるばかりでなく、資源の有効利用の面からも、価値が高い。
Claims (5)
- 小麦ふすま、及び少なくとも1種類の他の農産物に由来する栄養素材との配合物からなるキノコ栽培用栄養源を得るに際し、該配合物中の澱粉と粗蛋白質の割合(澱粉/粗蛋白含有比率)が0.5〜2.0となるように調製することを特徴とするキノコ栽培用栄養源の調製方法。
- 小麦ふすまが20%以上含有されるものである請求項1記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
- 他の農産物に由来する栄養素材が、大豆、トウモロコシ、菜種又は米の加工産物である請求項1又は2記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
- 大豆の加工産物が、大豆皮又はオカラである請求項3記載のキノコ栽培用栄養源の調製方法。
- 培地基材と請求項1、2、3又は4記載の調製方法で調製されたキノコ栽培用栄養源を混合した培地を菌床として用いることを特徴とするキノコ栽培方法。
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