JP3583902B2 - ロール紙のジャム検出機構 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ロール紙を搬送する装置に具備されるロール紙のジャムを検出するジャム検出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
図5は、プリンタや複写機等のように、単票形式の媒体を搬送する搬送路を有する装置において、媒体のジャムを検出するジャム検出機構の原理図である。
すなわち、媒体Pを搬送ローラRによって矢印F方向に搬送する場合、可動片Aを回動自在に支持するとともに、前記可動片Aの先端部が搬送路L上に突出した待機姿勢(実線)となるように常時付勢する。可動片Aの他端部には、可動片Aが待機姿勢のときにオフ状態となり、可動片Aが媒体検出姿勢(破線)のときにオン状態となるように光透過型の検出器Bを設ける。
上記構成によれば、可動片Aが矢印F方向に搬送される媒体Pに当接して回動されている期間だけ、検出器Bの検出信号がオンに維持される。搬送ローラRを駆動させている期間中において、検出器Bの検出信号が媒体Pの正常な通過時間以上オン状態を保持しているか否かに基づいて媒体Pのジャムの有無を判定している。
【0003】
また、搬送方向の両側端部に送り孔が開設された連続帳票形式の媒体をトラクタフィーダを用いて搬送する装置では、次述するようなジャム検出機構が用いられている。すなわち、媒体の送り孔を透過型の検出器によって検出し、搬送動作中、検出器の検出信号がオン又はオフの状態で一定時間以上変化しなかったときに、媒体の搬送が停止したと判定してジャムを検出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ロール紙を用いるプリンタやファックス等の装置では、ロール紙が何らかの原因で排紙口からスムーズに排出されずジャムを引き起した際に、そのジャムを検出するために、上述したいずれのジャム検出機構も適用することができない。この理由は、ロール紙を保持するロール紙保持部から排紙口にわたって、ロール紙が切れ目なく搬送路上に存在しているためであり、かつ、ロール紙には、連続帳票形式の媒体と違って送り孔が設けられていないためである。
また、ロール紙に適用できるジャム検出機構は、出願人の知る限り見当たらない。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その課題は、ロール紙を搬送する装置において、ジャムを確実に検出することができるロール紙のジャム検出機構を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、ロール紙保持部に保持された、搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙を搬送手段により繰り出し、印字部を構成する搬送路上側に設けられた印字ヘッドと前記印字部及び前記搬送手段の一部を構成する搬送路下側に設けられたローラ状のプラテンとの間を経由して排紙口へ向かって搬送する装置におけるロール紙のジャム検出機構であって、前記プラテンの下方から排紙口の下方までの間に設けられ、前記印字部と前記排紙口との間でジャムが生じたために滞留して湾曲するロール紙を受容する用紙受容手段と、前記用紙受容手段に受容されたロール紙を検出する透過型光検出器からなるジャム検出器とからなることを特徴としている。
上記構成によれば、印字部と排紙口との間でジャムが生じたために印字部と排紙口の間で停滞するロール紙は、その固有の曲り癖及びプラテンによる曲げ癖の補強により搬送路下側に向かって湾曲するので、下側に設けた用紙受容手段に受容される。そして、ジャム検出器は透過型光検出器を用いるので、ジャムして湾曲したロール紙の存在自体によって検知するから、確実にロール紙のジャムが検出される。
【0006】
請求項2の発明は、ロール紙保持部に保持された、搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側又は上側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙を搬送手段により繰り出し、印字部を構成する搬送路上側に設けられた印字ヘッドと前記印字部及び前記搬送手段の一部を構成する搬送路下側に設けられたローラ状のプラテンとの間を経由して排紙口へ向かって搬送する装置におけるロール紙のジャム検出機構であって、前記プラテンから排紙口までの間の下方と上方に設けられ、前記印字部と前記排紙口との間でジャムが生じたために滞留して湾曲するロール紙を受容する用紙受容手段と、前記用紙受容手段に受容されたロール紙を検出する透過型光検出器からなるジャム検出器とからなることを特徴としている。
上記構成によれば、ロール紙が搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側に向かって湾曲する方向で巻き取られているものである場合は、印字部と排紙口との間でジャムが生じたために印字部と排紙口の間で停滞するロール紙は、上述と同様に、搬送路下側に向かって湾曲するので、下側に設けた用紙受容手段に受容されて、下側のジャム検知器により検知される。これに対し、ロール紙が搬送路上へ繰り出された際に搬送路上側に向かって湾曲する方向で巻き取られているものである場合は、印字部と排紙口との間でジャムが生じたために印字部と排紙口の間で停滞するロール紙は、搬送路上側に向かって湾曲するので、上側に設けた用紙受容手段に受容されて、上側のジャム検知器により検知される。従って、巻取方向が異なるロール紙を用いても、確実にジャムが検知される。
【0007】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について図面を参照して説明する。
図1は、本発明のロール紙のジャム検出機構をサーマルプリンタに適用した実施の形態を示す構成図であり、図2は、図1の要部斜視図であり、図3は、用紙受容手段の斜視図であり、図4は、ジャム検出機構の動作説明図である。
【0008】
まず、図1及び図2を参照して構成を説明する。
プリンタ1の筐体2には、上部カバー3及び前面カバー4がそれぞれヒンジ3a,4aによって開閉可能に設けられている。上部カバー3及び前面カバー4と筐体2との間には、図示しないゴムパッキンが設けられており、筐体2内部への水や埃の進入を防止するようになっている。前面カバー4は、それを開放して水平姿勢にすると、後述する排紙口14から排出されるロール紙Pを収容する受け皿の作用をなすようになっている。
【0009】
左右一対の支脚からなるロール紙保持部5は、ロール紙6が搬送方向に繰り出されて回転し得るように、芯部6aを回動自在に支持している。
用紙切れ検出器7は、搬送路上のロール紙6の有無を検出して検出信号を出力する反射型の光検出器等からなるものである。
【0010】
図2に示すように、ロール紙6を用紙切れ検出器7から印字ヘッド9まで案内するためのガイドローラ8と、印字ヘッド9とは、支軸10aによって起伏自在に支持されたヘッドフレーム10に保持されている。図2は、ヘッドフレーム10が起立した状態を示している。
【0011】
図1に示すように、ヘッドフレーム10が倒伏したときの印字ヘッド9に対応する位置には、ローラ状のプラテン11が設けられている。ヘッドフレーム10は、図示しない付勢部材によって下方に付勢されることにより、印字ヘッド9がプラテン11に対して適当な力で押圧されるようになっている。
【0012】
モータ12の回転駆動力は、減速を行うためのギアボックス13を介してプラテン11に伝達されるようになっていて、ロール紙6に搬送力を付与する送りローラの作用を果たしている。
【0013】
筐体2の前面には、印字ヘッド9及びプラテン11の間に挟まれて印字されたロール紙6を筐体外部に排出する排紙口14が開口されている。この排紙口14は、それから排出されるロール紙6を下方に排出するように設けられている。
【0014】
プラテン11から排紙口14の下方には、プラテン11の下方から排紙口14の近傍までの間に用紙受容手段15が設けられている。
図1〜図3に示すように、用紙受容手段15は、長手方向がロール紙6の幅方向と平行に延びるように設けられており、上方に向かって開口する断面コ字状を呈しており、2つの上縁部15a,15bは、ロール紙6の受容を容易にするために、互いに外側に向かって傾斜している。
【0015】
用紙受容手段15は、印字ヘッド9及びプラテン11から排紙口14に至るまでの間でジャムが生じた場合に、プラテン11と排紙口14との間で滞留して湾曲するロール紙6を受容する位置に設けられている。
【0016】
図2及び図3に示されているように、用紙受容手段15の幅方向のほぼ中央位置に開口された窓部15cに対応してジャム検知器16が設けられている。このジャム検知器16は、用紙受容手段15に受容されたロール紙6を検出して検出信号を出力する透過型の光検出器からなっている。
【0017】
次に、図4を参照して上記構成によるジャム検出機構の動作を説明する。
プラテン11がモータ12からギアボックス13(図2)を介して伝達される回転駆動力によって紙面反時計方向に回転することにより、ロール紙6は、矢印F方向に繰り出される。搬送状態が正常ならば、ロール紙6は、用紙切れ検出器7及びガイドローラ8を通過して、印字ヘッド9及びプラテン11に至って印字され、排紙口14へ向かって搬送されて、筐体2の外部へ排出される。
【0018】
ところが、ロール紙6が排紙口14で詰まってしまったり、排紙口14から垂れ下がったロール紙6が筐体2の前面パネル2aの表面に付いた水滴等で張り付いてしまい、排紙口14から先に排出されずに排紙口14でジャムが生じた場合には、以下のような動作がなされる。
すなわち、排紙口14の位置でロール紙6の排出が停止したままで、プラテン11によるロール紙6の搬送が継続されているので、プラテン11を通過したロール紙6は、プラテン11及び排紙口14の間で停滞し、プラテン11の回転方向に従って紙面下方に向かって湾曲していく。
この湾曲部分は、下方に設けられている用紙受容手段15の上縁部15a,15bによって円滑に案内されて用紙受容手段15の内方に進入していき、ついには、ジャム検出器16の検知光を遮断する。この結果、ジャム検出器16は、オフ状態の検出信号を出力する。
【0019】
図示しないプリンタ1の制御手段は、上記検出信号に基づいて、ジャムが発生した旨の報知を行うとともに、モータ12の動作を停止させて、ジャム紙の除去等の操作を操作者に促す。
上述した実施の形態のジャム検出機構によれば、ロール紙にジャムが発生したことを確実に検出することができる。
【0020】
なお、上述した実施の形態では、図4にも示されているように、ロール紙6は、それが搬送路上へ繰り出された際に、搬送路下側に向かって湾曲する方向で巻き取られているものであるため、下方に向かって湾曲する傾向の癖を有している。
また、ロール紙6は、搬送路上側に設けられた印字ヘッド9と搬送路下側に設けられたローラ状のプラテン11とに挟持され、プラテン11の外周面に沿って搬送されるため、その湾曲方向がさらに下方に向かって強化されやすい状態となっている。
【0021】
したがって、ロール紙6が排紙口14の位置でジャムを生じた場合に、プラテン11及び排紙口14の間で停滞したロール紙6が確実に下方に向かって湾曲するため、用紙受容手段15をプラテン11及び排紙口14の下方にのみ設けている。
しかしながら、ロール紙6が有している湾曲方向の癖及びプラテン及び印字ヘッドの上下の配置関係が上述した実施の形態と異なること等によって、ジャム発生時にロール紙が搬送面の上方に向かって湾曲する可能性がある場合には、用紙受容手段15を下方及び上方の両方に設ければよい。
【0022】
ここで、実施の形態の説明と請求の範囲の記載との対応関係について説明する。モータ12、ギアボックス13及びプラテン11は、ロール紙保持部に保持されているロール紙を繰り出して印字部を経由して排紙口へ向かって搬送する「搬送手段」を構成している。
また、印字ヘッド9及びプラテン11によって「印字部」が構成されている。
【0023】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、印字部の下流側でジャムが生じた場合は、印字部と排紙口の間で停滞するロール紙はその曲げ癖及びプラテンによる曲げ癖の補強により下方に湾曲して用紙受容手段に確実に受容されるため、また、ジャム検出器は透過型光検出器を用いるので、ジャムして湾曲したロール紙の存在自体によって検知するから、確実にロール紙のジャムが検出される。
【0024】
請求項2の発明によれば、用紙受容手段がプラテンから排紙口までの間の下方と上方に設けられているので、印字部と排紙口との間でジャムが生じたために滞留するロール紙はその曲げ癖及びプラテンによる曲げ癖の補強により、搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙である場合は湾曲下方の用紙受容手段に、また、搬送路上へ繰り出された際に搬送路上側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙である場合は上方の用紙受容手段にそれぞれ受容されて、下側又は上側のジャム検知器により検知される。そして、各ジャム検知器は透過型光検出器を用いるので、ジャムして湾曲したロール紙の存在自体によってジャムを検知する。従って、巻取方向が異なるロール紙を用いても、確実にジャムが検知される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のロール紙のジャム検出機構をサーマルプリンタに適用した実施の形態を示す構成図である。
【図2】図1の要部斜視図である。
【図3】用紙受容手段の斜視図である。
【図4】ジャム検出機構の動作説明図である。
【図5】単票形式の媒体のジャム検出機構の一例を示す原理図である。
【符号の説明】
6 ロール紙
9 印字ヘッド
11 プラテン
12 モータ
13 ギアボックス
14 排紙口
15 用紙受容手段
16 ジャム検出器

Claims (2)

  1. ロール紙保持部に保持された、搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙を搬送手段により繰り出し、印字部を構成する搬送路上側に設けられた印字ヘッドと前記印字部及び前記搬送手段の一部を構成する搬送路下側に設けられたローラ状のプラテンとの間を経由して排紙口へ向かって搬送する装置におけるロール紙のジャム検出機構であって、
    前記プラテンの下方から排紙口の下方までの間に設けられ、前記印字部と前記排紙口との間でジャムが生じたために滞留して湾曲するロール紙を受容する用紙受容手段と、
    前記用紙受容手段に受容されたロール紙を検出する透過型光検出器からなるジャム検出器と、
    からなることを特徴とするロール紙のジャム検出機構。
  2. ロール紙保持部に保持された、搬送路上へ繰り出された際に搬送路下側又は上側に向かって湾曲する方向で巻き取られているロール紙を搬送手段により繰り出し、印字部を構成する搬送路上側に設けられた印字ヘッドと前記印字部及び前記搬送手段の一部を構成する搬送路下側に設けられたローラ状のプラテンとの間を経由して排紙口へ向かって搬送する装置におけるロール紙のジャム検出機構であって、
    前記プラテンから排紙口までの間の下方と上方に設けられ、前記印字部と前記排紙口との間でジャムが生じたために滞留して湾曲するロール紙を受容する用紙受容手段と、
    前記用紙受容手段に受容されたロール紙を検出する透過型光検出器からなるジャム検出器と、
    からなることを特徴とするロール紙のジャム検出機構。
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