JP3583766B2 - 電界放出素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノホール内に形成されたエミッタを具備する電界放出素子の製造方法に関し、より詳細には、動作電圧を低めて消費電力を減少させることが可能な、ナノホール内に形成されたエミッタを具備する電界放出素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電界放出素子は、エミッタとゲート電極との間に電圧が印加されると、エミッタの一部から電子が放出される現象を応用する素子であって、マイクロウェーブ素子または電界放出ディスプレイ(Field Emission Display : FED)に応用されている。
【0003】
一般に、電界放出素子は、電子放出源としてのエミッタまたはカソードに用いられる下板及び上板で構成された2極型構造と、エミッタの近くから電圧を印加できるように構成されたゲートを含む3極型構造に分けられる。
【0004】
上述した2極型構造は、動作電圧が高く、電子の放出量を調節し難いため、3極型構造が主に用いられるが、特にスピンドル(spindle)型エミッタが多く用いられる。
【0005】
円錐状の微細なチップを形成し、その先部に強い電気場がかかるようにして電子を放出させるスピンドル型エミッタは、動作特性が安定的なので、3極型構造のエミッタとして最も多く用いられており、チップの形や材料に対する研究も多く行われている。
【0006】
ところが、このようなスピンドル型エミッタを用いた電界放出素子は、約50V〜100Vの高電圧で駆動されるため、消費電力が高くて製品化には不適であり、製品化のためには駆動電圧を低めなければならない。
【0007】
低電圧で駆動される電界放出素子の製造のためには、エミッタをアスペクト比の大きい形態に形成することが有利である。従って、最近は炭素ナノチューブを用いてエミッタを製造する研究が行われている。
【0008】
図1は、従来の電界放出素子の構造を説明するための断面図である。図1を参照すると、電界放出素子は、シリコン基板11上に形成され、金属からなるエミッタ電極12と、エミッタ電極12上に形成され、所定の領域がエッチングされてエミッタ電極12を露出させる開口部15aを有する絶縁層15と、転移金属(Transition metal)からなり、開口部15aを介して露出されたエミッタ電極12の所定の領域上に形成された触媒層13と、カーボンナノチューブ、ナノ粒子膜及び金属チップのいずれか一つからなり、触媒層13上に形成されたエミッタ14と、絶縁層15上に所定のパターンで形成されたゲート電極16とから構成される。
【0009】
この際、触媒層13のない状態で、開口部15aを介して露出されたエミッタ電極12上に金属チップからなるエミッタ14が直接形成されることもできる。
【0010】
エミッタ電極12とゲート電極16にそれぞれ電圧を印加すると、エミッタ14の付近に強い電界が発生し、これによりエミッタ14から電子が放出される。
【0011】
一方、電界放出素子の駆動電圧を低めるためには、エミッタのアスペクト比を増加させなければならない。さらにエミッタのアスペクト比を増加させるためにはナノメータの大きさのホールを形成しなければならないが、既存の絶縁膜として使用される酸化膜にはナノメータの大きさのホールを形成し難いため、陽極処理したアルミナ(Anodized Aluminum Oxide)を使用しなければならない。
【0012】
しかし、陽極処理したアルミナは半導体素子の製造工程に不適である。従って、既存の方法ではアスペクト比の大きいエミッタを具備する3極型電界放出素子の製造は困難である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、半導体素子の製造工程でナノメートルサイズのホールをまず形成し、ホール内にエミッタを形成してエミッタのアスペクト比を増加させることにより、駆動電圧を減少させて消費電力を低めることが可能な電界放出素子の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の電界放出素子の製造方法は、シリコン基板の上部にシリコンロッドを形成するステップと、前記シリコン基板の表面部にエミッタ電極を形成するステップと、前記シリコンロッド同士の間に絶縁層を埋めこむステップと、前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップと、前記シリコンロッドを除去して前記エミッタ電極の所定部分が露出するようにナノホールを形成するステップと、前記ナノホール内にエミッタを形成するステップとからなることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施例について説明する。
図2は、本発明に係る電界放出素子の構造を示す断面図である。図2を参照すると、本発明に係る電界放出素子は、シリコン基板21に形成されたエミッタ電極24と、エミッタ電極24上に形成された絶縁層25と、絶縁層25にナノサイズで形成され、エミッタ電極24を露出させるナノホール27と、ナノホール27の底面に形成された触媒層28と、ナノホール27内に形成されたエミッタ29及びエミッタ29の周囲の絶縁層25上に形成されたゲート電極26とから構成されている。
【0017】
エミッタ電極24は、シリコン基板21に不純物が注入された不純物領域からなり、絶縁層25は、低温シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で形成する。また、触媒層28は遷移金属からなり、電気化学堆積(Electrochemical Deposition Method)で形成される。
【0018】
エミッタ電極29は、カーボンナノチューブ及びナノ粒子膜のいずれかからなる場合、化学気相蒸着法によって触媒層28上にのみ選択的に形成され、金属チップからなる場合、電子ビーム蒸発法(Electro−Beam Evaporation Method)で形成される。ゲート電極26は一般的な金属またはポリシリコンからなる。
【0019】
次に、前記構成を有する電界放出素子の製造方法を説明する。
図3〜図9は、本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図である。
図3を参照すると、シリコン基板21の所定の領域を所定の厚さだけエッチングして突出部21aを形成する。
【0020】
図4を参照すると、酸化工程を行うとシリコン成分が酸素と反応してシリコン基板21の表面に酸化膜22が成長するが、このとき酸化条件を調節して酸化されずに残留する突出部21aの厚さがナノサイズほどに薄くなるようにする。
【0021】
図5を参照すると、酸化膜を除去する。酸化膜が除去されると、酸化せずに薄い厚さで残留する突出部からなるシリコンロッド23が形成される。その後、シリコン基板21の表面部に、たとえばNタイプの不純物を注入し、注入された不純物が拡散するように熱処理してシリコン基板21の表面部にエミッタ電極24が形成されるようにする。
【0022】
図6を参照すると、シリコンロッド23同士の間に絶縁層25を形成した後、絶縁層25上の所定の領域にゲート電極26を形成する。この際、絶縁層25は、シリコンロッド23と同一の高さで形成してシリコンロッド23の上部表面を露出させ、ゲート電極26は、シリコンロッド23とオーバーラップしないように所定のパターンで形成する。
【0023】
絶縁層25は、低温シリコン酸化膜またはシリコン窒化膜で形成され、ゲート電極26は一般的な金属またはポリシリコンで形成される。この際、シリコンロッド23によって発生した段差を用いてエッチバック(etch back)工程でゲート電極26を形成すると、シリコンロッド23上のゲート電極が除去されながらシリコンロッド23とオーバーラップしないゲート電極26を自己整列(self align)方式で形成することができる。
【0024】
さらに詳しく説明すると、絶縁層25の形成時にシリコンロッド23によって段差が発生し、これによりシリコンロッド23が形成された部分の絶縁層25がシリコンロッド23のない部分に比べて高く形成される。この際、ゲート電極26をパターニングするために、フォトレジスト(図示せず)を塗布した後、エッチバック工程を行うと、シリコンロッド23の存在する部分のフォトレジストが除去されながらゲート電極26が露出される。
【0025】
この際、シリコンロッド23のない部分はゲート電極26が露出されない。次に、シリコンロッド23のない部分のゲート電極26が露出されるまでエッチバック工程を行うと、シリコンロッド23の存在する部分のゲート電極26は全てエッチングされてゲート電極26の自己整列パターニングが可能になる。
【0026】
図7を参照すると、エッチング工程でシリコンロッド23を除去する。シリコンロッド23が除去された領域にはナノサイズのナノホール27が設けられ、ナノホール27を介してエミッタ電極24が露出される。シリコンロッド23を除去するエッチング工程は、ドライエッチングまたはウェットエッチングで行われ、絶縁層25とシリコンロッド23のエッチング選択比を調節してシリコンロッド23のみが除去できるようにする。
【0027】
その後、ナノホール27内にエミッタを形成するが、エミッタがどんな物質で形成されるかによって形成方法が異なる。まず、炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜を用いてエミッタを形成する場合のエミッタ形成方法を説明する。
【0028】
図8を参照すると、炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜を用いてエミッタを形成する場合には、炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜を成長させるための触媒層が必要なので、ナノホール27の底面に露出されたエミッタ電極24上に触媒層28を形成する。この際、触媒層28を電気化学堆積で形成し、ナノホール27の底面のエミッタ電極24上にのみ触媒層28を選択的に形成する。
【0029】
図9を参照すると、触媒層28上に炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜を成長させてナノホール27内に炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜からなるエミッタ29を形成する。この際、炭素ナノチューブまたはナノ粒子膜は化学気相蒸着法(Chemical Vapor Deposition Method)で成長させる。
【0030】
ここで、エミッタ29は、ナノホール27内に形成されるので、エミッタ29のアスペクト比は非常に大きくなる。したがって、低電圧でも電子を円滑に放出させることができる。これにより、エミッタのアスペクト比を増加させた3極型電界放出素子が製造される。
【0031】
次に、図10及び図11を参照して、金属チップでエミッタを形成する場合のエミッタ形成方法を説明する。
図10を参照すると、図3〜図7の工程が行われた状態で、エミッタ電極24を成長させてナノホール27の下部にエミッタ成長層24aを形成した後、ゲート電極26を含む絶縁層25上に犠牲金属層30を形成する。犠牲金属層30はアルミニウムまたは通常他の薄膜に影響を与えない範囲でリフトオフ(Lift−off)が可能な物質からなり、電子ビーム蒸発法(Electro−Beam Evaporation Method)で形成される。
【0032】
図11を参照すると、直進性に優れた蒸着装備を用いてナノホール27内に金属物質を蒸着してチップ形のエミッタ31を形成する。その後、犠牲金属層30を除去する。これにより、低電圧でも電子を円滑に放出させることが可能な3極型電界放出素子が製造される。
【0033】
本発明の技術的思想は、上述した好ましい実施例によって具体的に記載されたが、上述した実施例は本発明を説明するための例示に過ぎず、本発明を制限するものではない。また、当当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内で様々な実施が可能なのは明らかなことである。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、一般的な半導体製造工程でナノメートルサイズのホールを形成し、ナノホール内にエミッタを形成してエミッタのアスペクト比を増加させることにより、駆動電圧を低めて消費電力を減少させることが可能な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の電界放出素子の構造を説明するための断面図である。
【図2】本発明に係る電界放出素子の構造を示す断面図である。
【図3】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図4】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図5】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図6】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その4)である。
【図7】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その5)である。
【図8】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その6)である。
【図9】本発明に係る電界放出素子の製造方法を説明するための工程図(その7)である。
【図10】本発明における電界放出素子の製造方法の他の実施例を説明するための工程図(その1)である。
【図11】本発明における電界放出素子の製造方法の他の実施例を説明するための工程図(その2)である。
【符号の説明】
11、21 シリコン基板
12、24 エミッタ電極
13、28 触媒層
14、29、31 エミッタ
15、25 絶縁層
16、26 ゲート電極
21a 突出部
22 酸化膜
23 シリコンロッド
27 ナノホール
30 犠牲金属層

Claims (8)

  1. シリコン基板の上部にシリコンロッドを形成するステップと、
    前記シリコン基板の表面部にエミッタ電極を形成するステップと、
    前記シリコンロッド同士の間に絶縁層を埋めこむステップと、
    前記絶縁層上にゲート電極を形成するステップと、
    前記シリコンロッドを除去して前記エミッタ電極の所定部分が露出するようにナノホールを形成するステップと、
    前記ナノホール内にエミッタを形成するステップと
    からなることを特徴とする電界放出素子の製造方法。
  2. 前記シリコンロッドは、前記シリコン基板の所定領域を所定の厚さにエッチングして突出部を形成するステップと、前記突出部およびシリコン基板の表面を酸化させるステップと、前記シリコン基板および前記突出部表面の酸化された部分を除去するステップとによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子の製造方法。
  3. 前記エミッタ電極は、前記シリコン基板に不純物を注入するステップと、前記注入された不純物を拡散させるステップとによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子の製造方法。
  4. 前記不純物はN型不純物であることを特徴とする請求項3に記載の電界放出素子の製造方法。
  5. 前記エミッタは、前記ナノホールを介して露出される前記エミッタ電極上に触媒層を形成するステップと、前記触媒層に炭素ナノチューブ及びナノ粒子膜のうちいずれかを成長させるステップとによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子の製造方法。
  6. 前記触媒層は電気化学堆積で形成されることを特徴とする請求項5に記載の電界放出素子の製造方法。
  7. 前記エミッタは、前記ナノホールを介して露出される前記エミッタ電極を成長させ、エミッタ成長層を形成するステップと、前記絶縁層及びゲート電極上に犠牲金属層を形成するステップと、前記ナノホール内部の前記エミッタ成長層上に金属を蒸着して金属チップを形成するステップと、前記犠牲金属層を除去するステップによって形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子の製造方法。
  8. 前記犠牲金属層は、アルミニウム、またはリフトオフが可能な物質からなり、電子ビーム蒸発法で形成されることを特徴とする請求項7に記載の電界放出素子の製造方法。
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