JP3583719B2 - フラッシュ紡糸方法及び共沸混合物を有するフラッシュ紡糸溶液 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の分野】
本発明は、ポリマーのプレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランド(polymeric,plexifilamentary,film−fibril strands)のフラッシュ紡糸(flash−spining)であって、この紡糸方法はオゾンを枯渇させる潜在力(ozone depletion potential)が実質的にない化合物を使用し、そして該紡糸方法は非引火性の(non−flammable)又は非常に低い引火性(flammability)の化合物を使用して行われるフラッシュ紡糸方法に関する。
【0002】
【発明の背景】
ポリエチレンのプレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランドから製造される市販のスパンボンデッド製品(spunbonded products)は典型的にはトリクロロフルオロメタンからフラッシュ紡糸することにより製造されてきたが、トリクロロフルオロメタンは大気のオゾンを枯渇させる化学品であり、従ってそれに替わるものが研究されてきた。Shinへの米国特許第5,032,326号は、1つの代替紡糸流体、即ち、塩化メチレン及び−50℃〜0℃の沸点を有する紡糸助剤(co−spin agent)ハロカーボンを開示している。Kato等の米国特許第5,286,422号で指摘されたとおり、Shinの塩化メチレンをベースとする方法は完全に満足なものではなく、そして米国特許第5,286,422号は、代替の、特にブロモクロロメタン又は1,2−ジクロロエチレンである紡糸流体及び例えば二酸化炭素、ドデカフルオロペンタン等の紡糸助剤を開示している。
【0003】
特開平5−263310(公開日10/12/93)は、フラッシュ紡糸された不織シートを製造するのに好都合な三次元繊維を紡糸剤の混合物に溶解されたポリマーから製造することができ、該紡糸剤混合物の主成分は塩化メチレン、ジクロロエチレン及びブロモクロロメタンよりなる群から選ばれ、そして紡糸剤混合物の少量成分はドデカフルオロペンタン、デカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサンよりなる群から選ばれることを開示している。しかしながら、例えば、塩化メチレンは動物発癌物質でありそしてジクロロエチレンは幾分可燃性であることが知られている。
【0004】
Shinへの米国特許第5,023,025号は、オゾン枯渇の危険を顕著に減少させたハロカーボン液体の群から繊維形成性ポリオレフィンのプレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランドをフラッシュ紡糸する方法を開示している。この特許は、好ましいハロカーボン(ハロゲン化炭化水素)として1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン(HCFC−123)を開示している。HCFC−123は、ポリプロピレンの非常に良好な紡糸剤であるが、ポリエチレンについてはそうではなく、そして後者の場合には、非常に高い紡糸圧力が必要とされるであろう。このようなものとして、ポリエチレンとともに使用するためには、ポリエチレンを相対的に低い圧力で溶解することができる紡糸助剤(即ち、強い溶媒)が使用されるべきである。米国特許第5,023,025号は、ジクロロジフルオロエタン(HCFC−132b及びその異性体)並びにジクロロフルオロエタン(HCFC−141b及びその異性体)も開示しているが、そのすべてが問題となる欠点を有する。例えば、HCFC−132b)良好な紡糸剤であるが毒性である。HCFC−141bも良好な紡糸剤であるが、幾分引火性であり、そして更に相対的に高いオゾン枯渇潜在力を有する。しかしながら、それらの見かけの利点のいずれにもかかわらず、前記した紡糸剤はすべて或る量のオゾン枯渇潜在力を有する。
【0005】
フラッシュ紡糸製品は典型的にはポリエチレンから製造されてきた。しかしながら、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンの両方ともポリエチレンより高い融点を有しており、そしてこのようなものとしてポリエチレンから製造された製品と比較してより高い温度で使用可能なフラッシュ紡糸製品を与えることが知られている。更に、或る溶媒はポリプロピレン又はポリメチルペンテンを溶解することができるが、ポリエチレンを溶解しないことがあり、そのためポリプロピレン及びポリメチルペンテンに特に適しておりかつ更に非引火性(non−flammability)及びゼロ又は極めて低いオゾン枯渇潜在力の必要を満足させる溶媒を発見するための動機が存在する。
【0006】
【発明の要約】
本発明は、合成繊維形成性ポリオレフィンのプレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランドの製造方法であって、(a)合成繊維形成性ポリオレフィン(synthetic fiber−forming polyolefin)5〜30重量%と、(b)デカフルオロペンタン約46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン約40重量%及びシクロペンタン約14重量%の混合物並びにパーフルオロブチルメチルエーテル約50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン約50重量%の混合物よりなる群から選ばれる紡糸剤(spin agent)とを含んで成る紡糸流体(spin fluid)を、該紡糸流体の自発圧力(autogenous pressure)より高い圧力で、より低い圧力の領域にフラッシュ紡糸することを含んで成る方法である。
【0007】
本発明は、(a)合成繊維形成性ポリオレフィン5〜30重量%と、(b)デカフルオロペンタン約46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン約40重量%及びシクロペンタン約14重量%の混合物並びにパーフルオロブチルメチルエーテル約50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン約50重量%の混合物よりなる群から選ばれる紡糸剤とを含んで成る紡糸流体でもある。
【0008】
本発明は、合成繊維形成性ポリオレフィンから微孔質発泡体繊維(microcellular foam fibers)を製造する方法であって、(a)合成繊維形成性ポリオレフィン少なくとも40重量%と、(b)デカフルオロペンタン約46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン約40重量%及びシクロペンタン約14重量%の混合物並びにパーフルオロブチルメチルエーテル約50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン約50重量%の混合物よりなる群から選ばれる紡糸剤とを含んで成る紡糸流体を、該紡糸流体の自発圧力より高い圧力で、より低い圧力の領域にフラッシュ紡糸することを含んで成る方法にも関する。
【0009】
【発明の詳細な記述】
「合成繊維形成性ポリオレフィン」という用語は、フラッシュ紡糸の分野で典型的に使用される或る種のポリマー、例えば、ポリプロピレン及びポリメチルペンテンを包含することを意図する。好ましい合成繊維形成性ポリオレフィンはアイソタクチックポリプロピレンである。
【0010】
「ポリプロピレン」という用語は、プロピレンのホモポリマーのみならず、繰り返し単位の少なくとも85%がプロピレン単位であるコポリマーも包含することを意図する。「ポリメチルペンテン」という用語は、ポリメチルペンテンのホモポリマーのみならず、繰り返し単位の少なくとも85%がメチルペンテン単位であるコポリマーも包含することを意図する。
【0011】
プレキシフィラメント状材料(plexifilamentary materials)を製造するための好ましい方法は、合成繊維形成性ポリオレフィンの濃度が紡糸流体の6〜18重量%の範囲内にある紡糸流体を使用する。本明細書で使用した紡糸流体という用語は、繊維形成性ポリオレフィン及び紡糸剤を含んで成る溶液を意味する。特記しないかぎり、本明細書で使用した重量%という用語は紡糸流体の全重量を基準とした重量%を指す。
【0012】
また本発明では、繊維形成性材料として下記のものを使用することができる:
TEFZEL(商標)、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマーであるDuPontから得られるフルオロポリマー、及びHALAR(商標)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマーであるAusimontから得られるフルオロポリマー樹脂。
コポリマーは10〜40重量%の量で存在することができる。
【0013】
本発明の紡糸剤は、VERTREL(商標)、MCA PLUS、即ち、2,3−ジヒドロデカフルオロペンタン(HFC−4310mee)約46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン約40重量%及びシクロペンタン約14重量%の混合物(以後MCAと言う)から成る共沸混合物であり、これはデラウエア州、ウイルミントンのE.I.du Pont de Nemours and Company(DuPont)から入手可能である。本発明の他の紡糸剤は、HFE−71DE、即ち、パーフルオロブチルメチルエーテル約50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン約50重量%の混合物から成る共沸混合物(以後71DEと呼ぶ)であり、これはミネソタ州、セントポールのMinesota Mining and Manufacturing Company(3M)から入手可能である。MCAは極めて低い引火性を有しており、即ち、MCAは引火点(flash point)を持たないが、引火性の上限及び下限(upper and lower flammability limits)(空気中3〜10容量%)を有する。他方、71DEは非引火性であり、即ち、71DEは引火点も引火性限界も持たない。紡糸剤は非引火性であるか又は極めて低い引火性を有するべきことが望ましい。これらの共沸混合物は或る量のシス−1,2−ジクロロエチレンを含有することができることに留意されるべきである。本発明の紡糸剤は共沸混合物であるので、それらがこぼされる(spilled)とき組成は変化しないであろう。トランス−1,2−ジクロロエチレンをベースとする非共沸紡糸剤(non−azeotropic spin agents)は或る条件下に引火性となりうる。例えば、非共沸紡糸剤がこぼされたならば、揮発性成分は蒸発しそして非揮発性成分が濃縮された形態で残り、それが引火性であるならば、火災の危険を与えるであろう。このような状況では、潜在的な安全の危険を回避するために特定の溶媒取り扱いシステムが必要となるであろう。
【0014】
本明細書で使用した共沸混合物という用語は、純粋な共沸組成とは僅かに異なる組成を有することができる共沸混合物様物質(azeotrope−like materials)を包含することを意味する。
【0015】
本明細書で使用した曇り点圧力(cloud−point pressure)という用語は、単一相液体溶液がポリマーに富んだ相と紡糸液に富んだ相との二相液体/液体ディスパージョン(polymer−rich/spin liquid−rich two−phase liquid/liquid dispersion)に相分離し始めるときの圧力を意味する。しかしながら、臨界点より上の温度では、いかなる液相も存在することができず、従って単一相超臨界溶液相(single phase supercritical solution phase)は、ポリマーに富んだ相と紡糸流体に富んだ相の二相ガス状ディスパージョン(polymer−rich/spin fluid−rich,two−phase gaseous dispersion)に分離する。
【0016】
ポリマーが商業的操作でフラッシュ紡糸されるときに形成されるウエブを広げるために、フラッシュ紡糸された材料が回転しているバッフルに投射され(projected)、(例えば、ブレサウアー(Brethauer)等、米国特許第3,851,023号参照)、次いで静電荷にさらされる。バッフルは生成物が向きを変えそして広がり始めることを引き起こし、静電荷は生成物(ウエブ)が更に広がることを引き起こす。商業的に許容できる時間に満足な商業的製品を達成するために、ウエブが有意な程度の広がりを達成することが必要であり、そしてこれは十分な静電荷が所望の時間ウエブ上に残っている場合にのみ達成できる。ウエブを取り囲んでいる雰囲気が余りにも低い絶縁耐力(dielectric strength)を有するならば、電荷は余りにも速く消散するであろう。ウエブを取り囲んでいる雰囲気の主成分は、フラッシュ紡糸されたポリマーをフラッシュ紡糸の前に溶解していた紡糸剤の蒸発したものである。米国特許第5,672,307号に開示されたように、塩化メチレン又は1,2−ジクロロエチレンのような主紡糸剤は、それにおいて列挙された補助紡糸剤とともに、蒸発させられたとき、満足な製品を保証するのに有効なウエブ上の電荷を維持するのに十分な絶縁耐力を有する。これらの混合物は約40キロボルト/センチメートル(KV/cm)より大きいASTM D−2477により測定された絶縁耐力を有する。しかしながら、本発明の紡糸剤は、塩化メチレンよりはるかに大きい絶縁耐力を有しておりそしてトリクロロフルオロメタン(フレオン11)のそれに近い。いくらかの典型的な値は下記のとおりである。
【0017】
化合物 絶縁耐力(KV/cm)
塩化メチレン 〜45
ジクロロエチレン 〜105
HCFC−122 〜120
フレオン11 〜120
デカフルオロペンタン 〜120
シクロペンタン 〜50
パーフルオロブチルメチルエーテル >100
本発明の共沸混合物の成分の絶縁耐力は上記に示されており、そして共沸混合物の絶縁耐力は例として塩化メチレンの絶縁耐力より大きいであろうと予想されるであろう。より高い絶縁耐力が望ましい。何故ならば、プレキシフィラメント状材料は静電引力により速く動く電気的に帯電したベルト(fast−moving,electrically−charged belt)に、より良好に「釘付けにする」(“pins”)という点でそれはより高い製造速度に好都合であるからである。紡糸流体は核生成剤、安定剤等の如き添加剤をさらに含有することができる。
【0018】
微孔質発泡体はフラッシュ紡糸により得ることができ、そして通常紡糸溶液中の相対的に高いポリマー濃度、即ち、合成繊維形成性ポリオレフィン少なくとも40重量%で製造される。ポリプロピレン及びポリメチルペンテンは、使用することができる合成繊維形成性ポリオレフィンである。しかしながら、プレキシフィラメント状繊維について上記したとおり、微孔質発泡体を得るのにテフゼル(TEFZEL)(商標)及びハラー(HALAR)(商標)を使用することもできる。発泡体の場合に、コポリマーはポリプロピレン及びポリメチルペンテンと同じ重量%、即ち、少なくとも40重量%で使用されるであろう。相対的に低い紡糸温度及び曇り点圧力より高い圧力も使用される。溶液の曇り点圧力より僅かに低い紡糸圧力においてすらプレキシフィラメントよりむしろ微孔質発泡体繊維が得られうる。使用される紡糸剤は、プレキシフィラメント状フイルム−フィブリル材料について上記した紡糸剤と同じである。ヒュームドシリカ及びカオリンの如き核生成剤を通常紡糸混合物に加えて紡糸剤フラッシングを促進しそして均一な小さな寸法の気泡(cells)を得る。
【0019】
微孔質発泡体は、つぶれた形態(collapsed form)又は完全に又は部分的に膨らまされた形態(inflated form)で得ることができる。多くのポリマー/溶媒系について、微孔質発泡体は、紡糸オリフィスを出た後、溶媒蒸気が気泡(cells)の内側で凝縮し及び/又は気泡から外に拡散するにつれてつぶれる傾向がある。低密度の膨らまされた発泡体を得るために、通常膨張剤(inflating agents)を紡糸液(spin liquid)に加える。使用することができる適当な膨張剤は、低沸点の部分ハロゲン化炭化水素、例えば、ヒドロクロロフルオルカーボン類及びヒドロフルオルカーボン類;又は完全ハロゲン化炭化水素、例えば、クロロフルオルカーボン類及びパーフルオルカーボン類;ヒドロフルオロエーテル類;不活性ガス、例えば二酸化炭素及び窒素;低沸点炭化水素溶媒、例えば、ブタン及びイソペンタン;並びに他の低沸点有機溶媒及びガスを包含する。
【0020】
微孔質発泡体繊維は普通は丸い断面の紡糸オリフィス(round cross section spin orifice)から紡糸される。しかしながら、インフレートフイルム(blownfilms)で使用されるダイと同様な環状ダイを使用して微孔質発泡体シートを製造することができる。
【0021】
【実施例】
試験方法
上記説明及び下記する非限定的実施例において、種々の報告された特性及び性質を決定するために下記の試験方法を使用した。ASTMはAmerican Society of Testing Materialsを指し、そしてTAPPIはTechnical Association of the Pulp and Papers Industryを指す。
【0022】
ストランドのデニールは所定の荷重下のストランドの15cmサンプル長さの重量から決定される。
【0023】
フラッシュ紡糸されたストランドの強力(tenacity)、伸び及び靱性(toughness)はインストロン引張試験機により決定される。ストランドを状態調節しそして70°F(21℃)及び65%相対湿度で試験する。次いでストランドをインチ当たり10回(10turns per inch)に加撚し(twisted)そしてインストロン試験機のジョーに取り付ける。4インチ/分の初期伸び速度で2インチゲージ長さを使用した。破断点強力はデニール当たりのグラム(gpd)で記録される。破断点伸びはサンプルの2インチゲージ長さの百分率として記録される。靱性はサンプルのデニールで割ったサンプルを破断するのに必要な仕事の目安(measure)でありそしてgpdで記録される。モジュラスは応力/歪曲線の勾配に相当しそしてgpdの単位で表される。
【0024】
プレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランド生成物の表面積はフラッシュ紡糸された生成物のフィブリル化の程度及び繊度(fineness)の他の目安である。表面積はS.Brunauer,P.H.Emmett and E.Teller,J.Am.Chem.Soc.,V.60 p309−319(1938)のBET窒素吸収方法により測定されそしてm/gとして報告される。
【0025】
実施例1〜23のための試験装置
実施例1〜23で使用される装置は米国特許第5,147,586号に記載の紡糸装置である。装置は、各高圧円筒形室の内容物に圧力を加えるようになっているピストンを備えた2つの高圧円筒形室からなる。円筒は1.0インチ(2.54cm)の内径を有しそして50立方センチメートルの内部容量を有する。円筒は、3/32インチ(0.23cm)の直径のチャンネル、及びスタティックミキサーとして作用する一連の細目スクリーンを含む混合室を介して一端で互いに接続されている。混合はスタティックミキサーを介して2つのシリンダの間で容器の内容物を前後に押しやる(force)ことにより達成される。オリフィスを開くための迅速に作用する手段を有する紡糸口金組立体がT字管(tee)を介してチャンネルに取り付けられる。紡糸口金組立体は、0.25インチ(0.63cm)の直径及び約2.0インチ(5.08cm)の長さのリード穴と、長さ及び直径が各々30ミル(0.72mm)である紡糸口金オリフィスからなる。ピストンは油圧系により供給される高圧水により駆動される。
【0026】
実施例1〜23で報告される試験においては、上記の装置にポリオレフィン及び紡糸剤のペレットを装入した。高圧水を使用してピストンを駆動して1500〜3000psig(10,170〜20,340kPa)の混合圧を発生させた。次いでポリマー及び紡糸剤を混合温度に加熱しそしてその温度に特定された期間保持し、その期間中ピストンを使用して2つのシリンダ間の約50psi(345kPa)又はそれより高い差圧を交互に確立して、ポリマー及び紡糸剤を混合チャンネルを通して1つのシリンダから他のシリンダに繰り返して押し込んで(force)混合を与えそして紡糸混合物の形成を行った。次いで紡糸混合物温度を最終紡糸温度に上昇させ、そしてそこで約15分又はそれより長く保持してその温度を平衡化し、その期間中混合を続けた。圧力減少室(pressure letdown chamber)にシミュレーションさせるために、紡糸混合物の圧力を紡糸のすぐ前に所望の紡糸圧力に減少させた。これは、紡糸セル(spin cell)と所望の紡糸圧力に保持された高圧水のはるかに大きいタンク(アキュムレータ)との間の弁を開けることにより達成された。紡糸セルとアキュムレータとの間の弁を開けて約1〜3秒後紡糸口金オリフィスを開けた。この期間は市販の紡糸装置の減少室における滞留時間に大体相当する。得られるフラッシュ紡糸生成物をステンレス鋼製の目の粗いスクリーンバスケットに集めた。紡糸期間中コンピュータを使用して紡糸口金のすぐ前で記録された圧力を紡糸圧力として入力した。
【0027】
実施例1〜23の実験条件及び結果を表1〜4に示す。最初SI単位系で得られていなかったすべての試験データをSI単位に変換した。データの項目が測定されなかったときは、それは表にnmとして記載される。
【0028】
実施例1〜8
実施例1〜8においては、デラウエア州、ウイルミントンのMontell(以前はHimontとして知られた)から入手した相対的に狭い分子量分布(MWD)を有するアイソタクチックポリプロピレンのサンプルを種々の濃度で使用した。紡糸剤として共沸混合物MCA及び71DEを使用した。ポリプロピレンは1.5のメルトフローレート(MFR)、80,200の数平均分子量、349,000の重量平均分子量を有していた。MWDは重量平均分子量体数平均分子量の比でありそして4.4であった。
【0029】
GE Specialty Chemicalsからのジホスファイト熱安定剤であるWeston 619Fを紡糸剤の全重量を基準として0.1重量%で加えた。
【0030】
【表1】
Figure 0003583719
【0031】
実施例9〜14
実施例9〜14では、Mitsui DX845ポリメチルペンテンのサンプルはMitsui Plastics,Inc(ニューヨーク、ホワイトプレインズ)から入手した。共沸混合物MCA及び71DEを紡糸剤として使用した。ポリメチルペンテンを種々の濃度で使用した。
【0032】
GE Specialty Chemicalsからのジホスファイト熱安定剤であるWeston 619Fを紡糸剤の全重量を基準として0.1重量%で加えた。
【0033】
【表2】
Figure 0003583719
【0034】
実施例15〜22
DuPontから入手可能なエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーであるTEFZEL(商標)HT2127のサンプルを紡糸剤として共沸混合物MCA及び71DEを使用してフラッシュ紡糸した。コポリマーは紡糸流体の20重量%で存在した。このタイプのコポリマーは235℃と280℃との間の融点を有する。
【0035】
【表3】
Figure 0003583719
【0036】
実施例23
Ausimontから入手可能なエチレン/クロロトリフルオロエチレンコポリマーであるフルオロコポリマー、HALAR(商標)200のサンプルを71DEの紡糸剤を含んで成る紡糸流体を使用してフラッシュ紡糸した。フルオロポリマーは紡糸流体の20重量%で存在した。HALAR(商標)200は0.7のメルトインデックス及び240℃の融点を有する。GE Specialty Chemicalsからのジホスファイト熱安定剤であるWeston 619Fを紡糸剤の全重量を基準として0.1重量%で加えた。
【0037】
【表4】
Figure 0003583719
【0038】
実施例24
Mitsui Plastics,Inc(ニューヨーク、ホワイトプレインズ)からのMitsui DX845ポリメチルペンテンのサンプルをMCA又は71DEのいずれかの紡糸剤中でフラッシュ紡糸した。ポリメチルペンテンは紡糸流体の50重量%で存在した。混合を1500psig(10,170kPa)で45分間150℃で行った。差圧は1000psi(6996kPa)であった。紡糸は840psig(5690kPa)アキュームレータ圧力で行い、紡糸は151℃で350psig(2310kPa)で行った。
【0039】
許容できる微孔質発泡体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】VERTREL(商標)MCA PLUSの紡糸剤中の種々の重量百分率におけるポリプロピレンの溶液についての曇り点データのプロットである。
【図2】HFE−71DEの紡糸剤中の種々の重量百分率におけるポリプロピレンの溶液についての曇り点データのプロットである。
【図3】VERTREL(商標)MCA PLUSの紡糸剤中の種々の重量百分率におけるポリメチルペンテンの溶液についての曇り点データのプロットである。
【図4】HFE−71DEの紡糸剤中の種々の重量百分率におけるポリメチルペンテンの溶液についての曇り点データのプロットである。
【図5】HFE−71DEの紡糸剤中の20重量%のTEFZELの溶液についての曇り点データのプロットである。
【図6】HFE−71DEの紡糸剤中の20重量%のHALARの溶液についての曇り点データのプロットである。

Claims (6)

  1. 合成繊維形成性ポリオレフィンのプレキシフィラメント状フイルム−フィブリルストランドの製造方法であって、(a)合成繊維形成性ポリオレフィン5〜30重量%と、(b)デカフルオロペンタン46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン40重量%及びシクロペンタン14重量%の混合物並びにパーフルオロブチルメチルエーテル50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン50重量%の混合物よりなる群から選ばれる紡糸剤とを含んで成る紡糸流体を、該紡糸流体の自発圧力より高い圧力で、より低い圧力の領域にフラッシュ紡糸することを含んで成る方法。
  2. 合成繊維形成性ポリオレフィンがポリプロピレン及びポリメチルペンテンよりなる群から選ばれる請求項1に記載の方法。
  3. 合成繊維形成性ポリオレフィンがエチレンとテトラフルオロエチレンの部分フッ素化コポリマー及びエチレンとクロロトリフルオロエチレンの部分フッ素化コポリマーよりなる群から選ばれ、但し該コポリマーは10〜40重量%の量で存在するものとする、請求項1に記載の方法。
  4. (a)合成繊維形成性ポリオレフィン5〜30重量%と、(b)デカフルオロペンタン46重量%、トランス−1,2−ジクロロエチレン40重量%及びシクロペンタン14重量%の混合物並びにパーフルオロブチルメチルエーテル50重量%及びトランス−1,2−ジクロロエチレン50重量%の混合物よりなる群から選ばれる紡糸剤とを含んで成る紡糸流体。
  5. 合成繊維形成性ポリオレフィンがポリプロピレン及びポリメチルペンテンよりなる群から選ばれる請求項に記載の紡糸流体。
  6. 合成繊維形成性ポリオレフィンがエチレンとテトラフルオロエチレンの部分フッ素化コポリマー及びエチレンとクロロトリフルオロエチレンの部分フッ素化コポリマーよりなる群から選ばれ、但し該コポリマーは10〜40重量%の量で存在するものとする、請求項に記載の紡糸流体。
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