JP3582815B2 - エンボスキャリアテープ成型機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、小型電子部品などを収納するポケットをエンボス成型によりテープ長手方向に連続的に設けたエンボスキャリアテープの成型機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
キャリアテープはIC、トランジスタ、ダイオード、コンデンサなどの表面実装用小型電子部品を電子機器の自動組立ラインに供給するために、小型電子部品を長尺なテープに設けられた収納ポケットに一個ずつ収納できるようにしたものであって、収納ポケットそれぞれに同じ小型電子部品を収納配置してなるこのキャリアテープを実装機械へ巡回させ、所定位置で前記小型電子部品を取り出して電子回路基板へ表面実装する自動実装が行えるようにしている。
この種のキャリアテープの製造方法としては、広幅の熱可塑性樹脂製テープを成型機に間欠的に送給し、予熱工程で所定の温度に加熱し、エンボス成型によって収納ポケットを成型し、スプロケット係合孔および突き出し孔を穿孔し、所定の幅にスリットして巻き取る方法が取られている。
【0003】
ところで、予熱工程においては、送給されるテープの上下面からヒータにより放射加熱によりテープ全面が加熱されると、熱効率が悪い上に、加熱による伸びなどのために両端部をカットする必要が生じて製品ロスに繋るという問題があった。
また、熱可塑性樹脂製テープのエンボス対象領域にヒーターを当接して直接加熱を行うと、両端部をカットする製品ロスは避けられる。しかし、一段で加熱が行われるとテープが短時間に急速に成型必要温度まで加熱されるために必要以上に高温でテープにストレスが加えられるので熱収縮が大きくなるという問題もあった。
さらに、テープが間欠的に送給されるので、テープの停止時にはテープから離れて位置するヒーターからの輻射熱によりテープに悪影響が及び、精密なエンボス成型に支障を来していた。このようにテープの停止時にヒーターからの輻射熱による悪影響を回避するために、テープの停止と同期してヒーターを輻射熱の影響が及ばない位置へ移動させる機構も考えられているが、機構が複雑である上に生産性が低下するという問題があった。
【0004】
エンボス成型の方法としては、雌雄一対の金型を使用するプレス成型、凹型または凸型の金型を使用する圧空成型または真空成型などがある。
しかしながら、プレス型を用いる場合には、雌雄一対の金型を必要とするために設備費が増加することや、雌雄の金型が成型時のテープとの摩擦により摩耗し型精度が低下したり、とくに深絞り成型の場合にはエンボスの成型面に傷や割れが生じて製品歩留りを低下させるなどの問題があった。
また、圧空成型や真空成形に用いられる凹型または凸型の金型も品種及びサイズに対応した金型一式が必要となり、金型コストの低下が要望されていた。
【0005】
エンボス成型後、スプロケット係合孔および突き出し孔を穿孔するが、エンボスの位置に対するスプロケット係合孔および突き出し孔の相対位置に関して精度よく穿孔するのは容易ではなく、IEC(International Electrotechnical Commission)、EIA(Electronic Industries Association)、EIAJ(Standard of Electronic Industries Assotiation of Japan)などの規格に合格していることが必要であるが、テープ加熱や高速成型によるテープの伸びなどにより運転時間の経過に伴い累積誤差が生じて規格に合格しなくなるという問題も生じていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑み、適正な加熱でテープに悪影響を及ぼすことなく高精度でエンボス成型が可能で、かつ深絞り成型においても均一な肉厚の成型が可能であり、安価な設備コストで生産性に優れたエンボスキャリアテープ成型機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、熱可塑性樹脂からなる帯状のシートをエンボス成型して所定形状とした複数のポケットをシート長手方向に沿って連続的に設け、パンチ加工して前記各ポケットの底部に突き出し孔を設けるとともに、前記ポケットの列に沿ったフランジ部に定間隔にしてスプロケット係合孔を設けたエンボスキャリアテープの成型機であって、前記シートを定量の移送長さで間欠移送する移送行程に、エンボス成型前の前記シートを予備加熱して昇温させる予備加熱手段と前記予備加熱手段を経て昇温した前記シートを本加熱して予備加熱より高い温度に昇温させる本加熱手段と前記シートに空気を吹き付けて前記両加熱手段からシートへの輻射熱を遮断する輻射熱遮断手段とを有する加熱部と、前記加熱部を経て移送されてきたシートに対して前記移送長さごとに圧空成型によるエンボス成型を行い、それぞれ所定形状にしてシート長手方向に沿って連続的に並ぶ複数のポケットを成型する成型部と、前記成型部を経て移送されてきたシートにおけるエンボス成型部分のポケット間部を基準としてシートの位置決めを行う位置決め手段を有するパンチ部を備えたことを特徴とするエンボスキャリアテープ成形機を提供して、上記課題を解消するものである。
そして、本発明では、上記成型部においてエンボス対象領域に対して部分冷却を施す冷却手段を有することが良好である。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明を図1から図8に示す実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1はエンボスキャリアテープ成型機1を概略的に示していて、該成型機1は、熱可塑性樹脂からなり所定幅とした帯状のシートAを繰り出す供給部Bから成型加工後のエンボスキャリアテープCを巻き取る巻取部Dまでの移送行程Fに、その移送方向Xの上流側から、上流チャック部2、加熱部3、成型部4、パンチ部5、下流チャック部6、固定チャック部7、カッター部8を順に設けたものである。
上記成型機1では、上流チャック部2と下流チャック部6とが図示していないロッドにより連結されていて、上流チャック部2でのシートAの挟み込み動作、定量の移送長さでの移送動作、シートAの開放動作と、下流チャック部6でのエンボス成型されたシートAの挟み込み動作、定量の移送長さでの移送動作、前記シートAの開放動作とが同期するようにしており、この同期動作する上流チャック部2と下流チャック部6とにより、移送行程においてシートAを定量の移送長さで間欠移送させるようにしており、移送動作の間の停止時に、加熱部3と成型部4とパンチ部5がシートAへの加熱動作、成型動作、加工動作を行うようにしている。
【0009】
上記加熱部3は移送方向Xの上流側から予備加熱手段9と本加熱手段10とを並び設けたもので、両手段9,10の間には所要の間隔は配されている。図2に示されているように、予備加熱手段9は上盤9aと下盤9bが上下方向に対峙してその上下盤の間にシートAを通すことができるもので、前記シートAが停止した時点で、その上盤9aと下盤9bが前記シートAを挟み込むように上下方向から移動するものである。同様に、前記本加熱手段10にあっても、上盤10aと下盤10bが上下方向に対峙してその間にシートAを通すことができ、シートAが停止した時点で、上盤10aと下盤10bがシートAを挟み込むように上下方向から移動するように設けられている。この両加熱手段9,10の上下盤の開閉動作は同時に行われるようにしているものであって、図1に示すように、上盤9a,10aが支持部材11aにより相互に連結された状態で昇降手段11に上げ下げされるようにし、また、下盤9b、10bが支持部材11bにより相互に連結された状態で同様に前記昇降手段11に上げ下げされるようにしており、前記支持部材11a,11bが昇降手段11にラックピニオン構成で連結され、上盤9a、10aの組と下盤9b,10bの組とが互いが上下方向において逆方向に動作するようにしている。即ち、昇降手段11のピニオンの正反転で予備加熱手段9と本加熱手段10とが開いたり閉じたりするようにしている。
【0010】
図2においては予備加熱手段9の構成を示している。予備加熱手段9は上述したように上盤9aと下盤9bとがシートAを挟み込めるように上下方向に対峙しており、その上下盤9a,9bそれぞれに熱源としてヒーター12が埋め込まれている。また、シートAと対向する側それぞれには、そのシートAにシート長手方向とシート幅方向とに複数のポケットを成型するパターンで凸体を並び設けた加熱凸部13が配置されており、前記ヒーター12からの伝導熱が前記加熱凸部13の凸体に伝わり、そして、この上方の加熱凸部13における凸体と下方の加熱凸部13の凸体とが上下方向において重なる位置にあって、上盤9aと下盤9bとでシートAを挟み込むことで上下の加熱凸部13の各凸体がそれぞれシートAに接触し、加熱すべき位置を選択的に加熱昇温させるようにしている。前記加熱凸部13はテフロンシートからなるカバーシート14に覆われていて、上下盤9a,9bに対してシートAが密着しないようにしている。なお、図2においては予備加熱手段9を示しているが、本加熱手段10も同じ構成を有している。
【0011】
上述したように加熱部3では、予備加熱手段9と本加熱手段10との二つの加熱手段を有している。そして、予備加熱手段9ではシートAを予備加熱して所定温度まで昇温させ、さらに、この予備加熱手段9で昇温されたシートAを本加熱手段10にて前記予備加熱手段9での所定温度より高い温度とした所定温度まで昇温させるように設けられていて、シートAを二段階にして昇温し、後述の成型部でのエンボス成型が行えるまでの設定温度になるようにしている。
このように加熱部3では挟持状態で保持しながらシートAの必要部分のみを昇温させているため、シートAの幅方向における熱収縮を最少限にしている。この点、従来の加熱方法は、シート全面に対して間接熱風加熱を行ったり或いは遠赤外線を照射したりしていて、シートが幅方向に熱収縮して後加工にて両端をカットする必要が生じており、製品幅に対するロスが大きいものとなっている。
また、従来では短時間にシートを昇温させるようにしているため、必要以上の高温でシートにストレスを与えてしまい熱収縮が大きいものとなっているが、上述のようにこの加熱部3では段階的に昇温しているため、所定温度までのシートの温度コントロールが容易になり、ストレスがなく適正に昇温されたシートを成型部側へと送り出せるようになる。
【0012】
さらに上記加熱部3には輻射熱遮断手段15が設けられている。この輻射熱遮断手段15は上記予備加熱手段9よりやや上流側から上記本加熱手段10よりやや下流側に亘ってシートAの一方の側辺に沿うようにして配置されている。図3に示されているように、この輻射熱遮断手段15はシート移送方向と直交する方向での断面形状においてシートA側を開放部分とした略コ字形状に設けられているとともに、その内部には上下二股に別れた空気通路15aを有し、この空気通路15aがこの輻射熱遮断手段15の長手方向に配置されている。
輻射熱遮断手段15では、空気通路15aに図示しない供給源から所定温度に設定するなどした空気が送り込まれ、その空気通路15aからシートAの上面側と下面側とに沿って圧縮空気を吹き出すようにしており、その圧縮空気の吹き出しは装置(稼働)一時停止時に行われ、待機位置にある予備加熱手段9および本加熱手段10とシートAとの間にエアカーテンを形成して、待機位置にある予備加熱手段9と本加熱手段10から出る輻射熱がシートA側に伝わらないようにしている。
さらに、図3に示されているように、この輻射熱遮断手段15はスプリング15bを介して支持部15cに支持されており、シートAの他方の側辺に沿って位置して断面形状(シート移送方向Xに直交する方法での断面形状)がシートA側を開放部分とする略コ字形状で位置固定とした基準ガイド体16に相対している。そして、前記基準ガイド体16とこの輻射熱遮断手段15との間をシートAが通るように案内しているものであり、シートAの移送時のブレを前記スプリング15bにて押さえ込んで基準ガイド体16に案内されながら移送されるようにシートAの幅方向での位置決めを行っている。
【0013】
成型部4は、上記加熱部3を経て移送されてきたシートAに対して前記移送長さごとに圧空成型によるエンボス成型を行うものであり、図4に示されているように、下面部をシートAに接するようにして配置された上金型4aとシートAを挟み込むことができるように上下移動可能に設けられた下金型4bとからなるものである。そして、前記下金型4bにあっては、ベース4cの上部成型金型4dを取り付けた中子方式としており、上金型4aと下金型4bとを型締しエンボス成型したときに、上金型4aのキャビティ4eに送り込まれた圧縮空気がシートAを前記成型金型4dに押さえ付け、この成型金型4dによって、間欠移送における定量の移送長さのシートAに対して、それぞれ所定形状にしてシート長手方向および幅方向に沿って連続的に並ぶ複数のポケットが成型されるようにしている。
このように成型部4では、下金型4bをベース4cと成型金型4dとに分け、エンボス成型するポケットの形状やピッチなどが変更された場合には、この成型金型4dのみを交換することで対処できるようにしており、下金型4b全体を交換する必要がないものとしている。
上記成型部4におけるシートAに対してのエンボス成型は、送り込まれてくる移送長さGのシートAごとに行われるものであり、エンボス成型された移送長さGのシートA同士が繋がる部分でも成型されたポケットのピッチが変化しないようにしている。
【0014】
この成型部4において上記上金型4aのキャビティ4eには、上金型4aを貫通したステー17aに連結された取付板17bに複数の接触体17cを、エンボス成型するポケットに対応するように配置してなる冷却手段17が設けられている。この冷却手段17は成型部4に送り込まれた一移送長さGのシートAのエンボス対象領域に対して接触による部分冷却を行うようにしたもので、前記接触体17cの下端を成型金型4dにおける各型部の底部形状より若干小さくするとともに、加熱部3にて昇温されたシートAの温度よりも低い温度状態とし、これをシートAのエンボス対象領域に接触させることで、エンボス成型時に前記成型金型4dの各型部の底部側に入り込むことになる部分の温度を下げ、図4(ロ)に示すように、エンボス成型されたポケットHの底の肉厚が薄くならないようにしている。
そして、この成型部4において深絞りのポケット(5mm以上の深さを有するポケット)をエンボス成型する場合には、図示されているシリンダ装置18に上記冷却手段17のステー17aを連結し、圧縮空気の送気とともにこのシリンダ装置18の動作で冷却手段17を降下させ、接触体17cをシートに接触させたままでポケットを成型するようにする。このように冷却手段17の降下を伴わせることで、深絞りの場合でもポケットの底の肉厚が小さくなるのを抑えることができる。
このように何れの場合においてもポケットの底部の肉厚が薄くならないようにしているため、小型電子部品を収納するパッケージとしての強度を保つことができる。
なお、図4において19は冷却水の通路を示している。また、図1において20は下金型4bをシートAの間欠移送のタイミングに応じながら昇降させるカム機構体を示している。
【0015】
図5は上記パンチ部5をシートAの幅方向に沿った概略的な断面を示しており、図6は同じくパンチ部5をシートAの移送方向Xに沿った概略的な断面を示している。また、図8はエンボス成型及びパンチ加工して得られたエンボスキャリアテープCの平面を示している。前記図5に示されているようにパンチ部5は、成型部4から移送されてきたエンボス成型済みのシートAを下方から支持する受け台5aと、この受け台5aの上部に上下移動可能に対向配置されたパンチカバー5bと、前記受け台5aとパンチカバー5bとの間に配置されたストリッパー5cとからなるものである。そして、前記受け台5aにあっては、成型部4から移送されてきたエンボス成型済みのシートAを移送方向に移動可能な状態のまま支持できるようにポケットHの列に対応する凹溝5dを備え、その凹溝5dそれぞれにダイスペーサー5eとその上にダイプレート5fとを挿入配置している。また、一方、パンチカバー5bにあっては上下方向に所定回転角度の範囲で回動動作する揺動体5gにカム体5hが係止してなるカム機構体5iを介して前記揺動体5gの動作により上下方向に上げ下げされるものであり、そして、このパンチカバー5bの下面側には、前記ポケットHの底部に突き出し孔を開けるためのセンターピン5jとポケットHの列それぞれに沿って位置するフランジ部Iに所定間隔で配置させるスプロケット係合孔を開けるためのサイドピン5kとが突出配置されており、前記受け台5aにエンボス成型済みのシートAが停止して後述の位置決めが行われた状態のときに、前記パンチカバー5bが降下し、前記ストリッパー5cに開口されている各透孔5lを通してセンターピン5jとサイドピン5kが下がり、前記センターピン5jにあってはポケットHの底部に突き出し孔5m(図8参照)を開けてダイプレート5fを通り、サイドピン5kにあってはフランジ部Iにスプロケット係合孔5n(図8参照)を開けて受け台5a側に開口されたサイドピン受け入れ用の透孔5oに入るようにしている。
センターピン5jによる突き出し孔5mの開口で生じるカスは、ダイプレート5fの透孔5pとダイスペーサー5eに設けた透孔5qとその下部の受け台5aにおける透孔5rとを通って下方に落ち、サイドピン5kによるスプロケット係合孔5nの開口で生じるカスは、受け台5aのサイドピン受け入れ用の前記透孔5oを通って落ち、下方のカス受け5sにて受け止められるようにしている。
前記ストリッパー5cはシートAを受け台5aとで挟み込み保持するとともに、各ピンの降下量を規制するものである。そして、このストリッパー5cとパンチカバー5bとの間には第一のスプリング5tが配置されているとともに、ストリッパー5cと受け台5aとの間には第一のスプリング5tより圧縮応力が小さい第二のスプリング5uが配置されており、パンチカバー5bが降下する際にストリッパー5cが降下してシートAの挟み込みが先に行われるようにして突き出し孔5mとスプロケット係合孔5nの開口が行われ、また、パンチカバー5bが上昇する際には各ピンがシートAから上方へ抜けるまでこのストリッパー5cと受け台5aとでシートAの挟み込み状態を維持し、その後、ストリッパー5cが受け台5aから離れるようにしてシートAが各ピンに同伴しないようにしている。
【0016】
図6に示されているように、パンチ部5においてはシリンダー装置21aにより係止体21bを上げ下げし、その係止体21bをシートAに係止させるようにした位置決め手段21を備えている。この位置決め手段21はパンチ部5の下流側に位置して上記位置固定の受け台5aに取り付けられていて、図7に示されているようにシリンダー装置21aに取り付けられた水平板21cからシートAの両側にステー21dが降り、この一対のステー21dにより前記係止体21bを支持するようにしている。そして、前記係止体21bにあってはシートAの幅方向に亘る立て板状のものであって、この係止体21bが上昇したときに、複数のポケットHがシート長手方向に並んでポケット突出側に形成されるポケット間部Jにその上端21eが嵌合し、上記各ピン5j、5kに対してシートAにエンボス成型されたポケットHの位置が適正位置となるように位置決めを行う。特に前記係止体21bの上端21eはポケット間部Jのシート移送方向に沿った下面側断面形状に対応しており、図示した例にあっては上端21eのシート移送方向での断面形状が先細り状とされ、かつ、シート一般部(ポケット以外の部分)に上端21eが当接しないように設けられている。
このようにパンチ部5では上述の位置決め手段21の係止体21bをポケットHの間に嵌合させることで位置決めを行っており、簡易な構成でポケットHに対する適正位置に突き出し孔やスプロケット係合孔を開けることができるようにしている。
【0017】
上記固定チャック部7は間欠移送の停止時のシートAを保持するものであり、また、カッター部8にあっては、ポケットHの列ごとにこのシートAを切断するものであり、このカッター部8を経ることでエンボスキャリアテープCが得られ、このエンボスキャリアテープCが巻取り部Dに巻き取られる。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のエンボスキャリアテープ成型機は、熱可塑性樹脂からなる帯状のシートをエンボス成型して所定形状とした複数のポケットをシート長手方向に沿って連続的に設け、パンチ加工して前記各ポケットの底部に突き出し孔を設けるとともに、前記ポケットの列に沿ったフランジ部に定間隔にしてスプロケット係合孔を設けたエンボスキャリアテープの成型機であって、前記シートを定量の移送長さで間欠移送する移送行程に、エンボス成型前の前記シートを予備加熱して昇温させる予備加熱手段と前記予備加熱手段を経て昇温した前記シートを本加熱して予備加熱より高い温度に昇温させる本加熱手段と前記シートに空気を吹き付けて前記両加熱手段からシートへの輻射熱を遮断する輻射熱遮断手段とを有する加熱部と、前記加熱部を経て移送されてきたシートに対して前記移送長さごとに圧空成型によるエンボス成型を行い、それぞれ所定形状にしてシート長手方向に沿って連続的に並ぶ複数のポケットを成型する成型部と、前記成型部を経て移送されてきたシートにおけるエンボス成型部分のポケット間部を基準としてシートの位置決めを行う位置決め手段を有するパンチ部を備えたことを特徴とするものである。このようにエンボスキャリアテープ成型機ではシートを複数段階にして昇温させて成型部へと送り出すようにしているため、短時間にシートを成型必要温度まで昇温させる必要がなく、急激な温度上昇によるシート側へのストレスの発生を抑えて熱収縮を生じさせることがない。さらに、加熱部において各加熱手段からの輻射熱の伝わりを遮断するようにしているため、輻射熱の伝わりによる不良な加熱を抑えることができる。
また、パンチ部では位置決め手段によりシート自体に形成されているポケット間部を利用してポケットに対するシートの突き出し孔やスプロケット係合孔の位置決めを行うため、ポケットの位置と突き出し孔やスプロケット係合孔の位置決めが、それぞれ別個に設定されている場合に、テープ加熱や高速成型によるテープの伸びなどにより運転時間の経過に伴い生じてくる累積誤差を無くすことができるなど、実用性に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るエンボスキャリアテープ成型機の一例を概略的に示す説明図である。
【図2】一例における加熱部の予備加熱手段を示す説明図である。
【図3】同じく加熱部における輻射熱遮断手段を示す説明図である。
【図4】エンボス成型を示すもので、(イ)は成型部を示す説明図、(ロ)はポケットを断面で示す説明図である。
【図5】パンチ部をシート幅方向に沿った断面で示す説明図である。
【図6】パンチ部と位置決め手段とを示すもので、(イ)はパンチ部をシート移送方向に沿った側面で示す説明図、(ロ)は位置決め手段の係止体とポケット間部の係合状態を示す説明図である。
【図7】位置決め手段をシート移送方向側から見た状態で示す説明図である。
【図8】エンボスキャリアテープを示す説明図である。
【符号の説明】
1…エンボスキャリアテープ成型機
A…シート
C…キャリアテープ
D…巻取部
F…移送行程
G…移送長さ
H…ポケット
I…フランジ部
J…ポケット間部
3…加熱部
4…成型部
5…パンチ部
8…カッター部
9…予備加熱手段
10…本加熱手段
15…輻射熱遮断手段
17…冷却手段
18…シリンダ装置
21…位置決め手段
Claims (2)
- 熱可塑性樹脂からなる帯状のシートをエンボス成型して所定形状とした複数のポケットをシート長手方向に沿って連続的に設け、パンチ加工して前記各ポケットの底部に突き出し孔を設けるとともに、前記ポケットの列に沿ったフランジ部に定間隔にしてスプロケット係合孔を設けたエンボスキャリアテープの成型機であって、前記シートを定量の移送長さで間欠移送する移送行程に、
エンボス成型前の前記シートを予備加熱して昇温させる予備加熱手段と前記予備加熱手段を経て昇温した前記シートを本加熱して予備加熱より高い温度に昇温させる本加熱手段と前記シートに空気を吹き付けて前記両加熱手段からシートへの輻射熱を遮断する輻射熱遮断手段とを有する加熱部と、
前記加熱部を経て移送されてきたシートに対して前記移送長さごとに圧空成型によるエンボス成型を行い、それぞれ所定形状にしてシート長手方向に沿って連続的に並ぶ複数のポケットを成型する成型部と、
前記成型部を経て移送されてきたシートにおけるエンボス成型部分の端部を基準としてシートの位置決めを行う位置決め手段を有するパンチ部を備えたことを特徴とするエンボスキャリアテープ成形機。 - 上記成型部においてエンボス対象領域に対して部分冷却を施す冷却手段を有することを特徴とする請求項1に記載のエンボスキャリアテープ成形機。
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