JP4731767B2 - ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置に関し、特に、焼却処分可能なポリプロピレンフィルムを用いてブリスター包装する際、ブリスターシートの反りを防ぎ、かつ凹陥部（以下、「ポケット」という。）を形成する部分のフィルム厚を、可能な限り厚くなるようにして形成することができるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ＰＶＣフィルム等のフィルムを用いて薬品等の錠剤を包装するブリスター包装においては、間欠的に連続して繰り出される長尺のフィルムを、対向して配設し、接離方向に移動するようにした平板状の加熱盤間にて挟持して所望の加熱を行い、この加熱軟化されたフィルムに、錠剤１錠又は複数錠を収納するようにしたポケットを成形型にて成形し、その後各ポケットに錠剤を供給し、このポケットを有するフィルムにアルミ箔を添わせることによりポケットを密封し、このポケットの所要数を１シートとなるように切断し、製品とするようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のブリスター包装機におけるフィルムの成形は、一般にテープ状のＰＶＣフィルムを巻き取ったロールより、該フィルムを連続或いは間欠的に巻き戻し、この巻き戻しと連動して該フィルムの両面と対向し、かつフィルムに対し接離方向に移動するように配設した加熱装置にて、ポケットを整形するに適した温度になるようフィルム全面を加熱し、その後成形装置に供給し、一方の成形型より該フィルムの一部を所要のポケット状に成形し、このポケットに錠剤を充填した後、アルミ箔を添わせて密封するようにしている。
【０００４】
このため、加熱したフィルムの一部を所要のポケット状に成形するには、ＰＶＣフィルムは適しているが、ＰＶＣフィルム全面を加熱して成形しているため、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケット天面部のシート厚が極端に薄くなっているので、これに錠剤を充填した後、２シートをそのポケットを対向し、互いにポケットを互い違いにして重ね合わせて包装する場合、或いは販売する場合、このポケットが変形しやすいという問題があった。
【０００５】
また、ＰＶＣフィルムよりポケットを成形したフィルムを１シート毎に切断し、ブリスターシートとする場合、シート形状に切断した周囲部分は、スクラップとなる。この製品とスクラップとを分離して取り出し、スクラップのみを処分するようにしている。しかし、このスクラップは焼却すると高温を発生し、焼却炉を破損するため、近年は埋め立てなどによって処分しているので、スクラップ処理費が高価となっている。この問題を防止するため、通常のごみ焼却炉にて焼却可能なポリプロピレンフィルムを用いてブリスターシートを成形するようになってきた。
【０００６】
このポリプロピレンフィルムシートは、ＰＶＣフィルムシートと同様に、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケットの天面部となる位置のシート厚が極端に薄くなり、錠剤を充填した後、ポケットが変形しやすいという問題があるとともに、さらに該フィルムを全面加熱して成形すると、ポリプロピレンフィルムシートとアルミ箔との熱収縮率が異なり、錠剤充填後のブリスターシートに反り返りが発生するものとなり、これがためポケット面を互いに対向するようにシートを重ねて包装するとき、機械により自動的に重ねることができず、作業員の手作業にて行わねばならず、作業能率が悪いという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記従来のブリスター包装機のフィルムを加熱してポケットを成形する際の問題点に鑑み、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法は、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持し、成形型側から圧縮空気を噴射して、成形型のポケット穴に対向して配設した加熱されたプラグの表面に押圧接触させてフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、成形型側からの圧縮空気の噴射を停止し、次いでプラグをフィルムの加熱位置から後退させるとともに、加熱型側から圧縮空気を噴射して、前記フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしたことを特徴とする。
【０００９】
このブリスター包装機のフィルム加熱成形方法は、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、加熱型側から圧縮空気を噴射して、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしていることから、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができる。
【００１０】
また、同じ目的を達成するため、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持して加熱し、前記加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置において、加熱成形装置の型を、ポケット穴を備えた成形型と、成形型のポケット穴に対向して配設されるフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱するとともに、加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形する際にフィルムの加熱位置から後退するようにしたプラグを備えた加熱型と、成形型側及び加熱型側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構とで構成したことを特徴とする。
【００１１】
このブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、成形型側及び加熱型側にそれぞれ圧縮空気の噴射機構を配設し、加熱型に備えたプラグにより、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱することができるとともに、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形することができるので、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができる。
フィルムの間欠繰り出しと同期して開閉動作をするように、加熱成形装置を加熱型と成形型とにより構成し、かつ加熱されたフィルムを圧縮空気圧にてポケット穴内に沿うよう押圧するようにしているから、ポケットの成形が精度良く容易に、確実に行うことができる。
【００１２】
そして、ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させるとき、プラグを後退させるようにすることにより、加熱され軟化したフィルムが加熱型のプラグより確実に離間し、この状態で噴射される圧縮空気が均一にフィルム面に作用するものとなり、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように確実に延伸させ、ポケットの成形を正確に行うことができる。
【００１３】
この場合において、成形型のポケット穴の内底部に圧縮空気の噴射孔を形成することができる。
【００１４】
これにより、フィルムを、成形型側から加熱型に備えたプラグに、均一に押圧接触させて加熱することができ、精度の良い、形状の美しいポケットを成形することができる。
【００１５】
また、加熱型のプラグ挿通孔から圧縮空気を噴射するようにするとともに、加熱型を水冷ジャケット構造とすることができる。
【００１６】
これにより、フィルムの加熱部分と非加熱部分とを明確に区分することができ、加熱部をフィルムが軟化する程度に加熱しても非加熱部が冷却されているから、反りのないブリスターシートを成形することができる。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００１８】
図１に、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法の工程を、図２〜図８に、本発明のブリスター包装機の加熱成形装置の一実施例を示す。
【００１９】
本発明のブリスター包装機は、図８に示すように、ポリプロピレンフィルムＦを巻収したるロールフィルムＲ１より順次繰り出されたフィルムＦは、フィルム接続台１を経て繰出ローラ２により繰り出され、定テンションロール３により張力等が調整された後、ガイドローラ４により次の加熱成形装置５へ間欠的に供給され、ここで所要のポケットを成形された後、成形送りローラ６よりフィルムガイドレール７へ送られ、これを経てフィルムガイドレール７上で、錠剤供給装置（図示省略）より各ポケットに錠剤が供給された後、シート状のアルミ泊を巻収したるアルミ箔ロールＲ２より順次繰り出されたアルミ箔Ａｌとシールロール８，９によりシールし、ダンサーロール１０、スリッター１１、ガイドローラ１２を経て刻印装置１３にて刻印し、打ち抜きダイセット１４にて打ち抜き、ここでシート状の製品とスクラップとを分離して、シート状製品を排出シュート１５を経て取り出すように構成する。
【００２０】
この加熱成形装置５は、図２に示すように、成形型５Ａと加熱型５Ｂとを接離方向に移動可能に対設して構成し、この成形型５Ａと加熱型５Ｂ間を、前記連続シート状のフィルムＦを挿通するようにし、このフィルムＦの間欠的な送りと、成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間の接離動作とを同期させる。
この対設する成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間を、連続シート状のフィルムＦが、ほぼ垂直の下方から上方に向かって移動するようにする。
【００２１】
成形型５Ａは、図２及び図７に示すように、対向する加熱型５Ｂに対し、接離方向に移動可能とした取付台５１に成形型本体５０を取り付けて構成する。この成形型本体５０は、その表面に、１シートに複数の錠剤、これは特に限定されるものではないが、例えば、１０〜１２錠を収納できるように、１０〜１２のポケットを形成するシートを、同時に複数枚、特に限定されるものではないが、図示の実施例のように８シートを同時に成形できるように窪んだ複数のポケット穴５２を整列して形成するとともに、各ポケット穴５２内に圧縮空気の噴射孔５３ａを介して調圧された圧縮空気を供給するように圧縮空気供給路５３を形成して構成する。
なお、このポケット穴５２の形状は、図示のものに限定されるものではないが、各ポケット穴５２内に圧縮空気の噴射孔５３ａを介して導通するようにした圧縮空気供給路５３は圧縮空気源（図示省略）に接続され、複数のポケット穴５２内に同期して圧縮空気が供給されるようにする。
【００２２】
また、他方の加熱型５Ｂは、図２から図６に示すように、成形型５Ａと対向し、通常は固定するが、成形型５Ａと同様に、対向する成形型５Ａに対し、接離方向に移動可能とすることもできる。
さらには、対向する成形型５Ａと加熱型５Ｂとは、接離方向に移動するも、上下方向には固定するものであるが、加熱されるフィルムの送り速度を速め、生産性を向上するため、フィルムの間欠的な送りと同期して上下方向にも移動するようにすることもできる。
加熱型５Ｂは、取付台５４に加熱型本体５５をボルト等の取付具を介して固定するとともに、この加熱型本体５５内に、ヒータベース５６、プラグ取付板５７を装着し、このプラグ取付板５７に、前記成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ５８を突設して構成する。
【００２３】
加熱型本体５５は、図４、図５に示すように、加熱型本体５５の裏面側には、加熱型本体５５を刳り貫いた窪み５５ｂを形成し、裏面側５５ａには、成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ挿通孔５５ｃを形成するとともに、一端側に冷却水供給口５５ｆと排水口５５ｇとを形成し、かつこの冷却水供給口５５ｆと排水口５５ｇ間を結ぶように加熱型本体５５内に、特に限定されるものではないが、通水路５５ｅをトンネル状に形成し、吸水された冷却水が加熱型本体５５内を循環し、加熱型本体全体を冷却するようにする。
なお、裏面側外周面にはリング形の溝５５ｄを形成し、取付台への装着をより確実に行えるようにする。
【００２４】
プラグ取付板５７は、図６に示すように、加熱型本体５５の窪み５５ｂ内に挿入される厚板状で、取付孔５７ｃを形成し、これによりボルト又はビスにて加熱型本体５５に固定するようにするとともに、プラグ取付板５７には、成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ挿通孔５５ｃと同じ位置にプラグ取付孔５７ａを形成し、さらに内部には左右又は上下に嵌通する複数本のヒータ貫通孔５７ｂを形成して構成する。
そして、ヒータ貫通孔５７ｂ内にはパイプ状のヒータを嵌通し、プラグ取付孔５７ａにはプラグ５８をねじ止め等にて固定し、これによりプラグ取付板５７の表面側に複数本のプラグ５８が整列されて突設するようになる。
【００２５】
このようにプラグ５８を植設したプラグ取付板５７を、加熱型本体５５の窪み５５ｂ内に挿入したとき、各プラグ５８は、プラグ挿通孔５５ｃ内に挿通されるようにする。この場合、プラグ５８の先端面は、加熱型本体５５の表面とほぼ面一となるようにし、かつプラグ５８の外周面とプラグ挿通孔５５ｃの内周面との間には隙間を形成し、該隙間から成型用の圧縮空気が成形型５Ａのポケット穴５３内に向かって噴射するようにする。
【００２６】
次に、ブリスター包装機のフィルム加熱成形装置を用いてフィルムにポケットを成形する方法について、図１を参照して説明する。
ロールフィルムＲ１に巻回されたフィルムＦは、加熱成形装置５の開閉駆動と同期してロールフィルムＲ１よりフィルム接続台１を経て繰出ローラ２にて間欠的に順次繰り出される。このとき、定テンションロール３により張力が調整され、ガイドローラ４を経て、離間するように対向している加熱成形装置５の成形型５Ａと加熱型５Ｂ間に、予め設定された長さのフィルムが導入されると、繰り出しは停止し、離間している成形型５Ａと加熱型５Ｂ間が閉じられる。
【００２７】
このとき、フィルムＦは、成形型５Ａと加熱型５Ｂ間の外周部にて挟持されるようになるが、成形型面においては、図１に示すように、成形型５Ａ、加熱型５Ｂの成形面間は、フィルム厚よりも大きく設定しているため、成形型５Ａ、加熱型５Ｂの成形面間内にてフィルムＦは、その厚み方向に若干距離自由に移動できるようになる。成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間が閉じられると、成形型５Ａ側の圧縮空気供給路５３から供給される圧縮空気が、圧縮空気の噴射孔５３ａを介して、各ポケット穴５２から噴射され、フィルムＦを、相手側の加熱型５Ｂの成形面に押圧する。この加熱型５Ｂに配設されたヒータによりプラグ取付板５７を介して植設された各プラグ５８が加熱されているため、圧縮空気にて押圧されるフィルムＦは、このプラグ５８の先端面に押圧されるものとなり加熱される。
なお、このとき、各プラグ５８が挿通されているプラグ挿通孔５５ｃの外周部の加熱型本体５５は、内部が水冷ジャケット構造で冷却水が挿通されているので、プラグ挿通孔５５ｃの外周部の加熱型５Ｂ面に押圧されるフィルムは加熱されることがない。このようにフィルムＦは局部的に所定温度に加熱される。
【００２８】
次に、成形型５Ａ側の圧縮空気供給路５３からの圧縮空気の供給を停止するとともに、プラグ５８の外周面とプラグ挿通孔５５ｃの内周面との間に形成された隙間５５ｃより圧縮空気を噴射する。これにより、局部的に加熱されたフィルムＦは、加熱型５Ｂ側より成形型５Ａ側に押圧されるものとなる。
このとき、局部的に加熱され、軟化されているフィルムＦは、加熱されている部分のみが成形型５Ａのポケット穴５２の内周面に沿って延伸されるようになり、ポケットが成形される。特に、ポケット穴５２の外周径よりもプラグ５８の先端面径が若干大径、特に限定されるものではないが、例えば、１ｍｍ程度大きくなるように設定しているので、このポケット穴５２の外周部のフィルムＦ２が、ポケット穴５２の内底部のフィルムＦ１よりも延伸量が大となり、加熱され、軟化されているフィルムＦの延伸がポケット穴５２内周面部よりもポケット穴５２の内底部で厚くなるようなる。
これにより、ポケット穴５２内に錠剤を充填しても、ポケット穴５２の内底部の変形を防止することができる。
成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間にてフィルムＦにポケットが成形された後、該両型間を離間し、次のフィルムを間欠的に送ることにより、フィルムのポケット成形部分は成形型５Ａより離間し、次の未成形のフィルムが導入されるようになる。
【００２９】
この場合、加熱され、軟化されているフィルムの延伸が、ポケット穴５２内周面部にてポケット穴５２の内底部よりも、確実に、かつ容易に薄くなるようにするため、隙間５５ｃより圧縮空気が噴射されるとき、プラグ取付板５７を後退させ、各プラグ５８の先端面をフィルム面より離間させるようにする。
【００３０】
このようにして、フィルムをポケット成形部のみを局部的に加熱し、その周面を冷却することにより、フィルム全体としての不必要な加熱が行われないので、フィルムに加熱による反りが生じるのを防止でき、錠剤充填、シート状に切断後の製品を、機械的に互いに重ね合わせることができるようになる。
【００３１】
以上、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【００３２】
【発明の効果】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法によれば、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、加熱型側から圧縮空気を噴射して、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしていることから、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができ、高品質のブリスター包装を行うことができる。
【００３３】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置によれば、成形型側及び加熱型側にそれぞれ圧縮空気の噴射機構を配設し、加熱型に備えたプラグにより、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱することができるとともに、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形することができるので、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができ、高品質のブリスター包装を行うことができる。
【００３４】
そして、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させるとき、プラグを後退させるようにすることにより、加熱され軟化したフィルムが加熱型のプラグより確実に離間し、この状態で噴射される圧縮空気が均一にフィルム面に作用するものとなり、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように確実に延伸させ、ポケットの成形を正確に行うことができる。
【００３５】
また、成形型のポケット穴の内底部に圧縮空気の噴射孔を形成することにより、フィルムを、成形型側から加熱型に備えたプラグに、均一に押圧接触させて加熱することができ、精度の良い、形状の美しいポケットを成形することができる。
【００３６】
また、加熱型のプラグ挿通孔から圧縮空気を噴射するようにするとともに、加熱型を水冷ジャケット構造とすることにより、フィルムの加熱部分と非加熱部分とを明確に区分することができ、加熱部をフィルムが軟化する程度に加熱しても非加熱部が冷却されているから、反りのないブリスターシートを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法の工程を示す説明図で、（Ａ）は加熱成形装置の型間にフィルムを供給した状態を、（Ｂ）は成形型側より圧縮空気にてフィルムを加熱側に押圧した状態を、（Ｃ）は加熱したフィルムを成形型側に圧空にて押圧成形状態をそれぞれ示す断面図である。
【図２】 本発明のブリスター包装機におけるフィルムの加熱成形装置の正面図である。
【図３】 同側面図である。
【図４】 加熱装置を示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は断面図である。
【図５】 図４に示す加熱装置の断面図である。
【図６】 加熱装置のプラグベースを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は一部破断した側面図である。
【図７】 成形型を示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は断面図である。
【図８】 本発明のフィルムの加熱成形方法を適用したブリスター包装機の正面図である。
【符号の説明】
Ｆ シート状のフィルム
Ａｌ アルミ箔
Ｒ１ ロールフィルム
Ｒ２ アルミ箔ロール
１ フィルム接続台
２ 繰出ローラ
３ 定テンションロール
４ ガイドローラ
５ 加熱成形装置
５Ａ 成形型
５Ｂ 加熱型
５０ 成形型本体
５１ 取付台
５２ ポケット穴
５３ 圧縮空気供給路
５３ａ 圧縮空気の噴射孔（圧縮空気の噴射機構）
５４ 加熱型取付台
５５ 加熱型本体
５５ｃ プラグ挿通孔（圧縮空気の噴射機構）
５６ ヒータベース
５７ プラグ取付台
５８ プラグ
６ 成形送りローラ
７ フィルムガイドレール
８ シールロール
９ シールロール
１０ ダンサーロール
１１ スリッター
１２ ガイドローラ
１３ 刻印装置
１４ 打ち抜きダイセット
１５ 排出シュート
【発明の属する技術分野】
本発明は、ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置に関し、特に、焼却処分可能なポリプロピレンフィルムを用いてブリスター包装する際、ブリスターシートの反りを防ぎ、かつ凹陥部（以下、「ポケット」という。）を形成する部分のフィルム厚を、可能な限り厚くなるようにして形成することができるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、ＰＶＣフィルム等のフィルムを用いて薬品等の錠剤を包装するブリスター包装においては、間欠的に連続して繰り出される長尺のフィルムを、対向して配設し、接離方向に移動するようにした平板状の加熱盤間にて挟持して所望の加熱を行い、この加熱軟化されたフィルムに、錠剤１錠又は複数錠を収納するようにしたポケットを成形型にて成形し、その後各ポケットに錠剤を供給し、このポケットを有するフィルムにアルミ箔を添わせることによりポケットを密封し、このポケットの所要数を１シートとなるように切断し、製品とするようにしている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のブリスター包装機におけるフィルムの成形は、一般にテープ状のＰＶＣフィルムを巻き取ったロールより、該フィルムを連続或いは間欠的に巻き戻し、この巻き戻しと連動して該フィルムの両面と対向し、かつフィルムに対し接離方向に移動するように配設した加熱装置にて、ポケットを整形するに適した温度になるようフィルム全面を加熱し、その後成形装置に供給し、一方の成形型より該フィルムの一部を所要のポケット状に成形し、このポケットに錠剤を充填した後、アルミ箔を添わせて密封するようにしている。
【０００４】
このため、加熱したフィルムの一部を所要のポケット状に成形するには、ＰＶＣフィルムは適しているが、ＰＶＣフィルム全面を加熱して成形しているため、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケット天面部のシート厚が極端に薄くなっているので、これに錠剤を充填した後、２シートをそのポケットを対向し、互いにポケットを互い違いにして重ね合わせて包装する場合、或いは販売する場合、このポケットが変形しやすいという問題があった。
【０００５】
また、ＰＶＣフィルムよりポケットを成形したフィルムを１シート毎に切断し、ブリスターシートとする場合、シート形状に切断した周囲部分は、スクラップとなる。この製品とスクラップとを分離して取り出し、スクラップのみを処分するようにしている。しかし、このスクラップは焼却すると高温を発生し、焼却炉を破損するため、近年は埋め立てなどによって処分しているので、スクラップ処理費が高価となっている。この問題を防止するため、通常のごみ焼却炉にて焼却可能なポリプロピレンフィルムを用いてブリスターシートを成形するようになってきた。
【０００６】
このポリプロピレンフィルムシートは、ＰＶＣフィルムシートと同様に、他部に比べ成形ポケットのフィルム厚が、特にポケットの天面部となる位置のシート厚が極端に薄くなり、錠剤を充填した後、ポケットが変形しやすいという問題があるとともに、さらに該フィルムを全面加熱して成形すると、ポリプロピレンフィルムシートとアルミ箔との熱収縮率が異なり、錠剤充填後のブリスターシートに反り返りが発生するものとなり、これがためポケット面を互いに対向するようにシートを重ねて包装するとき、機械により自動的に重ねることができず、作業員の手作業にて行わねばならず、作業能率が悪いという問題があった。
【０００７】
本発明は、上記従来のブリスター包装機のフィルムを加熱してポケットを成形する際の問題点に鑑み、ポケット天面部分のシート厚が極端に薄くなることなく成形し、かつ反りをなくして重ね合わせられるようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置を提供することを目的とする。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法は、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持し、成形型側から圧縮空気を噴射して、成形型のポケット穴に対向して配設した加熱されたプラグの表面に押圧接触させてフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、成形型側からの圧縮空気の噴射を停止し、次いでプラグをフィルムの加熱位置から後退させるとともに、加熱型側から圧縮空気を噴射して、前記フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしたことを特徴とする。
【０００９】
このブリスター包装機のフィルム加熱成形方法は、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、加熱型側から圧縮空気を噴射して、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしていることから、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができる。
【００１０】
また、同じ目的を達成するため、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持して加熱し、前記加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置において、加熱成形装置の型を、ポケット穴を備えた成形型と、成形型のポケット穴に対向して配設されるフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱するとともに、加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形する際にフィルムの加熱位置から後退するようにしたプラグを備えた加熱型と、成形型側及び加熱型側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構とで構成したことを特徴とする。
【００１１】
このブリスター包装機のフィルム加熱成形装置は、成形型側及び加熱型側にそれぞれ圧縮空気の噴射機構を配設し、加熱型に備えたプラグにより、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱することができるとともに、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形することができるので、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができる。
フィルムの間欠繰り出しと同期して開閉動作をするように、加熱成形装置を加熱型と成形型とにより構成し、かつ加熱されたフィルムを圧縮空気圧にてポケット穴内に沿うよう押圧するようにしているから、ポケットの成形が精度良く容易に、確実に行うことができる。
【００１２】
そして、ブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させるとき、プラグを後退させるようにすることにより、加熱され軟化したフィルムが加熱型のプラグより確実に離間し、この状態で噴射される圧縮空気が均一にフィルム面に作用するものとなり、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように確実に延伸させ、ポケットの成形を正確に行うことができる。
【００１３】
この場合において、成形型のポケット穴の内底部に圧縮空気の噴射孔を形成することができる。
【００１４】
これにより、フィルムを、成形型側から加熱型に備えたプラグに、均一に押圧接触させて加熱することができ、精度の良い、形状の美しいポケットを成形することができる。
【００１５】
また、加熱型のプラグ挿通孔から圧縮空気を噴射するようにするとともに、加熱型を水冷ジャケット構造とすることができる。
【００１６】
これにより、フィルムの加熱部分と非加熱部分とを明確に区分することができ、加熱部をフィルムが軟化する程度に加熱しても非加熱部が冷却されているから、反りのないブリスターシートを成形することができる。
【００１７】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００１８】
図１に、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法の工程を、図２〜図８に、本発明のブリスター包装機の加熱成形装置の一実施例を示す。
【００１９】
本発明のブリスター包装機は、図８に示すように、ポリプロピレンフィルムＦを巻収したるロールフィルムＲ１より順次繰り出されたフィルムＦは、フィルム接続台１を経て繰出ローラ２により繰り出され、定テンションロール３により張力等が調整された後、ガイドローラ４により次の加熱成形装置５へ間欠的に供給され、ここで所要のポケットを成形された後、成形送りローラ６よりフィルムガイドレール７へ送られ、これを経てフィルムガイドレール７上で、錠剤供給装置（図示省略）より各ポケットに錠剤が供給された後、シート状のアルミ泊を巻収したるアルミ箔ロールＲ２より順次繰り出されたアルミ箔Ａｌとシールロール８，９によりシールし、ダンサーロール１０、スリッター１１、ガイドローラ１２を経て刻印装置１３にて刻印し、打ち抜きダイセット１４にて打ち抜き、ここでシート状の製品とスクラップとを分離して、シート状製品を排出シュート１５を経て取り出すように構成する。
【００２０】
この加熱成形装置５は、図２に示すように、成形型５Ａと加熱型５Ｂとを接離方向に移動可能に対設して構成し、この成形型５Ａと加熱型５Ｂ間を、前記連続シート状のフィルムＦを挿通するようにし、このフィルムＦの間欠的な送りと、成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間の接離動作とを同期させる。
この対設する成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間を、連続シート状のフィルムＦが、ほぼ垂直の下方から上方に向かって移動するようにする。
【００２１】
成形型５Ａは、図２及び図７に示すように、対向する加熱型５Ｂに対し、接離方向に移動可能とした取付台５１に成形型本体５０を取り付けて構成する。この成形型本体５０は、その表面に、１シートに複数の錠剤、これは特に限定されるものではないが、例えば、１０〜１２錠を収納できるように、１０〜１２のポケットを形成するシートを、同時に複数枚、特に限定されるものではないが、図示の実施例のように８シートを同時に成形できるように窪んだ複数のポケット穴５２を整列して形成するとともに、各ポケット穴５２内に圧縮空気の噴射孔５３ａを介して調圧された圧縮空気を供給するように圧縮空気供給路５３を形成して構成する。
なお、このポケット穴５２の形状は、図示のものに限定されるものではないが、各ポケット穴５２内に圧縮空気の噴射孔５３ａを介して導通するようにした圧縮空気供給路５３は圧縮空気源（図示省略）に接続され、複数のポケット穴５２内に同期して圧縮空気が供給されるようにする。
【００２２】
また、他方の加熱型５Ｂは、図２から図６に示すように、成形型５Ａと対向し、通常は固定するが、成形型５Ａと同様に、対向する成形型５Ａに対し、接離方向に移動可能とすることもできる。
さらには、対向する成形型５Ａと加熱型５Ｂとは、接離方向に移動するも、上下方向には固定するものであるが、加熱されるフィルムの送り速度を速め、生産性を向上するため、フィルムの間欠的な送りと同期して上下方向にも移動するようにすることもできる。
加熱型５Ｂは、取付台５４に加熱型本体５５をボルト等の取付具を介して固定するとともに、この加熱型本体５５内に、ヒータベース５６、プラグ取付板５７を装着し、このプラグ取付板５７に、前記成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ５８を突設して構成する。
【００２３】
加熱型本体５５は、図４、図５に示すように、加熱型本体５５の裏面側には、加熱型本体５５を刳り貫いた窪み５５ｂを形成し、裏面側５５ａには、成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ挿通孔５５ｃを形成するとともに、一端側に冷却水供給口５５ｆと排水口５５ｇとを形成し、かつこの冷却水供給口５５ｆと排水口５５ｇ間を結ぶように加熱型本体５５内に、特に限定されるものではないが、通水路５５ｅをトンネル状に形成し、吸水された冷却水が加熱型本体５５内を循環し、加熱型本体全体を冷却するようにする。
なお、裏面側外周面にはリング形の溝５５ｄを形成し、取付台への装着をより確実に行えるようにする。
【００２４】
プラグ取付板５７は、図６に示すように、加熱型本体５５の窪み５５ｂ内に挿入される厚板状で、取付孔５７ｃを形成し、これによりボルト又はビスにて加熱型本体５５に固定するようにするとともに、プラグ取付板５７には、成形型５Ａに形成したポケット穴５３と対向するようにして複数のプラグ挿通孔５５ｃと同じ位置にプラグ取付孔５７ａを形成し、さらに内部には左右又は上下に嵌通する複数本のヒータ貫通孔５７ｂを形成して構成する。
そして、ヒータ貫通孔５７ｂ内にはパイプ状のヒータを嵌通し、プラグ取付孔５７ａにはプラグ５８をねじ止め等にて固定し、これによりプラグ取付板５７の表面側に複数本のプラグ５８が整列されて突設するようになる。
【００２５】
このようにプラグ５８を植設したプラグ取付板５７を、加熱型本体５５の窪み５５ｂ内に挿入したとき、各プラグ５８は、プラグ挿通孔５５ｃ内に挿通されるようにする。この場合、プラグ５８の先端面は、加熱型本体５５の表面とほぼ面一となるようにし、かつプラグ５８の外周面とプラグ挿通孔５５ｃの内周面との間には隙間を形成し、該隙間から成型用の圧縮空気が成形型５Ａのポケット穴５３内に向かって噴射するようにする。
【００２６】
次に、ブリスター包装機のフィルム加熱成形装置を用いてフィルムにポケットを成形する方法について、図１を参照して説明する。
ロールフィルムＲ１に巻回されたフィルムＦは、加熱成形装置５の開閉駆動と同期してロールフィルムＲ１よりフィルム接続台１を経て繰出ローラ２にて間欠的に順次繰り出される。このとき、定テンションロール３により張力が調整され、ガイドローラ４を経て、離間するように対向している加熱成形装置５の成形型５Ａと加熱型５Ｂ間に、予め設定された長さのフィルムが導入されると、繰り出しは停止し、離間している成形型５Ａと加熱型５Ｂ間が閉じられる。
【００２７】
このとき、フィルムＦは、成形型５Ａと加熱型５Ｂ間の外周部にて挟持されるようになるが、成形型面においては、図１に示すように、成形型５Ａ、加熱型５Ｂの成形面間は、フィルム厚よりも大きく設定しているため、成形型５Ａ、加熱型５Ｂの成形面間内にてフィルムＦは、その厚み方向に若干距離自由に移動できるようになる。成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間が閉じられると、成形型５Ａ側の圧縮空気供給路５３から供給される圧縮空気が、圧縮空気の噴射孔５３ａを介して、各ポケット穴５２から噴射され、フィルムＦを、相手側の加熱型５Ｂの成形面に押圧する。この加熱型５Ｂに配設されたヒータによりプラグ取付板５７を介して植設された各プラグ５８が加熱されているため、圧縮空気にて押圧されるフィルムＦは、このプラグ５８の先端面に押圧されるものとなり加熱される。
なお、このとき、各プラグ５８が挿通されているプラグ挿通孔５５ｃの外周部の加熱型本体５５は、内部が水冷ジャケット構造で冷却水が挿通されているので、プラグ挿通孔５５ｃの外周部の加熱型５Ｂ面に押圧されるフィルムは加熱されることがない。このようにフィルムＦは局部的に所定温度に加熱される。
【００２８】
次に、成形型５Ａ側の圧縮空気供給路５３からの圧縮空気の供給を停止するとともに、プラグ５８の外周面とプラグ挿通孔５５ｃの内周面との間に形成された隙間５５ｃより圧縮空気を噴射する。これにより、局部的に加熱されたフィルムＦは、加熱型５Ｂ側より成形型５Ａ側に押圧されるものとなる。
このとき、局部的に加熱され、軟化されているフィルムＦは、加熱されている部分のみが成形型５Ａのポケット穴５２の内周面に沿って延伸されるようになり、ポケットが成形される。特に、ポケット穴５２の外周径よりもプラグ５８の先端面径が若干大径、特に限定されるものではないが、例えば、１ｍｍ程度大きくなるように設定しているので、このポケット穴５２の外周部のフィルムＦ２が、ポケット穴５２の内底部のフィルムＦ１よりも延伸量が大となり、加熱され、軟化されているフィルムＦの延伸がポケット穴５２内周面部よりもポケット穴５２の内底部で厚くなるようなる。
これにより、ポケット穴５２内に錠剤を充填しても、ポケット穴５２の内底部の変形を防止することができる。
成形型５Ａ、加熱型５Ｂ間にてフィルムＦにポケットが成形された後、該両型間を離間し、次のフィルムを間欠的に送ることにより、フィルムのポケット成形部分は成形型５Ａより離間し、次の未成形のフィルムが導入されるようになる。
【００２９】
この場合、加熱され、軟化されているフィルムの延伸が、ポケット穴５２内周面部にてポケット穴５２の内底部よりも、確実に、かつ容易に薄くなるようにするため、隙間５５ｃより圧縮空気が噴射されるとき、プラグ取付板５７を後退させ、各プラグ５８の先端面をフィルム面より離間させるようにする。
【００３０】
このようにして、フィルムをポケット成形部のみを局部的に加熱し、その周面を冷却することにより、フィルム全体としての不必要な加熱が行われないので、フィルムに加熱による反りが生じるのを防止でき、錠剤充填、シート状に切断後の製品を、機械的に互いに重ね合わせることができるようになる。
【００３１】
以上、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【００３２】
【発明の効果】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法によれば、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、加熱型側から圧縮空気を噴射して、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしていることから、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができ、高品質のブリスター包装を行うことができる。
【００３３】
本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置によれば、成形型側及び加熱型側にそれぞれ圧縮空気の噴射機構を配設し、加熱型に備えたプラグにより、フィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱することができるとともに、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形することができるので、ポケットを成形しない部分は加熱されず、熱収縮にて変形されやすいポリプロピレンフィルムを用いても反りのないブリスターシートを成形することができ、自動機を用いてブリスターシートの重ね包装が行えるとともに、ポケットの天面部のシート厚が薄くならずに成形することができ、これにより錠剤充填後のポケット天面部の変形を防止することができ、高品質のブリスター包装を行うことができる。
【００３４】
そして、本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法及びその装置は、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させるとき、プラグを後退させるようにすることにより、加熱され軟化したフィルムが加熱型のプラグより確実に離間し、この状態で噴射される圧縮空気が均一にフィルム面に作用するものとなり、フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように確実に延伸させ、ポケットの成形を正確に行うことができる。
【００３５】
また、成形型のポケット穴の内底部に圧縮空気の噴射孔を形成することにより、フィルムを、成形型側から加熱型に備えたプラグに、均一に押圧接触させて加熱することができ、精度の良い、形状の美しいポケットを成形することができる。
【００３６】
また、加熱型のプラグ挿通孔から圧縮空気を噴射するようにするとともに、加熱型を水冷ジャケット構造とすることにより、フィルムの加熱部分と非加熱部分とを明確に区分することができ、加熱部をフィルムが軟化する程度に加熱しても非加熱部が冷却されているから、反りのないブリスターシートを成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明のブリスター包装機のフィルム加熱成形方法の工程を示す説明図で、（Ａ）は加熱成形装置の型間にフィルムを供給した状態を、（Ｂ）は成形型側より圧縮空気にてフィルムを加熱側に押圧した状態を、（Ｃ）は加熱したフィルムを成形型側に圧空にて押圧成形状態をそれぞれ示す断面図である。
【図２】 本発明のブリスター包装機におけるフィルムの加熱成形装置の正面図である。
【図３】 同側面図である。
【図４】 加熱装置を示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は断面図である。
【図５】 図４に示す加熱装置の断面図である。
【図６】 加熱装置のプラグベースを示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は一部破断した側面図である。
【図７】 成形型を示し、（Ａ）は正面図、（Ｂ）は側面図、（Ｃ）は断面図である。
【図８】 本発明のフィルムの加熱成形方法を適用したブリスター包装機の正面図である。
【符号の説明】
Ｆ シート状のフィルム
Ａｌ アルミ箔
Ｒ１ ロールフィルム
Ｒ２ アルミ箔ロール
１ フィルム接続台
２ 繰出ローラ
３ 定テンションロール
４ ガイドローラ
５ 加熱成形装置
５Ａ 成形型
５Ｂ 加熱型
５０ 成形型本体
５１ 取付台
５２ ポケット穴
５３ 圧縮空気供給路
５３ａ 圧縮空気の噴射孔（圧縮空気の噴射機構）
５４ 加熱型取付台
５５ 加熱型本体
５５ｃ プラグ挿通孔（圧縮空気の噴射機構）
５６ ヒータベース
５７ プラグ取付台
５８ プラグ
６ 成形送りローラ
７ フィルムガイドレール
８ シールロール
９ シールロール
１０ ダンサーロール
１１ スリッター
１２ ガイドローラ
１３ 刻印装置
１４ 打ち抜きダイセット
１５ 排出シュート
Claims (4)
- 加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持し、成形型側から圧縮空気を噴射して、成形型のポケット穴に対向して配設した加熱されたプラグの表面に押圧接触させてフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱した後、成形型側からの圧縮空気の噴射を停止し、次いでプラグをフィルムの加熱位置から後退させるとともに、加熱型側から圧縮空気を噴射して、前記フィルムの加熱部分を成形型のポケット穴の内周面に沿うように延伸させてポケットを成形するようにしたことを特徴とするブリスター包装機のフィルム加熱成形方法。
- 加熱成形装置の型の開閉駆動に同期して間欠的に繰り出されるフィルムを、加熱成形装置の型間にて挟持して加熱し、前記加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形するようにしたブリスター包装機のフィルム加熱成形装置において、加熱成形装置の型を、ポケット穴を備えた成形型と、成形型のポケット穴に対向して配設されるフィルムのポケット成形部のみを局部的に加熱するとともに、加熱したフィルムを成形型のポケット穴の内周面に沿うように部分的に延伸させてポケットを成形する際にフィルムの加熱位置から後退するようにしたプラグを備えた加熱型と、成形型側及び加熱型側にそれぞれ配設した圧縮空気の噴射機構とで構成したことを特徴とするブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
- 成形型のポケット穴の内底部に圧縮空気の噴射孔を形成したことを特徴とする請求項２記載のブリスター包装機のフィルムの加熱成形装置。
- 加熱型のプラグ挿通孔から圧縮空気を噴射するようにするとともに、加熱型を水冷ジャケット構造としたことを特徴とする請求項２又は３記載のブリスター包装機のフィルム加熱成形装置。
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