JP3582269B2 - 定着装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真複写機・プリンター等の転写材上の未定着トナー像を、加熱・加圧することで転写材に定着する定着装置に関する。
【従来の技術】
近年、電子写真複写機あるいはプリンタの定着装置は機械全体の小型化に伴い装置の小型化、さらには低消費電力化が求められている。
そのためにはより低温にて良好な定着性能を得ること、及びウォームアップタイムを短縮することが必須である。良好な定着性能を得るためには、軸方向全長にわたって幅広く均一な定着ニップの形成が効果的である。また、ウォームアップタイム短縮のためには、加熱ロールのコアの薄肉化及び小径化が効果的である。
しかし、加熱ロールのコアを薄肉化及び小径化することは、軸方向全長にわたって均一な定着ニップを形成するためには弊害となる。これは薄肉化及び小径化により加熱ロールの剛性が小さくなり、加熱ロールを加圧したときのたわみが大きくなってしまうためである。
【0002】
従来の加熱ロール/加圧ロール方式では定着性向上のために定着ニップを広げようとすると、加圧ロールを加熱ロールに押し当てる荷重を上げなければならない。しかし、荷重を上げると、加熱ロール(及び加圧ロール)がたわんでしまうことにより、軸方向中央部でニップ幅が充分に得られなくなったり、圧力が不足したりして定着不良が発生する。あるいは定着ニップの端部が中央部に比べて広がり度合いが大きくなり、環境・紙質などによって紙しわが発生するようになる。
上記のようなトラブルを防ぐために、加熱ロールのたわみを抑制する、あるいは補正する例としては以下に示す方式がある。
1つは、上下2本のローラに所定の交差角度を持たせて、軸方向中央部でのローラ間の圧力不足を改善しようという技術である。この方式では確かに中央部での密着性は高まり、中央部での定着性は改善されるが、加熱ロールと加圧ロールが角度を有するということは、加熱ロールと加圧ロールとで、それぞれ搬送方向のベクトルがずれているということであり、環境や紙質等により紙しわが発生することを避けられない。
【0003】
もう1つは、加圧ロールより加熱ロールが受ける押圧力を相殺するように、加熱ロールに別部材を押し当てる方式である。この方式では確かに加熱ロール自体のたわみは小さくなるが、加熱ロールに別部材が接しているため、加熱ロールから熱が奪われて軸方向の温度分布にムラが出来たり、あるいは最近のフルカラー機などで使用されている加熱ロールは表面が柔らかくなっているので、別部材を押し当てていることにより表面が損傷されたりする。
そこで、特開平8−63026では、加熱ロールと加圧ロールのそれぞれの断面2次モーメントと弾性係数の積を求め、その積が互いに略等しくなるような関係とし、また加熱ロールの中央部でのたわみを補正するために、加圧ロールの内壁中央に加圧支持体を設け、軸方向中央で加圧している。
【0004】
しかし、上記の先行例では、中央支持である加圧ロールを両端支持に近似しているため、実際のたわみとは異なっている。すなわち、お互いの剛性(EI)をほぼ均一にすると、中央支持である加圧ロールの方がたわみが少なく、よって軸方向中央部での圧接力が弱くなり、定着不良などの原因となる。また、仮に軸方向中央部での加熱ロールとと加圧ロールとのたわみがー致したとしても、軸方向全長に渡ってー致するものではない。これは、加熱ロールは両端支持であるが、加圧ロールの方は中央支持であるため、それぞれの拘束条件が異なり、よってたわみの量も軸方向でそれぞれ異なってしまう。具体的には軸方向中央部でのたわみを等しくした時には、両端支持である加熱ロールに比べて、中央支持である加圧ロールの方が、軸方向で中央部から両端部の間で、たわみ力も少なく、すなわちその領域では加熱ロールと加圧ロールとの圧接力が中央部や両端部に比べて低くなっている。よって、その場所では定着ニップが細くなり、すなわち、軸方向全長に渡って略均一な定着ニップが得られなくなり、紙質や環境によっては定着不良や紙しわが発生する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述の事情に鑑み、下記(O01),(O02),(O03)の記載内容を課題とする。
(O01)安価で簡単な構成で、軸方向全長にわたって加熱ロールのたわみを補正し、常に軸方向で略均一な定着ニップを得ること。
(O02)良好な定着性能と、安定した用紙搬送性を得られる定着装置を提供すること。
(O03)様々な転写材に対応し、定着ニップにかかる荷重が変化した時でも、常に安定したニップ形状を維持することのできる定着装置を提供すること。
【0006】
本発明者は前述の課題を解決するために、以下の検討をおこなった。
図10は従来の、表面が弾性体により被覆された加熱ロール01と耐熱弾性体により被覆された加圧ロール02によって定着ニップを形成するフルカラー機用のSoft RolI Fuser(以下SRFと略す)の概略図である。
図10において、前記加熱ロール01には離型剤タンク03からポンプ04により供給される液体状の離型剤が塗布部材06により塗布される。また、加熱ロール01は清掃部材07により清掃される。
前記SRFで使用する加圧ロール02は、通常白黒機で使用するロールと比較すると、柔らかい材質の物を使用しているので、わりと低荷重でもある程度のニップ幅を得ることができる。しかし、フルカラー機では白黒機に比べて転写材上に乗っているトナーの量が多いため、転写材を加熱ロール01から剥離させるのが困難であり、剥離させるためには、加圧ロール02を加熱ロール01に押し当てて、加熱ロール01の弾性体表面に数%の歪みを発生させなければならない。そのためには荷重をある程度以上まで上げなければならない。
【0007】
また、定着性を向上するためにさらに定着ニップ幅を広くしようとする際にも、やはり荷重を上げなければならない。荷重を上げると加熱ロール01にはたわみが発生し、軸方向の中央部が加圧ロール02から逃げることにより、定着ニップの端部が中央部に比べて広がり具合が大きくなり、すなわちニップ形状が悪化し、軸方向中央部での定着不良や、環境や紙質等によって、紙しわが発生し易くなる。また、最近の傾向として、ウォームアップタイム短縮のために、加熱ロール01のコアの厚みは薄肉化及び小径化する傾向があり、加熱ロール01のたわみによる上記の様なトラブルは、さらに発生し易くなっている。
【0008】
そこで、加熱ロール01がたわんでも、定着ニップが悪化することなく、良好な定着性能と安定した用紙搬送性を有する定着装置を、安価で簡単な構成で提供するためには、加熱ロールのたわみを知る必要がある。
加熱ロールのたわみを求めるために、まず加熱ロールと加圧部材とをモデル化する。ここでは、まず軸方向で均一な断面を持つ物としてモデル化する。(また、加熱ロールと加圧ロールは便宜上同じ材料であるものとする。)
加熱ロールは、軸方向でー様な等分布荷重を受ける両端支持の梁と近似することができる。また、加圧部材として最もー般的なのが加圧ロールを使用した場合で、これも加熱ロールと同様に、両端支持の梁に近似することができる。
【0009】
図11は加熱ロール01及び加圧ロール02が共に両端支持である場合に両者の間に等分布荷重がかかっているとして、材料力学の基本式により算出した場合の、それぞれのたわみの形状を示す図である。
図11は誇張して示しているが、加熱ロール01及び加圧ロール02のたわみは共に軸方向中央部で最大となる。この図11に示すように、それぞれは互いに遠ざかる向きにたわみ、軸方向中央部で両者の間の距離が最大となる。
図12は従来の加熱ロールおよび加圧ロールの計算上の最大たわみを示す図表である。従来の通常の加熱ロールおよび加圧ロールに比べて、ウォームアップタイム短縮を狙った薄肉ロールでは、最大たわみが10倍になっているのが分かる。すなわち、たわみが大きくなることで上述のようなトラブルが発生し易くなることがわかる。実際には、たわみが発生した時点で、両者が等分布荷重を受けているという前提が無くなるので、両者の間に完全にすき間が出てしまうことはほとんど無いが、傾向として軸方向中央部にかかる荷重が両端部に比べて小さくなり、荷重を増すに連れて、定着ニップの幅が端部と中央部で差が広がっていく。加圧ロールが両端支持である以上、この傾向は避けられず、加熱ロールのたわみを補正することは困難である。
【0010】
図13は加圧部材(前記「加圧部材」は加圧ロールのみではなく、棒状の加圧部材を含む)02を中央支持した場合の加熱ロール01および加圧部材02のたわみを示す図である。
図14は加圧部材として用いた円筒状の加圧ロール02の中央部内面を加圧支持ローラ02aにより支持した場合の加熱ロール01および加圧ロール02のたわみを示す図である。
図15は円筒部材である加熱ロールを両端で支持し、円筒部材である加圧ロール(1)〜(3)を中央で支持して等分布荷重が作用しているとした場合の材料力学の基本式により算出した最大たわみ示す図表である。
円筒部材である前記図15の加熱ロールおよび加圧ロール(3)の最大たわみy1,y2は次式で計算される。
y1=(5/384)×(wl4/E1I1)
y2=(1/128)×(wl4/E2I2)
但し、
W:単位長さ当たりの分布荷重
l:全長
【0011】
図14において、加熱ロール01として図15の加熱ロールを用い、加圧ロール02として図15の加圧ロール(3)を使用した状態で、前記加熱ロール01および加圧ロール02の間には等分布荷重力がかかっており、その荷重を加熱ロール01は両端で支持し、加圧ロール02は中央で支持しているものとする。両者ともたわみの向きが等しく、加熱ロール01の剛性をE1I1,加圧ロール02の剛性をE2I2とすると、E1I1=E2I2の時、最大たわみは加圧ロール02のたわみの方が小さくなり、お互いのEIをE1I1:E2I2=5:3にすることで、中央部のたわみを等しくすることができる。すなわち、加熱ロール01の中央部のたわみを、加圧ロール02のたわみで補正してやることができる。
【0012】
図16は前記図15の加熱ロールおよび加圧ロール(3)が前記図14の状態で当接し、等分布荷重が作用しているとした場合のたわみ量を示すグラフである。
図16において、中央部でのたわみは補正できても、図16に示すように、端部と中央部との間にはたわみの差があり、そこでの圧接力が低くなってしまうので、そこでの定着ニップが端部と中央部に比べて細くなってしまう。
これは、両端支持と中央支持という支持方法の違いにより、たわみの式(たわみの形状)が異なるためであり、よって軸方向全長にわたって両者のたわみを補正することは非常に困難である。
以上の計算は、加圧部材の断面が軸方向で変化しない場合、すなわち断面2次モーメントが軸方向で一定である場合の計算であり、断面が変化しない場合は、上述のように軸方向全長に渡って加熱ロールのたわみを補正することができない。そこで、本発明では軸方向全長に渡って加熱ロールのたわみを補正するために、加圧部材の剛性(断面2次モーメント)を軸方向で変化させる。すなわち、軸方向中央部での剛性が最も強く、端部にいくに従って弱くなるようにする。こうすることで、加熱ロールの中央部から端部までにわたって、加熱ロールのたわみに沿って加圧部材がたわむようになる。
【0013】
剛性を軸方向で変化させるには、断面形状を変化させなければならない。加圧部材として、ロールを使用した場合は、コアの肉厚を変化させなければならない。具体的には、中央部での肉厚が最も厚く、両端部にいくに従って段々と薄くなっていく様に成型しなければならない。これは製造上困難であり、コストがかかる。
図17は断面が円筒および長方形の部材の断面2次モーメントを示す図表である。図17において、断面2次モーメントはロール(円筒部材)の場合、外径及び内径の4乗で効いてくるため、公差のバラつきの影響が大きく、かなり高い加工精度が必要となる。
本発明は前記検討結果なされた発明である。
【0014】
【課題を解決するための手段】
次に、前記課題を解決するための検討結果、案出した本発明を説明するが、本発明の要素には、後述の実施例の要素との対応を容易にするため、実施例の要素の符号をカッコで囲んだものを付記する。
なお、本発明を後述の実施例の符号と対応させて説明する理由は、本発明の理解を容易にするためであり、本発明の範囲を実施例に限定するためではない。
【0015】
(第1発明)
前記課題を解決するために、本出願の第1発明の定着装置は、下記の要件を備えたことを特徴とする、
(A01)表面に弾性層(51b)を有し、軸方向両端部が支持された加熱ロール(51)、
(A02)前記加熱ロール(51)の軸方向に延び且つ前記加熱ロール(51)に向けて押圧される耐熱弾性部材製の加圧パッド(58)を有する加圧部材(56)、
(A03)前記軸方向の中央部から軸方向端部に行くに従って曲げ剛性が小さくなるように構成された前記加圧部材(56)、
(A04)加圧部材(56)を軸方向中央部で支持する押圧部材(59)、
(A05)前記加圧部材(56)およびこの加圧部材(56)に平行に隣接して配置されたベルトガイド(64)の周囲に回転移動可能に支持され且つ前記加圧部材(56)により前記加熱ロール(51)表面に圧接される無端の定着ベルト(B)、
(A06)前記定着ベルト(B)および前記加熱ロール(51)の圧接領域により定着ニップ(N)を形成し、前記定着ニップ(N)を通過する記録シート(S)に付着した未定着トナー像(I)を定着する前記加熱ロール(51)、前記定着ベルト(B)、および前記加圧部材(56)。
【0016】
(第1発明の作用)
前述の構成を備えた第1発明の定着装置では、加熱ロール(51)の軸方向に延びる加圧部材(56)の耐熱弾性部材製の加圧パッド(58)は、表面に弾性層(51b)を有する加熱ロール(51)に向けて押圧される。
前記加圧部材(56)およびこの加圧部材(56)に平行に隣接して配置されたベルトガイド(64)の周囲に回転移動可能に支持された無端の定着ベルト(B)は、前記加圧部材(56)により前記加熱ロール(51)表面に圧接される。前記定着ベルト(B)および前記加熱ロール(51)の圧接領域により定着ニップ(N)が形成される。記録シート(S)に付着した未定着トナー像(I)は、前記定着ニップ(N)を通過する際に定着される。
【0017】
前記加熱ロール(51)は軸方向両端部が支持され、前記加圧部材(56)は軸方向中央部で押圧部材(59)により支持されている。このため、表面に弾性層(51b)を有する加熱ロール(51)の軸方向中央部を加圧ロール中央部が押圧し、加圧ロールの軸方向両端部は前記加熱ロール(51)の両端部からの反力により押圧される。このとき、加熱ロール(51)および加圧部材(56)がたわむが、前記加圧部材(56)は、軸方向中央部から軸方向端部に行くに従って曲げ剛性が小さくなるように構成されているため、軸方向で略均一な安定した定着ニップ(N)を得ることができる。
前記加圧部材(56)の加熱ロール(51)に対する押圧力および前記加圧部材(56)の前記軸方向の曲げ剛性を調節することにより、加熱ロール(51)および加圧部材(56)のたわみを軸方向中央部から端部にわたってまで補正することができ、で安定した定着ニップ形状を得ることができる。
【0018】
低荷重時には剛性を持つ加圧部材(56)の前記弾性体である加圧パッド(58)が、定着ベルト(B)を介して加熱ロール(51)を包みこむように定着ニップ(N)を形成し、所望のニップ形状を得ることができる。定着ニップ(N)を広くするため、あるいは加熱ロール(51)の表面にある弾性層(51b)をより歪ませるために荷重を上げていくと、加熱ロール(51)のたわみに沿って加圧部材(56)もたわむので、軸方向の端部でも中央部でも、ほぼ同じ割合で定着ニップ幅が広くなっていき、ニップ形状を悪化させることなく、ニップ幅を広くすることができる。
前記無端の定着ベルト(B)は、加熱ロール(51)の回転に伴って回転するので、回転移動する前記定着ベルト(B)および加熱ロール(51)によりそれらの間を通過する記録シート(S)は、滑らかに搬送される。
【0019】
(第2発明)
また、本出願の第2発明の定着装置は、下記の要件を備えたことを特徴とする、
(B01)表面に弾性層(51b)を有する加熱ロール(51)、
(B02)前記加熱ロール(51)の軸方向に延び且つ前記加熱ロール(51)に圧接される耐熱弾性部材である加圧パッド(58)を有する加圧部材(56)、
(B03)軸方向中央部から軸方向端部に行くに従って曲げ剛性が小さくなるように構成された前記加圧部材(56)、
(B04)加圧部材(56)を軸方向中央部で支持する押圧部材(59)、
(B05)前記加熱ロール(51)および加圧部材(56)の圧接領域により定着ニップ(N)を形成し、前記定着ニップ(N)を通過する記録シート(S)に付着した未定着トナー像(I)を定着する前記加熱ロール(51)および前記加圧部材(56)。
【0020】
(第2発明の作用)
前述の構成を備えた第2発明の定着装置は、無端の定着ベルト(B)が無いので、記録シート(S)は、回転する加熱ロール(51)とこれに圧接する加圧部材(56)との間を、加圧部材(56)側の面が擦られながら搬送される。この第2発明のその他の作用は、前記第1発明と同様である。
(第1発明および第2発明の形態1)
第1発明または第2発明の形態1の定着装置は、前記第1発明または第2発明の定着装置において、下記の要件を備えたことを特徴とする。
(C01)前記加圧パッドと、前記加圧パッドを支持し且つ前記加圧パッドを支持する面が予め予想される前記加熱ロールのたわみに沿った形状を有する加圧部材本体とを有する前記加圧部材。
(第1発明および第2発明の形態1の作用)
前記構成を備えた第1発明および第2発明の形態1の定着装置では、加圧部材本体の前記加圧パッドを支持する面が予め予想される前記加熱ロールのたわみに沿った形状を有するので、軸方向の端部でも中央部でも、ニップ形状を悪化させることなく、適切なニップ幅を得ることが可能になる。
【0021】
【発明の実施の形態】
【実施例】
次に図面を参照しながら、本発明の回転多面鏡の実施の形態の具体例(実施例)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1は本発明の定着装置の実施例1を備えた画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置Uは、上面にプラテンガラス(透明な原稿台)A1を有する画像形成装置本体としてのデジタル式の複写機U1、前記プラテンガラスA1上に着脱自在に装着される自動原稿搬送装置U2を備えている。
前記自動原稿搬送装置U2は、原稿給紙トレイTRkに収容された原稿Gi(i=1,2,…)を順次取出して、前記プラテンガラスA1上の複写位置に搬送し、複写済みの原稿を原稿排紙トレイTRhに排出するように構成されている。また、自動原稿搬送装置U2は、前記原稿給紙トレイTRk上の原稿の有無を検出する原稿有無センサS1、搬送される原稿の通過を検出する原稿レジセンサS2等を有している。
【0022】
前記複写機本体U1は、その上面に配置されたUI(ユーザインタフェース)、前記プラテンガラスA1の下方に順次配置された原稿読取装置としてのIIT(イメージインプットターミナル)、IPS(イメージプロセッシングシステム)、及び画像記録用作動部としてのIOT(イメージアウトプットターミナル)を有している。
前記UI(ユーザインターフェース)は、画像形成装置Uのユーザーがコピースタート等の作動指令信号を入力操作するコピースタートボタン、コピー設定枚数入力キー等の入力操作部材(図示せず)と、画像形成装置Uの現在の設定状態に関する情報の表示等が行われる表示部(図示せず)とを有している。
【0023】
複写機本体U1上面の透明なプラテンガラスA1の下方に配置された原稿読取装置としてのIITは、プラテンレジ位置(OPT位置)に配置されたOPTレジセンサ(プラテンレジセンサ)Sp、および画像読取装置としての露光光学系1を有している。
この露光光学系1は、フルレートキャリッジに搭載されたランプユニット2を有し、ランプユニット2は、露光ランプ3および第2ミラー4を有している。また、露光光学系1は、前記フルレートキャリッジの移動速度の1/2の速度で移動するハーフレートキャリッジに搭載されたミラーユニット5を有し、ミラーユニット5は、第2ミラー6および第3ミラー7を有している。また、露光光学系1はレンズ8を有している。
【0024】
そして、前記ランプユニット2が原稿に対して平行に図1中左右方向に移動し、前記移動ミラーユニット5が前記ランプユニット2の移動速度の1/2の速度で1/2の距離だけ移動すると、原稿Giとレンズ8との間の距離は一定に保たれるので、その間、前記ランプ3によって照明された原稿Giの反射光は、前記露光光学系1を通ってCCD(固体撮像素子)上に収束されるように構成されている。
前記CCDは、その撮像面上に収束された原稿反射光をR(Red、赤)G(Green、緑)、B(Blue、青)の3色の成分の電気信号に変換する。
【0025】
IPS(イメージプロセッシングシステム)は、前記CCDで得られる前記3色の電気信号を読出す読取画像データ出力手段11および書込画像データを出力する書込画像データ出力手段12を有している。
前記読取画像データ出力手段11は、従来公知のAGC(オートゲインコントローラ)、AOC(オートオフセットコントローラ)、およびADC(アナログデジタルコンバータ)等により構成されている。
前記読取画像データ出力手段11の出力する画像データが入力される書込画像データ出力手段12は、入力されたR,G,B,3色の画像データにシエーディング補正を行ってから、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(黒)の4色の画像データに変換し、さらに前記画像データに、拡大・縮小補正、濃度補正、等の従来公知の画像処理を行う機能を有しており、画像データを一時的に記憶する画像記憶メモリ13を有している。書込画像データ出力手段12は、処理が行われた画像データを書込データとしてIOTのレーザ駆動信号出力装置14に出力する。前記IOTのレーザ駆動信号出力装置14は、入力された画像データに応じたレーザ駆動信号をROS(光書込走査装置、すなわち、潜像書込装置)に出力する。
【0026】
前記ROSは、入力された前記レーザ駆動信号により変調されたレーザビームLにより、回転する像担持体16の静電潜像書込位置Q1を走査する。
前記回転する像担持体16に沿って、像担持体16の移動方向で前記潜像書込位置Q1の上流側に、像担持体16を一様に帯電させる帯電器17が配置されている。像担持体16は、前記帯電器17により一様に帯電された後、前記潜像書込位置Q1において、前記レーザビームLにより静電潜像が書き込まれるように構成されている。
【0027】
前記像担持体16の移動方向に沿って、前記潜像書込位置Q1の下流側の現像領域Q2には、前記静電潜像をトナー像に現像するロータリ式の現像ユニット(現像装置)Dが配置されている。前記現像ユニットDは、回転軸18周囲に装着したY,M,C,Kの4色の現像器Dk,Dy,Dm,Dcを有しており、前記回転軸18が回転することにより、前記各4色の現像器Dk,Dy,Dm,Dcが順次前記現像領域Q2に移動するように構成されている。
前記回転する像担持体16の表面に沿って前記現像領域Q2の下流側にはトナー像濃度センサSNdが配置され、その下流側に設定された転写位置Q3には、転写ドラム21および転写器22が配置されている。また、回転する像担持体16に沿って、転写位置Q3の下流側には、除電器23およびクリーナユニット24が配置されている。前記トナー像濃度センサSNdは、前記像担持体16に近接配置された発光素子および受光素子により構成され、前記像担持体16上に形成したテスト用の静電潜像を現像したトナー像(パッチ)の光反射率を計測して、トナー像濃度を検出する。
前記転写ドラム21の回転方向に沿って前記転写器22の下流側には、除電器26、クリーナ27、および吸着コロトロン28が順次配置されている。前記吸着コロトロン28は吸着位置Q4に配置されている。
【0028】
前記転写ドラム21の下方には、下方に向かって順次、用紙を収容する第1給紙トレイT1、第2給紙トレイT2、両面複写時等に使用する一時ストック用の中間トレイT0、第3給紙トレイT3、第4給紙トレイT4、大量用紙を収容する第5給紙トレイT5が着脱自在に収納されている。中間トレイT0は両面コピーの際に1回目のコピーが行われた記録シート(以下用紙)Sを循環させて前記転写位置Q3に再送する時に使用される中間トレイである。
前記第1給紙トレイT1の右側上方位置には手差トレイ31が設けられている。前記各給紙トレイT0〜T5および手差トレイ31から送り出される各用紙は、第1シート搬送路32を通って前記吸着位置Q4に搬送されるようになっている。第1シート搬送路32を搬送される用紙は、用紙レジセンサSNyによって検出され、レジロール33で一旦停止してから所定のタイミングで吸着位置Q4に搬送される。吸着位置Q4において、用紙Sは、吸着用ロール34により前記転写ドラム21に吸着される。
【0029】
前記転写ドラム21に吸着された用紙Sは転写ドラム21の回転に伴って前記転写位置Q3に搬送される。前記転写器22は、前記転写位置Q3を通過する用紙に像担持体16のトナー像を転写させる。
前記転写位置Q3を通過した像担持体16は、表面に残留した現像剤が前記クリーナユニット24により回収された後、再び、前記帯電器17により一様に帯電されるようになっている。
前記吸着位置Q4で転写ドラム21に吸着された用紙Sはフルカラーの場合は4回転し、前記転写器22を通る毎にY(イエロー)、マゼンタ(M)、C(シアン)、およびK(黒)のトナー像が転写される。4色のフルカラー画像が形成された用紙Sは剥離コロトロン36で転写ドラム21から剥離されて、第2シート搬送路37を通って定着位置Q5に搬送される。
【0030】
定着位置Q5には定着装置Fが配置されており、定着位置Q5を通過する用紙S上の未定着トナー像I(図2参照)を加熱加圧により定着するように構成されている。
前記第2シート搬送路37には、前記定着位置Q5の下流側にシート排出トレイTRに用紙を排出するための排出ローラ(排出装置)43が設けられている。
【0031】
前記第2シート搬送路37には前記排出ローラ43の上流側に切替ゲート44が配置されている。切替ゲート44は、前記第2シート搬送路37上の用紙Sの搬送方向をシート循環路46または前記シート排出トレイTRの方向に切り替える際に使用される。
シート循環路46は、シート反転路47および前記中間トレイT0に切替ゲート48を介して接続されている。前記切替ゲート48は、両面コピーを行う場合にはシート循環路46の用紙Sをシート反転路47に向かわせるように構成されている。前記シート反転路47に設けられたシート状且つ櫛の歯状のマイラーゲート49は、通過する用紙Sが下方に搬送される際には弾性変形により用紙Sの下方への移動を許し、マイラーゲート49を通過した用紙Sがスイッチバックして上方に搬送される場合には中間トレイT0の方向に誘導するように構成されている。
中間トレイT0に一旦収容された用紙Sは、中間トレイT0から前記第1シート搬送路32により前記吸着位置Q4に再搬送されるように構成されている。
【0032】
次に前記定着位置Q5に配置された定着装置Fについて説明する。
図2は本発明の定着装置の実施例1の説明図で前記図1に示す定着装置の拡大図である。図3は前記図2のIII−III線断面図である。図4は同実施例1の定着装置で使用される加圧部材本体の説明図である。図5は同実施例1の作用説明図で、加熱ロールおよび加圧部材の押圧力が大きい場合の状態を示す図である。
図2〜図4において、前記定着位置Q5に配置された定着装置Fは用紙S搬送方向に垂直に延びる加熱ロール51を有している。加熱ロール51は、金属製の円筒部材51aおよびその表面に形成された弾性層51bを有している。また前記円筒部材51a内部にはヒータ(発熱体)51hが内蔵されている。なお、このような加熱ロール51は従来公知である。前記加熱ロール51には離型剤塗布ロール52が当接している。離型剤塗布ロール52は、円筒部材内部に収容した離型剤が徐々に表面に染みだして前記加熱ロール51の弾性層51bに離型剤を塗布する機能を有している。離型剤塗布ロール52表面にはクリーニングロール53が当接している。前記クリーニングロール53は加熱ロール51より離型剤塗布ロール52に移動付着(転移)した微量トナー(用紙に定着されずに加熱ロール51に付着した微量トナーをクリーニングする機能を有している。
【0033】
前記加熱ロール51下方には加圧部材56が配置されている。加圧部材56は前記加熱ロール51の軸方向に延びる断面長方形の加圧部材本体57および加圧部材本体57の前記加熱ロール51に対向する表面に設けられた耐熱弾性部材製の加圧パッド58を有している。
図4において加圧部材本体57は、長手方向に垂直な断面が長方形の板状の形状であり、その長方形の厚さは中央部が最も分厚く、両端にいくに従って連続的に薄くなるように構成されている。すなわち、軸方向中央での断面2次モーメントが最も大きく、軸方向両端部にいくに従って断面2次モーメントが小さくなるようになっている。
そして、前記加圧部材本体57は加圧パッド58が接着される上面は平坦であるがその反対側の下面は長手方向に沿って下方に突出する曲面に形成されている。すなわち、この実施例1では軸方向中央から両端部まで、長方形の高さ(厚さ)方向を小さくしていくことで、断面2次モーメントを小さくしている。断面形状が長方形である場合は、断面2次モーメントは、幅の1乗、及び厚さの3乗に比例するので、ロールの場合(4乗に比例)に比べて公差のバラつきに強い。前記加圧部材本体57の長手方向中央部の下面には、被位置決め用の突起57aが設けられている。
なお、加圧部材本体57の形状としては軸方向で断面2次モーメントが中央部が最も高く、端部にいくに従って小さくなるような形状であれは、例えば軸に垂直な断面形状が蒲鉾型等を採用することも可能である。
【0034】
図2、図3において、前記加圧部材本体57および加圧パッド58を有する加圧部材56は押圧部材59により支持されている。押圧部材59はたわまないように、剛性の高い材料で作られており、その上端部に加圧部材支持部61を有している。前記加圧部材支持部61には前記加圧部材56を収容する加圧部材収容凹部62が形成されている。加圧部材収容凹部62底面の長手方向の中央部には支持穴62aが形成されており、前記突起57aを揺動自在に支持するように構成されている。前記支持穴62aの形状および前記突起57aの形状は、加圧部材収容凹部62底面に支持穴62aを設ける以外の方法でも、軸方向中央部で加圧部材本体57と接し、加圧部材56が到れることなく、加圧部材本体57がたわんだ時でも加圧部材収容凹部62底面の端部に接することの無い構成であれば良い。
【0035】
例えば、前記支持穴62aの代わりに支持突起を用い、前記突起57の代わりに被支持穴を用いることも可能である。その場合、支持突起としては、幅(軸方向の長さ)は、出来るだけ短いほうが良いが、加圧部材本体57が倒れない程度の幅を有するようにする。支持突起の上面は加圧部材本体57の被支持穴の形状によって、直線状でも良いし、曲面を有していても良い。支持突起の高さは、加圧部材本体57がたわんだときに端部が加圧部材収容凹部62底面に接しない高さにする。
【0036】
押圧部材59の下端には連結部材63(図2参照)を介して、円弧面を有するベルトガイド64が連結されている。 前記押圧部材59はその加圧部材支持部61の両端部にベルト端部ガイド部材65,65が設けられている。前記押圧部材59は、その加圧部材支持部61の両端部が前記ベルト端部ガイド部材65,65の下面を上方に押圧する圧縮バネ66,66により支持され、前記加熱ロール51に向けて押圧されている。前記押圧部材59およびベルトガイド64の周囲には無端の定着ベルトBが回転移動可能に支持されている。前記定着ベルトBの両端部は前記ベルト端部ガイド部材65,65によって移動が規制されている。
前記構成により、押圧部材59は両端で前記圧縮バネ66,66により荷重をかけられ、その荷重は軸方向の中央部で加圧部材本体57に加わり、定着ベルトBを挟んで、加圧部材本体57上の加圧パッド58が加熱ロール51に押し当てられ、定着ニップNが形成される。
【0037】
前記加圧部材56の加圧パッド58は、前記定着位置Q5において前記定着ベルトBを下面側から前記加熱ロール51表面に押圧している。したがって、前記定着ベルトBの上面は前記定着位置Q5において加熱ロール51に圧接している。前記定着位置Q5における加圧パッド58により押される定着ベルトBおよび加熱ロール51の圧接領域により定着ニップNが形成されている。
前記定着ニップNの幅は、軸方向ではほぼ均一、あるいは中央部より端部の方がやや幅広い形状であることが好ましく、軸方向で定着ニップ幅に大きな差があると、紙しわが発生したり、定着不良が生じたりすることがある。
前述したように、前記加熱ロール51の軸の両端を支持するとともに、前記加圧部材本体57の軸方向中央部を、前記支持穴62aに支持される突起57aにより加熱ロール51に向けて押圧し、さらに前記加圧部材本体57は軸方向中央から両端部まで断面2次モーメントを連続的に小さくすることにより、前記定着ニップNのニップ圧およびニップ幅は加熱ロール51の軸方向に沿ってほぼ一定とされている。
【0038】
前記加圧部材本体57の材料としては、限られた定着ベルトB内のスペースで、断面の形状(幅・厚み等)を振って、上述のように加熱ロール51の剛性EIに対して、約3/5程度の剛性EIを得られる物であれば、特別な材料を必要とすることなく、加熱ロール51のコアと同じ材料でも、異なる材料でも良い。すなわち、加熱ロール51の材料、厚さなどが決まった後、すなわち加熱ロール51の剛性が決まった後で、その加熱ロール51の剛性に合わせて、わりと自由に加圧部材本体57の材料・形状(幅・厚み等)を選ぶことができる。
【0039】
(実施例1の作用)
前記手差トレイ31または前記各給紙トレイT1〜T5から送り出される各用紙Sは、第1シート搬送路32を通って前記吸着位置Q4で吸着用ロール34により前記転写ドラム21に吸着される。前記転写ドラム21に吸着された用紙Sは転写ドラム21の回転に伴って前記転写位置Q3を通過する際に像担持体16のトナー像が転写される。用紙Sはフルカラーの場合は4回転し、前記転写器22を通る毎にY(イエロー)、マゼンタ(M)、C(シアン)、およびK(黒)のトナー像が転写され、モノカラーの場合は1回転してモノカラーのトナー像が転写される。
トナー像が転写された用紙Sは剥離コロトロン36で転写ドラム21から剥離されて、第2シート搬送路37を通って定着位置Q5に搬送される。
【0040】
図2において、定着位置Q5に搬送され定着ニップNを通過する用紙Sは、加圧部材56により押圧される定着ベルトBおよび加熱ロール51の挟圧力と前記加熱ロール51の熱とにより用紙S上の未定着トナー像Iが定着される。
前記加熱ロール51はその軸の両端が支持されまた、前記加圧部材本体57は軸方向中央部が、前記支持穴62aにより加熱ロール51に向けて押圧されている。
【0041】
前記加圧部材本体57は軸方向中央から両端部まで断面2次モーメントが連続的に小さくなっている。このように、加圧部材本体57を断面2次モーメントが軸方向中央部から両端部にいくに従って、徐々に小さくなるような形状とし、この加圧部材本体57を軸方向中央部で支持することで、軸方向中央部以外の所でも、加熱ロール51のたわみと加圧部材本体57のたわみがほぼー致するようになり、軸方向全長に渡って加熱ロール51と加圧部材56との圧接力がほぼ均一となるのでー、定着ニップ幅をほぼ均一にすることができる。
【0042】
ところで、最近のフルカラー機では、様々な転写材(厚紙、薄紙、コート紙、OHP、封筒等)の使用に対する要求力が強く、定着装置によっては、使用する転写材に応じて、荷重を可変する必要が生じる。例えば薄紙を転写材として使用する場合には、加熱ロール51から剥離させるために、加熱ロール51に歪みを与えなければならず、高い荷重が必要であるが、転写材として封筒を使用する場合は、剥離のための加熱ロール51の歪みは必要ではなく、逆に荷重が高いと封筒しわが発生するので、荷重を低くする必要がある。
よって、使用する転写材に応じて荷重を可変する必要が生じ、常に良好な定着性能と、安定した用紙搬送性を得るには、可変する荷重によらず、加熱ロール51と加圧部材との間の圧接力が、軸方向ではほぼ均一であるようにする。そのためには、荷重によらず、常に加熱ロール51のたわみを補正するように加圧部材56がたわむようにすることが必要不可欠になる。
【0043】
本実施例では、低荷重時で加熱ロール51がたわんでいない時(図3参照)は、加圧部材本体の上面(加熱ロール側)が直線状であるので、軸方向全長に渡ってほぼ均一な圧接力が得られ、荷重が高くなり加熱ロール51がたわんだ時(図5参照)でも、その荷重によらず、常に加熱ロール51のたわみを補正するように加圧部材本体57がたわむので、加熱ロール51と加圧部材56との圧接力が軸方向でほぼ均一に保持される。このため、定着ニップ幅が軸方向にほぼ均一なまま推移するので、定着不良が防止され、さらに紙しわも防止される。
【0044】
(実施例2)
図6は本発明の定着装置の実施例2の説明図である。
この実施例2は加圧部材56の加圧部材本体57の形状が前記実施例1と相違しているが他の点では前記実施例1と同様である。
図6において、この実施例2の加圧部材本体57は、幅方向に形状を変化させることにより、軸方向中央から両端部まで断面2次モーメントが連続的に小さくされている。これにより、前記定着ニップNのニップ圧、ニップ幅は前記定着ロール51の軸方向に沿ってほぼ均一にされている。
このため本実施例の定着装置も前記実施例1と同様に、紙しわや、定着ムラ、定着不良等が発生し難い。
加圧部材本体57の断面形状が長方形である場合は、断面2次モーメントは、幅の1乗、及び厚さの3乗に比例するので、幅を変化させて断面2次モーメントを変化させた場合、公差にバラつきがあってもニップ圧がにあまり変化しない加圧部材56を得ることができる。
従って、図6に示すような加圧部材本体57を用いると、公差のバラつきに非常に強い加圧部材56を構成することができる。
【0045】
(実施例3)
図7は本発明の定着装置の実施例3の説明図である。
この実施例3は加圧部材56の加圧部材本体57の形状が前記実施例1と相違しているが他の点では前記実施例1と同様である。
図7において、この実施例3の加圧部材本体57は、荷重が常に一定である定着装置で、予め予想される加熱ロール51のたわみに沿った形状(通常は略R形状)を上面(加熱ロール51側)に有している。
この実施例3の場合、加圧部材本体の剛性を高くすることで、軸方向全長に渡って加熱ロール51とほぼ均一な圧接力を得ることができる。
さらに、使用する上で最小の荷重をかけた時の加熱ロール51のたわみに沿った形状(通常は略R(円弧)形状)を、上面(加熱ロール51側)に有する加圧部材本体57を用いて、軸方向中央部で加圧し、使用する上で荷重を増すに連れて、加熱ロール51のたわみに沿って加圧部材本体57もたわむように加圧部材本体57の材料・断面形状を選び、荷重が可変する装置に対応させることが可能である。
【0046】
(実施例4)
図8は本発明の定着装置の実施例4の説明図である。
この実施例4は加圧部材56の加圧部材本体57と加圧部材収容凹部62との間に補強部材67を設け、補強部材67の下面に設けた突起67aを加圧部材収容凹部62の支持穴62aに嵌合させた点、および上面に設けた突起67bを加圧部材本体57下面の穴に嵌合させた点で前記実施例1と相違しているが他の点では前記実施例1と同様である。
この実施例4は、弾性体である加圧パッド58および加圧部材本体57をー体成型する場合などで、加圧部材本体57の形状に制約が生じ、軸方向での剛性の変化を所望の通りにできない時は、加圧部材本体57と押圧部材59の加圧部材収容凹部62との間に、軸方向中央部から端部にいくに従って剛性が小さくなっているような補強部材67(図8参照)を一枚挿入している。
このため本実施例4の定着装置も補強部材の剛性を調整することで前記実施例1と同様に、前記ニップ圧、ニップ幅をほぼ均一にできるので、紙しわや、定着ムラ、定着不良等が発生し難い。
【0047】
(実施例5)
図9は本発明の定着装置の実施例5の説明図である。
この実施例5は加圧部材56の加圧部材本体57と加圧部材収容凹部62との間に複数の補強部材68〜70を設けた点で前記1枚設けた実施例4と相違している。前記複数の補強部材のうち、一番下の補強部材68の上に置く補強部材69の下面には、前記補強部材68上での位置を定めるための突起69a,69aが設けられている。前記突起69aは補強部材の端面に係合して位置決めが行われる。補強部材70の下面にも、前記補強部材69の端面に係合する突起70a,70aが設けられている。この図9に示す実施例5は、他の点では前記実施例4と同様である。
このため本実施例5の定着装置は、補強部材の長さ、厚さ、枚数などを調整することにより、前記実施例4と同様に、前記ニップ圧、ニップ幅をほぼ均一にできるので、紙しわや、定着ムラ、定着不良等が発生し難い。
【0048】
【発明の効果】
前述の本発明の定着装置は、下記の効果を奏することができる。
(E01)加圧部材を、軸方向中央部から端部にかけて剛性が小さくなるような形状とし、軸方向中央部で荷重をかけるので、荷重が一定の時はもちろん、荷重が変化しても、加熱ロールのたわみを補正するように、加圧部材がたわみ、常に軸方向でほぼ均一な定着ニップを得ることができ、良好な定着性能と安定した用紙搬送性を要する定着装置を安価に提供することができる。
また、加圧部材として、ロールではなく、弾性体である加圧パッドおよびそれを支持する加圧部材本体を有する加圧部材を使用しているので、比較的低い荷重で定着ニップを広く取ることができる。さらに、荷重が低くなる分、加熱ロールのコアを薄くすること、あるいは小径化することができ、ウォームアップタイムを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の定着装置の実施例1を備えた画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は本発明の定着装置の実施例1の説明図で前記図1に示す定着装置の拡大図である。
【図3】図3は前記図2の矢印IIIから見た図である。
【図4】図4は同実施例1の定着装置で使用される加圧部材本体の説明図である。
【図5】図5は同実施例1の作用説明図で、加熱ロールおよび加圧部材の押圧力が大きい場合の状態を示す図である。
【図6】図6は本発明の定着装置の実施例2の説明図である。
【図7】図7は本発明の定着装置の実施例3の説明図である。
【図8】図8は本発明の定着装置の実施例4の説明図である。
【図9】図9は本発明の定着装置の実施例5の説明図である。
【図10】図10は従来の、弾性体をその表面に被覆した加熱ロールとロール軸に耐熱弾性体を被覆して成る加圧ロールによって定着ニップを形成するフルカラー機用のSoft RolI Fuser(以下SRFと略す)の概略図である。
【図11】図11は加熱ロール及び加圧部材が共に両端支持である場合に両者の間に等分布荷重がかかっているとして、材料力学の基本式により算出した、それぞれのたわみを示す図である。
【図12】図12は従来のロールの計算上の最大たわみを示す図表である。
【図13】図13は加圧部材を中央支持した場合の加熱ロールおよび加圧部材のたわみを示す図である。
【図14】図14は加圧ロールを中央支持した場合の加熱ロールおよび加圧ロールのたわみを示す図である。
【図15】図15は加熱ロールを両端で支持し、加圧ロールを中央で支持して等分布荷重が作用しているとした場合の材料力学の基本式により算出した最大たわみ示す図表である。
【図16】図16は前記図15の加熱ロールおよび加圧ロール(3)に等分布荷重が作用しているとした場合のたわみ量を示すグラフである。
【図17】図17は断面が円筒および長方形の部材の断面2次モーメントを示す図表である。
【符号の説明】
I…未定着トナー像、N…定着ニップ、S…記録シート、
51…加熱ロール、51b…弾性層、56…加圧部材、58…加圧パッド、59…押圧部材、64…ベルトガイド、B…定着ベルト
Claims (3)
- 下記の要件を備えたことを特徴とする定着装置、
(A01)表面に弾性層を有し、軸方向両端部が支持された加熱ロール、
(A02)前記加熱ロールの軸方向に延び且つ前記加熱ロールに向けて押圧される耐熱弾性部材製の加圧パッドを有する加圧部材、
(A03)前記軸方向の中央部から軸方向端部に行くに従って曲げ剛性が小さくなるように構成された前記加圧部材、
(A04)加圧部材を軸方向中央部で支持する押圧部材、
(A05)前記加圧部材およびこの加圧部材に平行に隣接して配置されたベルトガイドの周囲に回転移動可能に支持され且つ前記加圧部材により前記加熱ロール表面に圧接される無端の定着ベルト、
(A06)前記定着ベルトおよび前記加熱ロールの圧接領域により定着ニップを形成し、前記定着ニップを通過する前記記録シートに付着した未定着トナー像を定着する前記加熱ロール、前記定着ベルト、および前記加圧部材。 - 下記の要件を備えたことを特徴とする定着装置、
(B01)表面に弾性層を有する加熱ロール、
(B02)前記加熱ロールの軸方向に延び且つ前記加熱ロールに圧接される耐熱弾性部材である加圧パッドを有する加圧部材、
(B03)軸方向中央部から軸方向端部に行くに従って曲げ剛性が小さくなるように構成された前記加圧部材、
(B04)加圧部材を軸方向中央部で支持する押圧部材、
(B05)前記加熱ロールおよび加圧部材の圧接領域により定着ニップを形成し、前記定着ニップを通過する記録シートに付着した未定着トナー像を定着する前記加熱ロールおよび前記加圧部材。 - 下記の要件を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の定着装置、
(C01)前記加圧パッドと、前記加圧パッドを支持し且つ前記加圧パッドを支持する面が予め予想される前記加熱ロールのたわみに沿った形状を有する加圧部材本体とを有する前記加圧部材。
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