JP3582118B2 - 有機金属の充填方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は有機金属貯蔵タンクから有機金属の出荷用容器等の小分け用容器への充填方法に関し、さらに詳しくは半導体分野における金属薄膜生成や化合物半導体分野における結晶成長に用いる有機金属を高品位で供給することが可能な小分け用容器への充填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機金属化合物は近年、気相熱分解(以下、MOCVDと略す)による化合物半導体薄膜形成用原料として使用されるようになってきた。これらの薄膜は発光ダイオード、レーザーダイオード、マイクロ波素子として利用されるほか、超高速IC、光ICにも利用されようとしている。
【0003】
これらに使用される有機金属は通常高純度のものが要求され、このために金属不純物や空気中の酸素や水分が混入しないような製造プロセスが選択されている。製造された高純度の有機金属は通常シリンダーとよばれるバルブ付き容器(以下、小分け用容器と称する)に充填され、これはそのままMOCVD装置に取り付けられ、薄膜形成原料として使用される。すなわち、小分け用容器は有機金属の貯蔵容器であると同時に化合物半導体薄膜を形成するための装置の一部でもある。
【0004】
該容器は、通常50ccから2000cc程度の容量を持ち、上部にバルブ付き充填ノズルが付設されたステンレス製のシリンダーが使用され、これに所定量の有機金属を充填する方法として、一般的には不活性ガスボックス中で移し換える方法が用いられている。より具体的には、空気が入らないように工夫されたボックスの中に窒素やアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを満たし、常温で液体の有機金属においては貯蔵タンクより注射器状の器具を用いて一定量を抜き取り小分け用容器へ充填する方法、常温で固体の有機金属にあっては匙等を用いて充填する方法がある。
【0005】
しかしこれらの方法は不活性ガスボックス内の酸素濃度管理が難しく、微量の酸素が混入し有機金属と反応して不純物としての含酸素成分を生成しやすいとか、小分け用容器の充填ノズル部に少量の有機金属が付着する時があり、これを不活性ガスボックスから取り出すと空気中で発火または酸化され、小分け容器の入口バルブ近傍に酸化物固体が付着あるいは閉塞する等の欠点がある。
【0006】
これらの欠点は化合物半導体薄膜を形成する時に致命的な欠陥として表面化する。例えば、前者にあっては化合物半導体薄膜の電気的、光学的特性が著しく阻害され、高抵抗膜や発光効率の低い膜しか得られないなどの問題が生じる。後者にあってはMOCVD時に小分け用容器のノズル内を流れるべきキャリアガス流量が制限される、あるいは全く流れなくなり、MOCVDそのものが行えない等の問題が生じる。
加えて従来の充填方法は充填操作に熟練を要するとともに計量精度も悪いとの欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況に鑑み、本発明者らは有機金属貯蔵タンクから小分け用容器への有機金属の所定量の充填に際し、作業者の熟練度が要求されず、酸素等の不純物の混入もなく、計量精度に優れ、かつ小分け用容器のノズル部位に有機金属の付着のない充填方法を開発することを目的として鋭意検討した結果、本発明方法を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、有機金属貯蔵タンクと計量器並びに小分け用容器を大気と遮断構造にラインで接続してなる有機金属の充填装置を用い、有機金属貯蔵タンクより所定量の有機金属を計量した後、該計量後の有機金属を小分け用容器内に充填するに際し、
(1)計量器と小分け用容器を接続するライン及び小分け用容器内を、真空吸引した後不活性ガスを導入し、導入した不活性ガスを真空吸引する、真空吸引→不活性ガス導入→真空吸引よりなる一連の処理を少なくとも2回以上実施し、上記ラインと小分け用容器内を真空状態とした後、
(2)計量後の有機金属を計量器より小分け用容器内に充填し、小分け用容器の入口バルブを閉じ、
(3)計量器と小分け用容器を接続するラインおよび小分け用容器の入口バルブ部を、小分け用容器に充填する有機金属とは不活性な有機溶媒にて加圧洗浄した後、該ライン内に残存する有機溶媒を揮発除去し、次いで該ラインに不活性ガスを導入する、
ことを特徴とする有機金属の充填方法を提供するにある。
【0009】
以下、本発明方法を更に詳細に説明する。
本発明は、有機金属貯蔵タンクと計量器並びに小分け用容器を大気と遮断構造にラインで接続し、かかるラインと小分け用容器内を真空吸引と不活性ガスを用いた装置内置換ならびに有機溶媒を用いた洗浄等の操作を組み合わせることにより、大気よりの酸素の混入がなく、小分け用容器のノズル部に有機金属酸化物の付着がなく、作業安全性にも優れた、有機金属貯蔵タンクより所定量の有機金属を精度よく小分け用容器内に充填する方法を提供し得るものである。
【0010】
本発明方法が対象とする有機金属は一般式R1 MXまたはR1 R2 MX(式中R1 ,R2 はアルキル基、またはシクロアルカジェニル基、MはAl、Ga、In、またはZn、Xはアルキル基、ハロゲンまたは水素を表す)で示される有機金属化合物であり、アルキル基としては炭素数が1〜8個からなるものが選ばれる。とりわけ炭素数1〜4からなるアルキル基を有する有機金属化合物に対して好適に採用される。
【0011】
これらの有機金属化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリネオペンチルガリウム、ジエチルシクロペンタジエニルガリウム、エチルジメチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、メチルジエチルインジウム、エチルジメチルインジウム、メチルシクロペンタジエニルインジウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジメチルガリウムクロライド、ジエチルガリウムクロライド、ジメチルインジウムクロライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジメチルジンク、ジエチルジンク等が挙げられる。
【0012】
次いで本発明の有機金属の充填方法を図面を用いて更に詳細に説明する。
図1は本発明に用いる有機金属貯蔵タンクより有機金属を計量し、小分け用容器に充填する装置の概略図、図2は計量器と小分け用容器の接続ラインであり、且つ小分け用容器入口バルブ部の有機溶媒による洗浄構造を示す概略断面図である。
【0013】
図に於いて、1は有機金属貯蔵タンク、2は計量器、3は小分け用容器、4は不活性ガス導入装置、5は真空吸引装置、6は溶媒タンク、7は不活性ガスの圧力調整装置、11〜22はバルブ、23はVCR継手、101〜107は各容器或いは装置間を接続するライン、108はインナーチューブを示す。
【0014】
図1に於いて、有機金属貯蔵タンク1にはトリメチルガリウム等の有機金属が貯蔵されており、該タンク1上部にはアルゴンガス等の不活性ガスが不活性ガス導入装置4からバルブ12、ライン102、バルブ13、ライン103、バルブ22を経由して導入されている。
該タンク1の下部にはガラスゲージ付き計量管よりなる計量器2がバルブ15、ライン106を経由し接続されており、計量後の有機金属が計量器2下部よりバルブ16、ライン101、ライン107、バルブ21を経由して小分け用容器3に導入される構成となっている。
また、これら有機金属貯蔵タンク1、計量器2、小分け用容器3およびこれらを接続するライン、バルブ等はステンレス製素材より構成されている。
【0015】
計量器2には上部より不活性ガスが、不活性ガス導入装置4よりバルブ12、ライン102、バルブ14、ライン105を経由して導入されている。また不活性ガス導入装置4からの不活性ガスは、有機金属の充填作業時にバルブ12、ライン102を経由し不活性ガスの圧力調整装置7に常時供給され、有機金属貯蔵タンク1および計量器2内に空気の混入がないよう調整されている。
さらに不活性ガス導入装置4からの不活性ガスはバルブ12、ライン102、バルブ18を経由し、ライン101と接続し、バルブ19、ライン107、バルブ21を経由し小分け用容器3に導入されるよう構成されている。
【0016】
また溶媒タンク6の溶媒はバルブ11、ライン104、バルブ17を経由し、ライン101と接続され、ライン107を経由し小分け用容器3の入口バルブ21に導入し得るよう構成されている。
小分け用容器3には真空吸引装置5がドライアイストラップ8、ライン101、バルブ20、ライン101、バルブ19、ライン107、バルブ21を経由して接続されている。
【0017】
このように構成された本発明の有機金属充填装置を用いた有機金属貯蔵タンク1よりの有機金属の小分け容器3への充填に際しては、先ず小分け用容器3をライン107に接続する。
小分け用容器3はその上部にバルブ21を有するノズルを備えており、その先端部はVCRグランドとなっており、ライン107の先端のVCRグランドとガスケットを介してVCR継手23で螺合、締結し、接続することができる。
小分け用容器3をライン107に接続後、バルブ12を開き、不活性ガス導入装置4からライン102を経由し不活性ガスの圧力調整装置7にアルゴンガスを供給する。
【0018】
次いで、バルブ20を閉めた後、真空吸引装置5を稼動し、バルブ16、17及び18を閉め、バルブ19、20及び21を開け、小分け用容器3内を真空に吸引する。次にバルブ20を閉めバルブ18をゆっくり開け小分け用容器3内をアルゴンガスで大気圧まで充満する。かかる真空吸引→アルゴンガス導入→真空吸引よりなる一連の処理を少なくとも2回以上、好ましくは3回以上実施した後、小分け用容器3内を真空にしたまま、バルブ19、20を閉める。
かかる操作により小分け用容器3内及び計量器2より小分け用容器間の接続ライン内を不活性ガスにより完全に置換することができる。
【0019】
次いで、バルブ13、14を開け(バルブ22は通常、開である)、バルブ15をゆっくり開けて、所定量の有機金属を計量器2で計量した後バルブ15、バルブ13を閉める。
計量した有機金属は次いでバルブ16を開け、さらにバルブ21をゆっくり開けて計量器2内の有機金属を小分け用容器3に充填した後、バルブ16及びバルブ21を閉める。
計量器2にはライン105を経由して上部よりアルゴンガスが連続供給されており、且つ小分け用容器3内は真空であることより、バルブ21を開くと計量された有機金属は全て小分け用容器3内に導入される。
【0020】
有機金属充填完了後、小分け用容器3の入口バルブ21を閉め、バルブ19、20を開け、更に溶媒タンク6の出口バルブ11、バルブ17を開け、所定量の加圧溶媒をライン107及びライン101に導入し、該ライン内に付着残存する有機金属を洗浄、除去する。ライン内の洗浄に用いた溶媒はライン101の先端よりドライアイストラップ8内に導入し、回収する。
該ライン内の洗浄に使用する有機溶媒としては貯蔵タンク1に貯蔵する有機金属とは反応せず、該有機金属に対し適度な溶解度を持ち、かつ適度な揮発性を有する炭化水素が望ましく、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン等が利用される。
洗浄は連続で行ってもよいし、或いは一定量を断続的に複数回供給し、洗浄に供してもよい。
【0021】
有機溶媒で洗浄後のライン101及び107はライン内部に付着する溶媒を除去する目的で、溶媒の揮発温度以上の温度でライン外壁より加熱することが望ましい。加熱方法はライン101及び107を加熱し得る方法であれば、特に制限されないが、例えばライン外壁より高温媒体での加熱、電気加熱、スチーム加熱、或いは熱風による加熱等の機能を付与せしめる方法等が挙げられる。
該加熱時、かかるライン101及び107を真空吸引して置く場合には、より効果的な溶媒の揮散除去が可能である。
また常温で揮発するような揮発性の高い溶媒を用いる場合には、加熱は行わず真空吸引のみを行い系内に残存する溶媒を除去することも可能である。
【0022】
小分け用容器3に充填する有機金属の蒸気圧が比較的低い(常温で揮発し難い)、例えばトリエチルインジウム、トリエチルアルミニウム、トリエチルガリウム等の有機金属の場合には、ライン101及び107の溶媒洗浄時において、小分け用容器3の上部開閉バルブ21近傍の洗浄をより効果的に行う目的より本発明方法に於いては図2に示すように、ライン107はインナーチューブ108を有する二重管構造の導管を用いることが推奨される。
該インナーチューブ108はバルブ17以降(バルブ17側)で、かつライン107がライン101との接続部の間の任意の位置において、インナーチューブを構成していればよいが、インナーチューブ108はライン107内を通過し、その先端(溶媒の吐出口)はバルブ21の開閉部を加圧された有機溶媒が直接噴射、洗浄し得るよう、バルブ21の開閉部近傍にその吐出口を有するように構成する。
また、インナーチューブ108の先端より噴出された溶媒はバルブ21の開閉部を細部に渡り噴射洗浄した後、インナーチューブ108とライン107の間を通過し、インナーチューブ108の外壁とライン107の内壁を洗浄しつつ、ライン101内を通過して、ドライアイストラップ8に排出されここで回収される構造となっている。
【0023】
ライン101およびライン107より溶媒を揮散除去し、バルブ20を閉めた後、真空吸引装置5を停止し、バルブ18を開け、ライン101、107にアルゴンガスを満たした後、小分け用容器3を取り付けたVCR継手23を緩め、小分け用容器3を取り外す。
【0024】
本発明の充填装置において、対象とする有機金属が常温で固体、例えばトリメチルインジウムの場合にあっても、貯蔵タンク、計量器、小分け用容器およびライン、バルブ等の充填装置に加熱保温機能を付与し装置全体を融点以上に加温することにより液体として取り扱い充填することが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上述べた本発明方法によれば有機金属貯蔵タンクから小分け用容器への有機金属の充填に際し、作業者の熟練度を要求することなく、高品位の有機金属に酸素等の不純物を混入させる事もなく、また小分け用容器のノズル部に有機金属の酸化物を付着させる事なく、安全に、計量精度よく有機金属を充填する事を可能ならしめたものであり、本発明の化合物半導体等の電子材料分野における産業上の利用価値は頗る大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる有機金属充填装置の概略図である。
【図2】本発明に用いるライン107及びバルブ21の概略断面図である。
【符号の説明】
1は有機金属貯蔵タンク、2は計量器、3は小分け用容器、4は不活性ガス導入装置、5は真空吸引装置、6は溶媒タンク、7は不活性ガスの圧力調整装置、11〜22はバルブ、23はVCR継手、101〜107は各容器或いは装置間を接続するライン、108はインナーチューブを示す。
【産業上の利用分野】
本発明は有機金属貯蔵タンクから有機金属の出荷用容器等の小分け用容器への充填方法に関し、さらに詳しくは半導体分野における金属薄膜生成や化合物半導体分野における結晶成長に用いる有機金属を高品位で供給することが可能な小分け用容器への充填方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
有機金属化合物は近年、気相熱分解(以下、MOCVDと略す)による化合物半導体薄膜形成用原料として使用されるようになってきた。これらの薄膜は発光ダイオード、レーザーダイオード、マイクロ波素子として利用されるほか、超高速IC、光ICにも利用されようとしている。
【0003】
これらに使用される有機金属は通常高純度のものが要求され、このために金属不純物や空気中の酸素や水分が混入しないような製造プロセスが選択されている。製造された高純度の有機金属は通常シリンダーとよばれるバルブ付き容器(以下、小分け用容器と称する)に充填され、これはそのままMOCVD装置に取り付けられ、薄膜形成原料として使用される。すなわち、小分け用容器は有機金属の貯蔵容器であると同時に化合物半導体薄膜を形成するための装置の一部でもある。
【0004】
該容器は、通常50ccから2000cc程度の容量を持ち、上部にバルブ付き充填ノズルが付設されたステンレス製のシリンダーが使用され、これに所定量の有機金属を充填する方法として、一般的には不活性ガスボックス中で移し換える方法が用いられている。より具体的には、空気が入らないように工夫されたボックスの中に窒素やアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを満たし、常温で液体の有機金属においては貯蔵タンクより注射器状の器具を用いて一定量を抜き取り小分け用容器へ充填する方法、常温で固体の有機金属にあっては匙等を用いて充填する方法がある。
【0005】
しかしこれらの方法は不活性ガスボックス内の酸素濃度管理が難しく、微量の酸素が混入し有機金属と反応して不純物としての含酸素成分を生成しやすいとか、小分け用容器の充填ノズル部に少量の有機金属が付着する時があり、これを不活性ガスボックスから取り出すと空気中で発火または酸化され、小分け容器の入口バルブ近傍に酸化物固体が付着あるいは閉塞する等の欠点がある。
【0006】
これらの欠点は化合物半導体薄膜を形成する時に致命的な欠陥として表面化する。例えば、前者にあっては化合物半導体薄膜の電気的、光学的特性が著しく阻害され、高抵抗膜や発光効率の低い膜しか得られないなどの問題が生じる。後者にあってはMOCVD時に小分け用容器のノズル内を流れるべきキャリアガス流量が制限される、あるいは全く流れなくなり、MOCVDそのものが行えない等の問題が生じる。
加えて従来の充填方法は充填操作に熟練を要するとともに計量精度も悪いとの欠点を有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況に鑑み、本発明者らは有機金属貯蔵タンクから小分け用容器への有機金属の所定量の充填に際し、作業者の熟練度が要求されず、酸素等の不純物の混入もなく、計量精度に優れ、かつ小分け用容器のノズル部位に有機金属の付着のない充填方法を開発することを目的として鋭意検討した結果、本発明方法を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、有機金属貯蔵タンクと計量器並びに小分け用容器を大気と遮断構造にラインで接続してなる有機金属の充填装置を用い、有機金属貯蔵タンクより所定量の有機金属を計量した後、該計量後の有機金属を小分け用容器内に充填するに際し、
(1)計量器と小分け用容器を接続するライン及び小分け用容器内を、真空吸引した後不活性ガスを導入し、導入した不活性ガスを真空吸引する、真空吸引→不活性ガス導入→真空吸引よりなる一連の処理を少なくとも2回以上実施し、上記ラインと小分け用容器内を真空状態とした後、
(2)計量後の有機金属を計量器より小分け用容器内に充填し、小分け用容器の入口バルブを閉じ、
(3)計量器と小分け用容器を接続するラインおよび小分け用容器の入口バルブ部を、小分け用容器に充填する有機金属とは不活性な有機溶媒にて加圧洗浄した後、該ライン内に残存する有機溶媒を揮発除去し、次いで該ラインに不活性ガスを導入する、
ことを特徴とする有機金属の充填方法を提供するにある。
【0009】
以下、本発明方法を更に詳細に説明する。
本発明は、有機金属貯蔵タンクと計量器並びに小分け用容器を大気と遮断構造にラインで接続し、かかるラインと小分け用容器内を真空吸引と不活性ガスを用いた装置内置換ならびに有機溶媒を用いた洗浄等の操作を組み合わせることにより、大気よりの酸素の混入がなく、小分け用容器のノズル部に有機金属酸化物の付着がなく、作業安全性にも優れた、有機金属貯蔵タンクより所定量の有機金属を精度よく小分け用容器内に充填する方法を提供し得るものである。
【0010】
本発明方法が対象とする有機金属は一般式R1 MXまたはR1 R2 MX(式中R1 ,R2 はアルキル基、またはシクロアルカジェニル基、MはAl、Ga、In、またはZn、Xはアルキル基、ハロゲンまたは水素を表す)で示される有機金属化合物であり、アルキル基としては炭素数が1〜8個からなるものが選ばれる。とりわけ炭素数1〜4からなるアルキル基を有する有機金属化合物に対して好適に採用される。
【0011】
これらの有機金属化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、トリネオペンチルガリウム、ジエチルシクロペンタジエニルガリウム、エチルジメチルガリウム、トリメチルインジウム、トリエチルインジウム、メチルジエチルインジウム、エチルジメチルインジウム、メチルシクロペンタジエニルインジウム、ジメチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムクロライド、ジメチルガリウムクロライド、ジエチルガリウムクロライド、ジメチルインジウムクロライド、ジメチルアルミニウムハイドライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド、ジメチルジンク、ジエチルジンク等が挙げられる。
【0012】
次いで本発明の有機金属の充填方法を図面を用いて更に詳細に説明する。
図1は本発明に用いる有機金属貯蔵タンクより有機金属を計量し、小分け用容器に充填する装置の概略図、図2は計量器と小分け用容器の接続ラインであり、且つ小分け用容器入口バルブ部の有機溶媒による洗浄構造を示す概略断面図である。
【0013】
図に於いて、1は有機金属貯蔵タンク、2は計量器、3は小分け用容器、4は不活性ガス導入装置、5は真空吸引装置、6は溶媒タンク、7は不活性ガスの圧力調整装置、11〜22はバルブ、23はVCR継手、101〜107は各容器或いは装置間を接続するライン、108はインナーチューブを示す。
【0014】
図1に於いて、有機金属貯蔵タンク1にはトリメチルガリウム等の有機金属が貯蔵されており、該タンク1上部にはアルゴンガス等の不活性ガスが不活性ガス導入装置4からバルブ12、ライン102、バルブ13、ライン103、バルブ22を経由して導入されている。
該タンク1の下部にはガラスゲージ付き計量管よりなる計量器2がバルブ15、ライン106を経由し接続されており、計量後の有機金属が計量器2下部よりバルブ16、ライン101、ライン107、バルブ21を経由して小分け用容器3に導入される構成となっている。
また、これら有機金属貯蔵タンク1、計量器2、小分け用容器3およびこれらを接続するライン、バルブ等はステンレス製素材より構成されている。
【0015】
計量器2には上部より不活性ガスが、不活性ガス導入装置4よりバルブ12、ライン102、バルブ14、ライン105を経由して導入されている。また不活性ガス導入装置4からの不活性ガスは、有機金属の充填作業時にバルブ12、ライン102を経由し不活性ガスの圧力調整装置7に常時供給され、有機金属貯蔵タンク1および計量器2内に空気の混入がないよう調整されている。
さらに不活性ガス導入装置4からの不活性ガスはバルブ12、ライン102、バルブ18を経由し、ライン101と接続し、バルブ19、ライン107、バルブ21を経由し小分け用容器3に導入されるよう構成されている。
【0016】
また溶媒タンク6の溶媒はバルブ11、ライン104、バルブ17を経由し、ライン101と接続され、ライン107を経由し小分け用容器3の入口バルブ21に導入し得るよう構成されている。
小分け用容器3には真空吸引装置5がドライアイストラップ8、ライン101、バルブ20、ライン101、バルブ19、ライン107、バルブ21を経由して接続されている。
【0017】
このように構成された本発明の有機金属充填装置を用いた有機金属貯蔵タンク1よりの有機金属の小分け容器3への充填に際しては、先ず小分け用容器3をライン107に接続する。
小分け用容器3はその上部にバルブ21を有するノズルを備えており、その先端部はVCRグランドとなっており、ライン107の先端のVCRグランドとガスケットを介してVCR継手23で螺合、締結し、接続することができる。
小分け用容器3をライン107に接続後、バルブ12を開き、不活性ガス導入装置4からライン102を経由し不活性ガスの圧力調整装置7にアルゴンガスを供給する。
【0018】
次いで、バルブ20を閉めた後、真空吸引装置5を稼動し、バルブ16、17及び18を閉め、バルブ19、20及び21を開け、小分け用容器3内を真空に吸引する。次にバルブ20を閉めバルブ18をゆっくり開け小分け用容器3内をアルゴンガスで大気圧まで充満する。かかる真空吸引→アルゴンガス導入→真空吸引よりなる一連の処理を少なくとも2回以上、好ましくは3回以上実施した後、小分け用容器3内を真空にしたまま、バルブ19、20を閉める。
かかる操作により小分け用容器3内及び計量器2より小分け用容器間の接続ライン内を不活性ガスにより完全に置換することができる。
【0019】
次いで、バルブ13、14を開け(バルブ22は通常、開である)、バルブ15をゆっくり開けて、所定量の有機金属を計量器2で計量した後バルブ15、バルブ13を閉める。
計量した有機金属は次いでバルブ16を開け、さらにバルブ21をゆっくり開けて計量器2内の有機金属を小分け用容器3に充填した後、バルブ16及びバルブ21を閉める。
計量器2にはライン105を経由して上部よりアルゴンガスが連続供給されており、且つ小分け用容器3内は真空であることより、バルブ21を開くと計量された有機金属は全て小分け用容器3内に導入される。
【0020】
有機金属充填完了後、小分け用容器3の入口バルブ21を閉め、バルブ19、20を開け、更に溶媒タンク6の出口バルブ11、バルブ17を開け、所定量の加圧溶媒をライン107及びライン101に導入し、該ライン内に付着残存する有機金属を洗浄、除去する。ライン内の洗浄に用いた溶媒はライン101の先端よりドライアイストラップ8内に導入し、回収する。
該ライン内の洗浄に使用する有機溶媒としては貯蔵タンク1に貯蔵する有機金属とは反応せず、該有機金属に対し適度な溶解度を持ち、かつ適度な揮発性を有する炭化水素が望ましく、具体的にはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン等が利用される。
洗浄は連続で行ってもよいし、或いは一定量を断続的に複数回供給し、洗浄に供してもよい。
【0021】
有機溶媒で洗浄後のライン101及び107はライン内部に付着する溶媒を除去する目的で、溶媒の揮発温度以上の温度でライン外壁より加熱することが望ましい。加熱方法はライン101及び107を加熱し得る方法であれば、特に制限されないが、例えばライン外壁より高温媒体での加熱、電気加熱、スチーム加熱、或いは熱風による加熱等の機能を付与せしめる方法等が挙げられる。
該加熱時、かかるライン101及び107を真空吸引して置く場合には、より効果的な溶媒の揮散除去が可能である。
また常温で揮発するような揮発性の高い溶媒を用いる場合には、加熱は行わず真空吸引のみを行い系内に残存する溶媒を除去することも可能である。
【0022】
小分け用容器3に充填する有機金属の蒸気圧が比較的低い(常温で揮発し難い)、例えばトリエチルインジウム、トリエチルアルミニウム、トリエチルガリウム等の有機金属の場合には、ライン101及び107の溶媒洗浄時において、小分け用容器3の上部開閉バルブ21近傍の洗浄をより効果的に行う目的より本発明方法に於いては図2に示すように、ライン107はインナーチューブ108を有する二重管構造の導管を用いることが推奨される。
該インナーチューブ108はバルブ17以降(バルブ17側)で、かつライン107がライン101との接続部の間の任意の位置において、インナーチューブを構成していればよいが、インナーチューブ108はライン107内を通過し、その先端(溶媒の吐出口)はバルブ21の開閉部を加圧された有機溶媒が直接噴射、洗浄し得るよう、バルブ21の開閉部近傍にその吐出口を有するように構成する。
また、インナーチューブ108の先端より噴出された溶媒はバルブ21の開閉部を細部に渡り噴射洗浄した後、インナーチューブ108とライン107の間を通過し、インナーチューブ108の外壁とライン107の内壁を洗浄しつつ、ライン101内を通過して、ドライアイストラップ8に排出されここで回収される構造となっている。
【0023】
ライン101およびライン107より溶媒を揮散除去し、バルブ20を閉めた後、真空吸引装置5を停止し、バルブ18を開け、ライン101、107にアルゴンガスを満たした後、小分け用容器3を取り付けたVCR継手23を緩め、小分け用容器3を取り外す。
【0024】
本発明の充填装置において、対象とする有機金属が常温で固体、例えばトリメチルインジウムの場合にあっても、貯蔵タンク、計量器、小分け用容器およびライン、バルブ等の充填装置に加熱保温機能を付与し装置全体を融点以上に加温することにより液体として取り扱い充填することが可能である。
【0025】
【発明の効果】
以上述べた本発明方法によれば有機金属貯蔵タンクから小分け用容器への有機金属の充填に際し、作業者の熟練度を要求することなく、高品位の有機金属に酸素等の不純物を混入させる事もなく、また小分け用容器のノズル部に有機金属の酸化物を付着させる事なく、安全に、計量精度よく有機金属を充填する事を可能ならしめたものであり、本発明の化合物半導体等の電子材料分野における産業上の利用価値は頗る大なるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる有機金属充填装置の概略図である。
【図2】本発明に用いるライン107及びバルブ21の概略断面図である。
【符号の説明】
1は有機金属貯蔵タンク、2は計量器、3は小分け用容器、4は不活性ガス導入装置、5は真空吸引装置、6は溶媒タンク、7は不活性ガスの圧力調整装置、11〜22はバルブ、23はVCR継手、101〜107は各容器或いは装置間を接続するライン、108はインナーチューブを示す。
Claims (2)
- 有機金属貯蔵タンクと計量器並びに小分け用容器を大気と遮断構造にラインで接続してなる有機金属の充填装置を用い、有機金属貯蔵タンクより所定量の有機金属を計量した後、該計量後の有機金属を小分け用容器内に充填するに際し、
(1)計量器と小分け用容器を接続するライン及び小分け用容器内を、真空吸引した後不活性ガスを導入し、導入した不活性ガスを真空吸引する、真空吸引→不活性ガス導入→真空吸引よりなる一連の処理を少なくとも2回以上実施し、上記ラインと小分け用容器内を真空状態とした後、
(2)計量後の有機金属を計量器より小分け用容器内に充填し、計量器出口のバルブと小分け用容器の入口バルブを閉じ、
(3)計量器と小分け用容器を接続するラインおよび小分け用容器の入口バルブ部を、小分け用容器に充填する有機金属とは不活性な有機溶媒にて加圧洗浄した後、該ライン内に残存する有機溶媒を揮発除去し、次いで該ラインに不活性ガスを導入する、
ことを特徴とする有機金属の充填方法。 - 計量器と小分け用容器を接続するラインが、有機溶媒を小分け用容器の入口バルブ開閉箇所に噴射洗浄し得るインナーチューブを有する2重管構造であることを特徴とする請求項1記載の有機金属の充填方法。
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