JP3582041B2 - 放射線画像読取装置及び制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体に蓄積記録された放射線画像情報を読み取る放射線画像読取装置及び複数の放射線画像読取装置を制御する制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネル(以下、単にパネルともいう)にX線・紫外線などの放射線を照射すると、この放射線のエネルギーの一部が輝尽性蛍光体に蓄積される。この後に、そのパネルに励起光を照射すると、蓄積されていたエネルギーに応じてその輝尽性蛍光体が輝尽発光する。輝尽発光した輝尽発光光を光電変換手段で光電変換して適宜処理を施すことにより、パネルに記録された放射線画像情報を読み取ることができる。この原理を利用したのが放射線画像読取装置である。放射線画像読取装置は、医用分野に用いられ、人体等の放射線画像情報を読み取り、読み取られた画像を写真感光材料やCRTに可視像として出力される。
【0003】
このような放射線画像読取装置において、パネルは放射線を一時的に記憶するものであるで、このパネルは繰り返し使用されるようになっている。そのためには、輝尽発光光が読み取られた後にパネル(輝尽性蛍光体)に残存した(蓄積された)放射線エネルギーを放出させる必要がある。パネルに蓄積された放射線エネルギーを放出させる方法として、パネルに対して光照射が行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このような放射線画像読取装置は、病院の一室内や検診車内などに設置されているが、この室内や車内には他の放射線装置、例えばX線写真撮影装置や2台目の放射線画像読取装置などと一緒に設置されていることが多い。この場合、互いの放射線の影響が少ないように配置されているが、同じ室内や車内に設置されている以上、その影響は阻めない。
【0005】
即ち、放射線画像読取装置においては、放射線画像を読み取った後にパネルに対して光照射して残存した放射線エネルギーを放出させているが、その後に、他の放射線装置が使用されると、せっかく放射線エネルギーを放出させた放射線画像読取装置のパネルにも放射線が照射され、そのエネルギーが蓄積されてしまう。そのため、その後に放射線画像読取装置を使用するとその蓄積された放射線エネルギーがノイズとして現れ、正確な放射線画像を読み取ることができない。
【0006】
また、放射線画像読取装置における室内や車内に他の放射線装置がない場合であっても、残存する放射線エネルギーを放出させる光照射を行った後でも、十分に放射線エネルギーが放出されていないことがあり、読取の条件(特に読取感度が前回より高い場合)によっては、この残存する放射線エネルギーがノイズとして現れ、正確な放射線画像を読み取ることができない。
【0007】
そこで、本発明は、蓄積或いは残存する放射線エネルギーの影響を受けずに正確な放射線画像を読み取ることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題は以下の構成により解決できる。
【0009】
(1) 被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させることで放射線画像情報を蓄積記録する放射線画像変換パネルと、
前記放射線画像変換パネルを励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、前記輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る読取手段と、
前記放射線画像変換パネルに残存する放射線画像情報を消去するために、前記放射線画像変換パネルに光照射する光照射手段と、
前記読取手段により放射線画像信号が読み取られた後に、前記放射線画像変換パネルに光照射するように、前記光照射手段を制御するとともに、今回読み取ろうとする読取手段による放射線画像信号の読取感度が、前回読み取った読取感度よりも高い場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする放射線画像読取装置。
【0010】
(2) 前記制御手段は、前記読取手段により放射線画像信号が読み取られた後に、読み取った放射線画像信号の読取感度に応じた光照射量で前記放射線画像変換パネルに光照射するように、前記光照射手段を制御することを特徴とする(1)に記載の放射線画像読取装置。
【0011】
(3) 読取感度に関する情報を設定、入力する入力手段と、前回の放射線画像情報の読取に際して、前記入力手段により入力された前回の読取感度に関する情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記前回の読取感度に関する情報と、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報とを比較する比較手段と、を有し、前記制御手段は、前記比較手段により比較された前記記憶手段に記憶された読取感度に関する情報と、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報とを比較した結果に基づいて、前記比較手段により比較された前記記憶手段に記憶された読取感度に関する情報に比して、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報の方が、読取感度が高い場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御することを特徴とする(1)又は(2)に記載の放射線画像読取装置。
【0012】
(4) 前回の読取感度の2倍以上である場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御することを特徴とする(1)〜(3)の何れか1つに記載の放射線画像読取装置。
【0014】
(5) 被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させることで放射線画像情報を蓄積記録する放射線画像変換パネルと、前記放射線画像変換パネルを励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、前記輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る読取手段と、前記放射線画像変換パネルに残存する放射線画像情報を消去するために、前記放射線画像変換パネルに光照射する光照射手段と、を有する複数の放射線画像読取装置を制御する制御装置において、前記複数の放射線画像読取装置のうち1つの放射線画像読取装置を選択する選択手段と、前記選択手段により今回選択された読取装置が前回と異なる読取装置に切り替えられたとき、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記放射線画像読取装置の前記光照射手段を制御する制御手段と、を有することを特徴とする制御装置。
【0015】
なお、本発明でいう「読取感度」とは、所定の輝尽発光光量と読取手段によって得られた放射線画像信号との比であり、読取感度が高いことは同じ輝尽発光光量に対して得られる放射線画像信号の値が大きいことである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係わる放射線画像読取装置の読取手段の一実施の形態のハードウェア構成を示すブロック図である。本実施の形態では、医療用としての人体の胸部放射線撮影に適用した場合を示す。
【0017】
放射線発生源1は、放射線制御装置2によって制御されて、被写体(人体胸部等)Mに向けて放射線(一般にはX線)を照射する。放射線画像読取装置3には、被写体Mを挟んで放射線発生源1と対向する位置に、輝尽性蛍光体を有する放射線画像変換パネル4を備えている。
【0018】
放射線画像変換パネル4は、放射線発生源1からの照射放射線量に対する被写体Mの放射線透過率分布に従ったエネルギーを内蔵された輝尽性蛍光体に蓄積し、被写体の潜像、即ち放射線画像を形成する。放射線画像変換パネル4は、支持体上に輝尽性蛍光体層を、輝尽性蛍光体の気相堆積、或いは、輝尽性蛍光体の塗布によって設けてある。輝尽性蛍光体の材料としては、例えば、特開昭61−72091号公報、特開昭59−75200号公報などに開示されるような材料が使われる。
【0019】
レーザビーム発生部(例えば、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど)5は、出射強度が制御されたレーザビーム(励起光)を発生し、そのレーザビームは種々の光学系を経由して走査器(例えば、ポリゴンミラーなどの光偏向器)6に到達し、そこで偏向を受け、更に反射鏡7で光路を変更させて、放射線画像変換パネル4に輝尽励起用の走査光(励起光)として導かれる。
【0020】
導光体8は、前記のようにして励起光としてのレーザビームで走査された放射線画像変換パネル4に近接してアクリル板の端部が位置され、上記レーザビームで走査された放射線画像変換パネル4からの潜像エネルギーに比例した発光強度の輝尽発光光を導光する。
【0021】
導光された光は、光電変換手段として電子増倍管(フォトマルチプライヤ、以下フォトマルともいう)10によって、入射光(透過線量)に対応した電流信号に光電変換される。フォトマル10からの出力電流は、電流/電圧変換器11で電圧信号に変換され、増幅器12で増幅された後、A/D変換器13でデジタル画像信号に変換される。
【0022】
従って、前記レーザビーム発生部5、走査器6、反射鏡7、導光体8、フォトマル10、電流/電圧変換器11、増幅器12、A/D変換器13によって本実施の形態における読取手段が構成される。即ち、この読取手段は、放射線画像変換パネル4を励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る手段である。そして、前記デジタル画像信号は、画像処理回路14に順次出力され、ここで階調処理などの各種画像処理が施された後、画像記憶装置15にそのまま記憶されたり、又は、CRT表示装置16によって可視化されたり、更には、図示しないプリンタに出力されてハードコピーが得られるようになっている。
【0023】
感度調整手段17は、後述する制御手段により制御され、読取手段による放射線画像信号の読取感度を調整する手段である。この読取感度は、レーザビーム発生部5のレーザビーム強度調整、フォトマル用高電圧電源18の電圧調整によるフォトマル10のゲイン調整、電流/電圧変換器11と増幅器12とのゲイン・オフセット調整、及びA/D変換器13の調整が行われ、放射線画像信号の読取感度が総合的に調整される。即ち、読取感度とは、所定の入力信号(所定の輝尽発光光量)とA/D変換器13からの出力信号(放射線画像信号)との比であり、読取感度が高いことは同じ輝尽発光光量に対して得られる放射線画像信号が大きいことである。
【0024】
図2は、放射線画像読取装置3の全体を示した概略構成図である。この図2において、胸当て板9は、被写体Mが診断部である例えば胸部を放射線画像読取装置3に押し当てるための板である。
【0025】
レーザビーム発生部5、走査器6、反射鏡7、導光体8、フォトマル10が一体的に励起・読取ユニット21を構成しており、励起・読取ユニット21は、ボールねじ22の回動に応じてガイドシャフト23によって移動案内されつつ、図において上下(副走査方向)に移動する。前記ボールねじ22は、モータ24によって回転駆動され、モータ24は後述する制御手段によって移動のタイミングや速度が制御される。
【0026】
また、前記励起・読取ユニット21には、放射線画像変換パネル4に蓄積或いは残存する放射線エネルギーを放出させて、残像を消去するための消去手段であるハロゲンランプ27が設けられている。このハロゲンランプ27は、走査器6による主走査方向に延設される線状の消去用光源であり、本実施の形態では3つのハロゲンランプ27を平行に並べて配設している。このハロゲンランプ27の光を放射線画像変換パネル4へ光照射を行う際には、ハロゲンランプ27を点灯させ、ボールねじ22の回動に応じてガイドシャフト23によって励起・読取ユニット21ごと副走査方向に移動案内させて、放射線画像変換パネル4の全面に光照射を行う。このハロゲンランプ27の点灯のタイミングや光量は、後述する制御手段によって制御される。
【0027】
なお、本実施の形態においては、図2に示すように、放射線画像変換パネル4を固定し、励起・読取ユニット21が移動することにより読み取りを行う構造であるが、逆に励起・読取ユニット21(ハロゲンランプ27を含む)を固定して(複数の)放射線画像変換パネル4を移動することにより読み取りを行う、いわゆるパネル循環搬送タイプの構造であってもよい。
【0028】
図3は、上述したような放射線画像読取装置を複数用いる場合の斜視図である。放射線画像読取装置3は上述したような立位で放射線画像を読み取る装置であって、放射線画像読取装置3′は内部機構や動きは全く同様ではあるが被写体Mが放射線画像読取装置3′が内蔵された図示しない水平撮影台の天板上に乗りいわゆる臥位状態で撮影、記録を行って放射線画像を読み取る装置である。
【0029】
このような複数(本実施の形態では2つ)の放射線画像読取装置3、3′は、制御手段である1つの制御装置30によって、各々が制御される。この制御には、上述したモータ24、ハロゲンランプ27、読取手段の各部の同期制御などが行われる。また、この制御装置30は、放射線画像読取装置3、3′の制御の他に、放射線制御装置(図1における2)とのインターフェース、階調処理などの各種画像処理、例えばホストコンピュータ、プリンタなどの外部装置或いはCRT表示装置16への出力する機能を有している。
【0030】
一方、制御装置30には、操作パネル19を有しており、この操作パネル19により、放射線画像読取装置3と3′のうち一方の選択が行われ、また、選択された放射線画像読取装置による読取感度の設定などが行われる。
【0031】
この制御装置(手段)30による放射線画像読取装置の制御について、制御のフローを示した図である図4に基づいて説明する。
【0032】
まず、今回の放射線画像の読み取りに際して、操作者は、放射線画像読取装置3若しくは3′のうち何れか使用する装置(今回使用する放射線画像読取装置ともいう)として、操作パネル19から選択する。ここで、選択された今回使用する放射線画像読取装置が、前回使用した放射線画像読取装置と異なる場合は、制御装置30による制御の対象を選択された放射線画像読取装置へと切り替える。また、選択された放射線画像読取装置が、前回使用した放射線画像読取装置と同じ場合は、制御装置30による制御の対象はそのままにする。
【0033】
ここで、S1において、放射線画像読取装置を選択することにより、前回使用した放射線画像読取装置から切り替えられた場合はS2へ進み、前回使用した放射線画像読取装置と同じ場合はS3へ進む。
【0034】
前回使用した放射線画像読取装置から切り替えられたということは、前回使用した放射線画像読取装置の放射線画像変換パネル4への放射線の照射があり、その放射線が今回使用する放射線画像読取装置の放射線画像変換パネル4にも若干であるが照射されている、即ち、放射線エネルギーが蓄積されノイズとして現れる可能性がある。よって、S2において、今回使用する放射線画像読取装置の放射線画像変換パネル4に残存する放射線画像情報を消去するために、ハロゲンランプ27及びモータ24を駆動して、放射線画像変換パネル4に光照射を行う。この光照射が終わると、或いは、光照射の前や途中でも構わないが、今回の読取感度を操作パネルから設定を行い(S4)、S8の放射線画像情報の読み取りへと進む。
【0035】
一方、S1において、今回使用する放射線画像読取装置が前回使用した放射線画像読取装置と同じ場合は、S3において、今回の読取感度を操作パネルから設定を行う(S4)。そして、記憶手段に記憶されている前回の読取感度を記憶手段から読み出し(S5)、今回の読取感度と前回の読取感度とを比較手段で比較する(S6)。
【0036】
S6の比較の結果、今回の読取感度が前回の読取感度に比して同じ或いは低い場合は、後段において説明するが、放射線画像読取終了後に行われた光照射により残存する放射線エネルギーが十分に放出されているものとして、S8の放射線画像情報の読み取りへと進む。一方、S6の比較の結果、今回の読取感度が前回の読取感度に比して高い場合は、後段において説明するが、放射線画像読取終了後に行われた光照射により残存する放射線エネルギーが十分に放出されていないものとして、放射線画像変換パネル4に残存する放射線画像情報を消去するために、ハロゲンランプ27及びモータ24を駆動して、放射線画像変換パネル4に光照射を行う(S7)。そして、S8の放射線画像情報の読み取りへと進む。
【0037】
S4において今回の読取感度の設定、S6において今回の読取感度が前回の読取感度より高くない場合、或いは、S7において光照射が終わると、放射線画像情報の読み取り準備が完了したとして、制御装置30は、放射線制御装置(図1における2)へ放射線の照射を指示して、被写体Mを介した放射線を今回使用する放射線画像読取装置の放射線画像変換パネル4へ照射を行う。そして、被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させることで、放射線画像変換パネル4に放射線画像情報が蓄積記録される。
【0038】
放射線の照射が完了すると、制御装置30は、設定された今回の読取感度に基づいて、上述したように、放射線画像変換パネル4を励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る(S8)。
【0039】
S8において放射線画像情報の読み取りが終了すると、制御装置30は、今回使用した放射線画像読取装置の放射線画像変換パネル4に残存する放射線エネルギーを放出させるために、ハロゲンランプ27及びモータ24を駆動して、今回の読取感度に応じた光照射量で放射線画像変換パネル4に光照射を行う(S9)。この今回の読取感度に応じた光照射量とは、今回の読取感度と同じ読取感度で次の放射線画像情報を読み取る場合に、消去(S9における光照射)後に残存するエネルギーが何ら影響を及ぼさない(ノイズとして現れない)のに必要な光照射量である。そして、今回の読取感度を記憶手段に記憶させる(S10)。そして、次の放射線画像の読取動作に備える。
【0040】
このように、本実施の形態では、放射線画像を読み取った後に前記放射線画像変換パネル4に光照射する(S9)とともに、放射線画像変換パネル4に被写体を介して放射線を照射(輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録する)に先立ち放射線画像変換パネル4に光照射する(S7)ように制御手段30が制御する。即ち、ハロゲンランプ27を点灯させ、モータ24を駆動させ、放射線画変換パネル4全面に光照射を行うよう、制御手段30がハロゲンランプ27やモータ24を制御して、前記放射線画像変換パネルに残存する放射線画像情報を消去するように構成した。
【0041】
これにより、輝尽発光光が読み取られた後にパネル(輝尽性蛍光体)に残存した(蓄積された)放射線エネルギーを放出させるとともに、その後に他の放射線装置が使用されて蓄積された放射線エネルギーをも放出させる光照射ことができ、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録する際には、放射線エネルギーが残存することなく、ノイズが生じず正確な放射線画像を読み取ることができる。
【0042】
特に、本実施の形態では、前回使用した放射線画像読取装置と同じ放射線画像読取装置を使用する際には、全ての放射線画像読み取り毎に、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち放射線画像変換パネル4に光照射するように制御するのではなく、今回の読取感度が前回の読取感度より高いときに、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち放射線画像変換パネル4に光照射する(S7)ように制御している。換言すると、今回の読取感度が前回の読取感度より同じ若しくは低い場合は、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち放射線画像変換パネル4に光照射を行わない。即ち、前回の読取感度と同じ若しくは低い読取感度の場合は、前回の放射線画像の読み取った後の光照射により放射線画像変換パネル4に残存する放射線エネルギーが今回の読取感度で考慮すれば影響が少ないために、光照射を行わず、操作開始からの時間を短縮し、サイクルタイムを短くすることができる。
【0043】
更に、本実施の形態では、今回の読取感度が前回の読取感度より高い場合に光照射(S7)を行ったが、今回の読取感度が前回の読取感度の2倍以上のときにS7における光照射を行うことが好ましい。これは、S9において前回の読取感度で読み取ったときに影響がでないだけの最低限の光照射量で光照射を行うと、2倍以上の読取感度では輝尽性蛍光体に残留している放射線エネルギーが影響を及ぼすためである。更に、S9における光照射を最低限の光照射量で光照射を行うのではなく、余裕を持たせた最低限の光照射量より大きい光照射量で光照射するとしても、サイクルタイムの観点から、5倍以上読取感度が変わったときが好ましい。
【0044】
なお、ここでいう「今回の読取感度が前回の読取感度の2倍」とは、所定の輝尽発光光量で、今回の読取感度で得られた放射線画像信号の値が、前回の読取感度で得られた放射線画像信号の値の2倍になることである。また、光照射量は、ハロゲンランプ27の発光光量とモータ24によるハロゲンランプ27の移動速度によって変えることができ、読取感度が高い場合には、読取感度が低い場合に比べ、発光光量を大きく又は/及び移動速度を遅くする。
【0045】
以上説明した本実施の形態において、読取感度の設定については、上述したように、レーザビーム発生部5のレーザビーム強度調整、フォトマル用高電圧電源18の電圧調整によるフォトマル10のゲイン調整、電流/電圧変換器11と増幅器11とのゲイン・オフセット調整、及びA/D変換器13の調整各々を、この操作パネル19によって設定してもよい。また、放射線画像の読取に関しては、撮影部位によりある程度の感度が決まっていることから、読取感度に関する情報である撮影メニュー(部位)を予め複数用意しておき、この撮影メニューを入力手段である操作パネル19上で選択することにより、撮影メニュー毎に設けられている最適な読取感度を自動的に設定するようにすると、操作者の操作が容易となり、操作性が向上する。この場合、記憶手段に記憶する前回の読取感度としては、読取感度を直接記憶させてもよいが、撮影メニューを記憶させても良い。
【0046】
更に本実施の形態では、所定の読取感度で放射線画像を読み取った後に該所定の読取感度に応じた光照射量で光照射を行う(S9)ので、前回に放射線画像を読み取った後に前回の読取感度に応じた光照射(該前回の読取感度で読み取ったときに影響がでないだけの最低限の光照射)を行うことにより、過剰な光照射が行われることない。
【0047】
また、本実施の形態では、制御装置30により2台の放射線画像読取装置3、3′を制御するようにしたが、これに限らず、放射線画像読取装置を1台で使用してもよい。この場合、図4におけるフローでは、S3〜S10を行う。
【0048】
また、本実施の形態では、S1で放射線画像読取装置が切り替えられたときにS2において光照射を行うように構成したので、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録する(放射線の照射)直前に放射線画像変換パネル4に光照射する場合より、操作者或いは患者(被写体)が感じる待ち時間を短くすることができる。
【0049】
なお、本実施の形態では、他の放射線装置(放射線画像読取装置)から切り替えられたとき、蓄積記録に先立ち放射線画像変換パネルに光照射するようにしたが、他の放射線装置が稼働されたことを検知する(或いは、他の放射線装置から稼働したことを知らせる信号を得る)ようにし、他の放射線装置が稼働された後に放射線画像変換装置を稼働する場合に、輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち該稼働する放射線画像形成装置の放射線画像変換パネル4に光照射するようにハロゲンランプ27及びモータ24を駆動してもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明した本発明によると、他の放射線装置により蓄積された放射線エネルギー或いは不十分な光照射により残存する放射線エネルギーの影響を受けずに正確な放射線画像を読み取ることができる。しかも、制御操作開始からの時間を短縮し、サイクルタイムを短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる放射線画像読取装置の読取手段の一実施の形態のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】放射線画像読取装置の全体を示した概略構成図である。
【図3】放射線画像読取装置を複数用いる場合の斜視図である。
【図4】制御装置による放射線画像読取装置の制御について、制御のフローを示した図である。
【符号の説明】
1 放射線発生源
2 放射線制御装置
3、3′ 放射線画像読取装置
4 放射線画像変換パネル
5 レーザビーム発生部
6 走査器
7 反射鏡
8 導光体
9 胸当て板
10 光電変換手段
11 電流/電圧変換器
12 増幅器
13 A/D変換器
16 CRT表示装置
17 感度調整手段
18 フォトマル用高電圧電源
19 操作パネル
21 励起・読取ユニット
22 ボールねじ
23 ガイドシャフト
24 モータ
27 ハロゲンランプ(光照射手段)
30 制御装置(手段)
M 被写体
Claims (5)
- 被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させることで放射線画像情報を蓄積記録する放射線画像変換パネルと、
前記放射線画像変換パネルを励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、前記輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る読取手段と、
前記放射線画像変換パネルに残存する放射線画像情報を消去するために、前記放射線画像変換パネルに光照射する光照射手段と、
前記読取手段により放射線画像信号が読み取られた後に、前記放射線画像変換パネルに光照射するように、前記光照射手段を制御するとともに、今回読み取ろうとする読取手段による放射線画像信号の読取感度が、前回読み取った読取感度よりも高い場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする放射線画像読取装置。 - 前記制御手段は、前記読取手段により放射線画像信号が読み取られた後に、読み取った放射線画像信号の読取感度に応じた光照射量で前記放射線画像変換パネルに光照射するように、前記光照射手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像読取装置。
- 読取感度に関する情報を設定、入力する入力手段と、
前回の放射線画像情報の読取に際して、前記入力手段により入力された前回の読取感度に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記前回の読取感度に関する情報と、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報とを比較する比較手段と、を有し、
前記制御手段は、前記比較手段により比較された前記記憶手段に記憶された読取感度に関する情報と、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報とを比較した結果に基づいて、前記比較手段により比較された前記記憶手段に記憶された読取感度に関する情報に比して、前記入力手段により入力された読取感度に関する情報の方が、読取感度が高い場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像読取装置。 - 前回の読取感度の2倍以上である場合に、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記光照射手段を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の放射線画像読取装置。
- 被写体を透過した放射線を輝尽性蛍光体に吸収させることで放射線画像情報を蓄積記録する放射線画像変換パネルと、前記放射線画像変換パネルを励起光で走査することにより輝尽性蛍光体に蓄積記録されている放射線画像情報を輝尽発光せしめ、前記輝尽発光を光電的に読み取って放射線画像信号を得る読取手段と、前記放射線画像変換パネルに残存する放射線画像情報を消去するために、前記放射線画像変換パネルに光照射する光照射手段と、を有する複数の放射線画像読取装置を制御する制御装置において、
前記複数の放射線画像読取装置のうち1つの放射線画像読取装置を選択する選択手段と、
前記選択手段により今回選択された読取装置が前回と異なる読取装置に切り替えられたとき、前記輝尽性蛍光体に放射線画像情報を蓄積記録するに先立ち前記放射線画像変換パネルに光照射するように前記放射線画像読取装置の前記光照射手段を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP00068297A JP3582041B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 放射線画像読取装置及び制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP00068297A JP3582041B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 放射線画像読取装置及び制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10197973A JPH10197973A (ja) | 1998-07-31 |
JP3582041B2 true JP3582041B2 (ja) | 2004-10-27 |
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ID=11480540
Family Applications (1)
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JP00068297A Expired - Fee Related JP3582041B2 (ja) | 1997-01-07 | 1997-01-07 | 放射線画像読取装置及び制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3582041B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7442952B2 (en) | 2005-06-28 | 2008-10-28 | Fujifilm Corporation | Method for erasing radiation energy remaining in radiation image storage panel |
-
1997
- 1997-01-07 JP JP00068297A patent/JP3582041B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7442952B2 (en) | 2005-06-28 | 2008-10-28 | Fujifilm Corporation | Method for erasing radiation energy remaining in radiation image storage panel |
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Publication number | Publication date |
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JPH10197973A (ja) | 1998-07-31 |
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