JP3581940B2 - 遮音制振材 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車、内装材、建材、家電機器などの振動抑制並びに騒音抑制を目的として適用される遮音性、制振性に優れた遮音制振材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、社会生活に欠かせない自動車から発生する騒音、振動は社会問題としてクローズアップされ、法的規制が強化される過程で、その発生防止対策が強く要望されるようになった。一方、ドライバーや乗客の側からの車内における振動、騒音といった快適性に対する要望もある。
【0003】
また、工場や住宅、学校などの構造物に使用される内装材や建材など建築資材についても、構造物外部からの振動、騒音による被害や、構造物内部に発生する振動、騒音の外部への拡散による被害が取り沙汰されるようになり、騒音、振動対策が望まれている。
【0004】
また、構造物内部における振動、騒音の発生源となる家電機器についても、より快適な生活を志向するという思想の広がりにより、使用者の振動、騒音対策製品に対するニーズが高まっている。
【0005】
従来、その具体的な振動、騒音対策として、自動車、内装材、建材、家電機器などの振動、騒音の発生する部分に、塩化ビニルシート、ゴムシート等の遮音材料、フェルトやグラスウール等の繊維材料、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの発泡樹脂などの多孔質材料よりなる吸音材料、アスファルトや樹脂等の粘弾性特性を有する制振材料といった異なる材料を、その目的に合うように組み合わせて使用する方法が採られていた。
【0006】
例えば自動車のフロア部はエンジンやタイヤからの透過音と振動による放射音の対策が必要となる。そこで、自動車のフロアパネルにはアスファルトシート、10mm厚のフェルト、厚さ10mm前後のウレタンが積層され、その上にカーペットが敷設されるという異なる材料を組み合わせた複層構造を採っていた。
【0007】
このように遮音材料、吸音材料、制振材料といった異なる材料を組み合わせて振動、騒音対策を講じていた従来の方法では、振動、騒音対策のため複数の材料を用意し、これらを一つづつ貼設して積層するなど、多くの手間を要していた。また、振動、騒音対策のための材料が複数であることから、1つの部材として取り扱えず、取り扱い性が悪いという点もあった。更に上記のような遮音材料、吸音材料、制振材料の組み合せに係るものには、制振性、遮音性のいずれにも十分な効果を有するものはなかった。
【0008】
本発明の一の目的は、1つの部材として取り扱うことができ、しかも優れた遮音性と制振性とを兼備する遮音制振材を提供することである。
【0009】
また、従来の方法において使用されている遮音材料や制振材料、例えば前記アスファルトなどは、夏期には高い温度に曝されて軟化し、冬期には冷やされて硬化するなど、温度変化の影響を受け易く、常に十分な性能が発揮されないという不具合があった。
【0010】
本発明の他の目的は、常温域から高温域まで、低温域から常温域まで、あるいは低温域から高温域までなど、広い温度領域にわたって優れた制振性、遮音性を有する遮音制振材を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、樹脂マトリックスが、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂とからなり、前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種の遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤とが充填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0012】
請求項2記載の発明は、遮音制振付与剤がマイカ鱗片であって、遮音制振促進剤が炭酸カルシウムであることを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0013】
請求項3記載の発明は、マイカ鱗片と前記炭酸カルシウムは前記遮音制振材の総重量に対してそれぞれ10〜30重量%と70〜50重量%の割合で充填されていることを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0014】
請求項4記載の発明は、マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μmであることを特徴とする遮音制振材をその要旨とした。
【0015】
以下、本発明の遮音制振材をさらに詳しく説明する。この遮音制振材は、樹脂マトリックスが、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂とからなり、前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種の遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤とが充填されているものである。
【0016】
樹脂マトリックスを構成する損失係数のピーク温度(すなわち制振性が最も発揮される温度)が異なる少なくとも2種類の樹脂としては、例えば10〜30℃の常温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂と80〜130℃の高温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂とからなるもの、−20〜10℃の低温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂と高温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂からなるもの、低温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂と常温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂と高温域に損失係数のピーク温度を有する樹脂からなるものなど、その組合せは当該遮音制振材を適用する部品の使用温度に合わせて適宜決定するとよい。
【0017】
尚、配合する樹脂の損失係数のピーク温度と音圧レベルのピーク温度(すなわち遮音性が最も発揮される温度)とはほぼ一致しており、当該遮音制振材を適用する部品の使用温度に合わせて、損失係数のピーク温度が異なる樹脂を組み合せ、その使用温度域で当該遮音制振材の制振性が最も発揮されるようにすることは、同時にその使用温度域で当該遮音制振材の遮音性が最も発揮されるようにすることにもなる。
【0018】
上記樹脂を混合すると、同種分子間の相互作用と異種分子間の相互作用の大小により、分子オーダーの混合状態から、それぞれ殆ど独立の相とみなせる相分離に近い状態まで、種々の混合状態が達成されることになる。本発明においては、上記目的を達成するため、両成分が二相に分離した状態と完全均一の一相状態との中間状態、つまりミクロ相分離の状態であればよい。尚、混合する樹脂として溶解性パラメータδが近いものを選択すると、ピーク値を所定の温度領域に調整することができるので好ましい。
【0019】
各樹脂の配合量としては特に限定されないが、一の樹脂の配合量が他の樹脂の配合量に比べて大部分を占めてしまうような配合の場合には、当該遮音制振材の損失係数のピーク温度が一の樹脂の持つピーク温度側に移動することになる。一方、他の樹脂の配合量が一の樹脂に比べて多い場合には、当該遮音制振材の損失係数のピークは他の樹脂のピーク温度側へと移動するようになる。このように、当該遮音制振材の損失係数のピーク温度は配合量の多い樹脂のピーク温度側へと移動するので、樹脂の配合量を適宜調節することで、当該遮音制振材の損失係数のピーク温度を目的の温度領域とすることができる。
【0020】
尚、上記記述は損失係数のピーク温度が異なる樹脂の配合割合によって、当該遮音制振材の損失係数のピーク温度が、配合量の多い樹脂の損失係数のピーク温度に近づいていくという内容であるが、このことは遮音性についても同様な関係があり、音圧レベルのピーク温度が異なる樹脂の配合割合によって、当該遮音制振材の音圧レベルのピーク温度が、配合量の多い樹脂のピーク温度に近づいていく。
【0021】
損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種類の樹脂としては、例えばジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジイソノニルフタレート(DINP)などの可塑剤を樹脂100重量部に対して40重量部の割合で添加したポリ塩化ビニル(損失係数のピーク温度が10〜20℃のもの)と、ポリメタクリル酸メチル(損失係数のピーク温度は130〜150℃)との組合せを好ましい例として挙げることができる。
【0022】
その他、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種類の樹脂の組合せとしては、前記可塑剤を添加したポリ塩化ビニル(損失係数のピーク温度が20℃のもの)とエチレン−酢ビ共重合体、同じくポリ塩化ビニルとABS樹脂、ポリ塩化ビニルとポリスチレン、ポリ塩化ビニルとポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル(損失係数のピーク温度は130〜150℃)とポリフッ化ビニリデン、同じくポリメタクリル酸メチルとAS樹脂、ポリスチレンとポリイソプレンなどを挙げることができる。
【0023】
こうして選択された損失係数のピーク温度が異なる2種若しくは3種以上の樹脂に対し少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂が配合されている。部分架橋構造を有する樹脂としてはアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)などを用いることができる。
【0024】
部分架橋構造を有する樹脂は、図2のグラフa、bに示すような各々の損失係数のピーク温度を有する樹脂に対して、これらの損失係数のピーク温度の幅を広げるよう作用する。同時に音圧レベルのピーク温度の幅を広げるよう作用することにもなる。つまり、部分架橋構造を有する樹脂を配合することで、当該遮音制振材は、図2のグラフc、d、eに示すように、グラフaのピーク温度からグラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に損失係数のピーク温度を持つようになる。尚、図面には示さないが、遮音性についても同様にグラフaのピーク温度からグラフbのピーク温度に至る広範な温度領域に音圧レベルのピーク温度を持つようになる。
【0025】
このように損失係数のピーク温度が異なる樹脂に対し部分架橋構造を有する樹脂を配合することで、当該遮音制振材は広範な温度領域で遮音性及び制振性が発揮されるようになる。その理由は明かではないが、部分架橋構造を有する樹脂が、前記損失係数のピーク温度が異なる樹脂に配合されたとき、その配合物において各樹脂はミクロ相分離した状態で存在することになる。この配合物において架橋構造を有する樹脂の非架橋部分は他の樹脂と完全に相溶するが、架橋部分は完全に相溶せず、一部が他の樹脂とは独立した相となって存在している。このため、当該混合物の損失係数は、他の樹脂の相溶した相の各々のピークとは別に、架橋構造を有する樹脂の架橋部分からなる相の固有のピークが現れることになり、この結果、損失係数のピークが平坦化し、幅広くなり、非常に広域な温度範囲で制振特性が発揮されるようになると考えられる。尚、部分架橋構造を有する樹脂の添加は、音圧レベルのピークの平坦化、広域化にも同様に貢献する。
【0026】
部分架橋構造を有する樹脂の配合量としては、前記樹脂の重量が100重量部に対して1〜50重量部、好ましくは15〜35重量部とするのがよい。というのは、この範囲よりも配合量が多かったり少なかったりした場合には、当該遮音制振材が広範な温度領域で遮音性及び制振性が発揮されるようになるという十分な効果が得られなくなるからである。
【0027】
このようにして損失係数のピーク温度が異なる樹脂に対し部分架橋構造を有する樹脂が配合された樹脂マトリックス中に前記遮音制振付与剤を充填することで、遮音制振付与剤が持つ優れた遮音性、制振性が樹脂に付与され、樹脂が本来持つところの遮音性、制振性が飛躍的に向上し、広い温度領域において優れた制振性と遮音性とが発揮されるという効果が導き出されることになる。
【0028】
遮音制振付与剤は、これを前記樹脂に充填することで、遮音制振付与剤自らが持つ優れた遮音性、制振性を樹脂に付与して、樹脂本来が持つところの遮音性、制振性を飛躍的に向上させる機能を持つものである。具体的にはマイカ鱗片、ガラス片、グラスファイバー、カーボンファイバー等を挙げることができる。中でもマイカ鱗片はこれを樹脂マトリックス中に充填することにより、樹脂本来が持つところの遮音性、制振性からは予測し得ない優れた遮音性、制振性が発現することになるので好ましい。
【0029】
例えば図1に示すように、ポリ塩化ビニルの樹脂マトリックス中に遮音制振付与剤としてマイカ鱗片を充填したものと、同じくポリ塩化ビニルの樹脂マトリックス中に遮音制振付与剤として炭酸カルシウムを充填したものとを対比したとき、マイカ鱗片の充填による遮音性は、炭酸カルシウムの充填による遮音性の程度を遥かに凌ぐ優れたものとなる。
【0030】
マイカ鱗片の重量平均フレーク径としては90〜1000μmの範囲のものが好しい。というのは重量平均フレーク径が90μm未満のものはは、樹脂中に混合し易く、かつ分散性がよいという利点はあるものの、これを充填したことによる遮音性、制振性の向上を期待することはできない。一方、1000μmを上回るものは、遮音性及び制振性は向上するものの、嵩高となるため、樹脂への充填が難しく、かつマイカ鱗片を樹脂全体に均一に分散できなくなり、樹脂マトリックス全体にわたって制振性及び遮音性が均一に向上するという効果が得られないことになる。
【0031】
上記の如くマイカ鱗片などの遮音制振付与剤は優れた制振性に加え優れた遮音性をも兼備しており、これを充填することにより、遮音制振材として必要な遮音性及び制振性が発現することになるので、基本的には遮音制振付与剤のみの充填で良好な遮音制振材を得ることができる。しかしながら、例えば家電機器などきわめて高いレベルの振動抑制並びに騒音抑制を要求される分野では、技術開発の伸展に伴い、振動抑制並びに騒音抑制に対する要求も、今後ますます高レベルのものが求められることが予測される。このような要求 にも対応できるよう、本発明の遮音制振材では、前記遮音制振付与剤とともに遮音制振促進剤が充填されている。
【0032】
遮音制振促進剤は遮音制振付与剤による遮音性、制振性を更に向上させる機能を持つものである。遮音制振促進剤としては炭酸カルシウム、バライト及び沈降硫酸バリウムなどを用いることができ、中でも例えば遮音制振促進剤としての炭酸カルシウムは、これを前記マイカ燐片とともに充填することで、マイカ燐片の充填による遮音性、制振性をより一層向上させるという効果が導き出されることになる。この炭酸カルシウムとしては、従来より遮音材の充填材として多用されている軽質炭酸カルシウムや重質炭酸カルシウムを用いることができる。
【0033】
尚、遮音制振付与剤としてマイカ鱗片、遮音制振促進剤として炭酸カルシウムを用い、これらを損失係数のピーク温度が異なる樹脂と部分架橋構造を有する樹脂とからなる樹脂マトリックス中に充填する場合、これらマイカ鱗片及び炭酸カルシウムの充填量としては、遮音制振材の重量に対して、マイカ鱗片が10〜30重量%、炭酸カルシウムが70〜50重量%の比率で充填されているのが好ましい。その理由は、樹脂重量がこの範囲外の場合には、成形できなかったり、あるいは耐衝撃性、強度が低下したりするなどの不具合を生じることになる。一方、マイカ鱗片の比率が上記範囲よりも少ないかあるいは炭酸カルシウムの比率が上記範囲よりも多い場合には、十分な制振性及び遮音性の向上が得られなくなる。又、マイカ燐片の比率が上記範囲よりも多い場合、あるいは炭酸カルシウムの比率が少ない場合には、成形できなかったり、マイカ鱗片の使用量が増加するので遮音制振材の価格が高くなるという不具合を招くことになるからである。
【0034】
上記損失係数のピーク温度が異なる樹脂、部分架橋構造を有する樹脂、遮音制振付与剤、遮音制振促進剤は、所定の比率で配合し、これをバンバリーミキサーやロール等を用いて混練することにより、本発明の遮音制振材を得ることができる。尚、遮音制振付与剤及び遮音制振促進剤の樹脂への充填は、当該遮音制振材の製造の過程で同時に行っていくのがよい。また、遮音制振付与剤としてマイカ鱗片を用いる場合、上記の如くマイカ鱗片の大きさが当該遮音制振材の制振性、遮音性の高低に大きな影響を及ぼすことから、マイカ鱗片の鱗片が壊れないよう十分に注意する必要がある。
【0035】
こうして製造された遮音制振材は、カレンダー法や押し出し法などにより、用途、目的に応じた形状に成形することで、自動車や内装材、建材などの振動、騒音対策用の材料として用いることができる。
【0036】
尚、樹脂へは遮音制振付与剤及び遮音制振促進剤の他に、短繊維を充填することで該成形物の機械的強度を向上させたりするなど、遮音制振材の用途に応じて各種機能を付与する材料を選択し、これを加えることができる。
【0037】
【実施例】
【0038】
実施例1
ポリ塩化ビニル(平均重合度800〜1300、株式会社鈴鋼製作所製)100重量部に対し40重量部の割合でジ−2−エチルヘキシルフタレート(DOP)を添加したポリ塩化ビニルを75重量部、ポリメタクリル酸メチル(スミベックL02、住友化学株式会社製)を17.5重量部、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)(N202S、日本合成ゴム株式会社製)を25重量部、得られる遮音制振材の重量に対し、マイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60C、株式会社クラレ製)を20重量%、及び炭酸カルシウム(乾式重質炭酸カルシウム、スーパーSSS、丸尾カルシウム株式会社製)を60重量%の重量比で調合した各試料を、160℃に設定した混練ロールに、ポリ塩化ビニル、ポ リメタクリル酸メチル、マイカ鱗片、炭酸カルシウム、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムの順で投入し、13分間混練した。
【0039】
次いで、得られた混練物を180℃に加熱した金型間に挟んで180秒間加熱し、この後プレス機で80kg・f/cm 2 の圧力で30秒間加圧し、1mmの厚さにシート化する。得られたシートを損失係数測定用として67mm×9mmの寸法に、音圧レベル測定用として350mm×350mmの寸法に切断し、試験片とした。
【0040】
実施例2
ポリメタクリル酸メチルに代えてABS樹脂(ダイヤペットABS、3001G、三菱レイヨン株式会社製)を用い、ポリ塩化ビニル/ABS樹脂/アクリロニトリル−ブタジエンゴムを75重量部/25重量部/17.5重量部の割合で配合し、更に得られる遮音制振材の重量に対して、マイカ鱗片(クラライトマイカ鱗片、60C、株式会社クラレ製)を20重量%、及び炭酸カルシウム(乾式重質炭酸カルシウム、スーパーSSS、丸尾カルシウム株式会社製)を60重量%の重量比で調合した各試料を、160℃に設定した混練ロールに、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、マイカ鱗片、炭酸カルシウム、及びアクリロニトリル−ブタジエンゴムの順で投入し、13分間混練した以外は実施例1と同様に損失係数測定用及び音圧レベル測定用の試験片を作製した。
【0041】
実施例1および2の試験片について、それぞれ損失係数及び音圧レベルを測定した。これらの試験片の損失係数の測定結果を図4に示した。一方、音圧レベルの測定結果を図5に示した。
【0042】
損失係数と音圧レベルの測定:損失係数の測定は、動的粘弾性測定試験装置(レオバイブロンDDV−25FP、株式会社オリエンテック製)によって得られたデータを下記の如く処理することで求めた。
【0043】
上記装置からは、E * (複素弾性率)とE´(動的弾性率)とE″(損失弾性率)とtanδとが得られる。上記装置では、動的荷重(△F)、動的変位(△L)、tanδを自動測定し、その結果よりE * が次式により算出されるようになっている。E * =△F/S×Lt/△L、△F:動的荷重、S:試験片断面積、Lt:試験片長さ、△L:動的変位。
【0044】
また、tanδからは位相角δを用いて次式により動的弾性率と損失弾性率とに分けることができる。
tanδ=E″/E´、E´=E * cosδ、E″=E * sinδ。
【0045】
次に、E″から次式により損失係数(η)を算出する。尚、算出する損失係数(η)は、各試験片の厚さ1mmの鋼板に貼り付けた場合(非拘束型制振材)の複合体の損失係数を求める。
【0046】
η ≒14η 2 (E 2 /E 1 )(h 2 /h 1 2 η 2 ≒tanδ=E″ 2 /E´ 2 、E´ 2 =E 2 η ≒14(E″ 2 /E 1 )(h 2 /h 1 2 η 2 :試験片単体の損失係数、E 1 :基板の弾性率(210GPa)
2 :試験片の弾性率、E´ 2 :試験片の動的弾性率、E″ 2 :試験片の損失弾性率、h 2 :試験片の厚み(1.0mm)、h 1 :基板の厚み(1.0mm)
【0047】
一方、音圧レベルの測定は、0℃、20℃、40℃及び60℃の各温度において、図3に示すように、各試験片1を鋼板2に接着し、この鋼板2の非接着面側にゴルフボール3を当てた時に生じた騒音を鋼板2の接着面側に1mの間隔をおいて設置した騒音計7(L A−210、小野測器株式会社製)で拾い、その電気信号をFFTアナライザー6(CF−350、小野測器株式会社製)で数値化して読み取るという方法で測定した。
【0048】
上記図4から各グラフの損失係数が0.05以上の温度領域を見てみると、実施例1のものが約−17℃〜約77℃、実施例2のものが約−10〜約53℃となっており、いずれも広い温度領域にわたって優れた制振性を有している。特に実施例1のものにおける制振性は低温域から高温域までのきわめて広い範囲にわたり、しかも60℃前後の温度域では損失係数が0.1というきわめて高い制振性を示している。
【0049】
一方、図5に示す各例の遮音性を見てみると、遮音制振材を使用していない場合、音圧レベルが約90dBであるのに対して、実施例1のものは各温度で86dBを下回り、4dB以上の低下がみられる。実施例2についても60℃の温度の場合を除き4dB以上レベルが低下している。このことから、これら実施例1および2の遮音制振材は各温度で優れた遮音性を発揮していることが解る。また、実施例1のものについては各温度で6dB以上レベルが低下しており、広い温度領域で優れた遮音性を示していることが解る。特に60℃の場合は約8dB近くレベルが低下しており、きわめて高い遮音性を示している。
【0050】
以上、実施例1および2に示す遮音制振材はいずれも広い温度領域において優れた制振性と遮音性とを示している。また、実施例1に比べて実施例2は良好な制振性及び遮音性を示す温度範囲は狭くなっているが、反面樹脂としてABS樹脂を使用していることから耐衝撃性に優れており、扇風機や換気扇のファンなどの常温で使用される遮音性、制振性を兼備した素材として適していると思われる。
【0051】
【発明の効果】
請求項1記載の遮音制振材にあっては、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種類の樹脂に対し部分架橋構造を有する樹脂が配合されてなる樹脂マトリックス中に、制振性と遮音性とを付与する遮音制振付与剤が充填されており、加えてその特性を更に向上させる機能を持つ遮音制振促進剤が充填されているので、広い温度領域にわたって優れた制振性と遮音性とを兼備していると共に、その遮音性、制振性は、遮音制振付与剤のみの場合に比べて飛躍的に向上したものとなっている。
【0052】
請求項2記載の遮音制振材にあっては、ポリ塩化ビニルのマトリックス中に、優れた制振性と遮音性とを付与する遮音制振付与剤としてのマイカ燐片に加え、その特性を更に向上させる遮音制振促進剤として炭酸カルシウムが充填されているので、その遮音制振材が持つところの遮音性、制振性は、予想を遥かに越えた優れた制振性と遮音性とを兼備したものとなっている。
【0053】
請求項3記載の遮音制振材にあっては、マイカ鱗片が10〜30重量%、炭酸カルシウムが70〜50重量%の比率で充填されているので、優れた制振性、遮音性に加え、十分な耐衝撃性、強度、加工性を有している。
【0054】
請求項4記載の遮音制振材にあっては、マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μmであるので、マイカ鱗片が樹脂マトリックス全体に均一に分散し、遮音制振材全体に均一な制振性、遮音性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイカ鱗片を充填したものと、炭酸カルシウムを充填したものとにおける音圧レベルを示したグラフ。
【図2】損失係数のピーク温度が異なる2種の樹脂、並びにこれに部分架橋構造を有する樹脂を配合したものについての温度と損失係数との関係を示したグラフ。
【図3】音圧レベルを測定するための装置を示した模式図。
【図4】実施例1、2の各試験片の各温度における損失係数を示したグラフ。
【図5】実施例1、2の試験片における音圧レベルを示したグラフ。
【符号の説明】
1・・・試験片
2・・・鋼板

Claims (4)

  1. 樹脂マトリックスが、損失係数のピーク温度が異なる少なくとも2種の樹脂と、少なくとも1種の部分架橋構造を有する樹脂とからなり、前記樹脂マトリックス中に、少なくとも1種の遮音制振付与剤と少なくとも1種の遮音制振促進剤とが充填されていることを特徴とする遮音制振材。
  2. 遮音制振付与剤がマイカ鱗片であって、遮音制振促進剤が炭酸カルシウムであることを特徴とする請求項記載の遮音制振材。
  3. マイカ鱗片と前記炭酸カルシウムは前記遮音制振材の総重量に対してそれぞれ10〜30重量%と70〜50重量%の割合で充填されていることを特徴とする請求項記載の遮音制振材。
  4. マイカ鱗片の重量平均フレーク径が90〜1000μmであることを特徴とする請求項2または3記載の遮音制振材。
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