JP3581788B2 - テレビジョンチューナ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、PAL(B/G)方式およびSECAM(L)方式の各テレビジョン放送(以下TV放送と略記する)を共に受信できる共用のテレビジョンチューナに係わり、特に、各方式間並びに放送周波数帯域間で中間周波数が異なることにより生じる受信性能の劣化を防止できるテレビジョンチューナに関する。
【0002】
【従来の技術】
欧州で採用されているTV放送方式には、ドイツ国等で採用されているPAL(B/G)方式と、フランス国等で採用されているSECAM(L)方式とがあり、これら2方式のTV放送を受信できる共用テレビジョンチューナが既に開発されている。
【0003】
図3は、前記既知の共用テレビジョンチューナの構成の一例を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【0004】
図3にあるように、既知のテレビジョンチューナは、入力端子61と、アンテナ(ANT)同調回路62と、高周波増幅回路(RFAMP)63と、高周波複同調回路64と、混合回路(MIX)65と、局部発振回路(OSC)66と、中間周波同調回路67と、選局用IC69と、出力端子70とを備えている。
【0005】
高周波複同調回路64は、入力端が高周波増幅回路63の出力端に接続され、出力端が混合回路65の第1入力端に接続されており、可変容量ダイオード641 、642 と、インダクタ643 乃至647 と、キャパシタ648 乃至6412と、スイッチングダイオード6413、6414と、抵抗6415、6416とからなっている。また、局部発振回路66は出力端が混合回路65の第2入力端に接続されている。
【0006】
中間周波同調回路67は、入力端が混合回路65の出力端に接続され、出力端が出力端子70に接続されており、インダクタ671 と、キャパシタ672 乃至674 とからなっている。
【0007】
IC69は、PLL回路の他にバンドデコーダを備えており、同調電圧端子TUと、バンド切換端子BS2、BS3とを有し、これら各端子は、それぞれ高周波複同調回路64および局部発振回路66に接続されている。なお、同調電圧端子TUは同調電圧を発生し、バンド切換端子BS2はVHFハイバンドのTV放送を選択したとき正電圧を発生し、バンド切換端子BS3はVHFローバンドのTV放送を選択したとき正電圧を発生する。
【0008】
前記構成による既知の共用テレビジョンチューナは、次のように動作する。
【0009】
入力端子61に加えられた受信信号は、アンテナ同調回路62において所望チャネルの受信信号が選択され、高周波増幅回路63において増幅される。増幅された受信信号は、高周波複同調回路64において所望チャネルの受信信号がさらに選択され、混合回路65において、局部発振回路66から供給された局部発振信号と混合されて中間周波信号に変換される。中間周波信号は、中間周波同調回路67において所定周波数の中間周波信号が選択され、出力端子70から出力される。
【0010】
そこで、VHFローバンドにあるTV放送を選択したとき、IC69のバンド切換端子BS3から正電圧が出力され、この正電圧によって、高周波複同調回路64は、スイッチングダイオード6413、6414がそれぞれオフになり、可変容量ダイオード641 、642 、インダクタ643 、644 、キャパシタ648 、649 に、インダクタ645 乃至647 、キャパシタ6410が挿入接続された形になる。
【0011】
一方、VHFハイバンドにあるTV放送を選択したとき、IC69のバンド切換端子BS2から正電圧が出力され、この正電圧によって、高周波複同調回路64は、スイッチングダイオード6413、6414がそれぞれオンになり、インダクタ645 乃至647 、キャパシタ6410からなる回路部分が短絡され、可変容量ダイオード641 、642 、インダクタ643 、644 、キャパシタ648 、649 だけが接続された形になる。
【0012】
そして、いずれのバンドにあるTV放送を選択したときも、IC69の同調電圧端子TUから同調電圧が出力され、高周波複同調回路64は、同調電圧が抵抗6415とインダクタ643 を介して可変容量ダイオード641 に加えられるとともに、抵抗6416とインダクタ644 を介して可変容量ダイオード642 に加えられるので、可変容量ダイオード641 、642 の各容量が調整され、選択されたTV放送に同調される。
【0013】
また、局部発振回路66は、高周波複同調回路64と同様に、IC69のバンド切換端子BS3またはBS2から出力された正電圧と、同調電圧端子TUから出力された同調電圧とが加えられ、選択されたTV放送の周波数に対して一定の差だけ高い周波数の局部発振信号を出力する。
【0014】
ところで、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送では、PAL(B/G)方式のTV放送に比べて、映像搬送波と音声搬送波の周波数が高低逆に配列されており、また、1チャネル当たりの周波数帯域幅が1MHz広くなっている。
【0015】
このため、既知の共用テレビジョンチューナでは、映像中間周波数、色中間周波数および音声中間周波数は、PAL(B/G)方式のTV放送を選択するときは、それぞれ標準の38.9MHz、34.47MHzおよび33.4MHzに設定されているのに対して、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択するときは、上記の相違および表面弾性波素子で形成された中間周波フイルタ(図示なし)の特性を考慮して、それぞれ33.9MHz、38.33MHzおよび40.4MHzに設定されている。
【0016】
図4は、既知の共用テレビジョンチューナの、VHFローバンドにあるTV放送を選択するときの、高周波複同調回路64の同調特性であり、図中PPAL 、SPAL がそれぞれPAL(B/G)方式TV放送の映像搬送波および音声搬送波であり、PSEC 、SSEC がそれぞれSECAM(L)方式TV放送の映像搬送波および音声搬送波である。ただし図中の数値は各搬送波の周波数を便宜的に中間周波数に置換して表したものであり、各搬送波の周波数の大小関係は、図中の数値配列とは逆に、図4の左側において小さく、右側において大きい。
【0017】
図4にあるように、高周波複同調回路64の同調特性は、PAL(B/G)方式のTV放送に一致させて設定されており、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送に対しては、各搬送波に対して1MHz高く、音声搬送波SSEC が同調特性の帯域外にある。
【0018】
また、図5は、既知の共用テレビジョンチューナの、VHFローバンドにあるTV放送を選択するときの、中間周波同調回路67の同調特性であり、図中PIPAL 、CIPAL がそれぞれPAL(B/G)方式TV放送の映像中間周波および色中間周波であり、PISEC 、CISEC がそれぞれSECAM(L)方式TV放送の映像中間周波および色中間周波である。
【0019】
図5にあるように、中間周波同調回路67の同調特性は、単峰特性であつて、PAL(B/G)方式の色中間周波CIPAL 34.47MHzと映像中間周波PIPAL 38.9MHzの中間の約36.7MHzに同調しており、映像中間周波と色中間周波に対する選択度がほぼ等しくなるように設定されている。しかし、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式の色中間周波CISEC 38.33MHzと映像中間周波PISEC 33.9MHzに対しては、同調周波数がそれらの中間よりも高い方に偏っている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択するときには、音声搬送波SSEC が高周波複同調回路64の同調特性の帯域外にある。このため、高周波複同調回路64において音声搬送波が減衰され、他のバンドにあるTV放送を選択したときに比べて、再生された音声のレベルが低く、聞き苦しいという第1の問題がある。また、中間周波同調回路67の同調周波数が、色中間周波CISEC 側に偏っている。このため、中間周波同調回路67の選択度が、映像中間周波PISEC よりも色中間周波CISEC に対して高く、他のバンドにあるTV放送を選択したときに比べて、再生された映像の色が濃くなり、良好な映像を得ることができないという第2の問題がある。
【0021】
この第1の問題を解決する方法として、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択するときに、IC69から出力される同調電圧をやや低くし、高周波複同調回路64の同調周波数を1MHz低くするという第1の解決方法が考えられる。また、第2の問題を解決する方法として、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択するときに、IC69から出力される同調電圧をやや高くして、局部発振回路66の発振周波数を高くし、各中間周波を0.6MHz高くするという第2の解決方法が考えられる。
【0022】
しかし、高周波複同調回路64と局部発振回路66は同じ同調電圧で制御されており、上記の各方法では、二つの問題を共に解決できない。
【0023】
本発明は、このような問題点を解決するもので、その目的は、PAL(B/G)方式およびSECAM(L)方式のいずれのTV放送を受信しても、共に良好な状態で音声と映像を再生できるテレビジョンチューナを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によるテレビジョンチューナは、高周波複同調回路および中間周波同調回路の各同調周波数をPAL(B/G)方式のTV放送に適応させて設定し、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を受信するときに、各同調回路の同調周波数をそれぞれ低くする手段を備えている。
【0025】
前記手段によれば、各同調回路の同調周波数は、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を受信するときには低くなって、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送に応じた同調周波数になり、その他のTV放送を受信するときには高くなって、PAL(B/G)方式のTV放送およびVHFローバンド以外のバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送に応じた同調周波数になる。したがって、いずれのTV放送を受信するときにも、映像搬送波と音声搬送波に対する高周波複同調回路の選択度をほぼ等しくすることができ、また、映像中間周波と色中間周波に対する中間周波同調回路の選択度をほぼ等しくすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の一つの実施の形態において、高周波複同調回路の同調周波数を低くする手段は、高周波複同調回路に可変容量ダイオードを設け、その可変容量ダイオードに付加バイアス電圧を同調電圧とともに加えることによって、可変容量ダイオードの容量を同調電圧のみを加えたときよりも大きくするものであり、中間周波同調回路の同調周波数を低くする手段は、中間周波同調回路に可変容量ダイオードを設け、その可変容量ダイオードに付加バイアス電圧を固定バイアス電圧とともに加えることによって、可変容量ダイオードの容量を固定バイアス電圧のみを加えたときよりも大きくするものである。
【0027】
本発明の実施の形態の一つの好適例において、付加バイアス電圧は、バンドデコーダを備えた選局用ICから出力されたバンド切換電圧を抵抗回路で分圧して得た分圧電圧であり、固定バイアス電圧は、付加バイアス電圧よりも高い電圧であって、高周波複同調回路の可変容量ダイオードには、カソードに同調電圧を加え、アノードに付加バイアス電圧を加え、中間周波同調回路の可変容量ダイオードには、カソードに固定バイアス電圧を加え、アノードに付加バイアス電圧を加える。
【0028】
本発明の他の実施の形態において、高周波複同調回路の同調周波数を低くする手段は、高周波複同調回路に可変容量ダイオードを設け、その可変容量ダイオードに付加バイアス電圧を同調電圧とともに加えることによって、可変容量ダイオードの容量を同調電圧のみを加えたときよりも大きくするものであり、中間周波同調回路の同調周波数を低くする手段は、中間周波同調回路に、固定容量と、スイッチングダイオードに直列接続された付加容量とを設け、スイッチングダイオードに切換電圧を加えてスイッチングダイオードをオン状態にすることによって、付加容量を固定容量に並列接続するものである。
【0029】
本発明の実施の形態の他の一つの好適例において、付加バイアス電圧は、バンドデコーダを備えた選局用ICから出力されたバンド切換電圧を抵抗回路で分圧して得た分圧電圧であり、切換電圧は、前記バンド切換電圧であり、可変容量ダイオードには、カソードに同調電圧を加え、アノードに付加バイアス電圧を加え、スイッチングダイオードには、カソードにバンド切換電圧よりも低い電圧の固定バイアス電圧を加え、アノードにバンド切換電圧を加える。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明によるテレビジョンチューナの第1実施例の構成を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【0032】
図1にあるように、第1実施例のテレビジョンチューナは、入力端子1と、アンテナ(ANT)同調回路2と、高周波増幅回路(RFAMP)3と、高周波複同調回路4と、混合回路(MIX)5と、局部発振回路(OSC)6と、中間周波同調回路7と、選局用IC9と、出力端子10とを備えている。
【0033】
高周波複同調回路4は、入力端が高周波同調回路3の出力端に接続され、出力端が混合回路5の第1入力端に接続されており、可変容量ダイオード41 、42 と、インダクタ43 乃至47 と、キャパシタ48 乃至412と、スイッチングダイオード413、414と、抵抗415、416と、2つの抵抗分圧回路4’、4”とからなっている。そして、可変容量ダイオード41 は、カソードがインダクタ43 の一端に接続されるとともに、キャパシタ411を介して入力端に接続され、アノードが一方の抵抗分圧回路4’に接続されている。可変容量ダイオード42 は、カソードがインダクタ44 の一端に接続されるとともに、キャパシタ412を介して出力端に接続され、アノードが他方の抵抗分圧回路4”に接続されている。インダクタ43 、44 は互いに誘導結合されており、インダクタ43 の他端は、キャパシタ48 を介してインダクタ45 の一端に接続されるとともに、抵抗415を介してIC9の同調電圧端子TUに接続され、インダクタ44 の他端は、キャパシタ49 を介してインダクタ46 の一端に接続されるとともに、抵抗416を介してIC9の同調電圧端子TUに接続されている。インダクタ45 、46 は互いに誘導結合されており、インダクタ45 は、一端がIC9のバンド切換端子BS3に接続されるとともに、スイッチングダイオード413を介してバンド切換端子BS2に接続され、他端がインダクタ46 の他端とインダクタ47 の一端とに接続されている。インダクタ46 は、一端がIC9のバンド切換端子BS3に接続されるとともに、スイッチングダイオード414を介してバンド切換端子BS2に接続されている。インダクタ47 は、他端がキャパシタ410を介して接地点に接続されている。
【0034】
抵抗分圧回路4’は、抵抗417、418と、バイパスキャパシタ419とからなる。そして、抵抗417は、一端がIC9のバンド切換端子BS4に接続され、他端が可変容量ダイオード41 のアノードと抵抗418の一端とバイパスキャパシタ419の一端にそれぞれ接続され、抵抗418の他端およびバイパスキャパシタ419の他端は、それぞれ接地点に接続されている。また、抵抗分圧回路4”は、抵抗420、421と、バイパスキャパシタ422とからなる。そして、抵抗420は、一端がIC9のバンド切換端子BS4に接続され、他端が可変容量ダイオード42 のアノードと抵抗421の一端とバイパスキャパシタ422の一端にそれぞれ接続され、抵抗421の他端およびバイパスキャパシタ422の他端は、それぞれ接地点に接続されている。また、局部発振回路6は、出力端が混合回路5の第2入力端に接続されている。
【0035】
中間周波同調回路7は、入力端が混合回路5の出力端に接続され、出力端が出力端子10に接続されており、インダクタ71 と、キャパシタ72 乃至76 と、可変容量ダイオード77 と、抵抗78 、79 とからなっている。そして、インダクタ71 は、一端がキャパシタ73 を介して入力端に接続されるとともに、キャパシタ74 を介して出力端に接続され、他端が電源端子Bに接続されるとともにキャパシタ75 を介して接地点に接続されている。キャパシタ72 は、インダクタ71 に並列接続されている。可変容量ダイオード77 は、カソードがインダクタ71 の一端に接続され、アノードが、キャパシタ76 を介してインダクタ71 の他端に接続され、さらに抵抗78 を介してIC9のバンド切換端子BS4に接続されるとともに、抵抗79 を介して接地点に接続されている。
【0036】
IC9は、一例としてフイリップス社製のTSA5520であり、PLL回路の他にバンドデコーダを備えており、同調電圧端子TUと、バンド切換端子BS2、BS3、BS4とを有し、この中、バンド切換端子BS4を除く各端子が高周波複同調回路4および局部発振回路6に接続され、バンド切換端子BS4が高周波複同調回路4および中間周波同調回路7に接続されている。なお、同調電圧端子TUは同調電圧を発生し、バンド切換端子BS2はVHFハイバンドのTV放送を選択したとき正電圧を発生し、バンド切換端子BS3はVHFローバンドのTV放送を選択したとき正電圧を発生し、バンド切換端子BS4はVHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したとき正電圧を発生する。
【0037】
前記構成による第1実施例のテレビジョンチューナは、次のように動作する。
【0038】
入力端子1に加えられた受信信号は、アンテナ同調回路2において所望チャネルの受信信号が選択され、高周波増幅回路3において増幅される。増幅された受信信号は、高周波複同調回路4において所望チャネルの受信信号がさらに選択され、混合回路5において、局部発振回路6から供給された局部発振信号と混合されて中間周波信号に変換される。中間周波信号は、中間周波同調回路7において所定周波数の中間周波信号が選択され、出力端子10から出力される。
【0039】
そこで、VHFローバンドにあるTV放送を選択したとき、IC9のバンド切換端子BS3から正電圧が出力され、この正電圧によって、高周波複同調回路4は、スイッチングダイオード413、414がそれぞれオフになり、可変容量ダイオード41 、42 、インダクタ43 、44 、キャパシタ48 、49 に、インダクタ45 乃至47 、キャパシタ410が挿入接続された形になる。
【0040】
一方、VHFハイバンドにあるTV放送を選択したとき、IC9のバンド切換端子BS2から正電圧が出力され、この正電圧によって、高周波複同調回路4は、スイッチングダイオード413、414がそれぞれオンになり、インダクタ45 乃至47 、キャパシタ410からなる回路部分が短絡され、可変容量ダイオード41 、42 、インダクタ43 、44 、キャパシタ48 、49 だけが接続された形になる。
【0041】
そして、いずれのバンドにあるTV放送を選択したときも、IC9の同調電圧端子TUから同調電圧が出力され、高周波複同調回路4は、同調電圧が抵抗415とインダクタ43 を介して可変容量ダイオード41 に加えられるとともに、抵抗416とインダクタ44 を介して可変容量ダイオード42 に加えられるので、可変容量ダイオード41 、42 の各容量が調整され、選択されたTV放送に同調される。
【0042】
また、局部発振回路6は、高周波複同調回路4と同様に、IC9のバンド切換端子BS3またはBS2から出力された正電圧と、同調電圧端子TUから出力された同調電圧とが加えられ、選択されたTV放送の周波数に対して一定の差だけ高い周波数の局部発振信号を出力する。
【0043】
さらに、第1実施例のテレビジョンチューナでは、高周波複同調回路4および中間周波同調回路7の各同調周波数を、PAL(B/G)方式のTV放送に適応させて設定してあり、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したときに、各同調周波数を低域周波数側に移動させるようにしている。
【0044】
即ち、第1実施例のテレビジョンチューナは、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したときに、正電圧がIC9のバンド切換端子BS4から出力され、高周波複同調回路4および中間周波同調回路7に加えられる。
【0045】
この正電圧は、高周波複同調回路4において、抵抗417、418および420、421で分圧されて付加バイアス電圧として可変容量ダイオード41 、42 のアノードに加えられる。このとき、可変容量ダイオード41 、42 は、カソードにIC9の同調電圧端子TUから出力された同調電圧が加えられており、アノードとカソード間には、同調電圧と付加バイアス電圧との差電圧が加わり、それらの容量は、同調電圧のみを加えたときの容量よりも大きくなる。
【0046】
また、この正電圧は、中間周波同調回路7において、抵抗78 、79 で分圧されて付加バイアス電圧として可変容量ダイオード77 のアノードに加えられる。このとき、可変容量ダイオード77 は、カソードに電源端子Bからインダクタ71 を介して固定バイアス電圧として電源電圧が加えられており、アノードとカソード間には、固定バイアス電圧と付加バイアス電圧との差電圧が加わり、その容量は固定バイアス電圧のみを加えたときよりも大きくなる。したがって、高周波複同調回路4および中間周波同調回路7の各同調周波数は、付加バイアス電圧を加えないときに比べて低域周波数側に移動する。
【0047】
一方、VHFローバンド以外のバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送およびPAL(B/G)方式のTV放送を選択したときは、IC9のバンド切換端子BS4から正電圧が出力されず、可変容量ダイオード41 、42 は、カソードに同調電圧だけが加えられ、その容量は付加バイアス電圧を加えたときよりも小さくなる。また、可変容量ダイオード77 は、カソードに電源電圧だけが加えられ、その容量は付加バイアス電圧を加えたときよりも小さくなる。したがって、高周波複同調回路4および中間周波同調回路7の各同調周波数は、付加バイアス電圧を加えたときに比べて高域周波数側に移動する。
【0048】
次に、図2は、本発明によるテレビジョンチューナの第2実施例の構成を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【0049】
第2実施例のテレビジョンチューナは、図1に示された第1実施例のテレビジョンチューナにおける中間周波同調回路7の代わりに、中間周波同調回路8を備えたものであり、中間周波同調回路8以外の構成および動作は第1実施例と同じなので、図2において、図1の構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付け、中間周波同調回路8の構成と動作についてだけ以下に説明し、その他の構成と動作に付いては説明を省略する。
【0050】
中間周波同調回路8は、入力端が混合回路5の出力端に接続され、出力端が出力端子10に接続されており、インダクタ81 と、キャパシタ82 乃至86 と、スイッチングダイオード87 と、抵抗88 乃至810とからなっている。そして、インダクタ81 は、一端がキャパシタ83 を介して入力端に接続されるとともに、キャパシタ84 を介して出力端に接続され、他端が抵抗89 を介して電源端子Bに接続されるとともに、並列接続された抵抗810とキャパシタ85 とを介して接地点に接続されている。キャパシタ82 はインダクタ81 に並列に接続されている。キャパシタ86 は、一端がスイッチングダイオード87 のアノードに接続され、他端がインダクタ81 の他端に接続されている。スイッチングダイオード87 は、カソードがインダクタ81 の一端に接続され、アノードが抵抗88 を介してIC9のバンド切換端子BS4に接続されている。
【0051】
そこで、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したとき、IC9のバンド切換端子BS4から正電圧が出力され、この正電圧が切換電圧として中間周波同調回路8の抵抗88 を介してスイッチングダイオード87 のアノードに加えられる。このとき、スイッチングダイオード87 のカソードには、電源端子Bに加えられた電源電圧が抵抗89 と810で分圧されて、固定バイアス電圧としてインダクタ81 を介して加えられているが、この固定バイアス電圧よりも切換電圧の方が高いので、スイッチングダイオード87 はオン状態になる。そして、キャパシタ86 がキャパシタ82 に並列接続され、中間周波同調回路8の同調容量は切換電圧を加えないときよりも大きくなる。したがって、中間周波同調回路8の同調周波数は、切換電圧を加えないときに比べて低域周波数側に移動する。
【0052】
一方、VHFローバンド以外のバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送およびPAL(B/G)方式のTV放送を選択したときは、IC9のバンド切換端子BS4から正電圧が出力されず、スイッチングダイオード87 はオフ状態になり、中間周波同調回路8の同調容量は切換電圧を加えたときよりも小さくなる。したがって、中間周波同調回路8の同調周波数は、切換電圧を加えたときに比べて高域周波数側に移動する。
【0053】
図6は、各実施例のテレビジョンチューナにおいて、VHFローバンドにあるTV放送を選択したときの高周波複同調回路4の同調特性であり、実線がPAL(B/G)方式のTV放送を選択したときの特性であり、破線がSECAM(L)方式のTV放送を選択したときの特性である。図中PPAL 、SPAL がそれぞれPAL(B/G)方式TV放送の映像搬送波および音声搬送波であり、PSEC 、SSEC がそれぞれSECAM(L)方式TV放送の映像搬送波および音声搬送波である。ただし図中の数値は各搬送波の周波数を便宜的に中間周波数に置換して表したものであり、各搬送波の周波数の大小関係は、図中の数値配列とは逆に、図の左側において小さく、右側において大きい。
【0054】
図6にあるように、高周波複同調回路4の同調特性は、図4に示した既知のテレビジョンチューナにおける高周波複同調回路64の同調特性に比べて、PAL(B/G)方式のTV放送を選択したときは変わらず、SECAM(L)方式のTV放送を選択したときは、低域周波数側に移動しており、いずれの方式のTV放送を選択したときも、応答範囲がほぼ一致し、映像搬送波および音声搬送波における応答レベルがほぼ等しい。
【0055】
図7は、各実施例のテレビジョンチューナにおいて、VHFローバンドにあるTV放送を選択したときの中間周波同調回路7、8の同調特性であり、実線がPAL(B/G)方式のTV放送を選択したときの特性であり、破線がSECAM(L)方式のTV放送を選択したときの特性である。図中PIPAL 、CIPAL がそれぞれPAL(B/G)方式TV放送の映像中間周波および色中間周波であり、PISEC 、CISEC がそれぞれSECAM(L)方式TV放送の映像中間周波および色中間周波である。
【0056】
図7にあるように、中間周波同調回路7、8の同調特性は、図5に示した既知のテレビジョンチューナにおける中間周波同調回路67の同調特性に比べて、PAL(B/G)方式のTV放送を選択したときは変わらず、SECAM(L)方式のTV放送を選択したときは、低域周波数側に移動しており、いずれの方式のTV放送を選択したときも、同調周波数が映像中間周波および色中間周波のほぼ中央にある。
【0057】
なお、各実施例において、付加バイアス電圧を、高周波複同調回路4の2個の可変容量ダイオード41 、42 の双方に加えた例を挙げて説明したが、本発明における付加バイアス電圧は、双方の可変容量ダイオードに加える必要はなく、高周波複同調回路4の同調周波数の移動が少なくてもよいときは、一方の可変容量ダイオードに加えるだけでよい。
【0058】
また、各実施例において、同調電圧を各可変容量ダイオード41 、42 のカソードに加え、付加バイアス電圧をアノードに加えた例を挙げて説明したが、本発明における同調電圧と付加バイアス電圧の供給形態はこの例に限られるものではなく、同調電圧と付加バイアス電圧の双方を重畳してカソードに加えてもよい。
【0059】
さらに、各実施例において、付加バイアス電圧または切換電圧として、IC9のバンド切換端子BS4から得られる正電圧を用いているが、本発明における付加バイアス電圧または切換電圧はこの正電圧に限られるものでなく、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したときにだけ得られる電圧であれば、他の電圧を用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上の説明のように、各実施例のテレビジョンチューナによれば、高周波複同調回路および中間周波同調回路の同調周波数を、PAL(B/G)方式のTV放送に適応させて設定し、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を選択したときに、高周波複同調回路および中間周波同調回路の同調容量を大きくしている。すなわち、PAL(B/G)方式のTV放送に適応させて設定された高周波複同調回路および中間周波同調回路の同調周波数が、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送を受信するときに、低域周波数側に移動し、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のTV放送に適応する。
【0061】
したがって、この発明のテレビジョンチューナによれば、いずれの方式のTV放送を選択しても、高周波複同調回路の映像搬送波および音声搬送波に対する選択度がほぼ同じになるとともに、中間周波同調回路の映像中間周波および色中間周波に対する選択度がほぼ同じになり、映像および音声を良好な状態で再生することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるテレビジョンチューナの第1実施例の構成を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【図2】本発明によるテレビジョンチューナの第2実施例の構成を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【図3】既知のテレビジョンチューナの構成を示す一部回路図を含んだブロック図である。
【図4】既知のテレビジョンチューナにおける高周波複同調回路の同調特性図である。
【図5】既知のテレビジョンチューナにおける中間周波同調回路の同調特性図である。
【図6】第1実施例および第2実施例のテレビジョンチューナにおける高周波複同調回路の同調特性図である。
【図7】第1実施例および第2実施例のテレビジョンチューナにおける中間周波同調回路の同調特性図である。
【符号の説明】
4 高周波複同調回路
4’、4” 抵抗分圧回路
41、42、77 可変容量ダイオード
7、8 中間周波同調回路
82 固定容量
86 付加容量
87 スイッチングダイオード
88、89 抵抗
9 選局用IC
BS4 バンド切換端子
TU 同調電圧端子
Claims (4)
- 可変容量ダイオードを設けた高周波複同調回路および可変容量ダイオードを設けた中間周波同調回路を備え、PAL(B/G)方式およびSECAM(L)方式の各テレビジョン放送を受信可能であって、前記高周波複同調回路および中間周波同調回路の各同調周波数をPAL(B/G)方式のテレビジョン放送に適応するように、前記高周波複同調回路の可変容量ダイオードに同調電圧を、前記中間周波同調回路の可変容量ダイオードに固定バイアス電圧をそれぞれ加え、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のテレビジョン放送を受信するときに、前記高周波複同調回路の可変容量ダイオードに同調電圧を加えたときよりもその容量を大きくする付加バイアス電圧を前記同調電圧とともに加え、前記中間周波同調回路の可変容量ダイオードに固定バイアス電圧を加えたときよりもその容量を大きくする付加バイアス電圧を前記固定バイアス電圧とともに加え、前記高周波複同調回路および前記中間周波同調回路の各同調周波数を低くするようにしたことを特徴とするテレビジョンチューナ。
- 前記付加バイアス電圧は、バンドデコーダを備えた選局用ICから出力されたバンド切換電圧を抵抗回路で分圧して得た分圧電圧であり、前記固定バイアス電圧は、前記付加バイアス電圧よりも高い電圧であって、前記高周波複同調回路の可変容量ダイオードには、カソードに前記同調電圧を加え、アノードに前記付加バイアス電圧を加え、前記中間周波同調回路の可変容量ダイオードには、カソードに前記固定バイアス電圧を加え、アノードに前記付加バイアス電圧を加えることを特徴とする請求項1に記載のテレビジョンチューナ。
- 可変容量ダイオードを設けた高周波複同調回路および固定容量とスイッチングダイオードに直列接続された付加容量とを設けた中間周波同調回路を備え、PAL(B/G)方式およびSECAM(L)方式の各テレビジョン放送を受信可能であって、前記高周波複同調回路および中間周波同調回路の各同調周波数をPAL(B/G)方式のテレビジョン放送に適応するように、前記可変容量ダイオードに同調電圧を加え、前記スイッチングダイオードにそのスイッチングダイオードをオフ状態にする切換電圧を加え、前記スイッチングダイオードをオフ状態にして前記付加容量を前記固定容量から切り離すようにし、VHFローバンドにあるSECAM(L)方式のテレビジョン放送を受信するときに、前記可変容量ダイオードに同調電圧を加えたときよりもその容量を大きくする付加バイアス電圧を前記同調電圧とともに加え、前記スイッチングダイオードにそのスイッチングダイオードをオン状態にする切換電圧を加え、前記スイッチングダイオードをオン状態にして前記付加容量を前記固定容量に並列に接続し、前記高周波複同調回路および前記中間周波同調回路の各同調周波数を低くするようにしたことを特徴とするテレビジョンチューナ。
- 前記付加バイアス電圧は、バンドデコーダを備えた選局用ICから出力されたバンド切換電圧を抵抗回路で分圧して得た分圧電圧であり、前記切換電圧は、前記バンド切換電圧であり、前記可変容量ダイオードには、カソードに前記同調電圧を加え、アノードに前記付加バイアス電圧を加え、前記スイッチングダイオードには、カソードに前記バンド切換電圧よりも低い電圧の固定バイアス電圧を加え、アノードに前記バンド切換電圧を加えることを特徴とする請求項3に記載のテレビジョンチューナ。
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