JP2009016899A - デジタル・アナログ共用チューナ - Google Patents
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Abstract
【課題】デジタル放送信号およびアナログ放送信号を高い受信品位で受信可能なデジタル・アナログ共用チューナを提供する。
【解決手段】PINアッテネータ回路32Aは、デジタル放送受信時には、ハイパスフィルタ2を通過した受信信号に対してAM検波回路27から供給されるデジタルRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて出力する。また、アナログ放送受信時には、該受信信号に対してアナログ復調回路35から供給されるアナログRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて出力する。PINアッテネータ回路32Aは、入力されるバイアス電圧に応じて端子間抵抗が変化することにより減衰量を可変させるPINダイオードを有し、デジタル放送受信時とアナログ放送受信時とでバイアス電圧のレベルを切替える。
【選択図】図1
【解決手段】PINアッテネータ回路32Aは、デジタル放送受信時には、ハイパスフィルタ2を通過した受信信号に対してAM検波回路27から供給されるデジタルRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて出力する。また、アナログ放送受信時には、該受信信号に対してアナログ復調回路35から供給されるアナログRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて出力する。PINアッテネータ回路32Aは、入力されるバイアス電圧に応じて端子間抵抗が変化することにより減衰量を可変させるPINダイオードを有し、デジタル放送受信時とアナログ放送受信時とでバイアス電圧のレベルを切替える。
【選択図】図1
Description
この発明は、デジタル放送信号およびアナログ放送信号を受信可能なデジタル・アナログ共用チューナに関する。
アナログのテレビジョン放送が開始されて50年が経過し、テレビの保有世帯が2000万世帯から3000万世帯となっている。日本ではようやく2003年にデジタルの地上波放送が開始され、2011年にはアナログ放送が停止されることになっている。なお、ケーブルテレビジョン放送および衛星放送では、既にデジタル放送に切替えられている。このようなアナログ放送からデジタル放送への移行に対応して、アナログ放送用チューナとデジタル放送用チューナとを1つの共用チューナとして実現したテレビジョン信号受信用チューナの需要が高まっている。
テレビジョン信号受信用チューナにおいては、一般に、シングルコンバージョン方式が広く用いられている。シングルコンバージョン方式とは、無線通信の受信機において、受信した高周波信号と局部発振信号とを乗算することにより、高周波信号(RF(Radio Frequency)信号)を、高周波信号と局部発振信号との周波数の差である中間周波数(IF(Intermediate Frequency)周波数)に周波数変換し、これを増幅したあとに復調等の受信処理を行なう方式である。
たとえば特開2005−167860号公報(特許文献1)には、入力されたRF信号の中から希望のチャンネル近傍の周波数に同調するRF同調回路と、RF信号を増幅する可変利得型のRF増幅回路と、RF信号を周波数固定のIF信号に変換する周波数変換回路と、IF信号から希望のチャンネル近傍の信号を選び出すIF同調回路と、IF信号から希望のチャンネルを選び出すIFフィルタ回路と、IF信号を増幅する可変利得型のIF増幅回路と、IF信号から希望のチャンネルの信号を復調する復調回路と、IF同調回路から出力される信号のレベルを検知するとともに該検知レベルが一定になるようにRF増幅回路にフィードバックをかけるためのAGC信号を出力する信号レベル検知回路とを有するデジタルテレビ放送受信モジュールが開示される。
この特開2005−167860号公報によれば、IF同調回路から出力されるときに、希望のチャンネルの信号の減衰量よりもその隣接チャンネルの減衰量が2〜5dB大きくなるようにRF同調回路およびIF同調回路の周波数特性が設定されている。したがって、IF同調後の信号に基づいてRF増幅回路に自動利得制御(AGC(Automatic Gain Control)制御)をかけることにより、希望チャンネルの信号レベルが小さく、かつ隣接チャンネルの不要波の信号レベルが大きい場合であっても、隣接チャンネルの不要波による妨害を抑制することができる。
また、特開2001−102947号公報(特許文献2)には、入力として供給されるデジタル変調された高周波信号の入力レベルに対して非線形領域を有する回路と、該非線形領域を有する回路に前置された第1の利得可変回路と、非線形領域を有する回路に後置された第2の利得可変回路と、第2の利得可変回路から出力される信号のレベルに応じて第1および第2の利得可変回路の利得を制御する自動利得制御回路を有する受信機が開示される。
これによれば、受信機への高周波信号の入力レベルが基準レベル以下の場合には、第2の利得可変回路で利得制御を行なうことによって必要なC/Nを確保する。該入力レベルが基準レベルを超えた場合には、第1の利得可変回路で利得制御を行なうことによって非線形歪みを低減する。そして、この基準レベルを第2の利得可変回路の後段で検出される受信品位に応じて可変に設定することにより、最適な受信条件に設定することを可能とする。
さらに、実開平4−116440号公報(特許文献3)には、受信機の高周波回路に関するものであって、高周波入力信号の入力端子と高周波増幅回路との間に高周波アッテネータを設けた構成が開示される。
これによれば、高周波アッテネータは、高周波増幅器と、減衰器と、該高周波増幅器および減衰器を選択的に回路に組み入れるためのスイッチ回路とから成る。そして、高周波入力信号が強入力の場合には、相互変調歪など各種妨害排除特性が重要なファクターとなるため、スイッチング回路が減衰器を選択し、回路に減衰器が直列に設けられたルートを形成する。一方、高周波入力信号が微弱な場合には、雑音指数がダイナミックレンジを左右する重要なファクターとなるため、スイッチング回路が高周波増幅器を選択し、回路に高周波増幅器が直列に設けられたルートを形成する。
特開2005−167860号公報
特開2001−102947号公報
実開平4−116440号公報
上述した特許文献1〜3に開示される受信機は、いずれも、入力信号をデジタル放送信号とし、その入力レベルの強弱に拘らず良好な受信品位を確保しようとするものである。
しかしながら、アナログ放送においては、一般に、デジタル放送よりも受信機への信号入力レベルが高くなるように設定されている。そのため、高周波信号が強入力となり十分なC/Nを確保することができるため、雑音指数を重視して設計する必要性が低くなる。
その一方で、雑音指数を重視して設計されたデジタル放送受信用チューナによってアナログ放送信号を受信しようとすれば、強入力信号の多波信号が入力された場合には、高周波増幅器が飽和して伝送歪が発生する可能性がある。この場合には、希望のチャンネルに隣接するチャンネルからの不要波による妨害が生じ、多波妨害耐性を低下させるという問題が生じる。
すなわち、デジタル・アナログ共用チューナを実現するためには、デジタル放送受信時の低雑音指数とアナログ放送受信時の多波妨害耐性とを両立させることが必要となる。
さらには、デジタル・アナログ共用チューナを携帯通信端末に搭載可能とするために、該チューナの小型化および薄型化が強く求められている。
それゆえ、この発明の目的は、デジタル放送信号およびアナログ放送信号を高い受信品位で受信可能なデジタル・アナログ共用チューナを提供することである。
また、この発明は、小型薄型の装置構成で、デジタル放送信号およびアナログ放送信号を高い受信品位で受信可能なデジタル・アナログ共用チューナを提供することである。
この発明のある局面によれば、デジタル放送信号およびアナログ放送信号を受信するデジタル・アナログ共用チューナであって、受信信号の信号レベルを、入力される制御電圧に応じた減衰を加えて出力するアッテネータ回路と、アッテネータ回路から出力された受信信号のうち、選局されたチャネルの周波数に対応する受信信号の信号レベルを、入力される制御電圧に応じて増幅する高周波増幅回路と、高周波増幅回路から伝達された受信信号を、中間周波数信号に周波数変換する周波数変換回路と、中間周波数信号を受けて、デジタル復調またはアナログ復調を実行する復調部と、復調された中間周波数信号の信号レベルに基づいて制御電圧を生成する利得制御部とを備える。アッテネータ回路は、減衰量が制御電圧に応じて可変となる減衰特性を有する。減衰特性は、任意の制御電圧において、アナログ放送信号の受信時における減衰量がデジタル放送信号の受信時における減衰量よりも大きくなるように、受信信号の種別に応じて切替えられる。
好ましくは、アッテネータ回路は、入力されるバイアス電圧に応じて端子間抵抗が変化することにより減衰量を可変させるPINダイオードと、受信信号の種別に応じてバイアス電圧のレベルを調整するレベル調整手段とを含む。
より好ましくは、レベル調整手段は、アナログ放送信号の受信時における端子間抵抗がデジタル放送信号の受信時における端子間抵抗よりも大きくなるように、バイアス電圧のレベルを調整する。
好ましくは、デジタル・アナログ共用チューナは、デジタル放送信号の受信時において、アッテネータ回路から出力された受信信号の信号レベルを広い周波数帯域にわたって増幅する広帯域増幅器と、アッテネータ回路に対して広帯域増幅器と並列に接続され、かつ、アナログ放送信号の受信時において、アッテネータ回路から出力された受信信号を、広帯域増幅器をバイパスさせるためのスルー回路とをさらに備える。
より好ましくは、スルー回路は、アナログ放送信号の受信時において、アッテネータ回路と高周波増幅回路とを直接的に接続するためのスイッチ回路を含む。
好ましくは、デジタル・アナログ共用チューナは、複数の配線層が積層されてなる多層基板と、多層基板が格納されるシールドケースと、複数の配線層間を電気的に接続するスルーホールとをさらに備える。多層基板は、一方面にデジタル・アナログ共用チューナを実装するとともに、該一方面がシールドケースにより覆われ、かつ、他方面にシールド層が配される。
この発明によれば、デジタル放送受信時の低雑音指数とアナログ放送受信時の多波妨害耐性とを両立させることが可能となる。その結果、高い受信品位で受信可能なデジタル・アナログ共用チューナを実現することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この発明の実施の形態に従うデジタル・アナログ共用チューナの構成を示すブロック図である。図2は、一般的な地上波デジタル放送信号受信用のチューナの構成を示すブロック図である。
以下では、最初に図2を用いて、一般的な地上波デジタル放送信号受信用チューナ(以下、デジタル放送用チューナとも称する。)を説明するとともに、当該デジタル放送用チューナを、地上波アナログ放送信号をも受信可能なデジタル・アナログ共用チューナに適用する上で生じる問題点について説明する。
次に、当該問題点を解決するために、本願発明が提案するデジタル・アナログ共用チューナについて詳細に説明する。
[一般的なデジタル放送用チューナの構成]
一般的なデジタル放送受信用チューナは、高周波(RF)信号を周波数変換して中間周波数(IF)信号として取り出すシングルコンバージョン方式を採用しており、例えば北米(US)仕様として、470〜860MHzを受信するUHF(Ultra High Frequency)バンドと、170〜470MHzを受信するVHF(Very High Frequency)ハイバンドと、54〜170MHzを受信するVHFローバンドとに分割され、バンドごとに受信回路を有する。
一般的なデジタル放送受信用チューナは、高周波(RF)信号を周波数変換して中間周波数(IF)信号として取り出すシングルコンバージョン方式を採用しており、例えば北米(US)仕様として、470〜860MHzを受信するUHF(Ultra High Frequency)バンドと、170〜470MHzを受信するVHF(Very High Frequency)ハイバンドと、54〜170MHzを受信するVHFローバンドとに分割され、バンドごとに受信回路を有する。
図2を参照して、デジタル放送受信用チューナは、入力端子1と、ハイパスフィルタ(HPF)2と、PINアッテネータ回路32と、広帯域増幅器3と、入力切替回路4,5,6と、高周波増幅入力同調回路7,8,9と、高周波(RF)増幅器10,11,12と、MOP(Mixer Oscillator PLL-synthesizer)回路26と、SAW(表面弾性波)フィルタ23と、中間周波(IF)AGC増幅回路24とを備える。
ハイパスフィルタ2は、5MHz〜46MHzを減衰域とし、VHFローバンドの最低周波数である54MHz以上を通過域とする。ハイパスフィルタ2は、入力端子1から入力されたデジタルテレビジョン(TV)信号のうち、54MHz以上の高周波数の成分のみを通過させる。
PINアッテネータ回路32は、ハイパスフィルタ2を通過したデジタルTV信号に減衰を加えて広帯域増幅器3へ出力する。このとき、PINアッテネータ回路32は、RF−AGC端子29に入力される自動利得制御電圧である、RF−AGC(Automatic Gain Control)電圧に応じてTV信号を減衰させる。
広帯域増幅器3は、PINアッテネータ回路32から送信されるデジタルTV信号について、受信帯域である54MHz〜860MHzの成分を増幅して出力する。
入力切替回路4,5,6は、受信チャネルに応じて、増幅されたデジタルTV信号を、UHFバンド、VHFハイバンドおよびVHFローバンドのいずれかの受信回路に入力する。
具体的には、受信チャネルに応じてUHFバンドのデジタルTV信号(UHF信号)が選択されている場合には、入力切替回路4がUHF信号を抽出する。また、VHFハイバンドのデジタルTV信号(VHFハイバンド信号)が選択されている場合には、入力切替回路5がVHFハイバンド信号を抽出し、VHFローバンドのデジタルTV信号(VHFローバンド信号)が選択されている場合には、入力切替回路6がVHFローバンド信号を抽出する。
そして、入力切替回路4により抽出されたUHF信号は、高周波増幅入力同調回路7に導かれてチャネルの選局が行なわれる。高周波増幅入力同調回路7は、図示しない制御回路からの選局信号に応じて、特定のチャネルの周波数を選択し、同調する。ここで、同調とは、特定の周波数について、その周波数成分を持つ信号を共振により増幅させることをいう。これにより、該特定の周波数以外の成分の信号が相対的に減衰させられる。
RF増幅器10は、RF−AGC端子29からRF−AGC電圧を受けて、高周波増幅入力同調回路7によって同調されたUHF信号を増幅する。なお、RF−AGC電圧とは、MOP回路26に含まれるAM検波回路27から出力され、RF−AGC端子29を介して印加される電圧である。
高周波増幅出力同調回路13は、RF増幅器10により増幅されたUHF信号を選局信号に応じて、特定のチャネルの周波数を選択して同調する。
MOP回路26は、ミキサ回路16,18,20と、局部発振回路17,19,21と、PLL(Phase Locked Loop)制御回路31と、IF増幅器22と、AM検波回路27と、RF−AGC制御スイッチ30とを含む。
ミキサ回路16は、局部発振回路17から局部発振信号を受けて、UHFバンドのTV信号をIF信号に周波数変換する。PLL制御回路31は、局部発振回路17における発振周波数を制御する。なお、PLL制御回路31は、図示しないデジタル復調回路により制御されている。
IF信号は、IF増幅器22により増幅された後、SAWフィルタ23に入力される。SAWフィルタ23は、増幅されたIF信号から、UHF信号から周波数変換されたIF信号以外の周波数成分を除去する。SAWフィルタ23を通過したIF信号は、IF−AGC増幅回路24において、後段のデジタル復調回路において必要とされる信号レベルに増幅されてIF出力端子25に出力される。IF出力端子25から出力されたIF信号は、デジタル復調回路へ送信される。なお、IF−AGC増幅回路24は、デジタル復調回路からIF−AGC端子28を介して印加されるIF−AGC電圧により利得が制御される。
さらに、ミキサ回路16から出力されたIF信号は、AM検波回路27において振幅復調された後、RF−AGC制御スイッチ30がオンされたことに応じてRF−AGC端子29へ出力される。
これにより、AM検波回路27によって振幅復調されたIF信号は、RF−AGC電圧として、RF増幅器10,11,12およびPINアッテネータ回路32に与えられる。すなわち、AM検波回路27は、負帰還回路を構成し、AM検波回路27に入力されるIF信号の出力ピーク値が常に一定となるように、RF増幅器10,11,12における利得、およびPINアッテネータ回路32における減衰量を制御する。
以上に述べたように、デジタル放送用チューナにおいては、高周波増幅器10,11,12が、IF信号の信号レベルに応じたRF−AGC電圧に基づいて、受信信号を自動的に最適な信号レベルに調整するAGC動作を行なう。そして、この高周波増幅器10,11,12の前段には、ヘッドアンプとしての広帯域増幅器3を配することによって、広い周波数帯域を有するデジタルTV信号を増幅して受信感度を高め、低雑音指数(NF:Noise Figure)を確保している。
さらに、広帯域増幅器3の前段にPINアッテネータ回路32を設けることによって、広帯域増幅器3が飽和するのを防止して相互変調歪や混変調といった伝送歪が発生するのを抑制している。
このようなデジタル放送用チューナを、地上波アナログ放送信号受信用チューナ(以下、アナログ放送用チューナとも称する。)と共用のチューナとして実現する場合には、要求される受信性能の違いから、以下のような問題点が生じる。
詳細には、デジタル放送用チューナでは、広い周波数帯域を有するデジタルTV信号に対応するため雑音指数を重視して設計する必要があるのに対して、アナログ放送用チューナの場合は、一般的にアナログTV信号がデジタルTV信号よりも信号レベルが高くなるように設定されているため、受信感度を高めて雑音指数を低く抑える必要性が相対的に低くなる。その一方で、アナログTV信号は多波信号であるため、アナログ放送用チューナとしては、多波による妨害耐性を重視して設計する必要がある。
したがって、雑音指数を重視して設計されたデジタル放送用チューナによってアナログTV信号を受信しようとすれば、強入力信号の多波信号が入力された場合には、広帯域増幅器3が飽和して伝送歪が発生する可能性がある。この場合には、同一周波数のアナログTV信号による干渉妨害が生じ、多波妨害耐性を低下させるという問題が生じる。
すなわち、デジタル・アナログ共用チューナを実現するためには、デジタル放送受信時の低雑音指数とアナログ放送受信時の多波妨害耐性とを両立させることが必要となる。
さらに、このようなアナログ放送受信時の多波妨害耐性は、デジタル放送受信時の隣接妨害耐性とは要求される性能が互いに異なることから、上述したAGC動作を開始させるための基準点(TOP:Take Over Point)を、アナログ放送受信時とデジタル放送受信時とで一律に固定してしまうと、両者の妨害耐性に弊害が生じる可能性がある。
詳細には、デジタル放送受信時における隣接妨害には、デジタル隣接妨害とアナログ干渉妨害とが含まれる。デジタル隣接妨害とは、希望のチャンネルと隣接するチャンネルに、希望のチャンネルよりも信号レベルの高い信号(不要波)が到来してきた場合に、当該不要波が減衰されることなくRF増幅器に入力されることによってRF増幅器が飽和して希望のチャンネルの信号が歪んだり、希望のチャンネルの信号に不要波の信号が混入したりすることをいう。また、アナログ干渉妨害とは、希望のチャンネル近傍の周波数に信号レベルの大きいアナログTV信号が存在する場合に、希望のチャンネルの信号が当該アナログTV信号に干渉を受けることをいう。
このような隣接妨害に対して、デジタル放送用チューナでは、RF増幅器10,11,12を、所定の利得のある状態を基準点(TOP)として、IF信号の信号レベルに応じたRF−AGC電圧に基づいて利得を低下させるように動作させている。そのため、基本的には増幅動作をしてはいるものの、RF−AGC電圧により利得の変化はTOPからの減衰方向であるため、減衰量と表現される。しかしながら、このときのTOPは、上述したアナログ放送受信における多波妨害を考慮したものとはなっていないため、アナログ放送の受信時において必ずしも所望の多波妨害耐性を得られるという保証がない。
[本願発明に係るデジタル・アナログ共用チューナの構成]
以下に、このような課題を解決するために考案された、本実施の形態によるデジタル・アナログ共用チューナについて詳細に説明する。
以下に、このような課題を解決するために考案された、本実施の形態によるデジタル・アナログ共用チューナについて詳細に説明する。
図1を参照して、本実施の形態によるデジタル・アナログ共用チューナは、入力端子1と、ハイパスフィルタ(HPF)2と、PINアッテネータ回路32Aと、広帯域増幅器3と、RFスルー回路44と、分配器43と、RF出力端子45と、入力切替回路4,5,6と、高周波増幅入力同調回路7,8,9と、RF増幅器10,11,12と、高周波増幅出力同調回路13,14,15と、MOP回路26と、SAWフィルタ23と、IF−AGC増幅回路24と、デジタル復調回路40と、SAWフィルタ34と、アナログ復調回路35と、RF−AGC制御スイッチ36とを備える。
図1のデジタル・アナログ共用チューナは、図2のデジタル放送受信用チューナに対して、選択チャネルに対応するアナログTV信号が周波数変換されたIF信号をアナログ復調するためのSAWフィルタ34およびアナログ復調回路35と、RF−AGC制御スイッチを付加したものである。
これにより、IF増幅器22から出力されたIF信号は、デジタル復調する系統とアナログ復調する系統とに分配される。
詳細には、IF信号のデジタル復調する系統への分配は、SAWフィルタ23を通過したIF信号がIF−AGC増幅回路24においてデジタル復調回路40において必要とされる信号レベルに増幅された後、IF出力端子25からデジタル復調回路40へ出力されることにより行なわれる。
デジタル復調回路40は、IF出力端子25から受けたIF信号から、IF帯の映像帯域信号を抽出する。また、デジタル復調回路40は、IF出力端子25から受けたIF信号から、IF帯の音声帯域信号を抽出する。そして、デジタル復調回路40は、これらのIF信号をTS(トランスポートストリーム)信号に変換して出力する。
また、デジタル復調回路40は、適切にデジタル復調が行なわれるようにIF−AGC増幅回路24の利得を制御するためのIF−AGC電圧をIF−AGC増幅回路24へ出力する。IF−AGC電圧は、IF−AGC端子28を介してIF−AGC増幅回路24に印加される。
さらに、IF信号は、AM検波回路27にも分配される。AM検波回路27において振幅復調されたIF信号は、RF−AGC電圧として、RF−AGC制御スイッチ30がオンされたことに応じてRF−AGC端子29へ出力される。
一方、IF信号のアナログ復調する系統への分配は、SAWフィルタ34を通過することによってUHF信号から周波数変換されたIF信号以外の周波数成分が除去されたIF信号がアナログ復調回路35へ出力されることにより行なわれる。
アナログ復調回路35は、SAWフィルタ34から受けたIF信号から、IF帯の映像帯域信号を抽出する。また、アナログ復調回路35は、SAWフィルタ34から受けたIF信号から、IF帯の音声帯域信号を抽出する。そして、アナログ復調回路35は、これらのIF信号をベースバンド帯へ周波数変換し、復調を行ない、ベースバンド帯の映像帯域信号および音声帯域信号を生成し、その生成したベースバンド帯の帯域信号をAV出力端子33から出力する。
さらに、アナログ復調回路35は、IF信号または復調したベースバンド帯の帯域信号のレベルに応じて、RF−AGC電圧を生成し、RF−AGC制御スイッチ36がオンされたことに応じてRF−AGC端子29へ出力する。
これにより、アナログ復調回路35によって復調されたIF信号は、RF−AGC電圧として、高周波増幅器10,11,12およびPINアッテネータ回路32に与えられる。すなわち、アナログ復調回路35は、負帰還回路を構成し、アナログ復調回路35に入力されるIF信号の出力ピーク値が常に一定となるように、高周波増幅器10,11,12における利得と、PINアッテネータ回路32における減衰量とを制御する。
このように、デジタル・アナログ共用チューナにおいては、RF−AGC端子29には、デジタル復調処理系のAM検波回路27から出力されるRF−AGC電圧(以下、デジタルRF−AGC電圧とも称する。)と、アナログ復調処理系のアナログ復調回路35から出力されるRF−AGC電圧(以下、アナログRF−AGC電圧とも称する。)とが供給可能に構成される。これらのRF−AGC電圧は、図示しないCPUが、受信チャンネルから判断したTV信号の種別(デジタル放送/アナログ放送)に応じてRF−AGC制御スイッチ30およびRF−AGC制御スイッチ36を択一的にオンすることにより、いずれか一方がRF−AGC端子29に供給される。RF−AGC端子29に供給されたRF−AGC電圧は、高周波増幅器10,11,12およびPINアッテネータ回路32Aに与えられる。
これにより、PINアッテネータ回路32Aは、デジタル放送の受信時には、ハイパスフィルタ2を通過したデジタルTV信号に対して、RF−AGC端子29から入力されるデジタルRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて広帯域増幅器3へ出力する。広帯域増幅器3は、PINアッテネータ回路32Aから送信されるデジタルTV信号について、受信帯域である54MHz〜860MHzの成分を増幅して出力する。
一方、アナログ放送の受信時には、PINアッテネータ回路32Aは、ハイパスフィルタ2を通過したアナログTV信号に対して、RF−AGC端子29から入力されるアナログRF−AGC電圧に応じた減衰を加えて出力する。
ここで、デジタルTV信号と同様に、アナログTV信号についても広帯域増幅器3により増幅する構成とした場合には、上述したように、アナログTV信号としての多波信号が強信号レベルで広帯域増幅器3に入力されることによって、広帯域増幅器3が飽和し、信号伝送時に相互変調歪または混合変調歪などの伝送歪が発生する可能性がある。
そこで、本実施の形態によるデジタル・アナログ共用チューナでは、このような伝送歪を抑制するために、アナログ放送の受信時には広帯域増幅器3が停止状態となり、RF信号をバイパスさせるためのRFスルー回路44を設ける構成とする。
図1を参照して、RFスルー回路44は、スイッチ回路により構成され、図示しないCPUから送信される制御信号を受けてオン/オフすることによって導通/非導通される。デジタル放送の受信時には、RFスルー回路44をオフすることにより、デジタルTV信号は広帯域増幅器3によって増幅されて後段の分配器43に入力される。分配器43は、入力されたTV信号を、入力切替回路4,5,6と、図示しないAV機器等に接続されるRF出力端子45とに分配する。
一方、アナログ放送の受信時には、RFスルー回路44をオンすることにより、アナログTV信号は、広帯域増幅器3によって増幅されることなく、該増幅器をバイパスして分配器43に入力される。これにより、多波信号が強信号レベルの場合においても伝送歪が発生するのが抑制される。
図3は、図1におけるRFスルー回路44の具体的な構成を説明するための回路図である。
図3を参照して、RFスルー回路44は、SW(スイッチング)ダイオードD5〜D8と、バイアス抵抗R7〜R11と、直流阻止コンデンサCc1〜Cc3と、高周波チョークコイルL3と、バイパスコンデンサCe1と、PNPトランジスタQ2と、バイアス抵抗R12と、スイッチ回路SW2とを含む。
SWダイオードD5は、アノードが直流阻止コンデンサCc2およびバイアス抵抗R8に接続され、カソードが直流阻止コンデンサCc1およびバイアス抵抗R7に接続される。
SWダイオードD6は、アノードがバイアス抵抗R11およびスイッチ回路SW2を介して、電源電圧が印加される+B端子に接続され、カソードがSWダイオードD5のカソードに接続される。
SWダイオードD8は、アノードが直流阻止コンデンサCc3およびバイアス抵抗R9に接続され、カソードがバイアス抵抗R10および分配器43に接続される。
SWダイオードD7は、アノードがバイアス抵抗R11およびスイッチ回路SW2を介して+B端子に接続され、カソードがSWダイオードD5のカソードに接続される。
PNPトランジスタQ2は、ソースが+B端子に接続され、ドレインがバイアス抵抗R8,R9を介してSWダイオードD5,D8のアノードに接続される。そして、PNPトランジスタQ2のベースは、バイアス抵抗R12およびスイッチ回路SW2を介して+B端子に接続される。
スイッチ回路SW2は、図示しないCPUから出力されるスイッチ切替信号SEによってオン/オフされる。詳細には、CPUは、受信チャネルに基づいてアナログ放送であるかデジタル放送であるかを判断し、アナログ放送である場合にはH(論理ハイ)レベルのスイッチ切替信号SEを生成してスイッチ回路SW2へ出力する。一方、デジタル放送である場合には、CPUは、L(論理ロー)レベルのスイッチ切替信号SEを生成してスイッチ回路SW2へ出力する。スイッチ回路SW2は、スイッチ切替信号SEがHレベルのときにオンされる一方で、スイッチ切替信号SEがLレベルのときにオフされる。
そして、スイッチ回路SW2がオンされた場合には、+B端子からの電源電圧がバイアス抵抗R11を介してSWダイオードD6,D7のアノードに印加される。よって、SWダイオードD6,D7は、順方向電圧が印加されるため、オン状態となる。なお、SWダイオードD6,D7がオンしたことにより、SWダイオードD5,D8のカソードの電位が上がる。
また、PNPトランジスタQ2は、+B端子からの電源電圧をバイアス抵抗R12を介してゲートに受けることによってオフ状態となる。そのため、+B端子からの電源電圧は、バイアス抵抗R8,R9を介してSWダイオードD5,D8のアノードに印加されない。したがって、SWダイオードD5,D8は、順方向電圧が印加されないために、オフ状態となる。
これにより、アナログ放送の受信時には、HPF2を通過したアナログTV信号は、広帯域増幅器3を通過せず、SWダイオードD6,D7を通って分配器43へ出力されることとなる。その結果、強入力信号である多波による妨害耐性が確保される。
一方、スイッチ回路SW2がオフした場合には、SWダイオードD6,D7のアノードには+B端子からの電源電圧が印加されない。よって、SWダイオードD6,D7は、順方向電圧が印加されないため、オフ状態となる。
また、PNPトランジスタQ2は、ゲートに電源電圧を受けないためにオン状態となり、+B端子からの電源電圧を、バイアス抵抗R8を介してSWダイオードD5のアノードに印加するとともに、バイアス抵抗R9を介してSWダイオードD8のアノードに印加する。そうすると、SWダイオードD5,D8はそれぞれ、順方向電圧が印加されるため、オン状態となる。
これにより、デジタル放送の受信時には、HPF2を通過したデジタルTV信号は、広帯域増幅器3を通過することによって増幅されて分配器43へ出力されることとなる。その結果、受信感度が高められて低雑音指数を確保することができる。
さらに、本実施の形態に係るデジタル・アナログ共用チューナでは、上述した妨害耐性の改善を図るために、PINアッテネータ回路32Aの減衰特性を、アナログ放送の受信時とデジタル放送の受信時とで異ならせる構成とする。これにより、RF増幅器10,11,12におけるTOPは、デジタル放送受信時とアナログ放送受信時とでそれぞれ最適な値となるように設定される。
図4は、図1におけるPINアッテネータ回路32Aの具体的な構成を説明するための回路図である。
図4を参照して、PINアッテネータ回路32Aは、π型PINアッテネータ回路であり、PINダイオードD1〜D3と、バイアス抵抗R1〜R5と、SWダイオードD4と、高周波チョークコイルL1,L2と、直流阻止コンデンサCc1,Cc2,Cc5と、バイパスコンデンサCe2〜Ce5と、インバータ用トランジスタQ1と、AGC抵抗R6と、スイッチ回路SW1とを含む。
トランジスタQ1は、AGC抵抗R6を介して図示しないRF−AGC端子29から供給されるRF−AGC電圧により駆動される。バイアス電流は、トランジスタQ1の動作により+B端子から高周波チョークコイルL2,L1およびバイアス抵抗R1を介して供給される。
PINダイオードD1〜D3は、P型半導体とN型半導体との間にI層を有し、抵抗成分がDCバイアス電流で制御される。PINダイオードD1〜D3のバイアスは、バイアス抵抗R1〜R5により与えられる。
本実施の形態では、デジタル放送の受信時とアナログ放送の受信時とで、PINダイオードD1〜D3のバイアスを切替える構成とする。これにより、デジタルRF−AGC電圧とアナログRF−AGC電圧とが同レベルの場合であっても、PINアッテネータ回路32Aにおける減衰量が異なることになる。
詳細には、バイアス抵抗R5およびバイアス抵抗R4は、+B端子と接地レベルとの間に直列に接続され、両者の接続点がPINダイオードD3のカソードに接続される。さらに、+B端子とPINダイオードD3のカソードとの間には、スイッチ回路SW1、バイアス抵抗R3およびSWダイオードD4が直列に接続される。
スイッチ回路SW1は、図示しないCPUから出力されるスイッチ切替信号SEによってオン/オフされる。スイッチ切替信号SEは、上述したように、受信チャネルに基づいてCPUにより生成される信号であり、アナログ放送である場合にはHレベルを示し、デジタル放送である場合には、Lレベルを示す。スイッチ回路SW1は、スイッチ切替信号SEがHレベルのときにオンされる一方で、スイッチ切替信号SEがLレベルのときにオフされる。
そして、スイッチ回路SW1がオンされた場合には、+B端子からの電源電圧がバイアス抵抗R3を介してSWダイオードD4のアノードに印加される。したがって、SWダイオードD4は、順方向電圧が印加されてオン状態となるため、PINダイオードD1〜D3に対してはバイアス抵抗R3からバイアスが与えられる。
一方、スイッチ回路SW1がオフされた場合には、+B端子からの電源電圧がバイアス抵抗R5およびR4によって分圧されてPINダイオードD1〜D3に与えられる。
このようにPINダイオードD1〜D3のバイアスを切替えることによって、PINアッテネータ回路32Aは、デジタル放送受信時とアナログ放送受信時とで、RF−AGC電圧に対する減衰特性が、図5のように切替えられる。
図5は、PINアッテネータ回路32Aにおける減衰特性を説明するための図である。
図5を参照して、縦軸はPINアッテネータ回路32Aにおける減衰量を示し、横軸はRF−AGC端子29から供給されるRF−AGC電圧を示す。なお、RF−AGC電圧は、デジタルRF−AGC電圧およびアナログRF−AGC電圧を含んでいる。
図5を参照して、縦軸はPINアッテネータ回路32Aにおける減衰量を示し、横軸はRF−AGC端子29から供給されるRF−AGC電圧を示す。なお、RF−AGC電圧は、デジタルRF−AGC電圧およびアナログRF−AGC電圧を含んでいる。
図中のラインk1は、デジタル放送受信時におけるPINアッテネータ回路32Aの減衰特性を示す。ラインk1から分かるように、減衰量は、デジタルRF−AGC電圧が低くなるに従って大きくなる傾向を示している。
これに対して、アナログ放送受信時における減衰特性は、図中のラインk2で示されるように、アナログRF−AGC電圧が低くなるに従って減衰量が大きくなる傾向が共通するものの、その減衰量がデジタル放送受信時よりも相対的に大きいものとなっている。
すなわち、アナログ放送受信時においては、PINアッテネータ回路32Aからはデジタル放送受信時よりも信号レベルが弱められたアナログTV信号が出力されることとなる。そして、このアナログTV信号は、広帯域増幅器3をスルーして高周波増幅器10,11,12に入力される。このときの高周波増幅器10,11,12のAGC特性は、図中のラインk3で示される本来のAGC特性に、図中のラインk2で示される減衰特性が合成されたものとなるため、実質的には図中のラインk4で示されるような特性となる。
ここで、デジタル放送受信時とアナログ放送受信時とで高周波増幅器10,11,12のAGC特性を比較すると、同じRF−AGC電圧であっても、アナログ放送受信時の方が、減衰量が大きいことが分かる。これにより、アナログ放送受信時では、伝送歪の発生が抑えられるため、強入力時における多波による妨害を改善することができる。
一方、デジタル放送受信時においては、減衰量が相対的に小さいため、希望のチャンネルと隣接するチャンネルの不要波により発生した歪成分が希望のチャンネルに落ち込むことによって隣接妨害が発生し、C/Nが劣化する可能性がある。しかしながら、このときのC/N劣化は、雑音指数の劣化によるC/N劣化よりも受信性能に及ぼす影響度が小さい。その結果、雑音指数を重視した設計によって歪成分によるC/N劣化が相殺されるため、隣接妨害耐性を確保することができる。
[デジタル・アナログ共用チューナの構造]
最後に、上述したデジタル・アナログ共用チューナを携帯用地上デジタル放送受信用チューナとして具現化するための構造例について説明する。
最後に、上述したデジタル・アナログ共用チューナを携帯用地上デジタル放送受信用チューナとして具現化するための構造例について説明する。
以下では、比較のために、図6に従来のデジタル放送受信用チューナの一般的な構造を説明するための断面図を示し、図7に本実施の形態に係るデジタル・アナログ共用チューナの構造を説明するための断面図を示す。
図6を参照して、従来のデジタル放送受信用チューナにおいては、一例として、両面を実装面とする基板SBを、シールドケース102,104の内部に格納した構成が採用されている。
基板SBの実装面には、チューナを構成する高周波回路部品や周辺部品などのチップ部品50が配置されている。そして、基板SBからシールドケース104の外部に向けて、端子電極52および接地電極が引き出されている。
そして、シールドケース102,104は、受信装置搭載基板100に搭載される。端子電極52および接地電極は、受信装置搭載基板100の表面に形成された配線層(図示せず)と電気的に接続される。
これに対して、図7を参照して、本実施の形態に係るデジタル・アナログ共用チューナは、受信装置搭載基板100に多層基板が搭載された構成を有する。多層基板は、例えば4層の配線層が積層されてなり、隣り合う配線層の間には、図示しない絶縁層が設けられている。
4層の配線層のうち、最上部の基板SB1の表面に形成される配線層は、高周波部品の他、コンデンサ等の周辺部品を構成するチップ部品50が配置され、高周波回路層を構成する。そして、基板SB1の下方の基板SB2,SB3の表面に形成される配線層には、DC回路部、接地層および高周波チョークプリントコイルが配置されている。
さらに、基板SB3の裏面には全面に接地パターンによるシールド層が形成されている。そして、基板SB1〜SB3には、配線層間を電気的に接続するためのスルーホールTHが設けられている。
このように多層基板に高周波回路および周辺回路を実装することにより、本実施の形態に係るデジタル・アナログ共用チューナは、図6で示した従来のデジタル放送受信用チューナと比較して、実装面積が大幅に低減されて装置の小型化が図られている。
また、高周波回路層が形成される基板SB1の上方はシールドケース102によって覆われている。このシールドケース102と受信装置搭載基板100上に形成されたシールド層とにより、装置外部からのノイズの入射および装置内部からのノイズの放射を防止している。これは、図6に示したような基板SBの両面をシールドケースで覆う場合と比較して、装置の薄型化することが可能となる。
さらに、本実施の形態では、以下に述べるように、従来、UHFバンドの高周波回路において空芯コイル等のチップ部品により実現されていたインダクタを、ストリップラインを用いた分布定数回路で構成することによって、更なる小型化および薄型化を図っている。
図8は、従来のUHFバンドの高周波回路の構成例を説明するための回路図である。図9は、本実施の形態によるUHFバンドの高周波回路の構成例を説明するための回路図である。
図8を参照して、高周波回路は、2つのインダクタLa,Lbと、各インダクタの端子間に直列接続されるコンデンサCa,CbおよびダイオードDa,Dbと、抵抗Ra,Rbとを含んで構成される。
図8の高周波回路において、インダクタLa,Lbとしては、集中定数部品である空芯コイルにより形成するのが一般的である。しかしながら、この空芯コイルを用いることで高周波回路が高さ方向に大型化してしまうため、チューナの薄型化を阻む要因となっていた。
これに対して、本実施の形態では、図9に示すように、インダクタLa,Lbをストリップラインと、それぞれのストリップラインの近傍に配された中心導体60,62とで構成する。なお、インダクタLa,Lbに共通に接続されるインダクタMは、インダクタLa,Lbを磁気結合させるために配されたものである。
図10は、図9のインダクタの構造を示す断面図である。
図10を参照して、インダクタLaの中心導体60は、基板SB1の表面に形成された高周波回路層に配される。インダクタLbの中心導体62は、基板SB2の表面に形成された配線層に配される。そして、これらの中心導体60,62は、スルーホールTHを介して基板SB3の表面に形成された接地層と電気的に接続されている。
図10を参照して、インダクタLaの中心導体60は、基板SB1の表面に形成された高周波回路層に配される。インダクタLbの中心導体62は、基板SB2の表面に形成された配線層に配される。そして、これらの中心導体60,62は、スルーホールTHを介して基板SB3の表面に形成された接地層と電気的に接続されている。
このように、多層基板の一方面に高周波回路を実装し、他方面にシールド層を設けるとともに、高周波回路をシールドケースで覆うことにより、チューナの小型化および薄型化を図ることができる。さらに、チップ部品で構成されていたインダクタをストリップラインで構成することにより、より一層の薄型化が実現される。その結果、携帯性が向上するため、携帯通信端末用チューナとしての適用範囲を広げることが可能となる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 入力端子、2 ハイパスフィルタ、3 広帯域増幅器、4,5,6 入力切替回路、7,8,9 高周波増幅入力同調回路、10,11,12 RF増幅器、13,14,15 高周波増幅出力同調回路、16,18,20 ミキサ回路、17,19,21 局部発振回路、22 IF増幅器、23 SAWフィルタ、24 IF−AGC増幅回路、25 IF出力端子、26 MOP回路、27 AM検波回路、28 IF−AGC端子、29 RF−AGC端子、30,36 RF−AGC制御スイッチ、31 PLL制御回路、32,32A PINアッテネータ回路、33 AV出力端子、34 アナログSAWフィルタ、35 アナログ復調回路、40 デジタル復調回路、43 分配器、44 RFスルー回路、45 RF出力端子、50 チップ部品、52 端子電極、60,62 中心導体、100 受信装置搭載基板、102,104 シールドケース、Ca,Cb コンデンサ、Cc1〜Cc5 直流阻止コンデンサ、Ce1,Ce2 バイパスコンデンサ、D1〜D8,Da,Db ダイオード、L1〜L3 高周波チョークコイル、La,Lb インダクタ、Q1,Q2 トランジスタ、R1〜R12 バイアス抵抗、Ra,Rb 抵抗、SB,SB1〜SB3 基板、SW1,SW2 スイッチ回路、TH スルーホール。
Claims (6)
- デジタル放送信号およびアナログ放送信号を受信するデジタル・アナログ共用チューナであって、
受信信号の信号レベルを、入力される制御電圧に応じた減衰を加えて出力するアッテネータ回路と、
前記アッテネータ回路から出力された前記受信信号のうち、選局されたチャネルの周波数に対応する受信信号の信号レベルを、入力される前記制御電圧に応じて増幅する高周波増幅回路と、
前記高周波増幅回路から伝達された前記受信信号を、中間周波数信号に周波数変換する周波数変換回路と、
前記中間周波数信号を受けて、デジタル復調またはアナログ復調を実行する復調部と、
復調された前記中間周波数信号の信号レベルに基づいて前記制御電圧を生成する利得制御部とを備え、
前記アッテネータ回路は、減衰量が前記制御電圧に応じて可変となる減衰特性を有し、
前記減衰特性は、任意の前記制御電圧において、前記アナログ放送信号の受信時における減衰量が前記デジタル放送信号の受信時における減衰量よりも大きくなるように、前記受信信号の種別に応じて切替えられる、デジタル・アナログ共用チューナ。 - 前記アッテネータ回路は、
入力されるバイアス電圧に応じて端子間抵抗が変化することにより減衰量を可変させるPINダイオードと、
前記受信信号の種別に応じて前記バイアス電圧のレベルを調整するレベル調整手段とを含む、請求項1に記載のデジタル・アナログ共用チューナ。 - 前記レベル調整手段は、前記アナログ放送信号の受信時における前記端子間抵抗が前記デジタル放送信号の受信時における前記端子間抵抗よりも大きくなるように、前記バイアス電圧のレベルを調整する、請求項2に記載のデジタル・アナログ共用チューナ。
- 前記デジタル放送信号の受信時において、前記アッテネータ回路から出力された前記受信信号の信号レベルを広い周波数帯域にわたって増幅する広帯域増幅器と、
前記アッテネータ回路に対して前記広帯域増幅器と並列に接続され、かつ、前記アナログ放送信号の受信時において、前記アッテネータ回路から出力された前記受信信号を、前記広帯域増幅器をバイパスさせるためのスルー回路とをさらに備える、請求項1に記載のデジタル・アナログ共用チューナ。 - 前記スルー回路は、前記アナログ放送信号の受信時において、前記アッテネータ回路と前記高周波増幅回路とを直接的に接続するためのスイッチ回路を含む、請求項4に記載のデジタル・アナログ共用チューナ。
- 複数の配線層が積層されてなる多層基板と、
前記多層基板が格納されるシールドケースと、
前記複数の配線層間を電気的に接続するスルーホールとをさらに備え、
前記多層基板は、一方面に前記デジタル・アナログ共用チューナを実装するとともに、該一方面が前記シールドケースにより覆われ、かつ、他方面にシールド層が配される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデジタル・アナログ共用チューナ。
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