JP3581528B2 - 無効電力発生装置及び無効電力発生方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統の有効電力、無効電力を調整するために、電力系統に対して進相無効電力、遅相無効電力を発生する無効電力発生装置及び無効電力発生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13乃至図15は、例えば米国で発表された論文「IEEE、96 WM 120−6 PWRD」に示された従来の電力系統を2つの電圧源に置き換えた2機モデルにおいて、直列補償型の無効電力発生装置を適用した場合の動作原理を示すものである。
【0003】
図13において、符号1a、1bは系統の電源電圧、2は送電線のインピーダンス、3は2つの電源間の位相差とインピーダンス2から決まる系統の有効電力P、4は直列補償型の無効電力発生装置(以後、直列補償装置と略称する)を示し、5は結合変圧器、6は自励式インバータ変換器、7はインバータ変換器の直流電圧源となる直流コンデンサ、8は前記直列補償装置4が系統に対して直列に挿入する出力電圧を示す。
【0004】
また、図14の(a)は、図13を簡単のためにモデル化した構成図、(b)及び(c)はそのベクトル図を示す。
【0005】
図15の(a)は、直列補償装置4の出力電圧を系統のインピーダンス2を調整する方向に制御した場合(以後、インピーダンス制御と呼ぶ)の位相差δ(δ=δs−δr)と有効電力Pの特性を示し、図15の(b)は、直列補償装置4の出力電圧を電流に対して直交する方向に制御した場合(以後、直交電圧制御と呼ぶ)の位相差δと有効電力Pの特性を示す。
【0006】
次に、この従来例の動作について説明する。
図13、14において、系統電流に対して直交する方向に、且つ大きさが系統電流に比例するように直列補償装置4の出力電圧8の電圧ベクトルを制御することにより、系統のインピーダンス2を調整できるので、以後これをインピーダンス制御と呼ぶ。
【0007】
調整するインピーダンス量Xcを発生するために直列補償装置4が出力する電圧ベクトルは次式となる。
V_q=Xc・I_・e−j90°
この結果、系統の有効電力は次式となる。
P=(V2/XL){1/(1−S)}sinδ
但し、V_s=V_r=V,S=Xc/XL
このPをV2/XLで単位化したP−δ特性を図15の(a)に示す。図15の(a)より直列補償装置4で、系統のインピーダンス2を調整することで、系統の有効電力Pを制御できるがことが分かる。
【0008】
また、系統電流に対して直交する方向に直列補償装置4の出力電圧8の電圧ベクトルを制御する。以後、これを直交電圧制御と呼ぶ。
【0009】
系統に直列に挿入する直交電圧量Vqを発生するために、直列補償装置4が出力する電圧ベクトルは次式となる。
V_c=Vq・(I_/|I_|)・e± j90°
この結果、系統の有効電力は次式となる。
P=(V2/XL){sinδ+(Vq/V)cos(δ/2)}
但し、V_1=V_2=V
このPをV2/XLで単位化したP−δ特性を図15の(b)に示す。図15の(b)より直列補償装置4で、系統に挿入する直交電圧を調整することにより、系統の有効電力Pを制御でき、且つ有効電力の方向を逆転できることが分かる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方式は、以上のように構成されているので、直列補償型の無効電力発生装置のインピーダンス制御と直交電圧制御は、1線地絡のような不平衡系統事故の場合には、系統電流は正相分以外に逆相分、直流分を含む電流となり、この電流を使用して、系統に挿入するインピーダンスまたは電流に対して直交する電圧を調整するための電圧を発生すると、逆相分、直流分を含む電圧を発生することになり、その結果、結合変圧器を偏磁させてインバータ過電流となり、インバータ装置の保護が働き運転できなくなるという問題点があった。
【0011】
また、インピーダンス制御と直交電圧制御は、系統電流の方向を逆転させる系統事故の場合は、系統電流の方向が瞬時に逆転するため、この電流を使用して前記インピーダンスまたは電流に対して直交する電圧を制御しようとすると、電圧ベクトル演算に誤差が生じ、系統と変換器との間に急激な有効電力のやり取りが発生して、直流コンデンサ電圧が変動し、直流コンデンサの過電圧となりインバータ装置の保護が働き運転できなくなるという問題点もあった。
【0012】
さらに、直交電圧制御では、系統電流が零になると、補償電圧の演算において、零で除算することになるため演算できず、補償電圧が不定となるという問題点もあった。
【0013】
さらにまた、インピーダンス制御と直交電圧制御とを使用して電力系統の有効電力を制御すると、直流補償装置が発生した無効電力により、系統の無効電力が変動しその結果、系統電圧を変動させるという問題点もあった。
【0014】
この発明は上述したような種々の問題点を解決するためになされたものであり、系統電流が逆相分、零相分、直流分を含む場合、あるいは零になる場合、あるいは急激に反転する場合にも、直列補償装置として安定して運転を継続することができる無効電力発生装置及び無効電力発生方法を得ることを目的とするものである。
【0015】
また、本発明の他の目的は、直列型の無効電力発生装置と並列型の無効電力発生装置とを併用して運転することにより、系統の無効電力の変動による系統電圧変動を抑制することができる無効電力発生装置及び無効電力発生方法を得ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る無効電力発生装置は、系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、電流に対して直交した方向に且つ大きさが電流に比例するように、制御するインピーダンス制御において、出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して前記電圧ベクトルの演算誤差を補正するための検出回路を備えるものである。
【0021】
請求項2の発明に係る無効電力発生装置は、系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、系統電流に対して直交した方向に、制御する直交電圧制御において、出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して、単位電圧ベクトルを系統電流に対して回転させる時の誤差を補正する検出回路を備えるものである。
【0023】
請求項3の発明に係る無効電力発生方法は、並列補償器を系統電圧制御し、直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたものである。
【0024】
請求項4の発明に係る無効電力発生方法は、系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、前記直列補償器が系統の有効電力を調整するために発生した無効電力を、出力電圧指令と系統電流とから演算し、前記無効電力を吸収するように前記並列補償器を制御するものである。
【0025】
請求項5の発明に係る無効電力発生方法は、系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、前記並列補償器を系統電圧制御し、前記直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
実施の形態1.
図1乃至図3は、この発明の実施の形態1に関連した直列補償型の無効電力発生装置を示すもので、上述した従来例と同一機能は同一番号で表し、その説明を省略する。
【0028】
図1において、9aは系統電圧V_を検出するセンサ、9bは直流電圧Vdcを検出するセンサ、10は系統電流I_を検出するセンサ、11aは系統電圧に同期した角速度θvを検出するPLL回路、12aは直流電圧指令値Vdc−refを第1指令値発生器、12bは系統の有効電力指令値P−refを出力する第2指令値発生器、12cはインピーダンス指令値Xcを出力する第3指令値発生器、13は直流電圧指令値と現在の直流電圧から直流電圧を制御するための指令を演算する直流電圧制御器(DCAVR)、14は掛け算器、15は2軸の信号を回転させる回転回路(詳細は後述)、16は加減算器、17は2軸の信号を3軸の信号に変換する2相3相変換器(詳細は後述)、18はインバータ変換器のゲート信号を発生するゲートパルス発生回路、19は有効電力検出回路(詳細は後述)、20は、有効電力指令P−refと現在の有効電力Pから有効電力を制御するための指令を演算する有効電力制御器(PFC)、21はPの極性から信号を選択するスイッチ回路、22は正相基本波電流を検出する回路(詳細は後述)、30は直流成分を減衰させるフィルタ(詳細は後述)である。
【0029】
図2は、正相基本波電流検出回路22の詳細を示し、23aは3軸の信号を2軸の正相に変換する3相2相変換器(詳細は後述)、23bは3軸の信号を2軸の逆相に変換する3相2相変換器(詳細は後述)、24は高調波リップルを減衰させるローパスフィルタ、25aは正相の2軸信号を3軸に変換する2相3相変換器、25bは逆相の2軸信号を3軸に変換する2相3相変換器、26a、26bはゲインである。
【0030】
図3は、直流成分を減衰させるフィルタ30の詳細を示し、16は信号を加算する加算器、30aは電源周波数Tの3分の1周期でサンプルするサンプラー、30bは3分の1ゲイン、30cは一時遅れ要素を2段構成にしたローパスフィルタを示す。
【0031】
次に、図1〜図3に示した無効電力発生装置の動作について説明する。初めに、主要構成要素の基本動作について説明する。
【0032】
図2において、正相基本波電流検出回路22は、系統事故時などの場合に、系統電流に含まれる逆相、零相、直流の成分を除去する回路であり、逆相分、零相、直流分、正相分を含む電流を3相2相変換器23aにより正相3相から2相に変換し、逆相は交流分2fへ、直流分は交流分1fへ、正相分は直流分に変換されるので、2f、1fの交流信号をローパスフィルタ24aにより減衰させ、正相分を2相3相変換器25aにより2相から3相に逆変換することで逆相分と零相分と直流分を減衰させた3相信号を取り出す。同様に、逆相分を2相3相変換器25bにより2相から3相に逆変換して正相分を減衰させた3相信号を取り出す。そして、3相上で元の信号から逆相分を減算し、再度、3相2相変換器23bにより3相2相変換するとともにローパスフィルタ24bにより逆相分、直流分の除去をすることで、2軸の正相基本波電流I1p、qを検出する。
【0033】
図3は、指令値に含まれる直流成分(2相3相変換した時に直流分となる成分を意味する)を除去するフィルタ30であり、このフィルタ30は、電源周波数の3分の1の無駄時間によるサンプラー30aと、一時遅れ要素を2段に構成したローパスフィルタ30cとにより、指令値変化の動作時間を一定時間(電源周期)にすることができ、指令値に含まれる直流成分を除去できる。この指令値を制御指令として制御すると出力電圧に直流分を含まないので、結合変圧器5を偏磁させてインバータ過電流となるなどの不具合を取り除くことができる。
【0034】
3相2相変換は、次式で表され、角速度θで回転する3相の交流信号[A、B、C]を2軸の直流信号[Q、P]に変換する。
【0035】
【数1】
2相3相変換は、前記3相2相変換の逆変換で、次式で表される。
【0036】
【数2】
回転は、2軸の信号を位相を回転させる変換であり、次式で表される。
【0037】
【数3】
有効電力(P)、無効電力(Q)の計算は、次式で表される。
【0038】
P=Vp・Ip+Vq・Iq
Q=Vp・Iq−Vq・Ip
【0039】
次に、図1に戻って、詳細に説明する。インピーダンス制御において、問題となるのは、系統事故時に系統電流に含まれる逆相、零相、直流分であり、これを取り除くために、系統電流を正相基本波電流検出回路22により2軸の正相基本波電流I1p,qを検出し、電流に対して直交させるために回転回路15を使用して90度回転させて、インピーダンス方向の電流ベクトルを検出する。また、有効電力制御器(PFC)20の出力あるいは第3指令値発生器12cの出力する指令値Xcから直流成分除去フィルタ30を介して得られたインピーダンス量Xc*と、前記インピーダンス方向の電流ベクトルとを乗算して、インピーダンス相当の電圧指令を演算する。また、第1指令値発生器12aの直流電圧指令(Vdc-ref)と自励式インバータ変換器6からの直流電圧(Vdc)の偏差を比例積分要素などにより算出した直流電圧制御器(DCAVR)13の出力信号Rc*を、掛け算器14により電流I_p,qと乗算して抵抗相当の電圧指令を算出し、加算器16により前記インピーダンス相当の電圧指令と抵抗相当の電圧指令を加算して出力電圧指令Vcp、q*とし、これを2相3相変換器17により2相3相変換して3相交流指令に変換し、ゲートパルス発生回路18においてインバータ変換器6のスイッチングパルスが作られ、このスイッチングパルスがインバータ変換器6に与えられて、電圧指令Vcp、q*に相当した出力電圧V_cが系統に直列に挿入される。すなわち、インピーダンス量Xc*は無効電力を発生するための操作量であり、抵抗量Rc*は有効電力を発生するための操作量である。このインピーダンス量Xc*により系統のインピーダンスを調整して系統の有効電力を調整し、抵抗量Rc*により系統から有効電力を流入させて直流電圧を制御する。
【0040】
図4は本発明の実施の形態1による無効電力発生装置の概略構成を示している。上記装置(図1〜図3参照)では、直流電圧制御が、補償器の損失分と電圧ベクトル演算の誤差の補正を行っていたが、この実施の形態1では、図4に示すように、電圧ベクトル演算の誤差を補正するために、電圧指令Vcxp、q*と系統電流より有効電力を演算して、誤差に相当する補正角θpcx*を算出し、回転回路15による回転量を補正する方式とした。
【0041】
図5に補正角θpcx*を演算する補正角演算装置29の詳細を示す。図5において、正相基本波電流検出回路22により正相基本波電流I1p,qを算出し、この正相基本波電流I1p,qと電圧指令Vcxp、q*とから、有効電力演算回路29aにより、誤差に相当する有効電力Pcx*を次式により演算する。
Pcx*=Vcxp*・I1p+Vcxq*・I1q
【0042】
そして、位相角演算回路29bにより、この有効電力Pcxから次式により位相角を演算する。
θpc=sin−1(Pc*/K)
【0043】
図6は本発明に関連する無効電力発生装置の概略構成を示している。直交電圧制御では、電流が零になると電圧ベクトル演算できない問題があったが、この場合には、系統電流の変わりに系統電圧を使用してベクトルを演算する方式とした。
【0044】
図6に示す装置は、図1の装置とほぼ同じ構成であるが、系統電流I_を検出するセンサ10の後段に、系統電流の角速度θ1を求めるPLL回路11bを付加し、図1の正相基本波電流検出回路22を、系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトルを検出する回路27に置き換えた点が相違している。
【0045】
系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27は、図7に示すように、正相基本波電流検出回路22の次段に、単位ベクトル化回路28を付加した構成である。
【0046】
単位ベクトル化回路28は、正相基本波電流検出回路22の出力V1p、qを次式により単位ベクトル化する。
E_v1p、q=V1p、q/(V1p2+V1q2)1/2
【0047】
また、系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27は、図8に示すように、正相基本波電流検出回路22の回路部分を簡略化してもさしさえない。
【0048】
次に、図6〜図8に示した装置の動作について説明する。系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27で算出した単位ベクトルを回転回路15を使用して90度+電圧θVと電流θIの位相差角(θV+90-θI)に相当する角度回転させて電流に対して直交する単位ベクトルを演算し、また電圧と電流の位相差角に相当する角度回転させて電流に対して同相(抵抗方向)の単位ベクトルを演算するものである。
【0049】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による無効電力発生装置の概略構成を示している。上記装置(図6〜図8参照)では、直流電圧制御により、補償器の損失分と電圧ベクトル演算の誤差の補正を行っていたが、本実施の形態2では、図9のように、電圧ベクトル演算の誤差を補正するために、電圧指令Vcxp、q*と系統電流I_より有効電力を次の式により演算して誤差に相当する補正角θpcx*を算出するθpcx演算回路29(図5参照)を設け、回転回路15の出力を補正する方式とした。
【0050】
θpcx*=sin−1{(Vcxp*・I1p+Vcxq*・I1q)/k}
【0051】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による無効電力発生方法を実施するための無効電力発生装置の概略構成を示している。上述したインピーダンス制御または直交電圧制御を使用して系統の有効電力を制御すると、直列補償装置は発生した無効電力により系統電圧を変動させる場合がある。そこで、本実施の形態3は、図10に示すように、直列補償装置が系統有効電力制御のために発生した無効電力を補償する方式とした。
【0052】
図10において、4aは並列補償器、4bは直列補償装置、31は系統電圧制御器、32は無効電力制御器、33は無効電力検出回路を示す。
【0053】
直列補償装置4bと同様の構成回路の並列補償器4aを系統に接続し、直列補償装置4bの系統有効電力制御用の出力電圧指令と系統電流から直列補償装置4bが発生する無効電力Qc2を次式により算出し、これを並列補償器4aに対して無効電力指令として与え、直列補償装置4bの無効電力を打ち消す無効電力を並列補償器4aより発生させる。
【0054】
Qc2=Vcp*・I2q−Vcq*・I2p
【0055】
実施の形態4.
次に、並列補償器と直列補償装置との併用運転について、図11及び図12を参照して説明する。
【0056】
図11は、上述の図10の系統において、並列補償器4aで系統電圧を制御し、直列補償装置4bで直交電圧を制御した場合のベクトル図を示しており、系統の有効電力は次のように表される。
第一区間(Vs〜V1間)は次式で表される。
P1=(2V2/XL)sinδ1
第二区間(V1〜Vsの間)は次式で表される。
P2=(4V2/XL){sin(δ2/2)+(Vc/2V)}cos(δ2/2)
【0057】
同様に、並列補償器4aのみで系統電圧を制御した場合の系統の有効電力は次式となる。
P=(2V2/XL)sinδ
ここで、P1=P2の条件下で、合成位相差(δ=δ1+δ2)を計算すると、P−δは図12のようになる。
【0058】
図12より、並列補償器4aで系統電圧を制御し、直列補償装置4bで直交電圧を制御する併用運転は、系統の有効電力を調整する範囲を大きくとれることが分かる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、次のような優れた効果を奏するものである。
【0063】
請求項1の発明によれば、インピーダンス制御において、電流に直交する電圧ベクトルを算出するために使用する系統電流に対して、正相基本波を検出する回路を用いることにより、系統事故時の電流に対して精度よく電圧ベクトルを算出でき、また、演算した電圧ベクトルと電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して電圧ベクトルを補正するようにしたので、誤差によって生じる有効電力分の直流電圧変動が更に少なくなり、直流コンデンサを小さくでき、安価な装置を製作できる効果がある。
【0065】
請求項2の発明によれば、直交電圧制御おいて、電流に直交する電圧ベクトルを算出するために、系統電圧の正相基本波単位ベクトルを検出する回路を用いることにより、系統電流が零の時でも電圧ベクトルが算出でき、また、演算した電圧ベクトルと電流から有効電力に相当する位相差角を演算して電圧ベクトルを補正するようにしたので、誤差によって生じる有効電力分の直流電圧変動が少なくなり、直流コンデンサを小さくでき、安価な装置が製作でき、且つ、系統の有効電力が零または反転するときでも、調整電圧を発生できる効果がある。
【0066】
請求項4の発明によれば、直列補償装置で、系統の有効電力を制御するために出力した無効電力のみを並列補償器で補償するようにしたので、並列補償器の容量を効率よく使用でき、系統の無効電力を増大させることなく有効電力を調整でき、且つ、系統電圧の変動が生じない効果がある。
【0067】
請求項3あるいは請求項5の発明によれば、並列補償器と直列補償装置の併用運転において、直列補償装置は直交電圧制御し、並列補償器は系統電圧制御することにより、それぞれの補償容量を最大限に有効活用でき、且つ、系統の有効電力の調整範囲が他の方式より大きくなり、逆に補償装置として必要な調整容量が少なくなり、安価な装置を製作できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に関連した直列補償装置インピーダンス制御の構成図である。
【図2】この発明に関連した正相基本波電流検出回路の構成図である。
【図3】この発明に関連したフィルタの構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による直列補償装置インピーダンス制御の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1の補正位相角の構成図である。
【図6】この発明に関連した直列補償装置直交電圧制御の構成図である。
【図7】この発明に関連した正相基本波電圧単位ベクトル検出回路の構成図である。
【図8】この発明に関連した正相基本波電圧単位ベクトル検出回路の他の実施の形態の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2による直列補償装置直交電圧制御の構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転による無効電力制御の構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転によるベクトル図である。
【図12】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転によるP-δ特性図である。
【図13】従来の直列補償装置の構成図である。
【図14】従来の直列補償装置のモデル図とベクトル図である。
【図15】従来の直列補償装置のインピーダンス制御と直交電圧制御のP-δ特性図である。
【符号の説明】
1 電源電圧、2 系統インピーダンス、3 系統有効電力、4 補償装置、5 結合変圧器、6 自励式インバータ変換器、7 直流コンデンサ、8 直列補償装置出力電圧、9 電圧センサ、10 電流センサ、11 PLL回路、12 直流電圧制御基準、13 直流電圧制御器、14 掛け算器、15 回転器、16 加減算器、17 2相3相変換器、18 ゲートパルス発生回路、19 P検出回路、20 有効電力制御器、21 選択スイッチ、22 正相基本波電流検出回路、23 正相、逆相2相3相変換器、24 ローパスフィルタ、25a 正相の2相3相変換器、25b 逆相の2相3相変換器、26a、26b ゲイン、27 正相基本波電圧単位ベクトル検出回路、28 単位化回路、29 補正角演算回路、30 フィルタ、31 交流電圧制御器、32 無効電力制御器、33 無効電力検出回路。
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力系統の有効電力、無効電力を調整するために、電力系統に対して進相無効電力、遅相無効電力を発生する無効電力発生装置及び無効電力発生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図13乃至図15は、例えば米国で発表された論文「IEEE、96 WM 120−6 PWRD」に示された従来の電力系統を2つの電圧源に置き換えた2機モデルにおいて、直列補償型の無効電力発生装置を適用した場合の動作原理を示すものである。
【0003】
図13において、符号1a、1bは系統の電源電圧、2は送電線のインピーダンス、3は2つの電源間の位相差とインピーダンス2から決まる系統の有効電力P、4は直列補償型の無効電力発生装置(以後、直列補償装置と略称する)を示し、5は結合変圧器、6は自励式インバータ変換器、7はインバータ変換器の直流電圧源となる直流コンデンサ、8は前記直列補償装置4が系統に対して直列に挿入する出力電圧を示す。
【0004】
また、図14の(a)は、図13を簡単のためにモデル化した構成図、(b)及び(c)はそのベクトル図を示す。
【0005】
図15の(a)は、直列補償装置4の出力電圧を系統のインピーダンス2を調整する方向に制御した場合(以後、インピーダンス制御と呼ぶ)の位相差δ(δ=δs−δr)と有効電力Pの特性を示し、図15の(b)は、直列補償装置4の出力電圧を電流に対して直交する方向に制御した場合(以後、直交電圧制御と呼ぶ)の位相差δと有効電力Pの特性を示す。
【0006】
次に、この従来例の動作について説明する。
図13、14において、系統電流に対して直交する方向に、且つ大きさが系統電流に比例するように直列補償装置4の出力電圧8の電圧ベクトルを制御することにより、系統のインピーダンス2を調整できるので、以後これをインピーダンス制御と呼ぶ。
【0007】
調整するインピーダンス量Xcを発生するために直列補償装置4が出力する電圧ベクトルは次式となる。
V_q=Xc・I_・e−j90°
この結果、系統の有効電力は次式となる。
P=(V2/XL){1/(1−S)}sinδ
但し、V_s=V_r=V,S=Xc/XL
このPをV2/XLで単位化したP−δ特性を図15の(a)に示す。図15の(a)より直列補償装置4で、系統のインピーダンス2を調整することで、系統の有効電力Pを制御できるがことが分かる。
【0008】
また、系統電流に対して直交する方向に直列補償装置4の出力電圧8の電圧ベクトルを制御する。以後、これを直交電圧制御と呼ぶ。
【0009】
系統に直列に挿入する直交電圧量Vqを発生するために、直列補償装置4が出力する電圧ベクトルは次式となる。
V_c=Vq・(I_/|I_|)・e± j90°
この結果、系統の有効電力は次式となる。
P=(V2/XL){sinδ+(Vq/V)cos(δ/2)}
但し、V_1=V_2=V
このPをV2/XLで単位化したP−δ特性を図15の(b)に示す。図15の(b)より直列補償装置4で、系統に挿入する直交電圧を調整することにより、系統の有効電力Pを制御でき、且つ有効電力の方向を逆転できることが分かる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
従来の方式は、以上のように構成されているので、直列補償型の無効電力発生装置のインピーダンス制御と直交電圧制御は、1線地絡のような不平衡系統事故の場合には、系統電流は正相分以外に逆相分、直流分を含む電流となり、この電流を使用して、系統に挿入するインピーダンスまたは電流に対して直交する電圧を調整するための電圧を発生すると、逆相分、直流分を含む電圧を発生することになり、その結果、結合変圧器を偏磁させてインバータ過電流となり、インバータ装置の保護が働き運転できなくなるという問題点があった。
【0011】
また、インピーダンス制御と直交電圧制御は、系統電流の方向を逆転させる系統事故の場合は、系統電流の方向が瞬時に逆転するため、この電流を使用して前記インピーダンスまたは電流に対して直交する電圧を制御しようとすると、電圧ベクトル演算に誤差が生じ、系統と変換器との間に急激な有効電力のやり取りが発生して、直流コンデンサ電圧が変動し、直流コンデンサの過電圧となりインバータ装置の保護が働き運転できなくなるという問題点もあった。
【0012】
さらに、直交電圧制御では、系統電流が零になると、補償電圧の演算において、零で除算することになるため演算できず、補償電圧が不定となるという問題点もあった。
【0013】
さらにまた、インピーダンス制御と直交電圧制御とを使用して電力系統の有効電力を制御すると、直流補償装置が発生した無効電力により、系統の無効電力が変動しその結果、系統電圧を変動させるという問題点もあった。
【0014】
この発明は上述したような種々の問題点を解決するためになされたものであり、系統電流が逆相分、零相分、直流分を含む場合、あるいは零になる場合、あるいは急激に反転する場合にも、直列補償装置として安定して運転を継続することができる無効電力発生装置及び無効電力発生方法を得ることを目的とするものである。
【0015】
また、本発明の他の目的は、直列型の無効電力発生装置と並列型の無効電力発生装置とを併用して運転することにより、系統の無効電力の変動による系統電圧変動を抑制することができる無効電力発生装置及び無効電力発生方法を得ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る無効電力発生装置は、系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、電流に対して直交した方向に且つ大きさが電流に比例するように、制御するインピーダンス制御において、出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して前記電圧ベクトルの演算誤差を補正するための検出回路を備えるものである。
【0021】
請求項2の発明に係る無効電力発生装置は、系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、系統電流に対して直交した方向に、制御する直交電圧制御において、出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して、単位電圧ベクトルを系統電流に対して回転させる時の誤差を補正する検出回路を備えるものである。
【0023】
請求項3の発明に係る無効電力発生方法は、並列補償器を系統電圧制御し、直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたものである。
【0024】
請求項4の発明に係る無効電力発生方法は、系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、前記直列補償器が系統の有効電力を調整するために発生した無効電力を、出力電圧指令と系統電流とから演算し、前記無効電力を吸収するように前記並列補償器を制御するものである。
【0025】
請求項5の発明に係る無効電力発生方法は、系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、前記並列補償器を系統電圧制御し、前記直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0027】
実施の形態1.
図1乃至図3は、この発明の実施の形態1に関連した直列補償型の無効電力発生装置を示すもので、上述した従来例と同一機能は同一番号で表し、その説明を省略する。
【0028】
図1において、9aは系統電圧V_を検出するセンサ、9bは直流電圧Vdcを検出するセンサ、10は系統電流I_を検出するセンサ、11aは系統電圧に同期した角速度θvを検出するPLL回路、12aは直流電圧指令値Vdc−refを第1指令値発生器、12bは系統の有効電力指令値P−refを出力する第2指令値発生器、12cはインピーダンス指令値Xcを出力する第3指令値発生器、13は直流電圧指令値と現在の直流電圧から直流電圧を制御するための指令を演算する直流電圧制御器(DCAVR)、14は掛け算器、15は2軸の信号を回転させる回転回路(詳細は後述)、16は加減算器、17は2軸の信号を3軸の信号に変換する2相3相変換器(詳細は後述)、18はインバータ変換器のゲート信号を発生するゲートパルス発生回路、19は有効電力検出回路(詳細は後述)、20は、有効電力指令P−refと現在の有効電力Pから有効電力を制御するための指令を演算する有効電力制御器(PFC)、21はPの極性から信号を選択するスイッチ回路、22は正相基本波電流を検出する回路(詳細は後述)、30は直流成分を減衰させるフィルタ(詳細は後述)である。
【0029】
図2は、正相基本波電流検出回路22の詳細を示し、23aは3軸の信号を2軸の正相に変換する3相2相変換器(詳細は後述)、23bは3軸の信号を2軸の逆相に変換する3相2相変換器(詳細は後述)、24は高調波リップルを減衰させるローパスフィルタ、25aは正相の2軸信号を3軸に変換する2相3相変換器、25bは逆相の2軸信号を3軸に変換する2相3相変換器、26a、26bはゲインである。
【0030】
図3は、直流成分を減衰させるフィルタ30の詳細を示し、16は信号を加算する加算器、30aは電源周波数Tの3分の1周期でサンプルするサンプラー、30bは3分の1ゲイン、30cは一時遅れ要素を2段構成にしたローパスフィルタを示す。
【0031】
次に、図1〜図3に示した無効電力発生装置の動作について説明する。初めに、主要構成要素の基本動作について説明する。
【0032】
図2において、正相基本波電流検出回路22は、系統事故時などの場合に、系統電流に含まれる逆相、零相、直流の成分を除去する回路であり、逆相分、零相、直流分、正相分を含む電流を3相2相変換器23aにより正相3相から2相に変換し、逆相は交流分2fへ、直流分は交流分1fへ、正相分は直流分に変換されるので、2f、1fの交流信号をローパスフィルタ24aにより減衰させ、正相分を2相3相変換器25aにより2相から3相に逆変換することで逆相分と零相分と直流分を減衰させた3相信号を取り出す。同様に、逆相分を2相3相変換器25bにより2相から3相に逆変換して正相分を減衰させた3相信号を取り出す。そして、3相上で元の信号から逆相分を減算し、再度、3相2相変換器23bにより3相2相変換するとともにローパスフィルタ24bにより逆相分、直流分の除去をすることで、2軸の正相基本波電流I1p、qを検出する。
【0033】
図3は、指令値に含まれる直流成分(2相3相変換した時に直流分となる成分を意味する)を除去するフィルタ30であり、このフィルタ30は、電源周波数の3分の1の無駄時間によるサンプラー30aと、一時遅れ要素を2段に構成したローパスフィルタ30cとにより、指令値変化の動作時間を一定時間(電源周期)にすることができ、指令値に含まれる直流成分を除去できる。この指令値を制御指令として制御すると出力電圧に直流分を含まないので、結合変圧器5を偏磁させてインバータ過電流となるなどの不具合を取り除くことができる。
【0034】
3相2相変換は、次式で表され、角速度θで回転する3相の交流信号[A、B、C]を2軸の直流信号[Q、P]に変換する。
【0035】
【数1】
2相3相変換は、前記3相2相変換の逆変換で、次式で表される。
【0036】
【数2】
回転は、2軸の信号を位相を回転させる変換であり、次式で表される。
【0037】
【数3】
有効電力(P)、無効電力(Q)の計算は、次式で表される。
【0038】
P=Vp・Ip+Vq・Iq
Q=Vp・Iq−Vq・Ip
【0039】
次に、図1に戻って、詳細に説明する。インピーダンス制御において、問題となるのは、系統事故時に系統電流に含まれる逆相、零相、直流分であり、これを取り除くために、系統電流を正相基本波電流検出回路22により2軸の正相基本波電流I1p,qを検出し、電流に対して直交させるために回転回路15を使用して90度回転させて、インピーダンス方向の電流ベクトルを検出する。また、有効電力制御器(PFC)20の出力あるいは第3指令値発生器12cの出力する指令値Xcから直流成分除去フィルタ30を介して得られたインピーダンス量Xc*と、前記インピーダンス方向の電流ベクトルとを乗算して、インピーダンス相当の電圧指令を演算する。また、第1指令値発生器12aの直流電圧指令(Vdc-ref)と自励式インバータ変換器6からの直流電圧(Vdc)の偏差を比例積分要素などにより算出した直流電圧制御器(DCAVR)13の出力信号Rc*を、掛け算器14により電流I_p,qと乗算して抵抗相当の電圧指令を算出し、加算器16により前記インピーダンス相当の電圧指令と抵抗相当の電圧指令を加算して出力電圧指令Vcp、q*とし、これを2相3相変換器17により2相3相変換して3相交流指令に変換し、ゲートパルス発生回路18においてインバータ変換器6のスイッチングパルスが作られ、このスイッチングパルスがインバータ変換器6に与えられて、電圧指令Vcp、q*に相当した出力電圧V_cが系統に直列に挿入される。すなわち、インピーダンス量Xc*は無効電力を発生するための操作量であり、抵抗量Rc*は有効電力を発生するための操作量である。このインピーダンス量Xc*により系統のインピーダンスを調整して系統の有効電力を調整し、抵抗量Rc*により系統から有効電力を流入させて直流電圧を制御する。
【0040】
図4は本発明の実施の形態1による無効電力発生装置の概略構成を示している。上記装置(図1〜図3参照)では、直流電圧制御が、補償器の損失分と電圧ベクトル演算の誤差の補正を行っていたが、この実施の形態1では、図4に示すように、電圧ベクトル演算の誤差を補正するために、電圧指令Vcxp、q*と系統電流より有効電力を演算して、誤差に相当する補正角θpcx*を算出し、回転回路15による回転量を補正する方式とした。
【0041】
図5に補正角θpcx*を演算する補正角演算装置29の詳細を示す。図5において、正相基本波電流検出回路22により正相基本波電流I1p,qを算出し、この正相基本波電流I1p,qと電圧指令Vcxp、q*とから、有効電力演算回路29aにより、誤差に相当する有効電力Pcx*を次式により演算する。
Pcx*=Vcxp*・I1p+Vcxq*・I1q
【0042】
そして、位相角演算回路29bにより、この有効電力Pcxから次式により位相角を演算する。
θpc=sin−1(Pc*/K)
【0043】
図6は本発明に関連する無効電力発生装置の概略構成を示している。直交電圧制御では、電流が零になると電圧ベクトル演算できない問題があったが、この場合には、系統電流の変わりに系統電圧を使用してベクトルを演算する方式とした。
【0044】
図6に示す装置は、図1の装置とほぼ同じ構成であるが、系統電流I_を検出するセンサ10の後段に、系統電流の角速度θ1を求めるPLL回路11bを付加し、図1の正相基本波電流検出回路22を、系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトルを検出する回路27に置き換えた点が相違している。
【0045】
系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27は、図7に示すように、正相基本波電流検出回路22の次段に、単位ベクトル化回路28を付加した構成である。
【0046】
単位ベクトル化回路28は、正相基本波電流検出回路22の出力V1p、qを次式により単位ベクトル化する。
E_v1p、q=V1p、q/(V1p2+V1q2)1/2
【0047】
また、系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27は、図8に示すように、正相基本波電流検出回路22の回路部分を簡略化してもさしさえない。
【0048】
次に、図6〜図8に示した装置の動作について説明する。系統電圧の正相基本波電圧単位ベクトル検出回路27で算出した単位ベクトルを回転回路15を使用して90度+電圧θVと電流θIの位相差角(θV+90-θI)に相当する角度回転させて電流に対して直交する単位ベクトルを演算し、また電圧と電流の位相差角に相当する角度回転させて電流に対して同相(抵抗方向)の単位ベクトルを演算するものである。
【0049】
実施の形態2.
図9は本発明の実施の形態2による無効電力発生装置の概略構成を示している。上記装置(図6〜図8参照)では、直流電圧制御により、補償器の損失分と電圧ベクトル演算の誤差の補正を行っていたが、本実施の形態2では、図9のように、電圧ベクトル演算の誤差を補正するために、電圧指令Vcxp、q*と系統電流I_より有効電力を次の式により演算して誤差に相当する補正角θpcx*を算出するθpcx演算回路29(図5参照)を設け、回転回路15の出力を補正する方式とした。
【0050】
θpcx*=sin−1{(Vcxp*・I1p+Vcxq*・I1q)/k}
【0051】
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3による無効電力発生方法を実施するための無効電力発生装置の概略構成を示している。上述したインピーダンス制御または直交電圧制御を使用して系統の有効電力を制御すると、直列補償装置は発生した無効電力により系統電圧を変動させる場合がある。そこで、本実施の形態3は、図10に示すように、直列補償装置が系統有効電力制御のために発生した無効電力を補償する方式とした。
【0052】
図10において、4aは並列補償器、4bは直列補償装置、31は系統電圧制御器、32は無効電力制御器、33は無効電力検出回路を示す。
【0053】
直列補償装置4bと同様の構成回路の並列補償器4aを系統に接続し、直列補償装置4bの系統有効電力制御用の出力電圧指令と系統電流から直列補償装置4bが発生する無効電力Qc2を次式により算出し、これを並列補償器4aに対して無効電力指令として与え、直列補償装置4bの無効電力を打ち消す無効電力を並列補償器4aより発生させる。
【0054】
Qc2=Vcp*・I2q−Vcq*・I2p
【0055】
実施の形態4.
次に、並列補償器と直列補償装置との併用運転について、図11及び図12を参照して説明する。
【0056】
図11は、上述の図10の系統において、並列補償器4aで系統電圧を制御し、直列補償装置4bで直交電圧を制御した場合のベクトル図を示しており、系統の有効電力は次のように表される。
第一区間(Vs〜V1間)は次式で表される。
P1=(2V2/XL)sinδ1
第二区間(V1〜Vsの間)は次式で表される。
P2=(4V2/XL){sin(δ2/2)+(Vc/2V)}cos(δ2/2)
【0057】
同様に、並列補償器4aのみで系統電圧を制御した場合の系統の有効電力は次式となる。
P=(2V2/XL)sinδ
ここで、P1=P2の条件下で、合成位相差(δ=δ1+δ2)を計算すると、P−δは図12のようになる。
【0058】
図12より、並列補償器4aで系統電圧を制御し、直列補償装置4bで直交電圧を制御する併用運転は、系統の有効電力を調整する範囲を大きくとれることが分かる。
【0059】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、次のような優れた効果を奏するものである。
【0063】
請求項1の発明によれば、インピーダンス制御において、電流に直交する電圧ベクトルを算出するために使用する系統電流に対して、正相基本波を検出する回路を用いることにより、系統事故時の電流に対して精度よく電圧ベクトルを算出でき、また、演算した電圧ベクトルと電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して電圧ベクトルを補正するようにしたので、誤差によって生じる有効電力分の直流電圧変動が更に少なくなり、直流コンデンサを小さくでき、安価な装置を製作できる効果がある。
【0065】
請求項2の発明によれば、直交電圧制御おいて、電流に直交する電圧ベクトルを算出するために、系統電圧の正相基本波単位ベクトルを検出する回路を用いることにより、系統電流が零の時でも電圧ベクトルが算出でき、また、演算した電圧ベクトルと電流から有効電力に相当する位相差角を演算して電圧ベクトルを補正するようにしたので、誤差によって生じる有効電力分の直流電圧変動が少なくなり、直流コンデンサを小さくでき、安価な装置が製作でき、且つ、系統の有効電力が零または反転するときでも、調整電圧を発生できる効果がある。
【0066】
請求項4の発明によれば、直列補償装置で、系統の有効電力を制御するために出力した無効電力のみを並列補償器で補償するようにしたので、並列補償器の容量を効率よく使用でき、系統の無効電力を増大させることなく有効電力を調整でき、且つ、系統電圧の変動が生じない効果がある。
【0067】
請求項3あるいは請求項5の発明によれば、並列補償器と直列補償装置の併用運転において、直列補償装置は直交電圧制御し、並列補償器は系統電圧制御することにより、それぞれの補償容量を最大限に有効活用でき、且つ、系統の有効電力の調整範囲が他の方式より大きくなり、逆に補償装置として必要な調整容量が少なくなり、安価な装置を製作できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に関連した直列補償装置インピーダンス制御の構成図である。
【図2】この発明に関連した正相基本波電流検出回路の構成図である。
【図3】この発明に関連したフィルタの構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1による直列補償装置インピーダンス制御の構成図である。
【図5】この発明の実施の形態1の補正位相角の構成図である。
【図6】この発明に関連した直列補償装置直交電圧制御の構成図である。
【図7】この発明に関連した正相基本波電圧単位ベクトル検出回路の構成図である。
【図8】この発明に関連した正相基本波電圧単位ベクトル検出回路の他の実施の形態の構成図である。
【図9】この発明の実施の形態2による直列補償装置直交電圧制御の構成図である。
【図10】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転による無効電力制御の構成図である。
【図11】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転によるベクトル図である。
【図12】この発明の実施の形態4による直列補償装置と並列補償器の併用運転によるP-δ特性図である。
【図13】従来の直列補償装置の構成図である。
【図14】従来の直列補償装置のモデル図とベクトル図である。
【図15】従来の直列補償装置のインピーダンス制御と直交電圧制御のP-δ特性図である。
【符号の説明】
1 電源電圧、2 系統インピーダンス、3 系統有効電力、4 補償装置、5 結合変圧器、6 自励式インバータ変換器、7 直流コンデンサ、8 直列補償装置出力電圧、9 電圧センサ、10 電流センサ、11 PLL回路、12 直流電圧制御基準、13 直流電圧制御器、14 掛け算器、15 回転器、16 加減算器、17 2相3相変換器、18 ゲートパルス発生回路、19 P検出回路、20 有効電力制御器、21 選択スイッチ、22 正相基本波電流検出回路、23 正相、逆相2相3相変換器、24 ローパスフィルタ、25a 正相の2相3相変換器、25b 逆相の2相3相変換器、26a、26b ゲイン、27 正相基本波電圧単位ベクトル検出回路、28 単位化回路、29 補正角演算回路、30 フィルタ、31 交流電圧制御器、32 無効電力制御器、33 無効電力検出回路。
Claims (5)
- 系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、電流に対して直交した方向に且つ大きさが電流に比例するように、制御するインピーダンス制御において、
出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して前記電圧ベクトルの演算誤差を補正するための検出回路を備えたことを特徴とする無効電力発生装置。 - 系統に直列に挿入する電圧の電圧ベクトルを、系統電流に対して直交した方向に、制御する直交電圧制御において、
出力電圧指令と系統電流とから有効電力に相当する位相差角を演算して、単位電圧ベクトルを系統電流に対して回転させる時の誤差を補正する検出回路を備えたことを特徴とする無効電力発生装置。 - 並列補償器を系統電圧制御し、直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたことを特徴とする無効電力発生方法。
- 系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、
前記直列補償器が系統の有効電力を調整するために発生した無効電力を、出力電圧指令と系統電流とから演算し、
前記無効電力を吸収するように前記並列補償器を制御することを特徴とする無効電力発生方法。 - 系統と直列に、直列補償器と並列補償器とを接続し、
前記並列補償器を系統電圧制御し、
前記直列補償器を直交電圧制御することにより、系統の有効電力の調整範囲が最大となるようにしたことを特徴とする無効電力発生方法。
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