JP3581476B2 - 抄紙用熱接着性繊維及び紙 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱接着性繊維に関する。さらに詳しくは本発明は紡糸以降の工程で、膠着現象が可及的に低減され、水中分散性が良好で、パルプとの混抄が可能であり、パルプに対する接着性が高い抄紙用熱接着性繊維及び該抄紙用熱接着性繊維を用いて抄紙したソフトで耐水性、高強力、高弾性の紙に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、パルプを主成分とする紙あるいは化繊紙には、バインダーとして水可溶性のポリビニルアルコール繊維が用いられている。
【0003】
このポリビニルアルコール繊維は、親水性で水中分散性も良好であり、湿熱での接着力も高いが、耐水性が悪く、得られる紙の用途が制限されるため、抄紙後に不溶化処理を施さなければならないという問題があった。
【0004】
これに対して、耐水性を改善するために、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合繊維、低融点ポリエステルと高融点ポリエステルとの複合繊維などの熱融着性繊維を混抄した後、熱接着処理する方法も用いられているが、これらの熱融着性繊維は疎水性であるため、水中分散性が悪く、均一な高強力の紙が得られず、しかも得られた紙は硬くて伸縮性がなく、立体形状の物体を包むと皺ができ易く、他の物に触れた場合にガサガサと音がするという問題がある。
【0005】
一方、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジオール及びポリアルキレングリコールからなるポリエーテルエステル系共重合体は、弾性繊維として広く用いられており、この弾性繊維からなる長繊維不織布において、弾性繊維相互を自己接着させることも知られている(例えば、特開昭63―12746号公報、特開昭63―145463号公報、特開平5―140850号公報)。
【0006】
また、ポリテトラメチレングリコールからなるポリエーテルセグメントと、テレフタル酸又はテレフタル酸及びイソフタル酸と1,4―ブタンジオールとからなるポリエステルセグメントとで構成されたポリエーテルエステル共重合体を溶融物、フイルムなどの非繊維状で、長繊維不織布を被覆して、熱接着性複合材料とすることも知られている(特開昭57―135881号公報)。
【0007】
しかしながら、これらにはポリエーテルエステル共重合体を抄紙用熱接着性繊維として用いることは記載されておらず、示唆されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、水中分散性が良好で、パルプとの混抄が可能であり、パルプに対する接着性が高い抄紙用熱接着性繊維を提供し、更には、該抄紙用熱接着性繊維を用いて抄紙することにより、ソフトで、耐水性、高強力、高弾性の紙を提供することを課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定のポリエーテルエステル共重合体繊維を用い且つ特定の表面処理剤を付着すればよいことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明によれば、
▲1▼ 下記(1)〜(5)で構成されるポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体からなるエラストマー繊維であって、単繊維の繊度が0.5〜10デニール、繊維長が2〜30mm且つ繊維表面に、水分散性促進剤のポリエーテル・ポリエステル系ブロック共重合体が0.02〜5.0重量%付着していることを特徴とする抄紙用熱接着性繊維
(1)ソフトセグメントを構成する主たるポリエーテル(A)が平均分子量400〜5000のポリテトラメチレングリコールであること
(2)ハードセグメントを構成するポリエステル(B)が以下の構成からなるポリエステルであること
(a)主たる酸成分が40〜100モル%のテレフタル酸と0〜60%のイソフタル酸であること
(b)主たるジオール成分が1,4―ブタンジオールであること
(3)ポリエーテル(A)とポリエステル(B)との共重合割合(重量比)がポリエーテル(A)/ポリエステル(B)=5/95〜80/20であること
(4)固有粘度が0.6〜1.7であること
(5)融点が100〜220℃であること
▲2▼ パルプと上記▲1▼記載の抄紙用熱接着性繊維とからなることを特徴とする紙及び▲3▼抄紙用熱接着性繊維の配合量が10〜90重量%である上記▲2▼記載の紙が提供される。
【0011】
【本発明の実施の形態】
本発明で用いるポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体は、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとするブロック共重合体ポリエーテルポリエステルである。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、全酸成分に対する共重合割合(全酸成分に対するモル%で示す)として、テレフタル酸を40〜100モル%、イソフタル酸を0〜60%含むものが用いられる。テレフタル酸、イソフタル酸以外の酸成分としてはフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、5―ナトリウムスルホイソフタル酸、1,4―シクロヘキサンジカルボン酸等が、所定の融点を得るためと、弾力性、耐久性の品質面からも好ましく用いられる。特にテレフタル酸を50〜90モル%イソフタル酸を10〜50モル%含むものがより好ましく用いられる。また本発明で用いるポリエステル部分は1,4―ブタンジオールを主たるグリコール成分とする。なお、ここでいう「主たる」とは、全グリコール成分の80モル%以上が1,4―ブタンジオールであって、20モル%以下の範囲内では他種グリコール成分が共重合されていてもよいことをいう。好ましく用いられる共重合グリコール成分としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,5―ペンタンジオール、1,6―ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4―シクロヘキサンジオール、1,4―シクロヘキサンジメタノール等をあげることができる。
【0012】
一方本発明のポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体のソフトセグメントとしては、平均分子量が400〜5000好ましくは800〜4000のポリテトラメチレングリコールを主体とするポリエーテルが用いられる。
【0013】
平均分子量が400未満では、得られるブロック共重合体のブロック性が低下して弾性回復性能が不十分となるし、一方5000を越える場合には、ポリテトラメチレングリコール成分の共重合性が低下して弾性回復性能が不充分となるため好ましくない。
【0014】
本発明のポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体において、ソフトセグメントのポリエーテル(A)とハードセグメントのポリエステル(B)との共重合割合(重量比)は、(A)/(B)が5/95〜80/20であることが必要である。
【0015】
ポリエーテル成分の共重合割合が5wt%未満の場合は、得られるエラストマー繊維を熱処理しても本発明の目的とする弾性性能の良好なものは得られず、一方80重量%を超える場合には、ブロック共重合体の力学的特性及び耐熱性、耐光性等の耐久性が低下するため好ましくない。好ましい共重合割合として30〜70wt%が望ましい。
【0016】
本発明のポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体は、公知の共重合ポリエステルの製造方法で製造しうるが、その際得られる共重合体の固有粘度が0.6〜1.7の範囲になるように反応条件を選定する必要がある。固有粘度が0.6未満であると、ブロック共重合体の溶融成型性が大巾に低下し、更に得られる弾性特性も劣るものとなる。逆に固有粘度が1.7を越えるとブロック共重合体の溶融成型時、溶融温度を高く設定しなければならず、該共重合体の熱劣化の面から好ましくない。
【0017】
本発明におけるポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体の融点は、良好な接着性を得るうえで100〜220℃の範囲にあることが必要であり、好ましくは110〜180℃、特に好ましくは110〜150℃である。融点が100℃未満の場合は、熱接着性繊維を梱包したとき、あるいは貯蔵中などに、繊維同志が膠着し、抄紙時に水中に分散させた際に水中に均一に分散せず、紙の中にかたまった状態で存在するようになり、十分な接着が行われない部分が生じ、紙強力を低下させる原因となる。一方、融点が220℃を越えると、通常の加熱加工温度では融着し難くなり、熱接着性が劣り、十分な紙強力が得られない。特に、融点が110〜150℃の場合は、抄紙後、ヤンキードライヤーなどでの短時間の処理で十分な接着強力が得られるので好ましい。
【0018】
本発明のポリエーテルポリエステルブロック共重合体の融点は、ポリエーテルセグメントとポリエステルセグメントの共重合比によって変わり、ポリエーテルセグメントの共重合割合が大きくなると、共重合体の融点は低下する。上記の共重合体融点を得るうえで、ポリエーテルセグメントの共重合割合は、前述の如く共重合体全体に対して、5〜80重量%であることが必要で、特に30〜70重量%であることが好ましい。
【0019】
ここで共重合体の融点は、ペネトレーション法によって次の条件で測定したもので、差動熱量計で測定される融点とほぼ一致するものである。すなわち、予め80℃にて、約15時間窒素気流中で熱処理した試料をペネトロメーターにセットし、直径0.5mmのピンに5gの荷重をかけ、窒素気流中にて10℃/分の昇温速度で昇温し、ピンが250μm貫入した時の温度を融点とした。
【0020】
本発明におけるポリエーテルポリエステル共重合には、その目的に応じて、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、顔料、染料、無機微粒子、有機滑剤などを必要量添加することができる。また、熱接着性改良、粘度調整などの目的で、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、無水マレイン酸などのα、β―エチレン性不飽和酸及びその誘導体をグラフト重合して変性したポリオレフィン、アイオノマー、ポリエステル共重合体などのポリマーを、ポリエーテルポリエステルブロック共重合体に対して30重量%以下、好ましくは25重量%以下混合することもできる。
【0021】
本発明の抄紙用熱接着性繊維は、上記に詳述したポリエーテルポリエステルブロック共重合体を、周知の紡糸装置を用い上記共重合体の特性に応じて紡糸、延伸、熱処理条件を適宜組合せて得ることができる。
【0022】
即ち本発明の抄紙用熱接着性繊維を製造するには、上記ポリエーテルポリエステル共重合体を、その融点に応じて、150〜240℃で溶融押出機により所定の繊度に溶融紡糸し、500〜2500m/分の速度で引き取り、未延伸のまま、あるいは必要に応じて延伸して、所定の繊維長に切断すればよい。
【0023】
この際、本発明の抄紙用熱接着性繊維は、繊度が0.5〜10デニール、繊維長が2〜30mmであることが必要である。繊度が0.5デニール未満では接着強力が不足し、十分な紙強力が得られず、10デニールを越える場合も、単位重量当たりの繊維本数が少なくなり、接着強力が低下して、十分な紙強力が得られない。また、繊維長が2mm未満では、接着強力が不足し、30mmを越えると、水中分散性が悪化して、紙強力が低下する。繊度の更に好ましい範囲は1〜8デニール、繊維長の更に好ましい範囲は3〜20mmである。
【0024】
又本発明の抄紙用熱接着性繊維には、その繊維表面に水分散性促進剤のポリエーテル・ポリエステル糸ブロック共重合体が0.02〜5.0wt%付着していることが必要である。繊維表面に、水分散性促進剤のポリエーテル・ポリエステル系ブロック共重合体を付着させるには、上記ポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体を溶融紡糸後引取る前に、紡糸油剤で付与することが好ましい。即ち、紡糸油剤としては、下記に詳述するポリエステル・ポリエーテル系ブロック共重合体を、紡糸された直後の糸の集束前又は集束中に糸同士の間に0.02〜5.0wt%付着介在させることが、膠着防止策として著しい効果もあるので好ましい。
【0025】
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体を繊維に対して0.02重量%未満付与しただけでは膠着防止及び熱接着力向上には不十分である。5.0重量%を越えると付着量を増やしても、膠着防止、熱接着力向上等の効果は得られず、かえって、繊維表面の粘着性が増加し、硬さ斑等が発生し、好ましくない。
【0026】
本発明において、ポリエステル・ポリエーテル系ブロック共重合体を繊維に付与することにより、膠着防止することが可能な理由は、該ブロック共重合体は微細な粒子として分散しており、紡糸時の糸条集束前または集束中に繊維間に介在してコロの役目を果し、繊維間の摩擦を減らすためと推定される。また該ブロック共重合体は微粒子として、水中に分散しているため繊維が延伸可能な高い温度に加熱されたときでも膠着現象が認められず、延伸性向上にも寄与していると推定される。
【0027】
繊維表面に付着させるポリエーテル・ポリエステル系ブロック重合体は繊維の膠着防止能を高めるために、テレフタレート単位とイソフタレート単位または/及びメタソジウムスルフォイソフタレート単位との比は90:10〜50:50(モル比)が特に好ましい。
【0028】
また、該ブロック共重合体においてテレフタレート単位及びイソフタレート単位または/及びメタソジウムスルフォイソフタレート単位とポリアルキレングリコール単位との比は2:1〜15:1(モル比)であり、紡糸集束時の繊維同志の密着発生防止、繊維の接着強力向上等を考慮すると3:1〜8:1(モル比)が特に好ましい。
【0029】
なお、該ブロック共重合体の製造に用いるアルキレングリコールはエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、デカメチレングリコール等の炭素数が2〜10のアルキレングリコールなどであり、ポリアルキレングリコールは通常平均分子量が600〜12,000、好ましくは平均分子量1,000〜5,000のポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体、ポリエチレングリコール・ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリプロピレングリコール等の他、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテル等が好ましい。しかし、繊維の膠着防止性向上の点から特に好ましいのはポリエチレングリコールのモノエーテル類である。
【0030】
また、該ブロック共重合体の平均分子量は使用するポリアルキレングリコールの分子量にもよるが、通常2,000〜20,000、好ましくは3,000〜13,000である。平均分子量が2,000未満では延伸性向上、密着防止、熱接着力向上の点で不充分であり、また20,000を越えると延伸性、熱接着力が低下し好ましくない。該ブロック共重合体の重縮合時に分子量を調節するために使用するポリアルキレングリコールはモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノフェニルエーテルのような片方の末端基が封鎖されたものが好ましい。
【0031】
また該ブロック共重合体はポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホスフェートのアルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートのアルカリ金属及び/またはこれらのアンモニウム塩、アルカノールアミン塩等の界面活性剤を用いて分散せしめる。分散したブロック共重合体分散液の凝集開始温度は通常30〜100℃であり、好ましくは60〜90℃である。なお該ブロック共重合体の使用量は、繊維に対し0.02〜5.0重量%、好ましくは0.1〜3.0重量%である。
【0032】
本発明の抄紙用熱接着性繊維は、通常の湿式抄紙法によりパルプと混抄して、紙を得ることができる。この場合、該熱接着性繊維の融点が低いとき(例えば、90〜170℃)は、抄紙後の通常の乾燥工程での処理により融着させることができるが、融点が高いときは、更に高温でのカレンダロール等による熱接着処理が必要となる。
【0033】
本発明の抄紙用熱接着性繊維とパルプを混抄してなる紙は、該熱接着性繊維の配合量が10〜90重量%であることが好ましい。該熱接着性繊維の配合量が10重量%未満では、充分な紙力、弾性力が得られず、90重量%越えると、乾燥時に繊維収縮による地合斑が発生し易い。
【0034】
【発明の効果】
本発明の抄紙用熱接着性繊維は、特定のポリエーテル・ポリエステルブロック共重合からなる繊維の表面に水分散性促進剤のポリエステル・ポリエーテル共重合系ブロック共重合体が付与されていることにより、親水性に富み、水中分散性が良好であり、しかもパルプとの親和性が高く、パルプと混抄した場合は、ポリエーテルエステル共重合体が持つ弾性とあいまって、ソフトで弾性に富み、均一な高強力の紙が得られる。しかも、ポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体は、適度な耐水性を有しているため、耐水性の良好な紙が得られる。この紙は、物を包んだ際に皺ができたり、ガサガサという音がするようなことがなく、包装用を始めとして、種々の用途に用いることができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例にて詳細に説明するが、本発明は、これらの記載により何ら限定されるものではない。
【0036】
[実施例1]
テレフタル酸とイソフタル酸とを85/15(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート45%(重量%)を更にポリブチレングリコール(分子量2000)55%(重量%)と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの固有粘度は1,3、融点172℃であった。
【0037】
この熱可塑性エラストマーを公知の溶融押出機を用い200℃で溶融し、孔径0.3mmの細孔を1200個有する紡糸口金から吐出して、冷却後、ポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体を糸条に0.3重量%付着後1800m/分の速度で引き取り、単繊維度が1.5デニールの未延伸糸を得た。
【0038】
この未延伸糸を、10mmの繊維長となるよう切断して、抄紙用熱接着性繊維を調製した。
【0039】
このように調製した熱接着性繊維40重量%とパルプ60重量%とを混合し、タッピー抄紙機を用いて、濃度0.01%、地合調整剤として少量の増粘剤を添加した条件下で抄紙した。なお、乾燥機の温度は、135℃に設定した。
【0040】
このときの熱接着性繊維の水中分散性は、極めて良好であり、他のバインダーを用いることなく、十分に熱接着されたパルプ混抄紙が得られた。
【0041】
このようにして得られた紙は、坪量が21.0g/m2 、厚さが0.053mm、乾燥引張強度が、縦1.5kg/15mm、横1.2kg/15mm、70℃の熱水中で5分間処理した後の湿潤引張強度が、縦1.2kg/15mm、横0.9kg/15mmであり、高強力で、耐熱水性も良好であった。また、この紙は、両手で伸ばすと柔らかく伸びてソフトであり、片手を離すとすぐに元の状態に戻り、高弾性であって、物を包んだ際に皺ができたり、ガサガサという音がするようなこともなかった。
【0042】
[実施例2〜13、比較例1〜6]
実施例1においてポリエーテルポリエステル共重合体の融点、単繊維繊度及び繊維長を表1に示すように変更した熱接着性繊維を用いその他の条件は、実施例1と同様にして抄紙を行った。
【0043】
結果は表1に示す通りであり、ポリエーテルポリエステル共重合の融点が100〜200℃、繊度が0.5〜10デニール、繊維長が2〜30mmの場合(実施例2〜13)には、高強力の紙を得ることができたが上記範囲外(比較例1〜6)では、得られた紙の強力が低かった。
【0044】
【表1】
【0045】
[実施例14]
実施例1において、テレフタル酸、イソフタル酸の割合を70/30(モル%)に変更し得られたポリブチレン系テレフタレートを50重量%反応させる以外は同様にして固有粘度1.0、融点140℃のポリエーテル・ポリエステルエラストマーを得た。
【0046】
該エラストマーを、公知の溶融押出機を用い260℃で溶融し、孔径0.3mmの細孔を1200個有する紡糸口金から吐出して、冷却後、ポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体を糸条に0.2重量%付着後1,300m/分の速度で引き取り、単繊維繊度が3デニールの未延伸糸を得た。
【0047】
この未延伸糸を、15mmの繊維長となるように切断して、抄紙用熱接着性繊維を調製した。
【0048】
このように調製した熱接着性繊維80重量%とパルプ20重量%とを混合し、タッピー抄紙機を用いて、濃度0.014%、増粘剤添加の条件下で抄紙した。なお、乾燥機の温度は、120℃に設定した。
【0049】
このようにして得られた紙は、坪量が40g/m2 、厚さが0.16mm、乾燥引張強度が、縦1.8kg/15mm、横1.7kg/15mm、70℃の熱水中で5分間処理した後の湿潤引張強度が、縦1.5kg/15mm、横1.3kg/15mmであり、高強力で、耐熱水性も良好であった。また、この紙は、ソフトで高弾性であり、物を包んだ際に皺ができたり、ガサガサという音がするようなこともなかった。
Claims (3)
- 下記(1)〜(5)で構成されるポリエーテル・ポリエステルブロック共重合体からなるエラストマー繊維であって、単繊維の繊度が0.5〜10デニール、繊維長が2〜30mm且つ繊維表面に、水分散性促進剤のポリエーテル・ポリエステル系ブロック共重合体が0.02〜5.0重量%付着していることを特徴とする抄紙用熱接着性繊維。
(1)ソフトセグメントを構成する主たるポリエーテル(A)が平均分子量400〜5000のポリテトラメチレングリコールであること。
(2)ハードセグメントを構成するポリエステル(B)が以下の構成からなるポリエステルであること。
(a)主たる酸成分が40〜100モル%のテレフタル酸と0〜60%のイソフタル酸であること。
(b)主たるジオール成分が1,4―ブタンジオールであること。
(3)ポリエーテル(A)とポリエステル(B)との共重合割合(重量比)がポリエーテル(A)/ポリエステル(B)=5/95〜80/20であること。
(4)固有粘度が0.6〜1.7であること。
(5)融点が100〜220℃であること。 - パルプと請求項1記載の抄紙用熱接着性繊維とからなることを特徴とする紙。
- 抄紙用熱接着性繊維の配合量が10〜90重量%である請求項2記載の紙。
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JP04598096A JP3581476B2 (ja) | 1996-03-04 | 1996-03-04 | 抄紙用熱接着性繊維及び紙 |
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- 1996-03-04 JP JP04598096A patent/JP3581476B2/ja not_active Expired - Fee Related
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