JP3581411B2 - 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革 - Google Patents

皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革 Download PDF

Info

Publication number
JP3581411B2
JP3581411B2 JP01388595A JP1388595A JP3581411B2 JP 3581411 B2 JP3581411 B2 JP 3581411B2 JP 01388595 A JP01388595 A JP 01388595A JP 1388595 A JP1388595 A JP 1388595A JP 3581411 B2 JP3581411 B2 JP 3581411B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
leather
ink
coloring
image
color
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP01388595A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08209553A (ja
Inventor
伸行 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP01388595A priority Critical patent/JP3581411B2/ja
Priority to CA 2141646 priority patent/CA2141646C/en
Priority to EP20010116041 priority patent/EP1153755B1/en
Priority to DE1995633243 priority patent/DE69533243T2/de
Priority to DE1995631466 priority patent/DE69531466T2/de
Priority to EP19950101475 priority patent/EP0666363B1/en
Priority to KR1019950002003A priority patent/KR0154405B1/ko
Priority to AU11601/95A priority patent/AU696974B2/en
Publication of JPH08209553A publication Critical patent/JPH08209553A/ja
Priority to US08/884,464 priority patent/US6022383A/en
Priority to US09/310,129 priority patent/US6357845B1/en
Priority to CN011211016A priority patent/CN1218084C/zh
Application granted granted Critical
Publication of JP3581411B2 publication Critical patent/JP3581411B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0011Pre-treatment or treatment during printing of the recording material, e.g. heating, irradiating
    • B41M5/0017Application of ink-fixing material, e.g. mordant, precipitating agent, on the substrate prior to printing, e.g. by ink-jet printing, coating or spraying
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0041Digital printing on surfaces other than ordinary paper
    • B41M5/0047Digital printing on surfaces other than ordinary paper by ink-jet printing
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41MPRINTING, DUPLICATING, MARKING, OR COPYING PROCESSES; COLOUR PRINTING
    • B41M5/00Duplicating or marking methods; Sheet materials for use therein
    • B41M5/0041Digital printing on surfaces other than ordinary paper
    • B41M5/0076Digital printing on surfaces other than ordinary paper on wooden surfaces, leather, linoleum, skin, or flowers

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、鞣製又は再鞣の後の革及び毛皮からなる皮革に対して、画像形成を皮革への加色として行う方法及び装置に関するものであって、とくに高精度の画像形成を可能とし、さらにこれらの作業工程に対して簡略化、高速化を達成する加色処理方法及びその加色処理装置、並びにこの加色処理を終えた後にできあがる皮革又はそれから加工された皮革製品に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に皮革、とりわけ天然皮革は、動物より剥いだ生皮を脱毛し、鞣して得られる革、さらには毛をつけたままで鞣した毛皮の総称として定義されているが、この中で原皮から鞣すまでの工程をいう準備工程から鞣製工程は、工業的には次のような工程を経て行われる。
【0003】
まず動物より剥いで得られる原皮に対し、水漬け、裏打ち、脱毛・石灰漬け、分割、垢出し、再石灰漬け、脱灰・酵解の各工程(準備工程)を経た後に、クロム化合物や植物タンニン等の各種鞣剤を用いて、皮に柔軟性や耐熱性を付加した革とする鞣し(鞣製工程)を施す。また脱毛をせずに鞣しまで行えば毛皮を得る。通常これらの工程に続いて染色・加脂・味入れ・ステーキング・塗装などの仕上げ工程を経た後に、最終製品たる皮革製品に加工する。
【0004】
皮革製品は、その皮革自身が持つ風合いを生かし、多種多様の分野で利用されている。例えば靴などの履物類、衣料、手袋、ベルトなどの服飾類、鞄、トランク、財布などの旅行用具類、ベルト、ガスケットなどの工業用部品、椅子、自動車用座席シートなどの家具類、その他、馬具、楽器、剣道用具など広範囲にわたっており、各分野において、いろいろな動物の原皮、鞣し方法が適用されている。そしてこれら応用範囲が広いということは、用途に応じて求められる耐久性や堅牢性も各種生じてくるものでもある。
【0005】
従来このような点については、鞣し・染色・加脂によって風合いを作り出し、さらにその後に、一般に仕上げ工程と呼ばれる乾燥・塗装などによって耐久性や堅牢性などをより上げていく方法がとられている。ここで塗装工程の基本的な手法は、前処理、下および中塗り、上塗りがある。ただし皮革の用途や美的効果の種類により、これらの工程の手法は種々あるので、すべてがこの順であるとは限らない。
【0006】
従来から行われている革に対する染色では、ドラム染色、ハスペル染色、刷毛染色、スプレー染色などの方法があり、一般にはドラム染色で全体を均一に染色する方法が多くとられている。また仕上げ時の塗装では、従来からは刷毛塗り、吹き付け塗装、カーテン塗装、ロール塗装等の手法が用いられており、これらによって各種の特性をもった皮革に仕上げられる。
【0007】
これらの皮革に対する染色から塗装に至るまでの工程の詳細としては、製品革の種類により各種のものがあるが、その中でクロム革を例にとれば次の通りである。まず前述した準備工程を経た後の皮は、革とする際に不要な組織や成分を化学的作用および物理的・機械的処理によって除去し、これに続く鞣し作業に適する状態となる。この鞣製工程として、浸酸、クロム鞣し、水絞り、シェービング、再鞣を行う。次いで仕上げ工程として、中和、染色、加脂、水絞り・伸ばし、乾燥、味入れ、ステーキング、張り乾燥、縁断ち、銀むき、塗装仕上げ、計量へと進む。
【0008】
さらに上述の染色方法では単色が主体であるため、仕上げ工程において、型押しやスエード、ベロア、ヌバック、エナメル等による表面形状の変化をもたせ、各種の皮革製品への応用がはかられている。
【0009】
このように各種の応用がはかられている皮革製品ではあるが、近年の生活様式の多様化に伴い、多色で高精細な画像のプリントが各種の製品分野で広がりつつあり、皮革の分野においても例外ではなくなってきている。従来においてもスクリーン印刷や手描き等によって多色画も一部でつくられてはいたが、これらの手法では画像の精鋭度という観点においては、市場からの要求に対して十分に満足できるものではなかった。
【0010】
これらの皮革上の画像形成に加え、皮革製造時において、その処理時間が長時間に及ぶという現状も存在する。前述したような皮革に対する各種工程の中において、水絞りや乾燥など、皮革内より水分を抜き取る処理が多いため、この部分では長時間の作業を必要とする。このため皮革製造においては、連続した流れ作業とすることは困難で回分操作とならざるを得ない。水絞りおよび乾燥のいずれにおいても、その前段階の処理において大量の水を含む処理液を使用しているが、そのような処理液を用いなければならない理由には、皮革が元来生物を構成していた天然物を原料としているため、その全体を化学的または物理的に変化させる必要が生じてくることによる。したがって、処理する皮革に対し、十分な量の処理液を用意している。
【0011】
このように、いずれの工程においても多くの処理時間を必要とし、またそのほとんどを回分操作で行っている現状では、皮革を応用する場合において、さらなる多様化は生産効率の面で困難さがあり、少量多品種の生産も当然の如く困難さを生ずる。このことは皮革の持つ各種の特性、すなわち感触、保温性、物性の温度依存性の少なさ、適度の塑性・弾性、切断部の強度等を生かした幅広い展開への障壁ともなり得る。
【0012】
一方、処理液の中に皮革全体を浸漬するが、皮革自身の物性を変化させる処理を主体としていない処理工程、すなわち皮革に所望の色を付加する染色や皮革表面の保護を目的とする仕上げ塗装等(以下、本明細書において『仕上げ塗装』は『塗装』と略記する)は、その処理液が十分に皮革に付着するならば、従来の手法に見直しをかけることも可能であるが、現実には代替手法が確立しにくい実情もあり、実際には古くからの手法が現在でも利用されている。
【0013】
このような皮革に対する従来からの染色および塗装のうち、染色においては、大量の染液を用いており、さらにその操作にはかなりの時間を要していた。最も一般的であるドラム染色の場合は、中和後の革を、50℃程度で革重量の約2倍程度の温水と共にドラム中で回転させながら、その中に温水で10%程度に溶解した染液を添加していき、ドラム回転を約30分行う。その後、この染液の中から革を取り出し、乾燥を経ることによって染色された革をつくりあげる。したがって、水に色材を含有させた染液の中に皮革を浸漬させ、時間をかけて色材を十分に皮革内部に浸透させていたため、この操作の後は皮革内に多くの水を含んでおり、機械的な水の除去または熱による乾燥などの処理が染色後には必要とならざるを得ない。ゆえにこの染色は単色でしか処理できず、また少量の革の処理は非効率的である。
【0014】
また塗装に際しても、従来では染色を終えた後に風合いや形状を調整した革に対し、外観を整えたり耐久性を出すために行っていたが、それに用いられる塗装剤は、通常は液状のものである。しかしながら上述の染色過程において、革のできあがり状態によって塗装剤も各種考慮する必要があり、事前に特定の塗装剤のみで準備できない場合もある。ほかに前述したような方法により、かなり機械化が進んではいるものの、先の染色とは別の装置を使用するため、染色から塗装に移行する間に、革の運搬や塗装用装置への革の装着などといった点で人手を必要とするところは多い。とくに革の形状は定形でない点からも装着の自動化に困難性を伴う。
【0015】
【背景技術】
この皮革上の高精細画像の実現において、本出願人によってインクジェット方式で行うことをすでに提案している。このインクジェット方式による画像形成は、複数の微細なインクの液滴を皮革上に噴射、着弾させ、これらの液滴、すなわちドットの集合体によってなされる。そしてこのドットの1つ1つがより細かくなるほど高密度、高精細な画像を形成させることができる。しかし、皮革上に記録すべき各ドットがより細かくなればなるほど、その個々のドットの皮革上における挙動、すなわち皮革の厚さ方向に対するインクの浸透のしかたや皮革の表面上におけるインクの広がりかたによって、できあがった画像の品質を左右する比重が増大してくることが判明した。
【0016】
皮革への染色は、布帛への染色と同様に、色材と結び付くことができる染着座席により議論することができ、さらに皮革における染着座席は布帛の場合よりも多いとされる。しかしながら布帛のように織物として加工したものとは異なり、動物からとった天然の皮の形状をほぼそのままで保ちつつ、各種の処理工程によって物性を変化させてつくりあげる革の場合においては、内部および表面における染着座席の分布状態はインクジェット加色という観点でみた場合、不均一なものとして認定できる範疇の媒体であることが判明した。さらに元の動物を構成していた体の部位が異なると、染着座席の分布状態はインクジェット加色にとってより困難なものになってくることも判明した。
【0017】
一方、インクジェット加色により形成された画像という観点に着目した場合、その画像に使用されている色材の含有量は、インクの蒸発に伴って起こる噴射口の目詰まりを防止する等、インクジェット液滴の噴射安定性維持のために必要最小限に留めておくことから、十分に高い濃度と色彩を仕上げ加工時にもっていなければならない。そしてこの仕上げ工程中に、高精細な画像を高水準に維持することが好ましい。ところが、仕上げ塗装に用いる塗装剤の塗布状態が不均質であると、その前に形成されていた画像の品質を劣化させることにもなる。とくにインクジェット記録の分野においては、ドット密度は300dpiや360dpi等の微細な密度であるため、上記皮革における画像劣化の状態はより現れやすくなり、高密度のインクジェットプリントの特性を出しきれなくなるという現象が発生することも認められた。
【0018】
【解決すべき技術課題】
本発明は、上記背景技術に基づいて、単色あるいは多色を任意に所望の領域に形成できる部分加色、好ましくはインクジェット方式による部分加色によって画像形成を行った場合における、これら皮革上における各ドットの浸透状態や広がり具合のばらつきを制御することや、加色用インクの浸透状態の差に依存する濃度のばらつき或は、加色液滴の広がり方の差に依存するドット形状の乱れ等を防止することを第1の課題として認識するものである。この課題を放置してしまうと、インクジェット方式等の部分加色による画像精鋭度の不良または多色画像における混色不良等が発生する問題が生じてくる。そして各ドットの集合が細かくなるほど、これらの加色液滴が画像に与える影響は大きくなってくる。
【0019】
この第1の課題は、原皮の種類や鞣し方法によっても各種の画質性状が現れることや、画像密度の増大によってさらに悪化し得る傾向を示すことから、上記従来の皮革に対する染色とは別の部分加色による新規な技術課題といえる。
【0020】
本発明が上記背景技術に基づいて認識する第2の技術課題は、染色から塗装までは一貫した連続操作とすることは甚だ困難で、その結果これらの処理に関わる所要時間も多くなる課題を解決することである。このため、大量生産をするうえでも、あるいは少量多品種の生産を行う上でも、この所要時間の課題は大きい。また余分な染液の廃棄問題や、浸染の手法から派生する乾燥のための熱源問題等も無視し得るものではない。
【0021】
第2の技術課題は、特に、インクジェット方式によって皮革上に画像形成を行った場合、その画像の維持やコスト面において障害ともなり得る技術課題である。
【0022】
本発明は、上記皮革における上記第1、第2の技術課題の少なくとも一方を解決することを主たる目的とするものであるが、以下の説明でわかるようにこれらの課題に加えて、或は単独での課題をも解決するものである。
【0023】
【本発明の概要】
本発明は、上記技術課題に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は、インクジェットヘッドによって皮革に多色の画像形成を行う際に、そのドット密度によらずに、各液滴の浸透及び滲みの状態を安定させて高精度で堅牢性に優れた画像形成を達成することにある。
【0024】
また第2の目的は、上記インクジェットヘッドによる画像形成に伴い、仕上げ工程においてもその画像を劣化させることのない工程を実現することにあり、これに伴い、多色の画像を高精度かつ迅速に行うことを達成するものである。そのため、皮革製造に対する従来からの手法にこれまでとは異なる観点から見直しをかけ、連続操作及び自動化を可能とすることである。
【0025】
すなわち本発明は、インクジェットヘッドを用いる部分加色または多色による画像形成を皮革に行うという視点にたった場合に、有効に作用する加色処理方法、或いはその処理装置を確立することにある。つまり皮革の利用に対し、新たな分野を創り出すにあたって生じてくる課題を克服することでもある。
【0026】
このような本発明として、第1には、皮革に対してインクジェットヘッドを用い画像形成を皮革への加色として行う加色工程を有する皮革加色処理方法であって、前記インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して前記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する前工程と、上記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の後工程として少なくともインク加色された皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する後工程と、を有することを特徴とする皮革加色処理方法である。
【0027】
そしてこの皮革加色処理方法の中で、上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量は、上記後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量よりも少ないこと、上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量は、上記加色工程で付与されるインクの単位面積当たりの色材付与量よりも少ないこと、上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量と上記後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量との総和は、上記加色工程で付与されるインクの単位面積あたりの色材付与量以上であること、をそれぞれ特徴としてなり、さらには、上記前工程の液滴浸透制御剤及び上記後工程の画像制御剤は、同一材料であることを特徴としてなるものである。
【0028】
さらには、これらに派生して、皮革に対してインクジェットヘッドを用い画像形成を皮革への加色として行う加色工程と、該インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して上記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として、少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する前工程と、によって加色された皮革の処理方法であって、加色された皮革に対する後工程として、少なくともインク加色された皮革表面領域のインクに色材に化学反応する画像制御剤を付与する後工程を有し、また、上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量よりも後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量が多いことを特徴とし、また、皮革に対してインクジェットヘッドを用い画像形成を皮革への加色として行う加色工程と、該皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の後工程として、少なくともインク加色された皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する後工程と、を有する皮革の加色に用いる皮革の処理方法であって、上記インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して上記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として、少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する工程を有し、また、上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量が後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量よりも少ないことを特徴とする。
【0029】
又本発明として第2には、前記前工程、前記加色工程、及び前記後工程を経た皮革に対して、少なくとも皮革における液滴画像を実質的に改質できる改質処理工程を実質的な連続工程とすることを特徴とする皮革加色処理方法であり、前記改質処理工程がインクジェットヘッドを用いて行われる一工程以上の改質処理を実質的な連続工程とすること、前記改質処理工程が仕上げ塗装であること、前記加色工程と前記改質処理工程との間に、強制乾燥工程を有すること、前記皮革として、再鞣を含む鞣製工程後、中和・加脂・水絞り・伸ばし・乾燥を経た皮革、並びにさらに味入れ・ステーキング・張り乾燥・縁断ち等によって平坦化および風合い調製が終了した皮革を用いること、前記インクジェットヘッドからの液滴噴射を、前記皮革の銀面および/または肉面に対して行うことを含む。
【0030】
更に上述した本発明の第1及び第2に伴って総合的に現れる本発明の第3としては、上記記載の皮革加色処理方法を実行する装置であって、皮革に対して画像形成を皮革への加色として行うインクジェット記録手段と、皮革における液滴画像を実質的に改質できる改質処理剤を皮革に対して与える付与手段と、を備えたことを特徴とする皮革加色処理装置である。
【0031】
そして、上記記載の皮革加色処理方法によって画像形成がなされたことを特徴とする皮革であり、かかる皮革を加工して形成されたことを特徴とする皮革製品である。
【0032】
また総合的に現れる本発明の第4としては、皮革に対してインクジェットヘッドを用い画像形成を皮革への加色として行う加色工程を有する皮革加色処理方法であって、前記インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して前記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の直前工程として少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する直前工程と、前記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の直後工程として少なくともインク加色された皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する直後工程と、上記インクジェットヘッドによる加色工程に対して、少なくとも前記皮革における液滴画像を実質的に改質できる改質処理工程と、を実質的な連続工程として有することを特徴とする皮革加色処理方法である。
【0033】
なお、本発明でいう皮革は、おもに天然皮革を指すこととし、一般に定義付けされている脱毛後に鞣した革、および脱毛を伴わない毛皮との総称で示すこととするが、説明のうえでは革を例にとる。さらに本発明に適した皮革は、特に限定されるものではなく、原皮の種類や鞣し方法の種類において、いずれのものにも適用できる。例えばウシ、ブタ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、シカなどの哺乳類、ダチョウなどの鳥類、ウミガメ、オオトカゲ、ニシキヘビ、ワニなどの爬虫類などが原皮として挙げられる。また鞣し方法に関しても、皮革製品とする際の形態や用途に応じてそれぞれ適用されている鞣し方法が応用でき、代表的なクロム鞣しやタンニン鞣し、あるいはアルミニウム鞣し、ジルコニウム鞣し、チタン鞣し、第2鉄塩鞣しなどの鉱物鞣剤を利用するもの、またアルデヒド鞣しなどの有機系鞣剤を利用するもの、さらにはナフタレン系合成鞣剤、フェノール系合成鞣剤、樹脂鞣剤等の合成鞣剤を利用した鞣し、セーム革に代表される油脂鞣しなど、いずれでもよい。またこれらの鞣し方法を2種類以上組み合わせて行うコンビネーション鞣しも本発明には適用可能である。
【0034】
また加色とは、従来から一般的な技術用語として使用されている、単色あるいは複色の、染色、着色、塗装等を含んだ総称である。従って、加色の操作の後、色の素となる色材は、皮革の内部に浸透した形態、皮革の表層部付近にのみ付着あるいは一部浸透した形態、皮革の表面上に積層された形態など、いずれの形態も含むものである。なお本発明においては、加色処理とした場合には、従来から行われている仕上げ塗装も含めることとする。この場合、色材は必ずしも含有していないが、塗装剤中に含有されている不揮発成分の存在形態としては、上述の色材の存在形態と同様に捉えることができる。
【0035】
本発明者は、画像形成のための加色用液滴(以後単に『インク』と称する)が革に到達した後の挙動に関して研究を重ねた結果、以下の知見を見出した。すなわち画像の均質化、すなわち色彩の均一化および各ドット形状の真円化をはかるためには、革の厚さ方向に対するインクの浸透深さを一定に保つ必要があり、さらにインク加色が終了した後でも、そこでできあがる画像に十分な発色性と安定性を付加させるため、画像のもとである色材を適度に反応させることが、インクジェットヘッドを用いる画像形成では重要であることを見出した
【0036】
主に革の表面からみて、厚さ方向へのインクの浸透状態、あるいは表面における見かけ上のインクの広がりかた、すなわち表面の滲み状態を所望の形態とするように制御するためには、インクが革に到達した後に、そのインクの構成成分である色材の溶媒または分散媒が蒸発して、色材がその場で固化し、革内部における色材分子の移動停止が安定化するまでの時間を抑制することが有効である。しかしながら、ここでいう溶媒または分散媒としては一般に水が多く用いられているため、革へ到達した後、蒸発するまでにはある程度の時間を要する。この蒸発が完了するまでの間に、インクとして革内で浸透および滲みが進み、それに伴って含有されている色材も同様に進行する。また、このインクの挙動は、隣接するインクのドットの有無や革内の部位の違い等にも影響を受け、そのため個々のドットにおける色材の存在状態はばらつきを生ずる。なおこれ以降は、インクの浸透という場合には、革の厚さ方向に対するインクの浸透を、インクの滲みという場合には、革の表面における見かけ上のインクの広がりを、それぞれ表すものとする。
【0037】
このばらつきを抑えるためには、インク中の水の蒸発をはやめることがよく、それには、革に到達したインクに熱を加えることが考えられるが、熱効率の点や、革が持続的な高熱に弱いという点を考慮すると好ましい方法ではない。従って上述したインクの浸透や滲みを制御することにおいては、熱による物理的手法に代わり、インクが革に到達した際に、含有される色材自身に、インク中の溶媒または分散媒に対して所望の時間で不溶化または凝集の反応を促す化学的な手法を利用することが好ましい。
【0038】
また加色後においても、その画像に十分な発色性と安定性を付加させるためには、色材が革内において十分に固定されていることが有効である。これらの達成に関し、鞣しや加脂のように革全体に対して均質な物性変化を施すことは、特定の革に行うことを除けば、処理方法の選択や革独特の風合いへの弊害等の点で困難さを生ずる。しかしながら加色された表面領域のみに行うのであれば、その困難性は解消される。これによってインク中の色材を、その周囲の革の表面部分も含めて化学的に固定、いわゆる固着をさせることが好ましい。
【0039】
以上のことから、画像を安定して形成させるために、インクを噴射させるインクジェット加色工程の前後において、インク中に含有される色材に対して化学的に反応し得る成分を革上の加色表面領域に付与させるに至った。すなわち、インクジェット用インクに含有されている色材、または従来からの皮革への染色に利用されている色材として、いずれもイオン性をもつものが多く利用されていることを考慮して、この色材に対してイオン結合による化学的な反応を行わせる。そして画像とは、革の表面全体に対してなされるもの、革の一部分のみになされるもの、いずれをも含む。なお、これ以降の説明では、色材としては最も広く利用され、その種類も多いアニオン性染料、化学的な反応としてはアニオン性染料とのイオン結合を例にとる。このアニオン性染料としては、酸性染料、直接染料、金属錯塩染料、反応染料等が挙げられるが、これらに限定されることなく、インクとした際にイオン性をもつものであれば顔料等も含む。またカチオン性の色材も以後の説明のイオン性を逆に捉えれば容易に適用できることはいうまでもない。
【0040】
本発明では、上述した革に対するインクの浸透および滲みの制御を行うために、まず液滴浸透制御剤を加色の前工程として革に付与する構成をとっている。これによって、続く加色工程でインクが革に到達した後、そのインクが浸透あるいは滲みを起こしていく過程において、インク中に含有されている色材と液滴浸透制御剤との間でイオン結合の反応を起こし、その結果、インクを構成している溶媒または分散媒に対して色材を不溶化または分散破壊の性質へと変化される。この色材と液滴浸透制御剤とのイオン結合の度合いを所望の状態とすることにより、画像を構成する各ドットの形状や濃度について調整をすることができる。ここで、イオン結合の度合いは、液滴浸透制御剤の付与量、あるいはイオン化の程度、すなわち液滴浸透制御剤として用いる物質の構造における荷電している部分の数等で変えることができる。
【0041】
この液滴浸透制御剤には、アニオン性の染料に対して、カチオン性であるものがよいが、好ましい材料としては、取り扱いが容易で革内部に存在させやすいこと、革との親和性がよく革内部でカチオン性を維持することを満たすものがよく、例えば水溶性カチオン物質の中から利用することができる。そしてこのカチオン物質を革に付与するにあたっては、まずこの物質を水溶液状態とし、所望の量を革に対して塗布または噴霧することで実現できる。その後この水溶液は革内部へと次第に浸透し、革の被加色面から内部へと行き渡ると共に溶媒の水は蒸発していく。この際に、革の厚さ方向に対するカチオン物質の存在確率は表面近くほど大となる。
【0042】
なおここでは色材とカチオン物質とが接触して機能することから、前工程における液滴浸透制御剤の革表面の単位面積当たりの絶対量は、インクの革表面の単位面積当たりの絶対量よりも少なくしても十分に機能を果たす。またこのことは、革に対して余分な物質の付着がないため、革の持つ風合いを損なわないと共に、革自身における色材の染着性は阻害されず、色材の浸透作用を制御することが可能となるものである。また上述のような作用であるため、液滴浸透制御剤を付与してからインク加色を行うまでの間の時間には、特に制約は生じない。例えば、付与後に十分な乾燥を経てからインク加色する工程、または付与後、その溶媒が蒸発している途中、すなわちインク加色の直前工程、あるいは付与と同時にインク加色する工程など、いずれでもかまわない。
【0043】
以上の前工程および加色工程により、革表面に画像が形成されているが、このままでは加色後に続いて行われる仕上げ工程およびその後の皮革製品加工において、高精度の画像を維持させるには完全ではない。従って、その画像に発色性と安定性をさらに付加し、所望の画像を維持させるために、画像制御剤を加色の後工程として革に付与する構成をとっている。この画像制御剤の付与により、すでに革上で画像形成されている加色領域で、色材の固定を、色材とのイオン結合による反応でさらに強固にすると共に色材を取り囲み、その結果加色画像を安定化させる。従って画像制御剤の付与領域としても、少なくとも加色されている領域でよい。
【0044】
なおここでの作用も、前述の液滴浸透制御剤と同様に色材とカチオン物質とが接触することで起こるものであるため、インク加色が行われたあとの画像制御剤付与までの間の時間には、特に制約は生じない。例えば、インク加色後に十分な乾燥を経てから画像制御剤付与を行う工程、または加色時のインク浸透途中、すなわちインク加色の直後工程など、いずれでもかまわない。
【0045】
しかし後工程においては、色材分子に対して画像制御剤の十分な結合が求められるため、付与量としても十分な量が必要である。従って、前工程としての液滴浸透制御剤付与の革表面の単位面積あたりの絶対量S1と、後工程としての画像制御剤付与の革表面の単位面積あたりの絶対量S2との相対関係は、画像形成に対してより有効に作用させるために、S1<S2の関係であることが好ましい。
【0046】
一方、前工程における付与量S1は、その後の加色工程で付与されるインク中に含まれる色材の革表面の単位面積当たりの絶対量Dとも相関を持つ。つまり両者が接触することによってインク中の色材の革の内部における進行状態を変え得るが、その際にインクの浸透を阻害せず、所望の状態とさせるにはS1<Dであることが好ましい。
【0047】
さらに種々の革または画像に対しても、前工程および後工程の作用を効率よく働かせるためには、S1+S2≧Dであることが好ましい。これにより色材に対して未反応部分を残すことなく、またいずれの付与量も革重量に対して十分少ない量で機能するので革の風合いを損なうことも生じない。
【0048】
以上述べたように、液滴浸透制御剤及び画像制御剤のいずれにおいても、色材とのイオン反応をさせる目的で、カチオン物質を用いるが、その具体的な例としては以下のようなものである。
【0049】
まず液体の浸透を促進させることができる界面活性剤を含むカチオン性の物質の中から、次のものを選択することができる。例えば、ラウリルアミン、ヤシアミン、ステアリルアミン、ロジンアミン等の塩酸塩や酢酸塩等の1級、2級ないし3級アミン塩型の化合物、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ベンジルトリブチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩型の化合物、セチルピリジニウムクロライド、セチルピリジニウムブロマイド等のピリジニウム塩型化合物、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン等のイミダゾリン型カチオン性化合物、ジヒドロキシエチルステアリルアミン等の高級アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、などが好ましい例として挙げられる。
【0050】
また、色材と結合、凝集と共にみかけ上の色材分子を大きくさせることができるものとして、カチオン性の高分子物質から次のものを選択することができる。例えば、ポリアリルアミン塩、ポリアリルスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド、ポリアミンスルホン塩、ポリビニルアミン塩、キト酸酢酸塩等の水溶性カチオン性高分子等が好ましい。さらに通常はノニオン性であっても、その物質の一部にカチオン性基を付加したものを用いることもできる。具体例としては、ビニルピロリドンとアミノアルキルアルキレ−ト4級塩との共重合体、アクリルアミドとアミノメチルアクリルアミド4級塩との共重合体等があげられる。これらの物質は水溶性であれば申し分ないが、ラテックスやエマルジョンのような分散体であってもよい。ほかに水溶性以外のものであっても、革を侵さない溶媒を利用するのであれば、これらに限定されるものではない。
【0051】
これらの液滴浸透制御剤や画像制御剤は、画像形成を行う皮革に合わせ、上記例示した物質群の中から適宜選択して、1種類あるいは2種類以上配合して付与すればよい。また、それぞれ異なる組成であってもよいし、同一の組成であってもかまわない。さらに求められる機能や使用する革種等によって、粘性や揮発性等の調整のために、必要に応じて公知の界面活性剤や各種バインダーなどを添加してもよい。
【0052】
またこれらの付与方法としては、塗布や噴霧等を挙げることができるが、具体的な手法としては、その付与量の調節が容易なロールコーターやスプレーガン、あるいはインクジェットヘッドによる噴射等を利用することができる。とくにインクジェットヘッドによる噴射は、インク加色時の画像信号に合わせ、インク加色される領域のみの付与を行うことができるため、革に対して必要最少限度に抑えることができる点より、風合いを損なうことなく処理できることは勿論、革の部分領域のみの加色に対しても有効である。
【0053】
そしてここまで述べてきた構成に派生して、更に発展した形態の発明もある。すなわち、前工程から加色工程までの時間、及び加色工程から後工程までの時間については、特に制約を設ける必要はない。むしろ、前工程または後工程で使用される処理剤が、革及び画像に対して確実に付与されていることが、先に説明した反応を起こさせるために重要である。従って、前工程、加色工程、後工程が必ずしも同一箇所において連続している必要はない。つまり、あらかじめ液滴浸透制御剤付与の前工程と、インクジェットヘッドによる加色工程が終了した加色皮革に対して、それらの工程を行ったときとは異なる場所あるいは異なる日時に行う、画像制御剤付与の後工程も本発明の1つである。またあらかじめインクジェットヘッドによる加色工程と、画像制御剤付与の後工程を受けるように設定されている皮革に対して、これらの加色工程以降の実施とは異なる場所あるいは異なる日時に行う前工程も、もう1つの発明である。
【0054】
続いて本発明の第2について説明する。
【0055】
これらの構成は、前述した第2の技術課題に着眼し、従来の染色から仕上げまでの諸工程の要求事項より、その改善の糸口を見出した。従来の工程では、染色、塗装のいずれの処理においても液状の処理剤を利用することが一般的である点から、インクジェット方式を応用して加工工程を行うことで、処理方法の簡略化および実質的な連続化を実現するに至った。しかも高精細多色画像を安定して作り出すことが可能となった。
【0056】
一般にインクジェット方式に用いられるインクジェットヘッドは、複数の液滴噴射ノズルを集積配列して構成されているが、動作時には、このインクジェットヘッドを一定の周期で走査させて、複数のノズルの1つ1つに駆動信号を与え、液滴の噴射タイミングや噴射量をノズルごとに制御している。つまり、準備工程から鞣製・再鞣まで経た革に対し、染色を行わずに、加脂・伸ばし・味入れ等によって、平坦化や風合い調製を先に済ませた後に、インクジェット方式で、インク加色による画像形成を行う加色工程、続いてその画像形成面を改質する仕上げ塗装、すなわち改質工程を、実質的な連続工程として実施することが可能となるものである。
【0057】
すなわちインクジェット加色の場合、画像を形成させるべき部分のみにインクを噴射して革に付着、浸透させるので、画像に無関係な部分までインク中の色材を付着させることはない。従って革の表面状態や風合い、あるいは乾燥状態は、この加色前後で大きく変わらないため、加色工程に引き続きインクジェット方式により改質処理、すなわち塗装が可能となる。このことにより効率性と生産性を高められる作用が生まれ、従来の手法による染色・塗装に対し、大量の染液使用からくる溶媒除去のための乾燥の負荷は軽減され、そして処理液の量についても、インクジェットヘッドのノズルからの噴射液滴を細く制御することが可能であるため、使用量の無駄の排除や塗装時の塗膜調整等の簡略化、時間短縮化が実現できた。さらにいうならば、加色工程では必要最低限の色材に相当するインクの量で実施できるため、その後に未染着の色材を洗い流す必要はほとんどなく、色材を有効利用することが可能となる。また改質処理液の噴射量は任意に設定でき、さらに一定量に調節可能であるため風合いや光沢感を阻害する弊害も発生しない。
【0058】
このことにより、従来の手法では成し得なかった多色画や濃淡画を自在に、しかも簡便に行うことができる。またインクジェット加色を行う際に、安定した画質を維持するためには、被加色面とインクジェットヘッドのインク噴射口との間隔を常に一定に保っておくことが重要となるが、これに対しては、従来では仕上げ工程で行っていた伸ばし作業を、加色前に実施しているため、平坦な状態になった革を加色装置に装着でき、インクジェット加色処理にとって非常によい状態とすることができる。ほかに、加色前に味入れ、ステーキング、張り乾燥を終えて、すでにもみほぐしを行っているため、従来は仕上げ工程で行っていたもみほぐしは不要となり、インク加色で形成された画像を乱すことも回避できる。
【0059】
一方従来から塗装は皮革表面の保護を目的とするものであり、インクジェット改質処理は画像が存在している面の全面に行うことでもかまわないが、皮革の用途や加色画像に応じて部分的に行うことでもよく、このような点においてもインクジェット方式は制御が容易である。また複数のインクジェットヘッドを同時に用いて、それぞれのインクジェットヘッドに供給する処理液の種類を変えたり、ノズルごとに処理液の種類を変えて、目的に応じてそれらの改質処理液を使い分けることも容易である。
【0060】
また従来の塗装において、所望の革の仕上がり状態にするために各種の仕上げ剤を数種類用いて重ね塗りをすることが一般的であったが、これも複数工程のインクジェット改質処理工程を並列、連続させることも可能である。さらには、皮革製品の用途に応じて色材を改質処理剤に含有させることにより、同様に連続した処理装置として組み込むことが容易である。
【0061】
このように、液滴噴射手段、すなわちインクジェット方式を用いることで、連続した加色処理工程を実施でき、各工程に要する時間の短縮及び自動化が実現できるが、それぞれの工程で使用する処理剤によっては、革に対する噴射後に後続する工程までの間で、その処理面が十分な処理ずみ状態に達しない場合もある。このようなときには必要に応じて各工程間に処理面の強制乾燥工程を設けることも有効である。これは、互いに作用が異なっている、前・後工程を含んだ加色工程と改質処理工程との間に設けると効果的である。そしてこの工程は革と鞣剤、加脂剤等との結合を強化するための加熱処理としても有効であり、皮タンパク質の親水性を乏しくし、革と処理剤との結合が強化されるものである。このような乾燥工程は、皮革の耐熱特性に応じて適宜適切な温度と時間を設定すればよく、特に制約を受けるものではない。しかしながら前にも述べたとおり、インクジェット方式による処理の場合には、不必要な処理剤の付与を排除することが容易であるため、これらの乾燥工程も簡略なものでも機能を果たす。
【0062】
一方、皮革に対する一般的な染色では、皮革の主成分であるタンパク質コラーゲンと染料分子との結合によって論じられることは前にも述べたが、この中で、染着座席は、皮革内部に存在し、鞣しを経ることによりさらに多くなるため、皮革は本質的に染まりやすいということがいえる。従って、皮革の銀面および肉面のいずれであっても、インクの浸透性は同様であるとみることができ、本発明の皮革加色処理方法を適用する場合、この銀面・肉面に関しては、どちらか一方の面あるいは両方の面、すべてにおいて適用可能である。
【0063】
引き続き、本発明の第3及び第4について説明する。
【0064】
またこれまで説明してきたように、本発明からなる皮革の加色方法を実施することにより、高精細な画像を皮革上に実現可能とすることができる。ここでインクジェット装置としては、荷電制御型、ピエゾ素子による噴射装置、発熱素子による噴射装置等が採用できるが、この中でも発熱素子による噴射装置は記録ヘッドの高密度化を行いやすいという点で好適である。これらの装置を適用することで、以上説明した皮革加色処理方法を実現できるものである。
【0065】
そして、これまでの発明を総合的に実現するにあたり、上述のことに加え、インクジェット方式によって加色工程および改質処理工程を実質的な連続工程として行う際には、使用されるインクジェットヘッドを一定の周期で走査させつつ順次処理を行い、それに伴って皮革自身も移動させていくので、1つの処理が済んだ領域より続いて次の処理に順次移行することが可能となる。すなわち先の本発明の第1で述べた加色工程の前工程及び後工程も、同時にこれらの連続工程の中に組み込むことが可能となる。つまり、液滴浸透制御剤を付与する直前工程、加色工程、画像制御剤を付与する直後工程、改質処理工程の各工程が実質的に連続した加色処理工程とすることができる。
【0066】
以後、実施例により本発明を具体的に説明していく。
【0067】
【実施例】
(実施例1)
図1は、本発明による皮革の調製から皮革への加色及び改質処理を経て皮革製品に至る過程を示す流れ図、図2は本発明におけるインクジェットヘッドを用いたインクジェット加色装置の主要部を示す概略図、図4は本発明によるインクジェット加色処理装置の一例を示す全体構成図である。これらの図に基づき、本発明を具体的に説明していく。
【0068】
図1において、準備工程及び鞣製工程は、従来から行われている手法により、原皮から革をつくりあげる工程である。本実施例では、原皮として羊のシープを採用し、これにクロム鞣し及びチタン酸化物による白色処理を施す。こうしてできたシープ革に対して、重炭酸ナトリウムによって太鼓を用いて中和、および亜硫酸化鱈油を主成分とする加脂剤で太鼓中で加脂処理を施し柔軟性を与える。従来はこの中和後に、加脂と共に染液も太鼓中に添加して染色を行っていたが、本発明においてはここでの染色は行わない。続いてセッティングマシンによって、中和及び加脂中に浸透した余分な革中の水分を絞り出して適度の大きさに伸ばす水絞り・伸ばしの工程を経る。その後、ガラ干し乾燥、および味入れ、ステーキングによって革をもみほぐし、柔軟性を付加していく。この後にネット張り乾燥、縁断ちを経て、シープ革はインクジェット加色処理装置への装着に際して適切な平坦形状となり、さらに加脂剤の固着、革中の適度な水分量が達成できる。
【0069】
ここまでの工程が終了した後に、インクジェット方式を利用した加色処理の各工程に移行する。ここでこれらの工程処理を効率よく行うために、上記シープ革を図3に示す搬送支持部材3に装着する。この搬送支持部材3の構成は、ステンレス製の平坦な鋼板31の一方の面全体に、比較的弱い接着力の接着剤32を塗布しているものである。そしてこの接着剤32は、革2がずれないように固定する目的で設けているのみであるので、革2が自重ではがれ落ちない程度の接着性でよく、このことから革2を加色が終了した後に取り去る場合にも損傷を与えるものではない。
【0070】
このようにして銀面側を外側にしてシープ革を固定し、まずその銀面に下記の液滴浸透制御剤をスプレーガンを用いて、乾燥後の付着量が1g/m となるように噴霧を行う。なおこれ以降の説明において、各成分の配合割合を示す『%』は、特に断らない限り重量基準とする。この噴霧後、常温常湿下で約1時間の乾燥を行う。
【0071】
その後インクジェット加色装置により、上記処理を施した銀面に画像形成を行う。シープ革は、元来吸水性が比較的良好であるため、この噴霧操作においてもその成分が革内部に浸透する時間は速く、特に温度を高める等の乾燥手段を使用することなく、十分に処理を施すことが可能である。また、前述の液滴浸透制御剤中には界面活性剤を含有するため、噴霧液全体の革内部への浸透を促進することができる。したがって乾燥後における液滴浸透制御剤中の各成分は、表面に積層された状態ではなく、図5(A)の模式図に示すように革内部へと浸透した状態とすることができる。この図5(A)において、2は革、201はその革に噴霧、浸透した液滴浸透制御剤を示す。このような状態を維持するため、革の加色領域の表面状態としては液滴浸透制御剤の噴霧前とほぼ同一の状態とすることができることから、加色操作の際に、その液滴自身の付着に対して阻害したり、あるいは革全体の風合いを変化させることも生じない。
【0072】
続いてこの革2に対し、図2に示すインクジェット加色装置を用い画像形成を行う。
【0073】
ここでこのインクジェット加色装置の動作について説明を加えておく。図2において、1はインクジェット加色処理装置、2は加色される革を、3はその革を固定している搬送支持部材を示す。ここで加色処理を行う際に最も重要部分となるインクジェットヘッド10には、液滴噴射するための多くのノズル(不図示)を持っている一つのインクジェットユニットを4個ならべたものであり、キャリッジ12上に設けている。さらにこのインクジェットヘッド10に、加色用インクを供給できるようにしたインク供給装置11を、キャリッジ13上に設けている。そしてこれらはチューブ14を介して接続することによって、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクを、それぞれインク別に仕切られた部屋に充填して、インク供給装置11からインクジェットヘッド10への供給を行っている、また電装系15からインクジェットヘッド10へ送られてくる信号によって、2つのキャリッジはフレーム枠16に取り付けられたガイドレール17及びガイドレール18に沿って、図の矢印A方向に往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド10から画像信号に応じたインクの噴射を開始し、革2に加色可能としている。そして革2は2つのキャリッジの往復移動のたびに矢印B方向、すなわち副走査方向に順次搬送され、全体に加色がなされていく。なおここで革2は搬送支持部材3によって固定されているため、インクジェット加色装置への装着および副走査方向の搬送も確実に行うことが可能となる。
【0074】
以上のような動作によって革2に加色されるが、このときにインクジェットヘッド10のノズルから噴射された液滴の革2における浸透状態を、図5(B)に示す。このように革2に噴射され浸透していった各液滴は、206のように液滴浸透制御剤が浸透している領域内において、同一の革内部への浸透深さと表面上の広がりを維持できる。この結果、インクジェット加色時点において画像形成の均一性を図ることが可能である。一方液滴浸透制御剤を付与していなかった場合では、図6(A)のシープ革に対して、同じように図2のインクジェット加色装置で液滴噴射すると、図6(B)に示す液滴の浸透状態となる。このように各液滴は、207のように、同一の革であっても、その内部への浸透深さと表面上の広がりにおいていろいろな状態が生じ、その結果として画像形成の不均一性が発生する。
【0075】
これらの加色が終了した後、引き続きこの画像形成されたシープ革の銀面に対し、下記の画像制御剤を、前述の液滴浸透制御剤の噴霧のときと同様に、スプレーガンを用いて乾燥後の付着量で2g/m となるように噴霧を行う。その後常温常湿下で約1時間の乾燥を行う。ここでは画像形成を行っている色材に結合し、さらにその分子を大きく凝集させるため、イオン反応するポリアリルスルフォンの分子量を先の液滴浸透制御剤のものよりも大きなものとしている。この画像制御剤の噴霧を行うと、革の中では図5(C)に示すように、画像形成されている面、すなわち銀面側よりその液がしだいに浸透していく。この過程において、まず浸透性の相対的に高い塩化ベンザルコニウムが、画像形成されている部分の中における色材とイオン結合し、ついでこの結合をきっかけとして、共に溶解されているポリアリルスルフォンと色材とが結び付く。これらの反応を経ることによって色材の分子は見掛け上大きくなり、その結果革内で色材が移動することを阻止し、発色を安定化するとともに、水に対して不溶の性質とすることが可能になっていく。すなわち、画像の安定化が図られ、しかも耐水性も現れていくものである。
【0076】
液滴浸透制御剤
塩化ベンザルコニウム 3%
ポリアリルスルフォン(重量平均分子量1万) 3%
水 94%
画像制御剤
塩化ベンザルコニウム 1%
ポリアリルスルフォン(重量平均分子量5万) 5%
水 94%
【0077】
以上の過程を経て、シープ革に対して行ったインクジェット加色による画像は、液滴のドット形状が整い、濃度も高い安定した画像となすことができる。しかも耐水性等の堅牢性の向上にも寄与したものとなるため、次の工程で行う仕上げ塗装においても十分に満足できるものとなる。
【0078】
ここまでの工程を終了することによって、シープ革上における画像形成が達成された。続いてこの画像形成がなされたシープ革の改質工程に移り、仕上げがなされていく。図4は、このシープ革に改質処理を施す際の連続工程を、模式的に示したものである。図4では、改質処理工程として、3段階、すなわち下塗り、中塗り、及び上塗りの各仕上げ塗装を、インクジェット方式によって改質処理剤噴射工程の連続で行っている。またこれらの各塗装液の成分としては、通常スプレー塗装で行う塗装液を利用することができる。例えばウレタン系、アクリル系、カゼイン系のものを、必要に応じ適宜配合したりして用いることができる。以下、この図に従い、上述のシープ革の改質処理工程について説明を行っていく。なおこの説明では、第1、第2、第3の各改質処理工程を、それぞれ下塗り、中塗り、上塗りと呼ぶこととする。
【0079】
まず、上述のようにして画像形成がなされた革2を固定している搬送支持部材3を、移送可能に構成されている移送部111に設置する。その後移送部111は搬送支持部材3を、第1改質処理部101の副走査ベルト103部まで、不図示の駆動源によって移送させる。搬送支持部材3が副走査ベルト103部まで到達したところで、続いて搬送支持部材3を90°回転させ、ステンレス鋼板側の背面を副走査ベルト103に装着させる。ここでは副走査ベルト103部に嵌合する構成をとってあり、下塗り塗装剤の噴射部まで革2を移動できるようにしている。その後副走査ベルト103がU方向へ等速で移動する動作をし、それとともに搬送支持部材3はこの図4で上方部へと移動し、下塗り塗装剤の噴射部まで革2を移動させる。この移動とともに、革2への下塗り塗装が、背面をプラテン102で支持されつつ革2の端部より開始される。革2の全面への下塗りが終了した後も、さらに副走査ベルト103の動作は継続し、ついには搬送支持部材3は皮革昇降台121にさしかかる。すると搬送支持部材3は副走査ベルト103との嵌合からはずれ、皮革昇降台121に移動する。皮革昇降台121は搬送支持部材3が取り付くと支柱131に沿って自動的に降下し、その後搬送支持部材3を移送部112へと移動させる。
【0080】
この後に第2改質処理部104で、上記下塗り塗装が行われた革2に対し、中塗り塗装が継続して行われるが、ここでの動作は先の第1改質処理工程の場合と同様であり、搬送支持部材3が副走査ベルト106に装着され、V方向へと等速で移動、第2改質処理部104の噴射部にさしかかったところで、中塗り塗装液をインクジェット装置によって噴射し、次いで皮革昇降台122に取り付けられて、支柱132に沿って降下、移送部113へと移動される。さらに同様の動作が行われ、第3改質処理部107では、上塗りが行われ、最終的に搬送支持部材3は移送部114の先端部まで移送され、革2の改質処理、すなわち仕上げ塗装が完了する。
【0081】
これら一連の動作の中で、第1改質処理部101、第2改質処理部104、第3改質処理部107は、それぞれインクジェット方式で実施されるが、この部分の機構及び動作に関しては、先のインク加色工程で用いられている図2のインクジェット加色装置を適用することができるため、ここでの説明は省略する。なお図2におけるB方向、すなわち副走査方向が、それぞれ図4におけるU方向、V方向、およびW方向に相当する。ただしこれらの改質処理の場合では、図2のインクジェット加色装置におけるインク供給装置11は一部屋としてよく、その中にそれぞれに使用される塗装液を充填して、加色時と同様の動作を行わせればよい。
【0082】
なお本実施例においては、下塗り塗装から上塗り塗装までの各工程間で、革の移動を伴うが、すべて一連の動作の中で組み込まれているため、塗装剤が変わる部分でも革の取り外しや運搬はなく、人手による部分は全く生じない。そして自動でこれらの工程間の革移動がなされるため、従来に比べて省力化をはかることができる。また上記の各工程間で、皮革が装着された搬送支持部材3を移動させるために、ある程度の時間を要することになるが、この時間によってその直前に施された処理、すなわち塗装の乾燥が実施される効果も持たせている。
【0083】
以上のようにして全ての動作が完了することにより、革に対して高精細画像の形成が達成でき、しかも仕上げ塗装においても画像劣化は発生せず、処理時間の短縮も達成できる。これ以降は、皮革製品とする際の特性を出しているので、計量後、各種の縫製を施し、鞄等の皮革製品に仕上げることができる。
【0084】
(実施例2)
図7は本発明による別の形態による加色処理装置の全体構成図、および図8は図7の中におけるインクジェット噴射部分の主要部を示す概略図である。これらは実施例1の形態に対し、液滴の噴射方向を鉛直下向き、皮革の搬送方向を一方向のみで行って、動作の簡略化を図ったものである。この加色処理装置では、インクによる加色工程をインクジェット噴射部5で行い、この加色に対する前工程及び後工程をそれぞれインクジェット噴射部4及びインクジェット噴射部6で行う。さらにインクジェット噴射部7によって改質処理工程を行うように全体の処理装置構成をとっている。なおこの加色処理装置による動作を説明するにあたり、図8によってインクジェット方式による主要動作について説明しておく。
【0085】
図8は、上述した加色処理装置の全体構成のうち、加色工程及び後工程を行う部分であるインクジェット噴射部5及びインクジェット噴射部6の部分について示しているが、これらのインクジェット噴射部の動作は、基本的には実施例1で述べたものと同様である。ここに設けられているインクジェット噴射部5の中で、加色用インクを液滴として噴射するインクジェットヘッド50は、複数のノズルを配列してなるインクジェットヘッドユニットを4個ならべて構成されており、さらにこのインクジェットヘッド50は一時的にインクを収納している補助インク貯蔵室51と結合され、インクが供給されている。なおこの補助インク貯蔵室51内は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色のインクがそれぞれ貯蔵されるように、各インク別に仕切られた部屋があり、インクジェットヘッド50の4個のインクジェットヘッドユニットに色別にインクを供給するようにしている。さらにこの仕切られた各部屋に、不図示のチューブを介して、別に設けられたインク供給装置からそれぞれの色のインクを供給するようにしている。この補助インク貯蔵室51に付されているK、C、M、Yの各記号は、それぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローを表している。そしてこれらのインクジェットヘッド50ならびに補助インク貯蔵室51は共にキャリッジ52に設けられ、不図示の電装系よりインクジェットヘッド50に送出されてくる信号によって、キャリッジ52はガイドレール53およびガイドレール54に沿って、図の矢印C方向に往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド50から画像信号に応じた各色のインクの噴射を開始し、皮革8に加色可能としている。そして皮革8はこのキャリッジ52の往復移動のたびに、矢印E方向に順次搬送され全体に加色がなされていく。
【0086】
以上説明したインクジェット噴射部5において、皮革8に対して加色を行う際、元来皮革というものが定型の大きさではないため、インク噴射を行うべき領域は、キャリッジ52の往復移動のたびにその範囲内で各種の領域があり得る。これに対してインクジェットヘッドからのインクの噴射領域を、皮革8に対する最大噴射領域にあらかじめ設定しておけばよいが、この手法では皮革8からはずれた部分でもインクを噴射することになり、インクを無駄に消費することとなる。図8のインクジェット噴射部においては、このインクの無駄を回避するために、インクジェットヘッド50の近傍に、皮革の存在を検知する皮革検知部55を設けている。この検知出力とインクジェットヘッドへの駆動信号とを連動させることによって、インクジェットヘッド50が皮革8からはずれた部分を走査している際には、インクの噴射を停止するように制御している。この皮革検知部55は、ここでは反射型フォト・インタラプタを使用している。またこの皮革検知部55としては、特別な機構を設ける必要はなく、これ以外に各種の発光素子と受光素子とを組み合わせた方法や接触針により軽微な力で接触して皮革端部を検知し、皮革8の存在領域を認識する方法などがある。
【0087】
一方、図7を参照するに、このキャリッジ52の往復移動と平行で、皮革8の搬送方向下流側に、インク加色後の後工程、すなわち液状の画像制御剤の噴射を行うインクジェット噴射部6が設けられている。再び図8に戻ると、インクジェット噴射部6の中で、画像制御剤が噴射されるインクジェットヘッド60は、複数のノズルを配列してなるインクジェットヘッドユニットを1個で構成されており、そしてこのインクジェットヘッド60は一時的に画像制御剤を収納している補助処理液貯蔵室61と結合され、画像制御剤が供給されている。この補助処理液貯蔵室61には不図示のチューブを介して、別に設けられた処理液供給装置から画像制御剤を供給するようにしている。そして先に説明したインクジェット噴射部5によって加色がなされた皮革8に、引き続き画像制御剤による後工程を施すように動作する。これらのインクジェットヘッド60ならびに補助処理液貯蔵室61は共にキャリッジ62上に設けられ、不図示の電装系よりインクジェットヘッド60に送出されてくる信号によって、キャリッジ62はガイドレール63およびガイドレール64に沿って、図の矢印D方向に往復移動して走査するとともに、インクジェットヘッド60から全ノズルより画像制御剤を噴射し、加色直後の皮革8に対して直後工程処理を行う。そして皮革8はこのキャリッジの往復移動のたびに、矢印E方向に順次搬送され全体の直後処理を行っていく。なおここでも皮革8の存在領域を検知するために、反射型フォト・インタラプタからなる革検知部65をインクジェットヘッド60の近傍に設置し、皮革がある部分のみの画像制御剤の噴射制御を行っている。
【0088】
また、液滴浸透制御剤噴射のためのインクジェット噴射部4、及び仕上げ塗装剤噴射のためのインクジェット噴射部7における動作も、上記インクジェット噴射部6と同様であるので、ここでは説明を省く。
【0089】
再び図7を参照するが、皮革8の搬送は、この例においては以下に説明する機構をもっている。すなわち、あらかじめ皮革8は、空気の吸引によって皮革を非加色面から吸着する吸着装置9を備えており、この吸着装置9はレール91に沿って図8のE方向に相当する方向へ移動する機構をもっている。加色処理を開始するために、まず皮革8を吸着装置9に設置し、不図示の駆動源によって空気の吸引が一定時間始まり、皮革8を軽く吸引して固定すると共に平坦にならす。ついで吸着装置9を、皮革8の先端がインクジェットヘッド40にさしかかるまで矢印E方向へと送り出し、加色動作を開始する。その後はキャリッジ42の一回の往復動作が行われるごとに、インクジェトヘッド40の1往復分の加色幅だけ、吸着装置9に設置された皮革8を矢印E方向へ順次送り出す。そして皮革8はさらに同速度で送り出され、インクジェットヘッド50にさしかかる。すると前述した塗装処理が順次行われていくこととなる。同様にして皮革8への塗装が終了すると、皮革8の吸引を解除して、動作を完了する。
【0090】
このような構成をもつ装置を使用することにより、皮革に対して前工程、加色工程、後工程、及び改質処理工程の全てが連続した工程となる加色処理装置を実現することができる。また前工程及び後工程は、共に加色工程との間の時間が比較的短いため、それぞれ加色工程の直前工程及び直後工程となすことができる。さらにこの加色処理装置の場合には、皮革の装着は簡便となり、また搬送経路も一直線上にあることから、搬送のための機構も単純化できる。従って皮革への加色処理は、より効率的に自動化を図ることができるものである。これらのことに加え、この装置内において、各インクジェット噴射部同士の設置間隔を自在に変更可能とすれば、その距離によって前後処理を含む加色または改質処理を終えた後の乾燥のための時間を任意に設定できるので、使用するインクおよび各種の処理液の組成や噴射量の適用範囲をより拡大することを可能とする。
【0091】
(実施例3)
図9は、実施例2の形態をさらに発展させた実施態様を示すもので、そのインクジェット加色処理装置の全体構成図を示す。この例におけるインクジェット噴射部は、先の実施例2で説明したインクジェット噴射部4、5、6、7と同一のものを設置している。本実施例においては、これらの直線上に並ぶ各インクジェット噴射部の排出部側に、乾燥装置100及び110を設置しているものである。なおこの図9では省略しているが、インクジェット噴射部6およびインクジェット噴射部7のそれぞれの排出部側においても同様に乾燥装置を1台ずつ設置している。このような乾燥装置を設置することによって、皮革8は、前後工程を含む加色工程、または改質処理工程を経た直後に各乾燥装置に入り、噴射されたそれぞれの処理液の溶媒成分を強制的に蒸発させ、続く処理までの時間の短縮化をはかったものである。これにより、各処理の時間短縮およびインクジェット加色処理装置全体の大きさを縮小させることが可能となる。
【0092】
皮革は、その動物の種類や鞣し方法にもよるが、一般には高温には強くない。したがってこれらの乾燥装置の温度としてはあまり高温は必要ない。一般的な加脂の際の温度でもある60℃以下とすることが好ましい。さらにこの程度の温度であると、皮革の乾燥を瞬時に行うことができない場合もあるため、図9のインクジェット加色処理装置としては、皮革8が乾燥装置100あるいは110内に移送された段階で吸着装置9の移動を停止させ、それによって一定時間皮革8を乾燥装置100あるいは110内に停止させて、皮革8を十分に乾燥させるように制御することも有効である。この場合には上記停止に連動してインクジェット噴射部の動作も停止制御させる構成をとる。
【0093】
(実施例4)
図10は、本発明のさらに別な形態を示すもので、図7のインクジェット加色処理装置に対して、改質処理工程に入る前及び改質処理工程を終えた後にのみ、乾燥装置を設置したものである。前工程及び後工程を含んだ加色工程は、皮革8に対して過剰に処理液を加えるわけではないので、これらの個々の工程毎に乾燥は必ずしも必要ではなくなる。また同様に改質処理における仕上げ塗装剤も、皮革の重要特性である風合いを維持するために、過剰に用いなくともよいので、この改質処理工程内においても乾燥は必ずしも必要ではなくなる。
【0094】
一方、加色後の後工程を終えてから改質処理工程に進むまでの間に乾燥装置100を設置していることによって、この部分では皮革の乾燥という作用よりも加熱という作用を施す。これにより、加色された皮革8の中における色材と皮革との結び付きをより強化させることができる。また、改質処理工程を終えた後においても乾燥装置110を設置していることによって、ここでも仕上げ塗装剤の皮革8に対する定着性をさらに向上させるものである。以上のような構成から加色画像の劣化防止を行っている。
【0095】
以上のような構成をとることにより、動物の種類や鞣し方法によって、比較的染着座席が少ない皮革に対しても、安定した画像形成およびより強固な画像の堅牢性を得ることが可能となった。また加色処理に対する皮革の取り扱いも簡易であり、皮革への加色処理の迅速性も得られた。
【0096】
なお以上の実施例の説明においては、皮革への加色処理を行うにあたって、いずれも1工程ごとに皮革の全面を処理する手法で述べているが、本発明による皮革加色処理方法では、これに限らず、少なくとも皮革上の加色すべき領域に対し、上述の処理工程の順番を経ていればよい。すなわち皮革上の任意の領域をみたときに、液滴浸透制御剤による前工程、インク加色工程、画像制御剤による後工程、改質処理工程の順で処理されていればよいのであって、このことから1枚の皮革に対して、インクジェット噴射手段を走査させて処理するにあたり、上記各処理剤を順次噴射するインクジェット噴射手段を並列させておき、上記各工程の処理剤を順次付与させつつ、皮革全面の加色処理を完成させるような構成も、本発明の中には含まれるものである。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、皮革に対してインクジェットヘッドを用いて画像形成を皮革への加色として行うにあたって、加色工程で噴射される液滴の皮革内での挙動を、前工程としての液滴浸透制御剤付与と、後工程としての画像制御剤付与とを行うことにより、所望の状態に制御し、それによって、皮革に形成される画像を、より高精細で発色性が良く、堅牢性に優れたものとすることを可能とする。
【0098】
これに加え、従来の皮革に対する処理の中で、皮革自身の物性を変化させることを主体としない処理、すなわち染色および仕上げ塗装に着目して、原皮からの加工処理手順に見直しをかけ、この中の仕上げ塗装もインクジェットヘッドを用いて行うことが皮革の生産における効率化に結び付く点も見出した。その結果、上記の加色処理方法に対し、仕上げ塗装に代表される改質処理工程を実質的な連続工程とすることをも可能とする。
【0099】
更にこれらの処理工程を複合させることによって皮革に対する画像形成を効率よく、しかも仕上げまでの自動化をはかることを実現することができた。またここでの処理工程の複合によって、少量多品種の処理や、多色で高精細な画像の表現はもちろんのこと、さらには余分な処理液の廃棄問題をも解決する利点を生みだした。
【0100】
したがって、従来からの皮革の用途に対して、何等制限をつけることなく、高画質、高品質の皮革製品を、大幅な生産コストの増大と時間の浪費をせずに得ることができ、従来にはなかった新しい皮革への展開もはかることが可能となった。これらは、今後の市場の細かな要求にも対応可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における皮革の調製から皮革への加色及び改質処理を経て皮革製品に至る過程を示す流れ図である。
【図2】本発明の実施例におけるインクジェット加色装置の主要構成図である。
【図3】図2のインクジェット加色装置において皮革を固定・搬送させるための部材を示す図である。
【図4】本発明によるインクジェット加色処理装置の一例を示す全体構成図である。
【図5】本発明のインクジェット加色処理方法によって皮革にインク加色した際のインク液滴の皮革内における挙動を示す模式図である。
【図6】本発明によらずに皮革にインク加色した際のインクの皮革内の液滴の挙動を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例におけるインクジェット加色処理装置の第2の実施態様を示す図である。
【図8】図7のインクジェット加色処理装置におけるインクジェット噴射部の主要構成図である。
【図9】本発明の実施例におけるインクジェット加色処理装置の第3の実施態様を示す図である。
【図10】本発明の実施例におけるインクジェット加色処理装置の第4の実施態様を示す図である。
【符号の説明】
1、4、5、6、7 インクジェット噴射部
2 革
3 搬送支持部材
8 皮革
9 吸着装置
100、110 乾燥装置
10、40、50、60、70 インクジェットヘッド

Claims (16)

  1. 皮革に対してインクジェットヘッドを用いることにより300dpi以上の高密度で画像形成を皮革への加色として行う加色工程を有する皮革加色処理方法であって、
    上記インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する前工程と、
    前記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の後工程として少なくともインク加色された皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する後工程と、を有することを特徴とする皮革加色処理方法。
  2. 前記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量は、前記後工程で付与される画像定着剤の単位面積当たりの絶対量よりも少ないことを特徴とする請求項1に記載の皮革加色処理方法。
  3. 前記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量は、前記加色工程で付与されるインクの単位面積当たりの色材付与量よりも少ないことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の皮革加色処理方法。
  4. 前記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量と前記後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量との総和は、前記加色工程で付与されるインクの単位面積当たりの色材付与量以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の皮革加色処理方法。
  5. 前記前工程の液滴浸透制御剤及び前記後工程の画像制御剤が、同一材料であることを特徴とする請求項1乃至請求項4いずれかに記載の皮革加色処理方法。
  6. 皮革に対してインクジェットヘッドを用いることにより300dpi以上の高密度で画像形成を皮革への加色として行う加色工程と、該インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して上記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する前工程と、によって加色された皮革の処理方法であって、
    加色された皮革に対する後工程として、少なくともインク加色される皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する工程を有し、また上記前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量よりも上記後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量が多いことを特徴とする皮革加色処理方法。
  7. 皮革に対してインクジェットヘッドを用いることにより300dpi以上の高密度で画像形成を皮革への加色として行う加色工程と、該皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の後工程として少なくともインク加色された皮革表面領域のインクの色材に化学反応する画像制御剤を付与する後工程と、を有する皮革の加色に用いる皮革の処理方法であって、
    上記インクジェットヘッドにより画像形成される皮革表面側に対して上記皮革へのインクジェットヘッドによるインク加色の前工程として、少なくともインク加色される皮革表面領域にインクの色材と化学反応できる液滴浸透制御剤を付与する工程を有し、また、該前工程で付与される液滴浸透制御剤の単位面積当たりの絶対量が、上記後工程で付与される画像制御剤の単位面積当たりの絶対量よりも少ないことを特徴とする皮革の処理方法。
  8. 前記前工程、前記加色工程、及び前記後工程を経た皮革に対して、少なくとも皮革における液滴画像を実質的に改質できる改質処理工程を、実質的な連続工程として行うことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の皮革加色処理方法。
  9. 前記改質処理工程がインクジェットヘッドを用いて行われる一工程以上の改質処理を実質的な連続工程とすることを特徴とする請求項8に記載の皮革加色処理方法。
  10. 前記改質処理工程が仕上げ塗装であることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の皮革加色処理方法。
  11. 前記加色工程と前記改質処理工程との間に、強制乾燥工程を有することを特徴とする請求項8乃至請求項10いずれかに記載の皮革加色処理方法。
  12. 前記皮革として、再鞣を含む鞣製工程後、中和・加脂・水絞り・伸ばし・乾燥を経た皮革、並びにさらに味入れ・ステーキング・張り乾燥・縁断ち等によって平坦化および風合い調製が終了した皮革を用いることを特徴とする請求項8乃至請求項11のいずれかに記載の皮革加色処理方法。
  13. 前記インクジェットヘッドからの液滴噴射を、前記皮革の銀面および/または肉面に対して行うことを特徴とする請求項8乃至請求項12いずれかに記載の皮革加色処理方法。
  14. 請求項8乃至請求項13のいずれかに記載の皮革加色処理方法を実行する装置であって、皮革に対して画像形成を皮革への加色として行うインクジェット記録手段と、皮革における液滴画像を実質的に改質できる改質処理剤を皮革に対して与える付与手段と、を備えたことを特徴とする皮革加色処理装置。
  15. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の皮革加色処理方法によって画像形成がなされたことを特徴とする皮革。
  16. 請求項1乃至請求項13のいずれかに記載の皮革加色処理方法によって画像形成がなされた皮革を加工して形成されたことを特徴とする皮革製品。
JP01388595A 1994-02-04 1995-01-31 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革 Expired - Lifetime JP3581411B2 (ja)

Priority Applications (11)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01388595A JP3581411B2 (ja) 1995-01-31 1995-01-31 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革
CA 2141646 CA2141646C (en) 1994-02-04 1995-02-01 Leather coloring process, leather coloring apparatus, and colored leather produced by such process
DE1995633243 DE69533243T2 (de) 1994-02-04 1995-02-03 Vorrichtung zur Färbung von Leder
DE1995631466 DE69531466T2 (de) 1994-02-04 1995-02-03 Verfahren zur Färbung von Leder
EP19950101475 EP0666363B1 (en) 1994-02-04 1995-02-03 Leather coloring process
EP20010116041 EP1153755B1 (en) 1994-02-04 1995-02-03 Leather coloring apparatus
KR1019950002003A KR0154405B1 (ko) 1994-02-04 1995-02-04 피혁 착색 방법, 피혁 착색 장치 및 상기 방법에 의해 제조된 착색 피혁
AU11601/95A AU696974B2 (en) 1994-02-04 1995-02-06 Leather coloring process, leather coloring apparatus, and colored leather produced by such process
US08/884,464 US6022383A (en) 1994-02-04 1997-06-27 Processes for coloring leather by an ink-jet printing method using anionic coloring agents and cationic agents, and leather products obtained therewith
US09/310,129 US6357845B1 (en) 1994-02-04 1999-05-12 Leather coloring process, leather coloring apparatus and colored leather produced by such process
CN011211016A CN1218084C (zh) 1994-02-04 2001-06-08 皮革着色工艺以及由该工艺生产的着色皮革

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP01388595A JP3581411B2 (ja) 1995-01-31 1995-01-31 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08209553A JPH08209553A (ja) 1996-08-13
JP3581411B2 true JP3581411B2 (ja) 2004-10-27

Family

ID=11845666

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP01388595A Expired - Lifetime JP3581411B2 (ja) 1994-02-04 1995-01-31 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3581411B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3410026B2 (ja) * 1998-07-24 2003-05-26 カネボウ株式会社 インクジェット捺染用皮革及びその製造方法
JP4689178B2 (ja) * 2004-03-05 2011-05-25 協伸株式会社 インクジェットにより染色した皮革の製造方法および該方法により染色した皮革
JP5840564B2 (ja) * 2012-05-16 2016-01-06 富士フイルム株式会社 印字方法および印字装置
JP2014168851A (ja) * 2013-03-01 2014-09-18 Mimaki Engineering Co Ltd 印刷装置及び印刷方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08209553A (ja) 1996-08-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6357845B1 (en) Leather coloring process, leather coloring apparatus and colored leather produced by such process
KR0137798B1 (ko) 피혁 착색용 피혁 처리 방법, 그에 의해 처리된 피혁에 행해지는 피혁 착색 방법 및 그 피혁 착색 방법에 의해 제조된 피혁제품
US20070061980A1 (en) Method and device for digitally upgrading textile
US10052889B2 (en) Digital imaging process for flooring material
JP3581411B2 (ja) 皮革加色処理方法及び加色処理装置と該加色処理装置によって製造された加色皮革
JP4689178B2 (ja) インクジェットにより染色した皮革の製造方法および該方法により染色した皮革
JP3581402B2 (ja) 皮革の加色方法及び皮革の加色装置
JPH1110843A (ja) 皮革加色処理方法、加色処理装置および該加色処理方法によって製造された加色皮革
CN111532049A (zh) 一种数码打印方法、数码打印机及存储介质
JPH11158500A (ja) 革の処理方法、加色方法及び得られた革製品
JP3119412B2 (ja) 天然皮革加色方法及びインクジェット天然皮革加色装置
CN1118396A (zh) 皮革着色工艺、皮革着色设备以及由该工艺生产的着色皮革
CN210620851U (zh) 一种皮革均匀染色机
JP2019099966A (ja) 染色された布の製造方法及び染色システム
KR102183067B1 (ko) 피혁 표면 상에 화상을 형성하는 방법
EP4289975A1 (en) Decorating a hide by inkjet technology
US20210062381A1 (en) Methods of pretreating hydrophobic fabrics prior to printing
WO2023222591A1 (en) Manufacturing a decorated leather article

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040127

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040329

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040720

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040723

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080730

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080730

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090730

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090730

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100730

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100730

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110730

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120730

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120730

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130730

Year of fee payment: 9

EXPY Cancellation because of completion of term